特許第6201797号(P6201797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201797
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/36 20060101AFI20170914BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20170914BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01M2/36 101D
   H01M10/0566
   H01G11/80
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-24378(P2014-24378)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-153502(P2015-153502A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
(72)【発明者】
【氏名】栗田 幹也
【審査官】 松本 陶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−120389(JP,A)
【文献】 特開2013−114799(JP,A)
【文献】 特開2014−035870(JP,A)
【文献】 特開2012−028308(JP,A)
【文献】 特開2013−161711(JP,A)
【文献】 特開2013−089359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/36
H01M 2/08
F16B 19/10
H01M 2/04
H01G 11/80
H01M 10/0566
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に電極組立体及び電解液が収容され、
前記ケースの壁部に前記電解液の注液孔を有するとともに、前記注液孔の封止部材を備え、
前記封止部材は、
有底筒状の胴部と、
前記胴部の軸方向一端のフランジと、
前記フランジに一体に組み付けられた環状のシール部材と、を備え、
前記シール部材の内径は、前記胴部の外径よりも大きく、
前記フランジは、前記シール部材への対向面から該シール部材に向けて突出する突部を有するとともに、
前記シール部材は、前記突部が嵌挿される凹部を有し、
前記突部の前記シール部材に向けた突出長さは、前記凹部の深さより長いことを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記突部は前記胴部を取り囲む環状である請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記蓄電装置は二次電池である請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に電極組立体及び電解液が収容された蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池やキャパシタのような蓄電装置は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。一般に、容量の大きな二次電池(蓄電装置)はケースを備え、そのケース内に電極組立体及び電解液が収容されている。二次電池の組立は、ケースの本体部材内に電極組立体を収容した後、ケースの蓋部材を本体部材に溶接し、本体部材を閉塞する。その後、蓋部材の注液孔から電解液をケース内に注入した後、注液孔を封止する。
【0003】
注液孔の封止構造として、リベットを用いたものがある(例えば特許文献1参照)。図7に示すように、特許文献1の密閉電池では、封口板81の電解液注入孔81aは、リベット83で封止されている。リベット83は、軸部84、電解液注入孔81aの周縁部表面を覆う鍔部85、及び電解液注入孔81aの周縁部裏面を覆うカシメ部86を備える。また、リベット83の鍔部85と、封口板81との間には、電解液注入孔81aの周縁部表面、及び鍔部85の裏面に密接したガスケット88が介装されている。
【0004】
封口板81において、電解液注入孔81aの周縁部表面には、環状の第1凸部89aと、第1凸部89aの外側に位置する環状の第2凸部89bと、が設けられている。また、リベット83において、鍔部85の裏面には、ガスケット88に向けて突出する環状の第3凸部85aが設けられている。第3凸部85aは、封口板81の平面視で第1凸部89aとは重畳しないが第2凸部89bと重畳する位置に形成されている。
【0005】
そして、第1凸部89a及び第2凸部89bと、鍔部85との間にガスケット88が挟持されるとともに、第3凸部85aがガスケット88に密接し、封口板81における電解液注入孔81aの周縁部表面、及び鍔部85の裏面がシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−277936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電解液注入孔81aの封止作業の簡易化を図るため、特許文献1では、リベット83における軸部84の外周面にガスケット88を締り嵌めで嵌合し、一体に組み付けている。このようにすると、軸部84を電解液注入孔81aに挿入するだけで、ガスケット88も、封口板81における電解液注入孔81aの周縁部表面に配置できるためである。
【0008】
