(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるようなクレーンでは、ジブの先端部にも補助シーブブロックを接続したい場合がある。この場合、部品点数の削減のために、ブームの先端部とジブの先端部との双方に対して共通の補助シーブブロックを接続可能であることが望ましい。
【0007】
しかしながら、ジブの先端部は、ブームの先端部よりも高くに位置し、さらに、ジブの先端部の構造はブームのそれとは異なるので、ブーム及びジブに対して単純に共通の補助シーブブロックをそのまま接続することは好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、ブームの先端部及びジブの先端部に対して共通の補助シーブブロックを択一的にかつ好適な状態で接続可能なクレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、補助シーブブロックがジブに接続される場合には、ジブポイントシーブ及び補助シーブ間の距離の確保が必要であるという制約がある一方、補助シーブブロックがブームに接続される場合には、前記制約が少ないため、ブームの先端部に形成された支持部に作用するモーメント(負荷)が低減されるように補助シーブを配置することが可能であることを見出した。具体的に、ブームに加えてジブを使用し、かつ、そのジブの先端部に補助シーブブロックが接続される場合には、ジブの先端部がブームの先端部よりも高くに位置することから、ブームの先端部に補助シーブブロックが接続される場合に比べて、主フック(ジブポイントシーブにかけ回されるロープに吊り下げられるフック)及び補フック(補助シーブにかけ回されるロープに吊り下げられるフック)の揺れが大きくなる。このため、ジブに補助シーブブロックが接続される場合には、ジブポイントシーブの中心と補助シーブの中心とのジブ側中心間距離が大きく確保されることが求められる。一方、ブームに補助シーブブロックが接続される場合には、主フック及び補フックの揺れがジブに補助シーブブロックが接続される場合のそれよりも小さいので、ブームポイントシーブの中心と補助シーブの中心とのブーム側中心間距離を前記ジブ側中心距離よりも小さくできる分、ブームの支持部に作用するモーメントを低減するように、すなわち、ブームの中心軸に対して直交する方向についての補助シーブの中心の支持部からの偏倚量を低減するように補助シーブの配置を設定することが可能となる。
【0010】
そして、前記ジブ側中心間距離の確保は、ジブの中心軸と、ジブ側の支持部及び補助シーブの中心を結ぶ直線と、のなす角を大きくすることで達成可能であり、また、前記偏倚量(ブームの中心軸に対して直交する方向についてのブーム側の支持部と補助シーブの中心との距離)の低減は、ブームの中心軸と、ブーム側の支持部及び補助シーブの中心を結ぶ直線と、のなす角を小さくすることで達成可能であることに想到した。
【0011】
本発明は、このような観点からなされたものであり、クレーン本体と、前記クレーン本体に接続されたブームと、前記ブームの先端部に取り付けられたブームポイントシーブと、前記ブームの先端部に接続可能なジブと、前記ジブの先端部に取り付けられたジブポイントシーブと、前記ブームの先端部及び前記ジブの先端部に対して着脱自在に接続可能な補助シーブブロックと、を備え、前記ブームは、前記クレーン本体に対して起伏可能となるように当該クレーン本体に接続されたブーム本体と、前記ブーム本体の先端部に設けられており、前記補助シーブブロックを支持するブーム側支持部と、を有し、前記ジブは、前記ブーム本体に対して回動可能となるように当該ブーム本体の先端部に対して着脱自在に接続可能なジブ本体と、前記ジブ本体の先端部に設けられており、前記補助シーブブロックを支持するジブ側支持部と、を有し、前記補助シーブブロックは、補助シーブと、前記補助シーブを回転可能に保持するとともに前記ブーム側支持部及び前記ジブ側支持部に対して択一的に接続可能な被支持部を含む補助シーブ保持体と、前記被支持部と、前記ブーム側支持部及び前記ジブ側支持部のうちのいずれか一方の支持部と、の間に介在可能な介在部材を有し、前記介在部材は、前記被支持部が前記ジブ側支持部に接続された状態の前記ジブ側支持部及び前記補助シーブの中心を結ぶ直線と前記ジブの中心軸とのなす角である非介在ジブ側角度から、前記被支持部が前記ブーム側支持部に接続された状態の前記ブーム側支持部及び前記補助シーブの中心を結ぶ直線と前記ブームの中心軸とのなす角である非介在ブーム側角度を引いた非介在角度差よりも、当該介在部材を介して前記被支持部と前記一方の支持部とが接続された状態の前記ジブ側支持部及び補助シーブの中心を結ぶ直線と前記ジブの中心軸とのなす角である介在ジブ側角度から、当該介在部材を介して前記被支持部と前記一方の支持部とが接続された状態の前記ブーム側支持部及び前記補助シーブの中心とを結ぶ直線と前記ブームの中心軸とのなす角である介在ブーム側角度を引いた介在角度差を大きくするように、前記被支持部と前記一方側の支持部との間に介在した状態で前記被支持部及び前記一方側の支持部に連結可能である、クレーンを提供する。
【0012】
本クレーンでは、補助シーブブロックが、非介在角度差よりも介在角度差を大きくするように被支持部と一方側の支持部との間に介在する介在部材を有するので、ジブに補助シーブが取り付けられる場合におけるジブポイントシーブ及び補助シーブ間の距離の確保と、ブームに補助シーブが取り付けられる場合におけるブーム側支持部に作用するモーメント(ブームの中心軸に対して直交する方向についての補助シーブの中心のブーム側支持部からの偏倚量)の低減と、を両立することができる。
【0013】
例えば、介在部材が、介在ジブ側角度を非介在ジブ側角度よりも大きくすることにより非介在角度差よりも介在角度差を大きくする場合は、ジブに補助シーブが取り付けられる際に介在部材を介して被支持部とジブ側支持部とが接続されることにより、ジブポイントシーブ及び補助シーブ間の距離が確保され、一方、ブームに補助シーブが取り付けられる際に介在部材を介さずに被支持部が直接ブーム側支持部に接続されることにより、前記偏倚量が低減される。
【0014】
ここで、ジブに補助シーブブロックが接続された状態におけるジブポイントシーブ及び補助シーブ間の距離の確保は、例えば、ジブの中心軸と、ジブ側支持部及び補助シーブの中心とを結ぶ直線と、のなす角が大きくなるようにジブ側支持部を延長することによっても達成されるが、このようにすると、ジブ側支持部の重量が大きくなるので、ジブに補助シーブブロックが接続されない状態においてもその分だけジブ全体の重量が大きくなる。同様に、ブームに補助シーブブロックが接続された状態における前記偏倚量(ブームの中心軸に対して直交する方向についてのブーム側支持部と補助シーブの中心との距離)の低減は、ブームの中心軸と、ブーム側支持部及び補助シーブの中心とを結ぶ直線と、のなす角が小さくなるようにブーム側支持部を延長することによっても達成されるが、このようにすると、ブーム側支持部の重量が大きくなるので、ブームに補助シーブブロックが接続されない状態においてもその分だけブーム全体の重量が大きくなる。これに対し、本クレーンは、非介在角度差よりも介在角度差を大きくするように被支持部と一方側の支持部との間に介在する介在部材を有しているので、ジブ側支持部及びブーム側支持部を長くすることなく、つまり、各支持部の重量増を回避しながら上記の効果を得ることができる。
【0015】
具体的に、前記一方の支持部は、前記ジブ側支持部であり、前記介在部材は、前記非介在ジブ側角度よりも前記介在ジブ側角度を大きくするように、前記被支持部と前記ジブ側支持部との間に介在した状態で前記被支持部及び前記ジブ側支持部に連結可能であることが好ましい。
【0016】
この場合において、前記ブーム側支持部は、ブーム腹側支持部と、前記ブーム本体の先端部のうち当該ブーム本体の使用時の姿勢において前記ブーム腹側支持部よりも地面から遠くに位置する部位に設けられたブーム背側支持部と、を有し、前記ジブ側支持部は、ジブ腹側支持部と、前記ジブ本体の先端部のうち当該ジブ本体の使用時の姿勢において前記ジブ腹側支持部よりも地面から遠くに位置する部位に設けられたジブ背側支持部と、を有し、前記被支持部は、前記ブーム腹側支持部及び前記ジブ腹側支持部に対して着脱自在に接続可能な腹側被支持部と、前記ブーム背側支持部に対して着脱自在に接続可能な背側被支持部と、を有し、前記補助シーブ保持体は、前記腹側被支持部を含む腹側保持部と、前記背側被支持部を含む背側保持部と、を有し、前記介在部材は、前記背側被支持部及び前記ジブ背側支持部に対して着脱自在に接続可能で、かつ、前記背側被支持部が前記ジブ背側支持部に接続された状態における当該ジブ背側支持部と前記補助シーブの中心との距離に比べて、当該介在部材を介して前記背側被支持部が前記ジブ背側支持部に接続された状態における当該ジブ背側支持部と前記補助シーブの中心との距離を大きくする形状を有することが好ましい。
