(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者がブレーキペダルおよびアクセルペダルの一方を踏み込むとき、誤ってブレーキペダルおよびアクセルペダルの他方が踏み込まれるおそれがある。
本発明は、ブレーキペダルおよびアクセルペダルが同時に踏み込まれにくくなるペダル位置変更装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕本ペダル位置変更装置の独立した一形態は、次の事項を有する。すなわち、ブレーキペダルおよびアクセルペダルを相対的に移動させる電動式の移動装置を有し、前記移動装置は、前記ブレーキペダルが踏込操作されたとき、前記アクセルペダルを、前記ブレーキペダルの踏込量が「0」のときの前記ブレーキペダルの位置であるブレーキ初期位置から離間させる、または、前記アクセルペダルが踏込操作されたとき、前記ブレーキペダルを、前記アクセルペダルの踏込量が「0」のときの前記アクセルペダルの位置であるアクセル初期位置から離間させる。
【0006】
このペダル位置変更装置によれば、ブレーキペダルが踏込操作されたとき、移動装置がアクセルペダルをブレーキ初期位置から離間させる構成の場合、ブレーキペダルが踏込操作されたときにアクセルペダルがブレーキペダルを踏み込んだ足から離れるように移動する。このため、ブレーキペダルを踏み込んだ足によりアクセルペダルが踏み込まれにくくなる。また、アクセルペダルが踏込操作されたとき、移動装置がブレーキペダルをアクセル初期位置から離間させる構成の場合、アクセルペダルが踏込操作されたときにブレーキペダルがアクセルペダルを踏み込んだ足から離れるように移動する。このため、アクセルペダルを踏み込んだ足によりブレーキペダルが踏み込まれにくくなる。したがって、ブレーキペダルおよびアクセルペダルが同時に踏み込まれにくくなる。
【0007】
〔2〕前記ペダル位置変更装置の従属した一形態は、次の事項を有する。すなわち、前記移動装置は、前記ブレーキペダルの踏込量が増加するにつれて、前記ブレーキ初期位置から前記アクセルペダルを離間させるために前記アクセルペダルを移動させる移動量を増加させる、または、前記アクセルペダルの踏込量が増加するにつれて、前記アクセル初期位置から前記ブレーキペダルを離間させるために前記ブレーキペダルを移動させる移動量を増加させる。
【0008】
ブレーキペダルが踏込操作されたときに誤ってアクセルペダルも踏込操作されたとき、すなわちアクセルペダルが誤踏込操作されたときに制動装置にかかる負荷は、誤踏込操作によるアクセルペダルの踏込量が大きいほど、大きくなる。一方、誤踏込操作によるアクセルペダルの踏込量は、ブレーキペダルの踏込量が大きくなるにつれて大きくなる。このため、ブレーキペダルの踏込量が大きくなるほど、アクセルペダルが、アクセルペダルの誤踏込操作が生じにくくなる位置を取ることが好ましい。
【0009】
このペダル位置変更装置は、このようなアクセルペダルの踏込量およびブレーキペダルの踏込量を踏まえて、移動装置によるアクセルペダルの移動量を制御する。すなわち、ブレーキペダルの踏込量が増加するにつれて、移動装置によるブレーキ初期位置からのアクセルペダルの移動量を増加させる。このため、ブレーキペダルの踏込量が大きいとき、すなわち、誤踏込操作によるアクセルペダルの踏込量が大きくなるおそれが高いとき、アクセルペダルが誤踏込操作されにくい位置に移動する。このため、アクセルペダルが誤踏込操作されたとしても、誤踏込操作によるアクセルペダルの踏込量が小さくなり、制動装置に大きな負荷がかかることが抑制される。
【0010】
また、アクセルペダルが踏込操作されたときに誤ってブレーキペダルも踏込操作されたとき、すなわちブレーキペダルが誤踏込操作されたとき、エンジンおよび車両駆動モータの少なくとも一方からなる車両駆動部にかかる負荷は、誤踏込操作によるブレーキペダルの踏込量が大きいほど、大きくなる。一方、誤踏込操作によるブレーキペダルの踏込量は、アクセルペダルの踏込量が大きくなるにつれて大きくなる。このため、アクセルペダルの踏込量が大きくなるほど、ブレーキペダルが、ブレーキペダルの誤踏込操作が生じにくくなる位置を取ることが好ましい。