しかし、ガスケット88をリベット83の軸部84に締り嵌めすると、ガスケット88の内周面は軸部84の外周面に密接し、ガスケット88の内周部が径方向に圧縮されて厚みを増したように変形した状態となっている。このため、電解液注入孔81aの封止のため、所定の軸力でカシメ部86を形成したとき、ガスケット88の面圧が内周部で過度に高くなるため、ガスケット88におけるその他の箇所で作用する面圧が低下する。そして、ガスケット88の面圧が内周部で過度に高くなるため、ガスケット88を他より強く圧縮してシール性能を高めている部位、すなわち、第1凸部89a及び第2凸部89bの先端面と対向する鍔部85の裏面との間におけるガスケット88に生じる面圧が低下する。このため、ガスケット88による電解液注入孔81aのシール性が低下してしまう虞がある。
【0009】
本発明は、シール部材によって注液孔をシールすることができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するための蓄電装置は、ケース内に電極組立体及び電解液が収容され、前記ケースの壁部に前記電解液の注液孔を有するとともに、前記注液孔の封止部材を備え、前記封止部材は、有底筒状の胴部と、前記胴部の軸方向一端のフランジと、前記フランジに一体に組み付けられた環状のシール部材と、を備え、前記フランジは、前記シール部材への対向面から該シール部材に向けて突出する突部を有するとともに、前記シール部材は、前記突部が嵌挿される凹部を有し、前記突部の前記シール部材に向けた突出長さは、前記凹部の深さより長いことを要旨とする。
【0011】
これによれば、フランジの突部をシール部材の凹部に嵌挿することで、封止部材にシール部材を一体に組み付けることができる。このような封止部材において、封止部材を壁部に締結し、シール部材に軸力が作用したとき、シール部材は、軸方向へ圧縮される。よって、シール部材における壁部への対向面が壁部の外壁面に密接するとともに、フランジへの対向面がフランジに密接して、各密接により注液孔がシール部材によって封止される。
【0012】
この際、シール部材は、突部と凹部との嵌挿によって一体に組み付けられ、内周部は胴部に密接していないため、締り嵌めのようにシール部材の面圧が内周部で過度に高くなることが抑制される。そして、軸力を受けた突部により、シール部材における凹部と対応した部位が軸方向へ圧縮され、局所的に面圧が高まる。よって、軸方向への面圧がシール部材の内周部だけで過度に高くなってしまうことが抑制されるとともに、シール部材の面圧を確保して注液孔のシール性が確保できる。
【0013】
また、蓄電装置について、前記突部は前記胴部を取り囲む環状であってもよい。
これによれば、シール部材において、注液孔の全周を取り囲む位置で面圧を高めることができる。
【0014】
また、前記蓄電装置は二次電池である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シール部材によって注液孔をシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の二次電池を示す分解斜視図。
図2】実施形態の二次電池を示す斜視図。
図3】(a)は封止部材を示す断面図、(b)は環状突部と環状凹部を拡大して示す部分断面図。
図4】封止部材を示す断面図。
図5】(a)は注液孔を封止した状態を示す部分断面図、(b)は環状突部が環状凹部に嵌挿された状態を示す拡大断面図。
図6】別例の封止部材及びシール部材を示す分解斜視図。
図7】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、二次電池10は、ケース11に電極組立体12及び電解液が収容されている。ケース11は、有底四角筒状の本体部材13と、本体部材13に電極組立体12を挿入するための開口部13aを塞ぐ矩形平板状の蓋14とからなる。本実施形態では、蓋14がケース11を構成する壁部に相当する。本体部材13と蓋14は、いずれも金属製(例えばステンレス製やアルミニウム製)である。二次電池10は角型電池であり、リチウムイオン電池である。
【0018】
電極組立体12には、正極端子15と負極端子16が電気的に接続されている。正極端子15及び負極端子16には、ケース11から絶縁するためのリング状の絶縁部材17がそれぞれ取り付けられている。また、正極端子15と負極端子16は、蓋14からケース11外に露出している。
【0019】
電極組立体12は、正極電極、負極電極、及び正極電極と負極電極とを絶縁するセパレータを有する。正極電極は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質層を備える。負極電極は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質層を備える。そして、電極組立体12は、複数の正極電極と複数の負極電極が交互に積層されるとともに、両電極の間にセパレータが介在された積層構造である。
【0020】
蓋14は、ケース11の内側に臨む面に内壁面14aを有し、ケース11の外側に臨む面に外壁面14bを有する。蓋14は、その厚み方向に貫通する注液孔14cを備える。注液孔14cは、封止部材20によって封止され、ケース11内からのガス及び電解液の漏れが防止されている。
【0021】
まず、注液孔14cに挿入される前の封止部材20について説明する。
図1及び図3(a)に示すように、封止部材20は、軸方向一端に開口するとともに、軸方向他端に底壁21aを有する中空円筒状の胴部21と、この胴部21の軸方向一端の開口縁に設けられた環状のフランジ22と、を有する。さらに、封止部材20は、フランジ22に一体化される円環状のシール部材40と、胴部21の内部に収容されるマンドレル30と、を有する。
【0022】
