特許第6201977号(P6201977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201977
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】自動倉庫及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B65G1/04 531A
   B65G1/04 531D
   B65G1/04 531B
   B65G1/04 505Z
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-257686(P2014-257686)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-117550(P2016-117550A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 博
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/125727(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/129066(WO,A1)
【文献】 特開2007−015780(JP,A)
【文献】 特開2008−063133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷が収容される複数の棚と、
走行路に沿って走行して、前記走行路の延在方向及び鉛直方向に沿って配置されている前記棚に荷を出し入れする第一スタッカクレーンと、
前記第一スタッカクレーンに電力を供給する第一電源部と、
前記第一スタッカクレーンを制御する第一制御装置と、
前記走行路に沿って走行して、前記棚に荷を出し入れする第二スタッカクレーンと、
前記第二スタッカクレーンに電力を供給する第二電源部と、
前記第二スタッカクレーンを制御する第二制御装置と、
を備え、
前記第一電源部及び前記第一制御装置は、前記第一スタッカクレーンとは別の位置、かつ前記走行路の延長線上から外れた位置に配置されると共に、第一ケーブルを介して前記第一スタッカクレーンに接続され、
前記第二電源部及び前記第二制御装置は、前記第二スタッカクレーンとは別の位置、かつ前記走行路の延長線上から外れた位置に配置されると共に、第二ケーブルを介して前記第二スタッカクレーンに接続されており、
前記第一スタッカクレーンは、
前記走行路を転動する第一駆動輪を含む第一走行部と、
前記第一駆動輪を駆動させる第一走行駆動部と、
前記第一走行部の上方に前記鉛直方向に立設される第一マストと、
前記第一マストに沿って移動可能に設けられる第一昇降部と、前記第一昇降部に配置され、前記棚に対し接離可能に設けられる第一出入部と、を含む第一移載部と、
前記第一昇降部を駆動させる第一昇降駆動部と、を有し、
前記第一走行部、前記第一走行駆動部、前記第一移載部、及び前記第一昇降駆動部は、前記走行路の延在方向において、前記第一マストの一方の側の端部と同一位置又は前記一方の側の端部よりも他方の側に配置され、
前記第二スタッカクレーンは、前記第一スタッカクレーンに対して前記走行路の延在方向における前記他方の側に配置されており、
前記第二スタッカクレーンは、
前記走行路を転動する第二駆動輪を含む第二走行部と、
前記第二駆動輪を駆動させる第二走行駆動部と、
前記第二走行部の上方に前記鉛直方向に立設される第二マストと、
前記第二マストに沿って移動可能に設けられた第二昇降部と、前記第二昇降部に配置され、前記棚に対し接離可能に設けられた第二出入部と、を含む第二移載部と、
前記第二昇降部を駆動させる第二移載駆動部と、を有し、
前記第二走行部、前記第二走行駆動部、前記第二移載部、及び前記第二移載駆動部は、前記走行路の延在方向において、前記第二マストの前記他方の側の端部と同一位置又は前記他方の側の端部よりも前記一方の側に配置されている、自動倉庫。
【請求項2】
前記第一走行部、前記第一走行駆動部、前記第一昇降駆動部、及び第一ケーブルは、前記棚に荷が収容される収容領域よりも下方に設けられている、請求項1記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記複数の棚のうち前記走行路の延在方向に沿って前記一方の側の端に配置される前記棚は、前記走行路の前記一方の側の端に停止する前記第一スタッカクレーンによって前記荷の出し入れが可能な位置に配置されている、請求項1又は2記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記第一走行駆動部及び前記第一昇降駆動部は、前記走行路の延在方向及び前記鉛直方向と交差する方向に突出するように配置されている、請求項1〜3の何れか一項記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記第一走行駆動部及び前記第一昇降駆動部は、最下段の前記棚のよりも下方において、前記鉛直方向から見た際に前記棚に前記荷が収容される収容領域と重なる位置に突出するように配置されている、請求項4記載の自動倉庫。
【請求項6】
前記第一走行部は、
前記第一駆動輪に対して前記走行路の延在方向における前記他方の側に配置され、前記走行路に沿って転動する第一案内輪と、
前記第一駆動輪に対して前記走行路の延在方向における前記他方の側に配置されると共に前記走行路の延在方向及び前記鉛直方向に交差する幅方向において前記走行路を挟んで配置される、前記第一案内輪を支持する一対の第一支持部と、を含み、
前記幅方向における前記一対の第一支持部の間には、前記第一昇降部が前記鉛直方向から進入可能な空間が形成されている、請求項1〜5の何れか一項記載の自動倉庫。
【請求項7】
前記第一駆動輪は、前記鉛直方向から見た場合に前記第一マストと重なるように一輪のみ配置されている、請求項1〜6の何れか一項記載の自動倉庫。
【請求項8】
前記第一走行部及び前記第二走行部の前記走行路の延在方向における長さは、前記棚の前記走行路の延在方向における長さの1/2以下である、請求項1〜7の何れか一項記載の自動倉庫。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項記載の自動倉庫の運転方法であって、
前記第一移載部と前記第二移載部とを、前記鉛直方向に互いに異なる位置に配置する第一工程と、
前記第一工程の後に、前記第一移載部と前記第二移載部とが前記走行路の延在方向及び前記鉛直方向に交差する方向において同じ位置の棚と対向するように、前記第一スタッカクレーン及び前記第二スタッカクレーンを配置する第二工程と、を含む、自動倉庫の運転方法。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか一項記載の自動倉庫の運転方法であって、
