(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突出係合部は、径方向内方へ環状に突出する爪部を有すると共に、前記環状の凹部は、内壁の外径が前記爪部の内端部の内径よりも大きく形成されていることで、前記爪部と前記内壁とが強嵌入することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の防水構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により
図1〜
図7を用いて説明する。
実施例として説明する防水構造は、電気信号を音声に変換又は音声を電気信号に変換する電気信号変換器に適用される防水構造であって、電気音響変換器としてマイクロフォンMを採用した例であり、まず実施例1の防水構造BKについて
図1〜
図5を参照して説明する。
【0011】
<実施例1>
図1は、マイクロフォンMを搭載した電子機器(例えば無線機)DKにおけるマイクロフォンM近傍の防水構造BKを説明するための部分分解図である。
図2は、防水構造BKに用いられるパッキング3を説明するための縦断面図である。
図3は、マイクロフォンMに対してパッキング3を所定の位置まで被せた状態を示す斜視的縦断面図である。
図4は防水構造BKを説明するための、
図1におけるS1−S1位置での組立て後の断面図である。
図5は、
図4におけるA部の拡大断面図である。
【0012】
電子機器DKは、筐体1,筐体1の内部に収容された回路基板2,回路基板2に実装された電気音響変換器であるマイクロフォンM,及びマイクロフォンMに被せられ筐体1とマイクロフォンMとの間に介在するパッキング3を有している。
回路基板2には、マイクロフォンMから出力された電気信号を処理し外部に向け無線又は有線で送出する信号送出部STが取り付けられている。
マイクロフォンMは、薄肉の金属材料で円筒状に形成されたケースM1と、ケースM1の内部に設けられた振動板SD(
図4参照)と、を有している。
ケースM1の先端面M2には、振動板SDに対して外部から空気振動を伝達するための音孔として複数の通気孔M3が形成されている。
先端面M2において複数の通気孔M3が形成されている領域を、開口領域AR1とする。
【0013】
筐体1は、回路基板2を組み付けた状態で、マイクロフォンMの開口領域AR1に対応する位置に貫通形成されて音が通過可能な通音孔1aと、内面1bにおける通音孔1aの近傍範囲であって内方(回路基板2側)に向け盛り上あがり厚肉とされた係合部1cと、を有している。筐体1は、樹脂を射出成形するなどして形成されている。
係合部1cには、組立て状態で通音孔1aと同芯となる環状の凹部1dが形成されている。この凹部1dは、内面1bにおいてマイクロフォンMと対向する面に設けられている。
凹部1dは、外周壁1d1と内周壁1d2と底壁1d3とを有して、横断面形状が矩形を呈している。
凹部1dには、パッキング3が係合する。この係合の詳細は後述する。
【0014】
パッキング3は、円筒状の基部3kと、基部3kの一方端(
図2の上方端)に設けられ内側に環状に突出した爪部3bと、基部3kの軸線CL1方向の中間位置に設けられて基部3k内の空間を分離する壁部3aと、を有している。
爪部3bは、連続した環状に突出形成されている。
壁部3aは、軸線CL1に対して直交に延在している。壁部3aは、軸線CL1を中心とする所定の直径D33の範囲が、その外側の環状部分である周縁部3a1よりも薄く膜状に形成された薄膜部3a2とされている。
壁部3aの薄膜部3a2は、軸線CL1方向において基部3kの中央よりも爪部3b側に形成されている。壁部3aの爪部3b側の面は、段差のない平坦面となっている。
このように、壁部3aに対する一方端側は、環状に突出した突出係合部3gとされている。突出係合部3gは、内側に向け突出する環状の爪部3bを有している。
【0015】
爪部3bは、縦断面形状において、基部3kの先端面3k1から壁部3aに向かうに従って徐々に小径となるよう傾斜した傾斜部3b1と、傾斜部3b1の内端部3b2と基部3kの内周面3k2とを繋ぎ、軸線CL1と直交するよう形成された立ち上がり部3b3と、を有している。
