特許第6201845号(P6201845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201845
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20170914BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B60K15/04 C
   F02M37/00 301Q
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-59909(P2014-59909)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-27865(P2015-27865A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2016年4月20日
(31)【優先権主張番号】特願2013-134392(P2013-134392)
(32)【優先日】2013年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平松 義也
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−064821(JP,U)
【文献】 特開昭62−125917(JP,A)
【文献】 実開昭60−087721(JP,U)
【文献】 米国特許第05921297(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0079322(US,A1)
【文献】 特表2004−513023(JP,A)
【文献】 特開2003−104497(JP,A)
【文献】 特表2013−509328(JP,A)
【文献】 実開昭53−039814(JP,U)
【文献】 実公昭56−039008(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクへ燃料を供給するための燃料供給装置において、
上記燃料タンクに接続される燃料通路(11P)を有する通路形成部材(20)と、
上記燃料通路(11P)の一部を構成する開口(32e,41a)を有する開口形成部材(30,40)と、
上記開口形成部材(30,40)に開閉可能に装着され、上記開口(32e,41a)を開閉する開閉部材(51,61)を備えた注入口開閉機構(60)と、
を備え、
上記通路形成部材(20)の外周部に設けられた外周ネジ部(46d)と、上記開口形成部材(30,40)に設けられ上記外周ネジ部(46d)に螺合する内周ネジ部(47c)とを有する螺着機構(45)と、
上記開口形成部材(30,40)と上記通路形成部材(20)との間に介在して、該開口形成部材(30)と上記通路形成部材(20)との間をシールするガスケット(54,49)と、
上記通路形成部材(20)に装着され、上記外周ネジ部(46d)を有するネジ形成部材(46)と、
を備え、
上記外周ネジ部(46d)と上記内周ネジ部(47c)との螺合により、上記開口形成部材(30,40)が上記通路形成部材(20)に装着され
前記開口形成部材(30,40)は、第1開口形成部材(30)と、第2開口形成部材(40)とからなり、
前記内周ネジ部(47c)は、前記第1開口形成部材(30)と前記第2開口形成部材(40)とのうちの少なくとも一方に形成され、
前記第1開口形成部材(30)は、前記ネジ形成部材(46)の少なくとも一部を覆い、
前記ネジ形成部材(46)は、前記通路形成部材(20)の内側に位置する内壁(46a)と、前記通路形成部材(20)の外側に位置して前記内壁(46a)とともに前記通路形成部材(20)を厚み方向に挟んで配置された外壁(46b)と、前記内壁(46a)の端部と、前記外壁(46b)の端部とを連結する連結部(46c)とを有し、
前記外壁(46b)は、前記外周ネジ部(46d)を有する、
こと、を特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料供給装置において、
前記内壁(46a)は、第1ネジ部(146d)を有し、
前記第2開口形成部材(140)は、第1ネジ部(146d)と螺合する第2ネジ部(147c)を有する、燃料供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料供給装置において、