胴部21(底壁21a)とフランジ22は一体でアルミニウム製であり、プレス成形により一体に形成される。胴部21は、軸方向に沿ったフランジ22寄りに第1筒部25を有するとともに、第1筒部25よりも底壁21a寄りに第2筒部26を有する。第1筒部25は、胴部21の軸方向に沿う長さが蓋14の厚みより長く、第2筒部26より小径である。第1筒部25は、注液孔14cの内側に配置される。第2筒部26は、蓋14の内壁面14aよりもケース11の内側に配置される。
【0023】
胴部21の内部には、第2筒部26側にマンドレル30の大径部31より大径の収容部21dが形成されており、収容部21dに連接してフランジ22に向けてテーパし、かつ大径部31より小径の(縮径された)連通部21eが形成されている。胴部21は、第1筒部25における連通部21eよりも軸方向一端側に、内径が連通部21eよりも拡径した挿通部21fを備える。
【0024】
フランジ22は、シール部材40に対向するシール部材側端面22aを有する。フランジ22は、シール部材側端面22aよりもシール部材40に向けて突出し、かつ胴部21の第1筒部25を取り囲む突部としての環状突部22bを備える。
【0025】
シール部材40は、フランジ22への対向面としてのフランジ側端面40aを有し、蓋14の外壁面14bへの対向面としての蓋側端面40bを有する。シール部材40は、フランジ側端面40aから円環状に凹む環状凹部40cを有する。環状凹部40cは、シール部材40の内周縁を取り囲む円環状である。
【0026】
図3(b)に示すように、シール部材40における環状凹部40cの外径R1は、フランジ22における環状突部22bの外径N1より僅かに小さく、環状凹部40cの内径R2は、環状突部22bの内径N2より僅かに大きい。このため、環状突部22bの径方向に沿う厚みW1は、環状凹部40cの径方向に沿う開口幅W2より若干長い。シール部材40は樹脂製であるがゴム製でもよい。図3(a)に示すように、シール部材40の内径Hは、胴部21における第1筒部25での外径Kより僅かに大きい。
【0027】
また、図3(b)に示すように、環状突部22bにおいて、シール部材側端面22aからシール部材40に向けた突出方向に沿った長さを突出長さLとする。一方、環状凹部40cにおいて、フランジ側端面40aから蓋側端面40bに向けた長さを深さFとする。環状突部22bの突出長さLは、環状凹部40cの深さFより長い。
【0028】
よって、図4に示すように、環状突部22bは、環状凹部40cに嵌挿可能なサイズであり、環状突部22bが環状凹部40cに挟まれた状態で組み付けされると、シール部材40はフランジ22から落下しない状態に組み付けられる。また、環状突部22bの突出長さLと、環状凹部40cの深さFとの関係から、フランジ22とシール部材40が一体化された封止部材20では、シール部材側端面22aと、フランジ側端面40aの間には僅かな隙間Tが画定される。
【0029】
図1及び図4に示すように、マンドレル30は、棒状の操作部32と、この操作部32より大径の大径部31と、操作部32と大径部31の境界に設けられ、操作部32より小径の脆弱部33とを備える。マンドレル30はステンレス製である。そして、マンドレル30は、大径部31が収容部21dに収容されるとともに、脆弱部33が連通部21eに収容されている。また、操作部32は挿通部21fに収容されており、その先端は胴部21から突出している。なお、マンドレル30の硬度は、胴部21の硬度よりも大きい。
【0030】
次に、二次電池10の作用を注液孔14cの封止方法とともに記載する。
図5(a)に示すように、封止部材20は、軸方向他端側の第2筒部26から注液孔14cに挿入され、底壁21aがケース11内に位置するとともに、フランジ22がケース11外に位置する状態で蓋14に締結されている。具体的には、マンドレル30の大径部31は、胴部21内に圧入されて胴部21の第2筒部26を拡径させ、かしめ部24を形成している。なお、マンドレル30は、脆弱部33から操作部32と大径部31が分断され、操作部32は胴部21内から除去されている。そして、かしめ部24の外周面は、蓋14の内壁面14aにおける注液孔14cの周囲に密接し、注液孔14cを封止している。
【0031】
また、かしめ部24とフランジ22によって、封止部材20が蓋14に締結されるとともに、フランジ22のシール部材側端面22aと、蓋14の外壁面14bとの間にはシール部材40が挟持されている。シール部材40には、締結に伴う軸力がシール部材側端面22a及び環状突部22bを介して作用し、シール部材40の軸方向へ圧縮されている。
【0032】
そして、図5(b)に示すように、フランジ22の環状突部22bはシール部材40の環状凹部40cの内底面を圧縮し、シール部材40において、環状突部22bと対向する部位を蓋14の外壁面14bに押し付けている。このため、シール部材40において、環状突部22bの先端と、この先端に対向した蓋14の外壁面14bとの間におけるシール部材40には所定の面圧が生じている。
【0033】
また、フランジ22のシール部材側端面22aのうち、環状突部22bを除く面は、シール部材40のフランジ側端面40aのうち、環状凹部40cを除く面に密接し、隙間Tが無くなっている。同様に、シール部材40の蓋側端面40bのうち、環状凹部40cと対向した部位を除く面は、蓋14の外壁面14bに密接している。よって、シール部材40により、ケース11の外側で注液孔14cが封止されている。
【0034】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)フランジ22の環状突部22bを、シール部材40の環状凹部40cに嵌挿し、フランジ22にシール部材40を一体化した。このため、封止部材20においては、胴部21とシール部材40を一体に扱うことができ、運搬が容易になる。そして、注液孔14cの封止に関しても、胴部21を注液孔14cに挿入すれば、注液孔14cの周囲にシール部材40を配置できるため、注液孔14cの封止作業も楽になる。