【0016】
パッキング3は、柔軟性と復元性とを有する弾性材料で形成されている。その材料例はゴム材であり、好ましくは、シリコーンゴムである。
薄膜部3a2は、その一面側からの空気振動を、他面側の空気へ電気音響変換器の用途として支障のないように伝達(通過)させることができる程の薄さで形成されている。
例えば、薄膜部3a2の材質がシリコーンゴムの場合、0.2mm以下の薄さであることが望ましい。特に、マイクロフォンの場合は、小音量(小振幅)での感度を上げることが望まれるので、0.15mm以下の薄さであることがより望ましい。周縁部3a1及び基部3kの厚さは、例えば1.0mmとされ、薄膜部3a2より十分厚く設定されている。
薄膜部3a2は、組み付け状態で軸線CL1に直交延在するように形成されている。
【0017】
ここで、各寸法を次のように規定しておく。
凹部1dについては、
図4に示されるように、外周壁1d1の内径をD11、内周壁1d2の外径をD12、組立て後の回路基板2の表面から底壁1d3までの高さ方向の距離をH11とする。
パッキング3については、
図2に示されるように、径については、基部3kの外径をD31、爪部3bの内端部3b2の内径をD32、薄膜部3a2の直径を上述のようにD33、基部3kの内径をD34とする。また、距離については、基部3kの軸線CL1方向の長さである先端面3k1とその他端となる下端面3k3との間の距離をH31、立ち上がり部3b3と下端面3k3との間の距離をH32、壁部3aの爪部3bとは反対側の面と下端面3k3との間の距離をH33とする。
マイクロフォンMについては、
図4に示されるように、その先端面M2の回路基板2の表面からの距離(高さ)をHM1、外径をDM1とする。
【0018】
次に、上述した各部材を組み付ける組み付け方法の例、及び組み付け後の状態について詳述する。
作業者は、回路基板2に実装されたマイクロフォンMに対しパッキング3を被せる(
図3参照)。すなわち、パッキング3の基部3kの内部にマイクロフォンMを嵌合させる。
図2及び
図4に示されるように、パッキング3の基部3kの内径D34は、マイクロフォンMのケースM1の外径DM1と同じか僅かに小さくなるように形成される。これにより、基部3kへのマイクロフォンMの嵌合は、実質的に圧入となる。
また、パッキング3は、マイクロフォンMが挿入される部分の高さである距離H33が、マイクロフォンMの高さ方向距離HM1と同じか僅かに小さくなるように形成されている。
図3に示されるパッキング3の組み付け状態で、マイクロフォンMの先端面M2と壁部3aにおける周縁部3a1とを密着させる。
【0019】
作業者は、回路基板2を筐体1に取り付ける。この取り付けは、筐体1側に形成したボスやリブなど(図示せず)に回路基板2を当てた状態で、ねじ止めなどにより行われる。
この取り付けにおいて、パッキング3の先端部位である突出係合部3gが筐体1の係合部1cに係合する。詳しくは、パッキング3の爪部3bが係合部1cの凹部1dの内部に強嵌合で嵌入する。
【0020】
上述のように、爪部3bの内端部3b2の内径D32よりも、凹部1dの内周壁1d2の外径D12の方が大きく形成されている。
これにより、爪部3bが凹部1dに進入する際には、その進入の途中で内周壁1d2の開口縁部1d4が傾斜部3b1に当接し、更なる進入で、
図5に示されるように、爪部3b全体が凹部1d内に入り込む。この状態において、内周壁1d2は、爪部3bと爪部3bが設けられた基部3kの先端側部位を径方向外方へ、力F1をもって撓ませようとする。
ここで、基部3kの外径D31よりも、凹部1dの外周壁1d1の内径D11の方が大きく形成されている。
そのため、力F1による爪部3bの径方向外方への撓みは許容される。
すなわち、
図4及び
図5に示される係合状態は強嵌合の嵌入(強嵌入)であって、爪部3bは、形状が変形しつつ径方向外方へ撓んだ状態となる。
【0021】
この爪部3bの撓みに伴って生じる、径方向外方に向かう力F2により、薄膜部3a2は径方向外方へ引っ張られる。
爪部3bは、上述のように軸線CL1を中心として連続する環状に形成されている。
そのため、薄膜部3a2は、全周にわたり放射方向に広げられるように引っ張られる。
