特許第6201877号(P6201877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6201877真空処理システム、真空処理装置、潤滑剤供給装置および潤滑剤供給方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201877
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】真空処理システム、真空処理装置、潤滑剤供給装置および潤滑剤供給方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170914BHJP
   F16N 7/14 20060101ALI20170914BHJP
   F16C 29/06 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   F16N7/14
   F16C29/06
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-92478(P2014-92478)
(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公開番号】特開2015-211152(P2015-211152A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】302054866
【氏名又は名称】日新イオン機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100152618
【弁理士】
【氏名又は名称】幸丸 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176289
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 裕
(72)【発明者】
【氏名】小野田 正敏
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/054439(WO,A1)
【文献】 特開2011−012789(JP,A)
【文献】 特開2009−047196(JP,A)
【文献】 特開2010−080469(JP,A)
【文献】 特開平06−307598(JP,A)
【文献】 特開2007−146962(JP,A)
【文献】 特開2006−203175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
F16C 29/06
F16N 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中に設置される少なくとも1つの真空処理装置と、大気中に設置され、前記真空処理装置に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置とを備える真空処理システムであって、
前記真空処理装置は、潤滑対象部位へ注入する潤滑剤の通路である潤滑剤流通路を有し、
前記潤滑剤供給装置は、
大気中で潤滑剤を貯留する潤滑剤貯留部と、
前記潤滑剤貯留部と前記潤滑剤流通路とに接続され、前記潤滑剤貯留部に貯留された潤滑剤を前記潤滑剤流通路に導く通路である潤滑剤供給路と、
前記潤滑剤供給路内を排気する排気部と、を有する
ことを特徴とする真空処理システム。
【請求項2】
前記真空処理装置は、
ガイドレールと、
前記ガイドレール上を、前記ガイドレールに沿って移動可能な可動体と、を有し、
前記潤滑対象部位は、前記ガイドレールにおける予め定められた領域を覆う位置に配置された前記可動体の前記ガイドレールに接触する部位である
ことを特徴とする請求項1記載の真空処理システム。
【請求項3】
制御装置を更に備え、
前記潤滑剤流通路には、前記制御装置から入力される制御信号により制御される開閉バルブが介挿され、
前記潤滑剤供給装置は、更に、
前記潤滑剤供給路と前記排気部とを接続する排気管と、
前記排気管に介挿され、前記制御装置から入力される制御信号により制御される排気バルブと、を有し、
前記制御装置は、前記排気バルブを開状態にした後、前記排気部により前記潤滑剤供給路内が排気されて前記潤滑剤供給路が真空状態になると、前記開閉バルブを開状態にする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の真空処理システム。
【請求項4】
前記真空処理装置は、更に、前記潤滑剤流通路に設けられた第1接続部を有し、
前記潤滑剤供給装置は、更に、前記潤滑剤供給路に設けられ、前記第1接続部に着脱可能且つ気密に接続可能な第2接続部を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の真空処理システム。
【請求項5】
真空中に設置され、大気中に設置された潤滑剤供給装置から潤滑剤の供給を受けることが可能な真空処理装置であって、
ガイドレールと、
前記ガイドレール上を、前記ガイドレールに沿って移動可能な可動体と、
前記ガイドレールにおける予め定められた領域を覆う位置に配置された前記可動体の前記ガイドレールに接触する部位に注入される潤滑剤の通路である潤滑剤流通路と、を備え、
前記ガイドレールは、その延伸方向に沿って設けられた軌道溝を有し、
前記ガイドレールに接触する部位は、前記軌道溝に転動しつつ接触する転動体の少なくとも一部である
ことを特徴とする真空処理装置。
【請求項6】
前記軌道溝は、前記ガイドレールの幅方向の両端のそれぞれに一対ずつ形成され、前記一対の軌道溝は、前記幅方向とガイドレールの延伸方向とに直交する方向に予め定められた距離だけ離隔して形成され、
前記潤滑剤流通路は、前記ガイドレールに形成され、前記ガイドレールの前記予め定められた領域の幅方向の両端それぞれに形成された前記一対の軌道溝の間の部位に開口した潤滑剤流通孔と、前記潤滑剤流通孔と前記潤滑剤供給装置との間を結ぶ潤滑剤中継路とから構成される
ことを特徴とする請求項5に記載の真空処理装置。
【請求項7】
潤滑対象部位へ注入する潤滑剤の通路である潤滑剤流通路を有する真空処理装置の前記潤滑剤流通路に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置であって、
大気中で潤滑剤を貯留する潤滑剤貯留部と、
前記潤滑剤貯留部と前記潤滑剤流通路とに接続され、前記潤滑剤貯留部に貯留された潤滑剤を前記潤滑剤流通路に導く通路である潤滑剤供給路と、
前記潤滑剤供給路内を排気する排気部と、を備える
ことを特徴とする潤滑剤供給装置。
【請求項8】
前記潤滑剤流通路には、制御装置から入力される制御信号により制御される開閉バルブが介挿され、
前記潤滑剤供給装置は、更に、
前記潤滑剤供給路と前記排気部とを接続する排気管と、
前記排気管に介挿され、前記制御装置から入力される制御信号により制御される排気バルブと、を有し、
前記制御装置は、前記排気バルブを開状態にした後、前記排気部により前記潤滑剤供給路内が排気されて前記潤滑剤供給路に真空状態なると、前記開閉バルブを開状態にする
ことを特徴とする請求項7に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項9】
前記潤滑剤流通路に接続するために前記潤滑剤供給路に設けられた第2接続部と、