前記第一スタッカクレーンが故障した場合において、前記第一スタッカクレーンを前記走行路の一方の端に配置する第一工程と、
前記第二スタッカクレーンに前記荷を搬送させる第二工程と、を含む、自動倉庫の運転方法。
【請求項11】
前記第二工程では、前記第一スタッカクレーンにおいて、前記第一マストに対する前記第一昇降部の拘束が解除されている、請求項10記載の自動倉庫の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷を保管する自動倉庫及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような自動倉庫として、荷を搬送するスタッカクレーンを備えるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような自動倉庫においては、スタッカクレーンが複数の棚に沿って移動し、入出庫ポートと棚との間で荷を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−143757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような自動倉庫では、スタッカクレーンによって荷を出し入れすることができない領域であるデッドスペースをできる限り小さくしたいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、デッドスペースを低減することができる自動倉庫及びその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動倉庫は、荷が収容される複数の棚と、走行路に沿って走行して、走行路の延在方向及び鉛直方向に沿って配置されている棚に荷を出し入れする第一スタッカクレーンと、第一スタッカクレーンに電力を供給する電源部と、第一スタッカクレーンを制御する制御装置と、を備え、電源部及び制御装置は、第一スタッカクレーンとは別の位置、かつ走行路の延長線上から外れた位置に配置されると共に、第一ケーブルを介して第一スタッカクレーンに接続されており、第一スタッカクレーンは、走行路を転動する第一駆動輪を含む第一走行部と、第一駆動輪を駆動させる第一走行駆動部と、第一走行部の上方に鉛直方向に立設される第一マストと、第一マストに沿って移動可能に設けられる第一昇降部と、第一昇降部に配置され、棚に対し接離可能に設けられる第一出入部と、を含む第一移載部と、第一昇降部を駆動させる第一昇降駆動部と、を有し、第一走行部、第一走行駆動部、第一移載部、及び第一昇降駆動部は、走行路の延在方向において、第一マストの一方の側の端部と同一位置又は一方の側の端部よりも他方の側に配置されている。
【0007】
この構成によれば、第一スタッカクレーンに電源部及び制御装置を設ける必要がないので、第一スタッカクレーンに搭載される装置の数を少なくできる。第一スタッカクレーンに搭載される第一走行部、第一走行駆動部、第一移載部、及び第一昇降駆動部は、走行路の延在方向において、第一マストの一方の側の端部と同一位置又は一方の側の端部よりも他方の側に配置される。言い換えれば、第一走行部、第一走行駆動部、第一移載部、及び第一昇降駆動部は、走行路の延在方向において、第一マストの一方の側の端部よりも一方の側には配置されない。このため、第一マストの一方の側の端部から一方の側に装置がはみ出る領域が低減する。この結果、この領域に連動して発生するデッドスペースを低減できる。また、この構成によれば、電源部及び制御装置は、走行路の延長線上から外れた位置に配置されるので、走行路の延在方向に沿う方向に、電源部及び制御装置を配置するための領域を設ける必要がない。この結果、この領域に連動して発生するデッドスペースを低減できる。
【0008】
本発明の自動倉庫は、第一走行部、第一走行駆動部、第一昇降駆動部、及び第一ケーブルは、棚に荷が収容される収容領域よりも下方に設けられていてもよい。
【0009】
この構成によれば、デッドスペースとなることが多い収容領域の下側の空間を有効利用することができる。
【0010】
本発明の自動倉庫は、複数の棚のうち走行路の延在方向に沿って一方の側の端に配置される棚は、走行路の一方の側の端に停止する第一スタッカクレーンによって荷の出し入れが可能な位置に配置されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、第一スタッカクレーンが走行路の一方の端に停止して走行路の延在方向に沿って一方の側の端に配置される棚に荷を移載する際に、第一マストのみが棚から走行路の延在方向における一方の側にはみ出す。言い換えれば、自動倉庫内に、第一マストを逃がすための領域のみを設ければ、走行路の延在方向に沿って一方の側の端に配置される棚に荷を移載することができる。したがって、走行路の延在方向における一方の側の端の棚に対して荷を移載する際に、第一マスト以外の部位が棚からはみ出す部分が低減されるので、デッドスペースとなる領域を減らすことができる。
【0012】
本発明の自動倉庫では、第一走行駆動部及び第一昇降駆動部は、走行路の延在方向及び鉛直方向と交差する方向に突出するように配置されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、第一走行駆動部及び第一昇降駆動部が、第一マストの一方の側の端部よりも他方の側に配置されるに際し、第一マストの一方の側の端部から他方の側に突出する量を低減することができる。
【0014】
本発明の自動倉庫では、第一走行駆動部及び第一昇降駆動部は、最下段の棚のよりも下方において、鉛直方向から見た際に棚に荷が収容される収容領域と重なる位置に突出するように配置されていてもよい。
【0015】
この構成では、棚の下に形成される領域を、第一スタッカクレーンが移動する際の第一走行駆動部及び第一昇降駆動部の通過領域として利用している。これにより、第一走行駆動部及び第一昇降駆動部が、第一マストの一方の側の端部よりも他方の側に配置されるに際し、第一マストの一方の側の端部から他方の側に突出する量を低減することができる。
【0016】
本発明の自動倉庫では、第一走行部は、第一駆動輪に対して走行路の延在方向における他方の側に配置され、走行路に沿って転動する第一案内輪と、第一駆動輪に対して走行路の延在方向における他方の側に配置されると共に走行路の延在方向及び鉛直方向に交差する幅方向において走行路を挟んで配置される、第一案内輪を支持する一対の第一支持部と、を含み、幅方向における一対の第一支持部の間には、第一昇降部が鉛直方向から進入可能な空間が形成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、幅方向における一対の第一支持部の間に形成される空間に第一昇降部が鉛直方向から進入可能であるため、第一昇降部を比較的低い位置まで降下させることができる。したがって、棚の設置開始位置を低くして、の数を増やすことなどができる。