これにより、薄膜部3a2において、弛みはなくなる。
また、筐体1及びパッキング3は、金型を用いた成形で形成される。
これにより、内周壁1d2の外径D12及び内端部3b2の内径D32の寸法は高精度に維持され、組立て作業のばらつきの影響は無視できる。
そのため、薄膜部3a2の張り具合の程度は、一定で均一化し高度に安定する。
また、防水機能と音質の劣化及びばらつきの抑制とを、電気音響変換器(マイクロフォンM),パッキング3,及び筐体1のわずか三つの少ない部材構成で実現している。
これにより、部品単体のばらつきが累積しても全体構成のばらつきが少なく抑えられ、コストも抑制される。
このように、実施例1によれば、薄膜部3a2は、弛みなく張り具合の程度が一定で均一化し高度に安定するので、得られる音質の劣化及びばらつきが良好に抑制される。また、コストも低く抑えられる。
【0022】
上述の組み付けで得られる防水構造BKによれば、雨やシャワーなどによる水滴が通音孔1aを通して内部に進入したとしても、通音孔1aとマイクロフォンMのケースM1との間にパッキング3の壁部3aが介在しているので、マイクロフォンMの内部に水が進入することはない。
また、通音孔1aから内部に進入した水が、凹部1dを越えようとしても、環状の爪部3bと環状の凹部1dの少なくとも内周壁1d2とが全周に亘り連続的に密着しているので、凹部1dを越えて回路基板2側へ進入することはない。
【0023】
また、外部から通音孔1aを通して入来した音は、薄膜部3a2、及び周縁部3a1の内周面とマイクロフォンMにおけるケースM1の先端面M2とに囲まれて形成される空間V1を介して通気孔M3からケースM1内の振動板SDに到達し、振動板SDを振動させて収音される。
その際、薄膜部3a2が、弛みなく一定張力で均一に張られているので、実施例1の防水構造を適用すれば、マイクロフォンMの収録音質の劣化やばらつきが良好に抑制される。
【0024】
<実施例2>
上述の実施例1は、パッキング3が、筐体1の内側においてマイクロフォンMを覆う部材とされている。これに対し、筐体1の外側に配置され、筐体1に設けられた通音孔1aを外側から塞ぐように形成されたパッキング13と、それを用いた防水構造BK2を、実施例2として
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は、マイクロフォンMを搭載した電子機器(例えば無線機)DK2におけるマイクロフォンM近傍の防水構造BK2を説明するための部分分解図である。
図7は、防水構造BK2を説明するための、
図6におけるS2−S2位置での組立て後の断面図である。
【0025】
電子機器DK2は、筐体11,筐体11の内側に収容された回路基板2,回路基板に実装された電気音響変換器であるマイクロフォンM,及び筐体11の外面を覆うように取り付けられたパッキング13を有している。
回路基板2には、マイクロフォンMから出力された電気信号を処理し外部に向け無線又は有線で送出する信号送出部STが取り付けられている。
マイクロフォンMは、実施例1で用いるものと同じであり、薄肉の金属材料で円筒状に形成されたケースM1と、ケースM1の内部に設けられた振動板SD(
図4参照)と、を有している。
ケースM1の先端面M2には、振動板SDに対して外部から空気振動を伝達するための音孔として複数の通気孔M3が形成されている。
先端面M2において複数の通気孔M3が形成されている領域は開口領域AR1とされる。
【0026】
筐体11には、回路基板2を組み付けた状態で、マイクロフォンMが挿入される貫通孔11aが形成されている。
また、筐体11の外面11bには、貫通孔11aの中心軸である軸線CL2と同芯で貫通孔11aを囲繞するよう環状に抉られた凹部11dが形成されている。
凹部11dは、外周壁11d1と内周壁11d2と底壁11d3とを有して縦断面形状が矩形に形成されている。
凹部11dには、パッキング13が係合する。この係合の詳細は後述する。
【0027】
筐体11は、凹部11dよりも大径なる範囲の部位が、筐体11の内面11eから内方(回路基板2側)に向け盛り上がり厚肉とされた係合部11cを有している。
【0028】