前記潤滑剤供給路の一部を構成し、前記潤滑剤貯留部に貯留された前記潤滑剤を、前記第2接続部に向かって送り出す潤滑剤送出部と、を備える
ことを特徴とする請求項7または8に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項10】
前記潤滑剤供給路と前記排気部との間に配置され、前記潤滑剤供給路から前記排気部に向かう気体中に含まれる前記潤滑剤を捕捉する潤滑剤捕捉部を備える
ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の潤滑剤供給装置。
【請求項11】
真空中に設置される少なくとも1つの真空処理装置の潤滑対象部位へ潤滑剤を供給する潤滑剤供給方法であって、
大気中に設置され、潤滑剤を貯留する潤滑剤貯留部から前記潤滑対象部位までの潤滑剤供給路のうち、少なくとも大気中に位置している部位に残留する気体を排気するステップと、
前記潤滑剤貯留部に貯留された潤滑剤を、前記真空処理装置の前記潤滑対象部位に、前記潤滑剤供給路を介して送出するステップと、を含む
ことを特徴とする潤滑剤供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空処理システム、真空処理装置、潤滑剤供給装置および潤滑剤供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、通常、真空環境でウェハ等の被処理物を搬送しつつ、各種の処理を行う。被処理物の搬送に使用される搬送装置には、その可動部位の摩擦を低減するために、グリス等の潤滑剤が使用されている。
【0003】
真空環境では、大気中に比べて潤滑剤が蒸発し易くなり、潤滑剤の消費量が大きくなる。従って、真空環境に設置された搬送装置では、大気中に設置された搬送装置に比べて、潤滑剤を頻繁に補給する必要がある。
【0004】
特許文献1には、真空チャンバ内に搬送機構とグリス収容部とグリス供給機構とを備えるとともに、グリス収容部に収容されているグリスを、グリス供給機構を介して、搬送機構に供給する真空処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4588620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された真空処理装置では、グリス収容部に収容されたグリスが枯渇すると、真空チャンバを大気に開放してグリス収容部にグリスを補給する必要がある。グリスの補給後、処理を再開するためには、大気に開放された真空チャンバ内を再び真空状態にする必要がある。しかし、真空引きには、相当の時間を要し、この間、半導体装置を製造することができない。すなわち、グリスの補給処理により、真空処理装置の稼働率が低下してしまう。
【0007】
また、特許文献1の構成では、搬送機構を構成する可動部にグリス供給管が接続されている。このため、グリス供給管及び接続部の構成が複雑になってしまう。
【0008】
更に、グリスは、真空中に放置されている場合、その一部の成分が揮発して劣化してしまう。特許文献1の構成では、グリス収容部が真空チャンバ内に配置されているため、グリス収容部に収容されたグリスが未使用のまま劣化してしまう。
【0009】
同様の問題は、半導体装置製造用の真空処理装置に限らず、真空環境で処理を行い、大気に開放した状態で潤滑剤を供給する種類の装置、及び、可動部に潤滑剤を供給する装置に共通に存在する。
【0010】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、稼働率の高い真空処理システム、真空処理装置、並びに真空処理装置の稼働率を向上させることができる潤滑剤供給装置および潤滑剤供給方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、簡単な構成の潤滑剤供給機構を備える真空処理システム、真空処理装置を提供することを他の目的とする。
更に、本発明は、潤滑剤貯留部に貯留された潤滑剤の劣化を抑制することができる潤滑剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る真空処理システムは、
真空中に設置される少なくとも1つの真空処理装置と、大気中に設置され、前記真空処理装置に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置とを備える真空処理システムであって、
前記真空処理装置は、潤滑対象部位へ注入する潤滑剤の通路である潤滑剤流通路を有し、
前記潤滑剤供給装置は、
大気中で潤滑剤を貯留する潤滑剤貯留部と、
前記潤滑剤貯留部と前記潤滑剤流通路とに接続され、前記潤滑剤貯留部に貯留された潤滑剤を前記潤滑剤流通路に導く通路である潤滑剤供給路と、
前記潤滑剤供給路内を排気する排気部と、を有する。
【0012】
また、本発明に係る真空処理システムでは、
前記真空処理装置は、
ガイドレールと、
前記ガイドレール上を、前記ガイドレールに沿って移動可能な可動体と、を有し、
前記潤滑対象部位は、前記ガイドレールにおける予め定められた領域を覆う位置に配置された前記可動体の前記ガイドレールに接触する部位であってもよい。
【0013】
また、本発明に係る真空処理システムでは、
制御装置を更に備え、
前記潤滑剤流通路には、前記制御装置から入力される制御信号により制御される開閉バルブが介挿され、
前記潤滑剤供給装置は、更に、
前記潤滑剤供給路と前記排気部とを接続する排気管と、
前記排気管に介挿され、前記制御装置から入力される制御信号により制御される排気バルブと、を有し、
前記制御装置は、前記排気バルブを開状態にした後、前記排気部により前記潤滑剤供給路内が排気されて前記潤滑剤供給路が真空状態になると、前記開閉バルブを開状態にしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る真空処理システムでは、
前記真空処理装置は、更に、前記潤滑剤流通路に設けられた第1接続部を有し、
前記潤滑剤供給装置は、更に、前記潤滑剤供給路に設けられ、前記第1接続部に着脱可能且つ気密に接続可能な第2接続部を有していてもよい。
【0015】
また、本発明に係る真空処理装置は、
真空中に設置され、大気中に設置された潤滑剤供給装置から潤滑剤の供給を受けることが可能な真空処理装置であって、
ガイドレールと、
前記ガイドレール上を、前記ガイドレールに沿って移動可能な可動体と、
前記ガイドレールにおける予め定められた領域を覆う位置に配置された前記可動体の前記ガイドレールに接触する部位に注入される潤滑剤の通路である潤滑剤流通路と、を備え、
前記ガイドレールは、その延伸方向に沿って設けられた軌道溝を有し、
前記ガイドレールに接触する部位は、前記軌道溝に転動しつつ接触する転動体の少なくとも一部である。
【0016】
また、本発明に係る真空処理装置は、
前記軌道溝は、前記ガイドレールの幅方向の両端のそれぞれに一対ずつ形成され、前記一対の軌道溝は、前記幅方向とガイドレールの延伸方向とに直交する方向に予め定められた距離だけ離隔して形成され、
前記潤滑剤流通路は、前記ガイドレールに形成され、前記ガイドレールの前記予め定められた領域の幅方向の両端それぞれに形成された前記一対の軌道溝の間の部位に開口した潤滑剤流通孔と、前記潤滑剤流通孔と前記潤滑剤供給装置との間を結ぶ潤滑剤中継路とから構成されてもよい。
【0017】
また、本発明に係る潤滑剤供給装置は、
