(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価手段と、
対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価手段とのうち、
少なくとも一方を備え、
画像内の画素位置に対応する実空間内の地面の位置であって、その位置に対象物体を配置したときに画像内に対象物体全体が収まる位置の集合である対象物体視界領域と、対象領域とがどの程度正確に重なるかによって定まる、画像処理の適性を示す第3の適合度を導出する対象領域評価手段と、
対象領域内の各位置に応じた第1の適合度と、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度の少なくともいずれか一方と、第3の適合度とに基づいて、カメラの状態が画像処理に適している度合いを示す評価指標を導出する総合評価手段とを備える
ことを特徴とするカメラ位置姿勢評価装置。
対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価手段を備え、
解像度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第1の適合度を導出する
請求項1に記載のカメラ位置姿勢評価装置。
対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価手段を備え、
解像度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっていて、かつ、対象物体が障害物に隠されていない場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されている場合に、前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第1の適合度を導出する
請求項1に記載のカメラ位置姿勢評価装置。
対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価手段を備え、
注視点角度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第2の適合度を算出する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のカメラ位置姿勢評価装置。
対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価手段を備え、
注視点角度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっていて、かつ、対象物体が障害物に隠されていない場合に、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されている場合に、前記係数の値を0以上1未満の値に定め、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第2の適合度を算出する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のカメラ位置姿勢評価装置。
対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影することによって得られた画像から取得された画像内の対象物体の解像度、および、対象物体全体が画像内に収まっているか否かを示す情報が与えられ、前記解像度を、解像度と画像処理の適性を示す適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた適合度を導出する解像度評価手段を備え、
解像度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって適合度を導出する
ことを特徴とするカメラ位置姿勢評価装置。
対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価ステップと、
対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価ステップとのうち、
少なくとも一方を含み、
画像内の画素位置に対応する実空間内の地面の位置であって、その位置に対象物体を配置したときに画像内に対象物体全体が収まる位置の集合である対象物体視界領域と、対象領域とがどの程度正確に重なるかによって定まる、画像処理の適性を示す第3の適合度を導出する対象領域評価ステップと、
対象領域内の各位置に応じた第1の適合度と、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度の少なくともいずれか一方と、第3の適合度とに基づいて、カメラの状態が画像処理に適している度合いを示す評価指標を導出する総合評価ステップとを含む
ことを特徴とするカメラ位置姿勢評価方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
実施形態1.
図1は、本発明の第1の実施形態のカメラ位置姿勢評価装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態のカメラ位置姿勢評価装置は、カメラパラメータ入力装置1と、データ処理装置2と、記憶装置3とを備える。データ処理装置2は、例えば、プログラム制御により動作するコンピュータである。データ処理装置2は、画像処理適性評価手段21を含む。
【0019】
本実施形態のカメラ位置姿勢評価装置は、現状のカメラの状態(カメラパラメータ)を入力データとし、対象領域の各位置に関して画像内における画像処理の適性を評価し、その適性を示す値(以下、適合度と記す。)に基づいて、カメラの状態が画像処理にどの程度適しているかを示す評価指標を算出する。前述のように、画像処理の例として、画像内から物体を検出する検出処理や、画像内から物体を検出するだけでなくさらにその物体を識別する識別処理等が挙げられる。ただし、画像処理は、これらの例に限定されない。
【0020】
ここで、対象領域とは、カメラによって撮影され、撮影の結果得られた画像内で画像処理の対象となる実空間内の範囲である。
図2は、対象領域を示す模式図である。例えば、カメラの撮影によって得られる画像で監視を行う場合、実空間内の監視領域が対象領域に該当する。
【0021】
カメラパラメータ入力装置1は、カメラの状態を示すカメラパラメータをデータ処理装置2(画像処理適性評価手段21)に供給する。このカメラパラメータは、カメラの焦点距離、レンズ歪み係数、画像中心位置等を示す内部パラメータと、カメラの位置および姿勢を示す外部パラメータとを含んでいる。また、カメラパラメータは、画像座標系の2次元座標と、世界座標系の3次元座標とを相互に変換できるパラメータでもある。
【0022】
カメラパラメータ入力装置1が供給するカメラパラメータの値は、評価したいカメラによって得られた画像に基づいて、公知の方法(例えば、非特許文献1に記載の方法)で導出された値であってもよい。また、カメラパラメータの値は、カメラによって得られる画像を仮想的にCG(Computer Graphics )等で作成し、そのCG画像に基づいて導出してもよい。あるいは、人手で定めたカメラパラメータの値をカメラパラメータ入力装置1が供給してもよい。これらは、カメラパラメータの値の導出方法の例であり、カメラパラメータ入力装置1が供給するカメラパラメータの値の導出方法は特に限定されない。
【0023】
記憶装置3は、画像サイズ記憶手段31と、対象物体モデル記憶手段32と、対象領域記憶手段33と、解像度評価関数記憶手段34と、注視点角度評価関数記憶手段35とを含む。
【0024】
画像サイズ記憶手段31は、状態を評価しようとしているカメラの画像サイズを記憶する。具体的には、画像サイズ記憶手段31は、画像の縦サイズを表すピクセル数および横サイズを表すピクセル数を記憶する。
【0025】
対象物体モデル記憶手段32は、カメラによって撮影され、撮影の結果得られた画像内で画像処理の対象となる物体(以下、対象物体と記す。)の形状および大きさを表すデータを記憶する。以下、このデータによって表される対象物体を、対象物体モデルと記す場合がある。例えば、カメラの撮影によって得られる画像が顔検出および顔認識に利用される場合、対象物体モデル記憶手段32は、顔の形状、大きさ、地面からの高さ等を表すデータを記憶する。対象物体の形状は、円筒、直方体、棒等の近似形状で表されていてもよい。
【0026】
対象領域記憶手段33は、対象領域を記憶する。すなわち、対象領域記憶手段33は、カメラによって撮影され、撮影の結果得られた画像内で画像処理の対象となる実空間内の範囲(
図2参照)を記憶する。また、対象領域記憶手段33は、対象領域の面積も記憶する。
【0027】
解像度評価関数記憶手段34は、画像内の対象物体の解像度を、画像処理の適性を表す適合度に変換する評価関数(以下、解像度評価関数と記す。)を記憶する。
図3は、解像度評価関数の例を示すグラフである。画像処理に適している解像度であるほど、適合度は1に近づき、画像処理に適していない解像度ほど適合度は0に近づく。一般的に、解像度が高い方が、対象物体が鮮明となり、画像処理に適する。解像度評価関数は、扱う画像処理における性能限界の解像度に応じて設定しておく。ここで述べる解像度は、例えば、画像内の対象物体の画素面積であってもよく、あるいは、画像内の対象物体を囲む矩形の画素面積であってもよい。あるいは、解像度は、その矩形の縦方向の画素サイズ、あるいは、その矩形の横方法の画素サイズであってもよい。解像度評価関数を用いることにより、画像内の対象物体から得た解像度を、画像処理の適性を表す適合度に変換できる。
【0028】
注視点角度評価関数記憶手段35は、対象物体への注視点角度を、画像処理の適性を表す適合度に変換する評価関数(以下、注視点角度評価関数と記す。)を記憶する。
図4は、対象物体への注視点角度を示す説明図である。
図4では、対象物体モデルが人物である場合を例示している。対象物体への注視点角度とは、カメラ位置と対象物体内の注視点位置とを結ぶ直線と、地面とがなす角度である。ここで、対象物体内の注視点位置とは、対象物体の注目すべき位置を表す対象物体内の任意の点である。例えば、対象物体の重心や、重心軸の中点を注視点位置としてもよい。なお、
図4では、カメラが対象物体の方向を向いている場合を例示しているが、カメラの向きは問わない。すなわち、カメラ位置と対象物体内の注視点位置とが定まれば、カメラの向きに依らず、注視点角度が定まる。
【0029】
図5は、注視点角度評価関数の例を示すグラフである。例えば、画像処理が、対象物体の位置を推定する処理である場合、対象物体同士の重なりや対象物体と障害物との重なりが少ない方が好ましい。この場合、
図5(a)に示すように、注視点角度が90°に近いほど(すなわち、撮影位置が真上に近いほど)、適合度が1に近づき、注視点角度が0°に近いほど適合度が0に近づくような注視点角度評価関数を定めておけばよい。また、例えば、画像処理が物体検出および物体認識である場合、注視点角度が特定角度に近いことが好ましい。この場合、
