(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内部ユニットは、前記第1バーリングダイ及び前記第2バーリングダイに対して、それぞれ個別に前記基準点に向かう外力を付与するダイ復帰機構をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載のバーリング加工装置。
前記内部ユニットは、前記第1バーリングパンチ及び前記第2バーリングパンチに対して、それぞれ個別に前記基準点に向かう外力を付与するバーリングパンチ復帰機構をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のバーリング加工装置。
前記第1外部ユニットは、前記第1バーリングパンチの通路となる第1貫通孔を有し、前記第1貫通孔の中心軸線が前記第1軸線と一致する状態で前記第1壁部の外側を移動自在に設けられた第1バーリングホルダをさらに備え、
前記第1バーリングパンチは、前記第1バーリングホルダの前記第1貫通孔の内部において、前記第1バーリングパンチの中心軸線が前記第1軸線と一致する状態で前記第1軸線に沿って移動自在に設けられており、
前記第1ピアスパンチは、前記第1バーリングパンチと前記第1軸線を中心軸線として共有しながら、前記第1バーリングパンチの先端に取り付けられており、
前記内部ユニットは、
前記第1バーリングパンチが挿入される第1成形孔を有し、前記第1成形孔の中心軸線が前記第1軸線と一致する状態で前記第1軸線に沿って移動自在に設けられた第1バーリングダイと;
前記第1ピアスパンチが挿入される第1ピアス孔を有し、前記第1バーリングダイの前記第1成形孔の内部において前記第1ピアス孔の中心軸線が前記第1軸線と一致する状態で前記第1軸線に沿って移動自在に設けられた第1ピアスダイと;
前記第2バーリングパンチの通路となる第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔の中心軸線が前記第1軸線と一致する状態で前記第1軸線に沿って移動自在に設けられた第2バーリングホルダと;
をさらに備え、
前記第2バーリングパンチは、前記第2バーリングホルダの前記第2貫通孔の内部において、前記第2バーリングパンチの中心軸線が前記第1軸線と一致する状態で前記第1軸線に沿って移動自在に設けられており、
前記第2ピアスパンチは、前記第2バーリングパンチと前記第1軸線を中心軸線として共有しながら、前記第2バーリングパンチの先端に取り付けられており、
前記第2外部ユニットは、
前記第2バーリングパンチが挿入される第2成形孔を有し、前記第2成形孔の中心軸
線が前記第1軸線と一致する状態で前記第2壁部の外側を前記第1軸線に沿って移動自在に設けられた第2バーリングダイと;
前記第2ピアスパンチが挿入される第2ピアス孔を有し、前記第2バーリングダイの前記第2成形孔の内部において、前記第2ピアス孔の中心軸線が前記第1軸線と一致する状態で前記第2壁部の外側を前記第1軸線に沿って移動自在に設けられた第2ピアスダイと;
を備えることを特徴とする請求項16に記載のバーリング加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、本実施形態に係るバーリング加工装置及びバーリング加工方法の理解を容易にするために、バーリング加工孔が形成された製品の一例(例えば、車両のサスペンションに用いられるリンク構造部材であるラテラルリンク)について説明する。
【0044】
図1は、鋼管(金属管)の端部にブッシュ保持部20が形成されたラテラルリンク1の概略構成を示す斜視図である。
図2は、ラテラルリンク1の概略構成を示す正面図である。
図3Aは、
図2におけるA−A線の矢視断面図である。
図3Bは、
図2におけるB−B線の矢視断面図である。
図3Cは、
図2におけるC−C線の矢視断面図である。
図3Dは、
図2におけるD−D線の矢視断面図である。
【0045】
ラテラルリンク1は、
図1及び
図2に示すように、ロッド部10と、ロッド部10の一端に接続されたブッシュ保持部20と、ロッド部10の他端に接続された締結部30とを備えている。
ブッシュ保持部20は、例えば、ブッシュ(不図示)を介して嵌挿された軸部材等により車軸と連結可能である。締結部30は、ボルト等により車体(不図示)と連結可能である。
【0046】
ロッド部10は、長手方向と直交する断面が閉断面である中空の鋼管(金属管)により構成されている。ロッド部10の両端をプレス成形により塑性変形させることにより、ブッシュ保持部20及び締結部30がロッド部10と一体的に成形される。
ロッド部10において、例えば、長手方向と直交する断面は、円形の周壁部を有している。
【0047】
ブッシュ保持部20は、拡管テーパ部11と、ストレート部12と、ブッシュ保持壁部21と、拡幅接続部22とを備えている。
ブッシュ保持壁部21は、例えば、拡幅接続部22を介してロッド部10と接続されている。拡幅接続部22は、ブッシュ保持壁部21とロッド部10とを接続する接続形状部である。
【0048】
拡管テーパ部11は、ロッド部10の一端を塑性変形させることにより、基端側から先端側に向かって徐々に径が拡大された円錐状のテーパを有する。拡管テーパ部11の先端開口部の内径は、ロッド部10の内径より大きい。拡管テーパ部11の周壁部の厚さは、ロッド部10の周壁部の厚さよりも薄い。
【0049】
ストレート部12は、拡管テーパ部11の先端側に接続されている。ストレート部12の内径は、拡管テーパ部11の先端開口部の内径と同一である。ストレート部12の周壁部の厚さは、拡管テーパ部11の周壁部の厚さと同一である。
【0050】
一対のブッシュ保持壁部21は、互いに対向するように且つ平行となるようにストレート部12から長手方向外側へ向かって延びる平坦な部位である。
ブッシュ保持壁部21の基端側(ロッド部10側)から先端側を見た場合、ブッシュ保持壁部21の先端側には、
図3Aに示すように、ブッシュ保持壁部21の幅全体にわたって平坦部が形成されている。
以下では、上記のように互いに対向する一対のブッシュ保持壁部21の一方を第1壁部211と呼称し、他方を第2壁部212と呼称する場合がある。
【0051】
また、ブッシュ保持壁部21の幅方向の中央には、ブッシュ保持孔24が形成されている。ブッシュ保持孔24の周縁部にはバーリング形状部25が形成されている。
バーリング形状部25は、ブッシュ保持壁部(第1壁部211及び第2壁部212)21から互いに内方(相手側の壁部)に向かって延在するとともに、第1壁部211及び第2壁部212からの立ち上り長さ及び内周径が同一寸法に形成されている。
以下では、上記のように、バーリング加工によって、周縁部にバーリング形状部25(立上がり壁部)が形成されたブッシュ保持孔24を、バーリング加工孔と呼称する場合がある。
【0052】
図1に示すように、第1壁部211及び第2壁部212のそれぞれに形成された一対のバーリング加工孔(ブッシュ保持孔24)は、第1壁部211及び第2壁部212に直交する第1軸線Xを中心軸線として共有している。言い換えれば、一対のバーリング加工孔の一方の中心軸線と他方の中心軸線とが、それぞれ第1軸線Xと一致している。
【0053】
このバーリング形状部25及びブッシュ保持孔24の内周に形成されたブッシュ保持面25A(
図3A参照)にブッシュ(不図示)を挿入して、このブッシュに、軸部材等を挿通することにより、ブッシュ保持部20は、ブッシュを介して車軸と連結される。また、立上がり壁部であるバーリング形状部25が周縁部に形成されたブッシュ保持孔24の内周面の面積(つまり、ブッシュ保持面25Aの面積)を大きく確保することができるので、ブッシュ等を安定して保持することができる。
【0054】
拡幅接続部22は、
図2及び
図3Bに示すように、両端にロッド部10と直交する断面が互いに近接する屈曲部が形成された略チャネル形状の一対の壁部を有している。拡幅接続部22の先端側がブッシュ保持壁部21と接続されるとともに、拡幅接続部22の基端側がストレート部12の先端部に接続されている。
また、拡幅接続部22は、正面視して基端側から先端側に向かうにつれてV字状の間隙が形成されるとともに、両端の屈曲部が短縮されて、平坦部が漸次拡幅されるように塑性変形されている。
【0055】
その結果、拡幅接続部22は、断面略チャネル形状に形成されて、基端側から先端側に向かって拡幅しながら、断面チャネル形状から平坦部へと漸次形状変更するように形成されている。
図3Cは、ストレート部12からブッシュ保持部20をロッド部10の長手方向に見た断面を示している。また、
図3Dは、ロッド部10からブッシュ保持部20をロッド部10の長手方向に見た断面を示している。
【0056】
また、ブッシュ保持壁部21及び拡幅接続部22を構成する一対の壁部は、ロッド部10と直交する断面における長さが、鋼管が拡管されたストレート部12(製造過程で形成されたスリットの幅分を除く)の周壁部の周長と同一の寸法とされている。
【0057】
締結部30は、
図2に示すように、締結壁部31と、第1離隔接続部32と、第2離隔接続部33とを備えている。
締結壁部31は、第1離隔接続部32及び第2離隔接続部33を介してロッド部10と接続されている。第1離隔接続部32及び第2離隔接続部33は、締結壁部31とロッド部10とを接続する接続形状部である。
【0058】
締結壁部31は、先端側に互いに対向する平坦部を有する一対の対向壁部を有している。例えば、締結壁部31の基端側(ロッド部10側)から先端側を見た場合に、締結壁部31の幅全体にわたって平坦部が形成されている。また、締結壁部31の幅方向の中央には、取付孔34が形成されている。
【0059】
第1離隔接続部32は、例えば、ロッド部10と直交する断面が、両端において互いに近接する屈曲部を有するチャネル形状の一対の壁部を有する。第1離隔接続部32の先端側に締結壁部31が接続されるとともに、第1離隔接続部32の基端側に第2離隔接続部33が接続されている。
【0060】
また、第1離隔接続部32は、基端側から先端側に向かうにつれて、正面視V字状の間隙が形成され、両端の屈曲部が縮小されながら漸次平坦部が拡幅されるように塑性変形されている。また、第1離隔接続部32の幅方向中央側には、内方から内方に膨らみ長手方向に延在する補強ビードが形成されている。
【0061】
第2離隔接続部33は、ロッド部10と直交する断面が、両端に互いに近接する屈曲部が形成された略チャネル形状の一対の壁部を有する。第2離隔接続部33の先端側に第1離隔接続部32が接続されるとともに、第2離隔接続部33の基端側にロッド部10が接続されている。
【0062】
また、第2離隔接続部33は、断面が両端に形成された屈曲部が互いに近接する略チャネル形状とされていて、基端側から先端側に向かって一対の壁部が漸次互いに離隔して正面視V字状に形成されている。
また、第2離隔接続部33の幅方向中央には、内方から内方に膨らみ長手方向に延在するひとつの補強ビードが形成されている。
【0063】
このような構成によって、第2離隔接続部33は断面が略チャネル形状とされ、基端側から先端側に向かって互いに離隔しながら第1離隔接続部32に接続される。第1離隔接続部32は断面が略チャネル形状に形成されていて、基端側から先端側に向かって、断面がチャネル形状から平坦部へと漸次形状変更するように形成されている。
【0064】
なお、締結壁部31、第1離隔接続部32及び第2離隔接続部33を構成する一対の壁部は、ロッド部10と直交する断面における長さが、鋼管(製造過程で形成されたスリットの幅分を除く)の周壁部の周長と同一長さとされている。
【0065】
次に、
図4及び
図5A〜
図5Eを参照して、ブッシュ保持部20の形成方法について説明する。
図4は、鋼管の端部にブッシュ保持部20を一体形成することによるラテラルリンクの製造工程を示すフローチャートの一例を示す図である。
また、
図5A〜
図5Eは、ブッシュ保持部20を一体形成する製造工程を説明する図である。
【0066】
(1)まず、ロッド部10を構成する鋼管10Mに、例えば、拡管パンチ(不図示)を挿入して、ブッシュ保持部20を形成するための形成予定部20Aを形成する(
図4に示すステップS1)。
形成予定部20Aは、
図5Aに示すように、拡管パンチ等で鋼管10Mの基端側から先端側に向かって円錐状に拡径された拡管テーパ部11と、ストレート部12と、ブッシュ保持部20を形成する形成予定壁部210とを有しており、形成予定部20Aは、鋼管10Mよりも周長が長く、鋼管10Mよりも薄肉に形成されている。
(2)次に、鋼管10Mに、長手方向に伸びる2つのスリット210Sを形成して、周方向長さが等しいふたつのプレス形成前壁部210Aを設けて、ブッシュ保持部20と対応する分割壁部20Bを形成する(
図4に示すステップS2)。
例えば、
図5Bに示すように、形成予定壁部210の中心軸に対称な周方向位置に、2つのスリット210Sを形成することで、同一形状の一対の対向するプレス形成前壁部210Aが形成される。
(3)次に、プレス形成前壁部210Aをプレス形成して、プレス形成前壁部210Aをプレス形成後ブッシュ保持壁部210Cに塑性変形する(
図4に示すステップS3)。
プレス形成は、例えば、
図5C〜
図5Eに示すような手順で行なわれる。
1)まず、
図5Cに示すように、プレス金型K1にセットし、パンチK2を鋼管10Mの軸線方向に前進させて、プレス形成前壁部210A間に挿入する。
2)次に、パンチK2を前進させることにより、
図5Dに示すように、スリット210Sを略V字状のスリット210Tに形成するとともに、プレス形成前壁部210Aを、幅方向両端に屈曲部が形成され先端側が向かうにつれて屈曲部が短くなり平坦部へと形状変化する中間形状壁部210Bに塑性変形させ、ブッシュ保持部20の中間壁部20Cとする。
3)次いで、
図5Eに示すように、パンチK2を前進端まで前進させて、スリット210Tをスリット210Uに形成するとともに中間形状壁部210Bをプレス形成後ブッシュ保持壁部210Cに形成し、先端側が拡管された鋼管10Mの外径と略等しい間隔で離間するブッシュ保持部20と対応するトリミング前ブッシュ保持部20Dを形成する。
上記のプロセスにより、互いに対向するように且つ平行となるようにストレート部12から長手方向外側へ向かって延びる一対のブッシュ保持壁部21(第1壁部211及び第2壁部212)が形成される。
(4)次に、以下で説明する本実施形態のバーリング加工装置及びバーリング加工方法を用いて、第1壁部211及び第2壁部212のそれぞれに対して、第1軸線Xを中心軸線として共有する下孔を形成する(
図4に示すステップS4)。
(5)最後に、本実施形態のバーリング加工装置及びバーリング加工方法を用いて、第1壁部211及び第2壁部212のそれぞれに形成された下孔の周縁部を第1軸線Xに沿う方向に屈曲させることにより、立上がり壁部であるバーリング形状部25を有するブッシュ保持孔24を形成する(
図4に示すステップS5)。
以上のプロセスにより、第1壁部211及び第2壁部212(一対のブッシュ保持壁部21)のそれぞれに対して、第1軸線Xを中心軸線として共有するバーリング加工孔(ブッシュ保持孔24)が形成されたラテラルリンク1が完成する。
【0067】
以下、上記のステップS4及びS5で用いられる本実施形態のバーリング加工装置及びバーリング加工方法について詳細に説明する。
【0068】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態に係るバーリング加工装置及びバーリング加工方法について説明する。本第1実施形態では、
図1及び
図2に示したように、第1壁部211の内側へ向かって屈曲する立上がり壁部を有するバーリング加工孔を第1壁部211に形成すると共に、第2壁部212の内側へ向かって屈曲する立上がり壁部を有するバーリング加工孔を第2壁部212に形成するためのバーリング加工装置及びバーリング加工方法について説明する。
【0069】
なお、第1軸線X上における第1壁部211の両側のうち、第2壁部212が存在する側を“第1壁部211の内側”と定義し、その反対側を“第1壁部211の外側”と定義する。また、第1軸線X上における第2壁部212の両側のうち、第1壁部211が存在する側を“第2壁部212の内側”と定義し、その反対側を“第2壁部212の外側”と定義する。
【0070】
図6Aは、第1実施形態に係るバーリング加工装置300の側断面図である。
図6Bは、第1実施形態に係るバーリング加工装置300の正断面図である。
図6Aに示すように、第1軸線X上における第1壁部211と第2壁部212との間の中心位置を基準点Pと定義し、この基準点Pを通り、第1軸線Xに直交し且つ第1壁部211及び第2壁部212の延在方向に対して平行な軸線を第2軸線Yと定義する。この第2軸線Yはラテラルリンク1の中心軸線と一致する。すなわち、
図6Aは、第1軸線X及び第2軸線Yを含む断面でバーリング加工装置300を見た図である。
また、
図6Bに示すように、基準点Pを通り、第1軸線X及び第2軸線Yに直交する軸線を第3軸線Zと定義する。この第3軸線Zは、第1壁部211及び第2壁部212の幅方向と平行である。すなわち、
図6Bは、第1軸線X及び第3軸線Zを含む断面(第2軸線Yに直交する断面)でバーリング加工装置300を見た図である。
【0071】
図6A及び
図6Bに示すように、バーリング加工装置300は、第1壁部211の外側に配置される第1外部ユニット310と、第2壁部212の外側に配置される第2外部ユニット320と、第1壁部211と第2壁部212との間に配置される内部ユニット330とを備えている。
【0072】
以下の説明において、ピアスパンチとは、バーリング加工用の下孔を第1壁部211及び第2壁部212に形成するための軸部材である。また、バーリングパンチとは、下孔の周縁部を第1軸線Xに沿う方向に屈曲させて、立上がり壁部を有するバーリング加工孔を形成するための軸部材である。