潤滑対象部位へ注入する潤滑剤の通路である潤滑剤流通路を有する真空処理装置の前記潤滑剤流通路に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置であって、
大気中で潤滑剤を貯留する潤滑剤貯留部と、
前記潤滑剤貯留部と前記潤滑剤流通路とに接続され、前記潤滑剤貯留部に貯留された潤滑剤を前記潤滑剤流通路に導く通路である潤滑剤供給路と、
前記潤滑剤供給路内を排気する排気部と、を備える。
【0018】
また、本発明に係る潤滑剤供給装置は、
前記潤滑剤流通路には、制御装置から入力される制御信号により制御される開閉バルブが介挿され、
前記潤滑剤供給装置は、更に、
前記潤滑剤供給路と前記排気部とを接続する排気管と、
前記排気管に介挿され、前記制御装置から入力される制御信号により制御される排気バルブと、を有し、
前記制御装置は、前記排気バルブを開状態にした後、前記排気部により前記潤滑剤供給路内が排気されて前記潤滑剤供給路に真空状態なると、前記開閉バルブを開状態にするものであってもよい。
【0019】
また、本発明に係る潤滑剤供給装置は、
前記潤滑剤流通路に接続するために前記潤滑剤供給路に設けられた第2接続部と、
前記潤滑剤供給路の一部を構成し、前記潤滑剤貯留部に貯留された前記潤滑剤を、前記第2接続部に向かって送り出す潤滑剤送出部と、を備えるものであってもよい。
【0020】
また、本発明に係る潤滑剤供給装置は、
前記潤滑剤供給路と前記排気部との間に配置され、前記潤滑剤供給路から前記排気部に向かう気体中に含まれる前記潤滑剤を捕捉する潤滑剤捕捉部を備えるものであってもよい。
【0021】
また、本発明に係る潤滑剤供給方法は、
真空中に設置される少なくとも1つの真空処理装置の潤滑対象部位へ潤滑剤を供給する潤滑剤供給方法であって、
大気中に設置され、潤滑剤を貯留する潤滑剤貯留部から前記潤滑対象部位までの潤滑剤供給路のうち、少なくとも大気中に位置している部位に残留する気体を排気するステップと、
前記潤滑剤貯留部に貯留された潤滑剤を、前記真空処理装置の前記潤滑対象部位に、前記潤滑剤供給路を介して送出するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、稼働率の高い真空処理システム、真空処理装置、並びに真空処理装置の稼働率を向上させることができる潤滑剤供給装置および潤滑剤供給方法を提供することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成の潤滑剤供給機構を備える真空処理システム、真空処理装置を提供する。
更に、本発明によれば、潤滑剤貯留部に貯留された潤滑剤の劣化を抑制することができる潤滑剤供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態に係る搬送システムを含む真空処理システムの概略構成図である。
図2】(a)実施の形態に係る搬送システム中の搬送装置について、ガイドレールにおける予め定められた領域を覆う位置にある可動体とガイドレールとを示す斜視図である。(b)(a)に示す搬送装置のA−A断面図である。
図3】実施の形態に係る搬送装置の図2(b)のB−B線断面図である。
図4】実施の形態に係る搬送システム中の潤滑剤供給装置に含まれる一軸偏心ネジポンプから構成されるグリス吐出ポンプの一例の概略断面図である。
図5】実施の形態に係る制御装置のブロック図である。
図6】実施の形態に係る制御装置が実行する制御動作を示すフローチャートである。
図7】(a)実施の形態の第1の変形例に係る搬送装置の概略平面図である。(b)第1の変形例に係る搬送装置の概略側面図である。
図8図7(a)に示す搬送装置のC−C断面図である。
図9】実施の形態の第2の変形例に係る搬送システムの概略構成図である。
図10】実施の形態の第3の変形例に係る搬送システムの概略構成図である。
図11】実施の形態の第4の変形例に係る搬送システムの概略平面図である。
図12】実施の形態の第4の変形例に係る搬送装置について、可動体がガイドレールの予め定められた領域を覆う位置に配置された状態における図11のD−D断面図である。
図13】実施の形態のその他の変形例に係る搬送システム中の潤滑剤供給装置に含まれる潤滑剤供給装置の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る、真空処理システム、真空処理装置、及び潤滑剤補給装置を、半導体ウェハを搬送する搬送装置とこの搬送装置に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を備える搬送システムを例に説明する。
【0025】
この実施の形態に係る搬送システムは、真空チャンバ100と、半導体ウェハを搬送する搬送装置101、102と、搬送装置101、102に潤滑剤であるグリスを供給する潤滑剤供給装置1と、これらを制御する制御装置2と、を備える。以下、各部の構成を順に説明する。
【0026】
[真空チャンバ]
真空チャンバ100は、その内部空間を真空状態に維持する。真空チャンバ100には、内部空間を排気するためのチャンバ内排気用ポンプ(図示せず)が接続されるとともに、真空チャンバ100内の圧力を検出する圧力ゲージPD1が設けられている。真空チャンバ100内には、半導体ウェハを処理する様々な真空処理装置が配置され、半導体ウェハに処理を施す。
【0027】
[搬送装置]
搬送装置101は、真空チャンバ100内に配置され、被処理体である半導体ウェハを搬送する真空処理装置である。搬送装置101は、ガイドレール101aと、ガイドレール101aに沿って移動可能な可動体101bと、可動体101bを搬送する搬送機構(図示せず)と、搬送機構が有する可動体駆動用モータのトルクを検出するトルク検出器103と、を備える。搬送装置101の具体例としては、例えばLMガイド(登録商標)が挙げられる。可動体101bは、ガイドレール101aに沿って、図1中の矢印AR11の方向に、移動可能な状態でガイドレール101aに取り付けられている。
【0028】
ガイドレール101aは、図2(a)に示すように、軌道溝111、112と、可動体101bとガイドレール101aとが接触する部位に注入されるグリス(潤滑剤)の通路である潤滑剤流通孔141とを有する。
【0029】
軌道溝111、112は、ガイドレール101aの延伸方向(図示するX方向)に沿って、ガイドレール101aの幅方向(図示するY方向)の両端それぞれに一対ずつ形成されている。
一対の軌道溝111、112は、図2(b)に示すように、ガイドレール101aの幅方向と延伸方向とに直交する方向(図示するZ方向)に予め定められた距離だけ離隔して形成されている。軌道溝111、112は、Y−Z断面が円弧状で且つX−Y面に対して互いに鏡面対称となる形状に形成されている。
【0030】
潤滑剤流通孔141は、図2(b)に示すように、第1の孔141aと第2の孔141bとから構成される。第1の孔141aは、ガイドレール101a内をZ方向に延伸し、一端がガイドレール101aの下面に開口し他端が第2の孔141bに連通している。第2の孔141bは、ガイドレール101aを、その幅方向(Y方向)に貫通し、図2(a)に示すように、ガイドレール101aの予め定められた領域A1の軌道溝111、112の間の部位115に開口している。潤滑剤流通孔141の開口部は、ガイドレール101aの両側部に、それぞれ、図1および図2(a)に示すように複数(図1図2(a)では3つ)形成されている。潤滑剤は、図2(b)に矢印AR21、AR22,AR23、で示すように、第1の孔141aの下端から供給され、第2の孔141bを通って、可動体101bとガイドレール101aとの接触部位に注入される。
