特許第6202199号(P6202199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6202199-搬送システム及び搬送方法 図000002
  • 特許6202199-搬送システム及び搬送方法 図000003
  • 特許6202199-搬送システム及び搬送方法 図000004
  • 特許6202199-搬送システム及び搬送方法 図000005
  • 特許6202199-搬送システム及び搬送方法 図000006
  • 特許6202199-搬送システム及び搬送方法 図000007
  • 特許6202199-搬送システム及び搬送方法 図000008
  • 特許6202199-搬送システム及び搬送方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202199
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】搬送システム及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20170914BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B65G1/00 501C
   B65G1/04 551D
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-519164(P2016-519164)
(86)(22)【出願日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】JP2015061322
(87)【国際公開番号】WO2015174181
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】14/277,111
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】福島 正純
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖久
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−111635(JP,A)
【文献】 特開2004−10250(JP,A)
【文献】 特開2000−95309(JP,A)
【文献】 特開2010−235288(JP,A)
【文献】 特開2011−207621(JP,A)
【文献】 特開2008−263004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 − 1/20
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置に設けられているロードポート間で、天井走行車により物品を搬送する搬送システムであって、
天井走行車の走行ルートと、
ホイストを有する複数の天井走行車と、
少なくとも天井走行車の走行ルートの下部及び複数のロードポートの上部で、ロードポートよりも高い位置に配置されているローカル台車の走行ルートと、
ローカル台車の走行ルートに沿って走行し、かつホイストを備えている複数のローカル台車と、
ローカル台車の走行ルートに沿って設けられかつ物品を保管する、複数のバッファと、
天井走行車とローカル台車とを制御するコントローラ、とを備え、
ローカル台車の走行ルートは平行に複数設けられ、かつローカル台車の走行ルート間で、ローカル台車が分岐及び合流自在であり、
ローカル台車は、ロードポートとバッファとの間で前記コントローラの制御により物品を搬送するように構成され、
天井走行車は、ロードポートもしくはバッファに対し前記コントローラの制御により物品を移載し、かつローカル台車の走行ルートから外れた区間との間で物品を搬送するように構成されている、搬送システム。
【請求項2】
ローカル台車の走行ルートは、互いに間隔を置いて配置されている複数のローカルな軌道から成り、
ローカル台車は、複数の軌道にガイドされて走行するように構成され、
かつ軌道間の間隔の下部にバッファが配置されていることを特徴とする、請求項1の搬送システム。
【請求項3】
第1の方向に沿って、互いに間隔を置いて配置されている複数の軌道が設けられ、
第1の方向と直角な第2の方向に沿って、互いに間隔を置いて配置されている複数の軌道が設けられ、
ローカル台車は、第1の方向に沿って走行するための第1の走行部と、第2の方向に沿って走行するための第2の走行部と、第1の走行部と第2の走行部の一方を選択して動作させる切替部とを備えて、第1の方向と第2の方向とに沿って縦横に走行するように構成されていることを特徴とする、請求項2の搬送システム。
【請求項4】
ロードポートの上部から処理装置の上部に渡って、第1の方向と第2の方向とに沿って軌道が格子状に配置され、
第1の方向の軌道と第2の方向の軌道とに囲まれている格子の枠の下部にバッファが配置され、ローカル台車は任意の格子の枠へ走行自在であることを特徴とする、請求項3の搬送システム。
【請求項5】
