特許第6201862号(P6201862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6201862積層型蓄電装置の製造方法及び電極板の積層装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201862
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】積層型蓄電装置の製造方法及び電極板の積層装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20170914BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20170914BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   H01G13/00 381
   H01G11/84
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-69270(P2014-69270)
(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公開番号】特開2015-191828(P2015-191828A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨 庄太
【審査官】 青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−184450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04− 10/0587
H01G 9/00− 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質層が塗布された帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を使用する積層型蓄電装置の製造方法であって、
前記活物質層は、前記電極シートの幅方向が長手方向となるように塗布されており、
前記活物質層の長手方向において、前記活物質層から複数枚の前記電極板が切り出され、
前記電極シートから幅方向に切り出された複数枚の前記電極板を切り出した位置に対応するとともに、切り出された前記電極板の数と同数の電極板積載部材に積載する積載工程と、
複数の前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層し、全ての前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層したら、同じ順番で前記電極積載部材から前記電極板を1枚ずつ取り出して積層することを繰り返して積層体を製作する積層工程と、
を有することを特徴とする積層型蓄電装置の製造方法。
【請求項2】
前記電極板は正極用の電極板であることを特徴とする請求項1に記載の積層型蓄電装置の製造方法。
【請求項3】
活物質層が塗布された帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を積層する電極板の積層装置であって、
前記活物質層は、前記電極シートの幅方向が長手方向となるように塗布されており、
前記活物質層の長手方向において、前記活物質層から複数枚の前記電極板が切り出され、
前記電極シートの幅方向の前記電極板の切り出し位置に対応して設けられる複数の電極板積載部材と、
前記電極シートから幅方向に切り出された複数枚の前記電極板を切り出した位置に対応するとともに、切り出された前記電極板の数と同数の前記電極板積載部材に積載する電極板積載手段と、
複数の前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層し、全ての前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層したら、同じ順番で前記電極積載部材から前記電極板を1枚ずつ取り出して積層することを繰り返す電極板積層手段と、
を備えることを特徴とする電極板の積層装置。
【請求項4】
前記電極板は正極用の電極板であることを特徴とする請求項3に記載の電極板の積層装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型蓄電装置の製造方法及び電極板の積層装置に係り、詳しくは電極板として帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を使用する積層型蓄電装置の製造方法及び帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を積層する電極板の積層装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池やキャパシタのような蓄電装置は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。蓄電装置として、金属箔に活物質を含有するスラリー状の活物質合剤が塗布されて形成された活物質層を有する正極及び負極が、間にセパレータが存在する状態で層をなすように積層された積層型電極組立体を備えた積層型二次電池がある。
