(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2工程で、前記長尺材の少なくとも前記曲げ部の凹側を支持しながら、前記曲率を小さくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプレス成形品の製造方法。
前記一対の拘束壁のそれぞれが、前記拘束壁間に前記長尺材が挿入されるときに前記長尺材の前記長手方向の端部が当接する曲面形状のガイド面を有することを特徴とする請求項7又は8に記載のプレス成形品の製造装置。
前記一対の拘束壁間に配置され、前記長尺材の少なくとも前記曲げ部の凹側に当接する支持面を有するしわ押さえ治具をさらに備えることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のプレス成形品の製造装置。
前記固定拘束壁と前記加圧拘束壁との間に配置され、前記長尺材の少なくとも前記曲げ部の凹側に当接する支持面を有するしわ押さえ治具をさらに備えることを特徴とする請求項11または12に記載のプレス成形品の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テーラードブランク材は、引張強度の異なる鋼板同士、または板厚が異なる鋼板同士を溶接して製造される。しかしながら、このテーラードブランク材をプレス成形する場合、溶接部に応力が集中し、割れ又は破断が発生するおそれがある。また、溶接工程が必要なため、生産効率が低下するおそれがある。
【0006】
また、車体の骨格部材に鋼板を溶接して部分的に肉厚を高める場合、骨格部材の重量が増大し、車両の軽量化に逆行することになる。また、テーラードブランク材の場合と同様に、溶接工程が必要なため、生産効率が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、溶接を必要とせずに、軽量化及び高剛性化を同時に達成可能なプレス成形品の製造方法、プレス成形品の製造装置、マンドレル
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下を採用する。
(1)本発明の第1の態様に係るプレス成形品の製造方法は、曲げ部を有する
長尺状のウエブ部と、前記ウエブ部の幅方向の少なくとも一側に設けられる縦壁部とを備える長尺材を準備する第1工程と;前記長尺材の長手方向における両端を拘束しながら、
前記ウエブ部の前記曲げ部
の凸側を押圧して前記曲げ部の曲率を小さくする第2工程と;を備
え、
前記第2工程の前記曲げ部の押圧時において、前記長尺材の長手方向における両端は前記押圧の方向から支持されない状態である。
(2)上記(1)に記載の態様において、前記第2工程で、前記長尺材の前記両端間の最短距離を一定に保ちつつ、前記曲率を小さくしてもよい。
(3)上記(1)に記載の態様において、前記第2工程で、前記長尺材の前記両端間の最短距離を縮めつつ、前記曲率を小さくしてもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の態様において、前記第2工程で、前記長尺材の少なくとも前記曲げ部の凹側を支持しながら、前記曲率を小さくしてもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の態様において、前記第2工程で、前記曲率を段階的に小さくしてもよい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の態様において、前記長尺材の前記両端の端縁を含む平面が互いに平行であってもよい。
【0009】
(7)本発明の第2の態様に係るプレス成形品の製造装置は、曲げ部を有する
長尺状のウエブ部と、前記ウエブ部の幅方向の少なくとも一側に設けられる縦壁部とを備える長尺材よりプレス成形品を製造する装置であって、ベース部と、前記ベース部に設けられてかつ前記長尺材の長手方向における両端が当接すると共に互いに対向する一対の拘束壁とを有する第1成形型と;前記一対の拘束壁間に挿入された前記長尺材の
前記ウエブ部の前記曲げ部の凸側を押圧するパンチ部を有する第2成形型と;を備え、
前記一対の拘束壁の各々は、前記長尺材が前記一対の拘束壁間に挿入された状態において前記縦壁部の内面または外面のうち一方の面と当接する壁面部を有し、前記パンチ部は、前記長尺材が前記一対の拘束壁間に挿入された状態において前記縦壁部の内面または外面のうち前記壁面が当接する面とは異なる面と当接する側面部を有し、前記一対の拘束壁間の距離が、前記長尺材を直線状に伸ばした場合の全長よりも小さ
く、前記長尺材が前記一対の拘束壁間に挿入された状態において前記長尺材の長手方向における両端は前記パンチ部の押圧の方向から支持されない。
(8)上記(7)に記載の態様において、前記一対の拘束壁間の距離が、前記長尺材の長手方向における両端間の最短距離に等しくてもよい。
(9)上記(7)または(8)に記載の態様において、前記一対の拘束壁のそれぞれが、前記拘束壁間に前記長尺材が挿入されるときに前記長尺材の前記長手方向の端部が当接する曲面形状のガイド面を有してもよい。
(10)上記(7)〜(9)のいずれか一項に記載の態様において、前記一対の拘束壁間に配置され、前記長尺材の少なくとも前記曲げ部の凹側に当接する支持面を有するしわ押さえ治具をさらに備えてもよい。
(11)上記(7)に記載の態様において、前記一対の拘束壁の一方が、前記ベース部に固定された固定拘束壁であってもよく;前記一対の拘束壁の他方が、前記パンチ部を前記長尺材の前記曲げ部の前記凸側に当接させながら移動させる際に、前記固定拘束壁に向かって接近する加圧拘束壁であってもよい。
(12)上記(11)に記載の態様において、前記固定拘束壁および前記加圧拘束壁の少なくとも一方は、前記長尺材の一端に当接するワーク受け部と、前記ワーク受け部を、前記長尺材の前記一端に向けて付勢する弾性体とを有していてもよい。
(13)上記(11)または(12)に記載の態様において、前記固定拘束壁と前記加圧拘束壁との間に配置され、前記長尺材の少なくとも前記曲げ部の凹側に当接する支持面を有するしわ押さえ治具をさらに備えていてもよい。
【0010】
(14)本発明の第3の態様に係るマンドレルは、上記(7)〜(13)のいずれか一項に記載のプレス成形品の製造装置に用いられるマンドレルであって、前記長尺材の凹側を支持する複数の分割体と;前記各分割体間を連結する連結体と;を備え、前記長尺材の前記曲げ部の形状に応じて前記各分割体の並びの形状が変移する。
(15)上記(14)に記載の態様において、前記各分割体が、前記各分割体が一列に並んだ際に前記連結体を収容する凹部と、前記凹部の底面と前記凹部内に挿入されている前記連結体の端部との間に設けられた弾性体と、を有してもよい。
(16)上記(14)に記載の態様において、前記各連結体が、所定範囲内で互いに接近離間自在な一対の分割連結体と、前記一対の分割連結体間に設けられ、前記一対の分割連結体を相互に離間させる方向に付勢する弾性体と、を有してもよい。
【0011】
(17)本発明の
参考態様に係るプレス成形品は、一方向に長いプレス成形品であって、長手方向に垂直な断面で見た場合に最も断面積が大きい高断面積部と;前記高断面積部よりも断面積が小さい低断面積部と;前記高断面積部と前記低断面積部との間に設けられ、断面積が前記長手方向に沿って連続的に変化する中間部と;を備える。
(18)上記(17)に記載の態様において、前記高断面積部が、前記長手方向に沿って複数個所に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記(1)に記載のプレス成形品の製造方法によれば、曲げ部を有する長尺材の長手方向両端を拘束させながら、曲げ部の曲率を小さくするので、長尺材を長手方向に圧縮することができる。すなわち、圧縮された部分が余剰となるので、長尺材の断面積を増加させることができる。したがって、長尺材の剛性を高めることができる。
また、長尺材を長手方向に圧縮するので、長尺材の加工硬化により降伏強度を高めることができる。
また、曲げ部に対応する箇所の断面積が増加するので、長尺材の曲げ部の位置を任意に選択することにより、所望の箇所の断面積を増加させることができる。
【0013】
上記(2)の場合、長尺材の両端間の最短距離を一定に保ちつつ、長尺材の曲げ部の曲率を小さくするので、長尺材を長手方向にさらに圧縮することができる。すなわち、長尺材の余剰分が大きくなるので、長尺材の断面積をさらに増加させることができる。
【0014】
上記(3)の場合、長尺材の両端間の最短距離を縮めつつ、長尺材の曲げ部の曲率を小さくするので、長尺材を長手方向にさらに圧縮することができる。すなわち、長尺材の余剰分が大きくなるので、長尺材の断面積をさらに増加させることができる。
【0015】
上記(4)の場合、長尺材の凹側を支持しながら、長尺材の曲げ部の曲率を小さくするので、長尺材の座屈変形を防止することができる。
【0016】
上記(5)の場合、段階的に長尺材の曲げ部の曲率を小さくするので、長尺材の断面積が徐々に増加する。すなわち、断面積増加分だけ座屈しにくくなるので、曲げ部の曲率を所定の曲率まで小さくする際に、長尺材の座屈変形を防止することができる。
【0017】
上記(6)の場合、長尺材の両端の端縁を含む平面が互いに平行であるので、長尺材の両端に均等に荷重を加えることができる。したがって、長尺材の座屈変形を防止することができる。
【0018】
上記(7)に記載のプレス成形品の製造装置によれば、一対の拘束壁間に挿入された長尺材の曲げ部の凸側を押圧するパンチ部を有する第2成形型を有しているので、長尺材の曲げ部の曲率を小さくすることができる。また、一対の拘束壁間の距離が長尺材を直線状に伸ばした場合の全長よりも小さいので、パンチ部が長尺材を押圧する際に、長尺材を長手方向に拘束することができる。したがって、長尺材を長手方向に圧縮することができる。すなわち、圧縮された部分が余剰となるので、長尺材の断面積を増加させることができる。
【0019】
上記(8)の場合、一対の拘束壁間の距離が長尺材の長手方向における両端間の最短距離に等しいので、長尺材を長手方向にさらに圧縮することができる。すなわち、長尺材の余剰分が大きくなるので、長尺材の断面積をさらに増加させることができる。
【0020】
上記(9)の場合、一対の拘束壁のそれぞれが、これら拘束壁間に長尺材が挿入されるときに長尺材の長手方向の端部が当接するガイド面を有するので、長尺材が一対の拘束壁間に誘導される。したがって、長尺材を確実に拘束することができるので、座屈変形を防止することができる。
【0021】
上記(10)の場合、一対の拘束壁間に配置され、長尺材の少なくとも曲げ部の凹側に当接する支持面を有するしわ押さえ治具を有するので、長尺材が長手方向に圧縮される際の座屈変形を防止することができる。
【0022】
上記(11)の場合、一対の拘束壁の一方が固定拘束壁であり、他方がパンチ部を長尺材の曲げ部の凸側に当接させながら移動させる際に固定拘束壁に向かって接近する加圧拘束壁であるので、長尺材を長手方向にさらに圧縮することができる。したがって、長尺材の断面積をさらに増加させることができる。
【0023】
上記(12)の場合、固定拘束壁および加圧拘束壁の少なくとも一方は、長尺材の一端に当接するワーク受け部と、ワーク受け部を長尺材の一端に向けて付勢する弾性体とを有するので、長尺材が長手方向に圧縮される際の長尺材の両端の変形に追従することができる。すなわち、パンチ部が長尺材の曲げ部の凸側を押圧する際に、長尺材の両端の全部を拘束させることができる。したがって、長尺材に均等に圧縮力を印加することができるので、長尺材が圧縮される際の座屈変形を防止することができる。
【0024】
上記(13)の場合、固定拘束壁と加圧拘束壁との間に配置され、長尺材の少なくとも曲げ部の凹側に当接する支持面を有するしわ押さえ治具を有するので、長尺材が長手方向に圧縮される際の座屈変形を防止することができる。
【0025】
上記(14)に記載のマンドレルによれば、長尺材の曲げ部の形状に応じて各分割体の並びの形状が変移するので、長尺材の凹側を支持する複数の分割体が、長尺材の変形に追従することができる。したがって、長尺材が長手方向に圧縮される際、長尺材を常に支持することができ、長尺材が長手方向に圧縮される際の座屈変形を防止することができる。
【0026】
上記(15)の場合、各分割体が、一列に並んだ際に連結体を収容する凹部と、凹部の底面と凹部内に挿入されている連結体の端部との間に設けられた弾性体とを有するので、マンドレルの全長を伸縮させることができる。そのため、長尺材のほぼ全体に分割体を当接させることができる。したがって、長尺材が長手方向に圧縮される際の座屈変形をさらに防止することができる。
【0027】
上記(16)の場合、各連結体が、互いに接近離間自在な一対の分割連結体と、一対の分割連結体間に設けられ、一対の分割連結体を相互に離間させる方向に付勢する弾性体とを有するので、マンドレルの全長を伸縮させることができる。そのため、長尺材のほぼ全体に分割体を当接させることができる。したがって、長尺材が長手方向に圧縮される際の座屈変形をさらに防止することができる。
【0028】
上記(17)に記載のプレス成形品によれば、高断面積部を有するので、剛性を高めることができる。また、低断面積部を有するので、軽量化を図ることができる。
また、断面積が長手方向に沿って連続的に変化する中間部を有するので、高断面積部と低断面積部との境界に応力が集中することを避けることができる。