【0017】
この態様では、ジブに補助シーブが取り付けられる場合には、腹側被支持部がジブ腹側支持部に接続されるとともに介在部材を介して背側被支持部がジブ背側支持部に接続され、ブームに補助シーブが取り付けられる場合には、腹側被支持部がブーム腹側支持部に接続されるとともに背側被支持部が直接ブーム背側支持部に接続される。これにより、ブーム及びジブに対する共通の補助シーブの択一的な取り付けが可能となり、かつ、ジブポイントシーブ及び補助シーブ間の距離の確保とブーム側支持部に作用するモーメントの低減との双方が達成される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、ブームの先端部及びジブの先端部に対して共通の補助シーブブロックを択一的にかつ好適な状態で接続可能なクレーンを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態のクレーン10について、
図1〜
図5を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本実施形態のクレーン10の全体構成を示す。このクレーン10は、クレーン本体に相当する旋回体12と、この旋回体12を旋回可能に支持する走行体11と、ブーム14と、ブームポイントシーブ59と、ジブ17と、ジブポイントシーブ56と、補助シーブブロック70と、を備えている。前記旋回体12の後部にはカウンタウエイト13が積載される。本実施形態のクレーン10では、補助シーブブロック70をブーム14の先端部及びジブ17の先端部に対して択一的に接続することが可能である。この点については後述する。なお、
図1では、補助シーブブロック70がジブ17の先端部に接続された状態が示されている。
【0022】
図1に示されるブーム14は、いわゆるラチス型のブーム本体15を有している。このブーム本体15は、基端側部材15Aと、一または複数(図例では2個)の中間部材15B,15Cと、先端側部材15Dとで構成される。具体的に、前記基端側部材15Aは、前記旋回体12の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。前記中間部材15B,15Cは、その順に前記基端側部材15Aの先端側に着脱可能に継ぎ足される。前記先端側部材15Dは前記中間部材15Cの先端側に着脱可能に継ぎ足され、この先端側部材15Dの先端部に、後述のように前記ジブ17を回動させるためのリヤストラット21及びフロントストラット22が回動可能に連結される。
【0023】
ただし、本発明ではブームの具体的な構造は限定されない。例えば、当該ブームは、中間部材を有していなくてもよいし、1又は3以上の中間部材を有していてもよい。
【0024】
前記ジブ17も、その具体的な構造は限定されないが、図例ではラチス型の構造を有する。そして、このジブ17の基端部は、前記先端側部材15Dの先端部に回動可能に連結されており、前記ジブ17の回動中心軸は、前記旋回体12に対する前記ブーム本体15の回動中心軸と平行な横軸になっている。
【0025】
旋回体12には、基端及び回動端を有するマスト20が設けられている。具体的に、マスト20の基端が旋回体12に回動可能に連結される。この回動軸は、前記ブーム本体15の回動軸と平行でかつ当該ブーム本体15の回動軸のすぐ後方に位置している。すなわち、このマスト20は前記ブーム本体15の起伏方向と同方向に回動可能である。一方、このマスト20の回動端は左右一対のブーム用ガイライン24を介して前記ブーム本体15の先端に連結される。この連結は、前記マスト20の回動と前記ブーム本体15の回動とを連携させる。
【0026】
前記旋回体12上には左右一対のバックストップ23が設けられる。これらのバックストップ23は、前記ブーム本体15が