【0003】
正極及び負極の製造工程、即ち電極板の製造工程では、活物質合剤を帯状の金属箔上に所定の幅で塗布した後、乾燥工程において溶剤の大半を除去し、活物質層の密度を高めるためにロールプレスを行って活物質層が形成された帯状の電極シートが形成される。さらに、必要に応じ活物質層内に残った溶剤を除去するために乾燥工程を行った後、帯状の電極シートから電極板が切り出される。
【0004】
ところが、帯状の金属箔に活物質合剤を塗布して活物質層を形成した電極シートを製造した場合、電極シートの活物質層を均一に形成することは難しい。その結果、各電極板の活物質量がバラツキ、所定枚数の正極及び負極を単純に積層して電極組立体を形成すると二次電池の容量のバラツキが大きくなる。
【0005】
従来、電池容量のバラツキ低減を図るため、正極及び負極が複数枚の電極板の組み合わせにより構成され、正極及び負極におけるそれぞれの組み合わせは主材料である活物質又は準活物質の合計重量がほぼ一定値となるように構成され、複数枚で構成される電極における各電極板が間隔を開けてシリーズに捲回されている電池用電極群が提案されている。(特許文献1参照)。
【0006】
なお、電極板の製造方法としては、幅広の金属箔を使用して複数枚分の活物質層を有する帯状の電極シートを形成した後、その帯状の電極シートからその幅方向において複数枚ずつ電極板を切り出す方法もある。活物質合剤を帯状の金属箔に塗布して活物質層を形成した場合、活物質の目付けは帯状の電極シートの幅方向において異なり、図6に示すように、幅方向の両端部及び中央付近の目付けが大きくなる。なお、図6は、帯状の電極シートの長手方向の異なる4箇所における、電極シートの幅方向の一直線上の両端部及び中間部の目付けのバラツキを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−134161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
幅広の金属箔を使用して幅方向に複数枚分の活物質層を有する帯状の電極シートを形成した後、その帯状の電極シートからその幅方向において複数枚ずつ電極板を切り出して電極板を形成した場合、各電極板上の活物質の目付け(塗工厚み)のバラツキが大きくなる。そのため、正極用の電極板及び負極用の電極板をセパレータを介して所定枚数ずつ積層して構成した積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキが大きくなり、電池容量のバラツキが大きくなる。積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを抑制するため、特許文献1のように電極組立体を構成する各電極板を秤量して、電極組立体を構成する複数枚の電極板の合計重量が小さくなるように電極板を組み合わせる方法を採用すると、電極板を1枚ずつ秤量する工程、秤量した電極板をストックする工程、秤量結果を考慮して電極板を組み合わせる工程が必要になる。そのため、生産速度が低下するだけでなく、電極板をストックするスペースの確保や設備費用が増大するという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる積層型蓄電装置の製造方法及び電極板の積層装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明では、活物質層が塗布された帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を使用する積層型蓄電装置の製造方法であって、前記活物質層は、前記電極シートの幅方向が長手方向となるように塗布されており、前記活物質層の長手方向において、前記活物質層から複数枚の前記電極板が切り出され、前記電極シートから幅方向に切り出された複数枚の前記電極板を切り出した位置に対応するとともに、切り出された前記電極板の数と同数の電極板積載部材に積載する積載工程と、複数の前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層し、全ての前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層したら、同じ順番で前記電極積載部材から前記電極板を1枚ずつ取り出して積層することを繰り返して積層体を製作する積層工程と、を有することを要旨とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、積載工程において、電極シートから幅方向に切り出された複数枚の電極板が切り出した位置に対応するとともに、切り出された電極板の数と同数の電極板積載部材に積載される。積層工程において、複数の前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層し、全ての前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層したら、同じ順番で前記電極積載部材から前記電極板を1枚ずつ取り出して積層することを繰り返して積層体が製作される。その結果、電極シート上の活物質の目付けに電極シートの幅方向においてバラツキがあっても、積層体には、幅方向における異なる位置から切り出された電極板が混合された状態で積層され、積層された電極板の合計重量は均等になる。したがって、帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【0012】