【0011】
このペダル位置変更装置は、このようなアクセルペダルの踏込量およびブレーキペダルの踏込量を踏まえて、移動装置によるブレーキペダルの移動量を制御する。すなわち、アクセルペダルの踏込量が増加するにつれて、移動装置によるアクセル初期位置からのブレーキペダルの移動量を増加させる。このため、アクセルペダルの踏込量が大きいとき、すなわち、誤踏込操作によるブレーキペダルの踏込量が多くなるおそれが高いとき、ブレーキペダルが誤踏込操作されにくい位置に移動する。このため、ブレーキペダルが誤踏込操作されたとしても、誤踏込操作によるブレーキペダルの踏込量が小さくなり、車両駆動部に大きな負荷がかかることが抑制される。
【0012】
〔3〕前記ペダル位置変更装置の従属した一形態は、次の事項を有する。すなわち、前記移動装置は、前記ブレーキペダルが踏込操作されたとき、車幅方向において前記アクセルペダルを前記ブレーキ初期位置から離間させる、または、前記アクセルペダルが踏込操作されたとき、前記車幅方向において前記ブレーキペダルを前記アクセル初期位置から離間させる。
【0013】
〔4〕前記ペダル位置変更装置の従属した一形態は、次の事項を有する。すなわち、前記ブレーキペダルの踏込量が前記ブレーキペダルの遊びの範囲に含まれるとき、または、前記アクセルペダルの踏込量が前記アクセルペダルの遊びの範囲に含まれるとき、前記移動装置が駆動しない。
【0014】
ブレーキペダルの踏込量がブレーキペダルの遊びの範囲に含まれるとき、車両に制動力が作用しない。また、アクセルペダルの踏込量がアクセルペダルの遊びの範囲に含まれるとき、車両に駆動力が作用しない。このため、ブレーキペダルの踏込量またはブレーキペダルの踏込量が遊びの範囲に含まれるとき、ブレーキペダルによる制動力およびアクセルペダルによる駆動力が併存しない。このため、移動装置によりアクセルペダルおよびブレーキペダルの一方をアクセルペダルおよびブレーキペダルの他方から離間させる必要性が低い。
【0015】
このペダル位置変更装置は、ブレーキペダルの踏込量またはアクセルペダルの踏込量が遊びの範囲に含まれるとき、移動装置が駆動しない。このため、移動装置の駆動の頻度を下げることができる。したがって、ブレーキペダルの踏込量またはアクセルペダルの踏込量が遊びの範囲に含まれるときに移動装置が駆動すると仮定した構成と比較して、移動装置の消費電力が少なくなる。
【発明の効果】
【0016】
本ペダル位置変更装置によれば、ブレーキペダルおよびアクセルペダルが同時に踏み込まれにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1を参照して、車両の構成について説明する。
車両は、支持フレーム100、ブレーキ装置200、アクセル装置300、および、ペダル位置変更装置1を有している。ブレーキ装置200、および、ペダル位置変更装置1は、支持フレーム100に取り付けられている。アクセル装置300は、ペダル位置変更装置1に取り付けられている。ブレーキ装置200およびアクセル装置300は、車幅方向に間隔を空けて並べられている。支持フレーム100は、ブレーキ装置200およびペダル位置変更装置1を支持している。ブレーキ装置200は、車両に制動力を付与するため、制動装置(図示略)を動作させる。制動装置の一例は、ディスクブレーキである。アクセル装置300は、エンジンおよび車両駆動モータの少なくとも一方からなる車両駆動部の運転状態を制御する。ペダル位置変更装置1は、車幅方向においてブレーキ装置200に対してアクセル装置300を移動させる。
【0019】