【0029】
上記(18)の場合、高断面積部が複数設けられているので、プレス成形品の剛性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す斜視図である。
【
図3A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図3B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図4A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図4B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図5A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品を示す斜視図である。
【
図7A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の変形例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図9A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の変形例を示す図である。
【
図9B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の変形例を示す側面図である。
【
図9F】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の変形例を示す底面図である。
【
図9G】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の変形例を示す底面図である。
【
図9H】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の変形例を示す底面図である。
【
図10A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図10B】同中間プレス成形品を示す図であって、
図10Aと異なる方向から見た斜視図である。
【
図10C】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図11A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図11B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図12A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図12B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図13A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す正面図である。
【
図13B】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図13C】同中間プレス成形品を示す斜視図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図15A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の他の変形例を示す正面図である。
【
図15B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の他の変形例を示す側面図である。
【
図15F】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の他の変形例を示す底面図である。
【
図15G】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の他の変形例を示す底面図である。
【
図15H】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の他の変形例を示す底面図である。
【
図16A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図16B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図17A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図17B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図18A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図18B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図19A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図19B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図20A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図20B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図21A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図21B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図22A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図22B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図23A】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図23B】本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図24A】本発明の第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品を示す斜視図である。
【
図24B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図25A】本発明の第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す斜視図である。
【
図25B】本発明の第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図26】本発明の第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図27A】本発明の第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図27B】本発明の第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図28A】本発明の第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の変形例を示す斜視図である。
【
図28B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図28C】同中間プレス成形品を示す側面図である。
【
図28D】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図29】本発明の第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図30A】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図30B】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図31A】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図31B】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図33A】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の変形例を示す斜視図である。
【
図33B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図33C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図34A】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図34B】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図35A】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図35B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図35C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図36】本発明の第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図37A】本発明の第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図37B】本発明の第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図38】本発明の第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図39A】本発明の第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図39B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図39C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図40A】本発明の第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図40B】本発明の第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図41】本発明の第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図42A】本発明の第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図42B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図42C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図43】本発明の第5実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図44】本発明の第5実施形態に係るマンドレル、および中間プレス成形品を示す図である。
【
図45】本発明の第5実施形態に係るマンドレルを示す正面模式図である。
【
図46】本発明の第5実施形態に係るマンドレルを示す拡大正面図である。
【
図47】本発明の第5実施形態に係るマンドレルの連結体を示す斜視図である。
【
図49】本発明の第5実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図50】本発明の第6実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図51】本発明の第6実施形態に係るマンドレルを示す拡大正面図である。
【
図52】本発明の第6実施形態に係るマンドレルの変形例を示す拡大正面図である。
【
図53】本発明の第6実施形態に係るマンドレルの他の変形例を示す拡大正面図である。
【
図54】本発明の第6実施形態に係るマンドレルの動作を説明するための図である。
【
図55】本発明の第6実施形態に係るマンドレルの動作を説明するための図である。
【
図56】本発明の第6実施形態に係るマンドレルの動作を説明するための図である。
【
図57】本発明の第6実施形態に係るマンドレルの他の変形例を示す拡大正面図である。
【
図58】
図57に示すマンドレルの連結体を示す正面図である。
【
図59】
図57に示すマンドレルの連結体であって、
図58と異なる連結体を示す平面図である。
【
図60A】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品を示す斜視図である。
【
図60B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図60C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図61】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図62】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図である。
