【実施例】
【0049】
本発明の実施例について説明する。かかる実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0050】
実施例1
<配合成分とその配合量>
・高硬度ウレタン樹脂(DIC社製「DM−653」(固形分濃度55.0重量%) 3.8重量部
・低硬度ウレタン樹脂(DIC社製「DM−407」(固形分濃度25.0重量%) 2.2重量部
・オルガノシリケート(テトラメトキシシラン)(固形分) 0.3重量部
・シクロヘキサノン 11.5重量部
・酢酸ブチル 11.5重量部
【0051】
上記実施例1に係る各種配合を混合し、均一に溶解させ、ウレタン樹脂塗料を作製した。
【0052】
また、ウレタン樹脂とオルガノシリケート化合物の固形分重量の総合計量に対するオルガノシリケート化合物固形分重量の配合比は、表1に示した通りであった。
【0053】
ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に、ウレタン樹脂塗料をスプレー塗装し、120℃にて60分間乾燥させ、溶剤を揮発、塗料を硬化させる表面処理を施した。
【0054】
硬化後の塗料の厚みは8μmであった。
【0055】
<評価方法>
実施例1で得られた防汚塗布膜に対して、下記の項目について評価を行ない、結果を表1に示した。
【0056】
(1)塗膜の初期接着性
JIS K5400−8−5(1990)に準拠し、100目の碁盤目を用いて碁盤目試験を行い、粘着テープの剥離を、以下の基準で評価した。
◎:剥離なし
○:1〜10目剥離が確認できた。
△:11〜60目剥離が確認できた。
×:61〜100目剥離が確認できた。
【0057】
(2)防汚性
カーボンブラック(ライオン株式会社製EC600JD)を防汚塗布膜に擦り付け、およびカーボンブラック懸濁液(レジノカラー工業社製ピグダイブラックLN−720N)を防汚塗布膜に塗布した後、防汚塗布膜をイオン交換水にてシャワー洗浄(圧力:0.3MPa)し、以下の基準で防汚性の評価を行なった。
◎:自浄作用があり、汚れなし。
○:微小な汚れあり。
△:部分的に汚れあり。
×:自浄作用がなく、全面的に汚れあり。
【0058】
(3)屈曲性(柔軟性)
JIS K5600−5−1(1999)に準拠し、180度屈曲試験後、実体顕微鏡にて観察し、割れ、クラックの有無を評価した。
◎:クラックなし。
○:微小にクラックあり。
△:部分的にクラックあり。
×:全面的にクラックあり。
【0059】
(4)親水性
水に対する接触角を、自動接触角計(協和界面科学CA−V型)により測定した。
接触角度は65°以下が好ましく、さらに好ましくは50°以下である。接触角度が65°以下であると親水性に優れ、疎水性物質である煤煙やすす等の付着を防止でき、親水性物質である土や埃は、降雨により水と一緒に洗い流すことができ好ましい。
【0060】
(実施例2)
実施例1において、オルガノシリケート0.3重量部を2.2重量部に、シクロヘキサノン11.5重量部を20.0重量部に、酢酸ブチル11.5重量部を20.0重量部に変更した以外は同様にウレタン樹脂塗料を成形した。
その後、実施例1と同様に、ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に表面処理を施した。得られた防汚塗布膜に対して、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0061】
(実施例3)
実施例1において、オルガノシリケート0.3重量部を3.4重量部に、シクロヘキサノン11.5重量部を25.0重量部に、酢酸ブチル11.5重量部を25.0重量部に変更した以外は同様にウレタン樹脂塗料を成形した。
その後、実施例1と同様に、ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に表面処理を施した。得られた防汚塗布膜に対して、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0062】
(実施例4)
実施例1において、ウレタン樹脂(DIC社製「DM−653」(固形分濃度55.0重量%)3.8重量部を3.9重量部に、ウレタン樹脂(DIC社製「DM−407」(固形分濃度25.0重量%)2.2重量部を1.0重量部に、オルガノシリケート0.3重量部を2.0重量部に、シクロヘキサノン11.5重量部を18.0重量部に、酢酸ブチル11.5重量部を18.0重量部に変更した以外は同様にウレタン樹脂塗料を成形した。
