特許第6202040号(P6202040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6202040動電型スピーカーおよび増幅器を備えるスピーカーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202040
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】動電型スピーカーおよび増幅器を備えるスピーカーシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/04 20060101AFI20170914BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H04R9/04 103
   H04R3/00 310
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-88791(P2015-88791)
(22)【出願日】2015年4月23日
(65)【公開番号】特開2016-208318(P2016-208318A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】710014351
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】豊福 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 岳
(72)【発明者】
【氏名】中西 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】川口 剛
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−101599(JP,U)
【文献】 特開平08−079888(JP,A)
【文献】 特開2015−061263(JP,A)
【文献】 特開平07−288894(JP,A)
【文献】 実開平04−105794(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 9/04
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイスコイルを含む動電型スピーカーと、該動電型スピーカーのスピーカー端子に接続する出力端子を有する増幅器と、を備えるスピーカーシステムであって、
該動電型スピーカーが、該ボイスコイルのコイルが配置される磁気空隙を有する磁気回路と、該コイルに接続する第1錦糸線および第2錦糸線が接続する該スピーカー端子と、を備え、
該増幅器が、可聴音域よりも高いキャリア周波数成分を含むスイッチング出力信号を低域通過フィルタを通過させずに該出力端子に出力するドライバ回路を含み、
該動電型スピーカーの該ボイスコイルが、ボビンと、該ボビンに絶縁被膜電線が一層で巻回されて形成されるコイルと、該コイルの他方端が接続されて該コイルの一方端側に電極を導き出して該第1錦糸線が接続される第1中継箔部材と、該コイルの該一方端および該第2錦糸線が接続される第2中継箔部材と、を備え、
該第1中継箔部材が、該コイルの該他方端が接続される第1電極部と、第1錦糸線が接続される第2電極部と、該ボビンに一層で巻回された該コイルの該絶縁被膜電線と略直交するように配置されて該第1電極部と該第2電極部とを接続する交差部と、を備え、該交差部が、該第2電極部よりも幅寸法が細く形成されて該コイルの線間容量を低減し該キャリア周波数における電気インピーダンスを十分に大きくする、
スピーカーシステム。
【請求項2】
前記動電型スピーカーが、前記ボイスコイルの前記ボビンに連結されるスピーカー振動板と、該スピーカー振動板の外周端を振動可能に支持するエッジと、該エッジの外周端ならびに該磁気回路が連結するフレームと、をさらに備える、
請求項1に記載のスピーカーシステム。
【請求項3】
前記ボイスコイルの前記コイルを形成する前記絶縁被膜電線が、断面が丸または平角の銅線、アルミ線、又は、銅クラッドアルミ線のいずれかから選択される、
請求項1または2に記載のスピーカーシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイスコイルおよびこれを備える動電型スピーカー並びにスピーカーシステムに関し、特に、可聴音域よりも高いキャリア周波数成分を含むスイッチング出力信号を出力する増幅器と組み合わせてスピーカーシステムを構成するのに適するボイスコイルおよびこれを備える動電型スピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号を音波に変換して再生するスピーカーシステムでは、音声信号を増幅器(アンプ)で電力増幅して、電機音響変換器であるスピーカーへ供給し、可聴音域の音波を再生する。スピーカーでは、磁気回路およびボイスコイルを備える動電型スピーカーが一般的に使用される。動電型スピーカーでは、磁気回路の磁気空隙中に振動可能に配置されたボイスコイルに音声信号電流が供給されると、磁気空隙中の磁界により駆動力を受けるので、ボイスコイルに連結する振動板が振動して、その結果、音波が再生される。