図1に示される起立姿勢まで到達した時点で当該ブーム本体15の基端側部材15Aの左右両側部に当接し、この当接によって、前記ブーム本体15が強風等で後方に煽られるのを規制する。
【0027】
前記リヤストラット21は、前記先端側部材15Dの先端からブーム起立側(
図1では左側)に張り出す姿勢で保持される。この姿勢を保持する手段として、当該リヤストラット21と前記ブーム本体15との間に左右一対のバックストップ25及び左右一対のストラットガイライン26が介在する。前記バックストップ25は、前記先端側部材15Dと前記リヤストラット21の中間部位との間に介在し、前記リヤストラット21を下から支える。前記ガイライン26は前記リヤストラット21の先端部と前記基端側部材15Aとを結ぶように張設され、その張力によって前記リヤストラット21の位置を規制する。
【0028】
前記フロントストラット22は、前記ジブ17と連動して回動するようにこのジブ17と連結される。詳しくは、このフロントストラット22の先端部と前記ジブ17の先端部とを結ぶように左右一対のジブガイライン28が張設される。従って、このフロントストラット22の回動駆動によって前記ジブ17も回動駆動される。
【0029】
このクレーン10には、各種ウインチが搭載される。具体的には、前記ブーム本体15を起伏させるためのブーム起伏用ウインチ30と、前記ジブ17を起伏方向に回動させるためのジブ起伏用ウインチ32と、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ34及び補巻用ウインチ36とが搭載される。この実施の形態に係るクレーン10では、前記ブーム起伏用ウインチ30が前記マスト20の基端近傍部位に据え付けられる。また、前記ジブ起伏用ウインチ32、前記主巻用ウインチ34及び前記補巻用ウインチ36は、いずれも前記ブーム本体15における基端側部材15Aに据え付けられる。これらのウインチ30,32,34,36は、前記旋回体12に搭載されていてもよい。
【0030】
前記ブーム起伏用ウインチ30は、ブーム起伏用ロープ38の巻取り及び繰出しを行う。そして、この巻取り及び繰出しにより前記マスト20が回動するように前記ブーム起伏用ロープ38が配索される。具体的に、前記マスト20の回動端部及び前記旋回体12の後端部にはそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック40,42が設けられ、前記ブーム起伏用ウインチ30から引き出された前記ブーム起伏用ロープ38が前記シーブブロック40,42間に掛け渡される。従って、前記ブーム起伏用ウインチ30が前記ブーム起伏用ロープ38の巻取りや繰出しを行うことにより、前記両シーブブロック40,42間の距離が変化し、これによって前記マスト20さらにはこれと連動する前記ブーム本体15が起伏方向に回動する。
【0031】
前記ジブ起伏用ウインチ32は、ジブ起伏用ロープ44の巻取り及び繰出しを行う。そして、この巻取りや繰出しによって前記フロントストラット22が回動するように前記ジブ起伏用ロープ44が配索される。具体的には、前記リヤストラット21の長手方向中間部にはガイドシーブ46が設けられるとともに、このリヤストラット21の回動端部及び前記フロントストラット22の回動端部にそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック47,48が設けられ、前記ジブ起伏用ウインチ32から引き出された前記ジブ起伏用ロープ44が前記ガイドシーブ46に掛けられ、かつ、前記シーブブロック47,48間に掛け渡される。従って、前記ジブ起伏用ウインチ32による前記ジブ起伏用ロープ44の巻取りや繰出しは、前記両シーブブロック47,48間の距離を変え、前記
フロントストラット22さらにはこれと連動する前記ジブ17を起伏方向に回動させる。
【0032】