パッキング13は、厚さt1でシート状に形成された基部13kを有している。パッキング13は、筐体11における少なくとも貫通孔11a及び凹部11dを覆うように、筐体11の外面11bに、周知の取り付け方法(図示せず)で取り付けられている。
基部13kは、筐体11に組み付けた状態で、少なくとも貫通孔11aに挿入されたマイクロフォンMの開口領域AR1を覆う範囲の薄膜部13a2を有している。薄膜部13a2は、基部13kよりも薄い厚さt2にて膜状に形成されている。
【0029】
薄膜部13a2の形成されている厚み方向位置は、外面側よりは筐体11側に偏っている。
また、
図7に示される組立て後において、薄膜部13a2の内面13a3(筐体11側となる面)の位置は、筐体11の外面11bに対して距離HA3だけ外方になっている。
パッキング13の外面13bと薄膜部13a2の外面13a4とは、軸線CL2に向かうに従って厚さが薄くなるように傾斜した傾斜面13cで接続されている。
薄膜部13a2は、組み付け状態で軸線CL2に直交延在するように形成されている。
【0030】
パッキング13の基部13kにおける内面13dには、薄膜部13a2を囲繞するように、筐体11側へ向け連続して環状に突出したリブ13eが形成されている。
リブ13eの先端側には、内側に連続して環状に突出した爪部13fが形成されている。
縦断面形状において、リブ13eの先端は、環状の平坦面である先端面13e1とされている。
爪部13fは、先端面13e1から基部13kに向かうに従って徐々に小径となるように傾斜した傾斜部13f1と、傾斜部13f1の内端部13f2とリブ13eの内周面13e2とを繋ぎ、軸線CL2と直交するように形成された立ち上がり部13f3と、を有している。
【0031】
パッキング13は、柔軟性と復元性とを有する弾性材料で形成されている。その材料例はゴム材であり、好ましくは、シリコーンゴムである。
薄膜部13a2は、実施例1と同様に、その一面側からの空気振動を、他面側の空気へ電気音響変換器の用途として支障のないように伝達(通過)させることができる程の薄さで形成されている。
例えば、薄膜部13a2の材質がシリコーンゴムの場合、0.2mm以下の薄さであることが望ましい。特に、マイクロフォンの場合は、小音量(小振動)での感度を上げることが望まれるので、0.15mm以下の薄さであることがより望ましい。基部13kの厚さは、例えば1.0mmとされ、薄膜部13a2より十分厚く設定されている。
【0032】
ここで、各寸法を次のように規定しておく。
凹部11dについては、
図6に示されるように、外周壁11d1の内径をDA1、内周壁1d2の外径をDA2、外面11bから底壁11d3までの深さとなる距離をHA1とする。
パッキング3については、
図6に示されるように、リブ13e外径をDA3、爪部13fの内端部13f2の内径をDA4、薄膜部13a2の直径をDA5とする。
【0033】
次に、上述した各部材を組み付ける組み付け方法の例、及び組み付け後の状態について詳述する。
作業者は、マイクロフォンMを実装した回路基板2を、筐体11の所定位置に取り付ける。この所定位置において、筐体11の貫通孔11aの軸線CL2は、マイクロフォンMの中心軸と一致し、マイクロフォンMは、貫通孔11aの内部に挿入される。
回路基板2を筐体11に取り付けた状態で、マイクロフォンMの先端面M2の高さ方向位置は、概ね筐体11の外面11bの位置にある。これにより、先端面M2と、内面13a3との間には、高さ方向で距離HA3の隙間が形成される。
【0034】
作業者は、パッキング13を、筐体11の外面11bの所定位置に取り付ける。この所定位置において、貫通孔11aの軸線CL2は、マイクロフォンMの中心軸と一致し、少なくともマイクロフォンMの開口領域AR1は、薄膜部13a2に覆われる。
図7では、開口領域AR1より大径なる貫通孔11aが覆われる例が示されている。
【0035】
パッキング13の筐体11への取り付けにおいて、パッキング13のリブ13eを筐体11の凹部11dに係合させる。
上述のように、パッキング3の爪部13fにおける内端部13f2の内径DA4よりも、凹部11dの内周壁11d2の外径DA2の方が大きく形成されている。