【
図63】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す側面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図64A】本発明の第6実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の変形例を示す斜視図である。
【
図64B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図64C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図65】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図66A】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図66B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図66C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図67】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図68A】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図68B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図68C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図69】本発明の第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図70】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す斜視図である。
【
図71A】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図71B】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下降させた状態を示す図である。
【
図71C】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図72A】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の変形例を示す斜視図である。
【
図72B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図72C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図73A】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図73B】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図あって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図74A】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図74B】同中間プレス成形品を示す正面図である。
【
図74C】同中間プレス成形品を示す平面図である。
【
図75A】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置の変形例を示す正面図である。
【
図75B】
図75Aに示す状態から、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図76】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図77】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す正面図である。
【
図78】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図79】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置に用いられる中間プレス成形品の他の変形例を示す斜視図である。
【
図80A】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置の変形例を示す正面図である。
【
図80B】本発明の第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置の変形例を示す正面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図81】本発明の第9実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す斜視図である。
【
図82A】本発明の第9実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す縦断面図である。
【
図82B】本発明の第9実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す縦断面図であって、上部成形型を下降させた状態を示す図である。
【
図82C】本発明の第9実施形態に係るプレス成形品の製造装置を示す縦断面図であって、上部成形型を下死点まで下降させた状態を示す図である。
【
図83A】中間プレス成形品を複数回に分けて圧縮する方法を説明するための図である。
【
図83B】中間プレス成形品を複数回に分けて圧縮する方法を説明するための図である。
【
図83C】中間プレス成形品を複数回に分けて圧縮する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係るプレス成形品の製造装置1(以下、単に製造装置1とも称する)を示す斜視図である。製造装置1は、中間プレス成形品51を押圧して、プレス成形品101(
図5A〜
図5C参照)を製造する際に用いられる。以下では、まず、中間プレス成形品51について説明する。
【0033】
図1A〜
図1Dは、中間プレス成形品51を示す図である。なお、
図1Aは斜視図であり、
図1Bは正面図であり、
図1Cは平面図であり、
図1Dは側面図である。
図1A〜
図1Dに示すように、中間プレス成形品51は、一方向に長い鋼材(長尺材)であって、ウエブ部52と、ウエブ部52の幅方向両側に設けられ、互いに対向する一対の縦壁部53とから構成されている。ウエブ部52は、2つの直線部52a(平坦部)と、2つの直線部52a間に設けられた曲げ部52bとを有する。
【0034】
ウエブ部52の曲げ部52bは、ウエブ部52の長手方向中央部に設けられた、円弧状に湾曲する部位である。ここで、曲げ部52bの表面のうち、曲げ加工によって伸びる面(伸長面)を凸側(伸長側)と称し、他方の面(曲げ加工によって縮む面(収縮面))を凹側(収縮側)と称する(
図1B参照)。以後、本明細書における全ての図において同様である。
【0035】
一対の縦壁部53は、ウエブ部52の曲げ部52bの凸側に設けられている。また、中間プレス成形品51を正面視した場合に、一対の縦壁部53は、ウエブ部52の一端と他端との間に、一定の幅をもって延在している。縦壁部53の長手方向中央部は、ウエブ部52の曲げ部52bの曲率と同じ曲率で湾曲している。
【0036】
中間プレス成形品51は、鋼板をプレス成形することによって製造される。例えば、平面視矩形状の鋼板をプレス成形して、ウエブ部52と一対の縦壁部53とを有する真っ直ぐな鋼材とした後、この鋼材に対して曲げ加工を行うことにより、中間プレス成形品51を製造することができる。なお、曲げ加工なしで、鋼板をプレス成形することによって、直接的に、中間プレス成形品51を製造してもよい。
【0037】
なお、中間プレス成形品51は、以下の式(1)で表される細長比λが100以上であることが好ましい。
λ=L1/r ・・・(1)
上記の式(1)において、L1は、中間プレス成形品の全長であり(
図1B参照)、rは、中間プレス成形品51の断面二次モーメントIおよび断面積Aを用いて以下の式(2)で表される断面二次半径である。
r=(I/A)
1/2 ・・・(2)
細長比λを100以上とすることにより、中間プレス成形品51を製造する際の曲げ加工を容易に行うことができる。
【0038】
図1Bに示すように、中間プレス成形品51の長手方向における両端(両側縁)間の最短距離Lは、中間プレス成形品51の全長L1よりも小さい。ここで、中間プレス成形品51の全長L1は、湾曲したウエブ部52の全長を意味する。また、最短距離Lは、縦壁部53の短辺53a、53b(縦壁部の両側縁)の間の最短距離を意味する。
【0039】
次に、本実施形態に係る製造装置1について説明する。
図2に示すように、製造装置1は、下部成形型10(第1成形型)と、上部成形型20(第2成形型)とを備える。なお、下部成形型10及び上部成形型20は、プレス成形機(不図示)に設置されている。プレス成形機は、通常のプレス成形機でもよいが、金型の下死点および下降速度を任意に調整可能なサーボ型プレス成形機であることがより好ましい。
【0040】
下部成形型10は、ベース部11と、ベース部11に固定され互いに対向する一対の長辺壁12と、ベース部11に固定され互いに対向する一対の短辺壁13(一対の拘束壁)とを有する。上部成形型20は、本体部21と、凸部23を有するパンチ部22とを有する。なお、下部成形型10では、一対の長辺壁12および一対の短辺壁13により、溝部14が形成されている。
【0041】
プレス成形品101を製造する際は、下部成形型10と上部成形型20との間に、中間プレス成形品51が配置される。そして、上部成形型20が下降することにより、中間プレス成形品51が押圧され溝部14に押し込まれる。
【0042】
図3Aは、製造装置1を示す縦断面図であり、
図3Bは、製造装置1を示す横断面図である。
図3Aおよび
図3Bに示すように、一対の短辺壁13の壁面13a(側面)、および一対の長辺壁12の壁面12aは、ベース部11の上面11aに対して垂直である。また、壁面13aの上部には、凸曲面13b(ガイド面)が設けられている。
【0043】
図3Aに示すように、一対の長辺壁12および一対の短辺壁13により形成された溝部14は、中間プレス成形品51の両端間の最短距離L(
図1B参照)に対応する長さを有する。すなわち、溝部14の長さ(一対の短辺壁13の壁面13a間の距離)は、中間プレス成形品51の両端間の最短距離Lに等しい。
【0044】
図3Bに示すように、溝部14は、中間プレス成形品51の一対の縦壁部53の間隔に対応する幅を有する。すなわち、溝部14の幅(一対の長辺壁12の壁面12a間の距離)は、中間プレス成形品51の幅に等しい。また、溝部14の深さは、中間プレス成形品51の縦壁部53の幅に等しい。
【0045】
また、
図3Bに示すように、パンチ部22の凸部23は、その幅方向両側に設けられた一対の側面23aと、溝部14に対向する先端面23bとを有している。パンチ部22の凸部23は、上部成形型20を下降させて、上部成形型20と下部成形型10とを近接させた際に、下部成形型10の溝部14に進入する。なお、凸部23は、パンチ部22と一体化していてもよいし、パンチ部22とは別個であってもよい。
【0046】
凸部23の長さは、中間プレス成形品51の最短距離L以下であり、また、凸部23の幅(一対の側面23a間の距離)は、中間プレス成形品51の一対の縦壁部53の内面間の距離に等しい。
【0047】
次に、製造装置1を用いて、中間プレス成形品51よりプレス成形品101を製造する方法について説明する。まず、
図3Aに示すように、中間プレス成形品51を下部成形型10の溝部14の直上に配置する。この際、中間プレス成形品51の曲げ部52bの凸側(伸長側:
図1B参照)が上部成形型20に向くように、中間プレス成形品51を配置する。これにより、パンチ部22の凸部23を、曲げ部52bの凸側に当接させることができる。また、中間プレス成形品51を製造装置1に配置した状態では、中間プレス成形品51の縦壁部53の短辺53a、53bが、短辺壁13の凸曲面13bに当接する。
【0048】
続いて、
図4Aおよび
図4Bに示すように、上部成形型20を下降させて、中間プレス成形品51をプレス成形する。この際、パンチ部22の凸部23が中間プレス成形品51の曲げ部52bの凸側を押圧するので、曲げ部52bの曲率が小さくなり、中間プレス成形品51が直線状に伸びようとする。ここで、上述のように、一対の短辺壁13間の距離は、中間プレス成形品51の長手方向両端間の最短距離Lに等しいので、中間プレス成形品51の長手方向両端は、一対の短辺壁13により拘束されている。そのため、上部成形型20を下降させることにより、中間プレス成形品51には長手方向に圧縮応力が加わる。同時に、中間プレス成形品51の短辺53a、53bは、曲げ部52bの曲率が小さくなることにより、傾斜角度が徐々に垂直になる。このようにして、中間プレス成形品51は、短辺53a、53bが凸曲面13bに当接しながら、溝部14に押し込まれる。