【0003】
例えば、従来の動電型スピーカーのボイスコイルでは、巻き始め又は巻き終わりのリード線引き出し部近傍においてコイル巻線の断面が円形となり、その他の巻線断面が長方形であるボイスコイルが開示されている(特許文献1:第2図)。ただし、特許文献1のボイスコイルは製造が容易でなく品質が安定しない恐れがあるので、ボイスコイルのボビンに導電箔、または、中継板を用いて1層巻きのコイルの巻き初め又は巻き終わりをリード線/錦糸線に接続する構成が採用されることがある(特許文献2、3)。また、容量リアクタンスが信号歪みの要因となることを指摘して、LC−OFCの線材に電着法により絶縁層を形成し、それをボイスコイル用線材として用いる構成としたものがある(特許文献4)。
【0004】
また、アンプでは、電力変換効率の高いスイッチングアンプの使用が増加している。スイッチングアンプは、入力音声信号をパルス幅変調またはパルス密度変調などにより変調して、可聴音域よりも周波数がはるかに高いキャリア信号の成分を含む変調信号として電力増幅する。したがって、スイッチングアンプは、キャリア信号を除去する低域通過フィルタを備えるのが一般的である。スイッチングアンプは、低域通過フィルタを通過させた出力信号を動電型スピーカーへ供給することで、高電圧レベルのパルス信号がそのままボイスコイルに印加されて大きな電力ロスが発生し発熱してしまうのを防ぎ、動電型スピーカー並びに動電型スピーカーへ音声信号を供給する接続コードから、不要輻射が発生するのを防止している。
【0005】
スイッチングアンプでは、キャリア信号を除去する低域通過フィルタを構成する場合に、コイルおよびコンデンサから構成されるLCフィルタが多用される。LCフィルタを採用する場合には、スイッチングアンプから見た負荷としての動電型スピーカーの電気インピーダンスは、キャリア信号の周波数帯域ではLCフィルタのコイルのインダクタンス成分に主に支配される。しかしながら、高い電圧値および大きな電流値に対応するLCフィルタは、コイル/コンデンサの素子のサイズが大きくなるので、小型化が進むスイッチングアンプの基板の中で相対的に占める面積が大きくなり、小型化のボトルネックとなりやすいという問題がある。また、大きなコイル/コンデンサは、製造コストの面でも不利である。
【0006】
したがって、動電型スピーカーに接続するスイッチングアンプを備えるスピーカー装置において、低域通過フィルタを省略可能にする、あるいは、コイル/コンデンサのサイズが小さいLCフィルタを実現すること、が要望されている。ただし、スイッチングアンプの効率を考慮すると、ボイスコイルを含む動電型スピーカーの電気インピーダンスは、キャリア信号の周波数帯域において十分に高い値になることが望ましく、コイルおよびコンデンサから構成されるLCフィルタを有さない場合には、動電型スピーカーのボイスコイルの線間容量を低減して、電気インピーダンスが局所的に低下するような共振現象を発生させないようにする必要がある。つまり、低域通過フィルタとしてのLCフィルタを備えない場合には、動電型スピーカーにおいてキャリア信号の周波数帯域における電気インピーダンスが低い値にならないようにする必要があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平1−129996号公報
【特許文献2】特開平8−79888号公報
【特許文献3】実用新案登録第2570284号公報
【特許文献4】特開平5−328494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、可聴音域よりも高いキャリア周波数成分を含むスイッチング出力信号を出力する増幅器と組み合わせてスピーカーシステムを構成するのに適するボイスコイルおよびこれを備える動電型スピーカーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスピーカーシステムは、ボイスコイルを含む動電型スピーカーと、動電型スピーカーのスピーカー端子に接続する出力端子を有する増幅器と、を備えるスピーカーシステムであって、動電型スピーカーが、ボイスコイルのコイルが配置される磁気空隙を有する磁気回路と、コイルに接続する第1錦糸線および第2錦糸線が接続するスピーカー端子と、を備え、増幅器が、可聴音域よりも高いキャリア周波数成分を含むスイッチング出力信号を低域通過フィルタを通過させずに出力端子に出力するドライバ回路を含み、動電型スピーカーのボイスコイルが、ボビンと、ボビンに絶縁被膜電線が一層で巻回されて形成されるコイルと、コイルの他方端が接続されてコイルの一方端側に電極を導き出して第1錦糸線が接続される第1中継箔部材と、コイルの一方端および第2錦糸線が接続される第2中継箔部材と、を備え、第1中継箔部材が、コイルの他方端が接続される第1電極部と、第1錦糸線が接続される第2電極部と、ボビンに一層で巻回されたコイルの絶縁被膜電線と略直交するように配置されて第1電極部と第2電極部とを接続する交差部と、を備え、交差部が、第2電極部よりも幅寸法が細く形成されてコイルの線間容量を低減しキャリア周波数における電気インピーダンスを十分に大きくする
