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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202050
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】エレベータシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20170914BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B5/02 P
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-127385(P2015-127385)
(22)【出願日】2015年6月25日
(65)【公開番号】特開2017-7846(P2017-7846A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2016年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】饗場 純一
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5082803(JP,B2)
【文献】 特許第5397075(JP,B2)
【文献】 特許第4826294(JP,B2)
【文献】 特開2005−132563(JP,A)
【文献】 特許第5850801(JP,B2)
【文献】 特開2007−238280(JP,A)
【文献】 特開2009−126686(JP,A)
【文献】 特開2011−098812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に移動する第1かごと、
地震の発生後に、前記第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、
前記第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、
学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、
上下に移動し、前記第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、
前記学習運転制御手段によって学習運転が行われている間、前記第2かごが前記第1かごと同じ高さに配置されないように前記第2かごの位置を制御する運転制御手段と、
を備えたエレベータシステム。
【請求項2】
上下に移動する第1かごと、
地震の発生後に、前記第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、
前記第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、
学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、
上下に移動し、前記第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、
前記学習運転制御手段によって学習運転が行われている間、前記第2かごが前記第1かごと同じ高さに配置される場合は前記第2かごを停止させる運転制御手段と、
を備えたエレベータシステム。
【請求項3】
前記運転制御手段は、前記学習運転制御手段によって学習運転が行われている間は、学習運転の開始時のみ前記第2かごを前記第1かごと同じ高さに配置させる請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記運転制御手段は、前記学習運転制御手段によって学習運転が行われている間は、学習運転の終了時のみ前記第2かごを前記第1かごと同じ高さに配置させる請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記運転制御手段は、前記学習運転制御手段によって学習運転が行われている間は、学習運転の開始時及び終了時のみ前記第2かごを前記第1かごと同じ高さに配置させる請求項2に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
上下に移動する第1かごと、
地震の発生後に、前記第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、
前記第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、
学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、
上下に移動し、前記第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、
前記第2かごを第1速度で移動させて通常運転を行う運転制御手段と、
を備え、
前記運転制御手段は、前記学習運転制御手段によって学習運転が行われている間、移動中の前記第2かごが前記第1かごと同じ高さに配置される場合は前記第2かごを前記第1速度より遅い第2速度で移動させるエレベータシステム。
【請求項7】
上下に移動する第1かごと、
