特許第6201932号(P6201932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201932
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】車両の乗降装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 3/06 20060101AFI20170914BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61G3/06 706
   B60P3/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-170153(P2014-170153)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-43090(P2016-43090A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2016年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々 忠嘉
(72)【発明者】
【氏名】山本 仁
(72)【発明者】
【氏名】堀口 賢治
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−238982(JP,A)
【文献】 特開2006−347387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/00 − A61G 3/08
B60P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外側の乗降位置と、前記車両の内側の格納位置との間で往復移動できるように構成された移動部材と、前記移動部材を前記格納位置に格納する際に、前記格納位置にある障害物を検出できるように構成された障害物検出器とを備える車両の乗降装置であって、
前記障害物検出器は、前記車両のボディ側に設置されて、前記格納位置を横断するように光を照射し、その光の通過の有無により障害物を検出する構成であり、
前記移動部材には、その移動部材が前記格納位置に格納される際に、前記障害物検出器の光を遮った場合でも、光が通過したように前記障害物検出器を動作させる検出器動作部材が取付けられている車両の乗降装置。
【請求項2】
請求項1に記載された車両の乗降装置であって、
前記障害物検出器は、光源部と受光部とを有する光電センサと、前記光電センサの光源部から照射された光を前記光電センサの受光部の方向に反射させる第1の反射板とを備えており、
前記移動部材に取付けられた検出器動作部材は、前記光電センサの光源部から照射された光を前記光電センサの受光部の方向に反射させる第2の反射板である車両の乗降装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された車両の乗降装置であって、
前記移動部材は、車椅子を載置するプラットホームで、車両前後方向にスライド可能に構成されており、
前記車両の床部には、前記プラットホームを格納する凹部が形成されて、前記プラットホームが前進限位置まで前進スライドした状態で、そのプラットホームの前面が前記凹部の前端内壁の位置まで到達して前記凹部に格納される構成であり、
前記障害物検出器は、前記凹部の前端内壁の近傍位置で、前記凹部の内部空間を横断するように車幅方向に光を照射できるように配置されている車両の乗降装置。
【請求項4】
請求項3に記載された車両の乗降装置であって、
前記障害物検出器が車幅方向に照射する光の車両前後方向における位置は、前記凹部の前端内壁から車両後方に約50mmの位置である車両の乗降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外側の乗降位置と、前記車両の内側の格納位置との間で往復移動できるように構成された移動部材と、前記移動部材を前記格納位置に格納する際に、前記格納位置にある障害物を検出できるように構成された障害物検出器とを備える車両の乗降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これに関連する車両の乗降装置が特許文献1に記載されている。特許文献1の乗降装置は、車椅子を載置するプラットホームを車両の外側の乗降位置と車両の内側の格納位置との間で移動させて、車椅子の乗員が乗降できるように構成されている。プラットホームは、車両前後方向にスライド可能に構成されており、車両の床部FLには、図12に示すように、プラットホーム100を格納する凹部105が形成されている。そして、プラットホーム100が前進限位置まで前進スライドした状態で、そのプラットホーム100の前面が凹部105の前端内壁105dの位置まで到達して前記凹部105に格納される。