天井走行車の走行ルートは、ローカル台車の走行ルートの上部の上流側で複線状に分岐し、かつ下流側で単線状に合流し、
さらに、複線状に分岐している走行ルートの下部に、天井走行車とローカル台車とが共に物品を移載自在なバッファが設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの搬送システム。
【請求項6】
前記複線状に分岐している走行ルートは、ロードポートの上部と、処理装置の上部もしくは処理装置の背面の上部とに配置され、
ロードポートの上部から処理装置の上部もしくは処理装置の背面の上部とに渡って、ローカル台車の走行ルートが配置されていることを特徴とする、請求項5の搬送システム。
【請求項7】
ローカル台車は、物品を鉛直軸回りに回転させるターンテーブルを備えていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの搬送システム。
【請求項8】
処理装置に設けられているロードポート間で、天井走行車により物品を搬送する搬送方法であって、
天井走行車の走行ルートと、
ホイストを有する複数の天井走行車と、
少なくとも天井走行車の走行ルートの下部及び複数のロードポートの上部で、ロードポートよりも高い位置に配置されているローカル台車の走行ルートと、
ローカル台車の走行ルートに沿って走行し、かつホイストを備えている複数のローカル台車と、
ローカル台車の走行ルートに沿って設けられかつ物品を保管する、複数のバッファと、
天井走行車とローカル台車とを制御するコントローラ、とが設けられ、
ローカル台車の走行ルートは平行に複数設けられ、かつローカル台車の走行ルート間で、ローカル台車が分岐及び合流自在で、
ローカル台車により、ロードポートとバッファとの間で、前記コントローラの制御に基づいて物品を搬送し、
天井走行車により、ロードポートもしくはバッファに対し、前記コントローラの制御により物品を移載し、かつローカル台車の走行ルートから外れた区間との間で物品を搬送する搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天井走行車とローカル軌道とを用いる搬送システム及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天井走行車は、半導体工場等において、ロードポート間で物品を搬送するために用いられている。そして搬送システムが物品を一時的に保管するバッファ能力を高め、かつロードポートが塞がっている場合に、天井走行車が待機する必要を無くすことが提案されている。例えば特許文献1(JP2012-111635)では、天井走行車の走行ルートの下部に、天井走行車の走行ルートと重なるように、ローカル台車の軌道とバッファとを設ける。そして、ロードポートが塞がっている場合、天井走行車はロードポートではなくバッファに荷下ろしすることができる。
【0003】
なお特許文献2(JP4025374)では、平積みの倉庫に関して、上下にパレットを積層して保管する。そしてパレットの上部を、ホイストを備える台車を縦横に走行させて、パレットを搬送させる。このようにすると、ガントリークレーンに比べ、パレットの搬送能力を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】JP2012-111635
【特許文献2】JP4025374
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の手法では、ローカル台車は基本的に1台で、バッファの数も限られている。ここで単純にローカル台車の数を増すと、他のローカル台車にブロックされて、ローカル台車が目的地まで到達できない場合が増加する。
【0006】
この発明の課題は、多数のバッファを設けることができるようにすると共に、複数のローカル台車が互いに迂回しながら目的地まで走行できるようにすることにより、ロードポートとバッファとの間で、物品を柔軟に搬送できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の搬送システムでは、処理装置に設けられているロードポート間で、天井走行車により物品を搬送する。搬送システムは、
天井走行車の走行ルートと、
ホイストを有する複数の天井走行車と、
少なくとも天井走行車の走行ルートの下部及び複数のロードポートの上部で、ロードポートよりも高い位置に配置されているローカル台車の走行ルートと、
ローカル台車の走行ルートに沿って走行し、かつホイストを備えている複数のローカル台車と、
ローカル台車の走行ルートに沿って設けられかつ物品を保管する、複数のバッファと、
天井走行車とローカル台車とを制御するコントローラ、とを備え、
ローカル台車の走行ルートは平行に複数設けられ、かつローカル台車の走行ルート間で、ローカル台車が分岐及び合流自在であり、
ローカル台車は、ロードポートとバッファとの間で前記コントローラの制御により物品を搬送するように構成され、
天井走行車は、ロードポートもしくはバッファに対し前記コントローラの制御により物品を移載し、かつローカル台車の走行ルートから外れた区間との間で物品を搬送するように構成されている。
【0008】