支持フレーム100は、車両の車室空間とエンジンルーム(ともに図示略)とを区画するフロントパネル(図示略)に取り付けられている。支持フレーム100は、車室空間側に配置されている。支持フレーム100は、ステアリングコラム(図示略)を支持している。支持フレーム100は、ブレーキ支持軸101を有している。ブレーキ支持軸101は、車幅方向に延びている。
【0020】
ブレーキ装置200は、ブレーキペダル210、ブレーキアーム220、リターンスプリング(図示略)、および、ストロークセンサ230を有している。リターンスプリングは、ブレーキペダル210が踏込操作されたとき、ブレーキペダル210の踏込量が「0」となる方向にブレーキペダル210を付勢している。ストロークセンサ230は、ブレーキペダル210の踏込量に応じた信号をペダル位置変更装置1の制御装置40に出力する。
【0021】
ブレーキアーム220の下端部は、ブレーキペダル210に固定されている。ブレーキアーム220の上端部は、支持フレーム100に対するブレーキアーム220の回転が可能な状態でブレーキ支持軸101に取り付けられている。リターンスプリングの一例は、ねじりコイルばねである。リターンスプリングには、ブレーキ支持軸101が挿入されている。リターンスプリングの一端は、支持フレーム100に取り付けられている。リターンスプリングの他端は、ブレーキアーム220に取り付けられている。
【0022】
ブレーキ装置200は、ブレーキペダル210が踏込操作されたとき、ブレーキ支持軸101の回りをブレーキペダル210およびブレーキアーム220が一体に回転する。このとき、リターンスプリングが捩れるため、リターンスプリングの付勢力が増大する。そして、ブレーキペダル210が踏み込まれる力がリターンスプリングの付勢力よりも小さくなるとき、ブレーキペダル210の踏込量が「0」となる方向にブレーキペダル210およびブレーキアーム220が回転する。
【0023】
アクセル装置300は、アクセルペダル310、アクセルアーム320、および、アクセルボックス330を有している。アクセルボックス330は、アクセル支持軸331およびアクセルセンサ(図示略)を収容している。アクセルセンサは、アクセルペダル310の踏込量に応じた信号を車両の制御装置(図示略)に出力する。
【0024】
アクセルボックス330は、アクセルアーム320の上側に配置されている。アクセルアーム320の上端部は、アクセルボックス330に対するアクセル支持軸331を中心としたアクセルアーム320の回転が可能な状態でアクセル支持軸331に取り付けられている。アクセルアーム320の下端部は、アクセルペダル310に固定されている。アクセルペダル310は、ブレーキペダル210よりも踏込操作方向の奥側に位置している(
図3(a)参照)。アクセル装置300は、アクセルペダル310が踏込操作されたとき、アクセル支持軸331の回りをアクセルペダル310およびアクセルアーム320が一体に回転する。なお、踏込操作方向は、ブレーキペダル210およびアクセルペダル310が踏込操作されたときのブレーキペダル210およびアクセルペダル310の回転方向を示している。
【0025】
ペダル位置変更装置1は、アーム支持軸10、アクセル支持アーム20、移動装置30、制御装置40、および、切替スイッチ50を有している。制御装置40は、バッテリ(図示略)、移動装置30、および、切替スイッチ50と電気的に接続されている。
【0026】
移動装置30は、車幅方向においてアクセル装置300を移動させる力をアクセル支持アーム20に付与する。制御装置40は、移動装置30の動作を制御する。切替スイッチ50は、ブレーキペダル210が踏込操作されたときにペダル位置変更装置1を動作させる状態と、ブレーキペダル210が踏込操作されたときにペダル位置変更装置1を動作させない状態とを切り替えるための信号を制御装置40に出力する。切替スイッチ50は、ステアリングコラムに取り付けられている。
【0027】
アーム支持軸10は、支持フレーム100に固定されている。アーム支持軸10は、ブレーキ支持軸101よりも車幅方向外側かつアクセル支持軸331よりも上側に配置され、ブレーキ支持軸101およびアクセル支持軸331と平行している。