図5(b)に示すように、注視点角度が特定角度に近づくほど適合度が高くなる注視点角度評価関数を定めておけばよい。
【0030】
各実施形態では、注視点角度評価関数および注視点角度評価関数によって求められる適合度は、0〜1の範囲である場合を例にする。
【0031】
画像処理適性評価手段21は、カメラパラメータ入力装置1からカメラの状態を表すカメラパラメータ(カメラの焦点距離、レンズ歪み係数、画像中心位置等を示す内部パラメータ、およびカメラの位置および姿勢を示す外部パラメータ)を入力される。そして、画像処理適性評価手段21は、解像度、注視点角度、画像内における対象領域の見え方という観点から、カメラの状態が画像処理にどの程度適しているかを示す評価指標を算出する。
【0032】
図6は、画像処理適性評価手段21を示すブロック図である。画像処理適性評価手段21は、解像度評価手段211と、注視点角度評価手段212と、対象領域評価手段213と、総合評価手段214とを含む。
【0033】
解像度評価手段211は、対象領域内の各位置に関して、仮想的に対象物体を配置し、その状態における画像を生成する。すなわち、解像度評価手段211は、対象領域に対象物体モデルを配置したときの状態を定め、その状態を表す画像を生成する。この画像は、カメラが実空間内の対象物体を撮影して得られる画像を模擬したものであると言うことができる。解像度評価手段211は、生成した画像から解像度を取得し、解像度評価関数記憶手段34に記憶されている解像度評価関数を用いて、対象領域内の位置毎に適合度を算出する。対象領域内の位置iに関して生成した画像から得られる解像度をr
iと記す。また、その解像度r
iから得られる適合度をSR
iと記す。
【0034】
上記のように、適合度SR
iを算出するということは、画像処理の適性を評価する上で重要となる画像内の対象物体の鮮明さを対象物体の解像度で評価していることとなる。そして、対象領域内の各位置に関して適合度を算出しているので、解像度評価手段211は、このような評価を対象領域内の各位置に関して行っていることになる。
【0035】
解像度評価手段211の処理をより詳細に示す。
図7は、対象物体モデルの解像度を取得する例を示す模式図である。解像度評価手段211は、対象領域記憶手段33に記憶されている対象領域内の位置iに対して対象物体を仮想的に配置し(換言すれば、対象領域内の位置iに対して対象物体モデルを配置したときの状態を定め)、カメラパラメータを用いて、その状態における画像を生成する。すなわち、解像度評価手段211は、対象領域内の位置iに存在する対象物体をカメラが撮影した場合に得られる画像の模擬画像を生成する。解像度評価手段211は、生成した画像から解像度r
iを取得する。そして、解像度評価手段211は、解像度評価関数記憶手段34に記憶されている解像度評価関数FR(r
i)でその解像度r
iを評価し、対象領域内の位置iに対応する適合度SR
iを求める。
【0036】
ただし、対象領域内の位置iに対して対象物体モデルを配置したときの画像を生成したときに、カメラパラメータによっては、
図8(a)に例示するように、対象物体モデルが画像内に収まる場合や、
図8(b)に例示するように、対象物体モデルの一部が画像外に出る場合が生じる。対象物体モデルの一部が画像外に出ると画像処理がしにくくなるため、そのような画像が生成される位置iは画像処理にあまり適していないと言える。このような事項も、解像度評価関数FR(r
i)による評価に反映させることが好ましい。そこで、解像度評価手段211は、以下の式(1)の計算によって、適合度SR
iを算出することが好ましい。
【0038】
αは、生成された画像において対象物体の一部が画像外に出る場合に適合度を低くするための係数(以下、ペナルティ係数と記す。)である。対象物体の一部が画像外に出る場合、αを1未満の値とし、対象物体が画像内に収まる場合にα=1とすればよい。例えば、対象物体が画像内に収まる場合にα=1とし、それ以外の場合にα=0としてもよい。また、例えば、対象物体全体の画素面積に対する画像内に収まっている対象物体の部分の画素面積の割合をペナルティ係数αとしてもよい。上記のαの値の定め方は例示であり、対象物体が画像内に収まっていない場合のαの値の定め方は上記の例に限定されない。
【0039】
なお、対象物体全体の画素面積に対する画像内に収まっている対象物体の部分の画素面積の割合は、換言すれば、対象物体のうち画像内に収まっている部分の割合ということができる。また、対象物体のうち画像内に収まっている部分の割合が高くなれば、画像からはみ出した部分の割合が低くなるという相関性がある。従って、解像度評価手段211は、対象物体のうち画像からはみ出した部分の割合に応じて、αを定めることもできる。
【0040】
解像度評価手段211は、対象物体が画像内に収まるか否かや、画像内に収まっている対象物体の部分の画素面積の割合に関しては、画像サイズ記憶手段31に記憶されている画像サイズを用いて求める。
【0041】
また、解像度評価手段211が適合度を算出する対象領域内の位置iは、離散化されたサンプル点であってもよい。
【0042】
注視点角度評価手段212は、対象領域内の各位置に関して、仮想的に対象物体を配置し(換言すれば、対象領域に対象物体モデルを配置したときの状態を定め)、その状態における対象物体モデルの注視点とカメラ位置とを通過する直線から注視点角度を求める。そして、注視点角度評価手段212は、注視点角度評価関数記憶手段35に記憶されている注視点角度評価関数を用いて、対象領域内の位置毎に適合度を算出する。対象領域内の位置iに関して求めた注視点角度をa
iと記す。また、その注視点角度a
iから得られる適合度をSA
iと記す。
【0043】
上記のように適合度SA
iを算出するということは、画像処理の適性を評価する上で重要となるカメラの撮影角度による対象物体のアピアランスの違いや、対象物体同士の重なり具体等を、対象物体への注視点角度で評価していることとなる。そして、対象領域内の各位置に関して適合度を算出しているので、注視点角度評価手段212は、このような評価を対象領域内の各位置に関して行っていることになる。
【0044】
注視点角度評価手段212の処理をより詳細に示す。
図9は、対象物体モデルの注視点角度を取得する例を示す模式図である。注視点角度評価手段212は、対象領域記憶手段33に記憶されている対象領域内の位置iに対して対象物体を仮想的に配置する(換言すれば、対象領域内の位置iに対して対象物体モデルを配置したときの状態を定める)。そして、注視点角度評価手段212は、例えば、位置iの対象物体モデルの重心等を注視点として、カメラ位置と注視点とを通過する直線を、カメラパラメータを用いて算出する。注視点角度評価手段212は、その直線と地面とのなす角度を注視点角度a
iとして算出する。そして、注視点角度評価手段212は、注視点角度評価関数記憶手段35に記憶されている注視点角度評価関数FA(a
i)でその注視点角度a
iを評価し、対象領域内の位置iに対応するSA
iを求める。
【0045】
ただし、前述のように、対象領域内の位置iに対して対象物体モデルを配置したときの画像を生成したときに、カメラパラメータによっては、対象物体モデルが画像内に収まる場合(
図8(a)参照)や、対象物体モデルの一部が画像外に出る場合(
図8(b)参照)が生じる。そして、対象物体モデルの一部が画像外に出る画像が生成される位置iは、画像処理にあまり適していないと言える。このような事項も、注視点角度評価関数FA(a
i)による評価に反映させることが好ましい。そこで、注視点角度評価手段212は、以下の式(2)の計算によって、適合度SA
iを算出することが好ましい。
【0047】
αは、式(1)におけるαと同じく、ペナルティ係数である。ペナルティ係数αの値の定め方の例については、既に説明したとおりであり、ここでは説明を省略する。
【0048】
注視点角度評価手段212は、対象物体が画像内に収まるか否かや、画像内に収まっている対象物体の部分の画素面積の割合に関しては、画像サイズ記憶手段31に記憶されている画像サイズを用いて求める。
【0049】
また、注視点角度評価手段212が適合度を算出する対象領域内の位置iは、離散化されたサンプル点であってもよい。
【0050】
次に、対象領域評価手段213は、対象領域と、対象物体がカメラの画像内に完全に映ることを条件として求めた実空間の領域(対象物体視界領域)とがどの程度正確に重なっているかを評価して、適合度を求める。以下、この適合度をSTと記す。
【0051】
画像内で対象領域が小さく撮影されること、あるいは、画像からはみ出すように対象領域が大きく撮影されることは、対象領域内で対象物体を的確に捉える画像処理に適さない。例えば、画像内で対象領域が小さく撮影されていると対象物体が見えにくくなり、画像内の対象物体を捉えにくくなる。また、画像からはみ出すように対象領域が大きく撮影されると、対象領域に死角ができ、その結果、画像処理で対象物体を捉えにくくなる。上記の適合度STを算出するということは、画像内で対象領域が小さく撮影されること、あるいは、画像からはみ出すように対象領域が大きく撮影されることは、対象領域内で対象物体を的確に捉える画像処理に適さないという観点から、画像処理の適性を評価していることを意味する。
【0052】
対象領域評価手段213の処理をより詳細に示す。
図10は、対象物体視界領域を定める例を示す模式図である。対象領域評価手段213は、画像サイズ記憶手段31に記憶されている画像サイズの画像内の画素位置に対応する実空間内の地面の位置を、カメラパラメータを用いて決定する。画素位置に対応する実空間内の地面の位置が無限遠点(または、それに準じる点)であるならば、対象領域評価手段213は、その実空間内の位置が対象物体視界領域に該当しないと判定する。画素位置に対応する実空間内の位置が無限遠点でなければ、対象領域評価手段213は、その実空間内の位置に、仮想的に対象物体を配置し(すなわち、その位置に対象物体モデルを配置した状態を定め)、その状態における画像を生成する。その画像内に対象物体モデルが収まっていれば、対象領域評価手段213は、その実空間の位置を対象物体視界領域に該当する位置として記録する。その画像内に対象物体モデルが収まらなければ、対象領域評価手段213は、その実空間の位置が対象物体視界領域に該当しないと判定する。対象領域評価手段213は、この処理を、例えば、画像サイズの画像内の全画素に対して行う。あるいは、対象領域評価手段213は、画像全体を均等に網羅する離散的なサンプル画素毎に、上記の処理を行ってもよい。
【0053】
このような処理によって、対象物体視界領域が定まる。従って、対象物体視界領域は、画像内の画素位置に対応する実空間内の位置であって、対象物体を配置した場合に対象物体が画像内に完全に収まる位置の集合であるということができる。
【0054】
対象領域評価手段213は、対象物体視界領域に該当するとして記録された実空間の位置の集まりを対象物体視界領域とする。そして、対象領域評価手段213は、以下の式(3)の計算によって、対象領域と対象物体視界領域とがどの程度正確に重なっているかを表す適合度STを算出する。なお、