地震の発生後に、前記第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、
前記第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、
学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、
上下に移動し、前記第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、
を備え、
前記学習運転制御手段は、学習運転を行っている時に前記第2かごが前記第1かごと同じ高さに配置されると、学習運転を中止するエレベータシステム。
【請求項8】
上下に移動する第1かごと、
地震の発生後に、前記第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、
前記第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、
学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、
上下に移動し、前記第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、
を備え、
前記学習運転制御手段は、学習運転を行っている時に移動中の前記第2かごが前記第1かごと同じ高さに配置されると、学習運転を中止するエレベータシステム。
【請求項9】
上下に移動する第1かごと、
地震の発生後に、前記第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、
前記第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、
学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、
上下に移動し、前記第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、
を備え、
前記設定手段は、学習運転で取得された学習データのうち、前記第2かごが前記第1かごと同じ高さに配置された時に取得された学習データを使用せずに基準範囲を設定するエレベータシステム。
【請求項10】
上下に移動する第1かごと、
地震の発生後に、前記第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、
前記第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、
学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、
上下に移動し、前記第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、
を備え、
前記設定手段は、学習運転で取得された学習データのうち、移動中の前記第2かごが前記第1かごと同じ高さに配置された時に取得された学習データを使用せずに基準範囲を設定するエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、地震後に診断運転を行うエレベータ装置が記載されている。診断運転は、地震によって停止したエレベータを自動で通常運転に復帰させるために行われる。診断運転では、予め定められた各種動作が行われる。そして、異常が検出されることなく全ての動作が終了すれば、エレベータは通常運転に復帰される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−126686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
診断運転では、各種データが測定される。例えば、巻上機のトルクデータが測定される。診断運転で測定されたデータが基準範囲から外れると、異常が検出される。診断運転で用いられる基準範囲は、例えば学習運転で取得された学習データに基づいて設定される。例えば、学習運転で取得された学習データを中央値とする一定の範囲が基準範囲として設定される。
【0005】
図13は、従来の課題を説明するための図である。図13は、学習運転で取得された学習データとその学習データに基づいて設定された基準範囲とを示す。図13に示す上限値と下限値との間の範囲が基準範囲である。学習データに図13のDに示すような局所的な変動が存在すると、実際には異常が発生していない場合でも診断運転において異常が検出されてしまう。通常運転を行っている隣りのかごが学習運転中のかごとすれ違ったり学習運転中のかごを追い越したりすると、その風圧によって図13のDに示すような局所的な変動が発生することが出願人の調査によって判明した。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされた。この発明の目的は、診断運転で異常を検出するための基準範囲を適切に設定できるエレベータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエレベータシステムは、上下に移動する第1かごと、地震の発生後に、第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、上下に移動し、第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、学習運転制御手段によって学習運転が行われている間、第2かごが第1かごと同じ高さに配置されないように第2かごの位置を制御する運転制御手段と、を備える。