【0028】
アクセル支持アーム20の上端部は、支持フレーム100に対してアーム支持軸10に沿って移動することが可能、かつ、アーム支持軸10を中心として回転することが不能な状態でアーム支持軸10に取り付けられている。アクセル支持アーム20の下端部には、アクセル装置300のアクセルボックス330が固定されている。
【0029】
移動装置30は、アクセル支持アーム20をアーム支持軸10に沿って移動させる。移動装置30は、車幅方向においてアクセル基準位置ASPから最大離間位置AMP(二点鎖線のアクセル装置300)までの範囲においてアクセル装置300を移動させる。アクセル基準位置ASPは、アクセル装置300の車幅方向への移動が可能な範囲において、アクセル装置300が最も車幅方向内側となる位置を示す。最大離間位置AMPは、アクセル装置300の車幅方向への移動が可能な範囲において、アクセル装置300が最も車幅方向外側となる位置を示す。
【0030】
移動装置30は、一例として、送りねじ機構、および、送りねじ機構の駆動源となる電動モータ(ともに図示略)を有している。送りねじ機構は、アクセル支持アーム20に連結されている。そして、電動モータの回転が送りねじ機構のねじ軸(図示略)の往復動に変換されることにより、ねじ軸に連結されたアクセル支持アーム20がアーム支持軸10に沿って往復動する。移動装置30は、電動モータを正方向に回転させることによりアクセル支持アーム20を介してアクセル装置300を車幅方向外側に移動させ、電動モータを逆方向に回転させることによりアクセル支持アーム20を介してアクセル装置300を車幅方向内側に移動させる。
【0031】
制御装置40は、移動装置30への電力の供給を制御する。制御装置40は、バッテリと移動装置30の電動モータとの導通および遮断を切り替えるリレー(図示略)を有する。制御装置40は、切替スイッチ50がオン操作されたとき、リレーを導通状態にする。制御装置40は、切替スイッチ50がオフ操作されたとき、リレーを遮断状態にする。
【0032】
制御装置40は、ブレーキペダル210の踏込量と、アクセルペダル310の車幅方向の位置との関係を示すマップMP(
図2参照)を有している。制御装置40は、ストロークセンサ230の信号に基づいてブレーキペダル210の踏込量を算出する。制御装置40は、マップMPに基づいてブレーキペダル210の踏込量に対応するアクセルペダル310の車幅方向の位置を算出する。そして、制御装置40は、アクセルペダル310の車幅方向の位置に基づいてアクセル装置300の車幅方向の移動量を算出する。制御装置40は、アクセル装置300の車幅方向の移動量に基づいて移動装置30の電動モータの総回転数を算出する。そして、制御装置40は、算出された総回転数に達するまで電動モータを回転させる。
【0033】
図2に示されるように、マップMPは、ブレーキペダル210(
図1参照)の踏込量において第1領域R1および第2領域R2に区分される。なお、ブレーキ初期位置BFPは、踏込操作方向において、ブレーキペダル210の踏込量が「0」のときのブレーキペダル210の位置を示す。
【0034】
第1領域R1は、ブレーキペダル210の遊びの範囲を示す。ブレーキペダル210の遊びの範囲は、ブレーキペダル210の踏込量が「0」からブレーキ装置200(
図1参照)により制動装置が動作して車両に制動力が効き始めるブレーキペダル210の踏込量までの範囲を示す。第1領域R1においては、移動装置30によりアクセル装置300が車幅方向外側に向けて移動しない。
【0035】
第2領域R2は、ブレーキ装置200(
図1参照)により制動装置が動作して車両に制動力が効き始めるブレーキペダル210の踏込量からブレーキペダル210の最大踏込量までの範囲を示す。第2領域R2においては、ブレーキペダル210の踏込量が増加するにつれて、移動装置30によりアクセル装置300が車幅方向外側に向けて移動する移動量が増加する。
