(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6201979
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】遮光板取付構造及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20170914BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20170914BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20170914BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21S9/02 100
F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-261592(P2014-261592)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-122558(P2016-122558A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001074
【氏名又は名称】クロイ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻原 隆
【審査官】
山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−007505(JP,U)
【文献】
実開昭61−077505(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00 − 19/00
F21V 1/14 − 15/04
F21V 17/16 − 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の遮光板を支持部材に立設させて固定する遮光板取付構造であって、
前記遮光板の一部に厚さ方向に貫通して形成された孔部と、
前記遮光板の下端を基部として下方に延出して形成され、自由端から中間部に至る切込を有する折曲部と、
前記支持部材から立設し、前記折曲部が折り曲がった状態で、前記孔部に嵌入して少なくとも前記孔部の下縁に当接する爪を有する保持部と、
前記遮光板の厚さ方向において前記保持部との間に前記遮光板の厚さより大きく前記折曲部における前記切込と基部との間隔以下の間隔を設けて前記支持部材に配置され、前記切込に嵌入するリブと、
を備え、前記保持部と前記リブとの間に前記遮光板を所定の挿入方向に沿って挿入するようにした遮光板取付構造。
【請求項2】
前記遮光板の前記厚さ方向及び前記挿入方向に直交する方向について、前記孔部と前記折曲部との位置を一致させるとともに、前記リブと前記保持部との位置を一致させた請求項1に記載の遮光板取付構造。
【請求項3】
内部に光源を収納する筐体の底面を構成する支持部材と、
前記支持部材の一部に立設して取り付けられる遮光板と、
請求項1又は2に記載の遮光板取付構造と、を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源の光の所望の照明範囲外への配光を遮蔽する遮光板を装置内部に固定的に取り付ける遮光板取付構造、及びこの遮光板取付構造を備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置では、光源の光を所望の照明範囲のみに効率よく配光するために、所望の照明範囲外への配光を遮蔽する遮光板を備えたものがある。例えば、外観に統一感を与えるために光源の周囲を透光性のカバーで被覆した照明装置において、前面側の照射範囲のみに光源の光を配光するために、光源の背面側とカバーとの間に遮光板が配置される。
【0003】
遮光板は、照明装置内の支持部に、固定ネジを介して取り付けられる(例えば、特許文献1参照。)。また、遮光板は、照明装置内の支持部に両面テープ等によって貼付される場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−244991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、照明装置内の支持部に遮光板を固定ネジや両面テープ等の別部品を用いて固定する構成では、部品点数の増加によってコストが上昇するとともに、組立作業が煩雑化する。
【0006】