【0008】
この発明に係るエレベータシステムは、上下に移動する第1かごと、地震の発生後に、第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、上下に移動し、第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、学習運転制御手段によって学習運転が行われている間、第2かごが第1かごと同じ高さに配置される場合は第2かごを停止させる運転制御手段と、を備える。
【0009】
この発明に係るエレベータシステムは、上下に移動する第1かごと、地震の発生後に、第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、上下に移動し、第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、第2かごを第1速度で移動させて通常運転を行う運転制御手段と、を備える。運転制御手段は、学習運転制御手段によって学習運転が行われている間、移動中の第2かごが第1かごと同じ高さに配置される場合は第2かごを第1速度より遅い第2速度で移動させる。
【0010】
この発明に係るエレベータシステムは、上下に移動する第1かごと、地震の発生後に、第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、上下に移動し、第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、を備える。学習運転制御手段は、学習運転を行っている時に第2かごが第1かごと同じ高さに配置されると、学習運転を中止する。
【0011】
この発明に係るエレベータシステムは、上下に移動する第1かごと、地震の発生後に、第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、上下に移動し、第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、を備える。学習運転制御手段は、学習運転を行っている時に移動中の第2かごが第1かごと同じ高さに配置されると、学習運転を中止する。
【0012】
この発明に係るエレベータシステムは、上下に移動する第1かごと、地震の発生後に、第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、上下に移動し、第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、を備える。設定手段は、学習運転で取得された学習データのうち、第2かごが第1かごと同じ高さに配置された時に取得された学習データを使用せずに基準範囲を設定する。
【0013】
この発明に係るエレベータシステムは、上下に移動する第1かごと、地震の発生後に、第1かごを移動させて診断運転を行う診断運転制御手段と、第1かごを移動させて学習運転を行う学習運転制御手段と、学習運転で取得された学習データに基づいて、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する設定手段と、上下に移動し、第1かごと同じ高さで隣接するように配置可能な第2かごと、を備える。設定手段は、学習運転で取得された学習データのうち、移動中の第2かごが第1かごと同じ高さに配置された時に取得された学習データを使用せずに基準範囲を設定する。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係るエレベータシステムであれば、診断運転で異常を検出するための基準範囲を適切に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの構成例を示す図である。
図2】制御装置の構成例を示す図である。
図3】この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
図4】この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの他の動作例を示すフローチャートである。
図5】この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの他の動作例を示すフローチャートである。
図6】この発明の実施の形態2におけるエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
図7】この発明の実施の形態2におけるエレベータシステムの他の動作例を説明するための図である。
図8】この発明の実施の形態2におけるエレベータシステムの他の動作例を説明するための図である。
図9】この発明の実施の形態3におけるエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
図10】制御装置の基準範囲設定機能の一例を説明するための図である。
図11】制御装置の基準範囲設定機能の他の例を説明するための図である。