【0036】
図3を参照して、ペダル位置変更装置1の動作について説明する。
図3(a)の一点鎖線により示されるように、ブレーキペダル210の踏込量がブレーキペダル210の遊びの範囲内に含まれるとき、
図3(b)に示されるように、ペダル位置変更装置1の制御装置40は、移動装置30の電動モータを駆動させない。このため、
図3(b)の実線により示されるように、アクセル装置300がアクセル基準位置ASPに維持される。
【0037】
次に、
図3(a)の二点鎖線により示されるように、ブレーキペダル210の踏込量が増加して車両に制動力が付与されたとき、すなわち、ブレーキペダル210の踏込量が
図2のマップMPの第2領域R2内に含まれるとき、制御装置40は、マップMPに基づいて、移動装置30の電動モータを正方向に回転させる。このため、
図3(b)の二点鎖線により示されるように、アクセル装置300がアクセル基準位置ASPから車幅方向外側に移動する。このようにアクセル装置300が車幅方向外側に移動するため、アクセルペダル310は、車幅方向においてブレーキ初期位置BFP(ブレーキペダル210)から離間する。このため、車幅方向においてアクセルペダル310とブレーキペダル210との間の距離が大きくなる。
【0038】
ブレーキペダル210の踏込量が
図2の第2領域R2内において、運転者によるブレーキペダル210を踏み込む力がブレーキ装置200のリターンスプリング(図示略)の付勢力よりも小さくなるとき、リターンスプリングの付勢力によりブレーキペダル210がブレーキ初期位置BFPに向けて移動する。このとき、制御装置40は、ブレーキペダル210の踏込量が減少することに基づいて電動モータを逆方向に回転させる。このため、アクセル装置300が車幅方向内側に移動する。これにより、アクセルペダル310は、車幅方向においてブレーキペダル210に接近する。そして、ブレーキペダル210の踏込量がブレーキペダル210の遊びの範囲内となるとき、移動装置30によりアクセルペダル310がアクセル基準位置ASPに移動する。
【0039】
本実施形態のペダル位置変更装置1は、以下の作用および効果を奏する。
(1)ペダル位置変更装置1は、ブレーキペダル210が踏込操作されたとき、移動装置30によりアクセルペダル310が車幅方向においてブレーキペダル210から離間する。この構成によれば、車幅方向においてアクセルペダル310とブレーキペダル210との間の距離が大きくなるため、
図3(b)の破線により示されるように、運転者の足が斜めの状態でブレーキペダル210を踏み込んだとしてもアクセルペダル310を踏み込むおそれが低くなる。したがって、ブレーキペダル210およびアクセルペダル310が同時に踏み込まれるおそれが小さくなる。
【0040】
例えば、ブレーキペダル210が踏込操作されたときにアクセルペダル310が踏込操作方向の奥側に移動する構成では、ブレーキペダル210およびアクセルペダル310が同時に踏み込まれることを回避するため、ブレーキペダル210の踏込量と同等またはそれ以上にアクセルペダル310を踏み込み操作方向の奥側に移動させる必要がある。そして、仮に、アクセルペダル310を配置する車両のスペースに限りがあり、アクセルペダル310を踏込操作方向の奥側に十分に移動させることができない場合、ブレーキペダル210およびアクセルペダル310が同時に踏み込まれるおそれがある。ただし、この場合、ブレーキペダル210およびアクセルペダル310が同時に踏み込まれたとしてもブレーキペダル210の踏込量が多く、アクセルペダル310の踏込量が少ないため、ブレーキ装置200の性能を大きく低下するものではない。
【0041】
本実施形態のペダル位置
変更装置1は、アクセルペダル310が車幅方向においてブレーキペダル210から離間するため、上述のようにブレーキペダル210およびアクセルペダル310が同時に踏み込まれるおそれが小さくなる。また、ブレーキペダル210が踏込操作されてブレーキペダル210がアクセルペダル310よりも奥側に移動すれば、ブレーキペダル210およびアクセルペダル310が同時に踏み込まれなくなる。