前記外壁(46b)は、前記外周ネジ部(46d)とは異なるネジ部(346d)を有し、
前記第2開口形成部材(140)は、前記ネジ部(346d)と螺合するネジ部(347c)を有する、燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに燃料を導くための燃料通路を有する燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料給油装置として、特許文献1の技術が知られている。燃料供給装置は、樹脂製のパイプ本体と、パイプ本体内に装着された注入口形成部材と、注入口形成部材に設けた注入口を開閉する第1フラップバルブと、これらを覆うカバー部材と、カバー部材の開口を開閉する第2フラップバルブとを備えている。燃料供給装置を組み付けるには、注入口形成部材をパイプ本体に装着し、カバー部材を組み付けている。カバー部材とパイプ本体とは、それらに設けた係合爪を係合することにより組み付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−71504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした給油装置において、カバー部材などの損傷や、第1フラップバルブなどの修理が必要となったときに、カバー部材をパイプ本体から外す必要がある。しかし、カバー部材は、パイプ本体に、係合爪などの機構で固定されている。このため、カバー部材を堅固に装着すると、取り外しが面倒であり、一方、取り外しを簡単にすると、車両の衝突などで外れ易いだけでなく、高いシール性を得にくいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
本発明の一形態によれば、燃料タンクへ燃料を供給するための燃料供給装置が提供される。この燃料供給装置は、上記燃料タンクに接続される燃料通路を有する通路形成部材と;上記燃料通路の一部を構成する開口を有する開口形成部材と;上記開口形成部材に開閉可能に装着され、上記開口を開閉する開閉部材を備えた注入口開閉機構と;を備え;上記通路形成部材の外周部に設けられた外周ネジ部と、上記開口形成部材に設けられ上記外周ネジ部に螺合する内周ネジ部とを有する螺着機構と;上記開口形成部材と上記通路形成部材との間に介在して、該開口形成部材と上記通路形成部材との間をシールするガスケットと;上記通路形成部材に装着され、上記外周ネジ部を有するネジ形成部材と;を備え;上記外周ネジ部と上記内周ネジ部との螺合により、上記開口形成部材が上記通路形成部材に装着され;前記開口形成部材は、第1開口形成部材と、第2開口形成部材(40)とからなり;前記内周ネジ部は、前記第1開口形成部材と前記第2開口形成部材とのうちの少なくとも一方に形成され;前記第1開口形成部材は、前記ネジ形成部材の少なくとも一部を覆い;前記ネジ形成部材は、前記通路形成部材の内側に位置する内壁と、前記通路形成部材の外側に位置して前記内壁とともに前記通路形成部材を厚み方向に挟んで配置された外壁と、前記内壁の端部と、前記外壁の端部とを連結する連結部とを有し;前記外壁は、前記外周ネジ部を有する;こと、を特徴とする。
【0006】
(1)本発明の一形態は、燃料タンクへ燃料を供給するための燃料供給装置である。燃料供給装置は、上記燃料通路の一部を構成する開口を有する開口形成部材と、上記開口形成部材に開閉可能に装着され、上記開口を開閉する開閉部材を備えた注入口開閉機構と、を備え、上記通路形成部材の外周部に設けられた外周ネジ部と、上記開口形成部材に設けられ上記外周ネジ部に螺合する内周ネジ部とを有する螺着機構と、上記開口形成部材と上記通路形成部材との間に介在して、該開口形成部材と上記通路形成部材との間をシールするガスケットと、を備え、上記外周ネジ部と上記内周ネジ部との螺合により、上記開口形成部材が上記通路形成部材に装着されていること、を特徴とする燃料供給装置である。
注入口開閉機構を組み付けた開口形成部材は、螺着機構を介して通路形成部材に螺着されているので、注入口開閉機構などに故障や損傷が生じたときに、注入口開閉機構を開口形成部材とともに通路形成部材から容易に取り外すことができる。
【0007】
(2) 他の形態において、上記通路形成部材に装着されたネジ形成部材を備え、上記ネジ形成部材は、上記外周ネジ部を有する燃料供給装置である。
【0008】