【0003】
プラットホーム100の前面には、凹部105の前端内壁105dとプラットホーム100間に障害物(図示省略)が存在する場合に、その障害物を検出する障害物センサ107が取付けられている。障害物センサ107は、車幅方向に延びるベルト状に形成されており、プラットホーム100の前進スライド中に障害物に当接して弾性変形することで、前記障害物を検出できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−238982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した乗降装置では、ベルト状の障害物センサ107により障害物を検出する構成である。このため、ベルト状の障害物センサ107をプラットホーム100の前部に取付ける場合には、障害物センサ107の両端を支持部材等によりプラットホーム100の幅方向両側に取付ける必要がある。このため、プラットホームの幅方向両側では、障害物の検出が難しくなる。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、移動部材を格納する格納位置にある障害物を確実に検出できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。請求項1の発明は、車両の外側の乗降位置と、前記車両の内側の格納位置との間で往復移動できるように構成された移動部材と、前記移動部材を前記格納位置に格納する際に、前記格納位置にある障害物を検出できるように構成された障害物検出器とを備える車両の乗降装置であって、前記障害物検出器は、前記車両のボディ側に設置されて、前記格納位置を横断するように光を照射し、その光の通過の有無により障害物を検出する構成であり、前記移動部材には、その移動部材が格納位置に格納される際に、前記障害物検出器の光を遮った場合でも、光が通過したように前記障害物検出器を動作させる検出器動作部材が取付けられている。
【0008】
本発明によると、障害物検出器は、車両のボディ側に設置されて、移動部材の格納位置を横断するように光を照射し、その光の通過の有無により障害物を検出する。このため、格納位置に障害物があると、障害物により障害物検出器の光が遮られることで、障害物検出器が障害物を検出できるようになる。さらに、障害物検出器は、車両のボディ側に設置されているため、移動部材の幅方向両側でも良好に障害物を検出できる。また、移動部材には、検出器動作部材が取付けられている。このため、移動部材が障害物検出器の光を遮った場合でも、検出器動作部材が光の通過が行われたように障害物検出器を動作させる。したがって、移動部材が障害物と誤認されることがない。
【0009】
請求項2の発明によると、障害物検出器は、光源部と受光部とを有する光電センサと、前記光電センサの光源部から照射された光を前記光電センサの受光部の方向に反射させる第1の反射板とを備えており、前記移動部材に取付けられた検出器動作部材は、前記光電センサの光源部から照射された光を前記光電センサの受光部の方向に反射させる第2の反射板である。このため、移動部材が光電センサと第1の反射板との間で光を遮ると、その移動部材に取付けられた第2の反射板が光電センサの光源部から照射された光を前記光電センサの受光部の方向に反射させる。このため、光電センサの受光部は光を検知し続けるようになり、移動部材が障害物として検出されることがない。このように、検出器動作部材として第2の反射板を使用する構成のため、検出器動作部材を低コストで製作できる。
【0010】
請求項3の発明によると、移動部材は、車椅子を載置するプラットホームで、車両前後方向にスライド可能に構成されており、車両の床部には、前記プラットホームを格納する凹部が形成されて、前記プラットホームが前進限位置まで前進スライドした状態で、そのプラットホームの前面が前記凹部の前端内壁の位置まで到達して前記凹部に格納される構成であり、障害物検出器は、前記凹部の前端内壁の近傍位置で、前記凹部の内部空間を横断するように車幅方向に光を照射できるように配置されている。
【0011】
請求項4の発明によると、障害物検出器が車幅方向に照射する光の車両前後方向における位置は、凹部の前端内壁から車両後方に約50mmの位置である。このため、凹部の前端内壁とプラットホームの前面との間に挟まれる可能性のある障害物を確実に検出できる。また、プラットホームが光電センサの位置まで前進スライドして、プラットホームの第2の反射板が光電センサの光を反射する状態では、プラットホームの前面から凹部の前端内壁までの距離は50mm以下である。この状態で、凹部内に新たな障害物が入り込む可能性はほとんどなく、光電センサが凹部内の障害物を検出できなくても特に問題はない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、移動部材を格納する格納位置にある障害物を確実に検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係る車両の乗降装置を表す全体斜視図である。