【0042】
(2)ブレーキペダル210が踏込操作されたときに誤ってアクセルペダル310も踏込操作されたと仮定したとき、すなわちアクセルペダル310が誤踏込操作されたと仮定したときの制動装置(図示略)にかかる負荷は、誤踏込操作によるアクセルペダル310の踏込量が大きいほど、大きくなる。一方、誤踏込操作によるアクセルペダル310の踏込量は、ブレーキペダル210の踏込量が大きくなるにつれて大きくなる。このため、ブレーキペダル210の踏込量が大きくなるほど、アクセルペダル310が、アクセルペダル310の誤踏込操作が生じにくくなる位置を取ることが好ましい。
【0043】
本実施形態のペダル位置変更装置1は、
図2のマップMPに示されるように、ブレーキペダル210の踏込量が増加するにつれて、移動装置30によるアクセルペダル310の移動量を増加させる。このため、ブレーキペダル210の踏込量が大きいとき、すなわち、誤踏込操作によるアクセルペダル310の踏込量が大きくなるおそれが高いとき、アクセルペダル310が誤踏込操作されにくい位置に移動する。このため、アクセルペダル310が誤踏込操作されたとしても、誤踏込操作によるアクセルペダル310の踏込量が小さくなり、制動装置に大きな負荷がかかることが抑制される。
【0044】
また、移動装置30がブレーキペダル210の踏込量にかかわらず、ブレーキペダル210が踏込操作されたときにアクセルペダル310を最大離間位置AMPに移動させると仮定した構成と比較して、移動装置30によるアクセルペダル310の移動量が小さくなりやすい。このため、移動装置30の消費電力が少なくなる。
【0045】
(3)ブレーキペダル210の踏込量がブレーキペダル210の遊びの範囲に含まれるとき、車両に制動力が作用しない。このため、ブレーキペダル210の踏込量が遊びの範囲に含まれるとき、ブレーキペダルによる制動力およびアクセルペダルによる駆動力が併存しない。このため、移動装置30によりアクセルペダル310をブレーキペダル210から離間させる必要性が低い。特に、
図3(a)に示されるように、ブレーキペダル210は、ブレーキペダル210の遊びの範囲に含まれるとき、アクセルペダル310よりも踏込操作方向の手前側に位置するため、ブレーキペダル210を踏み込んでいる足がアクセルペダル310を踏み込むおそれが小さい。このため、移動装置30によりアクセルペダル310をブレーキペダル210から離間させる必要性が低い。
【0046】
制御装置40は、ブレーキペダル210の踏込量がブレーキペダル210の遊びの範囲内に含まれるとき、移動装置30の電動モータを駆動させない。この構成によれば、ブレーキペダル210の踏込量がブレーキペダル210の遊びの範囲内において移動装置30の電動モータを駆動すると仮定した構成と比較して、移動装置30の電動モータが駆動する頻度が少なくなる。このため、移動装置30の電力消費が少なくなる。
【0047】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態のペダル位置変更装置1およびその周辺の構成を示す。本実施形態のペダル位置変更装置1は、
図1に示される第1実施形態のペダル位置変更装置1と比較して、アクセル装置300の移動経路および移動装置の構成が相違している。以下では、第2実施形態のペダル位置変更装置1において第1実施形態のペダル位置変更装置1と相違する点について説明し、第1実施形態のペダル位置変更装置1と共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を省略する。
【0048】
本実施形態のアクセル支持アーム20は、支持フレーム100に対してアーム支持軸10に沿った移動が不能、かつ、アーム支持軸10を中心とした回転が可能な状態でアーム支持軸10に取り付けられている。