(3) 他の形態において、上記開口形成部材に装着されたネジ形成部材を備え、上記ネジ形成部材は、上記内周ネジ部を有する燃料供給装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施例にかかるフィラーネックを用いた燃料供給装置を示す断面図である。
図2】燃料供給装置の一部を分解して示す断面図である。
図3】燃料供給装置の一部を分解するとともにその上部を拡大した断面図である。
図4図1にかかる燃料供給装置の要部を拡大して示す断面図である。
図5図4のカバー部材および第2開口形成部材を通路形成部材から外した状態を示す断面図である。
図6】第2実施例にかかる燃料供給装置の要部を示す断面図である。
図7】第3実施例にかかる燃料供給装置の要部を示す断面図である。
図8】第4実施例にかかる燃料供給装置の要部を示す断面図である。
図9】第5実施例にかかる燃料供給装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.第1実施例
(1) 燃料供給装置の概略構成
図1は本発明の第1実施例にかかるフィラーネックを用いた燃料供給装置10を示す断面図である。図1において、燃料供給装置10は、燃料タンク(図示省略)に接続される燃料通路11Pを有するタンク開口形成部材11と、挿入側開閉機構50と、注入口開閉機構60とを備えている。燃料供給装置10は、給油ノズル(図示省略)により、挿入側開閉機構50および注入口開閉機構60を押して開いて、給油ノズルから燃料を燃料通路11Pに注入すると、燃料は、燃料通路11Pを通じて燃料タンクに供給される。以下、各部の構成について説明する。
【0011】
(2)−1 タンク開口形成部材11の構成
タンク開口形成部材11は、燃料通路11Pを形成する管体であり、通路形成部材20と、第1開口形成部材30と、第2開口形成部材40とを備えている。
【0012】
図2は燃料供給装置10の一部を分解して示す断面図である。通路形成部材20は、2種類の樹脂材料を積層することで形成されており、筒状のネック本体21と、ネック接続部22と、ブリーザ管23とを備えている。ネック接続部22は、ネック本体21の下部を縮径して一体に形成され燃料通路11Pの一部を構成する筒体であり、その外周部に環状突部22aを備えている。ネック接続部22に、チューブTB(図1)を挿入することにより、チューブTBが環状突部22aで抜止された状態にて、ネック接続部22に接続される。ブリーザ管23は、ネック本体21の側壁から分岐した管体であり、その内側がブリーザ通路23Pとなっている。ブリーザ通路23Pは、燃料タンクに接続されており、給油時の燃料タンク内の燃料蒸気をネック本体21へ戻して、給油をスムーズに行なわせる。
【0013】
通路形成部材20は、2種類の樹脂材料を積層することにより構成されており、燃料通路11P側の樹脂内層27と、樹脂内層27の外面に積層された樹脂外層28とを備えている。樹脂内層27は、耐燃料透過性に優れた樹脂材料、例えば、ナイロンなどのポリアミド(PA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)などから形成されており、主に燃料の透過を抑えるバリア層として作用する。樹脂外層28は、機械的強度に優れた樹脂材料、例えば、ポリエチレン(PE)などから形成されており、主に通路形成部材20の機械的強度、耐衝撃性を確保する層として作用する。樹脂外層28として、ポリエチレンを用いた場合には、極性官能基としてマレイン酸変性した樹脂材料(変性ポリエチレン)を用いることができる。変性ポリエチレンは、PAと化学接着により接合することから、樹脂内層27と接着する。
【0014】
第1開口形成部材30は、カバー部材32を備えている。カバー部材32は、通路形成部材20の上部に装着され、円筒状の側壁部32aと、上壁32bとを備えている。側壁部32aは、その上部が傾斜し、その傾斜した上部に上壁32bが一体に形成されている。上壁32bは、給油ノズルを挿入するための開口部32dを備えている。開口部32dは、第1開口32eと、軸支持部32fとを備えている。第1開口32eは、給油ノズルを挿入するためのほぼ円形であり、燃料通路11Pの一部を構成している。軸支持部32fは、側壁部32aの内壁に形成され、挿入側開閉機構50の端部を装着支持するための部位である。
【0015】
カバー部材32内には、通路形成部材34が形成されている。通路形成部材34は、給油ノズルを挿入・ガイドするために燃料通路11Pの一部である挿入通路11Paを区画するための部材であり、傾斜壁34aを備えている。傾斜壁34aは、燃料タンク側へ向けて通路面積を狭くした円錐形状である。