【0073】
第1外部ユニット310は、第1ピアスパンチ311と、第1バーリングパンチ312と、第1バーリングホルダ313とを備えている。
【0074】
第1ピアスパンチ311は、第1壁部211に下孔を形成するための円柱状の軸部材である。第1バーリングパンチ312は、第1ピアスパンチ311と第1軸線Xを中心軸線として共有し、第1壁部211の下孔の周縁部を第1壁部211の内側へ屈曲させて第1壁部211にバーリング加工孔を形成するための円筒状の軸部材である。第1バーリングパンチ312の両端面は、第1ピアスパンチ311を挿入可能とするために開放されている。
【0075】
第1バーリングホルダ313は、第1バーリングパンチ312の通路となる第1貫通孔313aを有する円形の厚板部材である。第1貫通孔313aは、第1バーリングホルダ313の板厚方向に貫通し、且つ第1バーリングホルダ313と中心軸線を同じくする円孔である。
【0076】
第1バーリングホルダ313は、第1貫通孔313aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1バーリングホルダ313は、第1壁部211の外壁面211aに対して面接触可能な平坦面313bを有する。
【0077】
第1バーリングパンチ312は、第1バーリングホルダ313の第1貫通孔313aの内部において、第1バーリングパンチ312の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。
【0078】
第1ピアスパンチ311は、第1バーリングパンチ312の内部において、第1ピアスパンチ311の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。つまり、円筒形状を有する第1バーリングパンチ312の内部空間は、第1ピアスパンチ311の通路として利用されている。
【0079】
上記のように、第1外部ユニット310において、第1ピアスパンチ311、第1バーリングパンチ312及び第1バーリングホルダ313は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0080】
また、第1外部ユニット310において、第1バーリングホルダ313の内周面(第1貫通孔313aの表面)と、第1バーリングパンチ312の外周面とが互いに密着していることが望ましい。また、第1バーリングパンチ312の内周面と、第1ピアスパンチ311の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第1ピアスパンチ311及び第1バーリングパンチ312が第1軸線Xに沿って移動するときに、第1ピアスパンチ311及び第1バーリングパンチ312の中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0081】
第2外部ユニット320は、第2ピアスパンチ321と、第2バーリングパンチ322と、第2バーリングホルダ323とを備えている。
【0082】
第2ピアスパンチ321は、第2壁部212に下孔を形成するための円柱状の軸部材である。第2バーリングパンチ322は、第2ピアスパンチ321と第1軸線Xを中心軸線として共有し、第2壁部212の下孔の周縁部を第2壁部212の内側へ屈曲させて第2壁部212にバーリング加工孔を形成するための円筒状の軸部材である。第2バーリングパンチ322の両端面は、第2ピアスパンチ321を挿入可能とするために開放されている。
【0083】
第2バーリングホルダ323は、第2バーリングパンチ322の通路となる第2貫通孔323aを有する円形の厚板部材である。第2貫通孔323aは、第2バーリングホルダ323の板厚方向に貫通し、且つ第2バーリングホルダ323と中心軸線を同じくする円孔である。
【0084】
第2バーリングホルダ323は、第2貫通孔323aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2バーリングホルダ323は、第2壁部212の外壁面212aに対して面接触可能な平坦面323bを有する。
【0085】
第2バーリングパンチ322は、第2バーリングホルダ323の第2貫通孔323aの内部において、第2バーリングパンチ322の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。
【0086】
第2ピアスパンチ321は、第2バーリングパンチ322の内部において、第2ピアスパンチ321の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。つまり、円筒形状を有する第2バーリングパンチ322の内部空間は、第2ピアスパンチ321の通路として利用されている。
【0087】
上記のように、第2外部ユニット320において、第2ピアスパンチ321、第2バーリングパンチ322及び第2バーリングホルダ323は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0088】
また、第2外部ユニット320において、第2バーリングホルダ323の内周面(第2貫通孔323aの表面)と、第2バーリングパンチ322の外周面とが互いに密着していることが望ましい。また、第2バーリングパンチ322の内周面と、第2ピアスパンチ321の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第2ピアスパンチ321及び第2バーリングパンチ322が第1軸線Xに沿って移動するときに、第2ピアスパンチ321及び第2バーリングパンチ322の中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0089】
内部ユニット330は、ハウジング331と、第1バーリングダイ332と、第1ピアスダイ333と、第2バーリングダイ334と、第2ピアスダイ335と、第1ストッパー336と、第2ストッパー337とを備えている。
【0090】
ハウジング331は、第1バーリングダイ332、第1ピアスダイ333、第2バーリングダイ334、及び第2ピアスダイ335を内包し、且つ両端面が開放された円筒部材である。ハウジング331は、その中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211と第2壁部212との間に配置される。また、ハウジング331は、第1ストッパー336及び第2ストッパー337が第2軸線Yに沿って通過可能な大きさで開口する第1開口部331a及び第2開口部331bを有する。
【0091】
第1バーリングダイ332は、第1バーリングパンチ312が挿入される第1成形孔332aを有する円形の厚板部材である。第1成形孔332aは、第1バーリングダイ332の板厚方向に沿って貫通し、且つ第1バーリングダイ332と中心軸線を同じくする円孔である。第1成形孔332aの直径は、第1バーリングパンチ312の外径と第1壁部211の厚さとの加算値と同一であることが望ましい。
【0092】
第1バーリングダイ332は、ハウジング331の内部において、第1成形孔332aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の内側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1バーリングダイ332は、第1壁部211の内壁面211bと面接触可能な平坦面332bと、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かう方向に傾斜する傾斜面332cとを有する。
【0093】
第1ピアスダイ333は、第1ピアスパンチ311が挿入される第1ピアス孔333aを有する円形の厚板部材である。第1ピアス孔333aは、第1ピアスダイ333の板厚方向に沿って貫通し、且つ第1ピアスダイ333と中心軸線を同じくする円孔である。第1ピアス孔333aの直径は、第1ピアスパンチ311の外径と同一であることが望ましい。
【0094】
第1ピアスダイ333は、第1バーリングダイ332の第1成形孔332aの内部において、第1ピアス孔333aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の内側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1ピアスダイ333は、第1壁部211の内壁面211bと面接触可能な平坦面333bと、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かう方向に傾斜する傾斜面333cとを有する。第1ピアスダイ33の傾斜面333cの傾斜角は、第1バーリングダイ332の傾斜面332cの傾斜角と同じである。
【0095】
第2バーリングダイ334は、第2バーリングパンチ322が挿入される第2成形孔334aを有する円形の厚板部材である。第2成形孔334aは、第2バーリングダイ334の板厚方向に沿って貫通し、且つ第2バーリングダイ334と中心軸線を同じくする円孔である。第2成形孔334aの直径は、第2バーリングパンチ322の外径と第2壁部212の厚さとの加算値と同一であることが望ましい。
【0096】
第2バーリングダイ334は、ハウジング331の内部において、第2成形孔334aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の内側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2バーリングダイ334は、第2壁部212の内壁面212bと面接触可能な平坦面334bと、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かう方向に傾斜する傾斜面334cとを有する。
【0097】
第2ピアスダイ335は、第2ピアスパンチ321が挿入される第2ピアス孔335aを有する円形の厚板部材である。第2ピアス孔335aは、第2ピアスダイ335の板厚方向に沿って貫通し、且つ第2ピアスダイ335と中心軸線を同じくする円孔である。第2ピアス孔335aの直径は、第2ピアスパンチ321の外径と同一であることが望ましい。
【0098】
第2ピアスダイ335は、第2バーリングダイ334の第2成形孔334aの内部において、第2ピアス孔335aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の内側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2ピアスダイ335は、第2壁部212の内壁面212bと面接触可能な平坦面335bと、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かう方向に傾斜する傾斜面335cとを有する。第2ピアスダイ335の傾斜面335cの傾斜角は、第2バーリングダイ334の傾斜面334cの傾斜角と同じである。
【0099】
第1バーリングダイ332及び第2バーリングダイ334は、基準点Pを挟んで互いに向かい合うように配置されている。第1バーリングダイ332は、第1壁部211と基準点Pとの間を第1軸線Xに沿って移動自在である。第2バーリングダイ334は、第2壁部212と基準点Pとの間を第1軸線Xに沿って移動自在である。
【0100】
第1ピアスダイ333及び第2ピアスダイ335は、基準点Pを挟んで互いに向かい合うように配置されている。第1ピアスダイ333は、第1壁部211と基準点Pとの間を第1軸線Xに沿って移動自在である。第2ピアスダイ335は、第2壁部212と基準点Pとの間を第1軸線Xに沿って移動自在である。
【0101】
第1バーリングダイ332の内部(第1成形孔332aの内部)に、第1ピアスダイ333の全体が内包されたとき、第1バーリングダイ332の平坦面332bと第1ピアスダイ333の平坦面333bとが面一となり、第1バーリングダイ332の傾斜面332cと第1ピアスダイ333の傾斜面333cとが面一となる。
【0102】
第2バーリングダイ334の内部(第2成形孔334aの内部)に、第2ピアスダイ335の全体が内包されたとき、第2バーリングダイ334の平坦面334bと第2ピアスダイ335の平坦面335bとが面一となり、第2バーリングダイ334の傾斜面334cと第2ピアスダイ335の傾斜面335cとが面一となる。
【0103】
第1バーリングダイ332の傾斜面332c(第1ピアスダイ333の傾斜面333c)の傾斜角は、第2バーリングダイ334の傾斜面334c(第2ピアスダイ335の傾斜面335c)の傾斜角と同じである。
【0104】
第1ストッパー336は、第2軸線Yに沿って移動自在に設けられた厚板部材である。この第1ストッパー336は、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かって傾斜する第1傾斜面336aと、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かって傾斜する第2傾斜面336bとを有する。
【0105】
第1傾斜面336aの傾斜角は、第1バーリングダイ332の傾斜面332c(第1ピアスダイ333の傾斜面333c)の傾斜角と同じである。第2傾斜面336bの傾斜角は、第2バーリングダイ334の傾斜面334c(第2ピアスダイ335の傾斜面335c)の傾斜角と同じである。すなわち、第1傾斜面336aの傾斜角は、第2傾斜面336bの傾斜角と同じである。
【0106】
詳細は後述するが、第1ストッパー336が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第1ストッパー336の第1傾斜面336aが第1バーリングダイ332の傾斜面332cと面接触すると共に、第1ストッパー336の第2傾斜面336bが第2バーリングダイ334の傾斜面334cと面接触する。
第1ストッパー336が、第1バーリングダイ332及び第2バーリングダイ334と面接触した状態で、基準点Pより深く進行すると、第1バーリングダイ332が第1壁部211へ向かって移動し、第2バーリングダイ334が第2壁部212へ向かって移動する。
その結果、第1バーリングダイ332の平坦面332bは第1壁部211の内壁面211bに面接触し、第2バーリングダイ334の平坦面334bは第2壁部212の内壁面212bに面接触する。
このように、第1ストッパー336は、第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第1バーリングダイ332を第1壁部211へ向かって移動させ、且つ第2バーリングダイ334を第2壁部212へ向かって移動させる形状を有している。
【0107】
第2ストッパー337は、第2軸線Yに沿って移動自在に設けられた厚板部材である。この第2ストッパー337は、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かって傾斜する第3傾斜面337aと、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かって傾斜する第4傾斜面337bとを有する。
【0108】
第3傾斜面337aの傾斜角は、第1バーリングダイ332の傾斜面332c(第1ピアスダイ333の傾斜面333c)の傾斜角と同じである。第4傾斜面337bの傾斜角は、第2バーリングダイ334の傾斜面334c(第2ピアスダイ335の傾斜面335c)の傾斜角と同じである。すなわち、第3傾斜面337aの傾斜角と第4傾斜面337bの傾斜角とは同じである。
【0109】
詳細は後述するが、第2ストッパー337が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第2ストッパー337の第3傾斜面337aが第1ピアスダイ333の傾斜面333cと面接触すると共に、第2ストッパー337の第4傾斜面337bが第2ピアスダイ335の傾斜面335cと面接触する。
第2ストッパー337が、第1ピアスダイ333及び第2ピアスダイ335と面接触した状態で、基準点Pより深く進行すると、第1ピアスダイ333が第1壁部211へ向かって移動し、第2ピアスダイ335が第2壁部212へ向かって移動する。
その結果、第1ピアスダイ333の平坦面333bは第1壁部211の内壁面211bに面接触し、第2ピアスダイ335の平坦面335bは第2壁部212の内壁面212bに面接触する。
このように、第2ストッパー337は、第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第1ピアスダイ333を第1壁部211へ向かって移動させ、且つ第2ピアスダイ335を第2壁部212へ向かって移動させる形状を有している。
【0110】
図6Bに示すように、ハウジング331の内周面において、第1バーリングダイ332に対向する領域には、第3軸線Zに沿う方向に所定の深さを有し且つ第1軸線Xに沿う方向に所定の幅を有する第1の溝331cが形成されている。第1バーリングダイ332の外周面には、第1の溝331cへ向かって突出する第1突起部332dが設けられている。第1の溝331cの第1壁部211側の側壁面と第1突起部332dとの間には、伸縮方向が第1軸線Xと平行となるように、第1スプリング338が配置されている。
【0111】
また、
図6Bに示すように、ハウジング331の内周面において、第2バーリングダイ334に対向する領域には、第3軸線Zに沿う方向に所定の深さを有し且つ第1軸線Xに沿う方向に所定の幅を有する第2の溝331dが形成されている。第2バーリングダイ334の外周面には、第2の溝331dへ向かって突出する第2突起部334dが設けられている。第2の溝331dの第2壁部212側の側壁面と第2突起部334dとの間には、伸縮方向が第1軸線Xと平行となるように、第2スプリング339が配置されている。