【0049】
本実施形態のペダル位置変更装置1は、第1実施形態の移動装置30に代えて、移動装置60を有している。移動装置60は、アーム支持軸10を中心にアクセル支持アーム20を回転させることによりアクセル装置300を回転させる。移動装置60は、踏込操作方向において、アーム支持軸10を中心にして、アクセル基準位置ASPから最大離間位置AMPまでの範囲においてアクセル装置300を回転させる。アクセル基準位置ASPは、アーム支持軸10を中心としたアクセル装置300の回転が可能な範囲内において、踏込操作方向の最も手前側の位置を示す。最大離間位置AMPは、アーム支持軸10を中心としたアクセル装置300の回転が可能な範囲内において、踏込操作方向の最も奥側の位置を示す。
【0050】
移動装置60は、電動モータおよび減速機(ともに図示略)を有している。電動モータは、減速機を介してアクセル支持アーム20に駆動連結されている。そして、電動モータの回転が減速機構により減速してアクセル支持アーム20に伝達されることにより、モータトルクがアクセル支持アーム20に付与される。電動モータが正方向に回転するとき、アクセル支持アーム20が踏込操作方向の奥側に向けて回転し、電動モータが逆方向に回転するとき、アクセル支持アーム20が踏込操作方向の手前側に向けて回転する。
【0051】
制御装置40は、
図2のマップMPに準じたマップMPを有している。マップMPは、
図2の縦軸において、アクセルペダル310の車幅方向の位置に代えて、アーム支持軸10を中心としたアクセルペダル310の踏込操作方向の位置を示す。制御装置40は、アクセルペダル310がブレーキペダル210よりも踏込操作方向の奥側に配置されるようにアクセルペダル310の踏込操作方向の移動量を制御する。
【0052】
ペダル位置変更装置1の動作について説明する。
運転者がブレーキペダル210を踏込操作して車両に制動力が付与されたとき、制御装置40は、移動装置60の電動モータを正方向に回転させる。このため、アクセル装置300がアーム支持軸10を中心として踏込操作方向の奥側に向けて回転して、アクセルペダル310がブレーキペダル210よりも踏込操作方向の奥側に位置する。このため、ブレーキペダル210を踏み込んでいる足がアクセルペダル310を踏み込むおそれが小さくなる。
【0053】
運転者によるブレーキペダル210を踏み込む力がブレーキ装置200のリターンスプリング(図示略)の付勢力よりも小さくなるとき、リターンスプリングの付勢力によりブレーキペダル210がブレーキ初期位置BFPに向けて移動する。制御装置40は、ブレーキペダル210の踏込量が減少することに基づいて、電動モータを逆方向に回転させる。このため、アクセル装置300がアーム支持軸10を中心として踏込操作方向の手前側に回転する。そして、ブレーキペダル210の踏込量がブレーキペダル210の遊びの範囲内となるとき、アクセルペダル310がアクセル基準位置ASPに位置する。なお、本実施形態のペダル位置変更装置1は、第1実施形態のペダル位置変更装置1の(1)〜(3)の効果に準じた効果を奏する。
【0054】
(その他の実施形態)
なお、本ペダル位置変更装置が取り得る具体的形態は、上記実施形態に示された内容に限定されない。本ペダル位置変更装置は、例えば、以下に示される実施形態の変形例の形態を取り得る。
【0055】
・変形例のペダル位置変更装置1は、移動装置30,60を有する。この場合、アクセル支持アーム20は、支持フレーム100に対してアーム支持軸10に沿った移動が可能、かつ、アーム支持軸10を中心とした回転が可能な状態でアーム支持軸10に取り付けられている。この構成によれば、ブレーキペダル210の踏込量が
図2のマップMPの第1領域R1から第2領域R2に移動するとき、アクセル装置300が車両方向外側かつ踏込操作方向の奥側に移動する。
【0056】