【0031】
潤滑剤流通孔141の第1の孔141aの下端の開口部は、図1に示すように、チャンバ内供給管P11およびチャンバ外供給管P21を介してチャンバ側接続部(第1接続部)C1に接続されている。チャンバ内供給管P11とチャンバ外供給管P21との間には、開閉バルブV11が介挿されている。開閉バルブV11は、制御装置2から供給される制御信号によりその開閉が制御される。
【0032】
チャンバ内供給管P11と、開閉バルブV11と、チャンバ外供給管P21とから、潤滑剤流通孔141とチャンバ側接続部C1との間を結ぶ潤滑剤中継路が構成されている。そして、この潤滑剤中継路と潤滑剤流通孔141とから、潤滑剤供給装置1から供給された潤滑剤を可動体101bとガイドレール101aとの接触部位に導く潤滑剤流通路が構成されている。
【0033】
可動体101bは、図1に示すように、ガイドレール101a上を、矢印AR11で示すようにガイドレール101aに沿って移動可能である。可動体101bは、図2(b)および図3に示すように、ボールベアリング等の複数の転動体121、122と、複数の転動体121、122をそれぞれ回転可能に保持する保持器114、116とを備える。
【0034】
転動体121、122は、金属等から形成された球体であり、それぞれ軌道溝111、112に転動しつつ接触する。転動体121、122の軌道溝111、112に接触する部位が、ガイドレール101aに接触する部位に相当する。
【0035】
保持器114は、例えば樹脂等から形成され、略環状の形状を有し、フレキシブルに形状を変えることができるよう構成されている。保持器114は、転動体121の外径よりも小さい厚みを有し、その周方向に転動体121よりもわずかに大きい孔114aを複数備える。複数の転動体121は、図3に示すように、保持器114に設けられた複数の孔114aそれぞれに回転可能に嵌め込まれた状態で、保持器114に保持される。保持器116の形状も保持器114の形状と同様である。
【0036】
保持器114に保持された複数の転動体121は、図3に示すように、可動体101b内にループ状に形成されたキャビティ131内に配置されている。
【0037】
複数の転動体121は、可動体101bの移動に伴って、保持器114自体が動くことにより、図3の矢印AR14で示すようにキャビティ131内を移動するとともに、矢印AR15に示すように回転する。
【0038】
可動体101bをガイドレール101a上で搬送するための駆動機構は、例えば可動体駆動用モータ(図示せず)と、長尺のボールネジ(図示せず)と、ボールナット(図示せず)と、2つの支持部材(図示せず)と、から構成される。ボールナットは、可動体101bに固定されている。ボールネジは、その長手方向がガイドレール101aの延伸方向と略一致するように配置されており、長手方向における一端が可動体駆動用モータの回転軸に連結されている。また、ボールネジは、その長手方向に沿った中心軸周りに回転可能な形でその長手方向おける両端部それぞれで支持部材により支持されている。可動体駆動用モータがボールネジを回転させると、可動体101bがガイドレール101aに沿って移動する。
【0039】
トルク検出器103は、可動体駆動用モータがボールネジに加える回転トルクの大きさを検出し、検出した大きさを示すトルク情報を出力する。蒸発等により可動体101bのガイドレール101aに接触する部位、即ち、転動体121、122に注入されたグリスが少なくなってくると、ガイドレール101aと可動体101bとの間の摩擦が大きくなる。この場合、可動体駆動用モータが可動体101bを搬送するためにボールネジに加える回転トルクは、大きくなる。トルク検出器103は、検出した回転トルクの大きさに基づいて搬送装置101にグリスを供給するタイミングを判定するために使用される。
【0040】
図1に示す、搬送装置102も、搬送装置101と同様の構成を有し、ガイドレール102aと、可動体102bと、搬送機構(図示せず)と、トルク検出器104と、チャンバ側接続部(第1接続部)C2と、を備える。そして、潤滑剤流通孔142が、ガイドレール102aの領域A2に設けられている。
【0041】
[潤滑剤供給装置]
潤滑剤供給装置1は、図1に示すように、グリスサーバ(潤滑剤貯留部)11、グリス吐出ポンプ(潤滑剤送出部)13、グリストラップタンク(潤滑剤捕捉部)14、供給側接続部(第2接続部)C0、潤滑剤供給管P1および排気ポンプ12を備える。
【0042】
グリスサーバ11は、真空チャンバ100外の大気中でグリスを貯留する。グリスサーバ11は、その底面に形成された供給孔より、グリス吐出ポンプ13内へのグリスの供給状態を切り替えるためのグリス供給バルブV3を介してグリス吐出ポンプ13に接続されている。
【0043】
グリス吐出ポンプ13は、グリスサーバ11から供給されるグリスを、供給側接続部C0に向かって送り出す。グリス吐出ポンプ13は、その吐出口が潤滑剤供給管P1を介して供給側接続部(第2接続部)C0に接続されている。グリス吐出ポンプ13と潤滑剤供給管P1とから、グリスサーバ11に貯留されるグリスを搬送装置101,102に供給するための通路である潤滑剤供給路が構成される。グリス吐出ポンプ13は、モーノポンプ等の一軸偏心ネジポンプまたは渦巻ポンプ等から構成されている。
【0044】
グリス吐出ポンプ13は、図4に示すように、ステータ151、ロータ152、ユニバーサルジョイント153、筐体154、ポンプ用モータ155、ドライブシャフト156、軸封装置157および軸受158を備える。
【0045】
筐体154の内部は、軸封装置157により密閉された状態となっている。また、第3排気管P5が、第2排気バルブV22を介して筐体154に接続されている。
【0046】
グリス供給バルブV3が開状態となると、グリスサーバ11から筐体154の内部にグリスが導入される(図4中の矢印AR31参照)。また、第2排気バルブV22が開状態になると、筐体154の内部の残留気体が筐体154外へ排出される。
【0047】
ドライブシャフト156は、筐体154に固定された軸受158により支持されており、長手方向の一端部がポンプ用モータ155の回転軸に連結されるとともに、他端部がユニバーサルジョイント153を介してロータ152に接続されている。
【0048】
ロータ152は、雄ネジ状に形成されており、ステータ151は、雌ネジ状に形成されている。そして、ステータ151の中にロータ152が差し込まれた状態において、ステータ151とロータ152との間には、グリスが入り込むことができる互いに独立した複数の領域が形成されている。ポンプ用モータ155がドライブシャフト156を軸J1周りに回転させると、これらの複数の領域が筐体154側から潤滑剤供給管P1側に向かって移動する(図4中の矢印AR33参照)。このとき、複数の領域それぞれに入り込んだグリスが、当該複数の領域とともに筐体154側から潤滑剤供給管P1側に向かって移動する。つまり、筐体154内部から上記複数の領域それぞれに入り込んだグリスが、ロータ152の回転とともに潤滑剤供給管P1側へ押し出される。
【0049】