【0112】
第1突起部332dを有する第1バーリングダイ332が第1壁部211へ向かって移動すると、第1スプリング338が圧縮され、その結果、第1バーリングダイ332に対して基準点Pに向かう外力が付与される。また、第2突起部334dを有する第2バーリングダイ334が第2壁部212へ向かって移動すると、第2スプリング339が圧縮され、その結果、第2バーリングダイ334に対して基準点Pに向かう外力が付与される。
【0113】
このように、内部ユニット330は、第1バーリングダイ332及び第2バーリングダイ334に対して、それぞれ個別に基準点Pに向かう外力を付与するダイ復帰機構を備えている。
【0114】
上記のように構成された内部ユニット330において、ハウジング331、第1バーリングダイ332、第1ピアスダイ333、第2バーリングダイ334及び第2ピアスダイ335は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0115】
また、内部ユニット330において、ハウジング331の内周面と第1バーリングダイ332の外周面とが互いに密着していることが望ましく、ハウジング331の内周面と第2バーリングダイ334の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
さらに、第1バーリングダイ332の内周面(第1成形孔332aの表面)と第1ピアスダイ333の外周面とが互いに密着していることが望ましく、第2バーリングダイ334の内周面(第2成形孔334aの表面)と第2ピアスダイ335の外周面とが互いに密着していることが望ましい。これにより、第1バーリングダイ332、第1ピアスダイ333、第2バーリングダイ334及び第2ピアスダイ335が、それぞれ第1軸線Xに沿って移動するときに、これらの中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0116】
次に、上記のように構成されたバーリング加工装置300を用いて実現される第1実施形態に係るバーリング加工方法について説明する。
【0117】
<第1工程>
図6A及び
図6Bに示したように、まず、第1壁部211の外側にバーリング加工装置300の第1外部ユニット310を配置し、第2壁部212の外側にバーリング加工装置300の第2外部ユニット320を配置し、第1壁部211と第2壁部212との間にバーリング加工装置300の内部ユニット330を配置する。
【0118】
すなわち、第1ピアスパンチ311、第1バーリングパンチ312及び第1バーリングホルダ313が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、第1外部ユニット310を第1壁部211の外側に配置する。
また、第2ピアスパンチ321、第2バーリングパンチ322及び第2バーリングホルダ323が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、第2外部ユニット320を第2壁部212の外側に配置する。
さらに、ハウジング331、第1バーリングダイ332、第1ピアスダイ333、第2バーリングダイ334及び第2ピアスダイ335が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、内部ユニット330のハウジング331を第1壁部211と第2壁部212との間に配置する。
なお、この時点では、第1ストッパー336及び第2ストッパー337は、ハウジング311の外部に配置されている。
【0119】
続いて、
図7に示すように、第1外部ユニット310において、第1バーリングパンチ312及び第1バーリングホルダ313が、第1壁部211の外壁面211aに当接するまで、不図示のアクチュエータを用いて、第1バーリングパンチ312及び第1バーリングホルダ313を第1軸線Xに沿って第1壁部211へ向かって移動させる。
第1バーリングパンチ312及び第1バーリングホルダ313が、第1壁部211の外壁面211aに当接した後、上記アクチュエータを用いて、第1バーリングパンチ312及び第1バーリングホルダ313に対して、第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えることにより、第1バーリングパンチ312及び第1バーリングホルダ313を第1壁部211の外壁面211aに圧接する。
【0120】
同様に、第2外部ユニット320において、第2バーリングパンチ322及び第2バーリングホルダ323が、第2壁部212の外壁面212aに当接するまで、不図示のアクチュエータを用いて、第2バーリングパンチ322及び第2バーリングホルダ323を第2壁部212へ向かって移動させる。
第2バーリングパンチ322及び第2バーリングホルダ323が、第2壁部212の外壁面212aに当接した後、上記アクチュエータを用いて、第2バーリングパンチ322及び第2バーリングホルダ323に対して、第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加えることにより、第2バーリングパンチ322及び第2バーリングホルダ323を第2壁部212の外壁面212aに圧接する。
【0121】
また、内部ユニット330において、不図示のアクチュエータを用いて、第1ストッパー336を基準点Pに向かって第2軸線Yに沿って移動させる。第1ストッパー336が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第1ストッパー336の第1傾斜面336aが第1バーリングダイ332の傾斜面332cと面接触すると共に、第1ストッパー336の第2傾斜面336bが第2バーリングダイ334の傾斜面334cと面接触しながら、第1バーリングダイ332が第1壁部211へ向かって移動し、第2バーリングダイ334が第2壁部212へ向かって移動する。
【0122】
第1バーリングダイ332の平坦面332bが第1壁部211の内壁面211bに面接触し、且つ第2バーリングダイ334の平坦面334bが第2壁部212の内壁面212bに面接触する位置まで、第1ストッパー336を第2軸線Yに沿って移動させる。
その位置からさらに所定距離だけ、第1ストッパー336を移動させることにより、第1バーリングダイ332に対して第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えると共に、第2バーリングダイ334に対して第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加える。
その結果、第1バーリングダイ332は、第1壁部211の内壁面211bに圧接され、第2バーリングダイ334は、第2壁部212の内壁面212bに圧接される。
このように、第1バーリングダイ332と第2バーリングダイ334との間に、第1ストッパー336を挿入することにより、第1バーリングダイ332を第1壁部211の内壁面211bに圧接させ、且つ第2バーリングダイ334を第2壁部212の内壁面212bに圧接させる。
【0123】
この時点で、第1バーリングダイ332の移動に伴って、ハウジング331内の第1スプリング338が圧縮されるので、第1バーリングダイ332に対して常に基準点Pに向かう外力が付与されることになる。同様に、第2バーリングダイ334の移動に伴って、ハウジング331内の第2スプリング339が圧縮されるので、第2バーリングダイ334に対して常に基準点Pに向かう外力が付与されることになる。
【0124】
さらに、内部ユニット330において、不図示のアクチュエータを用いて、第2ストッパー337を基準点Pに向かって第2軸線Yに沿って移動させる。第2ストッパー337が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第2ストッパー337の第3傾斜面337aが第1ピアスダイ333の傾斜面333cと面接触すると共に、第2ストッパー337の第4傾斜面337bが第2ピアスダイ335の傾斜面335cと面接触しながら、第1ピアスダイ333が第1壁部211へ向かって移動し、第2ピアスダイ335が第2壁部212へ向かって移動する。
【0125】
第1ピアスダイ333の平坦面333bが第1壁部211の内壁面211bに面接触し、且つ第2ピアスダイ335の平坦面335bが第2壁部212の内壁面212bに面接触する位置まで、第2ストッパー337を第2軸線Yに沿って移動させる。
その位置からさらに所定距離だけ、第2ストッパー337を移動させることにより、第1ピアスダイ333に対して第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えると共に、第2ピアスダイ335に対して第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加える。
その結果、第1ピアスダイ333は、第1壁部211の内壁面211bに圧接され、第2ピアスダイ335は、第2壁部212の内壁面212bに圧接される。
このように、第1ピアスダイ333と第2ピアスダイ335との間に、第2ストッパー337を挿入することにより、第1ピアスダイ333を第1壁部211の内壁面211bに圧接させ、且つ第2ピアスダイ335を第2壁部212の内壁面212bに圧接させる。
なお、第1ストッパー336の挿入と第2ストッパー337の挿入とを別々のタイミングで行ってもよいし、或いは同時に行ってもよい。
【0126】
図7に示すように、上記のような第1工程が終了した時点で、第1バーリングパンチ312と第1ピアスダイ333とが、第1壁部211を間に挟んで互いに対向する状態で配置されると共に、第1バーリングホルダー313と第1バーリングダイ332とが、第1壁部211を間に挟んで互いに対向する状態で配置される。
また、第2バーリングパンチ322と第2ピアスダイ335とが、第2壁部212を間に挟んで互いに対向する状態で配置されると共に、第2バーリングホルダー323と第2バーリングダイ334とが、第2壁部212を間に挟んで互いに対向する状態で配置される。
【0127】
<第2工程>
続いて、
図8に示すように、不図示のアクチュエータを用いて、第1ピアスパンチ311を第1ピアスホルダ333の第1ピアス孔333a内に挿入させるように、第1ピアスパンチ311を第1軸線Xに沿って第1壁部211の外側から内側へ移動させることにより、第1壁部211に下孔の一方を形成する。
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第1ピアスパンチ311の外径と同じ直径を有する下孔H1が第1壁部211に形成される。
【0128】
同様に、不図示のアクチュエータを用いて、第2ピアスパンチ321を第2ピアスホルダ335の第2ピアス孔335a内に挿入させるように、第2ピアスパンチ321を第1軸線Xに沿って第2壁部212の外側から内側へ移動させることにより、第2壁部212に下孔の他方を形成する。
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第2ピアスパンチ321の外径と同じ直径を有する下孔H2が第2壁部212に形成される。
【0129】
なお、下孔H1及びH2の形成は、別々のタイミングで行っても良いし、或いは、同時に行ってもよい。
【0130】
続いて、
図9に示すように、第2ストッパー337を第1ピアスダイ333と第2ピアスダイ335との間から取り除く。これにより、第1ピアスダイ333及び第2ピアスダイ335は、それぞれ、基準点Pに向かって移動可能な状態となる。
【0131】
続いて、
図10に示すように、不図示のアクチュエータを用いて、第1バーリングパンチ312を第1バーリングダイ332の第1成形孔332a内に挿入させるように、第1バーリングパンチ312を第1軸線Xに沿って第1壁部211の外側から内側へ移動させることにより、第1壁部211の下孔H1の周縁部を第1壁部211の内側へ屈曲させてバーリング加工孔の一方を形成する。
【0132】
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第1壁部211の内側へ向かって延びる立上がり壁部を有するバーリング加工孔BH1が第1壁部211に形成される。バーリング加工孔BH1の内径は、第1バーリングパンチ312の外径と同じである。バーリング加工孔BH1の周縁部に形成された立上がり壁部の高さ(第1軸線Xに沿う長さ)は、第1ピアスパンチ311の外径と第1バーリングパンチ312の外径との差分によって決定される。
【0133】
ここで、第1バーリングパンチ312の移動に伴い、第1ピアスダイ333も基準点Pに向かって移動する。つまり、第1壁部211にバーリング加工孔BH1が形成された時点で、第1ピアスダイ333は第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰する。
【0134】
同様に、不図示のアクチュエータを用いて、第2バーリングパンチ322を第2バーリングダイ334の第2成形孔334a内に挿入させるように、第2バーリングパンチ322を第1軸線Xに沿って第2壁部212の外側から内側へ移動させることにより、第2壁部212の下孔H2の周縁部を第2壁部212の内側へ屈曲させてバーリング加工孔の一方を形成する。
【0135】
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第2壁部212の内側へ向かって延びる立上がり壁部を有するバーリング加工孔BH2が第2壁部212に形成される。バーリング加工孔BH2の内径は、第2バーリングパンチ322の外径と同じである。バーリング加工孔BH2の周縁部に形成された立上がり壁部の高さは、第2ピアスパンチ321の外径と第2バーリングパンチ322の外径との差分によって決定される。
【0136】
ここで、第2バーリングパンチ322の移動に伴い、第2ピアスダイ335も基準点Pに向かって移動する。つまり、第2壁部212にバーリング加工孔BH2が形成された時点で、第2ピアスダイ335は第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰する。
【0137】
なお、バーリング加工孔BH1及びBH2の形成は、別々のタイミングで行っても良いし、或いは、同時に行ってもよい。
【0138】
続いて、
図11に示すように、第1ストッパー336を第1バーリングダイ332と第2バーリングダイ334との間から取り除く。これにより、第1バーリングダイ332及び第2バーリングダイ334は、それぞれ、基準点Pに向かって移動可能な状態となる。
【0139】
上記のように、第1スプリング338及び第2スプリング339の圧縮によって、第1バーリングダイ332及び第2バーリングダイ334に対して基準点Pに向かう外力が付与されている。そのため、第1ストッパー336が第1バーリングダイ332と第2バーリングダイ334との間から取り除かれると、第1バーリングダイ332及び第2バーリングダイ334は、それぞれ、基準点Pに向かって移動する。
【0140】
つまり、第1ストッパー336が第1バーリングダイ332と第2バーリングダイ334との間から取り除かれると、第1バーリングダイ332及び第2バーリングダイ335に対して互いに近づく方向に付与された外力によって、第1バーリングダイ332及び第2バーリングダイ334は、第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰する。
【0141】
上記のように、第2工程の終了時点で、第1軸線Xを中心軸線として共有するバーリング加工孔BH1及びBH2が形成され、且つ第1バーリングダイ332、第1ピアスダイ333、第2バーリングダイ334及び第2ピアスダイ335が、第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰した状態となる。
【0142】
<第3工程>
最後に、
図12に示すように、第1壁部211から第1外部ユニット310を取り外し、第2壁部212から第2外部ユニット320を取り外し、さらに、第1壁部211と第2壁部212との間から内部ユニット330を取り外して、バーリング加工は終了である。
【0143】
バーリング加工孔BH1は、第1壁部211の内側に延びる立上がり壁部を有し、バーリング加工孔BH2は、第2壁部212の内側に延びる立上がり壁部を有しているが、第1バーリングダイ332、第1ピアスダイ333、第2バーリングダイ334及び第2ピアスダイ335が、第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰した状態となっているので、第1壁部211と第2壁部212との間から内部ユニット330を容易に取り外すことができる。
【0144】
以上のように、本第1実施形態では、第1ピアスパンチ311を用いて第1壁部211に下孔H1を形成した後、第1ピアスパンチ311と第1軸線Xを中心軸線として共有する第1バーリングパンチ312を用いて、第1壁部211の下孔H1の周縁部を第1壁部211の内側へ屈曲させてバーリング加工孔BH1を形成する。
また、本第1実施形態では、第2ピアスパンチ321を用いて第2壁部212に下孔H2を形成した後、第2ピアスパンチ321と第1軸線Xを中心軸線として共有する第2バーリングパンチ322を用いて、第2壁部212の下孔H2の周縁部を第2壁部212の内側へ屈曲させてバーリング加工孔BH2を形成する。
【0145】