図12】制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図13】従来の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照し、本発明を説明する。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0017】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの構成例を示す図である。群管理装置1は、ビル等に設置された複数台のエレベータ装置を一群として管理する。図1は、群管理装置1がA号機、B号機及びC号機の3台のエレベータ装置を管理する例を示す。群管理装置1は、2台のエレベータ装置を管理しても良いし、4台以上のエレベータ装置を管理しても良い。以下においては、特定の号機について説明する場合、符号の後にA、B或いはCを付す。例えば、A号機に対しては符号の後にAを付す。B号機に対しては符号の後にBを付す。C号機に対しては符号の後にCを付す。群管理装置1は、例えば運転指令部2及びかご位置検出部3を備える。
【0018】
各エレベータ装置は、例えばかご4及びつり合いおもり5を備える。かご4は、昇降路を上下に移動する。昇降路は、例えばビル内に形成された上下に延びる空間である。つり合いおもり5は、昇降路を上下に移動する。かご4及びつり合いおもり5は、主ロープ6によって昇降路に吊り下げられる。かご4及びつり合いおもり5を吊り下げるためのローピングの方式は、図1に示す例に限定されない。
【0019】
主ロープ6は、巻上機の駆動綱車7に巻き掛けられる。駆動綱車7の回転及び停止は、制御装置8によって制御される。駆動綱車7が回転すると、駆動綱車7が回転する方向に応じた方向に主ロープ6が移動する。主ロープ6が移動する方向に応じて、かご4が上昇或いは下降する。つり合いおもり5は、かご4が移動する方向とは反対の方向に移動する。
【0020】
A号機のかご4Aが移動する範囲は、B号機のかご4Bが移動する範囲に隣接する。即ち、かご4Bは、かご4Aと同じ高さで隣接するように配置可能である。例えば、かご4Aは、ビルの1階から10階に停止する。かご4Bは、ビルの1階から10階に停止する。かご4Bが移動する範囲は、かご4Aが移動する範囲と完全に一致しなくても良い。
【0021】
また、かご4Bが移動する範囲は、C号機のかご4Cが移動する範囲に隣接する。即ち、かご4Cは、かご4Bと同じ高さで隣接するように配置可能である。例えば、かご4Cは、ビルの1階から10階に停止する。かご4Cが移動する範囲は、かご4Bが移動する範囲と完全に一致しなくても良い。
【0022】
図2は、制御装置8の構成例を示す図である。制御装置8は、例えば記憶部9、運転制御部10、管制運転制御部11、診断運転制御部12、学習運転制御部13及び設定部14を備える。以下に、図3も参照し、地震が発生した時の動作について具体的に説明する。図3は、この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【0023】
群管理装置1では、地震が発生した否かが定期的に判定される(S101)。地震が発生していなければ、各エレベータ装置では通常運転が行われる。通常運転は、利用者を目的階に運ぶための運転である。通常運転は、運転制御部10によって制御される。運転制御部10Aは、かご4Aを移動させて通常運転を行う。運転制御部10Bは、かご4Bを移動させて通常運転を行う。運転制御部10Cは、かご4Cを移動させて通常運転を行う。運転制御部10は、通常運転において、かご4を定格速度で移動させる。運転制御部10は、例えば登録された呼びにかご4を順次応答させる。
【0024】
地震が発生したことは地震検出器15によって検出される。地震検出器15は、例えばエレベータ装置が備えられているビルに設けられる。地震検出器15は、地震の発生を検出すると地震情報を群管理装置1に送信する。群管理装置1では、地震検出器15から地震情報を受信すると、運転指令部2が各制御装置8に対して管制運転指令を送信する。
【0025】
各エレベータ装置では、群管理装置1から管制運転指令を受信すると、地震時管制運転を開始する(S102)。地震時管制運転は、かご4の中にいる人をかご4の外に避難させるための運転である。地震時管制運転は、管制運転制御部11によって制御される。管制運転制御部11Aは、かご4Aを移動させて地震時管制運転を行う。管制運転制御部11Bは、かご4Bを移動させて地震時管制運転を行う。管制運転制御部11Cは、かご4Cを移動させて地震時管制運転を行う。管制運転制御部11は、群管理装置1から管制運転指令を受信すると、例えばかご4を最寄り階に停止させて戸開させる。管制運転制御部11は、最寄り階で戸開してから一定時間が経過すると、戸閉してかご4を最寄り階に停止させておく。
【0026】
各エレベータ装置では、地震時管制運転が完了すると、診断運転を開始する(S103)。診断運転は、地震が発生した後に自動で通常運転に復帰させるための運転である。診断運転は、診断運転制御部12によって制御される。診断運転制御部12Aは、かご4Aを移動させて診断運転を行う。診断運転制御部12Bは、かご4Bを移動させて診断運転を行う。診断運転制御部12Cは、かご4Cを移動させて診断運転を行う。
【0027】