【0049】
上記のプレス成形では、一対の短辺壁13の壁面13a間の距離が、中間プレス成形品51の長手方向における両端間の最短距離Lに等しく、さらに、中間プレス成形品51の曲げ部52bの凸側を押圧するので、中間プレス成形品51の長手方向における両端を拘束させながら、中間プレス成形品51の曲げ部52bの曲率を小さくすることができる。その結果、中間プレス成形品51のウエブ部52の全長L1(
図1B参照)は、中間プレス成形品51の長手方向における両端間の最短距離Lより大きいので、中間プレス成形品51のウエブ部52及び縦壁部53には、長手方向に沿って圧縮応力が加わり、中間プレス成形品51を長手方向に圧縮することができる。すなわち、圧縮された分だけ、中間プレス成形品51のウエブ部52及び縦壁部53の肉厚(断面積)を増加させることができる。
【0050】
なお、中間プレス成形品51に圧縮応力が加わった際、
図4Bに示すように、中間プレス成形品51のウエブ部52は、下部成形型10のベース部11の上面11aと上部成形型20の凸部23の先端面23bとによって挟まれるので、ウエブ部52の座屈変形を防止することができる。同様に、中間プレス成形品51の縦壁部53は、下部成形型10の一対の長辺壁12の壁面12a(
図3B参照)と、上部成形型20の凸部23の側面23aとによって挟まれるので、縦壁部53の座屈変形を防止することができる。また、中間プレス成形品51の短辺53a、53bが短辺壁13の凸曲面13bに当接しながら溝部14に押し込まれるので、中間プレス成形品51の長手方向の端部が座屈変形することを防止することができる。したがって、中間プレス成形品51のウエブ部52及び縦壁部53の座屈変形を防止して、ウエブ部52及び縦壁部53を増肉することができる。
【0051】
以上に説明したプレス成形により、中間プレス成形品51からプレス成形品101が製造される。
【0052】
図5A〜
図5Cは、本実施形態に係るプレス成形品101を示す図である。なお、
図5Aは斜視図であり、
図5Bは正面図であり、
図5Cは側面図である。プレス成形品101は、上述のように、中間プレス成形品51の両端を拘束させながら、中間プレス成形品51の曲げ部52bの曲率をゼロにすることにより得られる。そのため、
図5A〜
図5Cに示すように、プレス成形品101はストレート形状であり、また、プレス成形品101の全長L’は、中間プレス成形品51の長手方向両端間の最短距離Lに等しくなる。
【0053】
図6A〜
図6Cは、
図5CのA−A断面図であって、プレス成形品101の肉厚増加(断面積増加)の例を示す図である。
図6Aは、プレス成形品101のウエブ部102の上面102aが平坦面であり、下面102bが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。
図6Aに示すように、プレス成形品101のウエブ部102は、最も肉厚が厚い厚肉部102c(高断面積部)と、厚肉部102cよりも肉厚が薄い薄肉部102d(低断面積部)と、厚肉部102cと薄肉部102dとの間に設けられ、肉厚が長手方向に沿って連続的に変化する中間部102eとを有する。なお、プレス成形品101を長手方向に垂直な断面で見た場合には、厚肉部102cが最も断面積が大きい部分となり、薄肉部102dが最も断面積が小さい部分となる。
【0054】
ここで、中間プレス成形品51の曲げ部52bが、プレス成形品101の厚肉部102cとなり、中間プレス成形品51の直線部52aが薄肉部102dとなる。中間プレス成形品51では、曲げ部52bの長さが直線部52aよりも小さいので(
図1B参照)、薄肉部102dの長さは、厚肉部102cの長さよりも大きくなっている。
【0055】
図6Bは、ウエブ部102の下面102bが平坦面であり、上面102aが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。また、
図6Cは、ウエブ部102の上面102a及び下面102bが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。
【0056】
また、
図6D〜
図6Fは、プレス成形品101の底面図であって、肉厚増加(断面積増加)の例を示す図である。
図6Dは、縦壁部103の外面103aが平坦面であり、内面103bが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。
図6Dに示すように、縦壁部103は、最も肉厚が厚い厚肉部103c(高断面積部)と、厚肉部103cよりも肉厚が薄い薄肉部103d(低断面積部)と、厚肉部103cと薄肉部103dとの間に設けられ、肉厚が長手方向に沿って連続的に変化する中間部103eとを有する。なお、ウエブ部102と同様に、縦壁部103の薄肉部103dの長さは、厚肉部103cの長さよりも大きくなっている。
【0057】
図6Eは、縦壁部103の内面103bが平坦面であり、外面103aが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。また、
図6Fは、縦壁部103の外面103a及び内面103bが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。
【0058】
図6A〜
図6Fに示すように、プレス成形品101のウエブ部102及び縦壁部103の各面が平坦面であるか、または増肉されて盛り上がった面になるかは、下部成形型10の溝部14と上部成形型20の凸部23との間隔、および上部成形型20の下死点などにより決定される。
【0059】
上述のように、プレス成形品101のウエブ部102及び縦壁部103には、厚肉部102cまたは厚肉部103cが設けられており、ウエブ部102及び縦壁部103の肉厚が部分的に厚くなっているので(長手方向に垂直な断面で見た場合、断面積が部分的に大きくなっているので)、プレス成形品101の剛性を高めることができる。さらに、プレス成形品101は中間プレス成形品51を長手方向に圧縮することにより製造されるので、加工硬化によりプレス成形品101の降伏強度を高めることができる。
また、厚肉部102cと薄肉部102dとの間に中間部102eが設けられるので、厚肉部102cと薄肉部102dとの間の境界に応力が集中することを避けることができる。
【0060】
なお、プレス成形品101の厚肉部102cの肉厚は、中間プレス成形品51の全長、肉厚、曲率、および材質などによって決定されるが、中間プレス成形品51の肉厚に対して105%以上であることが好ましく、110%以上であることがさらに好ましい。また、プレス成形品101の厚肉部102cの肉厚の上限は、特に限定されるものではないが、中間プレス成形品51の肉厚に対して140%以下であってもよく、135%以下であってもよく、130%以下であってもよい。
【0061】
また、厚肉部102cの長さよりも薄肉部102dの長さが大きいので、必要な部分のみ剛性を高めて、部品の軽量化を図ることができる。同様に、厚肉部103cの長さよりも薄肉部103dの長さが大きいので、必要な部分のみ剛性を高めて、部品の軽量化を図ることができる。
【0062】
プレス成形品101は、例えば、センターピラーレインフォース、フロアクロスメンバー、またはロッカーレインフォースメントなどの自動車部品に好適に用いることができる。
【0063】
本実施形態では、中間プレス成形品51の曲げ部52bの曲率をゼロにして、ストレート形状のプレス成形品101を製造する場合を示した。しかしながら、本実施形態はこれに限られず、中間プレス成形品51の曲げ部52bの曲率を所定の曲率まで小さくしてプレス成形品101を製造してもよい。すなわち、プレス成形後の曲げ部52bの曲率をゼロにするだけに限られず、プレス成形前の曲げ部52bの曲率よりも小さい曲率を残したままとしてもよい。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態によれば、曲げ部52bを有する中間プレス成形品51を準備して、中間プレス成形品51の長手方向における両端間の最短距離を一定に保ちつつ、中間プレス成形品51の曲げ部52bの曲率を小さくすることにより、中間プレス成形品51が長手方向に沿って圧縮され、圧縮された分だけ材料が余剰となる。そのため、この余剰の材料によって、ウエブ部52の一部の肉厚(断面積)が増加する。同時に、縦壁部53の一部の肉厚(断面積)も増加する。このようにして、溶接を必要とすることなく、増肉された(断面積が増加した)ウエブ部102および縦壁部103を有する、軽量でかつ高剛性のプレス成形品101を製造することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、製造装置1の一対の短辺壁13間の距離が、中間プレス成形品51の最短距離Lと等しい場合を示した。しかしながら、製造装置1の一対の短辺壁13間の距離は、中間プレス成形品51の全長L1(中間プレス成形品51を直線状に伸ばした場合の長さ)より小さければよい。この場合にも、中間プレス成形品51を長手方向に沿って圧縮することができ、溶接を必要とすることなく、増肉されたプレス成形品101を製造することができる。
【0066】
[プレス成形品の変形例]
本実施形態では、中間プレス成形品51よりプレス成形品101を製造する場合を示した。しかしながら、中間プレス成形品51に代えて、他の中間プレス成形品を用いることにより、種々のプレス成形品を製造することができる。
図7A〜
図7Cは、中間プレス成形品61を示す図である。なお、
図7Aは斜視図であり、
図7Bは正面図であり、
図7Cは側面図である。
図7A〜
図7Cに示すように、中間プレス成形品61は、中間プレス成形品51と同様に、ウエブ部62および一対の縦壁部63を有する。ここで、中間プレス成形品61のウエブ部62は、曲げ部62bからなり、全体が湾曲した形状となっている。
【0067】
図8は、製造装置1に中間プレス成形品61を配置した状態を示す図である。プレス成形品101を製造する場合と同様に、製造装置1の上部成形型20を下降させることにより、中間プレス成形品61を長手方向に沿って圧縮することができる。
図9Aおよび
図9Bは、中間プレス成形品61より製造されたプレス成形品111を示す図である。また、
図9C〜
図9Hは、プレス成形品111のウエブ部112および縦壁部113が増肉された例を示す。
【0068】
図9C〜
図9Eは、
図9BのB−B断面図である。
図9Cでは、ウエブ部112の上面112aが平坦面であり、下面112bが増肉によって盛り上がった面になっている。ウエブ部112は、最も肉厚が厚い厚肉部112cと、厚肉部112cよりも肉厚が薄い薄肉部112dと、厚肉部112cおよび薄肉部112dの間に設けられ、肉厚が連続的に変化する中間部112eとを有する。
【0069】
図9Dは、ウエブ部112の下面112bが平坦面であり、上面112aが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。また、
図9Eは、ウエブ部112の上面112aおよび下面112bが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。
【0070】
図9F〜
図9Hは、プレス成形品111の底面図を示す。
図9Fでは、縦壁部113の外面113aが平坦面であり、内面113bが増肉によって盛り上がった面になっている。縦壁部113は、最も肉厚が厚い厚肉部113cと、厚肉部113cよりも肉厚が薄い薄肉部113dと、厚肉部113cと薄肉部113dとの間に設けられ、肉厚が連続的に変化する中間部113eを有する。
【0071】
図9Gは、縦壁部113の内面113bが平坦面であり、外面113aが増肉により盛り上がった面となっている場合を示す。また、
図9Hは、縦壁部113の内面113bおよび外面113aが増肉により盛り上がった面となっている場合を示す。
【0072】
また、製造装置1では、
図10A〜
図10Cに示す中間プレス成形品71を用いることもできる。
図10A〜
図10Cに示すように、中間プレス成形品71は、ウエブ部72と、ウエブ部72の幅方向両側に接続される一対の縦壁部73と、一対の縦壁部73のそれぞれに接続されるフランジ部74とを有する。なお、中間プレス成形品71は、フランジ部74を有する点で、中間プレス成形品51(
図1A〜
図1D参照)と異なっている。
【0073】
図11Aおよび
図11Bは、中間プレス成形品71を製造装置1に配置した状態を示す図であり、
図12Aおよび
図12Bは、製造装置1の上部成形型20を下死点まで下降させた状態を示す図である。プレス成形品101を製造する場合と同様に、製造装置1の上部成形型20を下降させることにより、中間プレス成形品71を長手方向に沿って圧縮することができる。なお、
図12Bに示すように、中間プレス成形品71のフランジ部74は、プレス成形時に、パンチ部22と長辺壁12の上面との間に挟まれて拘束される。これにより、フランジ部74にしわが発生することを防止することができる。
【0074】
また、製造装置1では、
図13A〜
図13Cに示す中間プレス成形品81を用いることもできる。
図13A〜
図13Cに示すように、中間プレス成形品81は、ウエブ部82と、ウエブ部82の幅方向両側に接続される一対の縦壁部83とを有する。なお、中間プレス成形品81は、3つの直線部52aと、2つの曲げ部52bとを有する点で、中間プレス成形品51(