これにより、下孔H1及びH2の中心軸線とバーリング加工孔BH1及びBH2の中心軸線との間に生じるズレを大幅に低減できるので、同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔BH1及びBH2を非常に精度良く形成することができる。
【0146】
また、本第1実施形態によれば、第1壁部211の下孔H1と第2壁部212の下孔H2とを同時に形成することができると共に、第1壁部211のバーリング加工孔BH1と第2壁部212のバーリング加工孔H2とを同時に形成することができるので、非常に効率的である。
【0147】
従って、本第1実施形態によれば、互いに対向する第1壁部211及び第2壁部212のそれぞれに対して、同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔BH1及びBH2を精度良く且つ効率的に形成することが可能である。
【0148】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るバーリング加工装置及びバーリング加工方法について説明する。本第2実施形態では、第1壁部211の外側へ向かって屈曲する立上がり壁部を有するバーリング加工孔を第1壁部211に形成すると共に、第2壁部212の外側へ向かって屈曲する立上がり壁部を有するバーリング加工孔を第2壁部212に形成するためのバーリング加工装置及びバーリング加工方法について説明する。
【0149】
図13Aは、第2実施形態に係るバーリング加工装置400の側断面図である。
図13Bは、第2実施形態に係るバーリング加工装置400の正断面図である。なお、
図13Aは、第1軸線X及び第2軸線Yを含む断面でバーリング加工装置400を見た図である。
図13Bは、第1軸線X及び第3軸線Zを含む断面でバーリング加工装置400を見た図である。
【0150】
図13A及び
図13Bに示すように、バーリング加工装置400は、第1壁部211の外側に配置される第1外部ユニット410と、第2壁部212の外側に配置される第2外部ユニット420と、第1壁部211と第2壁部212との間に配置される内部ユニット430とを備えている。
【0151】
第1外部ユニット410は、第1バーリングダイ411と、第1ピアスホルダ412と、第1ピアスパンチ413とを備えている。
【0152】
第1バーリングダイ411は、後述の第1バーリングパンチ432が挿入される第1成形孔411aを有する円形の厚板部材である。第1成形孔411aは、第1バーリングダイ411の板厚方向に沿って貫通し、且つ第1バーリングダイ411と中心軸線を同じくする円孔である。第1成形孔411aの直径は、第1バーリングパンチ432の外径と第1壁部211の厚さとの加算値と同一であることが望ましい。
【0153】
第1バーリングダイ411は、第1成形孔411aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。第1バーリングダイ411は、第1壁部211の外壁面211aと面接触可能な平坦面411bを有する。
【0154】
第1ピアスホルダ412は、第1ピアスパンチ413の通路となる第1貫通孔412aを有する円形の厚板部材である。第1貫通孔412aは、第1ピアスホルダ412の板厚方向に貫通し、且つ第1ピアスホルダ412と中心軸線を同じくする円孔である。
【0155】
第1ピアスホルダ412は、第1バーリングダイ411の第1成形孔411aの内部において、第1貫通孔412aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1ピアスホルダ412は、第1壁部211の外壁面211aに対して面接触可能な平坦面412bを有する。
【0156】
第1ピアスパンチ413は、第1壁部211に下孔を形成するための円柱状の軸部材である。第1ピアスパンチ413は、第1ピアスホルダ412の第1貫通孔412aの内部において、第1ピアスパンチ413の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。
【0157】
上記のように、第1外部ユニット410において、第1バーリングダイ411、第1ピアスホルダ412及び第1ピアスパンチ413は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0158】
また、第1外部ユニット410において、第1バーリングダイ411の内周面(第1成形孔411aの表面)と、第1ピアスホルダ412の外周面とが互いに密着していることが望ましい。また、第1ピアスホルダ412の内周面(第1貫通孔412aの表面)と、第1ピアスパンチ413の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第1ピアスパンチ413が第1軸線Xに沿って移動するときに、第1ピアスパンチ413の中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0159】
第2外部ユニット420は、第2バーリングダイ421と、第2ピアスホルダ422と、第2ピアスパンチ423とを備えている。
【0160】
第2バーリングダイ421は、後述の第2バーリングパンチ433が挿入される第2成形孔421aを有する円形の厚板部材である。第2成形孔421aは、第2バーリングダイ421の板厚方向に沿って貫通し、且つ第2バーリングダイ421と中心軸線を同じくする円孔である。第2成形孔421aの直径は、第2バーリングパンチ433の外径と第2壁部212の厚さとの加算値と同一であることが望ましい。
【0161】
第2バーリングダイ421は、第2成形孔421aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。第2バーリングダイ421は、第2壁部212の外壁面212aと面接触可能な平坦面421bを有する。
【0162】
第2ピアスホルダ422は、第2ピアスパンチ423の通路となる第2貫通孔422aを有する円形の厚板部材である。第2貫通孔422aは、第2ピアスホルダ422の板厚方向に貫通し、且つ第2ピアスホルダ422と中心軸線を同じくする円孔である。
【0163】
第2ピアスホルダ422は、第2バーリングダイ421の第2成形孔421aの内部において、第2貫通孔422aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2ピアスホルダ422は、第2壁部212の外壁面212aに対して面接触可能な平坦面422bを有する。
【0164】
第2ピアスパンチ423は、第2壁部212に下孔を形成するための円柱状の軸部材である。第2ピアスパンチ423は、第2ピアスホルダ422の第2貫通孔422aの内部において、第2ピアスパンチ423の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。
【0165】
上記のように、第2外部ユニット420において、第2バーリングダイ421、第2ピアスホルダ422及び第2ピアスパンチ423は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0166】
また、第2外部ユニット420において、第2バーリングダイ421の内周面(第2成形孔421aの表面)と、第2ピアスホルダ422の外周面とが互いに密着していることが望ましい。また、第2ピアスホルダ422の内周面(第2貫通孔422aの表面)と、第2ピアスパンチ423の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第2ピアスパンチ423が第1軸線Xに沿って移動するときに、第2ピアスパンチ423の中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0167】
内部ユニット430は、ハウジング431と、第1バーリングパンチ432と、第2バーリングパンチ433と、ストッパー434とを備えている。
【0168】
ハウジング431は、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433を内包し且つ両端面が開放された円筒部材である。ハウジング431は、その中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211と第2壁部212との間に配置される。ハウジング431は、ストッパー434が第2軸線Yに沿って通過可能な大きさで開口する第1開口部431a及び第2開口部431bを有する。
【0169】
第1壁部211と第2壁部212との間にハウジング431が配置されたとき、ハウジング431の一方の端面が第1壁部211の内壁面211bに面接触すると共に、ハウジング431の他方の端面が第2壁部212の内壁面212bに面接触するように、ハウジング431は構成されている。
【0170】
第1バーリングパンチ432は、第1ピアスパンチ413と第1軸線Xを中心軸線として共有し、第1壁部211の下孔の周縁部を第1壁部211の外側へ屈曲させてバーリング加工孔を形成するための円筒状の軸部材である。
【0171】
第1バーリングパンチ432は、第1ピアスパンチ413が挿入される第1ピアス孔432aを有する。第1ピアス孔432aは、第1バーリングパンチ432の軸方向に沿って貫通し、且つ第1バーリングパンチ432と中心軸線を同じくする円孔である。第1ピアス孔432aの直径は、第1ピアスパンチ413の外径と同一であることが望ましい。
【0172】
第1バーリングパンチ432は、ハウジング431の内部において、第1ピアス孔432aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1バーリングパンチ432は、第1壁部211の内壁面211bと面接触可能な平坦面432bを一方の端面として有すると共に、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かう方向に傾斜する傾斜面432cを他方の端面として有する。
【0173】
第2バーリングパンチ433は、第2ピアスパンチ423と第1軸線Xを中心軸線として共有し、第2壁部212の下孔の周縁部を第2壁部212の外側へ屈曲させてバーリング加工孔を形成するための円筒状の軸部材である。第1バーリングダイパンチ432及び第2バーリングパンチ433は、基準点Pを挟んで互いに向かい合うように配置されている。
【0174】
第2バーリングパンチ433は、第2ピアスパンチ423が挿入される第2ピアス孔433aを有する。第2ピアス孔433aは、第2バーリングパンチ433の軸方向に沿って貫通し、且つ第2バーリングパンチ433と中心軸線を同じくする円孔である。第2ピアス孔433aの直径は、第2ピアスパンチ423の外径と同一であることが望ましい。
【0175】
第2バーリングパンチ433は、ハウジング431の内部において、第2ピアス孔433aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2バーリングパンチ433は、第2壁部212の内壁面212bと面接触可能な平坦面433bを一方の端面として有すると共に、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かう方向に傾斜する傾斜面433cを他方の端面として有する。第2バーリングパンチ433の傾斜面433cの傾斜角は、第1バーリングパンチ432の傾斜面432cの傾斜角と同じである。
【0176】
ストッパー434は、第2軸線Yに沿って移動自在に設けられた厚板部材である。このストッパー434は、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かって傾斜する第1傾斜面434aと、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かって傾斜する第2傾斜面434bとを有する。
【0177】
第1傾斜面434aの傾斜角は、第1バーリングパンチ432の傾斜面432cの傾斜角と同じである。第2傾斜面434bの傾斜角は、第2バーリングパンチ433の傾斜面433cの傾斜角と同じである。すなわち、第1傾斜面434aの傾斜角は、第2傾斜面434bの傾斜角と同じである。
【0178】
詳細は後述するが、ストッパー434が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、ストッパー434の第1傾斜面434aが第1バーリングパンチ432の傾斜面432cと面接触すると共に、ストッパー434の第2傾斜面434bが第2バーリングパンチ433の傾斜面433cと面接触する。
ストッパー434が、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433と面接触した状態で、基準点Pより深く進行すると、第1バーリングパンチ432が第1壁部211へ向かって移動し、第2バーリングパンチ433が第2壁部212へ向かって移動する。
その結果、第1バーリングパンチ432の平坦面432bは第1壁部211の内壁面211bに面接触し、第2バーリングパンチ433の平坦面433bは第2壁部212の内壁面212bに面接触する。
このように、ストッパー434は、第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第1バーリングパンチ432を第1壁部211へ向かって移動させ、且つ第2バーリングパンチ433を第2壁部212へ向かって移動させる形状を有している。
【0179】
図13Bに示すように、ハウジング431の内周面において、第1バーリングパンチ432に対向する領域には、第3軸線Zに沿う方向に所定の深さを有し且つ第1軸線Xに沿う方向に所定の幅を有する第1の溝431cが形成されている。第1バーリングパンチ432の外周面には、第1の溝431cへ向かって突出する第1突起部432dが設けられている。第1の溝431cの第1壁部211側の側壁面と第1突起部432dとの間には、伸縮方向が第1軸線Xと平行となるように、第1スプリング435が配置されている。
【0180】
また、
図13Bに示すように、ハウジング431の内周面において、第2バーリングパンチ433に対向する領域には、第3軸線Zに沿う方向に所定の深さを有し且つ第1軸線Xに沿う方向に所定の幅を有する第2の溝431dが形成されている。第2バーリングパンチ433の外周面には、第2の溝431dへ向かって突出する第2突起部433dが設けられている。第2の溝431dの第2壁部212側の側壁面と第2突起部433dとの間には、伸縮方向が第1軸線Xと平行となるように、第2スプリング436が配置されている。
【0181】
第1突起部432dを有する第1バーリングパンチ432が第1壁部211へ向かって移動すると、第1スプリング435が圧縮され、その結果、第1バーリングパンチ432に対して基準点Pに向かう外力が付与される。また、第2突起部433dを有する第2バーリングパンチ433が第2壁部212へ向かって移動すると、第2スプリング436が圧縮され、その結果、第2バーリングパンチ433に対して基準点Pに向かう外力が付与される。
【0182】
このように、内部ユニット430は、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433に対して、それぞれ個別に基準点Pに向かう外力を付与するバーリングパンチ復帰機構を備えている。
【0183】
上記のように構成された内部ユニット430において、ハウジング431、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0184】
また、内部ユニット430において、ハウジング431の内周面と第1バーリングパンチ432の外周面とが互いに密着していることが望ましく、ハウジング331の内周面と第2バーリングパンチ433の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433が、それぞれ第1軸線Xに沿って移動するときに、これらの中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0185】
次に、上記のように構成されたバーリング加工装置400を用いて実現される第2実施形態に係るバーリング加工方法について説明する。
【0186】
<第1工程>
図13A及び
図13Bに示したように、まず、第1壁部211の外側にバーリング加工装置400の第1外部ユニット410を配置し、第2壁部212の外側にバーリング加工装置400の第2外部ユニット420を配置し、第1壁部211と第2壁部212との間にバーリング加工装置400の内部ユニット430を配置する。
【0187】
すなわち、第1バーリングダイ411、第1ピアスホルダ412及び第1ピアスパンチ413が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、第1外部ユニット410を第1壁部211の外側に配置する。
また、第2バーリングダイ421、第2ピアスホルダ422及び第2ピアスパンチ423が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、第2外部ユニット420を第2壁部212の外側に配置する。
さらに、ハウジング431、第1バーリングパンチ432及び第1バーリングパンチ433が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、内部ユニット430のハウジング431を第1壁部211と第2壁部212との間に配置する。
なお、この時点では、ストッパー434は、ハウジング431の外部に配置されている。また、ハウジング431の一方の端面は、第1壁部211の内壁面211bに面接触し、ハウジング431の他方の端面は、第2壁部212の内壁面212bに面接触している。
【0188】
続いて、