診断運転制御部12は、診断運転において、予め定められた各種動作を行わせる。例えば、診断運転制御部12は、かご4を予め定められた通りに移動させる。診断運転では、各種データが取得される。例えば、巻上機のトルクデータが取得される。取得されたデータは基準範囲と比較される。基準範囲は、記憶部9に予め記憶される。取得されたデータが基準範囲に入っていない場合、異常が検出される(S104のYes)。
【0028】
診断運転制御部12は、異常が検出されると、診断運転を中止する(S105)。異常が検出されることによって診断運転が中止された場合、エレベータ装置は、専門の技術者によって手動で通常運転に復帰される。一方、異常が検出されることなく診断運転が完了すると(S104のNo)、エレベータ装置は自動で通常運転に復帰される(S106)。
【0029】
次に、図4及び図5も参照し、基準範囲を設定するための動作について具体的に説明する。図4及び図5は、この発明の実施の形態1におけるエレベータシステムの他の動作例を示すフローチャートである。
【0030】
各エレベータ装置では、学習運転を開始するための開始条件が成立したか否かが定期的に判定される(S201)。開始条件は、記憶部9に予め記憶される。開始条件が成立していなければ、各エレベータ装置では通常運転が行われる。
【0031】
各エレベータ装置では、開始条件が成立すると、学習運転を開始する(S202)。学習運転は、基準範囲を設定するために必要な学習データを取得するための運転である。学習運転は、学習運転制御部13によって制御される。学習運転制御部13Aは、かご4Aを移動させて学習運転を行う。学習運転制御部13Bは、かご4Bを移動させて学習運転を行う。学習運転制御部13Cは、かご4Cを移動させて学習運転を行う。
【0032】
A号機、B号機及びC号機で学習運転が同時に開始されると、システム全体の運行効率が低下してしまう。このため、例えばA号機で学習運転が行われている間はB号機及びC号機で学習運転が行われないようにしても良い。以下においては、一例としてA号機で学習運転が行われる例について説明する。学習運転制御部13Aは、開始条件が成立すると学習運転を開始する。学習運転制御部13Aは、かご4Aを移動させて、基準範囲を設定するために必要な学習データを取得する。
【0033】
また、各エレベータ装置では、隣接する号機で上記開始条件が成立したか否かが定期的に判定される(S301)。隣接する号機で開始条件が成立すると、運転制御部10は、隣接する号機で学習運転が開始される前に制御対象のかご4を予め定められた位置に停止させる。この時、運転制御部10は、隣接する号機のかご4が学習運転で移動する範囲から外れた位置に制御対象のかご4を停止させる。その後、運転制御部10は、制御対象のかご4が学習運転中のかご4と同じ高さに配置されないようにかご4の位置を制御する(S302)。
【0034】
例えば、S201においてA号機の開始条件が成立した場合を考える。A号機のかご4Aは、学習運転において1階から10階まで移動する。B号機の運転制御部10Bは、A号機で学習運転が開始される前に、例えば1階の停止位置より低い位置にかご4Bを停止させる。その後、B号機では、A号機で学習運転が完了したか否かが判定される(S303)。運転制御部10Bは、A号機で学習運転が完了するまで、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されないようにかご4Bの位置を制御する。例えば、運転制御部10Bは、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されないことを条件に、利用者を目的階に運ぶための運転を制御する。
【0035】
学習運転を開始したA号機では、学習運転制御部13Aが予め定められた各種動作を行わせる。例えば、学習運転制御部13Aは、かご4Aを予め定められた通りに移動させる。学習運転では、各種学習データが取得される。例えば、巻上機のトルクデータが学習データの一つとして取得される。
【0036】
予め定められた各種動作が学習運転制御部13によって行われることにより、学習運転が完了する(S203のYes)。学習運転が完了すると、学習運転で取得された学習データが記憶部9に記憶される(S204)。
【0037】
設定部14は、学習運転が完了すると、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する(S205)。設定部14は、学習運転で取得された学習データに基づいて基準範囲の設定を行う。例えば、設定部14は、学習運転で取得された学習データを中央値とする一定の範囲を基準範囲に設定する。基準範囲の上限値及び下限値を設定するための情報は、記憶部9に予め記憶される。
【0038】
上記構成のエレベータシステムでは、ある号機で学習運転が行われている間、その号機に隣接する号機のかご4は、学習運転中のかご4と同じ高さに配置されないように位置が制御される。学習運転中のかご4は、学習運転中に隣接する号機のかご4とすれ違ったり追い越されたりすることがない。このため、風圧等に起因する局所的な変動が学習データに発生することを防止できる。本エレベータシステムであれば、診断運転で異常を検出するための基準範囲を適切に設定できる。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態1では、ある号機で学習運転が行われている間、隣接する号機のかご4を学習運転中のかご4と同じ高さに配置させない例について説明した。学習データの局所的な変動は、隣接するかご4同士がすれ違う時等の風圧に起因して発生する。本実施の形態では、上記風圧を減少させて目的を達成する例について説明する。