【0018】
本発明の自動倉庫では、第一駆動輪は、鉛直方向から見た場合に第一マストと重なるように一輪のみ配置されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、第一マストにおける走行路の延在方向における一方の側の端部から他方の側に突出する量をより低減させることができる。この結果、第一スタッカクレーンの走行路の延在方向における他方の側に対向して配置される第二スタッカクレーンをより近接させて配置することができる。
【0020】
本発明の自動倉庫では、第一スタッカクレーンに対して走行路の延在方向における他方の側に配置され、走行路を走行して、棚に荷を出し入れする第二スタッカクレーンを更に備え、電源部は、第二スタッカクレーンに電源を供給し、制御装置は、第二スタッカクレーンを制御し、電源部及び制御装置は、第二ケーブルを介して第二スタッカクレーンに接続されており、第二スタッカクレーンは、走行路を転動する第二駆動輪を含む第二走行部と、第二駆動輪を駆動させる第二走行駆動部と、第二走行部の上方に鉛直方向に立設される第二マストと、第二マストに沿って移動可能に設けられた第二昇降部と、第二昇降部に配置され、棚に対し接離可能に設けられた第二出入部と、を含む第二移載部と、第二昇降部を駆動させる第二移載駆動部と、を有し、第二走行部、第二走行駆動部、第二移載部、及び第二移載駆動部は、走行路の延在方向において、第二マストの他方の側の端部と同一位置又は他方の側の端部よりも一方の側に配置されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、第二スタッカクレーンに電源部及び制御装置を設ける必要がないので、第二スタッカクレーンに搭載される装置の数を少なくできる。また、第二スタッカクレーンに搭載される第二走行部、第二走行駆動部、第二移載部、及び第二昇降駆動部は、走行路の延在方向において、第二マストの他方の側の端部と同一位置又は他方の側の端部よりも一方の側に配置される。言い換えれば、第二走行部、第二走行駆動部、第二移載部、及び第二昇降駆動部は、走行路の延在方向において、第二マストの他方の側の端部よりも他方の側には配置されない。このため、第二マストの他方の側の端部から他方の側に装置がはみ出る領域が低減する。この結果、この領域に連動して発生するデッドスペースを低減できる。また、この構成によれば、電源部及び制御装置は、走行路の延長線上から外れた位置に配置されるので、走行路の延在方向に沿う方向に、電源部及び制御装置を配置するための領域を設ける必要がない。この結果、この領域に連動して発生するデッドスペースを低減できる。
【0022】
本発明の自動倉庫では、第一走行部及び第二走行部の走行路の延在方向における長さは、棚の走行路の延在方向における長さの1/2以下であってもよい。
【0023】
この構成によれば、走行路の延在方向において同じ位置に鉛直方向に並ぶ複数の棚に対し、2台のスタッカクレーンが同時に荷を出し入れすることが可能となる。
【0024】
本発明の自動倉庫の運転方法は、第一移載部と第二移載部とを、鉛直方向に互いに異なる位置に配置する第一工程と、第一工程の後に、第一移載部と第二移載部とが走行路の延在方向及び鉛直方向に交差する方向において同じ位置の棚と対向するように、第一スタッカクレーン及び第二スタッカクレーンを配置する第二工程と、を含んでいてもよい。
【0025】
この自動倉庫の運転方法では、走行路の延在方向及び鉛直方向に交差する方向、すなわち水平方向において、互いに同じ位置の2つの棚に荷を移載することが可能となる。したがって、複数の荷を迅速に搬送することができる。
【0026】
本発明の自動倉庫の運転方法は、第一スタッカクレーンが故障した場合において、第一スタッカクレーンを走行路の一方の端に配置する第一工程と、第二スタッカクレーンに荷を搬送させる第二工程と、を含んでいてもよい。
【0027】
二台のスタッカクレーンを備える自動倉庫では、一台のスタッカクレーンが故障した場合に、当該スタッカクレーンが棚を塞いでしまい、もう一台のスタッカクレーンが荷を移載することができないことが考えられる。さらに、当該スタッカクレーンが走行路を塞いでしまい、当該スタッカクレーンにより塞がれた棚の周辺の棚に対しても、もう一台のスタッカクレーンが荷を移載することができないことが考えられる。本発明の自動倉庫の運転方法では、第一移載部が走行路の延在方向における一方の側の端の棚と対向するように、第一スタッカクレーンが配置されるため、第二スタッカクレーンが荷を移載することができない棚は発生しない。したがって、第一スタッカクレーンが障害となって第二スタッカクレーンが荷を移載することができない棚の数を抑えながら、第二スタッカクレーンにより荷の搬送を継続することができる。
【0028】
本発明の自動倉庫の運転方法の第二工程では、第一スタッカクレーンにおいて、第一マストに対する第一昇降部の拘束が解除されてもよい。
【0029】
この自動倉庫の運転方法によれば、第一スタッカクレーンが障害となって第二移載部が荷を移載することができない棚との間で荷を移載したい場合に、第一昇降部を移動させることにより、荷を移載することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、デッドスペースを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態の自動倉庫の側断面図である。
図2図1の自動倉庫の平面図である。
図3図1のスタッカクレーンの斜視図である。
図4図3のスタッカクレーンの下部の正面図である。
図5図3のスタッカクレーンの下部の平面図である。
図6】従動輪ユニットが装着されたスタッカクレーンの下部の正面図である。
図7図3のスタッカクレーンの上部の斜視図である。
図8図2のケーブルガイドの構成を示した正面図である。
図9図1のスタッカクレーンの側面図である。
図10図1の自動倉庫の運転方法の一例を示す側面図である。
図11図10で示す自動倉庫の運転方法における二つのスタッカクレーンを示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ実施形態について詳細に説明する。なお、同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0033】
図1及び図2に示されるように、自動倉庫1は、建屋100内に設けられている。自動倉庫1には、例えば、搬送装置によって搬送されてきた荷Hが保管される。
【0034】
自動倉庫1は、ストッカ本体2、ラック3A,3B、入出庫ポート4,4、走行路5、補助路6、スタッカクレーン(第一スタッカクレーン)7A及びスタッカクレーン(第二スタッカクレーン)7Bを備えている。
【0035】