図1A〜
図1D参照)と異なっている。
【0075】
図14は、中間プレス成形品81を製造装置1に配置した状態を示す図である。
図14に示す状態から上部成形型20を下降させることにより、中間プレス成形品81を長手方向に圧縮することができる。そして、中間プレス成形品81より
図15Aおよび
図15Bに示すプレス成形品131を製造することができる。
図15C〜
図15Hは、プレス成形品131のウエブ部132および縦壁部133が増肉された例を示す。
【0076】
図15C〜
図15Eは、
図15BのC−C断面図である。
図15Cでは、ウエブ部132の上面132aが平坦面のままであり、下面132bが増肉によって盛り上がった面になっている。ウエブ部132には、厚肉部132cと、薄肉部132dと、厚肉部132cと薄肉部132dとの間に設けられ、肉厚が長手方向に沿って連続的に変化する中間部132eとが設けられている。なお、厚肉部132cは、2箇所に設けられ、薄肉部132dは、3箇所に設けられている。また、厚肉部132cは、中間プレス成形品81の曲げ部52bに対応する位置に設けられ、薄肉部132dは中間プレス成形品81の直線部52aに対応する位置に設けられている。
【0077】
図15Dは、ウエブ部132の下面132bが平坦面のままであり、上面132aが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。また、
図15Eは、ウエブ部132の上面132a及び下面132bが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。
【0078】
図15F〜
図15Hは、プレス成形品131の底面図を示す。
図15Fでは、縦壁部133の外面133aが平坦面のままであり、内面133bが増肉によって盛り上がった面になっている。縦壁部133には、厚肉部133cと、薄肉部133dと、厚肉部133cと薄肉部133dとの間に設けられた中間部133eとが設けられている。厚肉部133cは、2箇所に設けられ、薄肉部133dは、3箇所に設けられている。厚肉部133cは、中間プレス成形品81の曲げ部52bに対応する位置に設けられ、薄肉部133dは、中間プレス成形品81の直線部52aに対応する位置に設けられる。
【0079】
図15Gは、縦壁部133の内面133bが平坦面のままであり、外面133aが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。
図15Hは、縦壁部133の外面133a及び内面133bが増肉によって盛り上がった面になっている場合を示す。
【0080】
また、製造装置1では、
図16Aおよび
図16Bに示すように、曲げ部141bおよび直線部141aを有する中間プレス成形品141を用いることもできる。なお、中間プレス成形品141の断面は、中実円形である。この場合、中間プレス成形品141を製造装置1によりプレス成形することにより、断面積が増加された、中実円形断面のプレス成形品を製造することができる。
【0081】
また、
図17Aおよび
図17Bに示すように、曲げ部143bおよび直線部143aを有する中間プレス成形品143を用いることもできる。なお、中間プレス成形品143の断面は、中実正方形である。この場合、中間プレス成形品143を製造装置1によりプレス成形することにより、断面積が増加された、中実正方形断面のプレス成形品を製造することができる。
【0082】
また、
図18Aおよび
図18Bに示すように、曲げ部145bおよび直線部145aを有する中間プレス成形品145を用いることもできる。なお、中間プレス成形品145の断面は、中空円形である。この場合、中間プレス成形品145を製造装置1によりプレス成形することにより、断面積が増加された、中空円形断面のプレス成形品を製造することができる。
【0083】
また、
図19Aおよび
図19Bに示すように、曲げ部147bおよび直線部147aを有する中間プレス成形品147を用いることもできる。なお、中間プレス成形品147の断面は、中空楕円形である。この場合、中間プレス成形品147を製造装置1によりプレス成形することにより、断面積が増加された、中空楕円形断面のプレス成形品を製造することができる。
【0084】
また、
図20Aおよび
図20Bに示すように、曲げ部151bおよび直線部151aを有する中間プレス成形品151を用いることもできる。なお、中間プレス成形品151の断面は、中実長方形である。曲げ部151bの表面のうち、幅方向に直交する2つの側面の一方が曲げ加工によって伸びる面(伸長面)であり、上記2つの側面の他方が曲げ加工によって縮む面(収縮面)である。上記の曲げ部151bの伸長面が上部成形型20と対向するように、中間プレス成形品151は製造装置1に配置される。この場合、中間プレス成形品151を製造装置1によりプレス成形することにより、断面積が増加された、中実長方形断面のプレス成形品を製造することができる。
【0085】
また、
図21Aおよび
図21Bに示すように、曲げ部153bおよび直線部153aを有する中間プレス成形品153を用いることもできる。なお、中間プレス成形品153の断面は、中実長方形である。曲げ部153bの表面のうち、厚さ方向に直交する2つの面の一方が、曲げ加工によって伸びる面(伸長面)であり、上記2つの面の他方が曲げ加工によって縮む面(収縮面)である。上記の曲げ部153bの伸長面が上部成形型20と対向するように、中間プレス成形品51は製造装置1に配置される。この場合、中間プレス成形品153を製造装置1によりプレス成形することにより、断面積が増加された、中実長方形断面のプレス成形品を製造することができる。
【0086】
また、
図22Aおよび
図22Bに示すように、曲げ部155bおよび直線部155aを有する、断面L形の中間プレス成形品155を用いることもできる。この場合、中間プレス成形品155を製造装置1によりプレス成形することにより、断面積が増加された、断面L形のプレス成形品を製造することができる。
【0087】
また、
図23Aおよび
図23Bに示すように、曲げ部157bおよび直線部157aを有する、断面Z形の中間プレス成形品157を用いることもできる。この場合、中間プレス成形品157を製造装置1によりプレス成形することにより、断面積が増加された、断面Z形のプレス成形品を製造することができる。この際、プレス加工時の座屈変形を防止するため、
図23Bに示すように、製造装置1の一対の長辺壁12の一方を、L形とすることが好ましい。
【0088】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0089】
図24Aおよび
図24Bは、第2実施形態に用いられる中間プレス成形品251を示す図である。なお、
図24Aは、斜視図であり、
図24Bは、正面図である。
図24Aおよび
図24Bに示すように、中間プレス成形品251は、一方向に長い鋼材(長尺材)であって、ウエブ部252と、ウエブ部252の幅方向両側に接続される一対の縦壁部253とを有する。ウエブ部252には、2つの直線部252aと、直線部252a同士の間に配置された曲げ部252bとが設けられている。曲げ部252bは、ウエブ部252の長手方向中央部に設けられた、円弧状に湾曲する部位である。曲げ部252bの表面のうち、曲げ加工によって伸びる面が伸長面であり、他方の面(曲げ加工によって縮む面)が収縮面である。第2実施形態では、一対の縦壁部253が曲げ部252bの収縮面に設けられている点で第1実施形態と異なっている。また、中間プレス成形品251の縦壁部253の短辺253aと短辺253bとは、相互に平行となっている。すなわち、中間プレス成形品251の長手方向における両端の端縁を含む平面が、互いに平行になっている。
【0090】
中間プレス成形品251は、鋼板をプレス成形し、この鋼板に曲げ加工を行った後、中間プレス成形品251の縦壁部253の長手方向両端を切り落とすことにより得ることができる。また、鋼板をプレス成形する前に、予め鋼板を型取りしておいてもよい。
【0091】
図25Aおよび
図25Bは、第2実施形態に係るプレス成形品の製造装置200(以下、単に製造装置200と称する)を示す図である。なお、
図25Aは斜視図であり、
図25Bは側面図である。第1実施形態に係る製造装置1では、上部成形型20が凸部23を有するパンチ部22を有し、下部成形型10が一対の短辺壁13および一対の長辺壁12を有する場合を示した。これに対して、第2実施形態に係る製造装置200では、上部成形型220が、凹部223を有するパンチ部222を有し、下部成形型210が、一対の長辺壁12に代えて、ベース部11に設けられた凸部214を有する。なお、製造装置200では、本体部21(
図2参照)の図示を省略している。
【0092】
上部成形型220のパンチ部222の凹部223の幅は、中間プレス成形品251の全幅に等しい。凹部223の長さは、一対の短辺壁13間の距離に等しく、また、中間プレス成形品251の長手方向における両端間の距離L(最短距離)に等しい。凹部223の深さは、中間プレス成形品251の縦壁部253の幅に等しい。
【0093】
下部成形型210の凸部214の幅は、中間プレス成形品251の一対の縦壁部253の内面間の距離に等しい。凸部214の長さは、一対の短辺壁13間の距離に等しく、また、中間プレス成形品251の長手方向における両端間の距離Lに等しい。
【0094】
図26は、中間プレス成形品251を製造装置200に配置した状態を示す正面図である。なお、
図26では、上部成形型220については、縦断面図で示している。
図26に示すように、中間プレス成形品251は、中間プレス成形品251の一対の縦壁部253が下部成形型210の凸部214を挟み込むように、凸部214の直上に配置されている。この際、一対の短辺壁13間の距離が、中間プレス成形品251の長手方向両端の距離Lに等しいので、中間プレス成形品251の長手方向両端は拘束される。また、上述のように、中間プレス成形品251の長手方向両端は、互いに平行になっているので、中間プレス成形品251の長手方向両端が一対の短辺壁13に対して平行となるように、中間プレス成形品251を配置することができる。そのため、中間プレス成形品251をプレス成形する際に、中間プレス成形品251に均等に荷重を印加することができ、その結果、中間プレス成形品251の座屈変形を防止することができる。
【0095】
図27Aおよび
図27Bは、上部成形型220を下死点まで下降させた状態を示す図である。なお、
図27Aは、正面図であり、
図27Bは、側面図である。第1実施形態の場合と同様に、上部成形型220を下降させることにより、中間プレス成形品251の長手方向両端を拘束させながら、中間プレス成形品251の曲げ部252bの曲率を小さくする。その結果、中間プレス成形品251を長手方向に圧縮することができ、中間プレス成形品251のウエブ部252および縦壁部253が増肉される。
【0096】
本実施形態では、
図27Bに示すように、中間プレス成形品251を上部成形型220の凹部223と下部成形型210の凸部214との間に挟みつつ、中間プレス成形品251の曲げ部252bの曲率を小さくするようにプレス成形する。これにより、中間プレス成形品251の長手方向に圧縮応力が加わった際、中間プレス成形品251のウエブ部252は、上部成形型220の凹部223の底面223aと下部成形型210の凸部214の上面214aとによって挟まれるので、ウエブ部252の座屈変形を防止することができる。同様に、中間プレス成形品251の縦壁部253は、上部成形型220の凹部223の側面223bと、下部成形型210の凸部214の側面214bによって挟まれるので、縦壁部253の座屈変形を防止することができる。
【0097】
また、製造装置200では、
図28A〜
図28Dに示す中間プレス成形品261を用いることもできる。
図28A〜
図28Dに示すように、中間プレス成形品261は、ウエブ部262および縦壁部263を有する。ここで、中間プレス成形品261のウエブ部262は、曲げ部262bからなり、全体が湾曲した形状となっている。また、中間プレス成形品261の縦壁部263の短辺263a、263bは、中間プレス成形品251と同様に、互いに平行になっている。
【0098】
図29は、中間プレス成形品261を製造装置200に配置した状態を示す図である。中間プレス251と同様に、上部成形型220を下降させることにより、中間プレス成形品261を長手方向に圧縮して、ウエブ部262および縦壁部263を増肉することができる。
【0099】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0100】
図30Aおよび
図30Bは、第3実施形態に係るプレス成形品の製造装置300(以下、単に製造装置300とも称する)を示す図である。本実施形態に係る製造装置300は、しわ押さえパッド331(しわ押さえ治具)を有する点で、第1実施形態に係る製造装置1と異なっている。
【0101】
図30Aおよび
図30Bに示すように、しわ押さえパッド331は、下部成形型10のベース部11に設けられた貫通孔11bに挿入されている。しわ押さえパッド331は、上部成形型20および下部成形型10の動きに合わせて昇降自在となっており、貫通孔11bに収納可能とされている。
【0102】
図32A〜
図32Cは、しわ押さえパッド331を示す図である。