【0011】
好ましくは、本発明のスピーカーシステムは、ボイスコイルのコイルを形成する絶縁被膜電線が、断面が丸または平角の銅線、アルミ線、又は、銅クラッドアルミ線のいずれかから選択される。
【0013】
また、本発明のスピーカーシステムは、動電型スピーカーが、上記ボイスコイルのボビンに連結されるスピーカー振動板と、スピーカー振動板の外周端を振動可能に支持するエッジと、エッジの外周端ならびに磁気回路が連結するフレームと、をさらに備える。
【0016】
さらに好ましくは、本発明のスピーカーシステムは、増幅器が、ドライバ回路と動電型スピーカーのスピーカー端子との間に低域通過フィルタを有さない。
【0017】
以下、本発明の作用について説明する。
【0018】
本発明のボイスコイルは、ボビンと、ボビンに絶縁被膜電線が一層で巻回されて形成されるコイルと、コイルの他方端が接続されてコイルの一方端側に電極を導き出す第1中継箔部材と、を備える。また、本発明の動電型スピーカーは、上記のボイスコイルと、ボイスコイルのコイルが配置される磁気空隙を有する磁気回路と、ボイスコイルのボビンに連結されるスピーカー振動板と、スピーカー振動板の外周端を振動可能に支持するエッジと、エッジの外周端ならびに磁気回路が連結するフレームと、ボイスコイルの第1錦糸線および第2錦糸線が接続するスピーカー端子と、を備える。さらに、本発明のスピーカーシステムは、上記のボイスコイルを含む上記の動電型スピーカーと、スピーカー端子に接続する出力端子を有する増幅器と、を備える。
【0019】
ボイスコイルの第1中継箔部材は、一層巻のコイルの他方端を電気的並びに機構的にコイルの一方端側に近づけるようにする部材であって、コイルの他方端が接続される第1電極部と、第2錦糸線が接続される第2電極部と、ボビンに一層で巻回されたコイルと略直交するように配置されて第1電極部と第2電極部とを接続する交差部と、を備える。また、コイルを形成する絶縁被膜電線は、断面が丸または平角の銅線、アルミ線、又は、銅クラッドアルミ線のいずれかから選択すればよい。好ましくは、ボイスコイルは、コイルの一方端が接続される第2中継箔部材と、第1中継箔部材に接続する第1錦糸線と、第2中継箔部材に接続される第2錦糸線と、をさらに備える。したがって、通常のボイスコイルの製造方法に準じて製造可能なので、ボイスコイルとしての製造が容易であり、動電型スピーカーとしても品質が安定する利点がある。
【0020】
具体的には、第1中継箔部材の交差部は、その長さ方向においてコイルの絶縁被膜電線を横切るように長さが設定され、その幅寸法は細く形成される。つまり、交差部の幅寸法は、錦糸線を固定するのにある程度の面積が必要な第1電極部または第2電極部よりも細く形成される。交差部は、一層巻のコイルと重ね合わされる部分であるので、コイルの絶縁被膜電線が巻回される方向に一致する方向の導体の寸法である幅寸法を細く、狭く設定するほど、ボイスコイルの線間に寄生して発生する容量の値を小さくすることができる。
【0021】
その結果、容量値が小さいボイスコイルが実現できるので、動電型スピーカーのボイスコイルの容量値に起因する電気インピーダンスの共振周波数を、比較的に高く設定でき、また、最初の共振周波数以上で発生する電気インピーダンスの乱れであるリンギングを抑制できる。特に、可聴音域よりも高いキャリア周波数成分を含むスイッチング出力信号を出力する増幅器と組み合わせてスピーカーシステムを構成する場合において、低域通過フィルタとしてのLCフィルタを備えない場合には、キャリア信号の周波数帯域で負荷の電気インピーダンスの絶対値が低下することを防ぐことができ、スイッチング出力信号を出力する増幅器の効率を高めることができる。低域通過フィルタを省略可能にできるので、増幅器と組み合わせるスピーカーシステムでは、小型化および製造コストの面で有利であるという利点がある。
【発明の効果】
【0022】
本発明のボイスコイルは、可聴音域よりも高いキャリア周波数成分を含むスイッチング出力信号を出力する増幅器と組み合わせてスピーカーシステムを構成するのに適する動電型スピーカーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の好ましい実施形態によるスピーカーシステムについて説明する図である。(実施例1)
図2】本発明のボイスコイルについて説明する図である。(実施例1)
図3】本発明のボイスコイルについて説明する図である。(実施例1)
図4】本発明のボイスコイルの電気インピーダンス特性について説明するグラフである。(実施例1、比較例1)
図5】比較例のボイスコイルの電気インピーダンス特性について説明するグラフである。(比較例2、比較例3)