ストッカ本体2は、所定の空間を囲う筐体状(例えば、中空の直方体状)に形成されている。ストッカ本体2は、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bをストッカ本体2外に出すことが可能な第一開口部21及び第二開口部22を有している。第一開口部21と第二開口部22とは、走行路5の延在方向(水平方向)において対向するように設けられている。第一開口部21及び第二開口部22のそれぞれに、扉が設けられている。なお、第一開口部21及び第二開口部22は、ストッカ本体2に設けられない場合があってもよい。
【0036】
ラック3A,3Bのそれぞれは、ストッカ本体2内に立設されている。ラック3Aとラック3Bとは、後段にて詳述する走行路5に沿って配置されている。また、ラック3Aとラック3Bとは、走行路5の延在方向及び鉛直方向に直交する幅方向に互いに対向するように配置されている。ラック3Aは、ストッカ本体2内において対向する2つの側壁のうち、一方側(図2において上側)の側壁に沿って設けられている。ラック3Aは、一方側の側壁において、走行路5の延在方向における両端部を除いた部分に設けられている。ラック3Bは、ストッカ本体2内において対向する2つの側壁のうち、他方側の側壁に沿って設けられている。ラック3Bは、他方側(図2において下側)の側壁において、走行路5の延在方向における両端部を除いた部分に設けられている。他方側の側壁には、走行路5の延在方向のほぼ中央部に入出庫ポート4,4が設けられており、入出庫ポート4,4は、ラック3Bの一部に設けられている。入出庫ポート4では、自動倉庫1に対する荷Hの入庫及び出庫が行われる。
【0037】
ラック3A,3Bのそれぞれには、荷Hが収容される棚31が複数設けられている。以下、ストッカ本体2の幅方向(走行路5の延在方向、図2の左右方向)における棚31の並びを「連」、ストッカ本体2の奥行方向(図2の上下方向)における棚31の並びを「列」、ストッカ本体2の高さ方向(図1の上下方向)の並びを「段」として説明する。
【0038】
棚31は、走行路5の延在方向に沿って複数連設けられていると共に、鉛直方向に沿って複数段設けられている。棚31の走行路5の延在方向における長さWは、収容物のサイズに応じて適宜設定されている。図8に示されるように、ラック3A,3Bのそれぞれは、支柱32により支持されている。支柱32は、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bの走行時において、後段にて詳述する走行用モータ(第一走行駆動部)78a及び昇降用モータ(第一昇降駆動部)82aと接触しない位置に配置されている。
【0039】
図1及び図2に示されるように、走行路5及び補助路6のそれぞれは、ストッカ本体2内において、第一開口部21と第二開口部22との間に亘って設けられている。走行路5は、複数連の棚31に沿って床面に設けられている。走行路5には、走行レール51が敷設されている。補助路6は、走行路5と対向するように、複数連の棚31に沿って走行路5の略直上に設けられている。補助路6には、補助レール61が敷設されている。
【0040】
スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bのそれぞれは、走行路5に敷設された走行レール51に沿って走行して棚31と入出庫ポート4との間で荷Hを搬送し、棚31に対して荷Hの移載(荷積み及び荷下ろし)を行う。スタッカクレーン7Bは、スタッカクレーン7Aに対して、走行路5及び補助路6の延在方向における他方側(図1及び2において右側、スタッカクレーン7Aに対して第二開口部22側)に配置されている。
【0041】
ストッカ本体2内には、スタッカクレーン7Aが走行路5の延在方向における一方の側の端の連の棚31に対して荷Hを移載する際に、スタッカクレーン7Aが配置される領域A1が設けられている。領域A1において、スタッカクレーン7Aのスライド部(第一出入部)74aと、走行路5の延在方向における一方の側の端の連の棚31とは対向する。領域A1には、スタッカクレーン7Aのマスト(第一マスト)72aを逃がすための領域が含まれている。
【0042】
ストッカ本体2内には、スタッカクレーン7Bが走行路5の延在方向における他方の側の端の連の棚31に対して荷Hを移載する際に、スタッカクレーン7Bが配置される領域A2が設けられている。領域A2では、スタッカクレーン7Bのスライド部(第二出入部)74bと、走行路5の延在方向における一方の側の端の連の棚31とは対向する。領域A2には、スタッカクレーン7Bのマスト(第二マスト)72bを逃がすための領域が含まれている。
【0043】
図3に示されるように、スタッカクレーン7Aは、マスト72a、移載部(第一移載部)75a、走行部(第一走行部)71a、走行用モータ78a、昇降用モータ82a、及び補助走行部90aを有している。
【0044】
マスト72aは、後段にて詳述する走行部71aの上部に鉛直方向に立設されている。移載部75aは、昇降台(第一昇降部)73aと、スライド部74aと、を有している。昇降台73aは、マスト72aに対して走行路5の延在方向における他方の側に突出するように配置されており、マスト72aに沿って昇降可能に設けられている。スライド部74aは、昇降台73aの上部に設けられている。スライド部74aは、棚31との間で荷Hを移載すると共に、入出庫ポート4との間で荷Hを移載する。
【0045】
走行部71aは、走行路5に沿って走行する。図4及び図5に示されるように、走行部71aは、走行用駆動輪(第一駆動輪)76a、ハウジング77a、一対の昇降台側走行用案内輪(第一案内輪)79a,79a、一対の支持部(第一支持部)80a,80a、及び一対のマスト側走行用案内輪81a,81aを含んでいる。
【0046】
走行用駆動輪76aは、走行レール51の上面に沿って転動する。走行用駆動輪76aは、鉛直方向から見た場合に、マスト72aと重なるように配置されている。ハウジング77aは、走行用駆動輪76aを回転可能に支持している。ハウジング77aは、マスト72aの下端部に固定されている。
【0047】
昇降台側走行用案内輪79aは、走行レール51の側面に沿って転動する。昇降台側走行用案内輪79aは、走行用駆動輪76aに対して走行路5の延在方向における他方の側に配置されている。一対の昇降台側走行用案内輪79a,79aは、走行路5の延在方向及び鉛直方向に直交する方向(幅方向)において走行レール51を挟んでいる。
【0048】
一対の支持部80a,80aは、一対の昇降台側走行用案内輪79a,79aを回転可能に支持している。一対の支持部80a,80aは、走行用駆動輪76aに対して走行路5の延在方向における他方の側に配置されている。図3図5に示されるように、幅方向における一対の支持部80a,80aの間には、昇降台73aが鉛直方向から進入可能な空間A21が形成されている。
【0049】