図14に示すように、第1外部ユニット410において、第1バーリングダイ411及び第1ピアスホルダ412が、第1壁部211の外壁面211aに当接するまで、不図示のアクチュエータを用いて、第1バーリングダイ411及び第1ピアスホルダ412を第1軸線Xに沿って第1壁部211へ向かって移動させる。
第1バーリングダイ411及び第1ピアスホルダ412が、第1壁部211の外壁面211aに当接した後、上記アクチュエータを用いて、第1バーリングダイ411及び第1ピアスホルダ412に対して、第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えることにより、第1バーリングダイ411及び第1ピアスホルダ412を第1壁部211の外壁面211aに圧接する。
【0189】
同様に、第2外部ユニット420において、第2バーリングダイ421及び第2ピアスホルダ422が、第2壁部212の外壁面212aに当接するまで、不図示のアクチュエータを用いて、第2バーリングダイ421及び第2ピアスホルダ422を第2壁部212へ向かって移動させる。
第2バーリングダイ421及び第2ピアスホルダ422が、第2壁部212の外壁面212aに当接した後、上記アクチュエータを用いて、第2バーリングダイ421及び第2ピアスホルダ422に対して、第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加えることにより、第2バーリングダイ421及び第2ピアスホルダ422を第2壁部212の外壁面212aに圧接する。
【0190】
また、内部ユニット430において、不図示のアクチュエータを用いて、ストッパー434を基準点Pに向かって第2軸線Yに沿って移動させる。ストッパー434が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、ストッパー434の第1傾斜面434aが第1バーリングパンチ432の傾斜面432cと面接触すると共に、ストッパー434の第2傾斜面434bが第2バーリングパンチ433の傾斜面433cと面接触しながら、第1バーリングパンチ432が第1壁部211へ向かって移動し、第2バーリングパンチ433が第2壁部212へ向かって移動する。
【0191】
第1バーリングパンチ432の平坦面432bが第1壁部211の内壁面211bに面接触し、且つ第2バーリングパンチ433の平坦面433bが第2壁部212の内壁面212bに面接触する位置まで、ストッパー434を第2軸線Yに沿って移動させる。
その位置からさらに所定距離だけ、ストッパー434を移動させることにより、第1バーリングパンチ432に対して第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えると共に、第2バーリングパンチ433に対して第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加える。
その結果、第1バーリングパンチ432は、第1壁部211の内壁面211bに圧接され、第2バーリングパンチ433は、第2壁部212の内壁面212bに圧接される。
このように、第1バーリングパンチ432と第2バーリングパンチ433との間に、ストッパー434を挿入することにより、第1バーリングパンチ432を第1壁部211の内壁面211bに圧接させ且つ第2バーリングパンチ433を第2壁部212の内壁面212bに圧接させる。
【0192】
この時点で、第1バーリングパンチ432の移動に伴って、ハウジング431内の第1スプリング435が圧縮されるので、第1バーリングパンチ432に対して常に基準点Pに向かう外力が付与されることになる。同様に、第2バーリングパンチ433の移動に伴って、ハウジング431内の第2スプリング436が圧縮されるので、第2バーリングパンチ433に対して常に基準点Pに向かう外力が付与されることになる。
【0193】
図14に示すように、上記のような第1工程が終了した時点で、第1バーリングダイ411とハウジング431とが、第1壁部211を間に挟んで互いに対向する状態で配置されると共に、第1ピアスホルダ412と第1バーリングパンチ432とが、第1壁部211を間に挟んで互いに対向する状態で配置される。
また、第2バーリングダイ421とハウジング431とが、第2壁部212を間に挟んで互いに対向する状態で配置されると共に、第2ピアスホルダ422と第2バーリングパンチ433とが、第2壁部212を間に挟んで互いに対向する状態で配置される。
【0194】
<第2工程>
続いて、
図15に示すように、不図示のアクチュエータを用いて、第1ピアスパンチ413を第1バーリングパンチ432の第1ピアス孔432a内に挿入させるように、第1ピアスパンチ413を第1軸線Xに沿って第1壁部211の外側から内側へ移動させることにより、第1壁部211に下孔の一方を形成する。
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第1ピアスパンチ413の外径と同じ直径を有する下孔H3が第1壁部211に形成される。
【0195】
同様に、不図示のアクチュエータを用いて、第2ピアスパンチ423を第2バーリングパンチ433の第2ピアス孔433a内に挿入させるように、第2ピアスパンチ423を第1軸線Xに沿って第2壁部212の外側から内側へ移動させることにより、第2壁部212に下孔の他方を形成する。
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第2ピアスパンチ423の外径と同じ直径を有する下孔H4が第2壁部212に形成される。
【0196】
なお、下孔H3及びH4の形成は、別々のタイミングで行っても良いし、或いは、同時に行ってもよい。
【0197】
続いて、
図16に示すように、第1バーリングパンチ432と第2バーリングパンチ433との間に、ストッパー434をより深く挿入することにより、第1バーリングパンチ432を第1軸線Xに沿って第1壁部211へ向かって移動させると共に、第2バーリングパンチ433を第1軸線Xに沿って第2壁部212へ向かって移動させる。
【0198】
上記のように、第1バーリングパンチ432を第1バーリングダイ411の第1成形孔411a内に挿入させるように、第1バーリングパンチ432を第1軸線Xに沿って第1壁部211の内側から外側へ移動させることにより、第1壁部211の下孔H3の周縁部を第1壁部211の外側へ屈曲させてバーリング加工孔の一方を形成する。
【0199】
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第1壁部211の外側へ向かって延びる立上がり壁部を有するバーリング加工孔BH3が第1壁部211に形成される。バーリング加工孔BH3の内径は、第1バーリングパンチ432の外径と同じである。バーリング加工孔BH3の周縁部に形成された立上がり壁部の高さは、第1ピアスパンチ413の外径と第1バーリングパンチ432の外径との差分によって決定される。
【0200】
同様に、第2バーリングパンチ433を第2バーリングダイ421の第2成形孔421a内に挿入させるように、第2バーリングパンチ433を第1軸線Xに沿って第2壁部212の内側から外側へ移動させることにより、第2壁部212の下孔H4の周縁部を第2壁部212の外側へ屈曲させてバーリング加工孔の一方を形成する。
【0201】
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第2壁部212の外側へ向かって延びる立上がり壁部を有するバーリング加工孔BH4が第2壁部212に形成される。バーリング加工孔BH4の内径は、第2バーリングパンチ433の外径と同じである。バーリング加工孔BH4の周縁部に形成された立上がり壁部の高さは、第2ピアスパンチ423の外径と第2バーリングパンチ433の外径との差分によって決定される。
【0202】
バーリング加工孔BH3及びBH4の形成は、第1バーリングパンチ432と第2バーリングパンチ433との間に、ストッパー434をより深く挿入する過程で同時に行われる。
【0203】
続いて、
図17に示すように、ストッパー434を第1バーリングパンチ432と第2バーリングパンチ433との間から取り除く。これにより、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433は、それぞれ、基準点Pに向かって移動可能な状態となる。
【0204】
上記のように、第1スプリング435及び第2スプリング436の圧縮によって、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433に対して基準点Pに向かう外力が付与されているので、ストッパー434が第1バーリングパンチ432と第2バーリングパンチ433との間から取り除かれると、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433は、それぞれ、基準点Pに向かって移動する。
【0205】
つまり、ストッパー434が第1バーリングパンチ432と第2バーリングパンチ433との間から取り除かれると、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433に対して互いに近づく方向に付与された外力によって、第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433は、第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰する。
【0206】
上記のように、第2工程の終了時点で、第1軸線Xを中心軸線として共有するバーリング加工孔BH3及びBH4が形成され、且つ第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433が、第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰した状態となる。
【0207】
<第3工程>
最後に、
図18に示すように、第1壁部211から第1外部ユニット410を取り外し、第2壁部212から第2外部ユニット420を取り外し、さらに、第1壁部211と第2壁部212との間から内部ユニット430を取り外して、バーリング加工は終了である。
【0208】
第1バーリングパンチ432及び第2バーリングパンチ433が、第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰した状態となっているので、第1壁部211と第2壁部212との間から内部ユニット330(ハウジング431)を容易に取り外すことができる。
【0209】
以上のように、本第2実施形態では、第1ピアスパンチ413を用いて第1壁部211に下孔H3を形成した後、第1ピアスパンチ413と第1軸線Xを中心軸線として共有する第1バーリングパンチ432を用いて、第1壁部211の下孔H3の周縁部を第1壁部211の外側へ屈曲させてバーリング加工孔BH3を形成する。
また、本第2実施形態では、第2ピアスパンチ423を用いて第2壁部212に下孔H4を形成した後、第2ピアスパンチ423と第1軸線Xを中心軸線として共有する第2バーリングパンチ433を用いて、第2壁部212の下孔H4の周縁部を第2壁部212の外側へ屈曲させてバーリング加工孔BH4を形成する。
【0210】
これにより、下孔H3及びH4の中心軸線とバーリング加工孔BH3及びBH4の中心軸線との間に生じるズレを大幅に低減できるので、同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔BH3及びBH4を非常に精度良く形成することができる。
【0211】
また、本第2実施形態によれば、第1壁部211の下孔H3と第2壁部212の下孔H4とを同時に形成することができると共に、第1壁部211のバーリング加工孔BH3と第2壁部212のバーリング加工孔H4とを同時に形成することができるので、非常に効率的である。
【0212】
従って、本第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、互いに対向する第1壁部211及び第2壁部212のそれぞれに対して、同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔BH3及びBH4を精度良く且つ効率的に形成することが可能である。
【0213】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るバーリング加工装置及びバーリング加工方法について説明する。本第3実施形態では、第1壁部211の外側へ向かって屈曲する立上がり壁部を有するバーリング加工孔を第1壁部211に形成すると共に、第2壁部212の外側へ向かって屈曲する立上がり壁部を有するバーリング加工孔を第2壁部212に形成するためのバーリング加工装置及びバーリング加工方法について説明する。つまり、本第3実施形態は、上記第2実施形態の変形例である。
【0214】
図19Aは、第3実施形態に係るバーリング加工装置500の側断面図である。
図19Bは、第3実施形態に係るバーリング加工装置500の正断面図である。なお、
図19Aは、第1軸線X及び第2軸線Yを含む断面でバーリング加工装置500を見た図である。
図19Bは、第1軸線X及び第3軸線Zを含む断面でバーリング加工装置500を見た図である。
【0215】
図19A及び
図19Bに示すように、バーリング加工装置500は、第1壁部211の外側に配置される第1外部ユニット510と、第2壁部212の外側に配置される第2外部ユニット520と、第1壁部211と第2壁部212との間に配置される内部ユニット530とを備えている。
【0216】
第1外部ユニット510は、第1バーリングダイ511と、第1ピアスホルダ512と、第1ピアスパンチ513とを備えている。
【0217】
第1バーリングダイ511は、後述の第1バーリングパンチ532が挿入される第1成形孔511aを有する円形の厚板部材である。第1成形孔511aは、第1バーリングダイ511の板厚方向に沿って貫通し、且つ第1バーリングダイ511と中心軸線を同じくする円孔である。第1成形孔511aの直径は、第1バーリングパンチ532の外径と第1壁部211の厚さとの加算値と同一であることが望ましい。
【0218】
第1バーリングダイ511は、第1成形孔511aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。第1バーリングダイ511は、第1壁部211の外壁面211aと面接触可能な平坦面511bを有する。
【0219】
第1ピアスホルダ512は、第1ピアスパンチ513の通路となる第1貫通孔512aを有する円形の厚板部材である。第1貫通孔512aは、第1ピアスホルダ512の板厚方向に貫通し、且つ第1ピアスホルダ512と中心軸線を同じくする円孔である。
【0220】
第1ピアスホルダ512は、第1バーリングダイ511の第1成形孔511aの内部において、第1貫通孔512aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1ピアスホルダ512は、第1壁部211の外壁面211aに対して面接触可能な平坦面512bを有する。
【0221】
第1ピアスパンチ513は、第1壁部211に下孔を形成するための円柱状の軸部材である。第1ピアスパンチ513は、第1ピアスホルダ512の第1貫通孔512aの内部において、第1ピアスパンチ513の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。
【0222】
上記のように、第1外部ユニット510において、第1バーリングダイ511、第1ピアスホルダ512及び第1ピアスパンチ513は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0223】
また、第1外部ユニット510において、第1バーリングダイ511の内周面(第1成形孔511aの表面)と、第1ピアスホルダ512の外周面とが互いに密着していることが望ましい。また、第1ピアスホルダ512の内周面(第1貫通孔512aの表面)と、第1ピアスパンチ513の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第1ピアスパンチ513が第1軸線Xに沿って移動するときに、第1ピアスパンチ513の中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0224】
第2外部ユニット520は、第2バーリングダイ521と、第2ピアスホルダ522と、第2ピアスパンチ523とを備えている。
【0225】
第2バーリングダイ521は、後述の第2バーリングパンチ533が挿入される第2成形孔521aを有する円形の厚板部材である。第2成形孔521aは、第2バーリングダイ521の板厚方向に沿って貫通し、且つ第2バーリングダイ521と中心軸線を同じくする円孔である。第2成形孔521aの直径は、第2バーリングパンチ533の外径と第2壁部212の厚さとの加算値と同一であることが望ましい。
【0226】
第2バーリングダイ521は、第2成形孔521aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。第2バーリングダイ521は、第2壁部212の外壁面212aと面接触可能な平坦面521bを有する。
【0227】
第2ピアスホルダ522は、第2ピアスパンチ523の通路となる第2貫通孔522aを有する円形の厚板部材である。第2貫通孔522aは、第2ピアスホルダ522の板厚方向に貫通し、且つ第2ピアスホルダ522と中心軸線を同じくする円孔である。
【0228】