図11に、対象領域と対象物体視界領域との重なりの一例を示す。
【0055】
ST=β(V/T)+(1−β)(V/U) 式(3)
【0056】
式(3)においてβは重みである。Tは対象領域の面積である。Uは対象物体視界領域の面積である。Vは、対象領域と対象物体視界領域との重なり領域の面積である。STは、0〜1の値となる。対象領域と対象物体視界領域とが正確に重なっている度合いが高いほど、適合度STは1に近づき、対象領域と対象物体視界領域とが正確に重なっている度合いが低いほど適合度STは0に近づく。適合度STの値が高いほど、画像処理の適性も高い。
【0057】
総合評価手段214は、解像度、注視点角度、画像内における対象領域の見え方の観点から画像処理の適性を示す各適合度を総合的に評価し、カメラ状態(カメラパラメータ)が画像処理にどの程度適しているかを示す評価指標Cを算出し、その評価指標Cを出力する。
【0058】
総合評価手段214の処理を詳細に示す。総合評価手段214は、解像度に基づいて算出された各位置iの適合度SR
iを解像度評価手段211から取得し、注視点角度に基づいて算出された各位置iの適合度SA
iを注視点角度評価手段212から取得し、画像内における対象領域の見え方を評価した適合度STを対象領域評価手段213から取得する。総合評価手段214は、取得した各適合度を用いて、以下の式(4)の計算を行うことによって評価指標Cを算出する。評価指標Cが0に近いほど、カメラ状態(カメラパラメータ)が画像処理に適している。
【0060】
式(4)において、nは、対象領域を、対象領域の複数の位置iに離散化したときの各位置の総数である。w
iは、対象領域内の位置iの重要度を示す重みである。また、W
1,W
2,W
3は、各種適合度(SR
i,SA
i,ST)の重要度を示す重みである。W
1,W
2,W
3を同じ重みとするのであれば、W
1,W
2が1の場合、W
3がnw
iであることが好ましい。
【0061】
適合度SR
iが最高値“1”になるときに評価指標Cの値が0に近づくこと、および、対象領域内の位置iの重要度を評価したいことから、式(4)の適合度SR
iに関する項(第1項)では、位置iに対する重要度を示す重みw
iを考慮した1とSR
iの差の重み付き二乗和を計算している。同様に、適合度SA
iが最高値“1”になるときに評価指標Cの値が0に近づくこと、および、対象領域内の位置iの重要度を評価したいことから、式(4)の適合度SA
iに関する項(第2項)でも、位置iに対する重要度を示す重みw
iを考慮した1とSA
iの差の重み付き二乗和を計算している。また、適合度STが最高値“1” になるときに評価指標Cの値が0に近づくこと、および、第1項、第2項に合わせるという観点から、式(4)の適合度STに関する項(第3項)でも、1とSTの差の二乗和を計算している。
【0062】
式(4)の計算は、自乗和の重み付き線形和の計算である。
【0063】
総合評価手段214は、算出した評価指標Cをそのまま出力してよい。あるいは、総合評価手段214は、画像処理に適している場合に1を出力し、適していない場合に0を出力するように、評価指標Cをシグモイド関数や式(5)に例示する関数で変換し、変換後の値を出力してもよい。
【0065】
式(5)において、γは調整係数であり、γ≧0である。
【0066】
また、総合評価手段214は、算出した評価指標Cを出力するとともに、解像度評価手段211から取得した各位置iの適合度SR
i、注視点角度評価手段212から取得した各位置iの適合度SA
i、対象領域評価手段213から取得した適合度STをそのまま出力してもよい。
【0067】
また、総合評価手段214は、対象領域内の位置iの適合度SR
iに関しては、位置iに対応する画像内の画素位置や対象領域内のそのままの位置iに、適合度SR
iに応じた色を表示してもよい。同様に、対象領域内の位置iの適合度SA
iに関しても、位置iに対応する画像内の画素位置や対象領域内のそのままの位置iに、適合度SA
iに応じた色を表示してもよい。このように適合度を表示すれば、画像処理の適性を視覚的に表すことができ、また、適合度の空間的な広がりも分かる。ここでは、色で適合度を表示する場合を例にしたが、色以外の態様で適合度を表示してもよい。
【0068】
次に、動作について説明する。
図12は、第1の実施形態の処理経過の例を示すフローチャートである。まず、カメラパラメータ入力装置1は、カメラの状態を示すカメラパラメータを、画像処理適性評価手段21の解像度評価手段211、注視点角度評価手段212および対象領域評価手段213に供給する(ステップS1)。
【0069】
解像度評価手段211は、対象領域内の各位置に関して、対象領域に対象物体モデルを配置したときの状態の画像を生成する。そして、解像度評価手段211は、位置毎に生成した画像から解像度を取得し、解像度評価関数記憶手段34に記憶されている解像度評価関数を用いて、対象領域内の各位置iにおける適合度SR
iを算出する(ステップS2)。
【0070】
ステップS2をさらに詳細に説明する。
図13は、ステップS2の処理経過の例を示すフローチャートである。解像度評価手段211は、対象領域記憶手段33に記憶されている対象領域を示す情報を参照し、対象領域の中から、未選択の位置iを選択する(ステップS201)。次に、解像度評価手段211は、選択した対象領域内の位置iに、対象物体モデルを配置した状態を定める(ステップS202)。すなわち、解像度評価手段211は、対象物体モデル記憶手段32に記憶されている対象物体の位置および大きさを表すデータを用いて、対象物体モデルを位置iに配置した状態を表現する。続いて、解像度評価手段211は、ステップS202で定めた状態を表す画像を、カメラパラメータを用いて生成する(ステップS203)。
【0071】
解像度評価手段211は、生成した画像から、対象物体モデルの解像度r
iを取得する(ステップS204)。また、同時に、解像度評価手段211は、画像サイズ記憶手段31に記憶されている画像サイズを参照して、生成された画像内に対象物体モデルが収まっているか否かを判定し、対象物体モデルが収まっている場合には、ペナルティ係数αを1として決定する。また、画像内に対象物体モデルが収まっていなければ、解像度評価手段211は、αを1未満の値として決定する(ステップS205)。この場合、例えば、対象物体のうち画像内に収まっている部分の割合、あるいは、画像からはみ出した部分の割合を計算し、その割合に基づいて、αの値を決定してもよい。前述のように、対象物体モデルが画像内に収まっていない場合のαの定め方は特に限定されない。ただし、αは、0〜1の範囲の値であるものとする。
【0072】
ステップS204,S205の後、解像度評価手段211は、決定したペナルティ係数αと解像度評価関数FR(r
i)とを用いて式(1)の計算を行うことによって、解像度r
iを評価し、選択した位置iに対応する適合度SR
iを算出する(ステップS206)。
【0073】
次に、解像度評価手段211は、対象領域内の全ての位置iについて適合度SR
iを算出したか否かを判定する(ステップS207)。対象領域内の全ての位置iについて適合度SR
iの算出が完了していなければ(ステップS207のNo)、解像度評価手段211は、ステップS201以降の処理を繰り返す。対象領域内の全ての位置iについて適合度SR
iの算出が完了していれば(ステップS207のYes)、ステップS2の処理を終了する。
【0074】
なお、対象領域内の全ての位置に関してではなく、対象領域内の離散化されたサンプル点となる各位置に関して適合度を算出することとしてもよい。この点は、後述のステップS3においても同様である。
【0075】
ステップS2の後、注視点角度評価手段212は、対象領域内の各位置に関して、対象領域に対象物体モデルを配置したときの注視点角度を算出し、注視点角度評価関数記憶手段35に記憶されている注視点角度評価関数を用いて、対象領域内の各位置iにおける適合度SA
iを算出する(ステップS3)。
【0076】
ステップS3をさらに詳細に説明する。
図14は、ステップS3の処理経過の例を示すフローチャートである。注視点角度評価手段212は、対象領域記憶手段33に記憶されている対象領域を示す情報を参照し、対象領域の中から、未選択の位置iを選択する(ステップS301)。次に、注視点角度評価手段212は、選択した対象領域内の位置iに、対象物体モデルを配置した状態を定める(ステップS302)。すなわち、注視点角度評価手段212は、対象物体モデル記憶手段32に記憶されている対象物体の位置および大きさを表すデータを用いて、対象物体モデルを位置iに配置した状態を表現する。
【0077】
そして、注視点角度評価手段212は、ステップS302で定めた状態において、例えば、対象物体モデルの重心等を注視点とし、カメラパラメータによって規定されるカメラ位置と、その注視点とを通過する直線を算出する(ステップS303)。そして、注視点角度評価手段212は、その直線と地面とがなす角度を注視点角度a
iとして算出する(ステップS304)。
【0078】
また、注視点角度評価手段212は、ステップS302,S303と並行して、ステップS302で定めた状態を表す画像を、カメラパラメータを用いて生成する(ステップS305)。そして、注視点角度評価手段212は、画像サイズ記憶手段31に記憶されている画像サイズを参照して、生成された画像内に対象物体モデルが収まっているか否かを判定し、対象物体モデルが収まっている場合には、ペナルティ係数αを1として決定する。また、画像内に対象物体モデルが収まっていなければ、注視点角度評価手段212は、αを1未満の値として決定する(ステップS306)。ステップS306は、解像度評価手段211が行うステップS205の処理と同様である。前述のように、αは、0〜1の範囲の値である。
【0079】
ステップS304,S306の後、注視点角度評価手段212は、決定したペナルティ係数αと注視点角度評価関数FA(a
i)とを用いて式(2)の計算を行うことによって、注視点角度a
iを評価し、選択した位置iに対応する適合度SA
iを算出する(ステップS307)。
【0080】
次に、注視点角度評価手段212は、対象領域内の全ての位置iについて適合度SA
iを算出したか否かを判定する(ステップS308)。対象領域内の全ての位置iについて適合度SA
iの算出が完了していなければ(ステップS308のNo)、注視点角度評価手段212は、ステップS301以降の処理を繰り返す。対象領域内の全ての位置iについて適合度SA
iの算出が完了していれば(ステップS308のYes)、ステップS3の処理を終了する。
【0081】
ステップS3の後、対象領域評価手段213は、対象領域と対象物体視界領域とがどの程度正確に重なるかを示す適合度STを算出する(ステップS4)。
【0082】
ステップS4をさらに詳細に説明する。