前記主巻用ウインチ34は、主巻ロープ50による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この主巻について、前記リヤストラット21の基端近傍部位、前記フロントストラット22の基端近傍部位及び前記ジブ17の先端部には、それぞれ主巻用ガイドシーブ52,53,54が回転可能に設けられている。さらに、前記主巻用ガイドシーブ54に隣接する位置(ジブ本体18の先端部)には、ジブポイントシーブ56が設けられている。前記主巻用ウインチ34から引き出された前記主巻ロープ50は、前記主巻用ガイドシーブ52,53,54に順に掛けられ、かつ、ジブポイントシーブ56と、吊荷用の主フック57に設けられたフックシーブ58と、の間に掛け渡される。従って、前記主巻用ウインチ34が前記主巻ロープ50の巻取りや繰出しを行うと、前記両シーブ56,58間の距離が変わって前記主フック57の巻上げ及び巻下げが行われる。
【0033】
同様にして、前記補巻用ウインチ36は、補巻ロープ60による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この補巻については、前記主巻用ガイドシーブ52,53,54とそれぞれ同軸に補巻用ガイドシーブ62,63,64が回転可能に設けられている。前記補巻用ガイドシーブ64に隣接する位置(ジブ本体18の先端部)には、補助シーブ72が回転可能に設けられている。補助シーブ72は、補巻ロープ60をかけ回すためのシーブである。すなわち、前記補巻用ウインチ36から引き出された前記補巻ロープ60は、前記補巻用ガイドシーブ62,63,64に順に掛けられ、かつ、補助シーブ72から垂下される。従って、前記補巻用ウインチ36が前記補巻ロープ60の巻取りや繰出しを行うと、前記補巻ロープ60の末端に連結された図略の吊荷用の補フックが巻上げられ、または巻下げられる。
【0034】
次に、
図2〜
図5を参照しながら、補助シーブブロック70について詳細に説明する。補助シーブブロック70は、ブーム14の先端部及びジブ17の先端部に対して着脱自在に接続可能である。具体的に、ブーム14の先端部(先端側部材15Dの先端部)には、補助シーブブロック70を支持するブーム側支持部16(
図2を参照)が形成されており、ジブ17の先端部(ジブ本体18の先端部)には、補助シーブブロック70を支持するジブ側支持部19(
図4を参照)が形成されている。そして、補助シーブブロック70は、ブーム側支持部16及びジブ側支持部19に対して択一的に接続されることが可能な被支持部78A,80Bを有している。
図2は、ブーム側支持部16に補助シーブブロック70の被支持部78A,80Bが接続された状態を示している。
図4は、ジブ側支持部19に補助シーブブロック70の被支持部78A,80Bが接続された状態を示している。補助シーブブロック70がブーム側支持部16に接続される場合、ブーム14の先端部に取り付けられたブームポイントシーブ59に主巻ロープ50が掛けられ、ブーム14の先端部に取り付けられた補助シーブ72に補巻ロープ60が掛けられる。また、補助シーブブロック70がジブ側支持部19に接続される場合、上述のとおり、ジブ17の先端部に取り付けられたジブポイントシーブ56に主巻ロープ50が掛けられ、ジブ17の先端部に取り付けられた補助シーブ72に補巻ロープ60が掛けられる。
【0035】
この補助シーブブロック70は、前記補助シーブ72と、補助シーブ72を回転可能に保持するとともに前記被支持部78A,80Bを含む補助シーブ保持体74と、被支持部78A,80Bとブーム側支持部16及びジブ側支持部19のうちの一方側の支持部との間に介在可能な介在部材84と、を有している。
【0036】
介在部材84は、非介在ジブ側角度から非介在ブーム側角度を引いた非介在角度差よりも、介在ジブ側角度から介在ブーム側角度を引いた介在角度差を大きくするように、被支持部78A,80Bと前記一方側の支持部との間に介在した状態で被支持部78A,80B及び一方側の支持部に連結可能な部材である。
【0037】
非介在ジブ側角度は、被支持部78A,80Bがジブ側支持部19に接続された状態のジブ側支持部19及び補助シーブ72の中心Oを結ぶ直線とジブ本体18の中心軸Cjとのなす角である。非介在ブーム側角度は、被支持部78A,80Bがブーム側支持部16に接続された状態のブーム側支持部16及び補助シーブ72の中心Oを結ぶ直線とブーム本体15の中心軸Cbとのなす角である。介在ジブ側角度は、介在部材84を介して被支持部78A,80Bと一方の支持部とが接続された状態のジブ側支持部19及び補助シーブ72の中心Oを結ぶ直線とジブ本体18の中心軸Cjとのなす角である。介在ブーム側角度は、介在部材84を介して被支持部78A,80Bと一方の支持部とが接続された状態のブーム側支持部16及び補助シーブ72の中心Oとを結ぶ直線とブーム本体15の中心軸Cbとのなす角である。