この発明の目的は、遮光板を照明装置内の支持部に容易かつ確実に固定できるようにし、部品点数の削減によるコストの低廉化、及び組立作業の容易化を実現できる遮光板取付構造及び照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の遮光板取付構造は、平板状の遮光板を支持部材に立設させて固定するために、孔部、折曲部、保持部及びリブを備えている。孔部は、遮光板の一部に厚さ方向に貫通して形成されている。折曲部は、遮光板の下端を基部として下方に延出して形成され、開放端から中間部に至る切込を有している。保持部は、支持部材から立設し、折曲部が折り曲がった状態で、孔部に嵌入して少なくとも孔部の下縁に当接する爪を有している。リブは、遮光板の厚さ方向において保持部との間に遮光板の厚さより大きく折曲部における切込と基部との間隔以下の間隔を設けて支持部材に配置され、折曲部の切込に嵌入する。
【0008】
遮光板を保持部とリブとの間に上方から挿入すると、孔部に爪が嵌入し、切込にリブが嵌入する。遮光板は、孔部の下縁に対する爪の当接によって上方への移動を規制され、切込に対するリブの嵌入によって水平方向の移動を規制される。遮光板は、折曲部の弾性力によって保持部に押圧され、上方及び水平方向への移動の規制が維持された状態で、支持部材に取り付けられる。
【0009】
この構成において、遮光板の厚さ方向及び挿入方向に直交する方向について、孔部と折曲部との位置を一致させるとともに、リブと保持部との位置を一致させることが好ましい。折曲部の弾性力が孔部に直接作用し、遮光板の上方及び水平方向への移動の規制をより確実に維持できる。
【0010】
爪部は、保持部からの突出量が下方に向かって大きくなる傾斜面を有することが好ましい。リブと保持部との間に遮光板を挿入し易くなる。
【0011】
この発明の照明装置は、内部に光源を収納する筐体の底面である支持部材と、支持部材の一部に立設して取り付けられる遮光板と、上述の遮光板取付構造と、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、遮光板をその弾性力によって照明装置内の支持部に容易かつ確実に固定でき、部品点数の削減によるコストの低廉化、及び組立作業の容易化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る照明装置の断面図である。
【
図3】(A)は同照明装置の支持部材の要部の外観図、(B)は同照明装置に用いられる遮光板の要部の外観図である。
【
図4】(A)及び(B)は同照明装置における遮光板の取付状態を示す断面図、(C)は同照明装置における遮光板の取付状態を示す要部の外観図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に係る遮光板取付構造を示す要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、この発明の実施形態に係る遮光板取付構造を適用した照明装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る照明装置10は、支持部材1、カバー2、光源3、遮光板5を備えている。支持部材1は、照明装置10の底面を構成し、一例として樹脂成形により、周囲の全周から垂直に突出した保持部11が一体的に形成され、保持部11の内側に電池収納部4及び図示しない光源保持部材が一体的に形成されている。
【0016】
カバー2は、例えば透光性の樹脂を素材として底面が開放した截頭円錐形を呈する半透明の筒状に形成されている。カバー2は、下端部を支持部材1の保持部11に外嵌させて支持部材1に固定される。光源3は、例えば基板にLEDを実装して構成されたLEDパッケージである。カバー2は、光源3の照射光を透過させて外部に配光する。
【0017】
支持部材1の上面において、光源3の前面側にはカバー2との間に他の収納物は存在しないが、光源3の背面側にはカバー2との間に電池収納部4等の他の収納物が存在する。光源3を点灯させると、カバー2の内部の全体が光源3の光によって照射されるため、カバー2の背面側に電池収納部4等の収納物の影が現れ、照明装置10の外観イメージが低下する。
【0018】
そこで、支持部材1の上面におけるカバー2の背面側の内側面に近接して遮光板5を取り付けることにより、光源3の光がカバー2の背面側から外部に配光されないようにし、電池収納部4等の収納物の影による照明装置10の外観イメージの低下を防止するようにしている。
【0019】
遮光板5は、遮光性及び可撓性を有する板状体であり、この条件を備えることを前提として、紙、樹脂又はこれらの複合材料等の任意の素材を用いることができる。支持部材1には、保持部11の内周面における遮光板5の横方向の両端部に対応する2箇所に爪13が形成されており、上面の爪13に対向する2箇所にリブ12が立設されている。遮光板5は、支持部材1の上面におけるリブ12と爪13との間に、平面視において湾曲した状態で取り付けられる。