図15は、ステップS4の処理経過の例を示すフローチャートである。対象領域評価手段213は、画像サイズ記憶手段31に記憶された画像サイズで規定される大きさの画像の画素位置のうち、未選択の画素位置を選択する(ステップS401)。そして、対象領域評価手段213は、カメラパラメータを用いて、選択した画素位置に対応する実空間内の地面の位置を決定する(ステップS402)。対象領域評価手段213は、ステップS402で決定した実空間の位置が無限遠点(または無限遠点に準じる点)であるか否かを判定する(ステップS403)。ステップS402で決定した実空間の位置が無限遠点(または無限遠点に準じる点)である場合(ステップS403のYes)、ステップS401以降の処理を繰り返す。
【0083】
ステップS402で決定した実空間の位置が無限遠点(または無限遠点に準じる点)でない場合(ステップS403のNo)、対象領域評価手段213は、その実空間の位置に、対象物体モデルを配置した状態を定める(ステップS404)。すなわち、対象領域評価手段213は、対象物体モデル記憶手段32に記憶されている対象物体の位置および大きさを表すデータを用いて、その位置に対象物体モデルを配置した状態を表現する。続いて、対象領域評価手段213は、ステップS404で定めた状態を表す画像を、カメラパラメータを用いて生成する(ステップS405)。
【0084】
そして、対象領域評価手段213は、画像サイズ記憶手段31に記憶されている画像サイズを参照して、生成された画像内に対象物体モデルが収まっているか否かを判定する(ステップS406)。画像内に対象物体モデルが収まっていなければ(ステップS406におけるNo)、ステップS401以降の処理を繰り返す。
【0085】
ステップS403,S406の判定の結果、ステップS401以降の処理を繰り返すことになった場合(ステップS403のYes、または、ステップS406のNo)、直近のステップS402で決定した実空間の位置に関して、対象物体視界領域に該当しないと判定していることになる。
【0086】
ステップS406において画像内に対象物体モデルが収まっている場合(ステップS406のYes)、対象領域評価手段213は、直近のステップS402で決定した実空間の位置を、対象物体視界領域として記録する(ステップS407)。
【0087】
次に、対象領域評価手段213は、画像内の全ての画素位置が選択済みであるか否かを判定する(ステップS408)。画像内に未選択の画素位置が残っている場合(ステップS408のNo)、対象領域評価手段213は、ステップS401以降の処理を繰り返す。
【0088】
画像内の全ての画素位置が選択済みである場合(ステップS408のYes)、対象領域評価手段213は、対象物体視界領域として記録された実空間の位置について、それらの集まりを表す領域を求め、その領域を対象物体視界領域とする(ステップS409)。
【0089】
次に、対象領域評価手段213は、対象領域記憶手段33に記憶された対象領域を参照し、対象領域と対象物体視界領域との重なり領域の面積Vを求める。そして、対象領域評価手段213は、対象領域記憶手段33に記憶された対象領域の面積T、対象物体視界領域の面積U、および重なり領域の面積Vを用いて式(3)の計算を行うことによって、適合度STを算出し(ステップS410)、ステップS4の処理を終了する。
【0090】
ステップS4の後、総合評価手段214は、解像度に基づいて算出された各位置iの適合度SR
iを解像度評価手段211から取得し、注視点角度に基づいて算出された各位置iの適合度SA
iを注視点角度評価手段212から取得し、画像内における対象領域の見え方を評価した適合度STを対象領域評価手段213から取得する。そして、総合評価手段214は、それらの適合度を用いて、カメラパラメータが画像処理にどの程度適しているかを表す評価指標Cを算出し、出力する(ステップS5)。具体的には、総合評価手段214は、対象領域内の各位置に対してそれぞれ算出された適合度SR
i,SA
i、および適合度STを用いて、式(4)の計算を行うことによって、評価指標Cを算出する。
【0091】
なお、
図12に示すフローチャートにおいて、ステップS2,S3,S4の実行順序は任意の順序でよい。
【0092】
第1の実施形態のカメラ位置姿勢評価装置は、対象領域内の各位置に対象物体を配置した場合における画像内での対象物体の鮮明さを示す解像度と、対象領域内の各位置における、カメラの撮影角度による対象物体のアピアランスの違いや対象物体同士の重なり具体等を示す注視点角度と、画像内における対象領域の見え方の違いを示す対象領域と対象物体視界領域との重なり具合とを用いて、カメラパラメータに対して、画像処理の適性を総合的に評価し、評価指標Cとして出力する。従って、想定した対象領域および対象物体に対して画像処理を行う場合、評価しようとしているカメラパラメータがどの程度適しているかを評価指標の形で提供することができる。
【0093】
また、前述のように、総合評価手段214は、対象領域内の位置iの適合度SR
iに関しては、位置iに対応する画像内の画素位置や対象領域内のそのままの位置iに、適合度SR
iに応じた色等を表示してもよい。同様に、総合評価手段214は、対象領域内の位置iの適合度SA
iに関しても、位置iに対応する画像内の画素位置や対象領域内のそのままの位置iに、適合度SA
iに応じた色を表示してもよい。このような表示を出力することによって、画像処理の適性を視覚的に表すことができる。
【0094】
また、画像処理適性評価手段21は、解像度評価手段211と注視点角度評価手段212のうち、一方のみを備え、他方については備えていない構成であってもよい。例えば、画像処理適性評価手段21が解像度評価手段211を備えていない場合、ステップS2を実行しなくてよい。そして、総合評価手段214は、式(4)の第2項および第3項の和として評価指標Cを算出すればよい。また、例えば、画像処理適性評価手段21が注視点角度評価手段212を備えていない場合、ステップS3を実行しなくてよい。そして、総合評価手段214は、式(4)の第1項および第3項の和として評価指標Cを算出すればよい。この場合であっても、カメラパラメータが、画像処理にどの程度適しているかを評価することができる。
【0095】
実施形態2.
図16は、本発明の第2の実施形態のカメラ位置姿勢評価装置の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の要素についは、
図1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。第2の実施形態では、データ処理装置100は、画像処理適性評価手段21に加え、カメラパラメータ切替手段22と、カメラパラメータ最適化手段23とを備える。
【0096】
カメラパラメータ切替手段22は、カメラパラメータ入力装置1またはカメラパラメータ最適化手段23から供給されるカメラパラメータを画像処理適性評価手段21に供給する。具体的には、初期時には、カメラパラメータ切替手段22は、カメラパラメータ入力装置1から供給されるカメラパラメータを画像処理適性評価手段21に供給する。そして、その後には、カメラパラメータ切替手段22は、カメラパラメータ最適化手段23から供給されるカメラパラメータを画像処理適性評価手段21に供給する。すなわち、カメラパラメータ切替手段22は、初期時の後、カメラパラメータの供給元をカメラパラメータ入力装置1からカメラパラメータ最適化手段23に切り替える。
【0097】
カメラパラメータ最適化手段23は、画像処理適性評価手段21が出力する評価指標Cを用いて、評価指標が小さくなるように(すなわち、画像処理により適した状態になるように)、カメラパラメータを更新する。そして、カメラパラメータ最適化手段23は、その更新後のカメラパラメータをカメラパラメータ切替手段22に供給する。カメラパラメータ最適化手段23は、評価指標Cが算出される毎にカメラパラメータを更新することによって、カメラパラメータを最適化する。
【0098】
カメラパラメータ最適化手段23は、例えば、以下の式(6)の計算を行うことによって、更新後のカメラパラメータを算出すればよい。最適化手法として、最急降下法等の公知の手法を用いてもよい。
【0100】
n,wi,W1,W2,W3に関しては、式(4)と同様である。θは、カメラパラメータを示す。式(6)の左辺の、ハット記号“^”とともに示したθは、更新後のカメラパラメータである。また、適合度SR
i,SA
i,STは、それぞれカメラパラメータθの変化に伴い変化する値であるので、式(6)では、これらの適合度をそれぞれθの関数として示している。
【0101】
なお、カメラパラメータの最適化において、例えば、カメラパラメータの一部を固定値にしたり、カメラパラメータのとり得る値の範囲を限定したりする等の制約を設けてもよい。例えば、カメラの設置位置が決定されている場合、カメラパラメータ最適化手段23は、カメラパラメータを更新するときに、カメラの位置を示す外部パラメータである並進行列Tを固定とし、カメラの方向を示す外部パラメータである回転行列Rとカメラの特性を示す内部パラメータを変動させてもよい。
【0102】
図17は、第2の実施形態の処理経過の例を示すフローチャートである。最初に、カメラパラメータ入力装置1がカメラパラメータをカメラパラメータ切替手段22に供給する(ステップS1)。
【0103】
そして、カメラパラメータ切替手段22は、カメラパラメータ入力装置1またはカメラパラメータ最適化手段23から供給されたカメラパラメータを、画像処理適性評価手段21(具体的には、解像度評価手段211、注視点角度評価手段212および対象領域評価手段213)に供給する(ステップS6)。
【0104】
ここで、ステップS1の後、最初のステップS6では、カメラパラメータ切替手段22は、カメラパラメータ入力装置1から供給されたカメラパラメータを画像処理適性評価手段21に供給する。
【0105】
また、2回目以降のステップS6を実行する場合(換言すれば、後述のステップS8の後にステップS6を実行する場合)、カメラパラメータ切替手段22は、ステップS8でカメラパラメータ最適化手段23から供給されたカメラパラメータを画像処理適性評価手段21に供給する。
【0106】
ステップS6の後、画像処理適性評価手段21はステップS2〜S5の処理を実行する。ステップS2〜S5の処理は、第1の実施形態におけるステップS2〜S5の処理(
図12参照)と同様であり、説明を省略する。
【0107】
ステップS5の後、カメラパラメータ最適化手段23は、ステップS5で総合評価手段214(
図6参照)が出力する評価指標Cが最小値になったか否かを判定する(ステップS7)。評価指標Cが最小値になっていなければ(ステップS7のNo)、ステップS8に移行する。また、評価指標Cが最小値であれば(ステップS7のYes)、カメラパラメータ最適化手段23は直前のステップS8で更新されたカメラパラメータθを、画像処理に最適なカメラパラメータとして出力する。
【0108】
また、カメラパラメータ最適化手段23は、ステップS7において、評価指標Cが収束したか否かを判定してもよい。この場合、評価指標Cが収束していなければ(ステップS7のNo)、ステップS8に移行する。評価指標Cが収束していれば(ステップS7のYes)、カメラパラメータ最適化手段23は直前のステップS8で更新されたカメラパラメータθを、画像処理に最適なカメラパラメータとして出力する。
【0109】