グリス吐出ポンプ13から吐出されるグリスの量は、ロータ152の回転数に依存している。従って、ロータ152の回転数を調整することにより吐出されるグリスの量を調節することができる。
【0050】
供給側接続部C0は、搬送装置101、102が備えるチャンバ側接続部C1、C2に着脱可能に接続されている。チャンバ側接続部C1および供給側接続部C0は、例えば、Oリング等のシール材を介して互いに気密に接続される管継手から構成される。
【0051】
潤滑剤供給管P1は、グリス吐出ポンプ13の吐出口から供給側接続部C0へのグリスの通路を構成する。潤滑剤供給管P1には、グリス吐出ポンプ13から供給側接続部C0へのグリスの供給状態を切り替えるための供給側開閉バルブV23が介挿されている。また、潤滑剤供給管P1には、潤滑剤供給管P1の内部の圧力を検出する圧力ゲージPD2が設けられている。
【0052】
図1に示す排気ポンプ12は、潤滑剤供給管P1およびグリス吐出ポンプ13内を排気する。排気ポンプ12は、例えばドライポンプ等の周知の真空ポンプから構成される。潤滑剤供給管P1内の残留気体は、第1排気管P2、グリストラップタンク14および第2排気管P4を通じて、排気ポンプ12に吸入される。また、グリス吐出ポンプ13内の残留気体は、第3排気管P5、グリストラップタンク14および第2排気管P4を通じて、排気ポンプ12に吸入される。また、第1排気管P2には第1排気バルブV21が介挿され、第3排気管P5には第2排気バルブV22が介挿されている。第1排気バルブV21および第2排気バルブV22は、制御装置2から入力される制御信号により開閉が制御される。第1排気バルブV21および第2排気バルブV22は、排気ポンプ12停止時に閉じて、潤滑剤供給管P1内およびグリス吐出ポンプ13内の真空状態を保持するために使用される。
【0053】
グリストラップタンク14は、潤滑剤供給管P1およびグリス吐出ポンプ13から排気ポンプ12に向かう気体中に含まれるグリスを捕捉する。グリストラップタンク14は、潤滑剤供給管P1およびグリス吐出ポンプ13と、排気ポンプ12との間に配置されている。
【0054】
[制御装置]
制御装置2は、真空チャンバ100内に設置された搬送装置101、102の動作を制御する。また、制御装置2は、搬送装置101、102へのグリス供給の制御を行う。具体的には、制御装置2は、トルク検出器103からトルク情報を取得し、取得したトルク情報に基づいてグリス供給開始を判断する。次に、制御装置2は、排気ポンプ12の動作制御および排気バルブV21、V22の開閉制御を行うことにより、潤滑剤供給管P1およびグリス吐出ポンプ13内を真空状態にする。次に、制御装置2は、グリス吐出ポンプ13の動作制御を行うことにより、グリス供給とともにその供給量の制御を行う。
【0055】
この制御装置2は、例えば図5に示すように、CPU201と、記憶部202と、入出力部(I/F)203と、これらを接続するバス204とを備えたコンピュータから構成される。記憶部202は、CPU201が実行する制御プログラム等を記憶する。
【0056】
入出力部203は、トルク検出器103、104および圧力ゲージPD1、PD2に検出信号線(図1の破線矢印参照。)で接続されている。また、入出力部203は、排気ポンプ12、グリス吐出ポンプ13および各バルブV11、V12、V21、V22、V23、V3と制御信号線(図1の破線矢印参照。)を介して接続されている。
【0057】
CPU201は、記憶部202に記憶されている制御プログラムを実行し、入出力部203と検出信号線を介して、トルク検出器103、104からトルク情報を取得するとともに、圧力ゲージPD1、PD2から圧力情報を取得する。
【0058】
CPU201は、制御プログラムを実行し、取得したトルク情報と圧力情報に基づいて、排気ポンプ12およびグリス吐出ポンプ13に制御信号を送信して始動または停止させ、また、バルブV11、V12、V21、V22、V23、V3に制御信号を送信することにより、これらの開閉状態を制御する。
【0059】
次に、本実施の形態に係る真空処理システムの動作について説明する。
制御装置2は、搬送装置101,102を制御して、被処理体であるが半導体ウェハを搬送しつつ、図示せぬ他の真空処理装置を制御して、半導体ウェハに各種処理を施す。
この一般的な制御動作とし並行して、制御装置2は、図6に示す潤滑剤供給処理を実行し、搬送装置101,102に潤滑剤を供給する。
【0060】
この潤滑剤供給処理を詳細に説明する。
なお、ここでは、図1に示すように、チャンバ側接続部C1は供給側接続部C0に連結されているとする。また、排気ポンプ12は、動作し続けているものとする。
【0061】
制御装置2は、搬送装置101の起動と共に図6に示す潤滑剤供給処理を開始し、まず、トルク検出器103からトルク情報を取得する(ステップS1)。
【0062】
次に、制御装置2は、トルク情報が示すトルク値がトルク閾値を超えているか否かを判定する(ステップS2)。制御装置2は、トルク値が予め定められたトルク閾値を超えている場合(ステップS2:Yes)、ガイドレール101aの軌道溝111、112にグリスが不足しており、グリスを注入する必要があるため、グリス注入動作(ステップS3〜S10)に移行する。トルク閾値は、可動体駆動用モータからボールネジに加えるトルクの基準値よりも、例えば10%程度大きい値に設定される。
【0063】
制御装置2は、トルク値がトルク閾値を超えていないと判定すると(ステップS2:No)、再びステップS1の処理を行う。つまり、制御装置2は、トルク値がトルク閾値を超えない限り、ステップS1の処理を繰り返す。
【0064】
一方、制御装置2は、トルク値がトルク閾値を超えていると判定すると(ステップS2:Yes)、可動体101bを、グリスの注入が可能な、領域A1を覆う位置まで移動させる(ステップS3)。
【0065】
次に、制御装置2は、第1排気バルブV21、供給側開閉バルブV23および第2排気バルブV22を開状態にする(ステップS4)。これにより、排気ポンプ12が、第1排気管P2、第2排気管P4および第3排気管P5を通じて、潤滑剤供給管P1、チャンバ外供給管P21およびグリス吐出ポンプ13内を排気する。このとき、排出される気体に含まれるグリスが、グリストラップタンク14に捕捉される。
【0066】
続いて、制御装置2は、圧力ゲージPD1、PD2の検出値を取得し、取得した圧力ゲージPD1、PD2の検出値の差分が所定値よりも小さいか否かを判定する(ステップS5)。この判別処理は、制御装置2は、潤滑剤流通孔141と潤滑剤供給管P1とについて、これらの内部圧力の差圧がこれらを接続できる程度に十分小さいか否かを判定することに相当する。
【0067】
制御装置2は、圧力ゲージPD1、PD2の検出値の差分が所定値を超えると判定されると(ステップS5:No)、排気ポンプ12による排気を継続する。
【0068】
一方、制御装置2は、圧力ゲージPD1、PD2の検出値の差分が所定値以下と判定すると(ステップS5:Yes)、開閉バルブV11を開状態とする(ステップS6)。
【0069】
次に、制御装置2は、グリス供給バルブV3を開状態にする(ステップS7)。これにより、グリスサーバ11に貯留されているグリスが、その底面に形成された供給孔より、グリス吐出ポンプ13内へ供給される。
【0070】
また、ステップS7の実行と略同時に、制御装置2は、グリス吐出ポンプ13を動作させる(ステップS8)。これにより、グリス吐出ポンプ13内のグリスが、供給側接続部C0へ向かって送り出される。ここで、グリス吐出ポンプ13から送り出されるグリスの量は、グリス吐出ポンプ13のロータ152の回転数に依存する。
【0071】
潤滑剤供給管P1、チャンバ外供給管P21、チャンバ内供給管P11および潤滑剤流通孔141には、従前の潤滑剤供給処理で供給したグリスが充填されている。このため、グリス吐出ポンプ13が送り出したグリスにより、充填されていたグリスが圧送され、潤滑剤流通孔141から、図2(b)に示す可動体101bと転動体121、122とで囲まれた領域SP1へグリスが注入される。
【0072】
即ち、チャンバ内供給管P11内のグリスは、第1の孔141aを通って矢印AR21の方向へ押し出される。その後、グリスは、矢印AR22、AR23に示すように、第2の孔141bおよび第3の孔141cそれぞれに分割して押し出され、領域SP1へ注入される。
【0073】
領域SP1へ注入されたグリスは、当該領域SP1に近接した転動体121、122における軌道溝111、112に接触する部位に注入される。
【0074】
制御装置2は、予め設定された回転数だけ、ロータ152を回転して、基準量のグリスを供給すると、グリス吐出ポンプ13を停止させる。
その後、通常の半導体ウェハ搬送処理において、可動体101bがガイドレール101aに沿って移動すると、転動体121、122が軌道溝111、112内で転動し、領域SP1に注入されたグリスが、転動体121、122における軌道溝111、112に接触する部位を介して軌道溝111、112の略全体に行き渡る。その結果、可動体101bがガイドレール101a上を移動するときの摩擦、即ち、転動体121、122と軌道溝111、112との間の摩擦が低減される。
【0075】
なお、ステップS8において、制御装置2は、可動体駆動用モータがボールネジに加える回転トルクの大きさに応じて再度グリス吐出ポンプ13を動作させるようにしてもよい。具体的には、制御装置2は、グリス吐出ポンプ13からグリスを吐出させた後、可動体101bをガイドレール101aに沿って移動させる。そして、制御装置2は、グリスがガイドレール101aに馴染んだ状態で、トルク検出器103により検出されるトルク値を取得する。そして、制御装置2が、取得した検出値がトルク閾値よりも高い場合には、再度グリス吐出ポンプ13を動作させるようにすればよい。
【0076】
ステップS8の実行後、制御装置2は、グリス供給バルブV3を閉状態にする(ステップS9)。これにより、グリスサーバ11からグリス吐出ポンプ13内部へのグリスの供給が停止される。
【0077】
次に、制御装置2は、開閉バルブV11、第1排気バルブV21、供給側開閉バルブV23および第2排気バルブV22を閉状態とする(ステップS10)。これにより、チャンバ内供給管P11および潤滑剤流通孔141の内部を真空状態で維持することができる。
【0078】
その後、制御装置2は、電源オフ指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS10)。例えばユーザが制御装置2に接続された入力装置において潤滑剤供給装置1或いは搬送装置101、102の電源をオフするための所定の操作を行ったときに、制御装置2が電源オフ指示を受け付ける。
【0079】
制御装置2は、電源オフ指示を受け付けていないと判定すると(ステップS10:No)、再びステップS1の処理を行う。
一方、制御装置2は、電源オフ指示を受け付けたと判定すると(ステップS10:Yes)、処理を終了する。
【0080】
本実施の形態に係る搬送システムによれば、グリスサーバ11が大気中に設置されており、グリスサーバ11にグリスを継ぎ足すだけで、搬送装置101、102へグリスを略永続的に供給することができる。これにより、従来構成(例えば特許文献1に記載された構成)のように、真空チャンバ内に設置されたグリス収容部内に収容されているグリスが枯渇する度に真空チャンバを大気開放する必要がない。従って、真空チャンバ100を大気開放することに伴う真空処理装置の稼働率の低下を無くすことができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る搬送装置101では、潤滑剤流通孔141がガイドレール101aに固定設置されている。これにより、上記従来構成のように、真空中において可動体101bとグリス収容部とを着脱自在に接続する構造を設ける必要がない。従って、従来構成に比べて構造を簡素化することができる。
【0082】
更に、本実施形態に係る搬送システムでは、グリスサーバ11が真空チャンバ100外部の大気中に配置されている。従って、グリスサーバ11に貯留されているグリスについて、グリスの一部の成分が揮発することにより当該グリスが劣化してしまうのを抑制できる。
【0083】
<第1の変形例>
実施の形態では、潤滑剤流通路がガイドレール101aに設けられた潤滑剤流通孔141を含んで構成される例について説明したが、潤滑剤流通路の構成は、その一部がガイドレール101aに設けられるものに限定されるものではない。例えば、潤滑剤流通路の一部が可動体に設けられていてもよい。
【0084】
図7(a)に示すように、第1の変形例に係る搬送装置501は、ガイドレール501aと、可動体501bと、潤滑剤中継部542と、を備える。なお、実施の形態と同様の構成については同一の符号を付す。
【0085】
潤滑剤中継部542は、ガイドレール501a上のガイドレール501aの延伸方向における一端部に配設されている。潤滑剤中継部542は、中継部側接続部C502を有する。潤滑剤中継部542は、チャンバ内供給管P51、開閉バルブV11およびチャンバ外供給管P21を介してチャンバ側接続部C1に接続されている。ここで、チャンバ内供給管P51、開閉バルブV11およびチャンバ外供給管P21で、グリスの通路である潤滑剤中継路を構成している。
【0086】
可動体501bは、可動体側流通路541と、可動体側接続部C503と、を有する。可動体側接続部C503は、可動体501bがガイドレール501a上を移動することにより、中継部側接続部C502に対して着脱可能となっている。可動体側流通路541は、可動体側接続部C503と可動体501bのガイドレール501aに接触する部位近傍との間を結ぶグリスの通路である。ここで、上記潤滑剤中継路と、潤滑剤中継部542と、可動体側接続部C503と、可動体側流通路541とから潤滑剤流通路が構成されている。
図7(b)および図8に示すように、可動体側流通路541は、可動体側接続部C503から、可動体501bの内側における、ガイドレール501aの軌道溝511、512の間の部位に対向する部位に延びている。
【0087】
ここにおいて、可動体501bが、矢印AR5に示すように、潤滑剤中継部542に近づく方向へ移動して予め定められた領域に到達すると、中継部側接続部C502と可動体側接続部C503とが連結された状態となる。このとき、可動体側流通路541とチャンバ外供給管P21および潤滑剤供給管P1とが、潤滑剤中継部542およびチャンバ内供給管P51を介して接続される。
【0088】
本構成によれば、潤滑剤中継部542の配置を変更するだけで、可動体側流通路541へのグリス供給が可能となるグリス供給位置を変更することができる。従って、ガイドレール側に潤滑剤流通孔を設ける場合に比べて、グリス供給位置の変更が容易であるという利点がある。
【0089】
<第2の変形例>
