特許第6202058号(P6202058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202058
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】バックドア
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/10 20060101AFI20170914BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20170914BHJP
   B60Q 1/44 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B60J5/10 Z
   B60Q1/34
   B60Q1/44
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-151965(P2015-151965)
(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公開番号】特開2017-30516(P2017-30516A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2016年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 誠
(72)【発明者】
【氏名】丸山 克也
(72)【発明者】
【氏名】大西 幸泰
(72)【発明者】
【氏名】寺井 英晃
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕介
(72)【発明者】
【氏名】坂上 元章
【審査官】 佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−070343(JP,U)
【文献】 実開平03−051633(JP,U)
【文献】 特開2006−027597(JP,A)
【文献】 特開2008−166023(JP,A)
【文献】 特開2010−055929(JP,A)
【文献】 特開2014−008876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/10
B60Q 1/34
B60Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方に設けられた開口部を開閉自在に閉塞し、前記開口部を閉塞した閉塞状態において、前記開口部の周縁に配置されたランプを後方から覆うバックドアであって、
前記ランプから後方に向けて出射される出射光を透過させる透過部を有するインナーパネルと、
前記透過部よりも大きく、後方側から間隔を空けて前記透過部に対向するとともに、前記透過部を透過した出射光を後方側に透光させる透光部と、
前記透過部と前記透光部との間に形成される空間内に配置され、光拡散性を有し、前記透過部を透過した出射光を広げつつ前記透光部に導入する導光体とを備えたバックドア。
【請求項2】
前記ランプは、第1光源および第2光源を含み、
前記導光体は、前記第1光源に対応して設けられる第1導光体および前記第2光源に対応して設けられる第2導光体を含む、請求項1に記載のバックドア。
【請求項3】
前記第1光源および前記第2光源は、車両の幅方向に並んで配置され、
前記第1導光体および前記第2導光体は、前記幅方向に並んで配置される、請求項2に記載のバックドア。
【請求項4】
前記第1光源および前記第2光源は、車両の上下方向に並んで配置され、
前記第1導光体および前記第2導光体は、前記上下方向に並んで配置される、請求項2に記載のバックドア。
【請求項5】
前記第1導光体および前記第2導光体は、拡散レンズであり、
前記第1光源から出射され、前記第1導光体によって拡散された出射光と、前記第2光源から出射され、前記第2導光体によって拡散された出射光とが混合することを防止する仕切部が、前記透過部と前記透光部との間に形成される前記空間内に設けられている、請求項3または4に記載のバックドア。
【請求項6】
後方側から前記インナーパネルに対向するアウターパネルをさらに備え、
前記透光部が前記アウターパネルの一部を構成する、請求項1から5のいずれか1項に記載のバックドア。
【請求項7】
後方側から前記インナーパネルに対向するアウターパネルをさらに備え、
前記アウターパネルは、前記透光部に対応するように設けられた凹部を有し、
前記凹部は、前記透光部に対向する孔部を有し、