【0016】
第2開口形成部材40は、注入口開閉機構60を支持する部材であり、開口部41と、開口部41の外周下面から突設されネック本体21内に収納された円筒状の支持部材42とを備えている。開口部41は、第2開口41aを備えている。第2開口41aは、給油ノズルを挿入するためのほぼ円形の通路であり、燃料通路11Pの一部を構成している。
【0017】
(2)−2 挿入側開閉機構50
図3は燃料供給装置10の一部を分解するとともにその上部を拡大した断面図である。挿入側開閉機構50は、第1開閉部材51と、軸受部52と、第1開閉部材51を閉じ方向に付勢するスプリング53とを備えている。第1開閉部材51は、給油ノズルの先端で押されて軸受部52を中心に回動することで第1開口32eを開く。第1開口32eの開口周縁部には、ガスケット54が配置されている。第1開閉部材51は、ガスケット54を押圧することでシールした状態で第1開口32eを閉じている。
【0018】
(2)−3 注入口開閉機構60
注入口開閉機構60は、第2開閉部材61と、第2開閉部材61と第2開口形成部材40との間に介在して第2開閉部材61を第2開口形成部材40に対して回動自在に支持する軸受部62と、第2開閉部材61を閉じ方向に付勢するスプリング63と、ガスケット64と、調圧弁65とを備えている。第2開閉部材61は、押圧部材61aと、弁室形成部材61bとを備え、調圧弁65を収納する弁室を形成している。ガスケット64は、ゴム材料から環状に形成され、第2開閉部材61の外周部に装着されており、第2開口形成部材40の第2開口41aの周縁部との間で挟持されることでシールした状態で第2開口41aを閉じている。調圧弁65は、弁室内に収納されており、スプリングにより付勢された正圧弁を備え、燃料タンクの圧力が所定圧を越えたときに開いて燃料タンク側の圧力を逃がす弁である。
【0019】
(2)−4 各部材の組付構造
図4図1にかかる燃料供給装置10の要部を拡大して示す断面図、図5図4の第1開口形成部材30および第2開口形成部材40を通路形成部材20から外した状態を示す断面図である。図5において、通路形成部材20、第1開口形成部材30および第2開口形成部材40の一部に、これらの部材を螺合するための連結機構44が形成されている。連結機構44は、第1螺着機構45と、第2螺着機構48とを備えている。第1螺着機構45は、通路形成部材20の上部に第2開口形成部材40を装着するための機構である。第2螺着機構48は、通路形成部材20の上部に第1開口形成部材30を装着するための機構である。
【0020】
第1螺着機構45は、通路形成部材20の上部に装着されたネジ形成部材46と、第2開口形成部材40に形成されたネジ基部47とを備えている。ネジ形成部材46は、第2開口形成部材40および第1開口形成部材30を装着するための2重の円筒形状の部材である。ネジ形成部材46は、円筒形状の内壁46aと、内壁46aとともに通路形成部材20を挟んで配置された円筒形状の外壁46bと、内壁46aの上端部と外壁46bの上端部とを連結する連結部46cとを備え、これらに囲まれたスペースを通路形成部材20の上部に嵌合される支持凹所46Sとしている。外壁46bの外周部には、外周ネジ部46dが周方向に突条に形成されている。
【0021】
ネジ基部47は、第2開口形成部材40の支持部材42の上部から外周側へ拡径されることで構成されている。ネジ基部47は、フランジ部47aと、フランジ部47aの外周部から支持部材42とともにネジ形成部材46を囲む外壁47bとを備えており、これらに囲まれたスペースが支持凹所47Sになっている。支持凹所47Sに通路形成部材20の上部に装着されたネジ形成部材46が挿入される。
外壁47bの内周部には、内周ネジ部47cが形成されている。内周ネジ部47cは、ネジ形成部材46の外周ネジ部46dに螺合するように形成されている。外周ネジ部46dおよび内周ネジ部47cは、全周にわたって形成されている構成のほか、互いに螺合することができる構成であれば、周方向の一部に形成されていてもよい。
【0022】
支持凹所47Sには、Oリングを用いたガスケット49が収納されている。ガスケット49は、ネジ形成部材46の外周面を押圧して外部と燃料通路11Pとの間をシールしている。
【0023】