実施の形態では、搬送装置101、102それぞれに対して1個ずつチャンバ側接続部C1、C2が設けられ、搬送装置101、102に対して個別にグリスを供給する構成について説明した。但し、チャンバ側接続部が複数の搬送装置101、102それぞれに対して1個ずつ設けられる構成に限定されるものではない。例えば、チャンバ側接続部(第1接続部)が、複数の搬送装置(例えば搬送装置101、102)に対する共通の1つの接続部であってもよい。そして、複数の搬送装置それぞれに対応する潤滑剤注入管が、当該1つの接続部に接続されるものであってもよい。
【0090】
図9に示すように、第2の変形例に係る搬送システムは、マニホールド211を備える。なお、実施の形態と同様の構成については同一の符号を付す。
マニホールド211には、第1チャンバ内供給管P211、第2チャンバ内供給管P212および第3チャンバ内供給管P213が接続されている。第1チャンバ内供給管P211は、搬送装置101への潤滑剤供給路の一部を構成し、第2チャンバ内供給管P212は、搬送装置102への潤滑剤供給路の一部を構成している。第3チャンバ内供給管P213は、開閉バルブV11を介してチャンバ外供給管P21に接続されている。
【0091】
本構成によれば、複数の搬送装置101、102に対して同時にグリスを供給することができるので、グリス供給作業の効率化を図ることができる。
【0092】
なお、第1チャンバ内供給管P211および第2チャンバ内供給管212それぞれに、バルブ(図示せず)を介挿し、制御装置2が当該各バルブを個別に開閉制御するようにしてもよい。例えば、搬送装置101、102で使用頻度に差異がある場合、搬送装置101、102に要求されるグリス供給頻度に差異が生じる。例えば、搬送装置101へのグリス供給頻度が、搬送装置102へのグリス供給頻度に比べて小さくなったりする。これに対して、本構成によれば、例えば第1チャンバ内供給管P211に介挿されたバルブを開状態とし、第2チャンバ内供給管P212に介挿されたバルブを閉状態とすることにより、搬送装置101のみにグリスを供給することができる。
【0093】
更に、図10に示す構成において、マニホールド211に代えて三方バルブ(供給路切り替え部)を設けてもよい。この構成によれば、複数の搬送装置の中からグリス供給先を選択する構成としながらも、チャンバ側接続部を1つだけ設ければよいので、その分構造の簡素化を図ることができる。
【0094】
<第3の変形例>
実施の形態では、供給側接続部C0が1個だけ設けられる例について説明したが、供給側接続部C0の個数は1個に限定されるものではない。例えば、複数の搬送装置を備える構成において、潤滑剤供給装置が、複数の供給側接続部(第2接続部)を備えるものであってもよい。そして、潤滑剤供給管(潤滑剤供給路)に、供給先を複数の供給側接続部のいずれに切り替える三方バルブ(供給路切り替え部)が設けられているものであってもよい。
【0095】
図10に示すように、第3の変形例に係る潤滑剤供給装置401は、2つの供給側接続部C402、C403と、2つの供給側接続部C402、C403に接続された副潤滑剤供給管P401、P402と、副潤滑剤供給管P401、P402および潤滑剤供給管P1に接続された三方バルブ(供給路切り替え部)V405と、を備える。なお、実施の形態と同様の構成については同一の符号を付す。
【0096】
三方バルブV405は、潤滑剤供給管P1が接続される共通ポートPocomと、副潤滑剤供給管P401が接続される第1ポートPo1と、副潤滑剤供給管P402が接続される第2ポートPo2と、を有する。
供給側接続部C402、C403それぞれは、チャンバ側接続部C1、C2に接続可能である。三方バルブV405は、制御装置2から送信される制御信号によって、共通ポートPocomに連通するポートを、第1ポートPo1または第2ポートPo2のいずれかに切り替える。このように、三方バルブV405を切り替えることによりグリスの供給先を搬送装置101または搬送装置102に切り替えることができる。
【0097】
本構成によれば、グリス供給先の切り替え作業を簡略化することができる。
【0098】
なお、図10に示す構成において、三方バルブV405に代えて、潤滑剤供給管P1と供給側接続部C401、C402それぞれとを接続するマニホールド(図示せず)を設けてもよい。この場合、潤滑剤供給管P1から供給されるグリスを供給側接続部C401、C402に同時に供給することができる。
【0099】
<第4の変形例>
実施の形態では、ガイドレール101a、102aが直線状である例について説明したが、ガイドレールの形状は直線状に限定されるものではない。例えば、ガイドレールが曲線状の部位を有するものであってもよい。この場合、可動体は、ガイドレールに沿って曲線状の軌跡を描くように移動可能である。
【0100】
図11および図12に示すように、第4の変形例に係る搬送装置301は、ガイドレール301aと、可動体301bと、を備える。なお、実施の形態と同様の構成については同一の符号を付す。
ガイドレール301aは平面視略円弧状に延伸している。可動体301bは、図11中の矢印AR4に示すように、ガイドレール301aに沿って略円弧状の軌跡を描くように移動することができる。ガイドレール301aには、潤滑剤流通孔341が設けられている。この潤滑剤流通孔341は、第1の孔341aと、第2の孔342bと、第3の孔342cとから構成される。そして、第1の孔341aは、チャンバ内供給管P311およびチャンバ外供給管P321を介してチャンバ側接続部C301が接続されている。チャンバ内供給管P311とチャンバ外供給管P321との間には、開閉バルブV311が介挿されている。そして、可動体301bがガイドレール301aにおける潤滑剤流通孔341が開口する部位を覆う予め定められた領域(図11の領域A3参照)に配置された状態で、潤滑剤流通孔341から軌道溝311a、311bへのグリス注入を行うことができる。
【0101】
ところで、軌道溝311aの長さL1は、軌道溝311bの長さL2に比べて短い。この場合、軌道溝311aの内側領域の体積は軌道溝311bの内側領域の体積に比べて小さくなる。すると、2つの軌道溝311a、311bのいずれか一方の体積に基づいて、2つの軌道溝311a、311bの両方に同じ量のグリスを供給すると、いずれか一方のグリスの量が多すぎたり或いは少なすぎたりすることになる。この場合、軌道溝311aへの転動体接触部位に供給するグリスの量を、軌道溝311bへの転動体接触部位に供給するグリスの量に比べて減らす必要がある。
【0102】
これに対して、図12に示すように、搬送装置301では、潤滑剤流通孔341の第2の孔341bの内径と第3の孔341cの内径とを異ならせることにより、2つの軌道溝311a、311bに供給するグリスの量を異ならせている。具体的には、第2の孔341bの内径R1および第3の孔341cの内径R2は、軌道溝311a、311bそれぞれの長さL1、L2との間に下記式(1)の関係式が成立するように設定されている。
R1/R2=L1/L2・・・式(1)
【0103】
本構成によれば、平面視略円弧状のガイドレール301aを備える搬送装置301において、ガイドレール301aの幅方向における両側に設けられた2つの軌道溝311a、311bそれぞれに各軌道溝311a、311bの長さに応じた適量のグリスを供給することができる。
【0104】
なお、ガイドレール301aの内側と外側において、潤滑剤流通孔341の開口部の数を異ならせることにより、各軌道溝311a、311bへ供給するグリスの量を異ならせるようにしてもよい。
