【実施例1】
【0010】
本発明に係わる空気調和機は、屋外に設置される室外機(図示なし)と、空調室内に設置される室内機1とが冷媒配管を介して接続されて冷凍サイクルを構成する。
図1(a)は空調室の天井T近くの壁面Kに取り付けられた運転停止時の室内機1の外観図であり、
図1(b)は側面図である。また、
図2(a)は運転時の室内機1の外観図であり、
図2(b)は側面図である。
図3は室内機の縦断面図である。室内機1は、横長の直方体状に形成された筐体10を有する。また、室内機1は、横長の直方体状に限定はされず、前面の一部がフラット形状であればよい。
【0011】
なお、
図1において室内機1の壁面K側にある面を背面とし、その対面を前面とし、天井T側にある面を天面とし、天面の対面を底面とし、
図1の右側の側面を右側面とし、右側面の対面を左側面として以下説明する。また、内部部品についても同様に説明する。
【0012】
筐体10の前面と左右側面は垂直方向に伸びる平滑な面でなり、天面は水平方向に伸びる平滑な面でなり、底面は背面側から前面側にかけて上方に傾斜した平滑な傾斜面でなり、全体に箱型に形成されている。
筐体10の前面側は開閉パネル20で覆われる。筐体10の左右側面と、天面と、底面の背面側の約半分は本体パネル11で覆われる。本体パネル11の天面(上部)は開口部を備え、これが吸込口12となる。本体パネル11の底面で開閉パネル20側には開口部を備え、これが吹出口13となる。吹出口13は運転停止時にディフューザ40で閉塞される。
【0013】
筐体10の内部には、
図3に示すように筐体10の長手方向と平行に配置されたクロスフローファン型の送風ファン14と、送風ファン14の周囲を囲む2段の前方熱交換器151と後方熱交換器152とからなる熱交換器15とを備える。熱交換器15と吸込口12の間にはフィルタ16を備える。また、吸込口12と吹出口13を結ぶ送風路17の送風ファン14から吹出口13までを形成するケーシング30を備える。
送風ファン14は筐体10内の右側で図示しないファンモータに軸支される。ファンモータの上部には図示しない電装品箱を備える。ファンモータと電装品箱はファンモータカバー111で覆われている。ファンモータと熱交換器15はケーシング30に支持される。ケーシング30は、送風ファン14に空気を導く背面側のリアガイダ311から吹出口13までを結ぶ下壁31と、送風ファン14に空気を導く前面側のスタビライザ321から吹出口13までを結ぶ上壁32とで送風路17の一部を形成する。上壁32は前方熱交換器151のドレンパン322を兼ね、下壁31のリアガイダ311から背面側に延出する壁が後方熱交換器152のドレンパン312となる。
【0014】
送風ファン14と吹出口13の間の送風路17内には左右風向板18が設けられる。左右風向板18は送風ファン14の軸方向に対し垂直方向に平行に複数配置され、左右風向板18の前方が駆動軸(図示なし)に軸支され、左右風向板18の後方が下壁31に軸支される。駆動軸(図示なし)が左右へ移動することで左右風向板18の前方が左右に移動して、吹出口13から吹き出される空気の流れを左右方向に偏向する。
また、送風路17内には上下風向板19が設けられる。上下風向板19は吹出口13と同幅の平板状で両端がケーシング30に軸支され、運転時には片側の軸が図示しないモータにより回動して
図4のように吹き出した風を導く。また、運転停止時にはケーシング30内に収まる。
【0015】
室内機10は図示しないファンモータにより送風ファン14が回転することで吸込口12から取り入れられた室内空気を、熱交換器18で冷媒と熱交換して冷気または暖気を生成し、ディフューザ40と左右風向板18と上下風向板19で風向を調整して吹出口13から空調室に吹き出す。
【0016】
開閉パネル20は、背面側の上方に回動アーム21を備える。また本体パネル10には回動アーム21に当接するギア101を備える。回動アーム21とギア101のそれぞれの当接面は開閉パネル20の背面上端角部20aを中心とした円弧状に形成される。回動アーム21は図示しないモータによりギア101との当接面を移動することで開閉パネル20の背面上端角部20aが回動の軸となる。