・変形例の移動装置30は、ブレーキ装置200を車幅方向に移動させる。この場合、制御装置40は、ブレーキペダル210の踏込量とアクセルペダル310の車幅方向の位置との関係を示すマップMPに代えて、アクセルペダル310の踏込量とブレーキペダル210の車幅方向の位置との関係を示すマップMPを有する。このマップMPにおいて、第1領域R1は、アクセルペダル310の踏込量がアクセルペダル310の踏込量が「0」となるアクセル初期位置AFPから車両に駆動力が付与され始めるアクセルペダル310の踏込量までの範囲を示す。第2領域R2は、車両に駆動力が付与され始めるアクセルペダル310の踏込量からアクセルペダル310の最大踏込量までの範囲を示す。
【0057】
そして、アクセルペダル310の踏込量が第1領域R1から第2領域R2内に増加するとき、移動装置30によりブレーキペダル210およびブレーキアーム220が車幅方向内側に移動する。なお、移動装置60についても同様に変更することができる。すなわち、アクセルペダル310の踏込量が第1領域R1から第2領域R2内に増加するとき、移動装置60によりブレーキペダル210およびブレーキアーム220が踏込操作方向の奥側に回転する。
【0058】
この変形例の移動装置30によれば、第1実施形態の(1)および(3)の効果に加え、以下の効果を奏する。
アクセルペダル310が踏込操作されたときに誤ってブレーキペダル210も踏込操作されたとき、すなわちブレーキペダル210が誤踏込操作されたときの車両駆動部(図示略)にかかる負荷は、誤踏込操作によるブレーキペダル210の踏込量が大きいほど、大きくなる。一方、誤踏込操作によるブレーキペダル210の踏込量は、アクセルペダル310の踏込量が大きくなるにつれて大きくなる。このため、アクセルペダル310の踏込量が大きくなるほど、ブレーキペダル210がブレーキペダル210の誤踏込操作が生じにくくなる位置を取ることが好ましい。
【0059】
この変形例の移動装置30は、このようなアクセルペダル310の踏込量およびブレーキペダル210の踏込量を踏まえて、ブレーキペダル210の移動量を制御する。すなわち、アクセルペダル310の踏込量が増加するにつれて、ブレーキペダル210の移動量を増加させる。このため、アクセルペダル310の踏込量が大きいとき、すなわち、誤踏込操作によるブレーキペダル210の踏込量が大きくなるおそれが高いとき、ブレーキペダル210が誤踏込操作されにくい位置に移動する。このため、ブレーキペダル210が誤踏込操作されたとしても、誤踏込操作によるブレーキペダル210の踏込量が小さくなり、車両駆動部に大きな負荷がかかることが抑制される。なお、移動装置60についても同様の効果を奏する。
【0060】
・変形例のマップMPは、各実施形態のマップMPから第1領域R1が省略される。変形例のマップMPは、ブレーキペダル210の踏込量が「0」からブレーキペダル210の踏込量が増加するにつれて、アクセル装置300の移動量が増加する。
【0061】
・変形例の制御装置40は、ステアリング装置の制御装置(図示略)と一体化される。
・変形例の制御装置40は、ブレーキペダル210の移動速度とアクセル装置300の移動速度との関係を示すマップを有する。ブレーキペダル210の移動速度が高くなるにつれてアクセル装置300の移動速度が高くなる。制御装置40は、ストロークセンサ230の信号に基づいてブレーキペダル210の移動速度を算出する。制御装置40は、移動装置30,60の電動モータに印加する電圧を制御することによりアクセル装置300の移動速度を制御する。この構成によれば、急ブレーキ時において、より速やかにアクセルペダル310がブレーキペダル210から離間するため、運転者がアクセルペダル310およびブレーキペダル210を同時に踏み込みにくくなる。
【0062】
本ペダル位置変更装置は、以下の課題を解決するための手段を含む。
前記移動装置は、前記ブレーキペダルの踏込速度が高くなるにつれて前記アクセルペダルの移動速度を高くする請求項1〜4のいずれか一項に記載のペダル位置変更装置。