図32A〜
図32Cに示すように、しわ押さえパッド331は、本体部331aと、本体部331aに連結されたシャフト部331bとから構成されている。シャフト部331bは、下部成形型10に設けられた貫通孔11bに挿入される。
【0103】
しわ押さえパッド331の本体部331aは、上面331cと、側面331dとを有する。上面331cは、本体部331aの頂部に設けられた凸曲面であり、中間プレス成形品51のウエブ部52の曲げ部52bに当接する。側面331dは、本体部331aの側部に設けられた平坦面である。なお、上面331cは、中間プレス成形品51の曲げ部52b(
図1B参照)の曲率より小さい曲率を有している。これにより、中間プレス成形品51のウエブ部52の座屈変形を抑制できる。
【0104】
製造装置300を用いて中間プレス成形品51をプレス成形する際は、
図30Aおよび
図30Bに示すように、下部成形型10の凸曲面13bに中間プレス成形品51の両端を当接させた後、中間プレス成形品51へ向かってしわ押さえパッド331を上昇させ、中間プレス成形品51のウエブ部52の曲げ部52bにしわ押さえパッド331を当接させる。このとき、しわ押さえパッド331は、中間プレス成形品51の曲げ部52bの凹側(収縮面)に当接する。その後、上部成形型20を下降させて、中間プレス成形品51のウエブ部52の曲げ部52bの凸側(伸長面)に上部成形型20の凸部23を当接させる。そして、上部成形型20をさらに下降させることにより、
図31Aおよび
図31Bに示すように、しわ押さえパッド331と上部成形型20とによって中間プレス成形品51のウエブ部52を挟み込みながら、中間プレス成形品51は長手方向に圧縮される。なお、しわ押さえパッド331は、上述のように昇降自在となっているので、上部成形型20に押されながら下降する。しわ押さえパッド331は、上部成形型20に押されて下降する間、中間プレス成形品51のウエブ部52に当接したままであるため、中間プレス成形品51のウエブ部52の座屈変形を防止することができる。
【0105】
また、製造装置300では、中間プレス成形品51に代えて、
図33A〜
図33Cに示す中間プレス成形品351を用いることもできる。
図33A〜
図33Cに示すように、中間プレス成形品351は、ウエブ部352と、ウエブ部352の幅方向両側に接続される一対の縦壁部353とを有する。なお、中間プレス成形品351は、4つの直線部252aと、1つの曲げ部252bと、2つの曲げ部352cとを有する点で、中間プレス成形品251(
図24Aおよび
図24B参照)と異なっている。なお、中間プレス成形品351の曲げ部352cは、曲げ部252bが突出する方向と反対方向に突出している。
【0106】
図34Aは、中間プレス成形品351を製造装置300に配置した状態を示す図である。また、
図34Bは、製造装置300の上部成形型20を下死点まで下降させた状態を示す図である。製造装置300を用いて中間プレス成形品51をプレス成形する場合と同様に、上部成形型20を下降させることにより、中間プレス成形品351を長手方向に圧縮することができる。このとき、しわ押さえパッド331は、上面331cが中間プレス成形品351のウエブ部352の曲げ部252bに当接するとともに、側面331dが中間プレス成形品351の縦壁部353の内面に当接する。このため、中間プレス成形品351の座屈変形を防止することができる。
【0107】
また、製造装置300では、
図35A〜
図35Cに示す中間プレス成形品361を用いることもできる。中間プレス成形品361は、ウエブ部362と、ウエブ部362の幅方向両側に接続される一対の縦壁部363とを有する。なお、中間プレス成形品361は、上記の中間プレス成形品351の曲げ部252bを一端側に寄せた場合に相当する。すなわち、中間プレス成形品361は、
図33A〜
図33Cに示した中間プレス成形品351に対して、曲げ部252bの位置が異なっている。
【0108】
図36は、中間プレス成形品361および製造装置300を示す図である。中間プレス成形品361をプレス成形する際は、しわ押さえパッド331を、しわ押さえパッド331の上面331cが中間プレス成形品361の曲げ部252bに当接するように配置する。このようにしわ押さえパッド331を配置することにより、中間プレス成形品351と同様に、中間プレス成形品361の座屈変形を防止することができる。
【0109】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0110】
図37Aおよび
図37Bは、第4実施形態に係るプレス成形品の製造装置400(以下、製造装置400とも称する)を示す図である。第3実施形態では、製造装置300がしわ押さえパッド331を一つ有する場合を示した。これに対して、
図37Aおよび
図37Bに示すように、本実施形態に係る製造装置400は、しわ押さえパッド331を3つ有している。
【0111】
図38は、製造装置400を用いて中間プレス成形品51をプレス成形した状態を示す図である。上述のように、製造装置400は、しわ押さえパッド331を3つ有しているので、より確実に中間プレス成形品51のウエブ部52および縦壁部53の座屈を防止できる。なお、しわ押さえパッド331の数は、2つでもよいし、4つ以上であってもよい。
【0112】
また、製造装置400では、
図39A〜
図39Cに示す中間プレス成形品451を用いることもできる。中間プレス成形品451は、ウエブ部452と、ウエブ部452の幅方向両側に接続される一対の縦壁部453とを有する。なお、中間プレス成形品451は、3つの直線部252aと、2つの曲げ部252bとを有する点で、中間プレス成形品251(
図24Aおよび
図24B参照)と異なっている。
【0113】
図40Aおよび
図40Bは、中間プレス成形品451を製造装置400に配置した状態を示す図である。
図40Aおよび
図40Bに示すように、中間プレス成形品451をプレス成形する際は、しわ押さえパッド331を、しわ押さえパッド331の上面331cが中間プレス成形品451の曲げ部252bに当接するように配置する。すなわち、3つのしわ押さえパッド331のうちの2つが、曲げ部252bに当接するように配置され、残りの1つが直線部252aに当接するように配置される。
【0114】
図41は、中間プレス成形品451をプレス成形した状態を示す図である。
図41に示すように、中間プレス成形品451のウエブ部452は、上部成形型20と、しわ押さえパッド331との間に挟まれ、中間プレス成形品451の縦壁部453は、下部成形型10と、しわ押さえパッド331との間に挟まれる。そのため、中間プレス成形品451の座屈変形を防止することができる。
【0115】
また、製造装置400では、
図42A〜
図42Cに示す中間プレス成形品461を用いることもできる。中間プレス成形品461は、ウエブ部462と、ウエブ部462の幅方向両側に接続される一対の縦壁部463とを有する。なお、中間プレス成形品461は、5つの直線部252aと、2つの曲げ部252bとを有する点で、中間プレス成形品351(
図33A〜
図33C参照)と異なっている。
【0116】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0117】
図43は、第5実施形態に係るプレス成形品の製造装置500(以下、単に製造装置500とも称する)を示す正面図である。
図43に示すように、製造装置500は、一対の短辺壁13間に配置されるマンドレル510を有する点で、第2実施形態に係る製造装置200と異なっている。
【0118】
図44は、本実施形態に係るマンドレル510および中間プレス成形品251を示す正面図である。また、
図45は、マンドレル510を示す正面模式図である。
図44および
図45に示すように、マンドレル510は、複数の分割体511と、各分割体511を連結する連結体520とから構成されている。マンドレル510の複数の分割体511は、中間プレス成形品251のウエブ部252および一対の縦壁部253に囲まれた空間に挿入される。この際、複数の分割体511のうち、長手方向中央に位置する分割体511Xは、中間プレス成形品251のウエブ部252の曲げ部252bの凹側(収縮面)に当接する。また、分割体511Xには、下部成形型210の凸部214の長手方向中央に設けられた貫通孔に挿入されるシャフト部515が接続されている(
図43参照)。そのため、マンドレル510は、上部成形型220の動きに合わせて昇降自在となっている。
【0119】
なお、マンドレル510の全長は、中間プレス成形品251の長手方向両端間の距離L(
図24Aおよび
図24B参照)以下に設定されている。言い換えれば、マンドレル510の全長は、一対の短辺壁13間の距離以下に設定されている。これは、マンドレル510の分割体511が一列に並んだ際(
図49参照)に、マンドレル510と一対の短辺壁13との干渉を避けるためである。
【0120】
また、
図45に示すように、分割体511は、中間プレス成形品251のウエブ部252に当接する上面511bと、中間プレス成形品251の縦壁部253に当接する側面511cとを有する。分割体511の上面511bは凸曲面であり、また、分割体511の側面511cは平坦面である。
【0121】
図46は、マンドレル510を示す拡大正面図である。
図46に示すように、マンドレル510の分割体511は、分割体511の長手方向における端部に設けられた凹部513と、凹部513の内面に設けられたストッパ514とを有する。凹部513には、ストッパ514よりも内側に、隣り合う分割体511を連結する連結体520の係合部522が挿入される。ストッパ514は、分割体511の凹部513内に設けられた突起であり、連結体520の係合部522の動きを規制する。
【0122】
図47は、連結体520を示す斜視図である。
図47に示すように、連結体520は、棒状の本体部521と、本体部521の長手方向両端のそれぞれに設けられた球体状の係合部522とから構成されている。
【0123】
また、
図47に示す連結体520に代えて、
図48に示すように、板状の本体部526と、本体部526の長手方向両端のそれぞれに設けられた円柱体状の係合部527とから構成される連結体525を用いてもよい。
【0124】
このような構成により、マンドレル510の複数の分割体511は、相互に近接したり離間することが可能となっている。すなわち、複数の分割体511を、
図43に示すように、中間プレス成形品251の形状に沿って円弧状に並べたり、また、直線状(一列)に並べたりすることができる。
【0125】
図49は、製造装置500を示す正面図であって、上部成形型220を下死点まで下降させた状態を示す図である。上部成形型220を下降させる際、マンドレル510は、上部成形型220に押されながら下降する。そのため、マンドレル510は、上部成形型220に押されて下降する間、中間プレス成形品251のウエブ部252および縦壁部253に当接したままであり、加工中のウエブ部252および縦壁部253の座屈変形を防止することができる。
また、マンドレル510は、中間プレス成形品251のウエブ部252の変形に追従して、円弧状から直線状に分割体511の並びの形状に変移する(分割体間の位置関係が変化する)。そのため、上部成形型220を下死点まで下降させる間、中間プレス成形品251のウエブ部252および縦壁部253にマンドレル510を当接させることができる。
【0126】
このように、製造装置500では、中間プレス成形品251のウエブ部252および縦壁部253にマンドレル510を当接させながら、中間プレス成形品251をプレス成形するので、ウエブ部252および縦壁部253の座屈変形を確実に防止することができる。
【0127】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0128】
図50は、第6実施形態に係るプレス成形品の製造装置600(以下、単に製造装置600とも称する)を示す正面図である。第5実施形態では、製造装置500がマンドレル510を有する場合を示したが、本実施形態では、製造装置600が、マンドレル510に代えてマンドレル610を有する。ここで、第5実施形態に係るマンドレル510は、その全長を一対の短辺壁13間の距離以下に設定する必要があった。そのため、中間プレス成形品251をプレス成形する際に、中間プレス成形品251のウエブ部252および縦壁部253の一部には、マンドレル510が当接されない。これに対して、本実施形態に係るマンドレル610は、後述のように、全長が伸縮可能となっているので、中間プレス成形品251のウエブ部252および縦壁部253の全体に、常にマンドレル610を当接させることができる。
【0129】
図51は、マンドレル610を示す拡大正面図である。
図51に示すように、本実施形態に係るマンドレル610は、複数の分割体611がスライド体616および弾性体617を有する点で、第5実施形態に係るマンドレル510と異なっている。
【0130】
図51に示すように、マンドレル610の分割体611は、分割体611の長手方向端部に設けられた凹部613と、凹部613の内部に配置された板状のスライド体616と、スライド体616を凹部613から押し出すように付勢する弾性体617と、凹部613の内面に設けられたストッパ514とから構成されている。
【0131】