また、開閉パネル20は、背面側の下方に軸支部22を備える。軸支部22は開閉パネル20と後述するスライド板23の一端を軸支する。軸支部22は中央に1か所でもよいが、左右、中央それぞれに複数配置してもよい。
【0017】
図4に示すようにケーシング30内には、ケーシング30の前面側の上壁32と前面パネル20とを連結するスライド板23を備える。スライド板23は、吹出口13と同幅の平板状に形成される。スライド板23は運転停止時には、
図3に示すように送風路17内に収納されている。スライド板23は
図5と
図6に示すように前端に前述した軸支部22に対向する位置に前方切欠部231を有し前方切欠部231の中に軸部232を備える。
また、スライド板23は、後端に後方切欠部233を備える。後方切欠部233の中には、駆動軸24が軸支されている。
図6(c)と
図6(d)に示すように駆動軸24は小判型でなり両端のそれぞれの円弧の中心に軸24aと軸24bを備える。一端の軸24aは後方切欠部233に軸支され、一端の軸24bは後述するレール33の溝部331に軸支される。駆動軸24は中央に1か所でもよいが、左右、中央それぞれに複数配置してもよい。
【0018】
図6(a)と
図6(b)に示すようにケーシング30の上壁32にはスライド板23の駆動軸24に対向する位置にレール33を備える。レール33は上壁32に直線状に溝を設けたものであり、運転停止時に
図3の駆動軸24が収まる位置から、上壁32の前方の端まで設ける。レール33の側面には溝部33aを備え、回動軸24の軸24bを軸支する。
【0019】
室内機1の運転が開始されると、開閉パネル20は、
図4に示すように背面上端角部20aを回動の軸として回動アーム21が移動して、開閉パネル20の下端20bが筐体10よりも前方へ例えば9°移動する。これにより開閉パネル20と筐体10の間で前方熱交換器151の前には空間ができて、吸込口12から前方熱交換器151に至る通風路Sが形成される。通風路Sにより吸込口12から吸い込まれた空気は前方熱交換器151の下方まで導かれることが可能となる。
開閉パネル20の移動に合わせ軸支部22に軸支されているスライド板23は前方へ牽引される。この時、
図6(a)に示すように後方切欠部233に軸支されている駆動軸24はレール33に沿って移動する。開閉パネル20が前方へ9°移動したときにはスライド板23は
図4と
図6(b)に示すように開閉パネル20とケーシング30の間を連結するように収まる。スライド板23は、開閉パネル20とケーシング30の間を連結することで通風路Sの下端を塞ぐ。
この状態においては、スライド板23はケーシング30の上壁32が仮想的に延長された位置に収まる。これにより送風路17が延長された状態となり、吹き出す風が遠くまで届くようになる。
【0020】
次に、ディフューザ40について説明する。
図1、
図4に示すようにディフューザ40は、筐体10と同幅の平板状に形成される。ディフューザ40はケーシング30の下壁31の吹出口13側の下端31aに接してここを回動の軸のようにして図示しない駆動機構により回動する。運転停止時は
図3に示すようにディフューザ40の前端40aが開閉パネル20と接して吹出口13を塞ぎ、運転が開始されるとディフューザ40が下方に回動し吹出口13が開放される。冷房運転時は
図4(a)に示すようにディフューザ40はスライド板23とほぼ平行となる位置まで回動する。この時、吹出口13内にある上下風向板19もスライド板23とほぼ平行となる位置まで回動する。ディフューザ40により下壁31が前方に長く延長された状態となり、スライド板23と合わせ送風路17が前方に向けて延長された状態となり、吹出口13から吹き出す風が前方に遠くまで吹き出されるようになる。
暖房運転時は
図4(b)に示すようにディフューザ40は下壁31が下方へ延長された状態となる位置まで回動する。この時、吹出口13内にある上下風向板19もディフューザ40とほぼ平行となる位置まで回動する。ディフューザ40により下壁31が下方へ長く延長された状態となり、上下風向板19と合わせ送風路17が下方へ延長された状態となり、吹出口13から吹き出す風が下方へ向けて吹き出されるようになる。
【0021】
図7(a)は右側面の内部を示す図で、
図7(b)は開閉パネル20を外した状態の部分正面図である。