前記透光部が、前記凹部を覆うように配置されている、請求項1から6のいずれか1項に記載のバックドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方に設けられた開口部を開閉自在に閉塞するバックドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後方に設けられた開口部を開閉するバックドアが開示された文献として、たとえば特開2010−228696号公報(特許文献1)が挙げられる。
【0003】
特許文献1に開示の車両においては、後方の開口部の周縁にリアランプが設けられており、バックドアは、開口部を閉じた状態において後方側からリアランプを覆う。バックドアは、リアランプに対向する位置に透過部が設けられたインナ部材と、透明な素材により形成されたアウタ部材とを備え、リアランプから後方に向けて出射された出射光は、透過部およびアウタ部材を透過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−228696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示のバックドアにおいては、透過部は、リヤランプの外形形状よりも小さく形成され、透過部を形成するインナ部材の透孔の周囲には、遮蔽部が設けられる。このため、リアランプから出射され、透過部を透過した出射光は、ほぼ後方正面に向けて出射されることとなり、出射領域が狭くなる。これにより、視認性が低くなることが懸念される。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、車体後方に設けられたリアランプを覆い、出射領域を拡大しつつ、リアランプからの出射光を透過できるバックドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づくバックドアは、車両の後方に設けられた開口部を開閉自在に閉塞し、上記開口部を閉塞した閉塞状態において、上記開口部の周縁に配置されたランプを後方から覆うバックドアであって、上記ランプから後方に向けて出射される出射光を透過させる透過部を有するインナーパネルと、上記透過部よりも大きく、後方側から間隔を空けて上記透過部に対向するとともに、上記透過部を透過した出射光を後方側に透光させる透光部と、上記透過部と上記透光部との間に形成される空間内に配置され、光拡散性を有し、上記透過部を透過した出射光を広げつつ上記透光部に導入する導光体とを備える。
【0008】
上記本発明に基づくバックドアにあっては、上記ランプは、第1光源および第2光源を含んでいてもよい。この場合には、上記導光体は、上記第1光源に対応して設けられる第1導光体および上記第2光源に対応して設けられる第2導光体を含むことが好ましい。
【0009】
上記本発明に基づくバックドアにあっては、上記第1光源および上記第2光源は、車両の幅方向に並んで配置されてもよい。この場合には、上記第1導光体および上記第2導光体は、上記幅方向に並んで配置されることが好ましい。
【0010】
上記本発明に基づくバックドアにあっては、上記第1光源および上記第2光源は、車両の上下方向に並んで配置されていてもよい。この場合には、上記第1導光体および上記第2導光体は、上記上下方向に並んで配置されることが好ましい。
【0011】
上記本発明に基づくバックドアにあっては、上記第1導光体および上記第2導光体は、拡散レンズであってもよい。この場合には、上記第1光源から出射され、上記第1導光体によって拡散された出射光と、上記第2光源から出射され、上記第2導光体によって拡散された出射光とが混合することを防止する仕切部が、上記透過部と上記透光部との間に形成される上記空間内に設けられていることが好ましい。
【0012】
上記本発明に基づくバックドアにあっては、後方側から上記インナーパネルに対向するアウターパネルをさらに備えることが好ましい。この場合には、上記透光部が上記アウターパネルの一部を構成していてもよい。
【0013】
上記本発明に基づくバックドアにあっては、後方側から上記インナーパネルに対向するアウターパネルをさらに備えることが好ましい。この場合には、上記アウターパネルは、上記透光部に対応するように設けられた凹部を有していてもよい。さらにこの場合には、上記凹部は、上記透光部に対向する孔部を有することが好ましく、上記透光部が、上記凹部を覆うように配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車体後方に設けられたリアランプを覆い、出射領域を拡大しつつ、リアランプからの出射光を透過できるバックドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係るバックドアが閉じた状態における車両の背面図である。