図6】本発明のスピーカーシステムの効率について説明するグラフである。(実施例1)
図7】比較例のスピーカーシステムの効率について説明するグラフである。(比較例4)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態によるボイスコイル、および、これを用いた動電型スピーカー並びにスピーカーシステムについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるスピーカーシステム1について説明する図であり、具体的には、スピーカーシステム1の構成を示すブロック図である。なお、説明に不要な一部の構造や、内部構造等は、図示ならびに説明を省略している。
【0026】
スピーカーシステム1は、同一のキャビネットに取り付けられている動電型スピーカー2と、スイッチングアンプ10と、から構成される。スピーカーシステム1は、スイッチングアンプ10の入力端子3に入力される音声信号を増幅して出力端子16に出力し、信号線であるコードを介して動電型スピーカー2の入力端子25に入力する。その結果、スピーカーシステム1では、動電型スピーカー2が、増幅された音声信号を音波に変換して音声再生を行なう。
【0027】
なお、図示するスピーカーシステム1では、音声入力信号は、1チャンネルのみのモノラル信号について説明するが、2チャンネルのステレオ信号であってもよく、また、3チャンネル以上のマルチチャンネル信号であってもよい。また、動電型スピーカー2と、スイッチングアンプ10と、は同一のキャビネットに取り付けられているが、それぞれ別のキャビネット又は筐体に収納されていてもよい。
【0028】
動電型スピーカー2は、例えば、図1にその断面が図示されるようなキャビネットに取り付けられる外磁型の動電型スピーカーである。動電型スピーカー2は、磁気回路22の磁気空隙に振動可能なように配置されるボイスコイル20および振動板21およびエッジ24並びにダンパーを含む一自由度の振動系を有し、磁気回路42および振動系は、フレーム23に支えられて、キャビネットに取り付けられる。
【0029】
図1に図示する動電型スピーカー2の磁気回路22は、磁気空隙の外側にマグネットが位置する外磁型の磁気回路であるが、内磁型の磁気回路、あるいは、反発型、等の他の磁気回路であってもよい。また、磁気回路22は、好ましくは磁気空隙の内部、あるいは、磁気空隙の近傍にショートリングを備えるようにしてもよい。動電型スピーカー2は、ショートリングを備えることでボイスコイル20のインダクタンスを等価的に低下させ、磁気回路22を構成する磁性材料に渦電流が流れにくくなるようにすれば、電流歪の発生を低減できる。
【0030】
動電型スピーカー2は、ボイスコイル20が一層巻のコイルを含む動電型スピーカーであって、入力端子25には、ボイスコイル20の一方端/他方端に対応して接続する2つの接続端子S1およびS2が備わる。入力端子25とボイスコイル20は、後述するような錦糸線またはリード線を介して接続されるが、図1では、錦糸線の図示は省略されている。なお、入力端子25は、フレーム23に取り付けるように設けられているのが好ましい。
【0031】
図2および図3は、ボイスコイル20について説明する図である。具体的には、図2はボイスコイル20を磁気回路側から見た斜視図であり、図3はボイスコイル20の一部を側面視した場合の一部拡大図である。ボイスコイル20は、略円筒形状に形成されるボビン30と、ボビン30に絶縁被膜電線が一層で巻回されて形成されるコイル31と、中継箔部材34、35と、コイル31の一方端が接続される錦糸線36と、コイル31の他方端が接続される錦糸線37と、を備える。
【0032】
本実施例のボイスコイル20のボビン30は、ポリイミド樹脂のフィルムで形成されている。ボビン30は、他にクラフト紙、スパイラル紙の紙材料、もしくは、キャプトン、シルター、ティル等の樹脂材料、もしくは、アルミ、または、チタンを含む金属材料、のいずれかの材料で形成されていればよい。ボビン30は、略円筒形状に形成される。
【0033】
コイル31を形成する絶縁被膜電線は、断面が丸または平角の銅線、アルミ線、又は、銅クラッドアルミ線のいずれかから選択すればよい。コイル31は一層巻のコイルであるが、平角線であるエッジワイズ線を採用するのが好ましい。コイル31は一層巻のコイルであるので、巻き初め/巻き終わりに対応する一方端32と他方端33とが、コイル31の上部側と下部側とにそれぞれ現れる。
【0034】
中継箔部材34および35は、それぞれボビン30の外側円曲面に貼り付けられて、コイル31の両端(一方端32、他方端33)および錦糸線36または37の一端を、ハンダ付けによりそれぞれ相互に電気的及び機械的に接続する。中継箔部材34および35は、例えば銅箔のような導通性を有する薄い金属箔で形成される。ボイスコイル20は、中継箔部材34および35を設けることで、錦糸線36または37を強固に取り付けることでき、コイル31を形成する絶縁被膜電線の断線を防止する。