図7(a)に示す室内機1の運転停止状態において、開閉パネル20の左右端には裏面から背面側に向かって第1側面パネル50がそれぞれ立設する。また、
ディフューザ40の裏面の左右端には天面側に向かって第2側面パネル60がそれぞれ立設する。第1側面パネル50と第2側面パネル60は平板状である。
本体パネル11は、本体パネル11の左右側面を構成する左側面板112と右側面板113の内側で、前面側が開口して戸袋状となった収納部70を備える。第1側面パネル50と第2側面パネル60は収納部70内に収納される。これにより、運転停止時は第1側面パネル50と第2側面パネル60と収納部70が視認されることはない。
【0022】
第1側面パネル50は開閉パネル20と同じ高さで上端が狭く下端が広い三角形状に形成される。運転が開始され、開閉パネル20が前方に移動した時に、
図2(b)に示すように背面側の一部が収納部70に残った状態で、開閉パネル20の移動に合わせて前方へ移動する。同様に、第2側面パネル60は半径をディフューザ40の奥行の幅に合わせた前方に広がる扇形に形成される。運転が開始され、ディフューザ40が下方に移動した時に、天面側の一部が収納部70に残った状態で、ディフューザ40の移動に合わせて下方へ移動する。これにより運転時でも室内機の内部と収納部70は視認されることはない。
【0023】
室内機1は、運転停止時には
図1に示すように、本体パネル11と開閉パネル20とディフューザ40で覆われた箱型となる。吹出口12はディフューザ40に閉塞されていることで視認されない。この時、本体パネル11と開閉パネル20とディフューザ40の部品の合わせ目は箱型の稜線上に設けているため、部品の合わせ目を使用者に意識させることがない。
また、開閉パネル20の背面側には送風路17を形成するケーシング30の上壁32に取り付けられたスライド板23が収納されていることで送風路17を短くできる。これにより室内機1は従来よりも小型のコンパクトなサイズにすることが可能となる。
小型のコンパクトなサイズとなった室内機1は見るものに空調室の空間に馴染んで見える。また、部品の合わせ目を箱型の稜線上に設けたことで、部品の合わせ目を意識させない優れた美観を備えたデザインを印象づけることができる。
【0024】
室内機1が運転を開始すると、開閉パネル20は回動アーム21により開閉パネル20の背面上端角部20aを回動の軸として前方へ9°移動する。開閉パネル20の移動によりスライド板23が牽引されて上壁32のレール33に沿って前方へ移動し、開閉パネル20とケーシング30の間を連結するように収まり送風路17を延長させる。また、開閉パネル20の移動に合わせ第1側面パネル50も前方へ移動する。
また、室内機1が運転を開始すると、ディフューザ40も下方へ回動する。ディフューザ40は、下壁31を延長させる作用があり、結果、送風路17が延長される。ディフューザ40の移動に合わせ第2側面パネル60も下方へ移動する。
この構成により、吹出口13はスライド板23とディフューザ40で延長され、さらに第1側面パネル50と第2側面パネル60で側面方向も覆われることで、送風路17が筒状に延長される。筒状となることで吹き出された空気はより遠くまで届くことが可能となる。
また、吹出口13がスライド板23とディフューザ40と第1側面パネル50と第2側面パネル60で覆われる。上下風向板19の先端は側面視で第2側面パネル60の扇形の円弧の端よりも筐体10側に位置することで、第2側面パネル60で隠され、吹出口13内部も視認しづらくなる。上下風向板19が筐体10から突出したように見えないことで運転時でも美観が得られる。
【0025】
また、
図4(a)に示すように開閉パネル20の下端20bが前方へ移動することで、開閉パネル20の裏面と筐体10の間で前方熱交換器151の前には空間ができて通風路Sが形成される。通風路Sにより吸込口12から吸い込まれた空気は前方熱交換器151の下方まで導かれることが可能となり空気調和機の熱交換器の効率を上げることができる。
【0026】
また、開閉パネル20の下端20bが前方へ移動しスライド板23で送風路17が延長されることで、吹出口13の出口と吸込口12までの距離が従来例よりも長くなる。また、吹出口13から吹き出された空気はスライド板23で押さえられることから、上方へ移動しにくくなり、ショートカット防止の効果がある。