図2】実施の形態1に係るバックドアが開いた状態における車両の背面図である。
図3】実施の形態1に係るバックドアが閉じた状態におけるリアランプの横断面図である。
図4】実施の形態2に係るバックドアが閉じた状態におけるリアランプの横断面図である。
図5】実施の形態3に係るバックドアが閉じた状態におけるリアランプの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
(実施の形態1)
図1および図2は、本実施の形態に係るバックドアが閉じた状態およびバックドアが開いた状態における車両の背面図である。図3は、本実施の形態に係るバックドアが閉じた状態におけるリアランプの横断面図である。図1から図3を参照して、本実施の形態に係るバックドア20について説明する。
【0018】
図1および図2に示すように、車両1は、本実施の形態に係るバックドア20を備える。バックドア20は、車体10の後方に設けられた開口部11を開閉自在に閉塞する。バックドア20は、不図示のヒンジ機構によって、車両1の幅方向に平行な方向を回転軸として、回動可能に設けられている。バックドア20は、車体10の開口部11を閉塞した状態において、開口部11の周縁部12に配置されたランプ60を後方から覆う。
【0019】
ランプ60は、たとえば2つ設けられている。2つのランプ60は、開口部11を挟んで車両1の幅方向に並ぶように設けられている。各ランプ60は、リアコンビネーションランプであり、後述する第1光源としてのテールランプ/ストップランプ61(図3参照)および第2光源としてのターンランプ62(図3参照)、および透明板63(図3参照)を含む。
【0020】
テールランプ/ストップランプ61およびターンランプ62は、開口部11の周縁部12に設けられた収容部64(図3参照)内に収容されている。収容部64は、透明板63によって覆われている。透明板63は、テールランプ/ストップランプ61およびターンランプ62から出射される出射光を透過可能に設けられている。
【0021】
図3に示すように、バックドア20は、インナーパネル30、アウターパネル40、導光体としての導光板50およびハウジング35を備える。
【0022】
インナーパネル30は、バックドア20が開口部11を閉塞した状態において、車体10の開口部11および周縁部12を覆うように設けられている。インナーパネル30と車体10との間は、シール部材80によってシールされる。シール部材80は、ランプ60よりも車体10の幅方向の内側に設けられている。
【0023】
インナーパネル30は、ランプ60から後方に向けて出射される出射光を透過させる透過部33を有する。透過部33は、たとえば、インナーパネル30に設けられた開口部31および透明板32によって構成されている。
【0024】
開口部31は、ランプ60と対向する位置に設けられている。透明板32は、開口部31の周縁に固定されている。
【0025】
インナーパネル30は、たとえば、合成樹脂によって構成されている。合成樹脂としては、たとえばPP(ポリプロピレン)樹脂、ABS樹脂、PC(ポリカーボネイト樹脂)等を採用することができる。インナーパネル30は、上記合成樹脂を用いて射出成形等によって成形される。なお、インナーパネル30は、冷間圧延鋼板や高張力鋼板などの自動車用薄鋼板をプレス成形して形成されてもよい。
【0026】
アウターパネル40は、後方側からインナーパネル30を覆う。アウターパネル40は、透光部41を有する。透光部41は、ランプ60から出射された出射光を後方へ向けて出射させる領域である。すなわち、透光部41は、出射領域を規定する。透光部41は、インナーパネル30の透過部33を透過した出射光を後方側に透光させる。透光部41は、透過部33よりも大きく、後方側から間隔をあけて透過部33に対向する。
【0027】
アウターパネル40は、たとえば、透明樹脂によって構成されている。すなわち、アウターパネル40は、全体的に透明に構成される。透明樹脂としては、PC等を採用することができる。透光部41は、アウターパネル40の一部を構成する。
【0028】
なお、アウターパネル40は、ランプ60の後方に位置する透光部41および、リアウインドウに対応する部分を透明に構成し、その他の部分を非透明に構成してもよい。この場合には、2色成形等によってアウターパネル40が成形される。
【0029】