第2螺着機構48は、第1開口形成部材30の側壁部32aの下部に形成されたネジ部48aと、ネジ形成部材46の外周部に形成されたネジ部48bとを備えている。第2螺着機構48により、カバー部材32がネジ形成部材46を介して通路形成部材20に装着されている。
【0024】
図4に示すように、第1開口形成部材30の外周部には、フランジ形状の取付部32jが形成されている。取付部32jは、車体側基板BPにボルトなどの締結部材を介して固定されている。
【0025】
(3) 燃料供給装置10の製造方法
燃料供給装置10を製造するには、第1開口形成部材30、第2開口形成部材40、ネジ形成部材46などを射出成形により製造する。また通路形成部材20は、2種類の樹脂材料により、2色の射出成形、ブロー成形、チューブ押出成形などにより製造する。通路形成部材20を射出成形により製造するには、最初の樹脂材料として樹脂外層28を形成するための変性ポリエチレンを射出し、その後、樹脂内層27を形成するためのポリアミドを射出する。変性ポリエチレンは、ポリエチレン(PE)に極性官能基、例えばマレイン酸変性された官能基を付加した樹脂材料であり、ポリアミド(PA)と射出成形時の熱により反応接着する。よって、樹脂内層27と樹脂外層28とは、2色成形により反応接着により溶着一体化している。また、ブロー成形により製造する場合には、2種類の樹脂を積層したパリソンを用いて製造する。また、チューブ押出により製造する場合には、2種類の樹脂材料を同軸上で積層して押し出すことにより製造する。一方、第1開口形成部材30はポリエチレンを用いて、第2開口形成部材40およびネジ形成部材46はポリアミドを用いて、それぞれ射出成形する。
【0026】
次に、第2開口形成部材40に注入口開閉機構60を組み付け、また、第1開口形成部材30に挿入側開閉機構50を組み付ける。
続いて、ネジ形成部材46を通路形成部材20の上部に位置合わせして、支持凹所46Sを通路形成部材20に嵌合することで、ネジ形成部材46を通路形成部材20上に装着する。注入口開閉機構60を予め組み付けた第2開口形成部材40を第1螺着機構45を介して通路形成部材20上に装着する。すなわち、第2開口形成部材40のネジ基部47をネジ形成部材46の上部に位置合わせし、第2開口形成部材40を回転して、内周ネジ部47cに外周ネジ部46dをネジ込む。これにより、第2開口形成部材40が通路形成部材20上に組み付けられる。
【0027】
次に、第1開口形成部材30を第2螺着機構48を介して通路形成部材20に組み付ける。すなわち、第1開口形成部材30をネジ形成部材46の上部に被せるように位置合わせし、第1開口形成部材30を回転し、第2螺着機構48のネジ部48aがネジ部48bにネジ込まれる。これにより、第1開口形成部材30が通路形成部材20に組み付けられる。
【0028】
(4) 実施例の作用・効果
上記実施例の構成により、上述した効果のほか、以下の効果を奏する。
(4)−1 図5において、注入口開閉機構60を組み付けた第2開口形成部材40は、第1螺着機構45を介して通路形成部材20に螺着されることにより、注入口開閉機構60などに故障や損傷が生じたときに、注入口開閉機構60を第2開口形成部材40とともに通路形成部材20から容易に取り外すことができ、しかも、車両の衝突などにより外力を受けても容易に外れ難い。
【0029】
(4)−2 注入口開閉機構60を装着した第2開口形成部材40は、通路形成部材20に対して着脱可能であるけれども、ガスケット49により通路形成部材20との間隙がシールされており、しかもガスケット49のシール力は、第1螺着機構45のネジ込み量により調整できるので、燃料通路11Pと外部との高いシール性を確保することができる。
【0030】
(4)−3 第1螺着機構45の外周ネジ部46dおよび内周ネジ部47cを形成したネジ形成部材46は、第2開口形成部材40および通路形成部材20と別部材であるから、射出成形により高い精度で容易に形成することができる。また、通路形成部材20は、ネジ部が形成されていないので、ブロー成形、押出成形などの製造方法を用いることによって、高い生産性で製造することができる。
【0031】
(4)−4 図3および図5において、挿入側開閉機構50を組み付けた第1開口形成部材30は、第2螺着機構48を介して通路形成部材20に螺着されているので、挿入側開閉機構50などに故障や損傷が生じたときに、挿入側開閉機構50を第1開口形成部材30とともに通路形成部材20から容易に取り外すことができる。
【0032】