その後、実施例1と同様に、ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に表面処理を施した。得られた防汚塗布膜に対して、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0063】
(実施例5)
実施例1において、ウレタン樹脂(DIC社製「DM−653」(固形分濃度55.0重量%)3.8重量部を2.6重量部に、ウレタン樹脂(DIC社製「DM−407」(固形分濃度25.0重量%)2.2重量部を2.4重量部に、オルガノシリケート0.3重量部を1.7重量部に、シクロヘキサノン11.5重量部を11.0重量部に、酢酸ブチル11.5重量部を11.0重量部に変更した以外は同様にウレタン樹脂塗料を成形した。
その後、実施例1と同様に、ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に表面処理を施した。得られた防汚塗布膜に対して、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0064】
(比較例1)
実施例1において、オルガノシリケート0.3重量部を0重量部に、シクロヘキサノン11.5重量部を10.0重量部に、酢酸ブチル11.5重量部を10.0重量部に変更した以外は同様にウレタン樹脂塗料を成形した。
その後、実施例1と同様に、ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に表面処理を施した。得られた防汚塗布膜に対して、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0065】
(比較例2)
実施例1において、オルガノシリケート0.3重量部を4.0重量部に、シクロヘキサノン11.5重量部を28.0重量部に、酢酸ブチル11.5重量部を28.0重量部に変更した以外は同様にウレタン樹脂塗料を成形した。
その後、実施例1と同様に、ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に表面処理を施した。得られた防汚塗布膜に対して、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0066】
(比較例3)
実施例1において、ウレタン樹脂(DIC社製「DM−653」(固形分濃度55.0重量%)3.8重量部を4.0重量部に、ウレタン樹脂(DIC社製「DM−407」(固形分濃度25.0重量%)2.2重量部を0重量部に、オルガノシリケート0.3重量部を1.8重量部に、シクロヘキサノン11.5重量部を12.0重量部に、酢酸ブチル11.5重量部を12.0重量部に変更した以外は同様にウレタン樹脂塗料を成形した。
その後、実施例1と同様に、ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に表面処理を施した。得られた防汚塗布膜に対して、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0067】
(比較例4)
実施例1において、ウレタン樹脂(DIC社製「DM−653」(固形分濃度55.0重量%)3.8重量部を0重量部に、ウレタン樹脂(DIC社製「DM−407」(固形分濃度25.0重量%)2.2重量部を6.2重量部に、オルガノシリケート0.3重量部を1.3重量部に、シクロヘキサノン11.5重量部を7.0重量部に、酢酸ブチル11.5重量部を7.0重量部に変更した以外は同様にウレタン樹脂塗料を成形した。
その後、実施例1と同様に、ウレタン樹脂製の道路用標示体本体上に表面処理を施した。得られた防汚塗布膜に対して、実施例1と同様に評価し、その結果を表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】
<評価>
以上の結果より、塗料中のウレタン樹脂とオルガノシリケート化合物の固形分重量の総合計量に対して、前記オルガノシリケート化合物が10.0重量%以上配合している実施例1〜5、比較例2〜4に関しては、オルガノシリケート化合物を含まない比較例1と比較して、親水性が良好であることが確認できた。
【0070】
しかし、オルガノシリケート化合物を、58.0重量%を超えて配合している比較例2に関しては、オルガノシリケートを多量に配合したために、屈曲試験において割れが生じてしまったため、屈曲性が×となった。また、比較例2においては、光沢感が著しく低下していた。
【0071】
また、比較例3より、低硬度のウレタン樹脂を含まない塗料とした場合には、柔軟性が悪く、また、比較例4より、高硬度のウレタン樹脂を含まない塗料とした場合には、防汚性が悪化してしまうことが確認できた。