【0035】
(2)また、シール部材40は、環状突部22bを環状凹部40cに嵌挿して一体化されており、シール部材40の内周面は胴部21の外周面に圧接していない(締り嵌めではない)。このため、封止部材20を蓋14に締結するためにシール部材40が軸力を受けて軸方向へ圧縮されてもシール部材40の面圧が内周部で過度に高くなることが抑制される。そして、環状突部22bの突出長さLを、環状凹部40cの深さFより長くした。このため、封止部材20を蓋14に締結するためにシール部材40に軸力が作用したとき、環状突部22bにより、シール部材40を局所的に圧縮することができる。よって、シール部材40において、環状突部22bが嵌挿された部位に所望する面圧を確実に生じさせ、注液孔14cの周囲を的確にシールすることができる。
【0036】
(3)環状突部22bを、胴部21を取り囲むように設け、環状突部22bを注液孔14cの全周を取り囲むように設けた。また、環状凹部40cも胴部21の全周、すなわち注液孔14cの全周を取り囲むように設けた。このため、環状突部22bによりシール部材40を局所的に圧縮したとき、注液孔14cを取り囲む位置でシール部材40に面圧を生じさせることができ、注液孔14cを全周に亘ってシールすることができる。
【0037】
(4)環状突部22bの突出長さLを、環状凹部40cの深さFより長くし、環状突部22bにより、シール部材40を局所的に圧縮する。このとき、フランジ22のシール部材側端面22aにおける環状突部22bを除いた面が、シール部材40のフランジ側端面40aにおける環状凹部40cを除いた面に密接するとともに、蓋側端面40bが蓋14の外壁面14bに密接する。このため、環状突部22bによって、シール部材40の面圧を局所的に高めながら、その他の部位でも各面を密接させ、注液孔14cを封止することができる。
【0038】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図6に示すように、シール部材50は、円環状の基部51の内周面に複数の突片52を有する構成であってもよい。基部51はフランジ22への対向面としてのフランジ側端面51aを有するとともに、蓋14の外壁面14bへの対向面としての蓋側端面51bを有する。
【0039】
シール部材50は、基部51の内周面から基部51の中心軸に向けて突出する突片52を複数備える。複数の突片52は、基部51の周方向に沿って等間隔おきに配置されている。突片52の厚みと基部51の厚みは同じである。基部51の内周面からシール部材50の中心軸に向かって突片52が延びる方向を突片52の突出方向とすると、全ての突片52の突出方向の先端を結んだ仮想円Cの直径は、胴部21における第1筒部25の外径より僅かに大きい。このため、各突片52の先端と、第1筒部25の外周面との間には隙間ができる。また、シール部材50は、フランジ側端面51aから円環状に凹む環状凹部51cを基部51に有する。
【0040】
そして、突片52の内側に胴部21が挿入され、全ての突片52の突出方向の先端が胴部21から僅かに離間した状態で、フランジ22の環状突部22bが環状凹部51cに嵌挿され、シール部材50がフランジ22に一体化されている。
【0041】
○ 実施形態では、突部として、フランジ22の全周に亘って延びる環状突部22bとしたが、突部は、フランジ22の周方向に間隔を空けて複数箇所に設けられていてもよい。
【0042】
この場合、凹部は実施形態のような環状凹部40cでもよいし、突部と対向する部分に設けた複数の凹部であってもよい。
○ 実施形態では、蓋14を壁部としたが、本体部材13の側壁や底壁を壁部とし、それらに注液孔14cを設け、封止部材20で封止してもよい。
【0043】
○ 正極電極は、正極金属箔の両面に正極活物質層を有するとしたが、正極金属箔の片面のみに正極活物質層を有していてもよい。同様に、負極電極は、負極金属箔の両面に負極活物質層を有するとしたが、負極金属箔の片面のみに負極活物質層を有していてもよい。
【0044】
○ 蓄電装置は、二次電池10でなく、電気二重層キャパシタ等の他の蓄電装置に適用してもよい。
○ 実施形態では、電極組立体12として積層タイプを記載したが、捲回タイプでもよい。
【0045】
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であってもよい。要するに、正極活物質と負極活物質との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0046】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記凹部は、前記シール部材の周方向の全体に亘って延びる環状である蓄電装置。
【0047】
(ロ)前記フランジは、前記シール部材に対向するシール部材側端面を有するとともに、前記シール部材は前記シール部材側端面に対向するフランジ側端面を有し、前記シール部材側端面と前記フランジ側端面は互いに密接する蓄電装置。
【符号の説明】
【0048】
F…深さ、L…突出長さ、10…蓄電装置としての二次電池、11…ケース、12…電極組立体、14…壁部としての蓋、14c…注液孔、20…封止部材、21…胴部、22…フランジ、22b…突部としての環状突部、40,50…シール部材、40c,51c…凹部としての環状凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7