【0038】
本実施形態では、
図2及び
図4に示されるように、補助シーブブロック70がブーム14に接続される場合には、介在部材84が用いられることなく補助シーブ保持体74の被支持部78A,80Bが直接ブーム側支持部16に接続される一方、補助シーブブロック70がジブ17に接続される場合には、介在部材84を介して補助シーブ保持体74の被支持部78A,80Bがジブ側支持部19に接続される。すなわち、本実施形態では、ジブ側支持部19が前記一方の支持部に相当する。
【0039】
以下、補助シーブ保持体74及び介在部材84についてより詳細に説明する。
【0040】
補助シーブ保持体74は、それぞれが前記被支持部78A,80Bを含む一対の保持部材76と、補助シーブ72を回転可能に支持する支軸82と、を有している。
【0041】
一対の保持部材76は、ブーム14の回動軸と平行な方向に互いに離間した状態で配置されている。支軸82は、一対の保持部材76間に支持されている。具体的に、支軸82は、その軸方向がブームの回動軸と平行となる姿勢で一対の保持部材76に支持されている。支軸82の軸方向の寸法は、一対の保持部材76間の寸法よりも大きな寸法に設定されている。支軸82の両端には、車輪92が接続されている。
【0042】
本実施形態では、ブーム側支持部16は、ブーム腹側支持部16Aと、ブーム背側支持部16Bと、を有する。ブーム腹側支持部16Aは、ブーム本体15の先端部のうちブームポイントシーブ59が取り付けられた部位よりも先端側の部位に設けられている。ブーム背側支持部16Bは、ブーム本体15の先端部のうち当該ブーム本体15の使用時の姿勢においてブーム腹側支持部16Aよりも地面から遠くに位置する部位に設けられている。また、ジブ側支持部19は、ジブ腹側支持部19Aと、ジブ背側支持部19Bと、を有する。ジブ腹側支持部19Aは、ジブ本体18の先端部のうちジブポイントシーブ56が取り付けられた部位よりも先端側の部位に設けられている。ジブ背側支持部19Bは、ジブ本体18の先端部のうち当該ジブ本体18の使用時の姿勢においてジブ腹側支持部19Aよりも地面から遠くに位置する部位に設けられている。
【0043】
保持部材76の被支持部78A,80Bは、ブーム腹側支持部16A及びジブ腹側支持部19Aに対して着脱自在に接続可能な腹側被支持部78Aと、ブーム背側支持部16Bに対して着脱自在に接続可能な背側被支持部80Bと、を有する。具体的に、各保持部材76は、腹側被支持部78Aを含む腹側保持部78と、背側被支持部80Bを含む背側保持部80と、を有している。
【0044】
腹側保持部78は、補助シーブ72の中心軸方向(支軸82の軸方向)について当該補助シーブ72の中心Oと重なる位置から当該補助シーブ72の径方向の外向きに直線状に延びる形状を有する。前記腹側被支持部78Aは、腹側保持部78の外端部に形成されている。腹側保持部78は、円筒状である。
【0045】
背側保持部は80は、補助シーブ72の中心軸方向(支軸82の軸方向)について当該補助シーブ72の中心Oと重なる位置から当該補助シーブ72の径方向の外向きで、かつ、前記腹側被支持部78Aに向かう方向とは異なる方向に向かって直線状に延びる形状を有する。前記背側被支持部80Bは、背側保持部80の外端部に形成されている。背側保持部は80は、平板状である。背側保持部80の長手方向の寸法は、腹側保持部78のそれよりも短く設定されている。
【0046】
次に、介在部材84について説明する。介在部材84は、非介在ジブ側角度から非介在ブーム側角度θb(
図2を参照)を引いた非介在角度差よりも、介在ジブ側角度θj(
図4を参照)から介在ブーム側角度を引いた介在角度差を大きくするように、背側被支持部80Bとジブ背側支持部19Bとの間に介在可能な部材である。つまり、本実施形態では、介在部材84は、非介在ジブ側角度よりも介在ジブ側角度θjを大きくすることにより、非介在角度差よりも介在角度差を大きくする。
【0047】