ステップS7の判定方法は、特に限定されない。例えば、評価指標Cが収束しているか否かを判定する場合、評価指標Cと前回の評価指標Cの値の差分が予め定められた閾値以下になっていれば、評価指標Cが収束したと判定し、その差分が閾値を越えていれば、評価指標Cは収束していないと判定することもできる。
【0110】
ステップS8において、カメラパラメータ最適化手段23は、式(6)の計算によって、更新後のカメラパラメータを算出する(ステップS8)。具体的には、カメラパラメータ最適化手段23は、ステップS2で得られた位置毎の適合度SR
iと、ステップS3で得られた位置毎の適合度SA
iと、ステップS4で得られた適合度STとを、それぞれ、式(6)のSR
i(θ),SA
i(θ),ST(θ)に代入し、式(6)の計算を行うことで更新後のパラメータを算出すればよい。カメラパラメータ最適化手段23は、更新したカメラパラメータをカメラパラメータ切替手段22に供給する。
【0111】
以降、データ処理装置100は、ステップS6以降の処理を繰り返す。2回目以降のステップS6の実行時には、カメラパラメータ切替手段22は、カメラパラメータ最適化手段23が直前のステップS8で更新したカメラパラメータを画像処理特性評価手段21に供給する。
【0112】
このように、ステップS6,S2,S3,S4,S5,S7,S8の処理を繰り返し、ステップS7で、評価指標Cが最小値になった(あるいは、評価指標Cが収束した)と判定したときにカメラパラメータ最適化手段23が出力するカメラパラメータが、画像処理に最適なカメラパラメータである。
【0113】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、画像処理の適性を総合的に評価し、評価指標Cを算出する。そして、カメラパラメータ最適化手段23が、評価指標が小さくなるようにカメラパラメータを更新し、評価指標Cを算出する処理を繰り返す。従って、本実施形態によれば、想定した対象領域および対象物体に関して、画像処理に最も適しているカメラパラメータ(カメラの状態)を求めることができる。また、画像処理に最も適しているカメラパラメータをデータ処理装置100の処理によって自動的に算出することができるため、ユーザがカメラの位置や姿勢を試行錯誤して調整する必要がない。
【0114】
実施形態3.
図18は、本発明の第3の実施形態のカメラ位置姿勢評価装置の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態および第2の実施形態と同様の要素については、
図1、
図16と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0115】
第3の実施形態における記憶装置102は、画像サイズ記憶手段31と、対象物体モデル記憶手段32と、対象領域記憶手段33と、解像度評価関数記憶手段34と、注視点角度評価関数記憶手段35と、障害物記憶手段36とを備える。
【0116】
障害物記憶手段36は、対象領域に存在する障害物の位置、形状、大きさを記憶する。
【0117】
また、第3の実施形態におけるデータ処理装置101は、画像処理特性評価手段24を備える。
図19は、画像処理特性評価手段24を示すブロック図である。画像処理特性評価手段24は、解像度評価手段215と、注視点角度評価手段216と、対象領域評価手段217と、総合評価手段214とを備える。総合評価手段214は、第1の実施形態における総合評価手段214と同様である。
【0118】
解像度評価手段215は、第1の実施形態における解像度評価手段211(
図6参照)とは、ペナルティ係数の決定方法が異なる。解像度評価手段215は、対象領域内に対象物体モデルを配置した状態の画像を作成するときに、障害物記憶手段36が記憶している情報も参照して、対象領域内の位置iに対象物体モデルが配置され、障害物記憶手段36が記憶する位置に、障害物記憶手段36が記憶している形状・大きさの障害物が配置された状態の画像を生成する。そして、解像度評価手段215は、対象物体モデルの一部が画像外に出る場合、または、画像内で対象物体モデルが障害物に隠される場合に、αを1未満の値とする。また、解像度評価手段215は、対象物体モデルが画像内に収まり、かつ、画像内で対象物体モデルが障害物に隠されない場合に、α=1とする。画像内において、対象物体モデルが障害物に隠されるか否かや、対象物体モデルが障害物にどれくらい隠されるかに関する判定は、カメラパラメータ、および、障害物記憶手段36が記憶している障害物の位置、形状、大きさの情報に基づいて行うことができる。
【0119】
ペナルティ係数αの決定の例を挙げる。例えば、解像度評価手段215は、対象物体モデルが画像内に収まり、かつ、画像内で対象物体モデルが障害物に隠されない場合に、α=1とし、それ以外の場合にα=0としてもよい。また、例えば、解像度評価手段215は、画像からはみ出しておらず、かつ、障害物に隠されていない対象物体モデルの部分の画素面積(Pとする。)を求め、対象物体全体の画素面積に対する画素面積Pの割合をペナルティ係数αとしてもよい。この割合は、対象物体のうち、画像内に収まっていて、かつ、障害物で隠されてない部分の割合と言うことができる。上記のαの値の定め方は例示であり、対象物体が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されていない場合のαの値の定め方は上記の例に限定されない。
【0120】
解像度評価手段215の他の処理は、第1の実施形態における解像度評価手段211の処理と同様である。
【0121】
注視点角度評価手段216は、第1の実施形態における解像度評価手段212(
図6参照)とは、ペナルティ係数の決定方法が異なる。注視点角度評価手段216は、対象領域内に対象物体モデルを配置した状態の画像を作成するときに、障害物記憶手段36が記憶している情報も参照して、対象領域内の位置iに対象物体モデルが配置され、障害物記憶手段36が記憶する位置に、障害物記憶手段36が記憶している形状・大きさの障害物が配置された状態の画像を生成する。そして、注視点角度評価手段216は、本実施形態における解像度評価手段215と同様にペナルティ係数を決定する。
【0122】
注視点角度評価手段216の他の処理は、第1の実施形態における注視点角度評価手段212の処理と同様である。
【0123】
対象領域評価手段217は、第1の実施形態における対象領域評価手段213と同様に、画像内の画素位置に対応する実空間内の地面の位置を決定する。そして、対象領域評価手段217は、その位置に対象物体モデルを配置した状態の画像を作成するときに、障害物記憶手段36が記憶している情報も参照して、その位置に対象物体モデルが配置され、障害物記憶手段36が記憶する位置に、障害物記憶手段36が記憶している形状・大きさの障害物が配置された状態の画像を生成する。そして、対象領域評価手段217は、その画像において、対象物体モデルが画像内に収まっていて、かつ、障害物に隠されていない場合に、その実空間の位置を対象物体視界領域に該当する位置として記録する。そうでない場合には、対象領域評価手段217は、その実空間の位置が象物体視界領域に該当しないと判定する。
【0124】
対象領域評価手段217の他の処理は、第1の実施形態における対象領域評価手段213の処理と同様である。
【0125】
図20は、画像内で対象物体モデルが障害物に隠される場合および隠されない場合の例を示す説明図である。
図20(a)に示すように、画像内で対象物体モデルの一部分でも障害物に隠される場合には、対象物体モデルが障害物に隠される状態に該当する。また、
図20(b)に示すように、対象物体モデルのうち障害物に隠される部分が全くなければ、対象物体モデルが障害物に隠されていない状態に該当する。
【0126】
第3の実施形態の処理経過は、
図12に示すフローチャートと同様である。ただし、ステップS2,S3,S4の処理の一部が第1の実施形態と異なるので、異なる点を中心に、
図13ないし
図15のフローチャートを参照して、本実施形態の処理経過について説明する。既に説明した処理と同様の処理については説明を省略する。
【0127】
図13に示すステップS202では、解像度評価手段215は、選択した対象領域内の位置iに、対象物体モデルを配置し、さらに、障害物記憶手段36が記憶する位置に、障害物記憶手段36が記憶している形状・大きさの障害物を配置した状態を定める。続いて、解像度評価手段215は、その状態を表す画像を、カメラパラメータを用いて生成する(ステップS203)。
【0128】
次のステップS205では、解像度評価手段215は、画像内において、対象物体モデルの一部が画像外に出るか否か、および、対象物体モデルが障害物に隠されるか否かを評価する。対象物体モデルの一部が画像外に出る場合、または、画像内で対象物体モデルが障害物に隠される場合に、αを1未満の値とする。また、解像度評価手段215は、対象物体モデルが画像内に収まり、かつ、画像内で対象物体モデルが障害物に隠されない場合に、α=1とする。
【0129】
この場合、解像度評価手段215は、例えば、対象物体のうち、画像内に収まっていて、かつ、障害物で隠されてない部分の割合を計算し、その計算結果に基づいて、αの値を決定してもよい。ただし、第1の実施形態と同様に、αは、0〜1の範囲の値である。
【0130】
ステップS2におけるその他の処理は、第1の実施形態におけるステップS2の処理と同様である。
【0131】
また、第3の実施形態で注視点角度評価手段216が実行するステップS302,S305,S306(
図14参照)は、上記の解像度評価手段215が実行するステップS202,S203,S205と同様である。また、ステップS3におけるその他の処理は、第1の実施形態におけるステップS3の処理と同様である。
【0132】
また、第3の実施形態で対象領域評価手段217が実行するステップS404,S405(
図15参照)は、上記の解像度評価手段215が実行するステップS202,S203と同様である。そして、対象領域評価手段217は、ステップS406で、対象物体モデルが画像内に収まっていて、かつ、画像内で対象物体モデルが障害物に隠されていない状態になっているか否かを判定する。対象物体モデルが画像内に収まっていて、かつ、画像内で対象物体モデルが障害物に隠されていないならば(ステップS406のYes)、ステップS407に移行する。それ以外の場合(ステップS406のNo)には、ステップS401以降の処理を繰り返す。また、ステップS4におけるその他の処理は、第1の実施形態におけるステップS4の処理と同様である。
【0133】
本実施形態では、解像度、注視点角度、および対象領域と対象物体視界領域との重なり具合を用いて、カメラパラメータに対して、画像処理の適性を総合的に評価する際、障害物で対象物体が隠されることによる画像処理の適性の低下を考慮している。従って、想定した対象領域、対象物体および障害物に対して画像処理を行う場合、評価しようとしているカメラパラメータがどの程度適しているかを評価指標の形で提供することができる。
【0134】
なお、第3の実施形態に第2の実施形態を適用してもよい。
【0135】
実施形態4.