一対の支持部80a,80aの一対の部分のそれぞれは、ハウジング77aから突出した部材と、当該部材の下面から突出して昇降台側走行用案内輪79aを回転可能に支持する部材と、を含んでいる。図5に示されるように、ハウジング77aから突出した部材の走行路5の延在方向における長さLは、棚31の走行路5の延在方向における長さWの半分以下(L≦W/2)に設定されている。
【0050】
マスト側走行用案内輪81a,81aは、走行レール51の側面に沿って転動する。マスト側走行用案内輪81a,81aは、鉛直方向から見た場合に、マスト72aと重なるように配置されている。一対のマスト側走行用案内輪81a,81aは、上記幅方向において走行レール51を挟んでいる。マスト側走行用案内輪81a,81aは、ハウジング77aの下部に回転可能に取り付けられている。
【0051】
図6に示されるように、スタッカクレーン7Aを走行レール51へ据え付ける際には、マスト72aを略垂直に屹立させるために、走行部71aに、従動輪ユニット101aを取り付けてもよい。従動輪ユニット101aは、ハウジング77aから突出した一対の支持部80a,80aの先端部に掛け渡される補助部材102aと、この補助部材102aに固定されると共に走行レール51の上面に沿って転動可能な従動輪103aと、を含んでいる。スタッカクレーン7Aの走行時には、走行用駆動輪76aと補助用駆動輪91a,91aとを同期して駆動させることにより、マスト72aを略垂直に屹立した状態に維持することができる。したがって、従動輪ユニット101aは、スタッカクレーン7Aを走行レール51へ据え付けた後は、走行レール51と当接する必要がない。そのため、スタッカクレーン7Aを走行レール51へ据え付けた後、従動輪ユニット101aが走行部71aから取り外されてもよいし、又は、従動輪103aを上方にスライドさせて走行レール51との間にクリアランスを設けるようにしてもよい。
【0052】
走行用モータ78aは、走行用駆動輪76aの駆動源である。図2及び図8に示されるように、走行用モータ78aは、ハウジング77aに対して、ラック3B側に突出するように固定されている。走行用モータ78aは、ラック3Bの最下段の棚31よりも下方において、鉛直方向から見た際に棚31に荷が収容される収容領域A11と重なる位置に突出するように配置されている。言い換えれば、走行用モータ78aは、スタッカクレーン7Aの走行時に、ラック3Bの最下段の棚31よりも下側の空間A12を移動する。
【0053】
昇降用モータ82aは、昇降台73aの駆動源である。昇降用モータ82aは、ハウジング77aに対して、ラック3A側に突出するように固定されている。昇降用モータ82aは、ラック3Aの最下段の棚31よりも下方において、鉛直方向から見た際に棚31に荷が収容される収容領域A11と重なる位置に突出するように配置されている。言い換えれば、昇降用モータ82aは、スタッカクレーン7Aの走行時に、ラック3Bの最下段の棚31よりも下側の空間A12を移動する。
【0054】
図7に示されるように、補助走行部90aは、補助路6に沿って走行する。補助走行部90aは、一対の補助用駆動輪(第一補助用駆動輪)91a,91a、一対の補助用案内輪93a,93a及びハウジング95aを含んでいる。
【0055】
補助用駆動輪91a,91aは、補助レール61に沿って転動する。一対の補助用駆動輪91a,91aは、補助路6の延在方向及び鉛直方向に直交する方向(幅方向)において補助レール61を挟んでいる。補助用案内輪93a,93aは、補助レール61に沿って転動する。一対の補助用案内輪93a,93aは、上記幅方向において補助レール61を挟んでいる。ハウジング95aは、マスト72aの上端部に固定されている。ハウジング95aには、補助用駆動輪91a,91a及び補助用案内輪93a,93aを回転可能に支持する部材が取り付けられている。ハウジング95aには、補助用駆動輪91a,91aの駆動源である補助用モータ(図示せず)が取り付けられている。
【0056】
スタッカクレーン7Aでは、走行用駆動輪76aと補助用駆動輪91a,91aとを同期させて駆動することにより、上述の従動輪ユニット101aを取り外しても、マスト72aが略垂直に保たれるようにマスト72aの姿勢を安定させることが可能となっている。
【0057】
図2及び図3に示されるように、スタッカクレーン7Aでは、走行部71a、走行用モータ78a、移載部75a、及び昇降用モータ82aは、走行路5の延在方向におけるマスト72aの一方の側(第一開口部21側)の端部85aよりも他方の側(第二開口部22側)に配置されている。
【0058】
図1及び図2に示されるように、複数の棚31のうち走行路5の延在方向に沿って一方の側(第一開口部21側)の端に配置される棚31は、走行路5の一方の端(領域A1)に停止するスタッカクレーン7Aによって荷Hの出し入れが可能な位置に配置されている。
【0059】
スタッカクレーン7Bは、スタッカクレーン7Aと同様な構成であり、走行部(第二走行部)71b、マスト(第二マスト)72b、移載部(第二移載部)75b、補助走行部90b、走行用モータ(第二走行駆動部)78b、及び昇降用モータ(第二昇降駆動部)82bを有している。
【0060】
移載部75bは、昇降台(第二昇降部)73bと、スライド部74bと、を有している。走行部71bは、走行部71aと同様な構成であり、走行用駆動輪(第二駆動輪)76b、ハウジング77b、一対の昇降台側走行用案内輪79b,79b、一対の支持部(第二支持部)80b,80b、及び一対のマスト側走行用案内輪81b,81bを含んでいる。補助走行部90bは、補助走行部90aと同様な構成であり、一対の補助用駆動輪91b,91b、一対の補助用案内輪93b,93b及びハウジング95bを含んでいる。
【0061】
図2及び図3に示されるように、スタッカクレーン7Aと同様にスタッカクレーン7Bでは、走行部71b、走行用モータ78b、移載部75b、及び昇降用モータ82bは、走行路5の延在方向におけるマスト72bの他方の側(第二開口部22側)の端部85bよりも一方の側(第一開口部21側)に配置されている。
【0062】
図1及び図2に示されるように、複数の棚31のうち走行路5の延在方向に沿って他方の側(第二開口部22側)の端に配置される棚31は、走行路5の他方の端(領域A2)に停止するスタッカクレーン7Bによって荷Hの出し入れが可能な位置に配置されている。
【0063】
スタッカクレーン7Aには、可撓性のケーブルガイド(第一ケーブル)8が接続されている。スタッカクレーン7Bには、可撓性のケーブルガイド(第二ケーブル)9が接続されている。ケーブルガイド8,9は、自動倉庫1内に設置された電源部11及び制御装置12と、スタッカクレーン7A,7Bとを接続する。すなわち、スタッカクレーン7A,7Bは、ケーブルガイド8,9を介して電源部11から給電され、ケーブルガイド8,9を介して制御装置12との間で制御信号がやりとりされる。スタッカクレーン7A(7B)に接続されるケーブルガイド8(9)も、走行路5の延在方向におけるマスト72aの一方(他方)の側の端部85aよりも他方(一方)の側に配置される。
【0064】