(4)−5 図5において、第1螺着機構45を構成するネジ形成部材46は、通路形成部材20の上部に嵌合されているから、堅固に装着することができる。しかも、ネジ形成部材46は、通路形成部材20に機械的に装着できるから、通路形成部材20に溶着しない樹脂材料であっても強固に装着することができる。
【0033】
B.第2実施例
図6は第2実施例にかかる燃料供給装置100の要部を示す断面図である。本実施例は、第1螺着機構145および第2螺着機構148の構成に特徴を有する。
第2螺着機構148は、第1開口形成部材130に形成された内周ネジ部148aと、ネジ形成部材146の外周部に形成された外周ネジ部148bとを有し、内周ネジ部148aが外周ネジ部148bにネジ込まれることにより、第1開口形成部材130がネジ形成部材146を介して通路形成部材120に装着される。
第1螺着機構145は、ネジ形成部材146の内周部に形成されたネジ部146dと、第2開口形成部材140の支持部材142に形成されたネジ部147cとを有し、ネジ部146dがネジ部147cにネジ込まれることにより、第2開口形成部材140がネジ形成部材146を介して通路形成部材120に装着される。
第1および第2螺機構145,148のネジ部を形成する箇所は、通路形成部材120、第2開口形成部材140およびネジ形成部材146の間で種々形成することができる。
【0034】
C.第3実施例
図7は第3実施例にかかる燃料供給装置200の要部を示す断面図である。本実施例は、第1螺着機構245および第2螺着機構248の構成に特徴を有する。第1螺着機構245は、通路形成部材220の外周壁に突設された外周ネジ部246dと、ネジ形成部材246に形成され外周ネジ部246dにネジ込まれる内周ネジ部247cとを備えている。ネジ形成部材246は、断面がU字形であり、開口形成部材240の支持部材242に装着されている。第2螺着機構248は、第1開口形成部材230に形成されたネジ部248aと、ネジ形成部材246に形成したネジ部248bとを備えている。第1および第2螺着機構245,248のネジ部を形成する箇所は、通路形成部材220、開口形成部材240およびネジ形成部材246との間で種々形成することができる。
【0035】
D.第4実施例
図8は、第4実施例にかかる燃料供給装置300の要部を示す断面図である。本実施例は、第1螺着機構345および第2螺着機構348の構成に特徴を有する。
第1螺着機構345は、ネジ形成部材346の外周部に形成されたネジ部346dと、第2開口形成部材340の支持部材342に形成されたネジ部347cとを有し、ネジ部347cがネジ部346dにネジ込まれることにより、第2開口形成部材340がネジ形成部材346を介して通路形成部材320に装着される。
第2螺着機構348は、第1開口形成部材330に形成された内周ネジ部348aと、ネジ形成部材346の外周部に形成されたネジ部348bとを有し、内周ネジ部348aがネジ部348bにネジ込まれることにより、第1開口形成部材330がネジ形成部材346を介して通路形成部材320に装着される。
このように、本実施例では、第1開口形成部材330の内周ネジ部348aと螺合するネジ部348bと、第2開口形成部材340のネジ部347cと螺合するネジ部346dとは、いずれもネジ形成部材346の外周部に形成されている。なお、第1および第2螺着機構345,348のネジ部を形成する箇所は、第1開口形成部材330、第2開口形成部材340およびネジ形成部材346との間で種々形成することができる。
【0036】
E.第5実施例
図9は、第5実施例にかかる燃料供給装置400の要部を示す断面図である。本実施例は、第1螺着機構445および第2螺着機構448の構成に特徴を有する。本実施例では、ネジ形成部材は省略されている。
第1螺着機構445は、通路形成部材420の外周面に形成されたネジ部446dと、第2開口形成部材440の支持部材442に形成されたネジ部447cとを有し、ネジ部447cがネジ部446dにネジ込まれることにより、第2開口形成部材440が通路形成部材420に直接装着される。
第2螺着機構448は、第1開口形成部材430に形成された内周ネジ部448aと、通路形成部材420の外周面に形成されたネジ部448bとを有し、内周ネジ部448aがネジ部448bにネジ込まれることにより、第1開口形成部材430が通路形成部材420に直接装着される。