第4の実施形態では、データ処理装置は、注視点角度評価手段、対象領域評価手段および総合評価手段を備えない。そして、第4の実施形態では、データ処理装置は、解像度評価手段を備えていればよい。また、第4の実施形態では、解像度評価手段への入力データが、第1の実施形態と異なる。第4の実施形態における解像度評価手段を符号“218”で表す。
【0136】
図21は、第4の実施形態における解像度評価手段218への入力データを示す説明図である。第4の実施形態における解像度評価手段218には、カメラパラメータは入力されない。解像度評価手段218には、カメラパラメータの代わりに、実際にカメラが対象領域内の対象物体を撮影して得られた画像から求めた対象物体の解像度と、対象物体全体が画像内に収まっているか否かを示す情報が入力される。対象物体全体が画像内に収まっていない場合には、対象物体全体のうち画像内に収まっている部分の割合、あるいは、画像からはみ出している部分の割合が入力されてもよい。本例では、対象物体が画像内に収まっていない場合には、対象物体全体のうち画像内に収まっている部分の割合が入力される場合を例にして説明する。
【0137】
対象領域内では対象物体の配置位置を変化させ、カメラは、対象物体の配置位置毎に、定められた位置・姿勢等の設定条件のもとで、対象領域内の対象物体を撮影する。そして、対象物体の配置位置毎に得られた各画像からそれぞれ、対象物体の解像度と、対象物体が画像内に収まっているか否かを示す情報を抽出し、解像度評価手段218への入力データとすればよい。
【0138】
第1の実施形態では、対象領域に対象物体モデルを配置したときの状態を定め、その状態を表す画像を生成し、その画像から解像度等を取得していた。これに対し、本実施形態では、実際にカメラの撮影によって得られた画像から、解像度や、対象物体全体が画像内に収まっているか否かを示す情報等を、例えば、管理者が人手で取得しておき、それらの情報を入力データとする。従って、第4の実施形態では、画像サイズ記憶手段31、対象物体モデル記憶手段32、対象領域記憶手段33は設けられていなくてよい。さらに、注視点角度評価関数記憶手段35も設けられていなくてよい。ただし、解像度評価関数記憶手段34は、記憶装置3(
図21において図示略)に設けられる。
【0139】
以下、本実施形態の処理経過の例について説明する。解像度評価手段218に、実際にカメラが対象領域内の対象物体を撮影して得られた画像から求めた対象物体の解像度と、対象物体全体が画像内に収まっているか否かを示す情報が、対象物体の配置位置毎に入力される。また、対象物体全体が画像内に収まっていない場合には、対象物体全体のうち画像内に収まっている部分の割合も解像度評価手段218に入力される。これらの入力データが入力された後の解像度評価手段218の動作を、
図22を参照して説明する。
【0140】
図22は、第4の実施形態における解像度評価手段218の動作の例を示すフローチャートである。解像度評価手段218は、対象領域のうち対象物体が配置され画像が撮影された位置iを選択する(ステップS201)。
【0141】
次に、解像度評価手段218は、選択した位置iに対応して入力された情報を取得する(ステップS208)。すなわち、解像度評価手段218は、位置iに対応する、解像度、対象物体全体が画像内に収まっているか否かを示す情報を取得する。解像度評価手段218は、対象物体全体が画像内に収まっていない場合には、対象物体全体のうち画像内に収まっている部分の割合も取得する。
【0142】
そして、解像度評価手段218は、対象物体全体が画像内に収まっているか否か、対象物体全体のうち画像内に収まっている部分の割合に基づいて、ペナルティ係数αを決定する(ステップS209)。対象物体全体が画像内に収まっている場合、解像度評価手段218は、α=1と決定する。そうでない場合、解像度評価手段218は、αを1未満の値として決定する。この場合、解像度評価手段218は、対象物体全体のうち画像内に収まっている部分の割合に応じて、αの値を決定してもよい。対象物体が画像内に収まっていない場合のαの定め方は特に限定されず、対象物体のうち画像からはみ出している部分の割合に応じてαを定めてもよい。ただし、αは、0〜1の範囲の値である。
【0143】
ステップS208,S209の後、解像度評価手段218は、決定したペナルティ係数αと解像度評価関数FR(r
i)とを用いて式(1)の計算を行うことによって、選択した位置iに対応する適合度SR
iを算出する(ステップS206)。本実施形態では、解像度評価手段218は、ステップS208で取得した解像度を式(1)に代入する。
【0144】
そして、解像度評価手段218は、対象領域のうち対象物体が配置され画像が撮影された全ての位置について適合度SR
iを算出したか否かを判定する(ステップS210)。各位置iについて適合度SR
iの算出が完了していなければ(ステップS210のNo)、解像度評価手段218は、ステップS201以降の処理を繰り返す。各位置iについて適合度SR
iの算出が完了していれば(ステップS210のYes)、解像度評価手段218は、各位置iについて算出した適合度SR
iをそれぞれ出力し、処理を終了する。各位置iにおける適合度SR
iも、解像度に関する画像処理適性の評価に利用することができる。
【0145】
本実施形態では、解像度に関する画像処理適性の評価を、実際に対象物体を撮影して得られた画像に基づいて行うことができる。
【0146】
実施形態5.