制御装置12には、スタッカクレーン7Aにおける各モータ(走行用モータ78a、昇降用モータ82a、スライド部74a用の駆動モータ(不図示)及び補助用モータ(不図示))に対する司令部及び/又は制御部を構成する、サーボアンプ、モーションコントローラ、及びプログラマブルコントローラなどを含んでいる。これらとスタッカクレーン7Aの各モータとは、ケーブルガイド8で接続されている。また、制御装置12には、スタッカクレーン7Bにおける各モータ(走行用モータ78b、昇降用モータ82b、スライド部74b用の駆動モータ(不図示)及び補助用モータ(不図示))に対する司令部及び/又は制御部を構成する、例えば、サーボアンプ、モーションコントローラ、及びプログラマブルコントローラなどを含んでいる。
【0065】
電源部11及び制御装置12は、自動倉庫1の四隅のスペースに配置されている。自動倉庫1の四隅のスペースは、スタッカクレーン7A,7Bが荷Hを出し入れできないスペースであり、荷Hを収容するための棚31は設置されていない。
【0066】
図2及び図9に示されるように、ケーブルガイド8は、走行レール51の側方の一方の側(ラック3B側)に配置され、ケーブルガイド9は、走行レール51の側方の他方の側(ラック3A側)に配置される。ケーブルガイド8は、ラック3Bの最下部の棚31の下方の空間A12(図8参照)を利用するように配置され、ケーブルガイド9は、ラック3Aの最下部の棚31の下方の空間A12(図8参照)を利用するように配置されている。
【0067】
ケーブルガイド8(9)は、基端部8b(9b)と先端部8a(9a)との間にU字状に折り返すU字部8c(9c)を有している。ケーブルガイド8(9)の基端部8b(9b)は、レール中心Cに関して、対称に配置されている。U字部8c(9c)の位置は、スタッカクレーン7A(7B)の走行位置によって変化する。なお、レール中心Cは、走行レール51が延在する長さ範囲における中心の位置である。
【0068】
スタッカクレーン7Aがレール中心Cから走行路5の延在方向の一方側(第一開口部21側)へ走行する際には、ケーブルガイド8は、自動倉庫1の床面に接した状態からU字部8cで折り返す。また、スタッカクレーン7Aがレール中心Cから走行路5の延在方向の他方側(第二開口部22側)へ走行する際には、ケーブルガイド8は、基端部8bの付近からU字状に折り返し、自動倉庫1の床面から浮いた状態で先端部8aへと延びる。
【0069】
同様に、スタッカクレーン7Bがレール中心Cから走行路5の延在方向の他方側(第二開口部22側)へ走行する際には、ケーブルガイド9は、自動倉庫1の床面に接した状態からU字部9cで折り返す。また、スタッカクレーン7Bがレール中心Cから走行路5の延在方向の一方側(第一開口部21側)へ走行する際には、ケーブルガイド9は、基端部9bの付近からU字状に折り返し、自動倉庫1の床面から浮いた状態で先端部9aへと延びる。
【0070】
基端部8b(9b)の付近から走行路5の延在方向の他方側(一方側)の走行レール51の側方には、支持部材25a(25b)が、走行レール51に沿って等間隔で設けられている。支持部材25a(25b)は、ケーブルガイド8(9)の下部を支持する。支持部材25a(25b)は、C字状のブラケットの2側辺27a(27b)に、例えば左右一対のローラ28a,28a(28b,28b)が回転自在に支持されている。ローラ28a,28a(28b,28b)は、ケーブルガイド8(9)の左右両端付近を下方から支持する。
【0071】
このような構成の支持部材25a(25b)により、ケーブルガイド8(9)が垂れて自動倉庫1の床面と擦れることを防止して、発塵及びケーブルガイド8(9)の損傷を抑制することができる。
【0072】
図1及び2に示されるように、スタッカクレーン7Aでは、昇降台73aは、マスト72aに対して走行路5の延在方向における他方の側(スタッカクレーン7B側)に突出している。スタッカクレーン7Bでは、昇降台73bは、マスト72bに対して走行路5の延在方向における一方の側(スタッカクレーン7A側)に突出している。このような構成により、スタッカクレーン7Aのスライド部74aとスタッカクレーン7Bのスライド部74bとは、鉛直方向において互いに異なる位置に配置されることで、走行路5の延在方向において互いに同じ位置(同じ連)の棚31,31にそれぞれ対向することが可能となっている。
【0073】
上述のような自動倉庫1では、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bが、走行路5に沿って走行して棚31と入出庫ポート4との間で荷Hを搬送し、棚31及び入出庫ポート4に対して荷Hを移載する。
【0074】
この際、走行路5の延在方向において互いに同じ位置(同じ連)の2つの棚31,31において荷Hを移載する場合には、先ず、スタッカクレーン7Aのスライド部74aとスタッカクレーン7Bのスライド部74bとを、鉛直方向において互いに異なる位置に配置する。続いて、スタッカクレーン7Aのスライド部74aとスタッカクレーン7Bのスライド部74bとが走行路5の延在方向において互いに同じ位置の棚31,31とそれぞれ対向するように、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bを配置する。
【0075】
続いて、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bのそれぞれに、対向した棚31との間で荷Hを移載させる。なお、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bのいずれか一方のみに荷Hを移載させてもよい。
【0076】
また、例えば、スタッカクレーン7Aが故障した場合には、スタッカクレーン7Bにより荷Hの搬送を継続する。この場合、図10及び図11に示されるように、先ず、領域A1に、スタッカクレーン7Aを配置する。このとき、スタッカクレーン7Aにおいて、マスト72aに対する昇降台73aの拘束を解除し、昇降台73aを最下位置に配置しておく。この状態で、スタッカクレーン7Bのスライド部74bが対向することができない棚31(すなわち、スタッカクレーン7Bが荷Hを移載できない棚31)は、走行路5の延在方向において一方の側の端の連の最下段の棚31及び最下段の一つ上の段の棚31、並びに、一方の側の端の連の次の連における最下段の棚31の3つの棚31である。続いて、スタッカクレーン7Bに荷Hを搬送させる。なお、スタッカクレーン7Aの退避は、駆動源からの駆動力により行われてもよいし、作業者の人力により行われてもよい。
【0077】
走行路5の延在方向において一方の側の端の連の棚31のうち、最下段の棚31及び最下段の一つ上の段の棚31以外の棚31に対して荷Hを移載する場合には、スタッカクレーン7Bのスライド部74bを所望の棚31の高さに配置し、スライド部74bが所望の棚31と対向するようにスタッカクレーン7Bを移動させる。