第2ピアスホルダ522は、第2バーリングダイ521の第2成形孔521aの内部において、第2貫通孔522aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2ピアスホルダ522は、第2壁部212の外壁面212aに対して面接触可能な平坦面522bを有する。
【0229】
第2ピアスパンチ523は、第2壁部212に下孔を形成するための円柱状の軸部材である。第2ピアスパンチ523は、第2ピアスホルダ522の第2貫通孔522aの内部において、第2ピアスパンチ523の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。
【0230】
上記のように、第2外部ユニット520において、第2バーリングダイ521、第2ピアスホルダ522及び第2ピアスパンチ523は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0231】
また、第2外部ユニット520において、第2バーリングダイ521の内周面(第2成形孔521aの表面)と、第2ピアスホルダ522の外周面とが互いに密着していることが望ましい。また、第2ピアスホルダ522の内周面(第2貫通孔522aの表面)と、第2ピアスパンチ523の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第2ピアスパンチ423が第1軸線Xに沿って移動するときに、第2ピアスパンチ423の中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0232】
内部ユニット530は、ハウジング531と、第1バーリングパンチ532と、第2バーリングパンチ533と、ストッパー534とを備えている。
【0233】
ハウジング531は、第1バーリングパンチ532及び第2バーリングパンチ533を内包し且つ両端面が開放された円筒部材である。ハウジング531は、その中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211と第2壁部212との間に配置される。ハウジング531は、ストッパー534が第2軸線Yに沿って通過可能な大きさで開口する第1開口部531a及び第2開口部531bを有する。
【0234】
第1壁部211と第2壁部212との間にハウジング531が配置されたとき、ハウジング531の一方の端面が第1壁部211の内壁面211bに面接触すると共に、ハウジング531の他方の端面が第2壁部212の内壁面212bに面接触するように、ハウジング531は構成されている。
【0235】
第1バーリングパンチ532は、第1ピアスパンチ513と第1軸線Xを中心軸線として共有し、第1壁部211の下孔の周縁部を第1壁部211の外側へ屈曲させてバーリング加工孔を形成するための円筒状の軸部材である。
【0236】
第1バーリングパンチ532は、第1ピアスパンチ513が挿入される第1ピアス孔532aを有する。第1ピアス孔532aは、底部を有し且つ第1バーリングパンチ532と中心軸線を同じくする円孔である。第1ピアス孔532aの直径は、第1ピアスパンチ513の外径と同一であることが望ましい。
【0237】
第1バーリングパンチ532は、ハウジング531の内部において、第1ピアス孔532aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1バーリングパンチ532は、第1壁部211の内壁面211bと面接触可能な平坦面532bを一方の端面として有すると共に、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かう方向に傾斜する傾斜面532cを他方の端面として有する。
【0238】
第2バーリングパンチ533は、第2ピアスパンチ523と第1軸線Xを中心軸線として共有し、第2壁部212の下孔の周縁部を第2壁部212の外側へ屈曲させてバーリング加工孔を形成するための円筒状の軸部材である。第1バーリングダイパンチ532及び第2バーリングパンチ533は、基準点Pを挟んで互いに向かい合うように配置されている。
【0239】
第2バーリングパンチ533は、第2ピアスパンチ523が挿入される第2ピアス孔533aを有する。第2ピアス孔533aは、底部を有し且つ第2バーリングパンチ533と中心軸線を同じくする円孔である。第2ピアス孔533aの直径は、第2ピアスパンチ523の外径と同一であることが望ましい。
【0240】
第2バーリングパンチ533は、ハウジング531の内部において、第2ピアス孔533aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側と内側との間を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2バーリングパンチ533は、第2壁部212の内壁面212bと面接触可能な平坦面533bを一方の端面として有すると共に、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かう方向に傾斜する傾斜面533cを他方の端面として有する。第2バーリングパンチ533の傾斜面533cの傾斜角は、第1バーリングパンチ532の傾斜面532cの傾斜角と同じである。
【0241】
ストッパー534は、第2軸線Yに沿って移動自在に設けられた厚板部材である。このストッパー534は、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かって傾斜する第1傾斜面534aと、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かって傾斜する第2傾斜面534bとを有する。
【0242】
第1傾斜面534aの傾斜角は、第1バーリングパンチ532の傾斜面532cの傾斜角と同じである。第2傾斜面534bの傾斜角は、第2バーリングパンチ533の傾斜面533cの傾斜角と同じである。すなわち、第1傾斜面534aの傾斜角は、第2傾斜面534bの傾斜角と同じである。
【0243】
詳細は後述するが、ストッパー534が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、ストッパー534の第1傾斜面534aが第1バーリングパンチ532の傾斜面532cと面接触すると共に、ストッパー534の第2傾斜面534bが第2バーリングパンチ533の傾斜面533cと面接触する。
ストッパー534が、第1バーリングパンチ532及び第2バーリングパンチ533と面接触した状態で、基準点Pより深く進行すると、第1バーリングパンチ532が第1壁部211へ向かって移動し、第2バーリングパンチ533が第2壁部212へ向かって移動する。
その結果、第1バーリングパンチ532の平坦面532bは第1壁部211の内壁面211bに面接触し、第2バーリングパンチ533の平坦面533bは第2壁部212の内壁面212bに面接触する。
このように、ストッパー534は、第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第1バーリングパンチ532を第1壁部211へ向かって移動させ、且つ第2バーリングパンチ533を第2壁部212へ向かって移動させる形状を有している。
【0244】
さらに、ストッパー534は、第1バーリングパンチ532が第1壁部211の内壁面211bに圧接され、且つ第2バーリングパンチ533が第2壁部212の内壁面212bに圧接された状態で停止したとき、ストッパー534から分離して第1バーリングパンチ532及び第2バーリングパンチ533と共に第1軸線Xに沿ってハウジング531内を移動自在な分離ブロック534cを有する。
【0245】
上記のように構成された内部ユニット530において、ハウジング531、第1バーリングパンチ532及び第2バーリングパンチ533は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0246】
また、内部ユニット530において、ハウジング531の内周面と第1バーリングパンチ532の外周面とが互いに密着していることが望ましく、ハウジング531の内周面と第2バーリングパンチ533の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第1バーリングパンチ532及び第2バーリングパンチ533が、それぞれ第1軸線Xに沿って移動するときに、これらの中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0247】
次に、上記のように構成されたバーリング加工装置500を用いて実現される第3実施形態に係るバーリング加工方法について説明する。
【0248】
<第1工程>
図19A及び
図19Bに示したように、まず、第1壁部211の外側にバーリング加工装置500の第1外部ユニット510を配置し、第2壁部212の外側にバーリング加工装置500の第2外部ユニット520を配置し、第1壁部211と第2壁部212との間にバーリング加工装置500の内部ユニット530を配置する。
【0249】
すなわち、第1バーリングダイ511、第1ピアスホルダ512及び第1ピアスパンチ513が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、第1外部ユニット510を第1壁部211の外側に配置する。
また、第2バーリングダイ521、第2ピアスホルダ522及び第2ピアスパンチ523が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、第2外部ユニット520を第2壁部212の外側に配置する。
さらに、ハウジング531、第1バーリングパンチ532及び第1バーリングパンチ533が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、内部ユニット530のハウジング531を第1壁部211と第2壁部212との間に配置する。
なお、この時点では、ストッパー534は、ハウジング531の外部に配置されている。また、ハウジング531の一方の端面は、第1壁部211の内壁面211bに面接触し、ハウジング531の他方の端面は、第2壁部212の内壁面212bに面接触している。
【0250】
続いて、
図20に示すように、第1外部ユニット510において、第1バーリングダイ511及び第1ピアスホルダ512が、第1壁部211の外壁面211aに当接するまで、不図示のアクチュエータを用いて、第1バーリングダイ511及び第1ピアスホルダ512を第1軸線Xに沿って第1壁部211へ向かって移動させる。
第1バーリングダイ511及び第1ピアスホルダ512が、第1壁部211の外壁面211aに当接した後、上記アクチュエータを用いて、第1バーリングダイ511及び第1ピアスホルダ512に対して、第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えることにより、第1バーリングダイ511及び第1ピアスホルダ512を第1壁部211の外壁面211aに圧接する。
【0251】
同様に、第2外部ユニット520において、第2バーリングダイ521及び第2ピアスホルダ522が、第2壁部212の外壁面212aに当接するまで、不図示のアクチュエータを用いて、第2バーリングダイ521及び第2ピアスホルダ522を第2壁部212へ向かって移動させる。
第2バーリングダイ521及び第2ピアスホルダ522が、第2壁部212の外壁面212aに当接した後、上記アクチュエータを用いて、第2バーリングダイ521及び第2ピアスホルダ522に対して、第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加えることにより、第2バーリングダイ521及び第2ピアスホルダ522を第2壁部212の外壁面212aに圧接する。
【0252】
また、内部ユニット530において、不図示のアクチュエータを用いて、ストッパー534を基準点Pに向かって第2軸線Yに沿って移動させる。ストッパー534が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、ストッパー534の第1傾斜面534aが第1バーリングパンチ532の傾斜面532cと面接触すると共に、ストッパー534の第2傾斜面534bが第2バーリングパンチ533の傾斜面533cと面接触しながら、第1バーリングパンチ532が第1壁部211へ向かって移動し、第2バーリングパンチ533が第2壁部212へ向かって移動する。
【0253】
第1バーリングパンチ532の平坦面532bが第1壁部211の内壁面211bに面接触し、且つ第2バーリングパンチ533の平坦面533bが第2壁部212の内壁面212bに面接触する位置まで、ストッパー534を第2軸線Yに沿って移動させる。
その位置からさらに所定距離だけ、ストッパー534を移動させることにより、第1バーリングパンチ532に対して第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えると共に、第2バーリングパンチ533に対して第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加える。
その結果、第1バーリングパンチ532は、第1壁部211の内壁面211bに圧接され、第2バーリングパンチ533は、第2壁部212の内壁面212bに圧接される。
このように、第1バーリングパンチ532と第2バーリングパンチ533との間に、ストッパー534を挿入することにより、第1バーリングパンチ532を第1壁部211の内壁面211bに圧接させ且つ第2バーリングパンチ533を第2壁部212の内壁面212bに圧接させる。
【0254】
図20に示すように、上記のような第1工程が終了した時点で、第1バーリングダイ511とハウジング531とが、第1壁部211を間に挟んで互いに対向する状態で配置されると共に、第1ピアスホルダ512と第1バーリングパンチ532とが、第1壁部211を間に挟んで互いに対向する状態で配置される。
また、第2バーリングダイ521とハウジング531とが、第2壁部212を間に挟んで互いに対向する状態で配置されると共に、第2ピアスホルダ522と第2バーリングパンチ533とが、第2壁部212を間に挟んで互いに対向する状態で配置される。
【0255】
<第2工程>
続いて、
図21に示すように、不図示のアクチュエータを用いて、第1ピアスパンチ513を第1バーリングパンチ532の第1ピアス孔532a内に挿入させるように、第1ピアスパンチ513を第1軸線Xに沿って第1壁部211の外側から内側へ移動させることにより、第1壁部211に下孔の一方を形成する。
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第1ピアスパンチ513の外径と同じ直径を有する下孔H5が第1壁部211に形成される。
【0256】
同様に、不図示のアクチュエータを用いて、第2ピアスパンチ523を第2バーリングパンチ533の第2ピアス孔533a内に挿入させるように、第2ピアスパンチ523を第1軸線Xに沿って第2壁部212の外側から内側へ移動させることにより、第2壁部212に下孔の他方を形成する。
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第2ピアスパンチ523の外径と同じ直径を有する下孔H6が第2壁部212に形成される。
【0257】
なお、下孔H5及びH6の形成は、別々のタイミングで行っても良いし、或いは、同時に行ってもよい。
【0258】
続いて、
図22に示すように、第2ピアスパンチ523の先端を第2バーリングパンチ533の第2ピアス孔533aの底部に当接させた状態で、第2ピアスパンチ523を第1軸線Xに沿って第1壁部211へ向かって移動させることにより、第2バーリングパンチ533と、ストッパー534に設けられた分離可能な分離ブロック534cと、第1バーリングパンチ532とを同時に第1軸線Xに沿って第1壁部211の外側へ向かって移動させる。
【0259】
上記のように、第1バーリングパンチ532を第1バーリングダイ511の第1成形孔511a内に挿入させるように、第1バーリングパンチ532を第1軸線Xに沿って第1壁部211の内側から外側へ移動させることにより、第1壁部211の下孔H5の周縁部を第1壁部211の外側へ屈曲させてバーリング加工孔の一方を形成する。
【0260】
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第1壁部211の外側へ向かって延びる立上がり壁部を有するバーリング加工孔BH5が第1壁部211に形成される。バーリング加工孔BH5の内径は、第1バーリングパンチ532の外径と同じである。バーリング加工孔BH5の周縁部に形成された立上がり壁部の高さは、第1ピアスパンチ513の外径と第1バーリングパンチ532の外径との差分によって決定される。
【0261】
続いて、
図23に示すように、第1ピアスパンチ513の先端を第1バーリングパンチ532の第1ピアス孔532aの底部に当接させた状態で、第1ピアスパンチ513を第1軸線Xに沿って第2壁部212へ向かって移動させることにより、第1バーリングパンチ532と、分離ブロック534cと、第2バーリングパンチ533とを同時に第1軸線Xに沿って第2壁部212の外側へ向かって移動させる。
【0262】
上記のように、第2バーリングパンチ533を第2バーリングダイ521の第2成形孔521a内に挿入させるように、第2バーリングパンチ533を第1軸線Xに沿って第2壁部212の内側から外側へ移動させることにより、第2壁部212の下孔H6の周縁部を第2壁部212の外側へ屈曲させてバーリング加工孔の他方を形成する。
【0263】