【0040】
本実施の形態におけるエレベータシステムの構成は、実施の形態1で開示した構成と同じである。また、地震が発生した時の動作は、実施の形態1で開示した動作と同じである。本実施の形態においても、地震が発生すると図3に示す動作が行われる。以下に、図6も参照し、基準範囲を設定するための動作について具体的に説明する。図6は、この発明の実施の形態2におけるエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【0041】
本実施の形態においても、各エレベータ装置では、図4に示す動作が行われる。また、各エレベータ装置では、隣接する号機で学習運転を開始するための開始条件が成立したか否かが定期的に判定される(S401)。運転制御部10は、隣接する号機で学習運転が開始されると、学習運転が行われている号機のかご4の位置に合わせて制御対象のかご4を停止させる。具体的に、運転制御部10は、制御対象のかご4が学習運転中のかご4と同じ高さに配置される場合は、制御対象のかご4を停止させる(S402)。かご位置検出部3は、群管理装置1が管理する各かご4の位置を検出する。運転制御部10は、かご位置検出部3によって検出された位置に基づいて、制御対象のかご4が学習運転中のかご4と同じ高さになるか否かを判定する。
【0042】
例えば、S201においてA号機の開始条件が成立した場合を考える。B号機の運転制御部10Bは、A号機で学習運転が行われている間は、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置される場合にかご4Bを停止させる。即ち、かご4Aがかご4Bとすれ違う時に、かご4Bは常に停止している。その後、B号機では、A号機で学習運転が完了したか否かが判定される(S403)。運転制御部10Bは、A号機で学習運転が完了するまで、かご4Bに対する上記停止制御を行う。例えば、運転制御部10Bは、かご4Aと同じ高さに配置される場合はかご4Bが常に停止していることを条件に、利用者を目的階に運ぶための運転を制御する。
【0043】
上記構成のエレベータシステムでは、ある号機で学習運転が行われている間、その号機に隣接する号機のかご4は、停止した状態で学習運転中のかご4とすれ違うように動作が制御される。学習運転中のかご4の隣りを、隣接する号機のかご4が高速で移動することはない。このため、風圧等に起因する局所的な変動が学習データに発生することを防止できる。本エレベータシステムであれば、診断運転で異常を検出するための基準範囲を適切に設定できる。
【0044】
図7及び図8は、この発明の実施の形態2におけるエレベータシステムの他の動作例を説明するための図である。図7及び図8は、S201においてA号機の開始条件が成立した例を示す。運転制御部10Bは、A号機で学習運転が行われている間は、図7及び図8に示すように学習運転が開始される時のみかご4Bをかご4Aと同じ高さに配置させる。
【0045】
例えば、A号機で開始条件が成立すると、運転制御部10Bは、A号機で学習運転が開始される前にかご4Bを1階の停止位置に停止させる。1階は、A号機で学習運転が開始される時にかご4Aが停止する位置である。例えば、かご4Aは、学習運転で1階から10階に移動する。A号機で学習運転が開始された後、運転制御部10Bは、かご4Bが学習運転中のかご4Aと同じ高さに配置されないようにかご4Bの位置を制御する。例えば、運転制御部10Bは、A号機で学習運転が開始されてかご4Aが1階を出発した後、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されないことを条件に、利用者を目的階に運ぶための運転を制御する。
【0046】
上記構成のエレベータシステムであれば、学習運転中のかご4が、隣接する号機のかご4と同じ高さに配置されることを最小限に抑えることができる。同様の効果は、学習運転が終了する時のみかご4Bをかご4Aと同じ高さに配置させても実現できる。例えば、運転制御部10Bは、A号機で学習運転が開始されてから学習運転が終了する直前まで、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されないようにかご4Bの位置を制御する。運転制御部10Bは、A号機で学習運転が終了する直前にかご4Bを10階の停止位置に停止させる。10階は、A号機で学習運転が終了する時にかご4Aが停止する位置である。運転制御部10Bは、例えば、A号機で学習運転が開始されてから学習運転が終了する直前まで、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されないことを条件に、利用者を目的階に運ぶための運転を制御しても良い。
【0047】
また、例えば、学習運転が開始される時にかご4Aが停止する階と学習運転が終了する時にかご4Aが停止する階とが同じ場合は、学習運転の開始時及び終了時のみかご4Bをかご4Aと同じ高さに配置させても良い。
【0048】