この発明の搬送方法では、処理装置に設けられているロードポート間で、天井走行車により物品を搬送する。この発明の搬送方法では、
天井走行車の走行ルートと、
ホイストを有する複数の天井走行車と、
少なくとも天井走行車の走行ルートの下部及び複数のロードポートの上部で、ロードポートよりも高い位置に配置されているローカル台車の走行ルートと、
ローカル台車の走行ルートに沿って走行し、かつホイストを備えている複数のローカル台車と、
ローカル台車の走行ルートに沿って設けられかつ物品を保管する、複数のバッファと、
天井走行車とローカル台車とを制御するコントローラ、とが設けられ、
ローカル台車の走行ルートは平行に複数設けられ、かつローカル台車の走行ルート間で、ローカル台車が分岐及び合流自在で、
ローカル台車により、ロードポートとバッファとの間で、前記コントローラの制御に基づいて物品を搬送し、
天井走行車により、ロードポートもしくはバッファに対し、前記コントローラの制御により物品を移載し、かつローカル台車の走行ルートから外れた区間との間で物品を搬送する。
【0009】
天井走行車の走行ルートがロードポートの上部にある場合、ローカル台車の走行ルートは、平面視でこれらと重なるルートと、これと平行なルートとを設ける。この明細書では、搬送システムに関する記載はそのまま搬送方法にも当てはまり、搬送方法に関する記載はそのまま搬送システムにも当てはまる。
【0010】
この発明では、ローカル台車の走行ルートを複数設けるので、多数のバッファを設けることができる。またローカル台車を複数設けるので、搬送能力が高い。そして複数の走行ルート間で、ローカル台車は分岐と合流とが自在なので、他のローカル台車を迂回して目的地へ到達できる。このため、高いバッファ能力と高い搬送能力とを備え、かつ目的のロードポートに容易に到達できる。このため要求に応じて速やかに物品を搬送でき、例えば優先して搬送する必要がある物品を速やかに搬送でき、また時間が指定されている物品を指定された時間に到着するように搬送できる。
【0011】
好ましくは、ローカル台車の走行ルートは、互いに間隔を置いて配置されている複数のローカルな軌道から成り、ローカル台車は、複数の軌道にガイドされて走行するように構成され、かつ軌道間の間隔の下部にバッファが配置されている。このようにすると、複数の軌道によりガイドするので、ローカル台車の走行が安定し、軌道間の間隔の下部にバッファが配置されているので、物品を横移動させずに移載できる。
【0012】
好ましくは、第1の方向に沿って、互いに間隔を置いて配置されている複数の軌道が設けられ、
第1の方向と直角な第2の方向に沿って、互いに間隔を置いて配置されている複数の軌道が設けられ、
ローカル台車は、第1の方向に沿って走行するための第1の走行部と、第2の方向に沿って走行するための第2の走行部と、第1の走行部と第2の走行部の一方を選択して動作させる切替部とを備えて、第1の方向と第2の方向とに沿って縦横に走行する。
【0013】
ローカル台車は、第1の走行部と第2の走行部とを切替ながら、第1の方向と第2の方向に沿って、縦横に走行できる。また軌道が交差する個所毎に、ローカル台車は走行方向を切り替えることができる。このため、目的地まで他のローカル台車等を迂回しながら容易に到達できる。そして第1の方向の軌道と、第2の方向の軌道を多数設けると、バッファをより多数設け、かつローカル台車の走行経路を増すことができる。切替は、例えば第1の走行部と第2の走行部とを相対的に昇降自在にすることにより行い、例えばこれらの一方を昇降させると共に、他方を逆向きに昇降させる機構を用いる。あるいは、一方の走行部の高さを固定し、他方の走行部を、一方の走行部よりも低い選択位置と、高い非選択位置との間で、昇降させる機構を用いても良い。
【0014】
好ましくは、ロードポートの上部から処理装置の上部に渡って、第1の方向と第2の方向とに沿って軌道が格子状に配置され、第1の方向の軌道と第2の方向の軌道とに囲まれている格子の枠の下部にバッファが配置され、ローカル台車は任意の格子の枠へ走行自在である。このようにすると多数のバッファを設けることができ、しかもローカル台車は、格子状の軌道に沿って、他のローカル台車を迂回しながら、目的地へ到達できる。
【0015】
好ましくは、天井走行車の走行ルートは、ローカル台車の走行ルートの上部の上流側で複線状に分岐し、かつ下流側で単線状に合流し、さらに、複線状に分岐している走行ルートの下部に、天井走行車とローカル台車とが共に物品を移載自在なバッファが設けられている。天井走行車の走行ルートが複線なので、天井走行車が停止して物品を移載することによる渋滞を少なくできる。
【0016】
好ましくは、前記複線状に分岐している走行ルートは、ロードポートの上部と、処理装置の上部もしくは処理装置の背面の上部とに配置され、ロードポートの上部から処理装置の上部もしくは処理装置の背面の上部とに渡って、ローカル台車の走行ルートが配置されている。このようにすると、天井走行車は、ロードポートに直接アクセスすることも、ロードポートを避けたルートを走行して、バッファにアクセスすることもできる。またローカル台車の走行ルートとバッファを多数設けることができる。
【0017】