【0035】
図示するように、略円筒形状のボビン30の下部側にコイル31が巻回され、略円筒形状のボビン30の上部側に中継箔部材34および錦糸線36と、中継箔部材35の第2電極部352および錦糸線37が取り付けられる。これは、動電型スピーカー2の磁気回路22の磁気空隙が、振動板21を含む振動系が取り付けられる一方側からのみ、ボイスコイル20のコイル31を挿入できる構造になっていることに対応した構造である。
【0036】
つまり、中継箔部材34および35は、ボイスコイル20のコイル31を磁気回路の磁気回路22の磁気空隙に挿入した場合に、コイル31に接続する錦糸線36および37が磁気回路22に接触しないような位置に、コイル31の両端(一方端32、他方端33)を導き出して錦糸線36または37に接続及び固定している。磁気回路22の磁気空隙は非常に狭い間隔の空間なので、当然にボイスコイル20は、ボビン30、コイル31、および、中継箔部材35が磁気回路22に接触しないで磁気空隙中を振動可能なように設計する必要がある。
【0037】
そこで、中継箔部材35は、略円筒形状のボビン30の下部側に出現する一層巻のコイル31の他方端33を、電気的並びに機構的に略円筒形状のボビン30の上部側に出現するコイル31の一方端32側に近づけるようにする。具体的には、中継箔部材35は、コイル31の他方端33が接続される第1電極部351と、錦糸線37が接続される第2電極部352と、ボビン30に一層で巻回されたコイル31と略直交するように配置されて第1電極部351と第2電極部352とを接続する交差部350と、を備える。したがって、図示するように、コイル31は、ボビン30および中継箔部材35の交差部350の上に絶縁被膜電線を巻回すようにして形成される。
【0038】
一方で、中継箔部材34は、コイル31に巻回されるような交差部を有する必要は無く、中継箔部材35の第2電極部352に相当するような最小の必要面積を有していればよい。本実施例のボイスコイル20では、中継箔部材34および中継箔部材35の第2電極部352に、あらかじめ錦糸線36および37が予備加工によって取り付けられているが、あらかじめ錦糸線36および37を取り付けていない場合には、動電型スピーカー2の製造工程において、錦糸線36および37又は相当するリード線等を取り付けてもよい。ボイスコイル20は、通常のボイスコイルの製造方法に準じて製造可能なので、ボイスコイルとしての製造が容易であり、これを用いる動電型スピーカー2としても品質が安定する。
【0039】
スイッチングアンプ10は、入力端子3に入力される音声信号を増幅して出力端子16に出力するスイッチング増幅部を内部に含む。スイッチング増幅部は、グランドされた接地電位を基準電位として、基準電位よりも大きな第1電位V1を有する第1電源11と、基準電位よりも小さく第1電源とは極性が異なる第2電位V2(=−V1)を有する第2電源12と、キャリア信号に基づいて入力音声信号をパルス幅変調するパルス変調回路13と、2つのMOSFET14および15を含む。第1MOS−FET14は、ゲート端子がパルス変調回路13に接続され、ソース端子が第1電源11に接続され、ドレイン端子が出力端子16の端子T1に接続するスイッチング増幅部の出力端子に接続される。また、第2MOS−FET15は、ゲート端子がパルス変調回路13に接続され、ソース端子が第2電源12に接続され、ドレイン端子が出力端子16の端子T1に接続するスイッチング増幅部の出力端子16に接続される。
【0040】
パルス変調回路13は、キャリア信号に基づいて入力音声信号をパルス幅変調して、第1パルス変調信号を第1MOS−FET14に出力し、第1パルス変調信号と異なる第2パルス変調信号を第2MOS−FET15に出力する。キャリア信号は、音声信号の周波数帯域(約20Hz〜20kHz)よりも遙かに高い周波数(例えば、約300kHz以上)の変調信号である。第1MOS−FET14は、パルス変調回路13からの第1パルス変調信号に応答してオン状態またはオフ状態になり、第1電位V1をスイッチング増幅部の出力端子に出力するか、または解放状態となる。また、第2MOS−FET15は、パルス変調回路13からの第2パルス変調信号に応答してオン状態またはオフ状態になり、第2電位V2をスイッチング増幅部の出力端子に出力するか、または解放状態となる。
【0041】
スイッチング増幅部からの出力信号は、コイル/コンデンサから構成されるような低域通過フィルタを経ることなく、出力端子16の端子T1に出力される。したがって、スイッチングアンプ10の出力端子16の端子T1には、音声信号よりも遙かに周波数帯域が高いキャリア信号成分を含み、第1電位V1と第2電位V2との間でスイングする増幅されたパルス変調信号が出力される。増幅されたパルス変調信号は、増幅された入力音声信号を含み、(図示しない)低域通過フィルタを通過させると、入力された音声信号を電力増幅した出力信号として取り出すことができる。スイッチングアンプ10の出力端子16の端子T2は、端子T1と組になる出力端子であり、スイッチングアンプ10内において基準電位に接地されている。