このように、本実施例では、第1開口形成部材430の内周ネジ部448aと螺合するネジ部448bと、第2開口形成部材440のネジ部447cと螺合するネジ部446dとは、いずれも通路形成部材420の外周部に形成されている。なお、第1および第2螺着機構445,448のネジ部を形成する箇所は、通路形成部材420、第1開口形成部材430および第2開口形成部材440との間で種々形成することができる。
【0037】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。
【0038】
上記実施例において、通路形成部材は、2種類の樹脂材料からなる層を積層して構成したが、これに限らず、単層であってもよく、この単層の端部に、ネジ形成部材を設けてもよい。
【0039】
上記実施例において、ネジ形成部材は、通路形成部材と別体に射出成形部材で形成した構成について説明したが、これに限らず、金属薄板をプレス方法などにより成形した構成であってもよい。この場合には、ネジ形成部材の面精度を高めることが容易であり、ガスケットに対するシール性を高めることができる。
また、ネジ形成部材は、U字形の樹脂本体を樹脂材料で形成するとともに、ガスケットに当たる箇所に金属薄板を樹枝本体にインサート成形などにより一体化したシール面を備えてもよい。
【0040】
上記実施例における開口形成部材は、第1開口形成部材および第2開口形成部材について説明しているが、本発明は、第1開口形成部材および第2開口形成部材の少なくとも一つを、通路形成部材に設けた単一または複数の外周ネジ部に螺合することで、通路形成部材に装着する構成に適用できる。
また、通路形成部材の外周部に設けた外周ネジ部は、通路形成部材と一体に形成する構成のほか、別の部材に設けてもよい。
さらに、本発明は、通路形成部材の外周部に設けた外周ネジ部に開口形成部材を螺合する構成に加えて、燃料通路の開口を開閉する別の部材を設けてもよい。別の部材は、通路形成部材の内周側に設けたネジ部を介して通路形成部材に装着する構成や、溶着や爪などの係合により通路形成部材に固定する構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…燃料供給装置
11…タンク開口形成部材
11P…燃料通路
11Pa…挿入通路
20…通路形成部材
21…ネック本体
22…ネック接続部
22a…環状突部
23…ブリーザ管
23P…ブリーザ通路
27…樹脂内層
28…樹脂外層
30…挿入通路形成部材
32…カバー部材
32a…側壁部
32b…上壁
32d…開口部
32e…挿入用開口
32f…軸支持部
32j…取付部
34…通路形成部材
34a…傾斜壁
40…第2開口形成部材
41…開口部
41a…注入口
42…支持部材
44…連結機構
45…第1螺着機構
46…ネジ形成部材
46S…支持凹所
46a…内壁
46b…外壁
46c…連結部
46d…外周ネジ部
47…ネジ基部
47S…支持凹所
47a…フランジ部
47b…外壁
47c…内周ネジ部
48…第2螺着機構
48a…ネジ部
48b…第2ネジ部
49…ガスケット
50…挿入側開閉機構
51…開閉部材
52…軸受部
53…スプリング
54…ガスケット
60…注入口開閉機構
61…開閉部材
61a…押圧部材
61b…弁室形成部材
62…軸受部
63…スプリング
64…ガスケット
65…調圧弁
100…燃料供給装置
120…通路形成部材
132…カバー部材
140…第2開口形成部材
142…支持部材
145,148…第1および第2螺機構
146…ネジ形成部材
146d…第1ネジ部
147c…第2ネジ部
148a…内周ネジ部
148b…外周ネジ部
200…燃料供給装置
220…通路形成部材
232…カバー部材
240…開口形成部材
242…支持部材
245,248…第1および第2螺着機構
246…ネジ形成部材
246d…外周ネジ部
247c…内周ネジ部
248a…第1ネジ部
248b…第2ネジ部
300…燃料供給装置
320…通路形成部材
330…第1開口形成部材
340…第2開口形成部材
342…支持部材
345,348…第1および第2螺着機構
346…ネジ形成部材
346d…ネジ部
347c…ネジ部
348a…内周ネジ部
348b…ネジ部
400…燃料供給装置
420…通路形成部材
430…第1開口形成部材
440…第2開口形成部材
442…支持部材
445,448…第1および第2螺着機構
446d…ネジ部
447c…ネジ部
448a…内周ネジ部
448b…ネジ部
TB…チューブ
BP…車体側基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9