図23は、本発明の第5の実施形態のカメラ位置姿勢評価装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態のカメラ位置姿勢評価装置は、カメラパラメータ入力装置1と、カメラ位置姿勢推定手段301と、評価指標統合手段304と、対象領域分割手段305とを備える。
【0147】
カメラパラメータ入力装置1は、第2の実施形態におけるカメラパラメータ入力装置1と同様である。
【0148】
また、
図23では、第2の実施形態におけるカメラパラメータ切替手段22、画像処理適性評価手段21、カメラパラメータ最適化手段23、および記憶装置3を合わせて、カメラ位置姿勢推定手段301として図示している。すなわち、カメラ位置姿勢推定手段301は、第2の実施形態におけるカメラパラメータ切替手段22、画像処理適性評価手段21、カメラパラメータ最適化手段23、および記憶装置3を合わせたものに相当し、これらの各手段21〜23および記憶装置3を含んでいる。そして、カメラ位置姿勢推定手段301は、第2の実施形態のデータ処理装置100と同様の処理を行う。
【0149】
本実施形態では、カメラ位置姿勢推定手段301が第2の実施形態と同様の処理を行って最適化したカメラパラメータに関する評価指標Cが閾値以下でない場合、対象領域分割手段305が、対象領域を分割する。そして、分割された対象領域には、それぞれ1つずつカメラを配置するものと仮定し、カメラパラメータ入力装置1は、分割後の対象領域毎に、カメラパラメータをカメラ位置姿勢推定手段301に供給する。
【0150】
カメラ位置姿勢推定手段301は、対象領域毎に、入力されたカメラパラメータに基づいて、最適化したカメラパラメータを算出するとともに、そのカメラパラメータに関する評価指標Cを算出する。従って、分割後の各対象領域と一対一に対応するように、カメラパラメータおよび評価指標Cを算出する。
【0151】
1つの領域に関して、カメラ位置姿勢推定手段301が最適なカメラパラメータおよびそのパラメータに関する評価指標Cを算出する場合、カメラ位置姿勢推定手段301に含まれるカメラパラメータ切替手段22、画像処理適性評価手段21、カメラパラメータ最適化手段23は、第2の実施形態と同様の処理を行う。
【0152】
分割後の領域毎に算出された評価指標Cの統合結果(評価指標C’)が閾値以下でない場合、対象領域分割手段305が、対象領域をさらに分割して同様の処理を繰り返す。
【0153】
統合結果である評価指標C’が閾値以下でないということは、分割後の各領域に一対一に対応するカメラのカメラパラメータが、画像処理に適しているという観点から見て好ましい状態になっていないことを意味する。この場合、対象領域分割手段305が、対象領域の分割数を増やす。これは、分割数に合わせてカメラ台数を増やした場合を仮定していることに相当する。従って、本実施形態のカメラ位置姿勢評価装置は、領域毎のカメラのカメラパラメータが好ましい状態でない場合、カメラ台数を増加させることで、各カメラのカメラパラメータが好ましくなる状態を探索していると言うことができる。
【0154】
評価指標統合手段304は、分割後の対象領域毎に算出された評価指標Cを統合する。分割後の対象領域毎に算出された評価指標Cの統合結果を、符号C’で表し、評価指標C’と記す。
【0155】
以下、統合後の評価指標C’の計算方法について説明する。1つの領域に関する評価指標Cは、前述の式(4)で表される。評価指標統合手段304は、領域毎に評価指標Cを算出するときにおける式(4)の第1項および第2項をそのまま全て加算する。さらに、評価指標統合手段304は、元の対象領域の面積に対する分割後の対象領域の面積の割合で式(4)の第3項に対して重み付けを行い、重み付けを行った後の第3項をそれぞれ加算する。この加算結果が、統合後の評価指標C’である。
【0156】
以下、評価指標C’の算出の具体例を示す。元の対象領域が3つの領域A,B,Cに分割されているとする。そして、元の対象領域の面積をnとする。また、領域Aの面積をaとする。領域Bの面積をbとする。領域Cの面積をcとする。
【0157】
領域Aのカメラパラメータに関する評価指標C
Aは、以下の式(7)で表される。
【0159】
領域Bのカメラパラメータに関する評価指標C
Bは、以下の式(8)で表される。
【0161】
領域Cのカメラパラメータに関する評価指標C
Cは、以下の式(9)で表される。
【0163】
前述のように、第1項および第2項をそのまま全て加算し、第3項に関しては元の面積に対する分割後の領域の面積で重み付けした結果を加算する。従って、本例では、評価指標統合手段304は、以下の式(10)の計算を行うことによって、統合後の評価指標C’を算出する。
【0165】
このように評価指標C’を算出することによって、元の対象領域の分割数が増加したとしても、同じスケールで評価指標C’同士を比較することができ、スケールで評価指標C’と比較される閾値の値を変化させる必要がない。
【0166】
なお、元の対象領域が分割されていない当初の状態では、その1つの領域に関して算出された評価指標Cが、そのまま統合後の評価指標C’となる。
【0167】
対象領域分割手段305は、統合後の評価指標C’と閾値を比較し、評価指標C’が閾値以下であれば、その時点で得られている分割後の各領域に関してそれぞれ求められた最適化されたカメラパラメータおよび分割後の領域数(換言すれば、カメラ台数)を出力する。評価指標C’が閾値よりも大きい場合、対象領域の分割数をさらに増やす。そして、対象領域分割手段305は、分割後の各領域の情報をカメラ位置推定手段301に入力し、領域毎に、最適なカメラパラメータおよびそのカメラパラメータに関する評価指標Cを算出する処理をカメラ位置推定手段301に実行させる。このとき、カメラパラメータ入力装置1は、領域毎に、初期時のカメラパラメータをカメラ位置推定手段301に供給する。
【0168】
カメラ位置推定手段301が、領域毎の評価指標Cを算出すると評価指標統合手段304は、領域毎の評価指標Cを統合した結果である評価指標C’を算出する。
【0169】
第5の実施形態のカメラ位置姿勢評価装置は、評価指標C’が閾値以下になるまで、上記の処理を繰り返す。
【0170】
対象領域分割手段305が対象領域を分割する態様は、特に限定されない。例えば、対象領域分割手段305は、元の対象領域を2等分し、次に分割を行うときには、2つの領域の一方を2等分し、さらに次に分割を行うときには、他方の領域を2等分し、以降、同様に分割を行ってもよい。
【0171】
本実施形態によれば、評価指標を満たす最適なカメラパラメータが得られなかった場合、カメラ台数(分割後の領域数)を増加させていくことで、好ましい評価指標が得られる最適なカメラパラメータおよびカメラ台数を求めることができる。
【0172】
第5の実施形態におけるカメラ位置姿勢推定手段301に第3の実施形態が適用されてもよい。
【0173】
実施形態6.
図24は、本発明の第6の実施形態のカメラ位置姿勢評価装置の構成例を示すブロック図である。第1の実施形態と同様の要素については、
図1と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。第6の実施形態では、画像サイズ記憶手段31と、対象物体モデル記憶手段32と、対象領域記憶手段33と、解像度評価関数記憶手段34と、注視点角度評価関数記憶手段35とを含む記憶装置3と、カメラパラメータ入力装置1が、コンピュータ400に接続される。また、カメラ位置姿勢評価プログラム401を記憶するコンピュータ可読記憶媒体402もコンピュータ400に接続されている。
【0174】
コンピュータ可読記憶媒体402は、例えば、磁気ディスクや半導体メモリ等で実現され、コンピュータ400は起動時等に、カメラ位置姿勢評価プログラム401を読み取り、そのプログラム401に従って、例えば、第1の実施形態におけるデータ処理装置2(解像度評価手段211、注視点角度評価手段212、対象領域評価手段213および総合評価手段214を含む画像処理適性評価手段21)として動作する。
【0175】
また、コンピュータ400は、カメラ位置姿勢評価プログラム401に従って、第2から第5までの各実施形態におけるデータ処理装置として動作してもよい。
【0176】
また、第1ないし第5の各実施形態において、個々の手段が別々のユニットで実現されていてもよい。
【0177】
次に、本発明の最小構成を説明する。
図25は、本発明のカメラ位置姿勢評価装置の最小構成の例を示すブロック図である。本発明のカメラ位置姿勢評価装置は、解像度評価手段71と、注視点角度評価手段72のうち、少なくとも一方を備え、さらに、対象領域評価手段73と、総合評価手段74とを備える。
【0178】
解像度評価手段71は、対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度(例えば、SR
i)を導出する。
【0179】
注視点角度評価手段72は、対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度(例えば、SA
i)を導出する。
【0180】
対象領域評価手段73は、画像内の画素位置に対応する実空間内の地面の位置であって、その位置に対象物体を配置したときに画像内に対象物体全体が収まる位置の集合である対象物体視界領域と、対象領域とがどの程度正確に重なるかによって定まる、画像処理の適性を示す第3の適合度(例えば、ST)を導出する。
【0181】
総合評価手段74は、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度と、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度の少なくともいずれか一方と、第3の適合度とに基づいて、カメラの状態が画像処理に適している度合いを示す評価指標(例えば、評価指標C)を導出する。
【0182】
そのような構成によって、画像処理にどの程度適した状態で物体が画像内に現れるかという観点でカメラの状態の評価を示す値を算出することができる。
【0183】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下に限定されるわけではない。
【0184】
(付記1)対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価手段と、対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価手段とのうち、少なくとも一方を備え、画像内の画素位置に対応する実空間内の地面の位置であって、その位置に対象物体を配置したときに画像内に対象物体全体が収まる位置の集合である対象物体視界領域と、対象領域とがどの程度正確に重なるかによって定まる、画像処理の適性を示す第3の適合度を導出する対象領域評価手段と、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度と、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度の少なくともいずれか一方と、第3の適合度とに基づいて、カメラの状態が画像処理に適している度合いを示す評価指標を導出する総合評価手段とを備えることを特徴とするカメラ位置姿勢評価装置。
【0185】
(付記2)対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価手段を備え、解像度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第1の適合度を導出する付記1に記載のカメラ位置姿勢評価装置。
【0186】
(付記3)対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価手段を備え、解像度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっていて、かつ、対象物体が障害物に隠されていない場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されている場合に、前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第1の適合度を導出する付記1に記載のカメラ位置姿勢評価装置。
【0187】
(付記4)対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価手段を備え、注視点角度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第2の適合度を算出する付記1から付記3のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価装置。
【0188】
(付記5)対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価手段を備え、注視点角度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっていて、かつ、対象物体が障害物に隠されていない場合に、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されている場合に、前記係数の値を0以上1未満の値に定め、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第2の適合度を算出する付記1から付記3のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価装置。
【0189】
(付記6)総合評価手段は、解像度評価手段が備えられている場合に、各位置における重みを用いて、第1の適合度の上限値と第1の適合度との差の重み付き二乗和を計算し、注視点角度評価手段が備えられている場合に、各位置における重みを用いて、第2の適合度の上限値と第2の適合度との差の重み付き二乗和を計算し、第3の適合度の上限値と第3の適合度との差の二乗和を計算し、計算した各二乗和の重み付き線形和を計算することによって評価指標を算出する付記1から付記5のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価装置。
【0190】
(付記7)総合評価手段によって導出される評価指標が所定の値に近づくようにカメラの状態を表すカメラパラメータを更新するパラメータ更新手段を備え、前記パラメータ更新手段は、評価指標が所定の条件を満たすまで、評価指標が導出される毎にカメラパラメータを更新することによってカメラパラメータの最適値を求める付記1から付記6のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価装置。
【0191】
(付記8)対象領域を分割する対象領域分割手段を備え、解像度評価手段が備えられている場合に、当該解像度評価手段は、対象領域毎に、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出し、注視点角度評価手段が備えられている場合に、当該注視点角度評価手段は、対象領域毎に、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出し、注視点角度評価手段は、対象領域毎に第3の適合度を導出し、総合評価手段は、対象領域毎に評価指標を導出し、パラメータ更新手段は、対象領域毎にカメラパラメータの最適値を求め、各対象領域におけるカメラパラメータが最適値になるときの評価指標を統合する評価指標統合手段を備え、対象領域分割手段は、統合後の評価指標が閾値を越えている場合、対象領域の分割数を増やす付記7に記載のカメラ位置姿勢評価装置。