請求項2に記載のように、請求項1に記載の積層型蓄電装置の製造方法において、電極板は正極用の電極板であるとよい。
請求項3に記載の発明では、活物質層が塗布された帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を積層する電極板の積層装置であって、前記活物質層は、前記電極シートの幅方向が長手方向となるように塗布されており、前記活物質層の長手方向において、前記活物質層から複数枚の前記電極板が切り出され、前記電極シートの幅方向の前記電極板の切り出し位置に対応して設けられる複数の電極板積載部材と、前記電極シートから幅方向に切り出された複数枚の前記電極板を切り出した位置に対応するとともに、切り出された前記電極板の数と同数の前記電極板積載部材に積載する電極板積載手段と、複数の前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層し、全ての前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層したら、同じ順番で前記電極積載部材から前記電極板を1枚ずつ取り出して積層することを繰り返す電極板積層手段と、を備えることを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、複数の電極板積載部材が、電極シートの幅方向の電極板の切り出し位置に対応して設けられている。そして、電極板積載手段により、電極シートから幅方向に切り出された複数枚の電極板が切り出した位置に対応するとともに、切り出された電極板の数と同数の電極板積載部材に積載される。電極板積層手段により、複数の前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層し、全ての前記電極板積載部材から前記電極板を1枚ずつ順番に取り出して積層したら、同じ順番で前記電極積載部材から前記電極板を1枚ずつ取り出して積層することが繰り返される。その結果、電極シート上の活物質の目付けに電極シートの幅方向においてバラツキがあっても、積層体には、幅方向における異なる位置から切り出された電極板が混合された状態で積層され、積層された電極板の合計重量は均等になる。したがって、帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【0014】
請求項4に記載のように、請求項3に記載の積層型蓄電装置の製造装置において、電極板は正極用の電極板であるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、帯状の電極シートから複数枚ずつ切り出した電極板を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電極シートの模式部分平面図。
図2】実施形態の電極板の切り出し後の積載を説明するための図。
図3】電極板の積層工程を説明するための概略斜視図。
図4】電極板の積層状態を示す正面図。
図5】活物質の別の塗布状態を示す電極シートの模式部分平面図。
図6】電極シートの幅方向における活物質の厚さムラを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図1図4にしたがって説明する。
積層型蓄電装置の製造方法は、電極板として活物質層が長手方向に沿って塗布された帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を使用する。そして、帯状の電極シートから幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板を積層する工程に特徴を有し、帯状の電極シートを製造するまでの工程及び積層された電極板を使用して電極組立体を組み立てる以降の工程は公知の工程で実施できるため電極板を積層する工程及び電極板の積層装置について説明する。なお、帯状の電極シートから幅方向に予め設定された複数枚の電極板が切り出されて、その切り出された電極板が1枚ずつ各電極板積載部材上に仮置きされる。
【0018】
図1に示すように、電極シート11は、その長手方向に活物質層12が間欠的に、かつ電極シート11の幅方向の両端部を除く状態に所定間隔で形成されている。間欠的に形成された各活物質層12は、積層型の電極組立体の電極板(図2での符号13,14,15,16で示す)を電極シート11の幅方向において複数枚切り出し可能な大きさに形成されている。なお、本実施形態では4枚に切り出す場合で説明する。
【0019】
図2に示すように、図示しない切出装置により、電極シート11から4枚の電極板13〜16が、電極シート11の幅方向に1列に打ち抜かれる(切り出される)。
電極板の積層装置は、図2に示す複数の電極板積載部材21〜24と、電極板積載手段31〜34と、図3に示す電極板積層手段41〜44とを備える。図2に示すように、複数の電極板積載部材21〜24は、電極シート11の幅方向の電極板13〜16の切り出し位置に対応して設けられている。例えば、各電極板積載部材21〜24には、それぞれ、1000枚程度の電極板が積載される。電極板積載部材21〜24は、電極シート11から切り出される1列分の電極板13〜16を1枚ずつ積載可能である。そして、電極板積載手段31〜34により、電極シート11から幅方向に切り出された電極板13〜16が、切り出した位置に対応する電極板積載部材21〜24に積載されるようになっている。