本実施の形態では、隣接する号機のかご4を停止させることによって、学習運転中のかご4が受ける風圧を減少させる例について説明した。隣接する号機のかご4を減速させても、学習運転中のかご4が受ける風圧を減少させることは可能である。このため、運転制御部10は、隣接する号機で学習運転が行われている間、制御対象のかご4を学習運転中のかご4の位置に合わせて減速させても良い。例えば、運転制御部10は、制御対象のかご4が移動中に学習運転中のかご4と同じ高さに配置される場合は、移動中のかご4を定格速度より遅い速度で移動させる。このような構成を採用しても、一定の効果は期待できる。
【0049】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、学習運転を行っていない号機の機能によって目的を達成する例について説明した。本実施の形態では、学習運転を行っている号機の機能によって目的を達成する例について説明する。
【0050】
本実施の形態におけるエレベータシステムの構成は、実施の形態1で開示した構成と同じである。また、地震が発生した時の動作は、実施の形態1で開示した動作と同じである。本実施の形態においても、地震が発生すると図3に示す動作が行われる。以下に、図9も参照し、基準範囲を設定するための動作について具体的に説明する。図9は、この発明の実施の形態3におけるエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【0051】
各エレベータ装置では、学習運転を開始するための開始条件が成立したか否かが定期的に判定される(S501)。開始条件が成立していなければ、各エレベータ装置では通常運転が行われる。
【0052】
各エレベータ装置では、開始条件が成立すると、学習運転を開始する(S502)。以下においては、一例としてA号機で学習運転が行われる例について説明する。学習運転制御部13Aは、開始条件が成立すると学習運転を開始する。学習運転制御部13Aは、かご4Aを移動させて、基準範囲を設定するために必要な学習データを取得する。
【0053】
学習運転を開始したA号機では、隣接するB号機のかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されたか否かが判定される(S503)。学習運転制御部13Aは、例えばかご位置検出部3によって検出された位置に基づいて、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されたか否かを判定する。学習運転制御部13Aは、学習運転を行っている時にかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されると、学習運転を中止する(S504)。
【0054】
予め定められた各種動作が学習運転制御部13によって行われることにより、学習運転が完了する(S505のYes)。学習運転が完了すると、学習運転で取得された学習データが記憶部9に記憶される(S506)。
【0055】
設定部14は、学習運転が完了すると、診断運転で異常を検出するための基準範囲を設定する(S507)。設定部14は、学習運転で取得された学習データに基づいて基準範囲の設定を行う。例えば、設定部14は、学習運転で取得された学習データを中央値とする一定の範囲を基準範囲に設定する。基準範囲の上限値及び下限値を設定するための情報は、記憶部9に予め記憶される。
【0056】
上記構成のエレベータシステムでは、学習運転を行っている号機のかご4と隣接する号機のかご4とが同じ高さに配置されると、学習運転が中止される。このため、風圧等に起因する局所的な変動が学習データに発生することを防止できる。本エレベータシステムであれば、診断運転で異常を検出するための基準範囲を適切に設定できる。
【0057】
なお、隣接する号機のかご4が停止していれば、学習運転中のかご4が受ける風圧を抑制することができる。このため、図9のS503において、隣接する号機のかご4が移動中であることを条件に、そのかご4が制御対象のかご4と同じ高さに配置されたか否かを判定しても良い。例えば、学習運転制御部13Aは、学習運転を行っている時に移動中のかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されると、学習運転を中止する(S504)。学習運転制御部13Aは、学習運転を行っている時に停止中のかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されても、学習運転を中止しない(S503のNo)。
【0058】
S504で学習運転を中止した場合、学習運転制御部13は、その後に学習運転を最初から改めて実施しても良いし、学習運転を中止した位置或いはその位置の近傍から学習運転を再開させても良い。
【0059】
本実施の形態において、学習運転を行っている号機に隣接する号機では、どのような運転が行われても良い。例えば、A号機で学習運転が行われている場合、運転制御部10Bは、かご4Bがかご4Aと同じ高さに極力配置されないことを条件に、利用者を目的階に運ぶための運転を制御する。例えば、運転制御部10Bは、登録された呼びの数が一定数以下の場合は、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されないようにかご4Bの位置を制御する。運転制御部10Bは、登録された呼びの数が一定数を超えた場合のみ、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置され得る運転を行う。
【0060】
実施の形態4.