スライド体616は、弾性体617によってストッパ514側に向けて付勢されている。そして、スライド体616は、その端面616aが凹部613の内面に接触した状態で、かつ、弾性体617によって制限された範囲内で、凹部613の内部を移動する。
【0132】
弾性体617は、その一端がスライド体616に接続され、他端が凹部613の底面613aに接続されている。弾性体617は、例えば、コイルばね、または板ばねである。また、凹部613内に挿入された連結体520の係合部522は、スライド体616とストッパ514との間に配置されている。
【0133】
また、
図52に示すように、マンドレル610の分割体611は、スライド体616に設けられてかつ、連結体520の係合部522に接する受け面618aを有する受け部618をさらに有していてもよい。この場合、連結体520の係合部522が、スライド体616の受け部618に保持されるので、連結体520の係合部522の移動がスムーズになる。
【0134】
また、
図53に示すように、マンドレル610のスライド体616の形状をU字状とし、ストッパ514を凹部613に例えば2つ設けてもよい。この場合も、スライド体616の移動をスムーズにすることができる。
【0135】
次に、マンドレル610の動作について説明する。隣り合う分割体611同士の間に圧縮応力が印加されていない状態(
図50参照)では、
図51に示すように、弾性体617の長さは初期の長さになっている。このため、連結体520の係合部522が、ストッパ514寄りに位置している。連結体520の係合部522がストッパ514寄りに位置することで、連結体520の傾斜可能な範囲は比較的広くなる。従って、連結体520によって連結された隣り合う分割体611の相対位置は、上下方向に可変となっている。
【0136】
図50に示す状態から、上部成形型220を下降させて、中間プレス成形品251を押圧すると、隣り合う分割体611を接近させる圧縮応力がマンドレル610に印加される。このとき、連結体520の係合部522によってスライド体616が凹部613の底面613aに向けて押されて、弾性体617が圧縮される。弾性体617が圧縮されることにより、連結体520の本体部521が凹部613内に侵入する。これにより、隣り合う分割体611が互いに接近する。
【0137】
以上の動作を経て、連結体520を介して隣り合う分割体611が相互に接近し、所定の間隔もって隣接するか、あるいは、分割体611同士が接触した状態になる。また、複数の分割体611が一列に並べられた状態になる。したがって、上部成形型220を下降させることにより、マンドレル610の全長は短くなる。
【0138】
次に、製造装置600を用いて中間プレス成形品251をプレス成形する際のマンドレル610の動作について、
図54〜
図56を参照して説明する。
図54〜
図56は、マンドレル610の分割体611と、隣り合う分割体611を連結する連結体520とを示す正面模式図である。
【0139】
図54に示すように、製造装置600の上部成形型220を下降させる前の状態では、マンドレル610は、中間プレス成形品251のウエブ部252の形状に合わせて、中央の分割体611Xが、他の分割体611に対して相対的に高い位置にある。他の分割体611は、分割体611Xから離れるにつれて、徐々に高さが低くなっている。
【0140】
図54に示す状態では、マンドレル610に圧縮応力は印加されていない。このため、分割体611の弾性体617は圧縮されず、隣り合う分割体611が比較的広い間隔をもって相互に離間した状態になっている。
【0141】
製造装置600の上部成形型220を下降させて、中間プレス成形品251が押圧されると、中間プレス成形品251のウエブ部252の変形に追従して、各分割体611の高さが同じ高さに近づく。また、中間プレス成形品251の長手方向両端を拘束する一対の短辺壁13によって、マンドレル610の両端に位置する分割体611が拘束された状態になる。上部成形型220が更に下降して、中間プレス成形品251のウエブ部252の曲げ部252bが伸ばされると、各分割体611の高さが同じになる。同時に、マンドレル610に対して圧縮応力が加わり、弾性体617が圧縮されて縮み、分割体611同士の間隔が狭くなる。
【0142】
マンドレル610に対して圧縮応力が加わる理由は以下である。すなわち、上部成形型220を下降させる前の状態において、中間プレス成形品251の全長がL1であるのに対して、上部成形型220を下降させた状態において、上部成形型220および一対の短辺壁13によって中間プレス成形品251の全長がLになるまで圧縮される。その結果、中間プレス成形品251のウエブ部252に沿って配置されていたマンドレル610にも、上部成形型220および一対の短辺壁13によって圧縮応力が作用するからである。
【0143】
図55は、上部成形型220を下死点まで下降させた状態におけるマンドレル610の一例を示す。
図55に示すマンドレル610は、分割体611同士の間隔が同一になっている。このように分割体611同士の間隔を一定にするためには、弾性体617のばね定数、連結体520の長さ、凹部613の深さ等を調整すればよい。
【0144】
また、
図56は、上部成形型220を下死点まで下降させた状態におけるマンドレル610の他の例を示す。
図56に示すマンドレル610は、一部の分割体611同士の間隔が、他の分割体611同士の間隔よりも小さくなっている。具体的には、中央の分割体611Xと、これに隣接する2つの分割体611との間隔が相対的に小さくなっており、これら以外の分割体611同士の間隔が相対的に広くなっている。中央の分割体611X及びこれに隣接する2つの分割体611は、中間プレス成形品251のウエブ部252の曲げ部252bの近傍に位置している。このように、
図56に示すマンドレル610は、座屈が起きやすい曲げ部252bの近傍にある分割体同士611が、上部成形型220を下死点まで下降させた状態で相互に近接する。
【0145】
分割体611同士の間隔を互いに異なる間隔にするためには、弾性体617のばね定数、連結体520の長さ、凹部613の深さ等を調整すればよい。
図56に示すマンドレル610では、例えば、中央の分割体611X、及びこれに隣接する2つの分割体611の弾性体617のばね定数を、他の弾性体617のばね定数より小さくすればよい。また、中央の分割体611X、およびこれに隣接する2つの分割体611を連結する連結体520の全長を、他の連結体520の全長より短くしてもよい。更に、中央の分割体611X、およびこれに隣接する2つの分割体611の凹部613の深さを、他の凹部613の深さよりも浅くしてもよい。
【0146】
本実施形態によれば、全長が伸縮可能なマンドレル610を使用し、マンドレル610を中間プレス成形品251のウエブ部252に沿わせるように挿入し、マンドレル610の全長を短縮させながら中間プレス成形品251をプレス成形する。これにより、中間プレス成形品251全体をマンドレル610によって拘束させることができ、ウエブ部252および縦壁部253の座屈変形を確実に防止できる。
【0147】
[マンドレル610の変形例]
図57および
図58は、マンドレル610の変形例を示す図である。
図57および
図58に示すように、マンドレル610の分割体611には、スライド体616、弾性体617、および連結体520に代えて、連結体620を設けてもよい。
【0148】
図57および
図58に示す連結体620の本体部621は、2つの分割本体部621a、621bから構成されている。分割本体部621a、621bは、長手方向の中央において本体部621が2つに分割されることにより構成されている。
【0149】
分割本体部621a、621bのそれぞれは、長手方向の一端が係合部522に接続されており、他端に設けられた切欠部621cおよび突出部621dを有する。切欠部621c及び突出部621dは、相互に嵌合可能に構成されている。また、分割本体部621aの突出部621dの先端には弾性体617が設けられ、分割本体部621bの突出部621dの先端にはスライドピン621eが設けられている。弾性体617は、分割本体部621bの切欠部621cに接続されている。また、スライドピン621eは、分割本体部621aの切欠部621cに設けられた挿入孔(不図示)に挿入されている。分割本体部621a、621bの間に弾性体617を配置することにより、分割本体部621a、621bが離間された状態になっている。
【0150】
以上の構成により、
図57および
図58に示すマンドレル610は、長手方向に沿って圧縮応力が印加された際に、弾性体617が圧縮されて分割本体部621a、621bの間隔が縮まることによって、連結体620の全長を短くすることができる。したがって、本実施形態と同様に、マンドレル610の全長を伸縮可能にすることができる。
【0151】
また、連結体620に代えて、
図59に示す連結体625を用いてもよい。
図59は、連結体625を示す平面図である。連結体625は、
図48に示す連結体525を分割して構成される。
【0152】
図59に示す連結体625の板状の本体部626は、2つの分割本体部627、628から構成されている。分割本体部627、628は、長手方向のほぼ中央において本体部626が2つに分割されることにより構成されている。
【0153】
一方の分割本体部627の幅方向中央には突出部627aが設けられている。また、他方の分割本体部628の幅方向中央には切欠部628aが設けられている。また、突出部627aの先端には、弾性体617が設けられている。弾性体617は、分割本体部628の切欠部628aに接続されている。また、分割本体部627の突出部627aの幅方向両側の端面627bには、スライドピン629が設けられている。スライドピン629は、分割本体部628の端面628bに設けられた挿入孔(不図示)に挿入されている。分割本体部627、628の間に弾性体617を配置することで、分割本体部627、628が離間された状態になっている。
【0154】
以上の構成により、連結体625は、連結体620と同様に、全長が伸縮可能となる。
【0155】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
【0156】
図61および
図62は、第7実施形態に係るプレス成形品の製造装置700(以下、単に製造装置700とも称する)を示す正面図である。本実施形態に係る製造装置700は、第1実施形態に係る製造装置1と、第6実施形態に係るマンドレル610とから構成されている。
【0157】
本実施形態では、製造装置700を用いて、
図60A〜
図60Cに示す中間プレス成形品761をプレス成形する。
図60A〜
図60Cに示すように、中間プレス成形品761は、ウエブ部762および一対の縦壁部763を有する。なお、中間プレス成形品761は、3つの曲げ部252b、および4つの直線部252aを有する点で、中間プレス成形品251(
図24Aおよび
図24B参照)と異なっている。
【0158】
図63は、製造装置700を用いて中間プレス成形品761をプレス成形した状態を示す図である。本実施形態では、第6実施形態と同様に、マンドレル610が中間プレス成形品761の形状に応じて変移するため、中間プレス成形品761の座屈変形を防止することができる。
【0159】
また、製造装置700では、
図64A〜
図64Cに示す中間プレス成形品771を用いてもよい。
図64A〜
図64Cに示すように、中間プレス成形品771は、ウエブ部772および一対の縦壁部773を有する。なお、中間プレス成形品771は、4つの曲げ部252bと、5つの直線部252aを有する点で、中間プレス成形品251(
図24Aおよび
図24B参照)と異なっている。中間プレス成形品771を製造装置700によりプレス成形する際は、
図65に示すように中間プレス成形品771を製造装置700に配置すればよい。
【0160】
また、製造装置700では、
図66A〜
図66Cに示す中間プレス成形品781を用いてもよい。
図66A〜
図66Cに示すように、中間プレス成形品781は、ウエブ部782および一対の縦壁部783を有する。中間プレス成形品781は、2つの曲げ部252bと、6つの直線部252aと、3つの曲げ部352cを有する点で、中間プレス成形品351(
図33A〜
図33C参照)と異なっている。中間プレス成形品781を製造装置700によりプレス成形する際は、
図67に示すように中間プレス成形品781を製造装置700に配置すればよい。この場合、中間プレス成形品781の曲げ部252bに当接する、マンドレル610の分割体611にシャフト部515を設けることが好ましい。
【0161】
また、製造装置700では、
図68A〜
図68Cに示す中間プレス成形品791を用いてもよい。
図68A〜
図68Cに示すように、中間プレス成形品791は、ウエブ部792、一対の縦壁部793、およびフランジ部794を有する。なお、中間プレス成形品791は、フランジ部794を有する点で、中間プレス成形品761(
図60A〜
図60C参照)と異なっている。中間プレス成形品791を製造装置700によりプレス成形する際は、
図69に示すように、中間プレス成形品791を製造装置700に配置すればよい。
【0162】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
【0163】
図70は、第8実施形態に係るプレス成形品の製造装置800(以下、単に製造装置800とも称する)を示す斜視図である。第1実施形態では、製造装置1の一対の短辺壁13がベース部11に固定されている場合を示した(