なお、アウターパネル40は、冷間圧延鋼板や高張力鋼板などの自動車用薄鋼板をプレス成形して形成されてもよい。この場合には、透光部41となる部分およびリアウインドウに対応する部分に開口部を設け、当該開口部に、アウターレンズ等の透明部材および透明ガラスを取付けることが好ましい。
【0030】
導光板50は、透過部33と透光部41との間に形成される空間S内に配置される。具体的には、上記空間S内に配置されたハウジング35とアウターパネル40との間に配置される。
【0031】
ハウジング35は、後方側が開口した形状を有する。ハウジング35は、前端部35a、後端部35bおよび側壁部35cを有する。ハウジング35の後端部35bは、アウターパネル40の内表面に固定されている。ハウジング35の側壁部35cの一部は、インナーパネル30の後方側に固定されている。ハウジング35の前端部35aは、透過孔36を有する。
【0032】
透過孔36は、インナーパネル30の開口部31に対向するように設けられている。透過孔36は、インナーパネル30の開口部31を透過するランプ60からの出射光を透過させる。透過孔36の周縁部には、後方側に向けて光を出射する補助灯65,66が設けられている。補助灯65,66は、透過孔36を挟んで車両1の幅方向に並んで設けられている。
【0033】
補助灯65は、後述する第1導光板51の前端面51aに対向するように設けられている。補助灯65は、後方側に向けて窪むように前端面51aに設けられた切欠き部51c内に入り込む。
【0034】
補助灯65は、テールランプ/ストップランプ61の照度を補完するために用いられてもよいし、テールランプ/ストップランプ61が点灯しなくなった非常時等に用いられてもよい。
【0035】
補助灯66は、後述する第2導光板52の前端面52aに対向するように設けられている。補助灯66は、後方側に向けて窪むように前端面52aに設けられた切欠き部52c内に入り込む。
【0036】
補助灯66は、ターンランプ62の照度を補完するために用いられてもよいし、ターンランプ62が点灯しなくなった非常時等に用いられてもよい。
【0037】
導光板50は、透過部33を透過した出射光を広げつつ、これを透光部41に導入する。導光板50は、たとえば2つ設けられている。導光板50は、第1導光体としての第1導光板51と、第2導光体としての第2導光板52とを含む。
【0038】
第1導光板51は、第1光源としてのテールランプ/ストップランプ61に対応して設けられている。第1導光板51は、前端面51aおよび後端面51bを有する。第1導光板51は、前端面51aから後端面51b側に向かうにつれて、車両1の幅方向に平行な幅が大きくなるように設けられている。
【0039】
第1導光板51の前端面51aから入射したテールランプ/ストップランプ61からの出射光は、第1導光板51内で拡散されながら、第1導光板51の後端面51bから出射される。これにより、第1導光板51は、テールランプ/ストップランプ61から出射され、透過部33を透過した出射光を、車両1の幅方向に平行な方向に広げつつ、後端面51bに対向する部分の透光部41に導入する。
【0040】
第2導光板52は、第2光源としてのターンランプ62に対応して設けられている。第2導光板52は、前端面52aおよび後端面52bを有する。第2導光板52は、前端面52aから後端面52b側に向かうにつれて、車両1の幅方向に平行な幅が大きくなるように設けられている。
【0041】
第2導光板52の前端面52aから入射したターンランプ62からの出射光は、第2導光板52内で拡散されながら、第2導光板52の後端面52bから出射される。これにより、第2導光板52は、ターンランプ62から出射され、透過部33を透過した出射光を、車両1の幅方向に平行な方向に広げつつ、後端面52bに対向する部分の透光部41に導入する。
【0042】
以上のように構成されることにより、テールランプ/ストップランプ61から出射された出射光は、透明板63を透過して、インナーパネル30に設けられた透過部33を透過する。透過部33を透過したテールランプ/ストップランプ61の出射光は、第1導光板51の前端面51aに入射する。第1導光板51の前端面51aに入射した出射光は、第1導光板51内で拡散されながら、第1導光板51の後端面51bから出射され、後端面51bに対向する部分の透光部41に導入される。
【0043】
補助灯65が点灯されている場合には、補助灯65から出射された出射光は、第1導光板51の前端面51aに入射する。第1導光板51の前端面51aに入射した補助灯65からの出射光は、第1導光板51内で拡散されながら、第1導光板51の後端面51bから出射され、後端面51bに対向する部分の透光部41に導入される。
【0044】