ここで、非介在ジブ側角度は、腹側被支持部78Aがジブ腹側支持部19Aに接続されかつ背側被支持部80Bがジブ背側支持部19Bに接続された状態のジブ背側支持部19B及び補助シーブ72の中心Oを結ぶ直線とジブ17の中心軸Cjとのなす角である。また、介在ジブ側角度θjは、
図4に示されるように、腹側被支持部78Aがジブ腹側支持部19Aに接続されかつ介在部材84を介して背側被支持部80Bがジブ背側支持部19Bに接続された状態のジブ背側支持部19B及び補助シーブ72の中心Oを結ぶ直線Ljとジブ17の中心軸Cjとのなす角である。すなわち、介在部材84の有無にかかわらずジブ腹側支持部19Aと補助シーブ72の中心Oとの距離は一定であるものの、介在部材84の介在によりジブ背側支持部19Bと補助シーブ72の中心Oとの距離が介在部材84が介在しない場合のそれに比べて長くなるので、非介在ジブ側角度よりも介在ジブ側角度の方が大きくなる。
【0048】
なお、本実施形態では、非介在ブーム側角度θb及び介在ブーム側角度は、それぞれ以下のとおりである。非介在ブーム側角度θbは、
図2に示されるように、腹側被支持部78Aがブーム腹側支持部16Aに接続されかつ背側被支持部80Bがブーム背側支持部16Bに接続された状態のブーム背側支持部16B及び補助シーブ72の中心Oを結ぶ直線Lbとブーム14の中心軸Cbとのなす角である。また、本実施形態では、介在部材84が背側被支持部80Bとジブ背側支持部19Bとの間に介在可能であることから、介在ブーム側角度は、前記非介在ブーム側角度θbと同じである。すなわち、介在ブーム側角度は、腹側被支持部78Aがジブ腹側支持部19Aに接続されかつ介在部材84を介して背側被支持部80Bがジブ背側支持部19Bに接続された状態のブーム背側支持部16B及び補助シーブ72の中心Oとを結ぶ直線Lbとブーム14の中心軸Cbとのなす角である。
【0049】
介在部材84は、背側被支持部80Bに対して着脱自在に接続可能な第1端部86と、ジブ背側支持部19Bに対して着脱自在に接続可能な第2端部88と、第1端部86と第2端部88とを連結する連結部90と、を有する。
図5に示されるように、第1端部86は、背側被支持部80Bをその厚さ方向の両側から挟み込む一対の挟み込み部を有している。この一対の挟み込み部が背側被支持部80Bを挟み込んだ状態で当該一対の挟み込み部及び背側被支持部80Bが締結具87により締結されることにより、第1端部86が背側被支持部80Bに接続される。同様に、第2端部88は、ジブ背側支持部19Bをその厚さ方向の両側から挟み込む一対の挟み込み部を有しており、この一対の挟み込み部がジブ背側支持部19Bを挟み込んだ状態で当該一対の挟み込み部及びジブ背側支持部19Bが締結具89により締結されることにより、第2端部88がジブ背側支持部19Bに接続される。
【0050】
連結部90の長手方向の寸法は、当該連結部90の長手方向の寸法及び背側保持部80の長手方向の寸法の合計が腹側保持部78の長手方向の寸法よりも大きくなるように設定されている。
【0051】
次に、補助シーブ72がジブ17の先端部に取り付けられる場合及び補助シーブ72がブーム14の先端部に取り付けられる場合について、順に説明する。
【0052】
補助シーブ72がジブ17の先端部に取り付けられる場合、主巻ロープ50を介してジブポイントシーブ56の下方に吊り下げられた主フック57と補巻ロープ60を介して補助シーブ72の下方に吊り下げられた補フック(図示略)との干渉を回避するために、ジブポイントシーブ56及び補助シーブ72間の距離が確保される必要がある。このため、
図4に示されるように、腹側被支持部78Aがジブ腹側支持部19Aに接続されるとともに、介在部材84を介して背側被支持部80Bがジブ背側支持部19Bに接続される。具体的に、介在部材84を介した背側被支持部80Bのジブ背側支持部19Bへの接続は、締結具87による第1端部86及び背側被支持部80Bの接続と、締結具89による第2端部88及びジブ背側支持部19Bの接続と、が行われることにより達成される。これにより、介在部材84の長さ分ジブ背側支持部19Bと補助シーブ72の中心Oとの距離が大きくなるので、非介在ジブ側角度に比べて介在ジブ側角度θjが大きくなる。よって、ジブポイントシーブ56の中心及び補助シーブ72の中心O間の距離が確保される。