図2参照)。これに対して、本実施形態に係る製造装置800は、ベース部11に設けられた短辺壁814(加圧拘束壁)が上部成形型820の下降に伴って短辺壁813(固定拘束壁)に向かって接近しながら、中間プレス成形品51をプレス成形する。
【0164】
図71Aは、製造装置800を示す正面図であって、上部成形型820を下降させる前の状態を示す図である。
図71Aに示すように、下部成形型810は、ベース部11と、ベース部11の上面11aに固定された短辺壁813(固定拘束壁)と、ベース部11の上面11aに設けられ、ベース部11上を移動する短辺壁814(加圧拘束壁)と、短辺壁814に接合されたカムスライダ815と、ベース部11上に固定された支持部816と、支持部816を貫通してカムスライダ815に接続されるスライドピン817と、支持部816とスライドピン817とを連結するリターンスプリング818とから構成されている。カムスライダ815には、傾斜したスライド面815aが設けられている。また、スライドピン817は、リターンスプリング818によって短辺壁814から離れる方向に付勢されている。スライドピン817は、長手方向に沿って支持部816に対して挿抜自在とされている。そして、スライドピン817に固定されたカムスライダ815は、スライドピン817の長手方向に沿ってスライドするようになっている。
【0165】
短辺壁814に対向する、短辺壁813の面には、凹部813a、板状のワーク受け部813b、蝶番813c、及びバネ部材813d(弾性体)が設けられている。ワーク受け部813bは、蝶番813cを介して短辺壁813に接続されている。そのため、ワーク受け部813bは、蝶番813cを軸にして短辺壁813に対して可動となっている。
【0166】
ワーク受け部813bは、短辺壁813に最も近接した場合に凹部813a内に収納される。更に、ワーク受け部813bと短辺壁813との間にはバネ部材813dが配置されている。バネ部材813dは、ワーク受け部813bを短辺壁814に向けて付勢する。
【0167】
同様に、短辺壁813に対向する、短辺壁814の面にも、凹部814a、板状のワーク受け部814b、蝶番814c、及びバネ部材814d(弾性体)が設けられている。ワーク受け部814bは、蝶番814cを介して短辺壁814に接続されている。そのため、ワーク受け部814bは、蝶番814cを軸にして短辺壁814に対して可動となっている。
【0168】
ワーク受け部814bは、短辺壁814に最も近接した場合に凹部814a内に収納される。更に、ワーク受け部814bと短辺壁814との間にはバネ部材814dが配置されている。バネ部材814dは、ワーク受け部814bを短辺壁813に向けて付勢する。
【0169】
上部成形型820は、本体部21と、パンチ部22と、凸部23と、パンチ部22に取り付けられたカムドライバ825とから構成されている。カムドライバ825には、傾斜されたスライド面825aが設けられている。
【0170】
また、下部成形型810のカムスライダ815に向けて、上部成形型820のカムドライバ825が下降した際に、カムスライダ815の傾斜面815aとカムドライバ825の傾斜面825aとが当接するように、カムスライダ815とカムドライバ825とが位置決めされている。
【0171】
以下、本実施形態のプレス成形品の製造方法について説明する。まず、
図71Aに示すように、中間プレス成形品51を上部成形型820と下部成形型810との間に配置する。この際、中間プレス成形品51を、中間プレス成形品51の曲げ部52bの凸側(伸長面)が上部成形型820を向くように、配置する。そして、中間プレス成形品51の長手方向両端をワーク受け部813b、814bに当接させる。ワーク受け部813b、814bは、バネ部材813d、814dによって中間プレス成形品51の長手方向両端に押しつけられる。このようにして、中間プレス成形品51の長手方向両端を短辺壁813、814によって拘束する。
【0172】
図71Bは、上部成形型820を下降させた状態を示す図である。
図71Bに示すように、上部成形型820の下降に伴い、カムドライバ825がカムスライダ815に当接する。更に、カムドライバ825の下降に伴い、カムスライダ815が、リターンスプリング818のバネ力に逆らいながら、短辺壁813に向かってスライドする。カムスライダ815のスライドに伴い、短辺壁814が短辺壁813に向かってスライドする。
【0173】
更に上部成形型820が下降すると、短辺壁814がスライドするとともに、上部成形型820の凸部23が中間プレス成形品51のウエブ部52に当接して、中間プレス成形品51が長手方向に圧縮される。本実施形態では、短辺壁814が短辺壁813に向かってスライドするので、短辺壁813、814の間の距離が、上部成形型820の下降に伴って小さくなる。そのため、中間プレス成形品51に印加される長手方向の圧縮力を高めることができる。
【0174】
そして、
図71Cに示すように、上部成形型820が下死点に到達した時点で、プレス成形が終了する。
【0175】
ここで、中間プレス成形品51の長手方向両端に着目すると、プレス成形開始前の状態では、中間プレス成形品51の長手方向両端は、
図71Aおよび
図71Bに示すように、ベース部11の上面11aに対して傾斜している。しかしながら、プレス成形が進むにつれて、中間プレス成形品51の長手方向両端の傾斜角度がベース部11の上面11aに対して垂直になってくる。
【0176】
このように、プレス成形が進むにつれて、中間プレス成形品51の長手方向両端の傾斜角度が変化する。このような中間プレス成形品51の長手方向両端に対して、板状のワーク受け部813b、814bは、バネ部材813d、814dによって中間プレス成形品51の長手方向両端に常に押しつけられる。このように、本実施形態では、中間プレス成形品51は、その長手方向の両端がワーク受け部813b、814bによって拘束されたままとなる。
【0177】
本実施形態によれば、短辺壁813と短辺壁814との間の距離を小さくしながら、中間プレス成形品51の曲げ部52bの曲率を小さくするように、中間プレス成形品51をプレス成形するので、中間プレス成形品51に対して長手方向に沿った圧縮応力の印加を確実に行うことができる。
また、中間プレス成形品51の長手方向両端にワーク受け部813b、814bを当接させたまま、上部成形型820を下降させるので、中間プレス成形品51の長手方向両端に均等に荷重を加えることができ、中間プレス成形品51の両端を座屈させずに、圧縮応力を印加させることができる。
また、離型時に軸圧縮力を容易に解放させてプレス成形品を取り出せるため、プレス成形品の弾性回復による成形品の飛び出しを防止できる。
【0178】
また、製造装置800では、
図72A〜
図72Cに示す中間プレス成形品861を用いてもよい。中間プレス成形品861は、ウエブ部862および一対の縦壁部863を有する。なお、中間プレス成形品861は、縦壁部863の短辺863a、863bが互いに非平行である点で、中間プレス成形品451(
図39A〜
図39C参照)と異なっている。
図73Aおよび
図73Bに示すように、中間プレス成形品861を製造装置800に配置して、上部成形型820を下降させることにより、中間プレス成形品861を長手方向に圧縮することができる。
【0179】
また、製造装置800では、
図74A〜
図74Cに示す中間プレス成形品871を用いてもよい。中間プレス成形品871は、ウエブ部872および一対の縦壁部873を有する。中間プレス成形品871は、縦壁部873の短辺873a、873bが互いに非平行である点で、中間プレス成形品761(
図60A〜
図60C参照)と異なっている。
図75Aおよび
図75Bに示すように、中間プレス成形品871を製造装置800に配置して、上部成形型820を下降させることにより、中間プレス成形品871を長手方向に圧縮することができる。なお、この場合、中間プレス成形品871の一対の縦壁部873間に、しわ押さえパッド331(
図32A〜
図32C参照)を配置することが好ましい。
【0180】
また、製造装置800では、
図76に示す中間プレス成形品881を用いてもよい。
図76に示すように、中間プレス成形品881は、長手方向両端に設けられる半円状のフランジ部884を有する点で、中間プレス成形品251(
図24Aおよび
図24B参照)と異なっている。なお、一対のフランジ部884は、互いに非平行である。
図77に示すように、中間プレス成形品881を、中間プレス成形品881のフランジ部884がワーク受け部813a、814bに当接するように、製造装置800に配置して、上部成形型820を下降させることにより、中間プレス成形品881を長手方向に圧縮することができる。
【0181】
また、製造装置800では、
図78に示す中間プレス成形品886を用いてもよい。中間プレス成形品886は、長手方向両端のそれぞれに、四角形状のフランジ部887を3つ有する点で、中間プレス成形品881(
図76参照)と異なっている。
【0182】
また、製造装置800では、
図79に示す中間プレス成形品888を用いてもよい。中間プレス成形品888は、縦壁部253の幅方向端部に、フランジ部889を有する点で、中間プレス成形品881(
図76参照)と異なっている。
【0183】
また、
図80Aおよび
図80Bに示すように、製造装置800では、中間プレス成形品251(
図24Aおよび
図24B参照)を用いることもできる。この場合、中間プレス成形品251の長手方向両端は、互いに平行となっているので、下部成形型810には、ワーク受け部813b、814b、凹部813a、814a、およびバネ部材813d、814dを設けなくてもよい。
【0184】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
【0185】
図81は、第9実施形態に係る製造装置900(以下、単に製造装置900とも称する)を示す模式図である。
図81に示すように、製造装置900は、凹部223を有するパンチ部222(
図25A参照)、およびマンドレル610(
図50参照)を有する点で、第8実施形態に係る製造装置800と異なっている。
【0186】
製造装置900は、中間プレス成形品951をプレス成形する際に用いられる。ここで、中間プレス成形品951は、長手方向両端が互いに非平行であり、これ以外の構成については、中間プレス成形品251(
図24A参照)と同じ構成である。
【0187】
図82A〜
図82Cは、製造装置900を示す縦断面図である。なお、
図82Bは、上部成形型920の下降途中の状態を示す図であり、
図82Cは、上部成形型920を下死点まで下降させた状態を示す図である。まず、
図82Aに示すように、中間プレス成形品951の長手方向両端がワーク受け部813b、814bに当接するように、中間プレス成形品951を製造装置900に配置する。このとき、マンドレル610は、中間プレス成形品951のウエブ部952および一対の縦壁部953で囲まれた空間に挿入されている。
【0188】
続いて、
図82Bおよび
図82Cに示すように、上部成形型920を下降させて、中間プレス成形品951をプレス成形する。この際、中間プレス成形品951のウエブ部952および縦壁部953は、上部成形型920の凹部223と、マンドレル610に挟み込まれた状態となる。そのため、中間プレス成形品951を長手方向に圧縮する際の座屈変形を防止することができる。
【0189】
上述のように、本実施形態では、マンドレル610と上部成形型920の凹部223とにより、中間プレス成形品951を挟み込んで、中間プレス成形品951を長手方向に圧縮する。そのため、第8実施形態の製造装置800に対して、中間プレス成形品951の座屈変形を確実に防止することができる。
【0190】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲がこれらの実施形態のみに限定されるものではない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0191】
例えば、上記の各実施形態では、1回のストローク(上部成形型の下降回数が1回)によって、中間プレス成形品を成形する場合を示した。しかしながら、複数のストローク(上部成形型の下降回数が複数)によって、中間プレス成形品をプレス成形してもよい。すなわち、
図83A〜
図83Cに示すように、中間プレス成形品51の曲率m
oを1回目のストロークでm
kとし、2回目のストロークで中間プレス成形品51の曲率m
kをm
nとしてもよい。
【0192】
また、例えば、上記各実施形態では、中間プレス成形品が塑性変形により曲げ部を有する場合を示した。しかしながら、中間プレス成形品に代えて、自重による曲げ部(すなわち、弾性変形により形成された曲げ部)を有する鋼材を用いてもよい。
【0193】
また、例えば、上記第8実施形態では、上部成形型820のカムドライバ825が下部成形型810のカムスライダ815に当接することにより、短辺壁814が短辺壁13に向かって接近する場合を示した。しかしながら、下部成形型810に別のスライド機構を設け、上部成形型820及び下部成形型810を独立に制御してもよい。
【0194】
また、例えば、中間プレス成形品は、ウエブ部の厚み方向に向けて湾曲していればよく、湾曲の方向や湾曲の曲げ量は適宜調整してよい。また、中間プレス成形品は、円弧状に湾曲してもよく、楕円弧形状に湾曲してもよい。