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第2壁部212の外側へ向かって延びる立上がり壁部を有するバーリング加工孔BH6が第2壁部212に形成される。バーリング加工孔BH6の内径は、第2バーリングパンチ533の外径と同じである。バーリング加工孔BH6の周縁部に形成された立上がり壁部の高さは、第2ピアスパンチ523の外径と第2バーリングパンチ533の外径との差分によって決定される。
【0264】
続いて、
図24に示すように、第2ピアスパンチ523の先端を第2バーリングパンチ533の第2ピアス孔533aの底部に当接させた状態で、第2ピアスパンチ523を第1軸線Xに沿って第1壁部211へ向かって移動させることにより、分離ブロック534cをストッパー534内に戻す。
【0265】
上記のように、第2工程の終了時点で、第1軸線Xを中心軸線として共有するバーリング加工孔BH5及びBH6が形成され、且つ第1バーリングパンチ532及び第2バーリングパンチ533の全体が、ハウジング531の内部に完全に収容された状態となる。
【0266】
<第3工程>
最後に、
図25に示すように、第1壁部211から第1外部ユニット510を取り外し、第2壁部212から第2外部ユニット520を取り外し、さらに、第1壁部211と第2壁部212との間から内部ユニット530を取り外して、バーリング加工は終了である。
【0267】
第1バーリングパンチ532及び第2バーリングパンチ533の全体が、ハウジング531の内部に完全に収容された状態となるとなっているので、第1壁部211と第2壁部212との間から内部ユニット530(ハウジング531)を容易に取り外すことができる。
【0268】
以上のように、本第3実施形態では、第1ピアスパンチ513を用いて第1壁部211に下孔H5を形成した後、第1ピアスパンチ513と第1軸線Xを中心軸線として共有する第1バーリングパンチ532を用いて、第1壁部211の下孔H5の周縁部を第1壁部211の外側へ屈曲させてバーリング加工孔BH5を形成する。
また、本第3実施形態では、第2ピアスパンチ523を用いて第2壁部212に下孔H6を形成した後、第2ピアスパンチ523と第1軸線Xを中心軸線として共有する第2バーリングパンチ533を用いて、第2壁部212の下孔H6の周縁部を第2壁部212の外側へ屈曲させてバーリング加工孔BH6を形成する。
【0269】
これにより、下孔H5及びH6の中心軸線とバーリング加工孔BH5及びBH6の中心軸線との間に生じるズレを大幅に低減できるので、同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔BH5及びBH6を非常に精度良く形成することができる。
【0270】
また、本第3実施形態によれば、第1壁部211の下孔H5と第2壁部212の下孔H6とを同時に形成することはできるが、第1壁部211のバーリング加工孔BH5と第2壁部212のバーリング加工孔H6とを同時に形成することはできない。しかしながら、第1壁部211の下孔H5と第2壁部212の下孔H6とを同時に形成することができるだけでも、効率的である。
【0271】
また、上記第2実施形態と比較して、本第3実施形態によれば、第1バーリングパンチ532及び第2バーリングパンチ533に対して基準点Pに向かう外力を付与するバーリングパンチ復帰機構を設ける必要がないので、内部ユニット530を小型化することができる。そのため、本第3実施形態は、第1壁部211と第2壁部212との間のスペースが小さい場合にも対応可能である。
【0272】
このように、本第3実施形態によれば、第1及び第2実施形態と同様に、互いに対向する第1壁部211及び第2壁部212のそれぞれに対して、同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔BH5及びBH6を精度良く且つ効率的に形成することが可能であり、内部ユニット530の小型化が可能である。
【0273】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るバーリング加工装置及びバーリング加工方法について説明する。本第4実施形態では、第1壁部211の内側へ向かって屈曲する立上がり壁部を有するバーリング加工孔を第1壁部211に形成すると共に、第2壁部212の外側へ向かって屈曲する立上がり壁部を有するバーリング加工孔を第2壁部212に形成するためのバーリング加工装置及びバーリング加工方法について説明する。
【0274】
図26Aは、第4実施形態に係るバーリング加工装置600の側断面図である。
図26Bは、第4実施形態に係るバーリング加工装置600の正断面図である。なお、
図26Aは、第1軸線X及び第2軸線Yを含む断面でバーリング加工装置600を見た図である。
図26Bは、第1軸線X及び第3軸線Zを含む断面でバーリング加工装置600を見た図である。
【0275】
図26A及び
図26Bに示すように、バーリング加工装置600は、第1壁部211の外側に配置される第1外部ユニット610と、第1壁部211と第2壁部212との間に配置される内部ユニット620と、第2壁部212の外側に配置される第2外部ユニット630とを備えている。
【0276】
第1外部ユニット610は、第1バーリングホルダ611と、第1ピアスパンチ612と、第1バーリングパンチ613とを備えている。
【0277】
第1バーリングホルダ611は、第1バーリングパンチ613の通路となる第1貫通孔611aを有する円形の厚板部材である。第1貫通孔611aは、第1バーリングホルダ611の板厚方向に貫通し、且つ第1バーリングホルダ611と中心軸線を同じくする円孔である。
【0278】
第1バーリングホルダ611は、第1貫通孔611aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1バーリングホルダ611は、第1壁部211の外壁面211aに対して面接触可能な平坦面611bを有する。
【0279】
第1ピアスパンチ612は、第1壁部211に下孔を形成するための円柱状の軸部材である。第1バーリングパンチ613は、第1ピアスパンチ612と第1軸線Xを中心軸線として共有し、第1壁部211の下孔の周縁部を第1壁部211の内側へ屈曲させて第1壁部211にバーリング加工孔を形成するための円柱状の軸部材である。
【0280】
第1ピアスパンチ612は、第1バーリングパンチ613と第1軸線Xを中心軸線として共有しながら、第1バーリングパンチ613の先端に取り付けられている。第1バーリングパンチ613は、第1バーリングホルダ611の第1貫通孔611aの内部において、第1バーリングパンチ613の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。
【0281】
上記のように、第1外部ユニット610において、第1バーリングホルダ611、第1ピアスパンチ612及び第1バーリングパンチ613は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0282】
また、第1外部ユニット610において、第1バーリングホルダ611の内周面(第1貫通孔611aの表面)と、第1バーリングパンチ613の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
これにより、第1ピアスパンチ612及び第1バーリングパンチ613が一体となって第1軸線Xに沿って移動するときに、第1ピアスパンチ612及び第1バーリングパンチ613の中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0283】
内部ユニット620は、ハウジング621と、第1バーリングダイ622と、第1ピアスダイ623と、第2バーリングホルダ624と、第2ピアスパンチ625と、第2バーリングパンチ626と、ストッパー627とを備えている。
【0284】
ハウジング621は、第1バーリングダイ622、第1ピアスダイ623、第2バーリングホルダ624、第2ピアスパンチ625及び第2バーリングパンチ626を内包し、且つ両端面が開放された円筒部材である。ハウジング621は、その中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1壁部211と第2壁部212との間に配置される。また、ハウジング621は、ストッパー627が第2軸線Yに沿って通過可能な大きさで開口する第1開口部621a及び第2開口部621bを有する。
【0285】
第1バーリングダイ622は、第1バーリングパンチ613が挿入される第1成形孔622aを有する円形の厚板部材である。第1成形孔622aは、第1バーリングダイ622の板厚方向に沿って貫通し、且つ第1バーリングダイ622と中心軸線を同じくする円孔である。第1成形孔622aの直径は、第1バーリングパンチ613の外径と第1壁部211の厚さとの加算値と同一であることが望ましい。
【0286】
第1バーリングダイ622は、ハウジング621の内部において、第1成形孔622aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1バーリングダイ622は、第1壁部211の内壁面211bと面接触可能な平坦面622bと、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かう方向に傾斜する傾斜面622cとを有する。
【0287】
第1ピアスダイ623は、第1ピアスパンチ612が挿入される第1ピアス孔623aを有する円形の厚板部材である。第1ピアス孔623aは、底部を有し且つ第1ピアスダイ623と中心軸線を同じくする円孔である。第1ピアス孔623aの直径は、第1ピアスパンチ612の外径と同一であることが望ましい。
【0288】
第1ピアスダイ623は、第1バーリングダイ622の第1成形孔622aの内部において、第1ピアス孔623aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第1ピアスダイ623は、第1壁部211の内壁面211bと面接触可能な平坦面623bと、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かう方向に傾斜する傾斜面623cとを有する。第1ピアスダイ623の傾斜面623cの傾斜角は、第1バーリングダイ622の傾斜面622cの傾斜角と同じである。
【0289】
第2バーリングホルダ624は、第2バーリングパンチ626の通路となる第2貫通孔624aを有する円形の厚板部材である。第2貫通孔624aは、第2バーリングホルダ624の板厚方向に沿って貫通し、且つ第2バーリングホルダ624と中心軸線を同じくする円孔である。
【0290】
第2バーリングホルダ624は、ハウジング621の内部において、第2貫通孔624aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2バーリングホルダ624は、第2壁部212の内壁面212bと面接触可能な平坦面624bと、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かう方向に傾斜する傾斜面624cとを有する。
【0291】
第2ピアスパンチ625は、第2壁部212に下孔を形成するための円柱状の軸部材である。第2バーリングパンチ626は、第2ピアスパンチ625と第1軸線Xを中心軸線として共有し、第2壁部212の下孔の周縁部を第2壁部212の外側へ屈曲させて第2壁部212にバーリング加工孔を形成するための円柱状の軸部材である。
【0292】
第2ピアスパンチ625は、第2バーリングパンチ626と第1軸線Xを中心軸線として共有しながら、第2バーリングパンチ626の先端に取り付けられている。第2バーリングパンチ626は、第2バーリングホルダ624の第2貫通孔624aの内部において、第2バーリングパンチ626の中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。
【0293】
第2ピアスパンチ625は、第2壁部212の内壁面212bと面接触可能な平坦面625aを有する。第2バーリングパンチ626は、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かう方向に傾斜する傾斜面626aを有する。
【0294】
第1バーリングダイ622及び第2バーリングホルダ624は、基準点Pを挟んで互いに向かい合うように配置されている。第1ピアスダイ623及び第2バーリングパンチ626は、基準点Pを挟んで互いに向かい合うように配置されている。
【0295】
第1バーリングダイ622の内部(第1成形孔622aの内部)に、第1ピアスダイ623の全体が内包されたとき、第1バーリングダイ622の平坦面622bと第1ピアスダイ623の平坦面623bとが面一となり、第1バーリングダイ622の傾斜面622cと第1ピアスダイ623の傾斜面623cとが面一となる。
【0296】
第2バーリングホルダ624の内部(第2貫通孔624aの内部)に、第2ピアスパンチ625及び第2バーリングパンチ626の全体が内包されたとき、第2バーリングホルダ624の平坦面624bと第2ピアスパンチ625の平坦面625aとが面一となり、第2バーリングホルダ624の傾斜面624cと第2バーリングパンチ626の傾斜面626aとが面一となる。
【0297】
第1バーリングダイ622の傾斜面622c(第1ピアスダイ623の傾斜面623c)の傾斜角は、第2バーリングホルダ624の傾斜面624c(第2バーリングパンチ626の傾斜面626a)の傾斜角と同じである。
【0298】
ストッパー627は、第2軸線Yに沿って移動自在に設けられた厚板部材である。このストッパー627は、第2軸線Yに対して第1壁部211へ向かって傾斜する第1傾斜面627aと、第2軸線Yに対して第2壁部212へ向かって傾斜する第2傾斜面627bとを有する。
【0299】
第1傾斜面627aの傾斜角は、第1バーリングダイ622の傾斜面622c(第1ピアスダイ623の傾斜面623c)の傾斜角と同じである。第2傾斜面627bの傾斜角は、第2バーリングホルダ624の傾斜面624c(第2バーリングパンチ626の傾斜面626a)の傾斜角と同じである。すなわち、第1傾斜面627aの傾斜角は、第2傾斜面627bの傾斜角と同じである。
【0300】
詳細は後述するが、ストッパー627が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、ストッパー627の第1傾斜面627aが、第1バーリングダイ622の傾斜面622c及び第1ピアスダイ623の傾斜面623cと面接触すると共に、ストッパー627の第2傾斜面627bが、第2バーリングホルダ624の傾斜面624c及び第2バーリングパンチ626の傾斜面626aと面接触する。
ストッパー627が、第1バーリングダイ622、第1ピアスダイ623、第2バーリングホルダ624及び第2バーリングパンチ626と面接触した状態で、基準点Pより深く進行すると、第1バーリングダイ622及び第1ピアスダイ623が第1壁部211へ向かって移動し、第2バーリングホルダ624及び第2バーリングパンチ626が第2壁部212へ向かって移動する。
その結果、第1バーリングダイ622の平坦面622b及び第1ピアスダイ623の平坦面623bは、第1壁部211の内壁面211bに面接触し、第2バーリングホルダ624の平坦面624b及び第2ピアスパンチ625の平坦面625aは、第2壁部212の内壁面212bに面接触する。
このように、ストッパー627は、第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、第1バーリングダイ622及び第1ピアスダイ623を第1壁部211へ向かって移動させ、且つ第2バーリングホルダ624及び第2バーリングパンチ625(及び第2ピアスパンチ626)を第2壁部212へ向かって移動させる形状を有している。
【0301】
さらに、ストッパー627は、第1バーリングダイ622及び第1ピアスダイ623が第1壁部211の内壁面211bに圧接され、且つ第2バーリングホルダ624及び第2バーリングパンチ626の先端に取付けられた第2ピアスパンチ625が第2壁部212の内壁面212bに圧接された状態で停止したとき、ストッパー627から分離して第1ピアスダイ623及び第2バーリングパンチ626と共に第1軸線Xに沿って移動自在な分離ブロック627cを有する。
【0302】
図26Bに示すように、ハウジング621の内周面において、第1バーリングダイ622に対向する領域には、第3軸線Zに沿う方向に所定の深さを有し且つ第1軸線Xに沿う方向に所定の幅を有する溝621cが形成されている。第1バーリングダイ622の外周面には、溝621cへ向かって突出する突起部622dが設けられている。溝621cの第1壁部211側の側壁面と突起部622dとの間には、伸縮方向が第1軸線Xと平行となるように、スプリング628が配置されている。
【0303】
突起部622dを有する第1バーリングダイ622が第1壁部211へ向かって移動すると、スプリング628が圧縮され、その結果、第1バーリングダイ622に対して基準点Pに向かう外力が付与される。このように、内部ユニット620は、第1バーリングダイ622に対して基準点Pに向かう外力を付与するダイ復帰機構を備えている。
【0304】
上記のように構成された内部ユニット620において、ハウジング621、第1バーリングダイ622、第1ピアスダイ623、第2バーリングホルダ624、第2ピアスパンチ625及び第2バーリングパンチ626は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。
【0305】