【0020】
図3(A)に示すように、リブ12は、一例として矩形の平板状を呈し、支持部材1の上面1Aに立設されている。爪13は、一例として下方の突出量が大きい楔状を呈し、保持部11の内周面においてリブ12に対向する位置に形成されている。
【0021】
図3(B)に示すように、遮光板5の下端部には、孔部51が形成されており、下端5Aにおける孔部51に対向する部分から折り線54を基部として折曲部52が下方に延出している。折曲部52には、開放端から中間部に至る切込53が形成されている。
【0022】
爪13の幅WA1は、切込53の幅WA2に略等しい。リブ12と保持部11の内側面との間隔D1は、遮光板5の厚さより大きく、切込53の基部側の端部と折り線54までの距離D2に略等しい。爪13の幅WB1は、孔部51の幅WB2に略等しい。爪13の下面から支持部材1の上面1Aまでの距離H1は、孔部51の下縁から下端5Aまでの距離H2に略等しい。
【0023】
図4(A)及び(B)に示すように、遮光板5の下端部を支持部材1の上方からリブ12と爪部13との間に鉛直下方である挿入方向Fに沿って挿入すると、折曲部52が折り線54を支軸として、リブ12側に向けて折れ曲がり、切込53内にリブ12の一部が嵌入する。このとき、折曲部52の下端が爪13に当接するが、爪13において折曲部52の下端が当接する部分は、下方にいくにしたがって徐々にリブ12に接近する傾斜面で構成されており、折曲部52の下端は傾斜面に沿ってリブ12と爪13との間に導かれる。
【0024】
リブ12において切込53内に嵌入した部分の両側面が、切込53の内側面に密着する。また、リブ12において切込53内に嵌入した部分の保持部11側の面が、切込53の折り線54側の内側面に当接するとともに、遮光板5の下端部の外側面が保持部11の内側面に密着する。さらに、遮光板5の孔部51には爪13が嵌入し、爪13の底面が孔部51の下縁に当接する。
【0025】
図4(C)に示すように、遮光板5の厚さ方向及び挿入方向Fに直交する方向について、遮光板5における同一位置に孔部51、折曲部52及び折り線54が形成されており、支持部材1における同一位置にリブ12及び爪13が形成されている。
【0026】
切込53に嵌入したリブ12の両側面と切込53の内側面との密着により、遮光板5の矢印X方向の移動が規制される。また、切込53に嵌入したリブ12の保持部11側の面と切込53の折り線54側の内側面との当接により、遮光板5の矢印Y方向の移動が規制される。さらに、孔部51に嵌入した爪13の底面と孔部51の下縁との当接により、遮光板5の矢印Z方向の移動が規制される。
【0027】
以上のように、遮光板5の下端部を支持部材1の上方からリブ12と爪部13との間に挿入するだけで、固定ネジや両面テープ等の別部品を用いることなく、遮光板5を支持部材1に対して所定の位置に確実に固定することができる。
【0028】
なお、
図2に示したように、平面視において、遮光板5は、湾曲した状態で横方向の両端部をリブ12及び爪13によって固定される。可撓性を有する遮光板5の復元力により、遮光板5の両端部は保持部11の内側面に当接する方向に付勢され、遮光板5のリブ12及び爪13による固定状態が確実に維持される。
【0029】
図3(A)及び(B)において、間隔D1を距離D2よりも僅かに小さくし、これに合わせて距離H1を距離H2よりも僅かに長くすると、
図5に示すように、可撓性を有する遮光板5の一部に形成されている折曲部52が側面視において傾斜した状態となる。折曲部52は、復元力によって遮光板5を矢印PH方向及び矢印PV方向に付勢する。これによって、遮光板5の矢印Y方向及び矢印Z方向の移動をより確実に規制できる。
【0030】
なお、上記の実施形態では、遮光板5の厚さ方向及び挿入方向(
図4における矢印F方向)に直交する方向について、リブ12と爪13とを互いに対向する位置に配置したが、リブ12と爪13とを異なる位置に配置し、遮光板5においてリブ12に対向する位置に折曲部52を形成するとともに爪13に対向する位置に孔部51を形成してもよい。
【0031】
また、折曲部52が遮光板5の下端位置でリブ12に向かって折れ曲がることを条件に、折り線54を省略してもよい。
【0032】
さらに、本発明の遮光板取付構造を構成するリブ12、爪13、孔部51及び折曲部52は、少なくとも1組設ければよく、遮光板5を支持部材1に固定する際の作業性、及び固定状態を考慮して、任意の組数で形成することができる。
【符号の説明】
【0033】
1−支持部材
2−カバー
3−光源
5−遮光板
11−保持部
12−リブ
13−爪
51−孔部
52−折曲部
53−切込