また、ターンランプ62から出射された出射光は、透明板63を透過して、インナーパネル30に設けられた透過部33を透過する。透過部33を透過したターンランプ62の出射光は、第2導光板52の前端面52aに入射する。第2導光板52の前端面52aに入射した出射光は、第2導光板52内で拡散されながら、第2導光板52の後端面52bから出射され、後端面52bに対向する部分の透光部41に導入される。
【0045】
補助灯66が点灯されている場合には、補助灯66から出射された出射光は、第2導光板52の前端面52aに入射する。第2導光板52の前端面52aに入射した補助灯66からの出射光は、第2導光板52内で拡散されながら、第2導光板52の後端面52bから出射され、後端面52bに対向する部分の透光部41に導入される。
【0046】
このように、本実施の形態に係るバックドア20にあっては、車両1の後方に設けられたランプ60から出射される出射光を透過させる透過部33をインナーパネル30に設けるとともに、後方側から透過部33に対向し、透過部33を透過した出射光を後方に透光させる透光部41をアウターパネル40に設けることにより、ランプ60からの出射光を後方へ透過させることができる。
【0047】
さらに、透光部41の大きさを、透過部33よりも大きくし、透過部33を透過した出射光を広げつつ透光部41に導入する導光体としての導光板50を設けることにより、ランプ60からの出射光の出射領域を大きくすることができる。
【0048】
また、透光部41の大きさを適宜設定するとともに、導光板50の形状を適宜設定することにより、出射領域を調整することができる。これにより、視認性を向上させることができる。さらには、所望の領域を点灯させることができ、デザイン性を向上させることができる。
【0049】
(実施の形態2)
図4は、本実施の形態に係るバックドアが閉じた状態におけるリアランプの横断面図である。図4を参照して、本実施の形態に係るバックドア20Aについて説明する。
【0050】
図4に示すように、バックドア20Aは、実施の形態1に係るバックドア20と比較した場合に、ハウジング35および補助灯65,66が省略されている点、導光板50に代えて導光体として拡散レンズ50Aが用いられている点、および仕切部42が設けられている点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0051】
拡散レンズ50Aは、透過部33を透過した出射光を広げつつ、これを透光部41に導入する。拡散レンズ50Aは、たとえば2つ設けられている。拡散レンズ50Aは、第1導光体としての第1拡散レンズ51Aと、第2導光体としての第2拡散レンズ52Aとを含む。
【0052】
第1拡散レンズ51Aは、第1光源としてのテールランプ/ストップランプ61に対応して設けられている。第1拡散レンズ51Aは、テールランプ/ストップランプ61の出射領域を拡大する。これにより、第1拡散レンズ51Aは、テールランプ/ストップランプ61から出射され、透過部33を透過した出射光を、車両1の幅方向および車両1の上下方向に広げつつ、透光部41に導入する。
【0053】
第2拡散レンズ52Aは、第2光源としてのターンランプ62に対応して設けられている。第2拡散レンズ52Aは、ターンランプ62の出射領域を拡大する。これにより、第2拡散レンズ52Aは、ターンランプ62から出射され、透過部33を透過した出射光を、車両1の幅方向および車両の1の上下方向に広げつつ、透光部41に導入する。
【0054】
仕切部42は、テールランプ/ストップランプ61から出射され、第1拡散レンズ51Aによって拡散された出射光と、ターンランプ62から出射され、第2拡散レンズ52Aによって拡散された出射光とが混合することを防止する。
【0055】
仕切部42は、透過部33と透光部41との間に形成される空間S内に設けられている。仕切部42は、車両1の前後方向と平行な方向に延在する。仕切部42は、上記前後方向から見た場合に、第1拡散レンズ51Aと第2拡散レンズ52Aとの間に設けられている。
【0056】
仕切部42の後端は、アウターパネル40の内表面に固定されている。仕切部42は、たとえば遮光性を有する樹脂部材によって構成されている。なお、後述するように仕切部42が反射膜で覆われたりすることによって出射光を反射可能に設けられている場合には、仕切部42は、遮光性を有していなくてもよい。
【0057】
仕切部42は、2色成形等によってアウターパネル40と一体に成形されていてもよいし、アウターパネル40と別体に構成されていてもよい。アウターパネル40と別体で構成される場合には、仕切部42は、金属板等によって構成されていてもよい。
【0058】