また、内部ユニット620において、ハウジング621の内周面と第1バーリングダイ622の外周面とが互いに密着していることが望ましく、ハウジング621の内周面と第2バーリングホルダ624の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
さらに、第1バーリングダイ622の内周面(第1成形孔622aの表面)と第1ピアスダイ623の外周面とが互いに密着していることが望ましく、第2バーリングホルダ624の内周面(第2貫通孔624aの表面)と第2バーリングパンチ626の外周面とが互いに密着していることが望ましい。これにより、第1バーリングダイ622、第1ピアスダイ623、第2バーリングホルダ624、第2ピアスパンチ625及び第2バーリングパンチ626が、それぞれ第1軸線Xに沿って移動するときに、これらの中心軸線が第1軸線Xから外れることを抑制することができる。
【0306】
第2外部ユニット630は、第2バーリングダイ631と、第2ピアスダイ632とを備えている。
【0307】
第2バーリングダイ631は、第2バーリングパンチ626が挿入される第2成形孔631aを有する円形の厚板部材である。第2成形孔631aは、第2バーリングダイ631の板厚方向に沿って貫通し、且つ第2バーリングダイ631と中心軸線を同じくする円孔である。第2成形孔631aの直径は、第2バーリングパンチ626の外径と第2壁部212の厚さとの加算値と同一であることが望ましい。
【0308】
第2バーリングダイ631は、第2成形孔631aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2バーリングダイ631は、第2壁部212の外壁面212aと面接触可能な平坦面631bを有する。
【0309】
第2ピアスダイ632は、第2ピアスパンチ625が挿入される第2ピアス孔632aを有する円形の厚板部材である。第2ピアス孔632aは、第2ピアスダイ632の板厚方向に沿って貫通し、且つ第2ピアスダイ632と中心軸線を同じくする円孔である。第2ピアス孔632aの直径は、第2ピアスパンチ625の外径と同一であることが望ましい。
【0310】
第2ピアスダイ632は、第2バーリングダイ631の第2成形孔631aの内部において、第2ピアス孔632aの中心軸線が第1軸線Xと一致する状態で、第2壁部212の外側を第1軸線Xに沿って移動自在に設けられている。また、第2ピアスダイ632は、第2壁部212の外壁面212aと面接触可能な平坦面632bを有する。
【0311】
上記のように、第2外部ユニット630において、第2バーリングダイ631及び第2ピアスダイ632は、第1軸線Xを中心軸線として共有している。また、第2外部ユニット630において、第2バーリングダイ631の内周面(第2成形孔631aの表面)と第2ピアスダイ632の外周面とが互いに密着していることが望ましい。
【0312】
次に、上記のように構成されたバーリング加工装置600を用いて実現される第4実施形態に係るバーリング加工方法について説明する。
【0313】
<第1工程>
図26A及び
図26Bに示したように、まず、第1壁部211の外側にバーリング加工装置600の第1外部ユニット610を配置し、第1壁部211と第2壁部212との間にバーリング加工装置600の内部ユニット620を配置し、第2壁部212の外側にバーリング加工装置600の第2外部ユニット630を配置する。
【0314】
すなわち、第1バーリングホルダ611、第1ピアスパンチ612及び第1バーリングパンチ613が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、第1外部ユニット610を第1壁部211の外側に配置する。
また、ハウジング621、第1バーリングダイ622、第1ピアスダイ623、第2バーリングホルダ624、第2ピアスパンチ625及び第2バーリングパンチ626が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、内部ユニット620のハウジング621を第1壁部211と第2壁部212との間に配置する。この時点では、ストッパー627は、ハウジング621の外部に配置されている。
さらに、第2バーリングダイ631及び第2ピアスダイ632が、第1軸線Xを中心軸線として共有する状態で、第2外部ユニット630を第2壁部212の外側に配置する。
【0315】
続いて、
図27に示すように、第1外部ユニット610において、第1バーリングホルダ611が第1壁部211の外壁面211aに当接するまで、不図示のアクチュエータを用いて、第1バーリングホルダ611を第1軸線Xに沿って第1壁部211へ向かって移動させる。
第1バーリングホルダ611が、第1壁部211の外壁面211aに当接した後、上記アクチュエータを用いて、第1バーリングホルダ611に対して第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えることにより、第1バーリングホルダ611を第1壁部211の外壁面211aに圧接する。
【0316】
一方、第2外部ユニット630において、第2バーリングダイ631及び第2ピアスダイ632が、第2壁部212の外壁面212aに当接するまで、不図示のアクチュエータを用いて、第2バーリングダイ631及び第2ピアスダイ632を第1軸線Xに沿って第2壁部212へ向かって移動させる。
第2バーリングダイ631及び第2ピアスダイ632が、第2壁部212の外壁面212aに当接した後、上記アクチュエータを用いて、第2バーリングダイ631及び第2ピアスダイ632に対して、第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加えることにより、第2バーリングダイ631及び第2ピアスダイ632を第2壁部212の外壁面212aに圧接する。
【0317】
また、内部ユニット620において、不図示のアクチュエータを用いて、ストッパー627を基準点Pに向かって第2軸線Yに沿って移動させる。ストッパー627が第2軸線Yに沿って基準点Pを通過する過程において、ストッパー627の第1傾斜面627aが第1バーリングダイ622の傾斜面622c及び第1ピアスダイ623の傾斜面623cと面接触すると共に、ストッパー627の第2傾斜面627bが第2バーリングホルダ624の傾斜面624c及び第2バーリングパンチ626の傾斜面626aと面接触しながら、第1バーリングダイ622及び第1ピアスダイ623が第1壁部211へ向かって移動し、第2バーリングホルダ624及び第2バーリングパンチ626が第2壁部212へ向かって移動する。
【0318】
第1バーリングダイ622の平坦面622b及び第1ピアスダイ623の平坦面623bが第1壁部211の内壁面211bに面接触し、且つ第2バーリングホルダ624の平坦面624b及び第2ピアスパンチ625の平坦面625aが第2壁部212の内壁面212bに面接触する位置まで、ストッパー627を第2軸線Yに沿って移動させる。
その位置からさらに所定距離だけ、ストッパー627を移動させることにより、第1バーリングダイ622及び第2ピアスダイ623に対して第1壁部211へ向かう方向の押圧力を加えると共に、第2バーリングホルダ624及び第2バーリングパンチ626(第2ピアスパンチ625)に対して第2壁部212へ向かう方向の押圧力を加える。
その結果、第1バーリングダイ622及び第2ピアスダイ623は、第1壁部211の内壁面211bに圧接され、第2バーリングホルダ624及び第2ピアスパンチ625は、第2壁部212の内壁面212bに圧接される。
このように、第1バーリングダイ622と第2バーリングホルダ624との間(第1ピアスダイ623と第2バーリングパンチ626との間)に、ストッパー627を挿入することにより、第1バーリングダイ622及び第2ピアスダイ623を第1壁部211の内壁面211bに圧接させ、且つ第2バーリングホルダ624及び第2ピアスパンチ625を第2壁部212の内壁面212bに圧接させる。
【0319】
この時点で、第1バーリングダイ622の移動に伴って、ハウジング621内のスプリング628が圧縮されるので、第1バーリングダイ622に対して常に基準点Pに向かう外力が付与されることになる。
【0320】
図27に示すように、上記のような第1工程が終了した時点で、第1バーリングホルダ611と第1バーリングダイ622とが、第1壁部211を間に挟んで互いに対向する状態で配置される。また、第2バーリングホルダ624と第2バーリングダイ631とが、第2壁部212を間に挟んで互いに対向する状態で配置される。
【0321】
<第2工程>
続いて、
図28に示すように、不図示のアクチュエータを用いて、第1ピアスパンチ612を第1ピアスダイ623の第1ピアス孔623a内に挿入させるように、第1バーリングパンチ613とともに第1ピアスパンチ612を第1軸線Xに沿って第1壁部211の外側から内側へ移動させることにより、第1壁部211に下孔の一方を形成する。
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第1ピアスパンチ612の外径と同じ直径を有する下孔H7が第1壁部211に形成される。
【0322】
続いて、
図29に示すように、第1バーリングパンチ613を第1バーリングダイ622の第1成形孔622a内に挿入させるように、第1バーリングパンチ613を第1軸線Xに沿って第1壁部211の外側から内側へ移動させることにより、第1壁部211の下孔H7の周縁部を第1壁部211の内側へ屈曲させてバーリング加工孔の一方を形成する。
【0323】
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第1壁部211の内側へ向かって延びる立上がり壁部を有するバーリング加工孔BH7が第1壁部211に形成される。バーリング加工孔BH7の内径は、第1バーリングパンチ613の外径と同じである。バーリング加工孔BH7の周縁部に形成された立上がり壁部の高さは、第1ピアスパンチ612の外径と第1バーリングパンチ613の外径との差分によって決定される。
【0324】
図29に示すように、第1壁部211にバーリング加工孔BH7が形成されると同時に、第2壁部212に下孔の他方が形成される。
すなわち、バーリング加工孔BH7が形成される過程において、第1ピアスパンチ612の先端が第1ピアス孔623aの底部に当接した状態で、第1バーリングパンチ613が第2壁部212へ向かって移動するので、第1ピアスダイ623と、ストッパー627に設けられた分離可能な分離ブロック627cと、第2ピアスパンチ625が取り付けられた第2バーリングパンチ626とが、同時に第1軸線Xに沿って第2壁部212へ向かって移動することになる。
【0325】
その結果、第2ピアスパンチ625が、第2ピアスダイ632の第2ピアス孔632a内に挿入されるように、第1軸線Xに沿って第2壁部212の内側から外側へ移動するので、第2壁部212に下孔の他方が形成される。このように、バーリング加工孔BH7と同時に、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第2ピアスパンチ625の外径と同じ直径を有する下孔H8が第2壁部212に形成される。
【0326】
続いて、
図30に示すように、第1ピアスパンチ612の先端が第1ピアス孔623aの底部に当接した状態で、第1バーリングパンチ613を第1軸線Xに沿って第2壁部212へ向かってさらに移動させる。これにより、第1ピアスダイ623と、分離ブロック627cと、第2バーリングパンチ626とが、同時に第1軸線Xに沿って第2壁部212へ向かってさらに移動することになる。
【0327】
その結果、第2バーリングパンチ626が、第2バーリングダイ631の第2成形孔631a内に挿入されるように、第1軸線Xに沿って第2壁部212の内側から外側へ移動するので、第2壁部212の下孔H8の周縁部が第2壁部212の外側へ屈曲されてバーリング加工孔の他方が形成される。
【0328】
これにより、第1軸線Xを中心軸線とし且つ第2壁部212の外側へ向かって延びる立上がり壁部を有するバーリング加工孔BH8が第2壁部212に形成される。バーリング加工孔BH8の内径は、第2バーリングパンチ626の外径と同じである。バーリング加工孔BH8の周縁部に形成された立上がり壁部の高さは、第2ピアスパンチ625の外径と第2バーリングパンチ626の外径との差分によって決定される。
【0329】
続いて、
図31に示すように、第1ピアスダイ623、分離ブロック627c及び第2バーリングパンチ626を第2壁部212の内側へ移動させることにより、分離ブロック627cをストッパー627内に戻す。ここで、例えば、第2ピアスパンチ625の先端を、不図示の棒状部材を用いて第1壁部211へ向かって押すことにより、第1ピアスダイ623、分離ブロック627c及び第2バーリングパンチ626を第2壁部212の内側へ移動させることができる。
【0330】
そして、
図32に示すように、分離ブロック627cをストッパー627内に戻した後、ストッパー627を第1バーリングダイ622と第2バーリングホルダ624との間(第1ピアスダイ623と第2バーリングパンチ626との間)から取り除く。これにより、第1バーリングダイ622及び第1ピアスダイ623は、それぞれ、基準点Pに向かって移動可能な状態となる。
【0331】
上記のように、スプリング628の圧縮によって、第1バーリングダイ622に対して基準点Pに向かう外力が付与されているので、ストッパー627が第1バーリングダイ622と第2バーリングホルダ624との間から取り除かれると、第1バーリングダイ622は基準点Pに向かって移動する。
つまり、ストッパー627が第1バーリングダイ622と第2バーリングホルダ624との間から取り除かれると、第1バーリングダイ622に対して第2壁部212へ向かう方向に付与された外力によって、第1バーリングダイ622は、第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰する。
【0332】
一方、第1バーリングパンチ613を第2壁部212へ向かって移動させることにより、第1ピアスダイ623に対して第2壁部212へ向かう方向に外力を加えることよって、第1ピアスダイ623を第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰させることができる。
【0333】
上記のように、第2工程の終了時点で、第1軸線Xを中心軸線として共有するバーリング加工孔BH7及びBH8が形成され、且つ第1バーリングダイ622及び第1ピアスダイ623が、第1壁部211と第2壁部212との間の中央寄りの位置に復帰した状態となる。つまり、第1バーリングダイ622及び第1ピアスダイ623の全体が、ハウジング621の内部に収容された状態となる。
【0334】
<第3工程>
最後に、
図33に示すように、第1壁部211から第1外部ユニット610を取り外し、第1壁部211と第2壁部212との間から内部ユニット620を取り外し、さらに、第2壁部212から第2外部ユニット630を取り外して、バーリング加工は終了である。
【0335】
バーリング加工孔BH7は、第1壁部211の内側に延びる立上がり壁部を有しているが、第1バーリングダイ622及び第1ピアスダイ623の全体が、ハウジング621の内部に収容された状態となっているので、第1壁部211と第2壁部212との間から内部ユニット620(ハウジング621)を容易に取り外すことができる。
【0336】
以上のように、本第4実施形態では、第1ピアスパンチ612を用いて第1壁部211に下孔H7を形成した後、第1ピアスパンチ612と第1軸線Xを中心軸線として共有する第1バーリングパンチ613を用いて、第1壁部211の下孔H7の周縁部を第1壁部211の内側へ屈曲させてバーリング加工孔BH7を形成する。
また、本第4実施形態では、第2ピアスパンチ625を用いて第2壁部212に下孔H8を形成した後、第2ピアスパンチ625と第1軸線Xを中心軸線として共有する第2バーリングパンチ626を用いて、第2壁部212の下孔H8の周縁部を第2壁部212の外側へ屈曲させてバーリング加工孔BH8を形成する。
【0337】
これにより、下孔H7及びH8の中心軸線とバーリング加工孔BH7及びBH8の中心軸線との間に生じるズレを大幅に低減できるので、同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔BH7及びBH8を非常に精度良く形成することができる。
【0338】
また、本第4実施形態によれば、第1バーリングパンチ613を第1壁部211の外側から第2壁部212へ向かって移動させるだけで、第1壁部211の下孔H7、第1壁部211のバーリング加工孔BH7、第2壁部212の下孔H8、及び第2壁部212のバーリング加工孔BH8を連続的に形成することができるので、非常に効率的である。
【0339】
従って、本第4実施形態によれば、互いに対向する第1壁部211及び第2壁部212のそれぞれに対して、同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔BH7及びBH8を精度良く且つ効率的に形成することが可能である。
【0340】
以上、本発明の第1〜第4実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において実施形態を適宜変更することが可能である。
また、上記第1〜第4実施形態では、ラテラルリンク1に設けられた一対のブッシュ保持壁部21(第1壁部211及び第2壁部212)に対して同一軸線(第1軸線X)を中心軸線として共有するバーリング加工孔を形成する場合を例示して説明したが、本発明はラテラルリンク1に限らず、互いに対向する一対の第1壁部及び第2壁部を有するものであれば、どのような加工対象物にも適用することが可能である。