これにより、爪部13fが凹部11dに進入する際には、その進入の途中で内周壁11d2の開口縁部11d4が傾斜部13f1に当接し、更なる進入で、内周壁11d2は、力F11によってリブ13eを径方向外方へ撓ませようとする。
ここで、リブ13eの外径DA3よりも、凹部11dの外周壁11d1の内径DA1の方が大きく形成されている。
そのため、力F11によるリブ13eの径方向外方への撓みは許容される。
すなわち、
図7に示されるリブ13eの爪部13fと凹部11dとの係合状態は強嵌合の嵌入(強嵌入)であって、リブ13eは、形状が変形しつつ径方向外方へ撓んだ状態となる。
【0036】
このリブ13eの撓みに伴って生じる、径方向外方に向かう力F12により、薄膜部13a2は径方向外方へ引っ張られる。
リブ13eは、上述のように軸線CL2を中心として連続する環状に形成されている。
そのため、薄膜部13a2は、全周にわたり放射方向に広げられるように引っ張られる。
これにより、薄膜部13a2において、弛みはなくなる。
また、筐体11及びパッキング13が金型を用いた成形で形成される。
これにより、内周壁11d2の外径DA2及び内端部13f2の内径DA4の寸法は、高精度に維持され、組立て作業のばらつきの影響は無視できる。
そのため、薄膜部13a2の張り具合の程度は、一定で均一化し高度に安定する。
また、防水機能と音質の劣化及びばらつきの抑制とを、電気音響変換器(マイクロフォンM),パッキング13,及び筐体11のわずか三つの少ない部材構成で実現している。
これにより、部品単体のばらつきが累積しても全体構成のばらつきが少なく抑えられ、コストも抑制される。
このように、実施例2によれば、薄膜部13a2は、弛みなく張り具合の程度が一定で均一化し高度に安定するので、得られる音質の劣化及びばらつきが良好に抑制される。また、コストも低く抑えられる。
【0037】
上述の組み付けで得られる防水構造BK2によれば、貫通孔11aがパッキング13で覆われているので、雨やシャワーなどによる水滴が貫通孔11aを通して内部に進入することがない。
【0038】
また、外部からの音は、薄膜部13a2、及び薄膜部13a2とケースM1の先端面M2との間の隙間(空間V2)を介して、通気孔M3からケースM1内の振動板SDに到達し、振動板SDを振動させて収音される。
その際、上述のように、薄膜部13a2が、弛みなく一定張力で均一に張られているので、実施例2の防水構造を適用すれば、マイクロフォンMの収録音質の劣化やばらつきが良好に抑制される。
【0039】
本発明の各実施例及びその変形例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0040】
上述の防水構造BK,BK2は、マイクロフォンMに適用した例として説明したが、振動板を有する他の音響部品、例えばスピーカに適用することができる。
その場合も、スピーカから放出される音声の音質に影響する薄膜部3a2,13a2は、弛むことなく、張り具合が一定張力で均一に安定維持されるので、出力音声は、劣化がなく、また、音質のばらつきも良好に抑制される。
電気音響変換器がマイクロフォンでなくスピーカである場合、音孔である通気孔M3は、スピーカの振動板SDからケースM1の外側へ空気振動を伝達するための音孔として機能する。
また、回路基板2に信号受信部を備え、外部から無線又は有線で入来した音声信号をその信号受信部で受信すると共に信号処理をしてスピーカから音声として出力させる。
【0041】
実施例1の防水構造BKにおいて、係合部1cは、上述のような内面1bに対して筐体1の内方(回路基板2側)に突出するものでなくてもよく、外方に突出するものであってもよい。
実施例2の防水構造BK2において、係合部11cは、上述のような内面11eに対して筐体11の内方(回路基板2側)に突出するものでなくてもよく、外方に突出するものであってもよい。
係合部1c,11cは、その周囲の部位と同じ厚さであってもよいが、筐体1,11を射出成形で形成する場合、係合部1c,11cは、射出成形品の一般的な厚み(例えば1〜2mm)よりも厚くする必要がある。そのため、成形性及びコスト低減の観点から、部分的に内方又は外方に突出させて厚肉化することが望ましい。