【0078】
走行路5の延在方向において一方の側の端の連の最下段の棚31及び最下段の一つ上の段の棚31、並びに、他方の側の端の連の次の連における最下段の棚31のいずれかとの間で荷Hを移載する場合には、作業者にスタッカクレーン7Aの昇降台73aを最下段の一つ上の段よりも上方の位置に移動させ、スライド部74bが所望の棚31と対向するようにスタッカクレーン7Bを移動させる。
【0079】
スタッカクレーン7Bで荷Hの移載を継続しながら領域A1に退避させたスタッカクレーン7Aを修理する際には、作業者の安全を確保するために、退避させたスタッカクレーン7A及びその周辺を覆うフェンスなどを設置してもよい。この場合、スタッカクレーン7Bにより荷Hを搬送する際に、スタッカクレーン7Bがフェンスに干渉しないようにスタッカクレーン7Bを移動させる。なお、スタッカクレーン7Bが故障した場合にも、上述と同様にして、スタッカクレーン7Aにより荷Hの搬送を継続することができる。
【0080】
次に、本実施形態の自動倉庫1の作用効果について説明する。本実施形態の自動倉庫1では、スタッカクレーン7Aに電源部及び制御装置を設ける必要がないので、スタッカクレーン7Aに搭載される装置の数を少なくできる。図3及び図4に示されるように、スタッカクレーン7Aに搭載される走行部71a、走行用モータ78a、移載部75a、及び昇降用モータ82aが、走行路5の延在方向におけるマスト72aの一方の側の端部85aよりも他方の側に配置されるので、マスト72aの一方の側の端部85aから一方の側に装置がはみ出る領域が低減する。この結果、この領域に連動して発生するデッドスペースを低減できる。また、本実施形態では、電源部11及び制御装置12は、走行路5の延長線上から外れた位置に配置されるので、走行路5の延在方向に沿う方向に、電源部11及び制御装置12を配置するための領域を設ける必要がない。この結果、この領域に連動して発生するデッドスペースを低減できる。
【0081】
スタッカクレーン7Bについても、スタッカクレーン7Aと同様に、スタッカクレーン7Bに電源部及び制御装置を設ける必要がないので、スタッカクレーン7Bに搭載される装置の数を少なくできる。スタッカクレーン7Bに搭載される走行部71b、走行用モータ78b、移載部75b、及び昇降用モータ82bが、走行路5の延在方向におけるマスト72bの他方の側の端部85bよりも一方の側に配置されるので、マスト72bの他方の側の端部85bから他方の側に装置がはみ出る領域が低減する。この結果、この領域に連動して発生するデッドスペースを低減できる。
【0082】
上記実施形態の自動倉庫1では、スタッカクレーン7A(7B)の各モータに対し指令及び/又は制御を行うための構成要素、例えば、サーボアンプ、モーションコントローラ、及びプログラマブルコントローラなどを、スタッカクレーン7Aの外部へと配置している。このため、スタッカクレーン7A(7B)側に設ける駆動装置としては、モータのみを配置すればよい。その結果、スタッカクレーン7Aに搭載される装置の数を少なくでき、スタッカクレーン7A(7B)に搭載される装置の領域が大きくなることで発生するストッカ本体2内のデッドスペースの低減を図ると共に、スタッカクレーン7A(7B)の軽量化にも寄与できる。
【0083】
本実施形態のスタッカクレーン7Aは、走行部71a、走行用モータ78a、昇降用モータ82a、及びケーブルガイド8は、棚31に荷Hが収容される収容領域A11よりも下方に設けられているので、デッドスペースとなることが多い、ラック3A(3B)の最下段の棚31よりも下側の空間A12を有効利用することができる。
【0084】
本実施形態の自動倉庫1では、図3及び図4に示されるように、スタッカクレーン7Aが走行路5の一方の端に停止して走行路5の延在方向に沿って一方の側の端に配置される棚31に荷Hを移載する際に、マスト72aのみが棚31から走行路5の延在方向における一方の側にはみ出す。言い換えれば、自動倉庫1内に、マスト72aを逃がすための領域のみを設ければ、走行路5の延在方向に沿って一方の側の端に配置される棚31に荷を移載することができる。したがって、走行路5の延在方向における一方の側の端の棚31に対して荷Hを移載する際に、マスト72a以外の部位が走行路5の延在方向において棚31からはみ出す部分が低減されるので、デッドスペースとなる領域を減らすことができる。スタッカクレーン7Bについても同様の効果を得ることができる。
【0085】
また、本実施形態の自動倉庫1では、電源部11及び制御装置12を、スタッカクレーン7A,7Bが荷Hを出し入れできないデッドスペースとなる自動倉庫1の四隅のスペースに配置されている。これにより、デッドスペースとなる領域を低減しつつ、自動倉庫1の設置面積を小さくすることができる。
【0086】
また、本実施形態の自動倉庫1では、図2及び図3に示されるように、走行用モータ78a及び昇降用モータ82aは、スタッカクレーン7Aの走行時に、最下段の棚31よりも下方において、鉛直方向から見た際に棚31に荷Hが収容される収容領域A11と重なる位置に突出するように配置されている。すなわち、本実施形態の自動倉庫1では、棚31の下に形成される領域を、スタッカクレーン7Aが移動する際の走行用モータ78a及び昇降用モータ82aの通過領域として利用している。これにより、走行用モータ78a及び昇降用モータ82aが、マスト72aの一方の側の端部85aよりも他方の側に配置されるに際し、マスト72aの一方の側の端部85aから他方の側に突出する量を低減することができる。スタッカクレーン7Bについても同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、本実施形態の自動倉庫1では、図3図5に示されるように、幅方向における一対の支持部80aの間には、昇降台73aが鉛直方向から進入可能な空間A21が形成されている。この構成によれば、幅方向における一対の支持部80aの間に形成される空間A21に昇降台73aが鉛直方向から進入可能であるため、昇降台73aを比較的低い位置まで降下させることができる。したがって、棚31の数を増やすこと又は棚31の設置位置を低くすることなどができる。
【0088】
また、本実施形態の自動倉庫1では、図5に示されるように、走行部71a及び走行部71bの走行路5の延在方向における長さLは、棚31の走行路5の延在方向における長さの1/2以下となるように形成されている。この構成により、走行路5の延在方向において同じ位置に鉛直方向に並ぶ複数の棚31に対し、同時に荷Hを出し入れすることが可能となる。
【0089】
本実施形態の一例の自動倉庫1の運転方法は、スタッカクレーン7Aのスライド部74aとスタッカクレーン7Bのスライド部74bとを、鉛直方向において互いに異なる位置に配置する第一工程と、第一工程の後に、スタッカクレーン7Aのスライド部74aとスタッカクレーン7Bのスライド部74bとが走行路5の延在方向において互いに同じ位置の棚31と対向するように、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bを配置する第二工程と、を含む。この運転方法では、走行路5の延在方向において互いに同じ位置の2つの棚31に荷Hを移載することが可能となるため、複数の荷Hを迅速に搬送することができる。