【0053】
一方、補助シーブ72がブーム14の先端部に取り付けられる場合、ブームポイントシーブ59の下方に吊り下げられた主フックと補助シーブ72の下方に吊り下げられた補フックとの揺れは、ジブ17に補助シーブ72が取り付けられた場合のそれに比べて小さいので、ブーム側支持部16に作用するモーメント(負荷)を低減するように補助シーブ72を配置することができる。このため、
図2に示されるように、腹側被支持部78Aがブーム腹側支持部16Aに接続されるとともに、背側被支持部80Bが直接ブーム背側支持部16Bに接続される。そうすると、ブーム14の中心軸Cbに対して直交する方向(
図2の上下方向)についての補助シーブ72の中心Oのブーム背側支持部16Bからの偏倚量D(
図2を参照)が低減されるので、ブーム側支持部16に作用するモーメント(負荷)が低減される。
【0054】
以上に説明したように、本実施形態のクレーン10は、非介在角度差よりも介在角度差を大きくするように背側被支持部80Bとジブ背側支持部19Bとの間に介在する介在部材84を有するので、ジブ17に補助シーブ72が取り付けられる場合におけるジブポイントシーブ56及び補助シーブ72間の距離の確保と、ブーム14に補助シーブ72が取り付けられる場合におけるブーム側支持部16に作用するモーメント(負荷)の低減と、を両立することができる。
【0055】
ここで、ジブ17に補助シーブブロック70が接続された状態におけるジブポイントシーブ56及び補助シーブ72間の距離の確保は、例えば、ジブ17の中心軸Cjとジブ背側支持部19B及び補助シーブ72の中心Oとを結ぶ直線とのなす角が大きくなるようにジブ背側支持部19Bを延長することによっても達成される。しかしながら、このようにすると、ジブ背側支持部19Bの重量が大きくなるので、ジブ17に補助シーブブロック70が接続されない状態においてもその分だけジブ17全体の重量が大きくなる。同様に、ブーム14に補助シーブブロック70が接続された状態における前記偏倚量D(ブーム14の中心軸Cbに対して直交する方向についてのブーム背側支持部16Bと補助シーブ72の中心Oとの距離)の低減は、ブーム14の中心軸Cbとブーム背側支持部16B及び補助シーブ72の中心Oとを結ぶ直線とのなす角が小さくなるようにブーム腹側支持部16Aを延長することによっても達成されるが、このようにすると、ブーム腹側支持部16Aの重量が大きくなるので、ブーム14に補助シーブブロック70が接続されない状態においてもその分だけブーム14全体の重量が大きくなる。これに対し、本クレーン10は、非介在角度差よりも介在角度差を大きくするように背側被支持部80Bとジブ背側支持部19Bとの間に介在する介在部材84を有しているので、ジブ背側支持部19B及びブーム腹側支持部16Aを長くすることなく、つまり、各支持部19B,16Aの重量増を回避しながら上記の効果を得ることができる。
【0056】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
例えば、介在部材は、腹側被支持部78Aとブーム腹側支持部16Aとの間に介在可能であってもよい。この場合、補助シーブ72がブーム14に取り付けられるときに、介在部材を介して腹側被支持部78Aがブーム腹側支持部16Aに接続されるとともに、背側被支持部80Bが直接ブーム背側支持部16Bに接続される。一方、補助シーブ72がジブ17に取り付けられるときに、腹側被支持部78Aが直接ジブ腹側支持部19Aに接続されるとともに、背側被支持部80Bが直接ジブ背側支持部19Bに接続される。すなわち、この態様では、介在ブーム側角度を非介在ブーム側角度よりも小さくすることにより、非介在角度差よりも介在角度差を大きくする。この態様であっても、ブーム14及びジブ17に対する共通の補助シーブ72の択一的な取り付けが可能となり、かつ、ジブポイントシーブ56及び補助シーブ72間の距離の確保とブーム側支持部16に作用するモーメントの低減との双方が達成される。
【0058】
また、介在部材は、補助シーブ72がジブに取り付けられる場合に背側被支持部80Bとジブ背側支持部19Bとを連結可能で、かつ、補助シーブ72がブーム14に取り付けられる場合に腹側被支持部78Aとブーム腹側支持部16Aとを連結可能であってもよい。