【0105】
また、本変形例では、ガイドレール301aが略平面視円弧状である例について説明したが、例えば、ガイドレールが、曲線状部分と直線状部分との両方を組み合わせて形状を有するものであってもよい。この場合、可動体として、曲線状部分および曲線状部分それぞれに合わせて変形するようものを採用すればよい。例えば、曲線状部分を移動できる複数の小型の可動体を、ユニバーサルジョイント等を介して連結したものを採用してもよい。
【0106】
<その他の変形例>
実施の形態に係る搬送システムにおいて、制御装置2が、ユーザに対して搬送装置101、102へのグリス供給が必要な旨を通知するアラームを発報するようにしてもよい。ここで、制御装置2は、トルク検出器103,104から入力されるトルク情報に基づいて、トルク値が所定の閾値を超えるとアラームを発報するようにすればよい。
【0107】
例えば、供給側接続部C0がチャンバ側接続部C1に接続されている場合に、制御装置2が、搬送装置102へのグリス供給が必要な旨を通知するアラームを発報したとする。この場合、図13に示すように、ユーザが供給側接続部C0をチャンバ側接続部C1からチャンバ側接続部C2に繋ぎかえれば、搬送装置102へグリス供給を行うことができる。
【0108】
実施の形態では、ガイドレール101aに形成された第2の孔141bが、ガイドレール101aをY方向に略一直線に貫通している例について説明した。但し、第2の孔141bの形状はこれに限定されるものではない。例えば、第2の孔が、第1の孔に連続する部分からガイドレール101aのY方向に直交する両端面に近づくにつれて軌道溝111側に近づくように傾斜していてもよい。即ち、第1の孔と第2の孔とが、略Y字状の潤滑剤流通路を構成するように形成されていてもよい。
【0109】
また、実施の形態では、X方向に直交する所定の断面で見た場合に、第2の孔141bのY方向における一方と他方とが現れる例について説明した。但し、X方向に直交し且つ第2の孔141bのY方向における一方が現れる断面と、X方向に直交し且つ第2の孔141bのY方向における他方が現れる断面とが異なっていてもよい。即ち、ガイドレール101aのY方向における一方の側面と他方の側面とで第2の孔141bが開口する位置が異なっていてもよい。
【0110】
実施の形態では、グリス吐出ポンプ13を使用する例について説明したが、グリスサーバ11から潤滑剤流通孔141およびチャンバ内供給管P11へグリスを流動させる方法はこれに限定されるものではない。例えば、潤滑剤流通孔141や潤滑剤供給管P1の内圧と大気圧との圧力差を利用してグリスサーバ11から潤滑剤流通孔141およびチャンバ内供給管P11へグリスを流動させる構成であってもよい。
具体的には、グリスサーバ11が、グリス供給バルブを介して潤滑剤供給管P1に直接接続されたものであってもよい。この場合、グリス供給バルブが開状態となると、グリスサーバ11内のグリスにおける、グリス供給バルブ側とは反対側に加わる大気圧により、グリスサーバ11内のグリスが潤滑剤供給管P1内に押し出される。
或いは、グリスサーバ11内のグリスにおける、グリス導入バルブ側とは反対側に気体を導入し、導入した気体の気圧を利用してグリスを潤滑剤供給管P1内へ押し出す構成であってもよい。
【0111】
本構成によれば、グリス吐出ポンプ13を省略することができるので、潤滑剤供給装置の構造の簡素化を図ることができる。
【0112】
実施の形態では、グリスサーバ11を備える構成について説明したが、グリス吐出ポンプ13が例えばモーノポンプ等のように内部にグリスを貯留することが可能である場合、グリスサーバ11を省略した構成としてもよい。この構成では、モーノポンプ13が潤滑剤貯留部として機能する。
この場合、ユーザは、グリス供給バルブV3を開いて、グリスを収容したチューブやグリスガン等を用いて、グリス吐出ポンプ13内にグリスを供給すればよい。なお、上記チューブやグリスガン等は、グリス供給バルブV3に常時接続しておいてもよい。
【0113】
本構成によれば、グリスサーバ11を省略できる分、潤滑剤供給装置の小型化を図ることができる。
【0114】
実施の形態では、搬送装置101、102を備える搬送システムの例について説明したが、定期的にグリスを注入する必要がある真空処理装置を備える他の種類の真空処理システムであってもよい。例えば、軸受を利用した搬送装置について、軸受の転動体が軌道溝に接触する部位にグリスを注入する構成であってもよい。また、実施の形態では、可動体を搬送する搬送機構がボールネジとボールナットを用いたものである例について説明したが、搬送機構の種類はこれに限定されるものではない。例えば、搬送機構が、リニアモータを利用したものであってもよい。
【0115】
実施の形態では、ガイドレール101aにおける領域A1を覆う位置に配置された可動体101bのガイドレール101aに接触する部位にグリスを注入する例について説明したが、グリスを注入する潤滑対象部位は、これに限定されるものではない。例えば、潤滑対象部位が、ボールネジにおけるボールナットと接触する部位であってもよい。
【0116】
実施の形態では、潤滑剤として半固形状のグリスを使用する例について説明したが、潤滑剤の種類はこれに限定されるものではなく、潤滑剤として液体状の潤滑油を使用するものであってもよい。
【0117】
転動体121は、球体に限定されるものではなく、例えばころ等の他の種類の転動体から構成されていてもよい。この場合、軌道溝111の形状を、転動体の形状に適合した形状(例えば転動体が円柱状のころであれば軌道溝111の形状を断面略矩形状)にすればよい。
【0118】
本実施形態では、搬送システムにおいて、開閉バルブV11、V12、V311並びに供給側開閉バルブV23を備える例について説明したが、バルブの種類は開閉バルブに限定されず、これに代えて他の種類のバルブを用いてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1:潤滑剤供給装置
2:制御装置
11:グリスサーバ(潤滑剤貯留部)
12:排気ポンプ(排気部)
13:グリス吐出ポンプ(潤滑剤送出部)
14:グリストラップタンク(潤滑剤捕捉部)
100:真空チャンバ
101、102、301、501:搬送装置(搬送装置)
101a、102a、301a、501a:ガイドレール
101b、102b、301b、501b:可動体
103、104:トルク検出器
111、112、311a、311b:軌道溝
141、142、341:潤滑剤流通孔(潤滑剤流通路)
211:マニホールド
541:可動体側流通路
542:潤滑剤中継部
C0、C401、C402:供給側接続部(第2接続部)
C1、C2、C301:チャンバ側接続部(第1接続部)
P1:潤滑剤供給管
P2:第1排気管
P4:第2排気管
P5:第3排気管
P11、P51、P311:チャンバ内供給管
P21、P321:チャンバ外供給管
P211:第1チャンバ内供給管
P212:第2チャンバ内供給管
P213:第3チャンバ内供給管
V3:グリス供給バルブ
V11、V12、V311:開閉バルブ
V21:第1排気バルブ
V22:第2排気バルブ
V23:供給側開閉バルブ
V405:三方バルブ(供給路切り替え部)
図1
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図13