図2】前記乗降装置の動作を表す側面図である。
図3】前記乗降装置の動作を表す側面図である。
図4】前記乗降装置のプラットホームに設けられた第2反射板と、車両ボディの光電センサ、及び第1反射板との関係を車両後方から見た縦断面図である。
図5】前記乗降装置のプラットホームに設けられた第2反射板と、車両ボディの光電センサ、及び第1反射板との関係を車両の斜め前方から見た斜視図である。
図6】前記乗降装置のプラットホームに設けられた第2反射板と、車両ボディの光電センサ、及び第1反射板との関係を表す側面図である。
図7】プラットホームの格納状態を表す模式平面図である。
図8】プラットホームの格納状態を表す模式側面図である。
図9】プラットホームの格納途中を表す模式平面図(障害物なし)である。
図10】プラットホームの格納途中を表す模式側面図(障害物なし)である。
図11】プラットホームの格納途中を表す模式側面図(障害物あり)である。
図12】従来の車両の乗降装置におけるプラットホームの格納途中を表す模式側面図(障害物なし)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態1]
以下、図1から図11に基づいて本発明の実施形態1に係る車両の乗降装置について説明する。本実施形態に係る車両の乗降装置は、ワンボックスタイプの福祉車両Cの後部に設置された車椅子リフタ10である。ここで、図中における前後左右及び上下は車椅子リフタ10を備える福祉車両Cの前後左右及び上下に対応している。
【0015】
<福祉車両C及び車椅子リフタ10の概要ついて>
前記福祉車両Cは、図1等に示すように、車両後部にドア開口部Hを備えており、そのドア開口部Hがバックドア(図示省略)によって開閉可能に構成されている。そして、前記福祉車両Cのドア開口部Hの内側に、乗員を車椅子Kで乗降させるための車椅子リフタ10が設けられている。車椅子リフタ10は、車椅子Kを載せる水平なプラットホーム20と、そのプラットホーム20を水平な状態で昇降させる左右一対の昇降リンク機構40とを備えている。そして、昇降リンク機構40の先端部分(下端部分)には、前記プラットホーム20を前後スライド可能な状態で左右から支持するプラットホームホルダ30が設けられている。また、車椅子リフタ10は、プラットホーム20を福祉車両Cの車室内に格納する際に、格納位置の障害物を検出する障害物検出器50を備えている。
【0016】
<昇降リンク機構40ついて>
昇降リンク機構40は、図1から図3に示すように、車室フロア15の後部両端(左右)に設けられた固定金具41と、左右の前記固定金具41にそれぞれ上下回動可能な状態で連結された四節リンク機構43と、その四節リンク機構43の先端側に同じく上下回動可能な状態で連結された起立状態の昇降アーム44と、前記四節リンク機構43を上下回動させて、昇降アーム44を昇降させる油圧シリンダ(図示省略)とから構成されている。なお、図1はカバー430に覆われた状態の四節リンク機構43を表しており、図2図3はカバー430を省略した状態の四節リンク機構43を表している。
【0017】
四節リンク機構43は、四隅に相対回動可能な連結点(支点)を備えるリンク機構であり、図2図3に示すように、固定金具41のリンク支持部411と、上部リンク433と、下部リンク434と、昇降アーム44のリンク支持部445とから構成されている。そして、前記油圧シリンダの動作により、四節リンク機構43が上下回動することで、昇降アーム44が起立姿勢のままで昇降するようになる。左右の昇降アーム44の下端部には、図1図3に示すように、前記プラットホームホルダ30が設けられており、左右のプラットホームホルダ30にプラットホーム20が前後スライド可能な状態で支持されている。プラットホームホルダ30には、プラットホーム20をそのプラットホームホルダ30に対して前後スライドさせる電動スライド装置(図示省略)が設けられている。
【0018】
<福祉車両Cの車室フロア15について>
福祉車両Cの車室フロア15の後部には、図2図3等に示すように、プラットホーム20が水平に格納される凹部17が形成されている。そして、凹部17の内部の左右両側には、図4に示すように、プラットホーム20を前後スライド可能なようにガイドするガイドレール18が車両前後方向に延びるように設置されている。左右のガイドレール18は、プラットホーム20の左右の側面下部に設けられた前輪25を下方から支えるレール本体部18mと、前記前輪25を側面と上方から覆えるように構成されたガイド壁部18kとから構成されている。そして、プラットホーム20が左右のガイドレール18にガイドされて凹部17に格納された状態で、図3等に示すように、プラットホーム20のプラットホーム面22が車室フロア15のフロア面15fと等しい高さになる。これにより、プラットホーム面22に載せられた車椅子Kを車室フロア15のフロア面15fまで案内できるようになる。なお、図1図3、及び図5図11では左右のガイドレール18等は省略されている。