【0192】
(付記9)対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影することによって得られた画像から取得された画像内の対象物体の解像度、および、対象物体全体が画像内に収まっているか否かを示す情報が与えられ、前記解像度を、解像度と画像処理の適性を示す適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた適合度を導出する解像度評価手段を備え、解像度評価手段は、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって適合度を導出することを特徴とするカメラ位置姿勢評価装置。
【0193】
(付記10)対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価ステップと、対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価ステップとのうち、少なくとも一方を含み、画像内の画素位置に対応する実空間内の地面の位置であって、その位置に対象物体を配置したときに画像内に対象物体全体が収まる位置の集合である対象物体視界領域と、対象領域とがどの程度正確に重なるかによって定まる、画像処理の適性を示す第3の適合度を導出する対象領域評価ステップと、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度と、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度の少なくともいずれか一方と、第3の適合度とに基づいて、カメラの状態が画像処理に適している度合いを示す評価指標を導出する総合評価ステップとを含むことを特徴とするカメラ位置姿勢評価方法。
【0194】
(付記11)対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価ステップを含み、解像度評価ステップで、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第1の適合度を導出する付記10に記載のカメラ位置姿勢評価方法。
【0195】
(付記12)対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価ステップを含み、解像度評価ステップで、対象物体全体が画像内に収まっていて、かつ、対象物体が障害物に隠されていない場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されている場合に、前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第1の適合度を導出する付記10に記載のカメラ位置姿勢評価方法。
【0196】
(付記13)対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価ステップを含み、注視点角度評価ステップで、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第2の適合度を算出する付記10から付記12のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価方法。
【0197】
(付記14)対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価ステップを含み、注視点角度評価ステップで、対象物体全体が画像内に収まっていて、かつ、対象物体が障害物に隠されていない場合に、前記注視点角度を注視点角度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されている場合に、前記係数の値を0以上1未満の値に定め、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第2の適合度を算出する付記10から付記12のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価方法。
【0198】
(付記15)解像度評価ステップが含まれている場合に、総合評価ステップで、各位置における重みを用いて、第1の適合度の上限値と第1の適合度との差の重み付き二乗和を計算し、注視点角度評価ステップが含まれている場合に、総合評価ステップで、各位置における重みを用いて、第2の適合度の上限値と第2の適合度との差の重み付き二乗和を計算し、総合評価ステップで、第3の適合度の上限値と第3の適合度との差の二乗和を計算し、計算した各二乗和の重み付き線形和を計算することによって評価指標を算出する付記10から付記14のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価方法。
【0199】
(付記16)総合評価ステップで導出される評価指標が所定の値に近づくようにカメラの状態を表すカメラパラメータを更新するパラメータ更新ステップを含み、前記パラメータ更新ステップで、評価指標が所定の条件を満たすまで、評価指標が導出される毎にカメラパラメータを更新することによってカメラパラメータの最適値を求める付記10から付記15のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価方法。
【0200】
(付記17)対象領域を分割する対象領域分割ステップを含み、解像度評価ステップが含まれている場合に、当該解像度評価ステップで、対象領域毎に、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出し、注視点角度評価ステップが含まれている場合に、当該注視点角度評価ステップで、対象領域毎に、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出し、注視点角度評価ステップで、対象領域毎に第3の適合度を導出し、総合評価ステップで、対象領域毎に評価指標を導出し、パラメータ更新ステップで、対象領域毎にカメラパラメータの最適値を求め、各対象領域におけるカメラパラメータが最適値になるときの評価指標を統合する評価指標統合ステップを含み、統合後の評価指標が閾値を越えている場合、対象領域分割ステップで、対象領域の分割数を増やす付記16に記載のカメラ位置姿勢評価方法。
【0201】
(付記18)対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影することによって得られた画像から取得された画像内の対象物体の解像度、および、対象物体全体が画像内に収まっているか否かを示す情報が与えられ、前記解像度を、解像度と画像処理の適性を示す適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた適合度を導出する解像度評価ステップを含み、解像度評価ステップで、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって適合度を導出することを特徴とするカメラ位置姿勢評価方法。
【0202】
(付記19)コンピュータに、対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価処理と、対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価処理とのうち、少なくとも一方を実行させ、画像内の画素位置に対応する実空間内の地面の位置であって、その位置に対象物体を配置したときに画像内に対象物体全体が収まる位置の集合である対象物体視界領域と、対象領域とがどの程度正確に重なるかによって定まる、画像処理の適性を示す第3の適合度を導出する対象領域評価処理、および、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度と、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度の少なくともいずれか一方と、第3の適合度とに基づいて、カメラの状態が画像処理に適している度合いを示す評価指標を導出する総合評価処理を実行させるためのカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0203】
(付記20)コンピュータに、対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価処理を実行させ、解像度評価処理で、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、前記解像度を解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第1の適合度を導出させる付記19に記載のカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0204】
(付記21)コンピュータに、対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影した場合の画像内の対象物体の解像度を、解像度と画像処理の適性を示す第1の適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出する解像度評価処理を実行させ、解像度評価処理で、対象物体全体が画像内に収まっていて、かつ、対象物体が障害物に隠されていない場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されている場合に、前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第1の適合度を導出させる付記19に記載のカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0205】
(付記22)コンピュータに、対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価処理を実行させ、注視点角度評価処理で、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第2の適合度を算出させる付記19から付記21のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0206】
(付記23)コンピュータに、対象領域内の各位置に配置される対象物体内の注視点とカメラの位置とを通過する直線と地面とがなす角度である注視点角度を、注視点角度と画像処理の適性を示す第2の適合度との関係を定めた注視点角度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出する注視点角度評価処理を実行させ、注視点角度評価処理で、対象物体全体が画像内に収まっていて、かつ、対象物体が障害物に隠されていない場合に、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合、または、対象物体が障害物に隠されている場合に、前記係数の値を0以上1未満の値に定め、注視点角度を前記注視点角度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって第2の適合度を算出させる付記19から付記21のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0207】
(付記24)コンピュータに、解像度評価処理を実行させた場合に、総合評価処理で、各位置における重みを用いて、第1の適合度の上限値と第1の適合度との差の重み付き二乗和を計算させ、注視点角度評価処理を実行させた場合に、総合評価処理で、各位置における重みを用いて、第2の適合度の上限値と第2の適合度との差の重み付き二乗和を計算させ、総合評価処理で、第3の適合度の上限値と第3の適合度との差の二乗和を計算させ、計算した各二乗和の重み付き線形和を計算することによって評価指標を算出させる付記19から付記23のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0208】
(付記25)コンピュータに、総合評価処理で導出される評価指標が所定の値に近づくようにカメラの状態を表すカメラパラメータを更新するパラメータ更新処理を実行させ、前記パラメータ更新処理で、評価指標が所定の条件を満たすまで、評価指標が導出される毎にカメラパラメータを更新することによってカメラパラメータの最適値を求めさせる付記19から付記24のうちのいずれかに記載のカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0209】
(付記26)コンピュータに、対象領域を分割する対象領域分割処理を実行させ、
解像度評価処理を実行させる場合に、当該解像度評価処理で、対象領域毎に、対象領域内の各位置に応じた第1の適合度を導出させ、注視点角度評価処理を実行させる場合に、当該注視点角度評価処理で、対象領域毎に、対象領域内の各位置に応じた第2の適合度を導出させ、注視点角度評価処理で、対象領域毎に第3の適合度を導出させ、総合評価処理で、対象領域毎に評価指標を導出させ、パラメータ更新処理で、対象領域毎にカメラパラメータの最適値を求めさせ、各対象領域におけるカメラパラメータが最適値になるときの評価指標を統合する評価指標統合処理を実行させ、対象領域分割処理で、統合後の評価指標が閾値を越えている場合、対象領域の分割数を増加させる付記25に記載のカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0210】
(付記27)コンピュータに、対象領域内の各位置に配置される対象物体を撮影することによって得られた画像から取得された画像内の対象物体の解像度、および、対象物体全体が画像内に収まっているか否かを示す情報が与えられ、前記解像度を、解像度と画像処理の適性を示す適合度との関係を定めた解像度評価関数で評価することによって、対象領域内の各位置に応じた適合度を導出する解像度評価処理を実行させ、解像度評価処理で、対象物体全体が画像内に収まっている場合に、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して乗じる係数の値を1と定め、対象物体の一部が画像内に収まっていない場合に前記係数の値を0以上1未満の値に定め、解像度を前記解像度評価関数で評価した結果に対して前記係数を乗じることによって適合度を導出させるためのカメラ位置姿勢評価プログラム。
【0211】
この出願は、2012年6月28日に出願された日本特許出願2012−145433を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0212】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記の実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0213】
本発明は、想定した対象領域および対象物体を撮影するカメラのカメラパラメータを、画像処理の適性の観点から評価する用途に好適に適用される。また、監視、マーケティング、業務改善等の分野で、物体検出、物体位置推定、動線解析、行動解析等を行う際のカメラ設置や監視システムの構築の支援やコンサルティングに利用することができる。