【0020】
詳しくは、電極板積載手段31により、各電極板13が、対応する電極板積載部材21上に順に積載される。電極板積載手段32により、各電極板14が、対応する電極板積載部材22上に順に積載される。電極板積載手段33により、各電極板15が、対応する電極板積載部材23上に順に積載される。電極板積載手段34により、各電極板16が、対応する電極板積載部材24上に順に積載される。
【0021】
つまり、各電極板積載部材21〜24上に4箇所の切り出し位置から切り出された電極板13〜16が積載される。このように、シート幅方向の電極板の枚数(=4枚)と同数(=4つ)の電極板積載部材21〜24を有する。
【0022】
なお、電極板積載手段として、例えばロボットアームを用いることができ、ロボットアームにて電極シート11から切り出される1列分の各電極板13〜16を吸着して電極板積載部材21,22,23,24上に積載するようにしてもよい。
【0023】
図3に示すように、電極板積層手段41,42,43,44は、各電極板積載部材21,22,23,24(電極シート11の幅方向の電極板13〜16の切り出し位置)に対応して設けられている。そして、電極板積層手段41,42,43,44により、電極板を取り出す電極板積載部材21〜24を順番に変えながら電極板13〜16を取り出して積層することができるようになっている。
【0024】
なお、電極板積層手段として、例えばロボットアームを用いることができ、ロボットアームにて各電極板積載部材21〜24に積載した電極板13〜16を吸着して取り出して積層するようにしてもよい。
【0025】
次に、作用について説明する。
積層型蓄電装置の製造の際に、図2に示すように、電極シート11から幅方向に電極板13〜16が切り出される。この切り出し位置毎の電極板13〜16は、電極板積載手段31〜34を用いて、切り出し位置に対応する電極板積載部材21〜24に積載される。
【0026】
図3に示すように、各電極板積載部材21〜24には、切り出し位置毎の電極板13〜16が積載されている。そして、電極板を取り出す電極板積載部材21〜24を順番に変えながら電極板13〜16が取り出されて積層体80が製作される。即ち、電極板積層手段41,42,43,44を用いて、各電極板積載部材21〜24の電極板13〜16を取り出して、積層型電極組立体を構成すべく図4に示すように積層する。このとき、正極及び負極が、間にセパレータ70が存在する状態で層をなすように積層される。例えば、アルミ箔で正極用の電極板が、また、銅箔で負極用の電極板が製造される。セパレータ70は例えば樹脂製である。
【0027】
積層体80の製作について詳しく説明する。
図3においては、正極用の各電極板積載部材21〜24に正極用の電極板13〜16が積載されている。また、負極用の各電極板積載部材51,52,53,54に負極用の電極板61,62,63,64が積載されている。さらに、図示しないセパレータ積載部材にセパレータ70が積載されている。そして、図4に示すように、電極板積層手段41,42,43,44を用いて、例えば、セパレータ70、正極用の電極板13、セパレータ70、負極用の電極板61、セパレータ70、正極用の電極板14、セパレータ70、負極用の電極板62、セパレータ70、正極用の電極板15、セパレータ70、負極用の電極板63、セパレータ70、正極用の電極板16、セパレータ70、負極用の電極板64、セパレータ70、・・・が順に積層される。これにより、電極組立体となる積層体80が形成される。
【0028】
積層体80は、例えば数10枚の正極用の電極板と数10枚の負極用の電極板を積層して構成される。この積層体でセル内に配置される電極組立体が形成される。
このようにして、各電極板積載部材21〜24から順番に電極板13〜16を取り出し、積層体80を作製する。よって、各電極板積載部材21〜24での電極板13〜16の平均目付けは異なるが、各電極板積載部材21〜24における電極板13〜16を順番に積層することで積層体毎の平均目付けは均一となる。つまり、図6に示すように帯状の金属シートの幅方向、即ち、塗膜の幅方向で目付けのバラツキがある場合でも、積層体毎の平均目付けを合わせることができる。
【0029】
また、特許文献1のように電極組立体を構成する各電極板を秤量して、電極組立体を構成する複数枚の電極板の合計重量が小さくなるように電極板を組み合わせる方法を採用すると、生産速度が低下するだけでなく、電極板をストックするスペースの確保や設備費用の増大を招くが、本実施形態では生産速度の低下なく積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを抑制することができる。
【0030】
本実施形態では、正極用の電極板について、電極シートから幅方向に切り出された切り出し位置毎の電極板13〜16を切り出し位置に対応する電極板積載部材21〜24に積載し、各電極板積載部材21〜24に積載した切り出し位置毎の電極板13〜16を順番に取り出して積層体80を製作している。
【0031】