仕切部42が出射光を反射可能に設けられている場合には、第1拡散レンズ51Aによって拡散されたテールランプ/ストップランプ61からの出射光の一部および第2拡散レンズ52Aによって拡散されたターンランプ62からの出射光の一部を透光部41側に向けて反射させることができる。これにより出射光の取り出し効率を向上させることができる。
【0059】
以上のように構成されることにより、テールランプ/ストップランプ61から出射された出射光は、透明板63を透過して、インナーパネル30に設けられた透過部33を透過する。透過部33を透過したテールランプ/ストップランプ61の出射光は、第1拡散レンズ51Aによって拡散され、その出射領域を拡大されて透光部41に導入される。
【0060】
ターンランプ62から出射された出射光は、透明板63を透過して、インナーパネル30に設けられた透過部33を透過する。透過部33を透過したターンランプ62の出射光は、第2拡散レンズ52Aによって拡散され、その出射領域を拡大されて透光部41に導入される。
【0061】
このように、本実施の形態に係るバックドア20Aにあっても、車両1の後方に設けられたランプ60から出射される出射光を透過させる透過部33をインナーパネル30に設けるとともに、後方側から透過部33に対向し、透過部33を透過した出射光を後方に透光させる透光部41をアウターパネル40に設けることにより、ランプ60からの出射光を後方へ透過させることができる。
【0062】
さらに、透光部41の大きさを、透過部33よりも大きくし、透過部33を透過した出射光を広げつつ透光部41に導入する導光体としての拡散レンズ50Aを設けることにより、ランプ60からの出射する出射光の出射領域を大きくすることができる。
【0063】
また、仕切部42を設けて第1拡散レンズ51Aによって拡散されたテールランプ/ストップランプ61からの出射光と、第2拡散レンズ52Aによって拡散されたターンランプ62からの出射光とが混合しないようにすることにより、ランプの機能に応じた所望の色を有する出射光を出射することができる。
【0064】
(実施の形態3)
図5は、本実施の形態に係るバックドアが閉じた状態におけるリアランプの縦断面図である。図5を参照して、本実施の形態に係るバックドア20Bについて説明する。
【0065】
図5に示すように、バックドア20Bは、実施の形態2に係るバックドア20Aと比較した場合に、テールランプ/ストップランプ61およびターンランプ62が車両1の上下方向に並んで配置されている点、透光部70の構成が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
【0066】
アウターパネル40は、前方側に向けて凹むように設けられた凹部44を有する。凹部44は、ランプ60に対応するように設けられている。凹部44は、ランプ60の後方側に設けられている。凹部44は、アウターレンズ71によって覆われる。凹部44内には、アウターレンズ71を支持する支持部材73が収容されている。
【0067】
凹部44は、インナーパネル30の開口部31に対向する孔部43が設けられている。孔部43は、開口部31と略同等の大きさを有する。孔部43の前方には、透明板32が設けられている。透明板32は、開口部31の周縁に位置するインナーパネル30の背面と凹部44の前面側とによって挟まれている。孔部43は、透過部33を透過する出射光を通過させる。
【0068】
透光部70は、アウターレンズ71によって構成されている。アウターレンズ71は、凹部44を覆うように設けられている。アウターレンズ71は、透過部33を透過した出射光を後方側に透光させる。アウターレンズ71は、透過部33よりも大きく、後方側から間隔をあけて透過部33に対向する。
【0069】
アウターレンズ71は、アクリル樹脂やポリカーボネート等の透光性樹脂材料により成形される。アウターレンズ71は、支持部材73に支持されている。
【0070】
支持部材73は、たとえば筒状形状を有する。支持部材73の前端は、凹部44の前端部に固定されている。支持部材73の後端は、アウターレンズ71に固定されている。支持部材73に囲まれる領域内は、透過部33を透過した出射光が通過する。また、支持部材73に囲まれる領域内には、第1拡散レンズ51Aおよび第2拡散レンズ52Aが配置されている。
【0071】
第1拡散レンズ51Aおよび第2拡散レンズ52Aは、テールランプ/ストップランプ61およびターンランプ62に対応して設けられている。第1拡散レンズ51Aおよび第2拡散レンズ52Aは、車両1の上下方向に並んで配置されている。第1拡散レンズ51Aおよび第2拡散レンズ52Aは、透過部33とアウターレンズ71との間に形成される空間S内に配置されている。