【0042】
なお、スイッチングアンプ10のスイッチング増幅部は、上記構成の構成に限らず、可聴音域よりも高いキャリア周波数成分を含むスイッチング出力信号を出力する他の変調方式によるD級アンプであればよい。例えば、スイッチング増幅部のパルス変調回路13は、キャリア信号に基づいて入力音声信号をパルス密度変調する変調回路であってもよい。スイッチング増幅部は、第1電位V1と第2電位V2との間でスイングする増幅された2値のパルス変調信号を出力するものでもよく、基準電位を含む3値のパルス変調信号を出力するものでもよい。
【0043】
したがって、このスピーカーシステム1では、スイッチングアンプ10からの可聴音域よりも高いキャリア周波数成分を含む出力信号は、コイル/コンデンサから構成されるような低域通過フィルタを経ることなく、動電型スピーカー2のボイスコイル20に入力されることになる。スイッチングアンプ10の効率を考慮すると、ボイスコイル20を含む動電型スピーカー2の電気インピーダンスは、キャリア信号の周波数帯域において十分に高い値になることが望ましく、ボイスコイル20の線間容量を低減して、電気インピーダンスが局所的に低下するような共振現象を発生させないようにする必要がある。
【0044】
ボイスコイル20の中継箔部材35は、略円筒形状のボビン30の下部側に出現する一層巻のコイル31の他方端33を、電気的並びに機構的にコイル31の一方端32側である略円筒形状のボビン30の上部側に近づけるようにするのに、ボビン30に一層で巻回されたコイル31と略直交するように配置される交差部350を備える。図3に示すように、交差部350は、その長さ方向においてコイル31の絶縁被膜電線を横切るように、コイル31の巻線高さを規定するH寸法よりも長くなるように長さL1が設定される。
【0045】
また、交差部350の幅寸法W0は、錦糸線37を固定するのにある程度の面積が必要な第2電極部352の幅寸法W2よりも、細く形成される。第1電極部351の幅寸法W1は、コイル31の他方端33を固定するのにある程度の面積が必要になるので、交差部350の幅寸法W0よりも太く広くなる。ただし、場合によっては交差部350の幅寸法W0と同程度かそれ以上の寸法であればよい。
【0046】
ボイスコイル20は、中継箔部材35の交差部350の導体としての幅寸法W0が、細く狭く形成されているので、コイル31と交差する投影面積が、従来のように交差部350の幅寸法を細く狭くしない場合に比べて、小さくなる。したがって、ボイスコイル20の線間に寄生して発生する容量の値を、従来よりも小さくすることができる。
【0047】
交差部350の幅寸法W0が、細く狭いほどボイスコイル20の容量は小さくできるが、ボイスコイル20の製造品質を安定的に高める上で中継箔部材35を用いるという前提では、安定的に製造可能な寸法範囲で、交差部350の幅寸法W0を、錦糸線37を取り付けるのにある程度の広さが必要な第2電極部352の幅寸法W2よりも細く形成すればよい。つまり、交差部350の幅寸法W0は、通常に用いられる単純な短冊状の本実施例のような交差部350を備えない中継箔部材の幅寸法に比べて、細く狭くすればよい。
【0048】
なお、本実施例のボイスコイル20の中継箔部材35は、導通性を有する薄い金属箔である銅箔であるが、可撓性を有するフレキシブルプリント基板等で構成してもよい。例えば、中継箔部材35をフレキシブルプリント基板で構成する場合には、ボイスコイル20の容量を小さくするように交差部350の導体の幅寸法W0を、第2電極部352の幅寸法W2よりも細く形成すればよいのであって、交差部350のフレキシブルプリント基板の絶縁体の幅寸法は、制限されない。
【0049】
また、ボイスコイル20は、一方の中継箔部材35を備えていればよく、他方の中継箔部材34は、コイル31の一方端32と錦糸線36を接続してボビン30に固定できれば、他の手段で実現しても、省略しても良い。
【0050】
図4および図5は、ボイスコイル単体での電気インピーダンス特性について説明するグラフである。具体的には、グラフは、それぞれ横軸の周波数に対して縦軸がボイスコイルの電気インピーダンスの絶対値を示す。なお、グラフの周波数帯域は、可聴周波数帯域である20Hz〜20kHzよりも遙かに高い100kHz〜100MHzであって、スイッチングアンプ10のキャリア信号の周波数帯域であることに留意すべきである。
【0051】
図4は、本実施例のボイスコイル20の場合と、中継箔部材35の交差部350の幅寸法W0が第2電極部352の幅寸法W2に等しい従来の場合を想定する比較例1の(図示しない)ボイスコイル20aを示している。また、図5は、他の比較例として、中継箔部材35を取り除いて、コイル31から離隔させた他のリード線によりコイル31の他方端33を錦糸線37と接続させて、コイル31の線間の寄生容量を最小化した理想的な場合を想定する比較例2の(図示しない)ボイスコイル20bと、中継箔部材35を本来的に必要としない2層巻のコイルを想定する比較例3の(図示しない)ボイスコイル20cと、を示している。