本実施の形態では、制御装置8の設定部14の機能によって目的を達成する例について説明する。本実施の形態におけるエレベータシステムの構成は、実施の形態1で開示した構成と同じである。また、地震が発生した時の動作は、実施の形態1で開示した動作と同じである。本実施の形態においても、地震が発生すると図3に示す動作が行われる。
【0061】
以下に、図10も参照し、基準範囲を設定するための動作について具体的に説明する。図10は、制御装置8の基準範囲設定機能の一例を説明するための図である。
【0062】
本実施の形態においても、各エレベータ装置では、図4に示す動作が行われる。以下においては、一例としてA号機で学習運転が行われる例について説明する。学習運転制御部13Aは、開始条件が成立すると学習運転を開始する。学習運転制御部13Aは、かご4Aを移動させて、基準範囲を設定するために必要な学習データを取得する。学習運転が完了すると、学習運転で取得された学習データが記憶部9Aに記憶される。
【0063】
設定部14Aは、学習運転で取得された学習データに基づいて基準範囲を設定する。例えば、設定部14Aは、基準範囲を設定する際に、学習運転で取得された学習データのうち、隣接するB号機のかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置された時に取得された学習データを使用しない。図10は、H1及びH2に示すかご位置でかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置された例を示す。設定部14Aは、例えば、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置された時に取得された学習データを破棄する。設定部14Aは、学習データを破棄した部分を線形補完して、基準範囲を設定する。
【0064】
学習データを破棄した部分を補完する方法は、上記例に限定されない。例えば、学習運転を複数回実施することにより、破棄した部分の学習データを採取しても良い。設定部14Aは、以前に(例えば、前回)取得された学習データに基づいて、学習データを破棄した部分を補完しても良い。設定部14Aは、以前に取得された複数の学習データの平均値に基づいて、学習データを破棄した部分を補完しても良い。また、学習データを破棄した部分が保守員に分かるような表示を行い、保守員の手動による補完を可能にしても良い。
【0065】
図11は、制御装置8の基準範囲設定機能の他の例を説明するための図である。学習運転は、例えば、定格速度より遅い低速度と定格速度より遅く低速度より速い中速度とによって行われる。図11は、低速度で行われた学習運転においてH4に示すかご位置でかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置された例を示す。また、中速度で行われた学習運転においてH3に示すかご位置でかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置された例を示す。
【0066】
設定部14Aは、例えば、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置された時に取得された学習データを破棄する。設定部14Aは、低速度の学習運転で取得された学習データを、中速度の学習運転で取得された学習データに基づいて補完する。また、設定部14Aは、中速度の学習運転で取得された学習データを、低速度の学習運転で取得された学習データに基づいて補完する。
【0067】
上記構成のエレベータシステムであれば、診断運転で異常を検出するための基準範囲を適切に設定できる。
【0068】
なお、隣接する号機のかご4が停止していれば、学習運転中のかご4が受ける風圧を抑制することができる。このため、設定部14は、隣接する号機のかご4が移動中であることを条件に、学習データの使用の有無を判定しても良い。例えば、設定部14Aは、学習運転で取得された学習データのうち、移動中のかご4Bがかご4Aと同じ高さに配置された時に取得された学習データを使用せずに基準範囲を設定する。かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置された時に取得された学習データであっても、その時にかご4Bが停止中であれば、設定部14Aはその学習データを使用して基準範囲を設定する。
【0069】
本実施の形態において、学習運転を行っている号機に隣接する号機では、どのような運転が行われても良い。例えば、A号機で学習運転が行われている場合、運転制御部10Bは、かご4Bがかご4Aと同じ高さに極力配置されないことを条件に、利用者を目的階に運ぶための運転を制御する。例えば、運転制御部10Bは、登録された呼びの数が一定数以下の場合は、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置されないようにかご4Bの位置を制御する。運転制御部10Bは、登録された呼びの数が一定数を超えた場合のみ、かご4Bがかご4Aと同じ高さに配置され得る運転を行う。
【0070】
各実施の形態において、符号9〜14に示す各部は、制御装置8が有する機能を示す。図12は、制御装置8のハードウェア構成を示す図である。制御装置8は、ハードウェア資源として、例えば入出力インターフェース16とプロセッサ17とメモリ18とを含む回路を備える。記憶部9が有する機能はメモリ18によって実現される。また、制御装置8は、メモリ18に記憶されたプログラムをプロセッサ17によって実行することにより、各部10〜14が有する各機能を実現する。各部10〜14が有する各機能の一部又は全部をハードウェアによって実現しても良い。
【0071】
また、符号2及び3に示す各部は、群管理装置1が有する機能を示す。群管理装置1のハードウェア構成は、図12に示す構成と同様である。群管理装置1が有する機能の全部又は一部を制御装置8が有していても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 群管理装置
2 運転指令部
3 かご位置検出部
4 かご
5 つり合いおもり
6 主ロープ
7 駆動綱車
8 制御装置
9 記憶部
10 運転制御部
11 管制運転制御部
12 診断運転制御部
13 学習運転制御部
14 設定部
15 地震検出器
16 入出力インターフェース
17 プロセッサ
18 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13