【0072】
第1拡散レンズ51Aおよび第2拡散レンズ52Aは、テールランプ/ストップランプ61の出射領域およびターンランプ62の出射領域を拡大する。
【0073】
仕切部42Bは、テールランプ/ストップランプ61から出射され、第1拡散レンズ51Aによって拡散された出射光と、ターンランプ62から出射され、第2拡散レンズ52Aによって拡散された出射光とが混合することを防止する。
【0074】
仕切部42Bは、アウターレンズ71の内表面71aの一部から前方側に向けて延在するように設けられている。仕切部42Bは、2色成形等によってアウターレンズ71と一体に成形されていてもよいし、アウターレンズ71と別体に構成されていてもよい。
【0075】
以上のように構成されることにより、テールランプ/ストップランプ61から出射された出射光は、透明板63および透過部33を透過する。透過部33を透過したテールランプ/ストップランプ61の出射光は、第1拡散レンズ51Aによって拡散され、その出射領域を拡大されてアウターレンズ71に導入される。
【0076】
ターンランプ62から出射された出射光は、透明板63および透過部33を透過する。透過部33を透過したターンランプ62の出射光は、第2拡散レンズ52Aによって拡散され、その出射領域を拡大されてアウターレンズ71に導入される。
【0077】
このように、本実施の形態に係るバックドア20Bにあっても、車両1の後方に設けられたランプ60から出射される出射光を透過させる透過部33をインナーパネル30に設けるとともに、後方側から透過部33に対向し、透過部33を透過した出射光を後方に透光させるアウターレンズ71を設けることにより、ランプ60からの出射光を後方へ透過させることができる。
【0078】
さらに、アウターレンズ71の大きさを、透過部33よりも大きくし、透過部33を透過した出射光を広げつつアウターレンズ71に導入する導光体としての拡散レンズ50Aを設けることにより、ランプ60から出射する出射光の出射領域を大きくすることができる。
【0079】
また、仕切部42Bを設けることにより、実施の形態2同様に、ランプの機能に応じた所望の色を有する出射光を出射することができる。
【0080】
上述した実施の形態1から3においては、透過部33が、インナーパネル30に設けられた開口部31および透明板32によって構成されている場合を例示して説明したが、これに限定されず、開口部31のみによって構成されていてもよい。
【0081】
上述した実施の形態1においては、テールランプ/ストップランプ61およびターンランプ62が車両の幅方向に並び、これに対応して、第1導光板51および第2導光板52が車両の幅方向に並ぶ場合を例示して説明したが、これに限定されず、テールランプ/ストップランプ61およびターンランプ62が車両の上下方向に並び、これに対応して、第1導光板51および第2導光板52が車両の上下方向に並んでいてもよい。
【0082】
上述した実施の形態1においては、補助灯65,66が設けられている場合を例示して説明したが、これに限定されず、省略してもよい。
【0083】
上述した実施の形態2,3においては、実施の形態1に係る補助灯65,66が設けられていない場合を例示して説明したが、これに限定されず、これらテールランプ/ストップランプ用補助灯およびターンランプ用補助灯が設けられていてもよい。
【0084】
この場合には、テールランプ/ストップランプ用補助灯は、当該補助灯からの光が第1拡散レンズに導入されて透光部から出射されるように設けられ、ターンランプ用補助灯は、当該補助灯からの光が第2拡散レンズに導入されて透光部から出射されるように設けられる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 車両、10 車体、11 開口部、12 周縁部、20,20A,20B バックドア、30 インナーパネル、31 開口部、32 透明板、33 透過部、35 ハウジング、35a 前端部、35b 後端部、35c 側壁部、36 透過孔、40 アウターパネル、41 透光部、42,42B 仕切部、43 孔部、44 凹部、50 導光板、51 第1導光板、52 第2導光板、51a,52a 前端面、51b,52b 後端面、50A 拡散レンズ、51A 第1拡散レンズ、52A 第2拡散レンズ、60 ランプ、61 テールランプ/ストップランプ、62 ターンランプ、63 透明板、64 収容部、65,66 補助灯、70 透光部、71 アウターレンズ、71a 内表面、73 支持部材、80 シール部材。
図1
図2
図3
図4
図5