その結果、電極シート11上の活物質の目付けに電極シート11の幅方向においてバラツキがあっても、積層体80には、幅方向における異なる位置から切り出された正極用の電極板13〜16が混合された状態で積層され、積層された電極板の合計重量は均等になる。
【0032】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)積層型蓄電装置の製造方法は、活物質層12が塗布された帯状の電極シート11から幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板13〜16を使用する。積載工程と積層工程とを有する。積載工程では、電極シート11から幅方向に切り出された電極板13〜16を切り出した位置に対応する電極板積載部材21〜24に積載する。積層工程では、電極板を取り出す電極板積載部材21〜24を順番に変えながら電極板13〜16を取り出して積層体80を製作する。したがって、帯状の電極シート11から幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板13〜16を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【0033】
(2)積層型蓄電装置の積層装置は、活物質層12が塗布された帯状の電極シート11から幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板13〜16を積層する電極板の積層装置であり、複数の電極板積載部材21〜24と、電極板積載手段31〜34と、電極板積層手段41〜44とを備える。複数の電極板積載部材21〜24は、電極シート11の幅方向の電極板の切り出し位置に対応して設けられ、電極板積載手段31〜34は、電極シート11から幅方向に切り出された電極板13〜16を切り出した位置に対応する電極板積載部材21〜24に積載する。電極板積層手段41〜44は、電極板を取り出す電極板積載部材21〜24を順番に変えながら電極板13〜16を取り出して積層する。したがって、帯状の電極シート11から幅方向に複数枚ずつ切り出した電極板13〜16を使用して構成される積層型電極組立体の活物質の目付けのバラツキを、生産速度を低下させずに抑制することができる。
【0034】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 上記実施形態においては、正極用の電極板について、電極シートから幅方向に切り出された切り出し位置毎の電極板13〜16を切り出し位置に対応する電極板積載部材21〜24に積載し、各電極板積載部材21〜24に積載した切り出し位置毎の電極板13〜16を順番に取り出して積層体80を製作したが、これに限らない。負極用の電極板について、電極シートから幅方向に切り出された切り出し位置毎の電極板(13〜16)を切り出し位置に対応する電極板積載部材(21〜24)に積載し、各電極板積載部材(21〜24)に積載した切り出し位置毎の電極板(13〜16)を順番に取り出して積層体を製作してもよい。さらには、正極用の電極板および負極用の電極板について、各々、電極シートから幅方向に切り出された切り出し位置毎の電極板(13〜16)を切り出し位置に対応する電極板積載部材(21〜24)に積載し、各電極板積載部材(21〜24)に積載した切り出し位置毎の電極板(13〜16)を順番に取り出して積層体を製作してもよい。
【0035】
○ シート幅方向の電極板の枚数(=4枚)と同数(=4つ)の電極板積載部材21〜24を用いたが、これに限らない。例えば、切り出し数に対して2倍の電極板積載部材を用いてもよい。要は、セパレータを挟んで正極用の電極板と負極用の電極板を交互に積み重ねて積層体を作製する際に、電極板の切り出し工程において複数切り出して複数の電極板積載部材に積載するようにすればよい。
【0036】
○ 帯状の電極シート11からその幅方向において複数枚ずつ切り出される1列分の電極板13〜16の数は4枚に限らず、電極シート11に塗布された活物質層12の幅に対応して設定され、2枚あるいは3枚としたり、5枚以上としたりしてもよい。
【0037】
○ 活物質層12は、帯状の電極シート11の長手方向に間欠的に形成されずに、連続的に形成されてもよい。しかし、間欠的に形成された方が無駄になる活物質が少なくなる。
【0038】
図5に示すように、活物質層12を電極シート11の幅方向に一定間隔をおいた複数のストライプ状に形成してもよい。図5では活物質層12が3本形成されているため、電極板を電極シート11の幅方向に切り出す場合は3枚取りとなる。
【0039】
○ 電極板13〜16の切り出しは、電極シート11の幅方向において複数枚の電極板13〜16を電極シート11から打ち抜きにより行うことに限らない。例えば、レーザ装置や切断刃で電極板13〜16を切り出してもよい。
【符号の説明】
【0040】
11…電極シート、12…活物質層、13…電極板、14…電極板、15…電極板、16…電極板、21…電極板積載部材、22…電極板積載部材、23…電極板積載部材、24…電極板積載部材、31…電極板積載手段、32…電極板積載手段、33…電極板積載手段、34…電極板積載手段、41…電極板積層手段、42…電極板積層手段、43…電極板積層手段、44…電極板積層手段、80…積層体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6