【0090】
本実施形態の他の例の自動倉庫1の運転方法は、スタッカクレーン7Aが故障した場合において、スタッカクレーン7Aのスライド部74aが走行路5の延在方向における一方の側の端の棚31と対向するように、スタッカクレーン7Aを配置する第一工程と、スタッカクレーン7Bに荷Hを搬送させる第二工程と、を含む。この運転方法では、スタッカクレーン7Aが故障した場合に、スライド部74aが走行路5の延在方向における一方の側の端の棚31と対向するように、スタッカクレーン7Aが配置される。
【0091】
二台のスタッカクレーンを備える自動倉庫では、一台のスタッカクレーンが故障した場合に、当該スタッカクレーンが棚を塞いでしまい、もう一台のスタッカクレーンが荷を移載することができないことが考えられる。さらに、当該スタッカクレーンが走行路を塞いでしまい、当該スタッカクレーンにより塞がれた棚の周辺の棚に対しても、もう一台のスタッカクレーンが荷を移載することができないことが考えられる。本実施形態の他の例の自動倉庫1の運転方法では、スライド部74aが走行路5の延在方向における一方の側の端の棚と対向するように、スタッカクレーン7Aが配置されるため、スタッカクレーン7Bが荷Hを移載することができない棚31は発生しない。したがって、スタッカクレーン7Aが障害となってスタッカクレーン7Bが荷Hを移載することができない棚31の数を抑えながら、スタッカクレーン7Bにより荷Hの搬送を継続することができる。
【0092】
第二工程では、スタッカクレーン7Aにおいて、マスト72aに対する昇降台73aの拘束が解除されている。このため、スタッカクレーン7Aが障害となってスタッカクレーン7Bが荷Hを移載することができない棚31との間で荷Hを移載する場合には、スタッカクレーン7Aの昇降台73aを手動で移動させることにより、荷Hを移載することができる。
【0093】
以上、本発明の自動倉庫の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。各要素の構成、個数及び形状などは、上記実施形態における構成、個数及び形状などに限られず、適宜変更可能である。
【0094】
本実施形態では、走行路5の延在方向において、スタッカクレーン7Aのハウジング77aの一方の端部は、マスト72aの一方の側の端部85aと同一の位置となるように配置されているが、マスト72aの一方の側の端部85aよりも他方の側(第二開口部22側)に位置するように配置されてもよい。スタッカクレーン7Bについても同様に、ハウジング77bの一方の端部は、マスト72bの他方の側の端部85bよりも一方の側(第一開口部21側)に位置するように配置されてもよい。
【0095】
また、スタッカクレーン7Aは、走行部71a、走行用モータ78a、移載部75a、及び昇降用モータ82aの少なくとも一つの一部が、走行路5の延在方向において、マスト72aの一方の側の端部85aと同一の位置となるように配置されていてもよい。スタッカクレーン7Bにおいても、同様に、走行部71b、走行用モータ78b、移載部75b、及び昇降用モータ82bの少なくとも一つの一部が、走行路5の延在方向において、マスト72bの他方の側の端部85bと同一の位置となるように配置されていてもよい。
【0096】
上記実施形態の自動倉庫1では、スタッカクレーン7Aは、一対の昇降台側走行用案内輪79a,79a及び支持部80a,80aを有する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、スタッカクレーン7Aの走行用駆動輪76aは、鉛直方向から見た場合にマスト72aと重なるように一輪のみ配置されていてもよい。このような構成とすれば、マスト72aにおける走行路5の延在方向における一方の側の端部85aから他方の側に突出する量をより低減させることができる。この結果、スタッカクレーン7Aの走行路5の延在方向における他方側に対向して配置されるスタッカクレーン7Bをより近接させて配置することができる。
【0097】
上記実施形態の自動倉庫1では、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bの両方を備える例を挙げて説明したがこれに限定されず、スタッカクレーン7A及びスタッカクレーン7Bの少なくとも一方を備えていればよい。
【0098】
上記実施形態の自動倉庫1では、スタッカクレーン7Aが補助走行部90aを有している例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、補助走行部90aが無い構成であってもよい。スタッカクレーン7Bについても同様である。
【0099】
上記実施形態の自動倉庫1では、スタッカクレーン7A(7B)と制御装置12とが、ケーブルガイド8(9)を介して接続されている例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。スタッカクレーン7A(7B)と制御装置12とは、有線の一例であるケーブルガイド8(9)ではなく無線により通信が行われてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…自動倉庫、5…走行路、7A…スタッカクレーン(第一スタッカクレーン)、7B…スタッカクレーン(第二スタッカクレーン)、8…ケーブルガイド(第一ケーブル)、9,9…ケーブルガイド(第二ケーブル)、31…棚、51…走行レール、71a…走行部(第一走行部)、71b…走行部(第二走行部)、72a…マスト(第一マスト)、72b…マスト(第二マスト)、73a…昇降台(第一昇降部)、73b…昇降台(第二昇降部)、74a…スライド部(第一出入部)、74b…スライド部(第二出入部)、75a…移載部(第一移載部)、75b…移載部(第二移載部)、76a…走行用駆動輪(第一駆動輪)、76b…走行用駆動輪(第二駆動輪)、78a…走行用モータ(第一走行駆動部)、78b…走行用モータ(第二走行駆動部)79a…昇降台側走行用案内輪(第一案内輪)、80a…支持部(第一支持部)、80b…支持部(第二支持部)、82a…昇降用モータ(第一昇降駆動部)、82b…昇降用モータ(第二昇降駆動部)、85a,85b…端部、H…荷。
図1
図2
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図5
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図9
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図11