【0052】
本実施例のボイスコイル20は、比較例1のボイスコイル20aに比べて容量値を小さくできるので、図4に示すように、動電型スピーカー2のボイスコイル20の容量値に起因する電気インピーダンスの共振周波数を、比較的に高く設定できる。また、ボイスコイル20は、最初の共振周波数以上で発生する電気インピーダンスの乱れであるリンギングを抑制でき、キャリア信号の周波数帯域でスイッチングアンプ10から見た負荷である動電型スピーカー2の電気インピーダンスの絶対値が低下することを防ぐことができる。
【0053】
一方で、比較例1のボイスコイル20aは、寄生容量が本実施例のボイスコイル20よりも大きくなる。比較例1のボイスコイル20aの場合に出現する10MHz付近の電気インピーダンス特性のディップでは、ボイスコイル20aの容量値に起因する共振で電気インピーダンスの絶対値が、ボイスコイル20の場合に比べて極端に低下することを示している。複数の電気インピーダンス特性のディップが存在する場合には、全体的な電気インピーダンスの絶対値が低下することになる。本実施例のボイスコイル20では、電気インピーダンスの絶対値の低下を防ぐことができるので、キャリア信号の電流が増えて消費電力が増加することがなくなり、スイッチングアンプ10からみると結果的に、音声再生の効率が比較例1の場合よりも改善することになる。
【0054】
また、ボイスコイルの寄生容量を低減するという意味では理想的な比較例2のボイスコイル20bの場合には、容量が小さくなることで共振周波数が高くなり、共振周波数よりも高い周波数での電気インピーダンスの乱れであるリンギングが最も抑制され、電気インピーダンスの絶対値が低下しにくくできる。しかしながら、1層巻ボイスコイルでは、略円筒形状のボビン30の下部側に出現する一層巻のコイル31の他方端33を上部側に導出しなければならない。つまり、比較例2のボイスコイル20bは、磁気回路22の磁気空隙にコイル31を配置すると、コイル31の他方端33に入力信号を供給できない、あるいは、コイル31の他方端33に入力信号を供給するリード線が磁気回路22に接触するのを防げないので、良好に動作する動電型スピーカー2を構成することができず、現実的ではない。
【0055】
また、比較例3の中継箔部材35を本来的に必要としない2層巻のボイスコイル20cの場合は、ボイスコイルが2層巻にされることで線間の寄生容量が大きくなる。したがって、共振周波数が低くなり、共振周波数よりも高い周波数での電気インピーダンスの乱れであるリンギングが激しくなり、電気インピーダンスの絶対値が低下する。したがって、2層巻のボイスコイル20cを用いて動電型スピーカー2を構成する場合には、キャリア信号の電流が増えて消費電力が増加することになるので、スイッチングアンプ10からみると結果的に、音声再生の効率が低下することになる。
【0056】
本実施例のボイスコイル20を含む動電型スピーカー2の電気インピーダンスは、動電型スピーカー2の最低共振周波数f0の共振ピークが出現するほかに、金属の磁性体を含む磁気回路22の磁気空隙にコイル31が挿入されるので、コイル31のインダクタンスが大きくなるように変化し、その結果としてコイル31の寄生容量による共振周波数を含む電気インピーダンス特性は、図4および図5に示す特性から変化することになる。比較例のボイスコイル20a、20cの場合も同様である。
【0057】
しかし、コイル31の寄生容量は、磁気回路22の磁気空隙に挿入されるか否かでは、基本的に変化しない。スイッチングアンプ10のキャリア信号の周波数帯域において、上述したボイスコイル単体での電気インピーダンス特性が示す傾向は、たとえ動電型スピーカー2の電気インピーダンスとして比べても、本実施例のボイスコイル20と、比較例のボイスコイル20a、20cとの場合とで、同じ傾向を示して相対的な関係が変わることはない。また、比較例のボイスコイル20bは、磁気回路22の磁気空隙に挿入するとコイル31の他方端33に信号を供給できなくなるので、動電型スピーカーに組み入れられない。
【0058】
したがって、スイッチングアンプ10からみると、本実施例のボイスコイル20を含む動電型スピーカー2が、他の比較例1または3の場合よりも最も音声再生の効率が改善したスピーカーシステム1を実現することができる。
【0059】
図6は、本発明の実施例のスピーカーシステム1の効率について説明するグラフであり、また、図7は比較例の(図示しない)スピーカーシステムの効率について説明するグラフである。横軸は、規定距離での基準化した音圧レベルであり、縦軸は、電源からスイッチングアンプへの基準化した入力電力である。したがって、横軸が同じ音圧レベルを示す場合には、縦軸である入力電力が小さいほど、スピーカーシステム1の効率が良いことを示す。
【0060】