【0019】
プラットホーム20は、プラットホームホルダ30の電動スライド装置の動作により、図2に示す後進限位置と、図3に示す前進限位置との間で、左右のガイドレール18に沿って前後スライド可能に構成れている。そして、プラットホーム20が前進限位置まで前進スライドすることで、図3に示すように、プラットホーム20の前面20fが車室フロア15の凹部17において段差状に形成された前端内壁17wの位置まで到達するようになる。このように、プラットホーム20の前面20fが凹部17の前端内壁17wまで到達する位置が本発明のプラットホーム20の格納位置に相当する。また、プラットホーム20が本発明の移動部材に相当する。
【0020】
<障害物検出器50について>
障害物検出器50は、プラットホーム20が車室フロア15の凹部17に格納される際に障害となる物、例えば、凹部17内に入った乗員(介助者)の靴等を検出する装置である。障害物検出器50は、図4図5に示すように、光電センサ55と第1の反射板51とを備えている。光電センサ55は、光を照射する光源部と、第1の反射板51に反射された光源部の光を検知する受光部とを有している。光電センサ55は、車室フロア15の凹部17内の右端位置であって、前記凹部17の内部空間を横断するように車幅方向に光を照射できる位置に配置されている。そして、光電センサ55は、図4に示すように、ボディ内壁の固定された車室内部品13にブラケット13bによって取付けられている。
【0021】
第1の反射板51は、光電センサ55の光源部から照射された光をその光電センサ55の受光部の方向に反射する反射板であり、図5等に示すように、凹部17内の左端位置であって、光電センサ55と対向する位置に配置されている。即ち、第1の反射板51は、図4に示すように、左側のガイドレール18におけるガイド壁部18kの内側に取付けられている。ここで、図4では、ガイドレール18を詳細に記載するため、プラットホーム20の中央部分を省略している。このため、図4では、上下の縮尺と左右の縮尺とが一致しておらず、光電センサ55と第1の反射板51は上下に大きくずれて記載されている。しかし、光電センサ55と第1の反射板51とは高さ位置が若干異なっていても、互いに対向するように位置決めされている。
【0022】
光電センサ55と第1の反射板51とは、図6に示すように、凹部17の前端内壁17wから後方に距離Lの位置に設置されている。ここで、距離Lは、L=50mmに設定されている。即ち、凹部17の空間内には、光電センサ55の光源の光が凹部17の前端内壁17wから後方に距離Lの位置で車幅方向に通るようになる。そして、光電センサ55と第1の反射板51との間で光が遮られると、光電センサ55の受光部が光を検知しなくなることで、光電センサ55がオンする。これにより、車室フロア15の凹部17内に障害物が有りと判定される。光電センサ55がオンすると、プラットホーム20をスライドさせるプラットホームホルダ30の電動スライド装置が停止して、プラットホーム20は現位置に保持される。上記したように、光電センサ55と第1の反射板51とは、凹部17の前端内壁17wから後方に距離L=50mmの位置に設置されている。このため、凹部17の前端内壁17wの近傍に位置する障害物を効率的に検出できるようになり、前端内壁17wとプラットホーム20間での障害物の挟み込みを防止できようになる。
【0023】
プラットホーム20の前端右側面には、第2の反射板52が取付けられている。第2の反射板52は、図4等に示すように、プラットホーム20が光電センサ55の光源部の光を遮ろうとする際、前記光源部の光をその光電センサ55の受光部の方向に反射させられるように構成されている。これにより、プラットホーム20が光電センサ55と第1の反射板51との間で光を遮った場合でも、光電センサ55の受光部が光を検知し続けるため、光電センサ55がオンすることがない。このため、プラットホーム20が障害物であると誤認されることがなくなる。即ち、第2の反射板52が本発明の検出器動作部材に相当する。
【0024】
<車椅子リフタ10の動作について>
上記した車椅子リフタ10において乗員を降車させる場合には、バックドアを開いた状態で降車用の操作スイッチ(図示省略)を操作する。これにより、プラットホームホルダ30の電動スライド装置が駆動してプラットホーム20が、図3に示す格納位置から後進スライドするようになる。そして、プラットホーム20が、図2に示す後進限位置までスライドすると、左右の昇降リンク機構40の油圧シリンダが動作する。これにより、左右の昇降リンク機構40の四節リンク機構43が下方に回動し、昇降アーム44とプラットホーム20とが、図1に示すように、地上の乗降位置まで下降するようになる。