図6のグラフに実線で示す「2(20)」は、実施例のボイスコイル20を備える動電型スピーカー2の場合であり、破線で示す「2(20)+LPF」は、スイッチングアンプ10のドライバ回路と動電型スピーカー2のスピーカー端子との間に(図示しない)低域通過フィルタ(LPF)を挿入して設けた場合である。実施例のスピーカーシステム1は、動電型スピーカー2が実施例のボイスコイル20を備えるので、低域通過フィルタ(LPF)を挿入して設けるか否かに係わらず、入力電力に対する音圧レベル、すなわち、効率があまり変化しない。
【0061】
つまり、動電型スピーカー2の場合には、容量が小さいボイスコイル20の電気インピーダンスがスイッチングアンプ10のキャリア周波数の帯域で十分に大きいので、低域通過フィルタ(LPF)で消費される無効な電力が少ない。したがって、スイッチングアンプ10のドライバ回路と動電型スピーカー2のスピーカー端子との間に低域通過フィルタ(LPF)を有さないように、スピーカーシステム1の設計が可能である。
【0062】
図7のグラフに実線で示す「2d(20d)」は、比較例の(図示しない)2層巻のボイスコイル20dを備える動電型スピーカー2dの場合であり、破線で示す「2d(20d)+LPF」は、スイッチングアンプ10のドライバ回路と動電型スピーカー2dのスピーカー端子との間に(図示しない)低域通過フィルタ(LPF)を挿入して設けた場合である。この比較例のスピーカーシステム1dは、動電型スピーカー2dが、従来の容量の大きい2層巻のボイスコイル20dを備えるので、低域通過フィルタ(LPF)を有する構成にすることを前提としている。これらを比較して分かるように、入力電力に対する音圧レベルが、低域通過フィルタ(LPF)の有無により大きく変化している。
【0063】
比較例の動電型スピーカー2dは、低域通過フィルタ(LPF)を挿入して設ける場合には効率が高くできるが、低域通過フィルタ(LPF)を備えない場合には効率が低下してしまう。つまり、比較例の動電型スピーカー2dは、低域通過フィルタ(LPF)で消費される無効な電力が多いので、低域通過フィルタ(LPF)を備えないようにすると効率が悪く、同一の音圧レベルを実現するのに、より多くの電力が必要になることがこれらのグラフから分かる。このように比較例の動電型スピーカー2dでは、スピーカーシステム1の設計するのに際し、スイッチングアンプ10のドライバ回路と動電型スピーカー2のスピーカー端子との間に低域通過フィルタ(LPF)を設ける必要がある。
【0064】
なお、本実施例の動電型スピーカー2の場合にも、低域通過フィルタ(LPF)を挿入して設けるようにしてもよい。容量が小さいボイスコイル20は、電気インピーダンスがスイッチングアンプ10のキャリア周波数の帯域で十分に大きいので、低域通過フィルタ(LPF)を構成するコイル/コンデンサを小さな定数の素子に変更でき、小型化が可能な利点がある。したがって、スイッチングアンプ10および動電型スピーカー2を備えるスピーカーシステム1において、低域通過フィルタ(LPF)を備えていても小型化、低コスト化を図る設計が可能である。
【0065】
また、本実施例のボイスコイル20では、動電型スピーカー2の磁気回路22の磁気空隙を、一層巻のコイル31および中継箔部材35が配置されるだけでよいように十分に狭くできるので、磁気空隙中での磁束密度を高めることができ、結果的に変換効率の高い動電型スピーカー2を実現できる利点がある。ボイスコイル20は、標準的な一層巻のボイスコイル製造の工程を利用して構成することができるので、製造が容易で動電型スピーカー2の製造コストの面でも有利であって、品質が安定する利点がある。
【0066】
上記の実施例では、スイッチングアンプ10および動電型スピーカー2を備えるスピーカーシステム1について説明したが、スイッチングアンプ10は、スイッチング動作を行わない増幅器に置き換えることが可能である。動電型スピーカー2は、容量が小さいボイスコイル20を備えるので、容量リアクタンスが信号歪みの要因とならず、歪が少ない良好な音声再生が可能になる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のボイスコイルおよびこれを備える動電型スピーカー並びにスピーカーシステムは、音声信号を再生する音響装置、ステレオ装置のみならず、ディスプレイ等の映像・音響機器に内蔵するヘッドホン用増幅器を内蔵するゲーム機、電話機にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 スピーカーシステム
2 動電型スピーカー
3 入力端子
10 スイッチングアンプ
11 第1電源
12 第2電源
13 パルス変調回路
14 第1MOS−FET
15 第2MOS−FET
20 ボイスコイル
21 振動板
22 磁気回路
23 フレーム
24 エッジ
25 スピーカー端子
30 ボビン
31 コイル
32、33 コイルの両端
34、35 中継箔部材
36、37 錦糸線

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7