【0025】
乗降位置のプラットホーム20を車室内の格納位置まで移動させる場合には、乗車用の操作スイッチ(図示省略)を操作する。これにより、左右の昇降リンク機構40が上記と逆方向に動作して昇降アーム44とプラットホーム20とが、図2に示すように、車室フロア15と等しい高さ位置まで上昇する。次に、プラットホームホルダ30の電動スライド装置が駆動してプラットホーム20が前進スライドするようになる。
【0026】
このとき、例えば、図11に示すように、介助者が車室フロア15の凹部17に入り込み、光電センサ55と第1の反射板51との間で光が遮られると、光電センサ55がオンする。これにより、プラットホームホルダ30の電動スライド装置が停止し、プラットホーム20がその位置で停止する。介助者が車室フロア15の凹部17から出て、再び、乗車用の操作スイッチを操作すると、図9図10に示すように、プラットホーム20は前進スライドを開始する。そして、プラットホーム20が、図7図8に示すように、光電センサ55の位置まで到達すると、プラットホーム20は光電センサ55と第1の反射板51間で光を遮るようになる。しかし、この状態で、プラットホーム20の第2の反射板52が、図7に示すように、光電センサ55の光源の光をその光電センサ55の受光部の方向に反射するため、光電センサ55はオフの状態を保持する。これにより、プラットホーム20が継続して前進スライドし、プラットホーム20が格納位置(前進限位置)に到達した段階でプラットホームホルダ30の電動スライド装置が停止するようになる。
【0027】
<本実施形態に係る車椅子リフタ10の長所について>
本実施形態に係る車椅子リフタ10によると、障害物検出器50(光電センサ55)は、プラットホーム20(移動部材)の格納位置を横断するように光を照射し、その光の通過の有無により障害物を検出する構成である。このため、格納位置に障害物があると、光電センサ55の光が遮られることで、光電センサ55が障害物を検出できるようになる。さらに、光電センサ55と第1の反射板51は、車両のボディ側に設置されているため、プラットホーム20の幅方向両側でも良好に障害物を検出できる。また、プラットホーム20には、第2の反射板52(検出器動作部材)が取付けられている。このため、プラットホーム20が光電センサ55と第1の反射板51との間で光を遮ると、そのプラットホーム20に取付けられた第2の反射板52が光電センサ55の光源部から照射された光を光電センサ55の受光部の方向に反射させる。このため、光電センサ55の受光部は光を検知し続けるようになり、プラットホーム20が障害物として検出されることがない。このように、第2の反射板52を使用する構成のため、プラットホーム20の誤認防止を低コストで実現できる。
【0028】
また、光電センサ55が車幅方向に照射する光の車両前後方向における位置は、凹部17の前端内壁17wから車両後方に約50mmの位置である。このため、凹部17の前端内壁17wとプラットホーム20の前面との間に挟まれる可能性のある障害物を確実に検出できる。また、プラットホーム20が光電センサ55の位置まで前進スライドして、プラットホーム20の第2の反射板52が光電センサ55の光を反射する状態では、プラットホーム20の前面から凹部17の前端内壁17wまでの距離は50mm以下である。この状態で、凹部17内に新たな障害物が入り込む可能性はほとんどなく、光電センサ55が凹部17内の障害物を検出できなくても特に問題はない。
【0029】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、障害物検出器50を光電センサ55と第1の反射板51とから構成し、プラットホーム20の第2の反射板52により、光電センサ55をオン動作させないようにする例を示した。しかし、障害物検出器50として、光源と、第1の受光器とを設け、プラットホーム20に第2の受光器を設け、第1の受光器、あるいは第2の受光器のいずれかが光を検出している場合に、障害物がないと判定する構成でも可能である。また、本実施形態では、車両の乗降装置として車椅子リフタ10を例示したが、例えば、車両のシート本体を車室内から室外に移動させる装置において、シート本体を移動部材として本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
10・・・・車椅子リフタ(乗降装置)
15・・・・車室フロア
17・・・・凹部
17w・・・前端内壁
20・・・・プラットホーム(移動部材)
22・・・・プラットホーム面
50・・・・障害物検出器
51・・・・第1の反射板
52・・・・第2の反射板(検出器動作部材)
55・・・・光電センサ
C・・・・・福祉車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12