好ましくは、ローカル台車は、物品を鉛直軸回りに回転させるターンテーブルを備えている。ターンテーブルはホイストを回転させても良く、あるいはホイストにより昇降しても良い。またターンテーブルは最低限物品を180°回転できればよいが、好ましくは90°、180°、270°の3種類の回転ができ、かつ回転角を微修正できることが好ましい。ターンテーブルを設けることにより、ロードポートの向きに合わせて、物品を回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例の搬送システムの要部正面図
図2】実施例の搬送システムの要部平面図
図3】実施例でのローカル台車とローカル軌道、及びバッファの平面図
図4】実施例でのローカル台車とローカル軌道、及びバッファの一部切欠部付き正面図
図5】変形例のローカル軌道の平面図
図6】変形例の搬送システムの要部平面図
図7】第2の変形例の搬送システムの要部平面図
図8】実施例での制御系を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0020】
図1図8に、実施例の搬送システム2(図1図4図8)とその変形(図5図7)とを示す。搬送システム2は、半導体製造工場のクリーンルーム等に設けられている。クリーンルームの天井スペースに設けられたインターベイルート及びイントラベイルートを、天井走行車(OHT)4が走行軌道6に沿って走行する。なお支柱7は、走行軌道6を天井25側から支持する。イントラベイルートは、半導体等の処理装置12が配置されているベイ内のルートで、インターベイルートにより互いに接続されている。また天井走行車4は、ホイストとホイストの横移動機構(いずれも不図示)を備え、ホイストにより昇降台8を昇降させることにより、FOUP等の物品10をロードポート14との間で移載する。
【0021】
実施例での天井走行車4の任務は、異なるイントラベイルートのロードポート14間で速やかに物品10を搬送することである。ここで天井走行車4が、ロードポート14との間で物品10を移載するため停止することが、イントラベイルートの渋滞の原因となる。そこで天井走行車4はロードポート14以外のバッファに物品を搬出入する機会を増して、渋滞を少なくする。これに伴って、ロードポート14とバッファとの間の搬送をローカル台車が行い、好ましくはベイ内での搬送をローカル台車が行う割合を高める。そこでローカル台車の台数を増して搬送能力を高めると共に、ローカル台車が走行経路を柔軟に選択できるようにして、ローカル台車が渋滞しないようにする。
【0022】
16はローカル台車で、ローカル軌道20は、ロードポート14の上部から、処理装置12の上部もしくは処理装置12の背面の上部等に渡って、ベイ内に設けられている。ローカル軌道20は例えば縦横の格子状に配置され、例えば支柱24により天井25により支持されるが、クリーンルームの床面等により支持しても良い。またローカル軌道20の下部に、バッファ22が例えば格子状に設けられ、例えば支柱23によりローカル軌道20によって支持されている。そしてローカル台車16は、バッファ22とロードポート14との間で物品10を搬送する。
【0023】
図2に、ローカル軌道20の配置例を示す。インターベイルート30から、ベイ内にイントラベイルート32と増設ルート34とが引き込まれている。増設ルート34は、処理装置12の上部あるいは背面の上部を通り、ロードポート14の上部を通る通常のイントラベイルート32に増設されたルートである。ローカル軌道20は、処理装置12の上部等に格子状に配置され、格子の1枠に例えば1個、あるいは複数個のバッファ22が設けられている。即ち、格子状のローカル軌道20での、軌道により囲まれたスペースに、バッファ22が設けられている。またローカル台車16と天井走行車4とが共にアクセス可能なエリアを移載エリア36と呼び、移載エリア36にはロードポート14とバッファ22とが設けられている。図2では、左右の処理装置12の列の間の通路37上にも、ローカル軌道20を設け、ベイ内の搬送をローカル台車16のみで行えるようにしている。しかしベイの左右のローカル軌道20を接続しないようにしても良い。なお図2の下部に鎖線で示すように、処理装置12"とロードポート14"とが配置されている場合、これに応じて鎖線のローカル軌道20"を追加することが好ましい。この場合、ロードポート14"の向きは、他のロードポート14から、90°あるいは270°変化している。そこでローカル台車16のターンテーブルにより、物品の向きを90°、180°、及び270°回転させることができるようにすることが好ましい。さらにロードポート14,14"等の微妙な向きのずれを補正するように、ターンテーブルの回転角を微修正できるようにすることが好ましい。
【0024】
図3に、ローカル軌道20とローカル台車16とを示す。ローカル軌道20の幅方向の中心に溝21が設けられ、ローカル台車16は車輪18を例えば前後2対、車輪19を例えば前後2対備え、車輪18,19は走行方向が直角である。また走行部40により車輪18を回転させ、走行部41により車輪19を回転させ、車輪18,19の一方を下降させて他方を上昇させ、下降させた車輪を溝21によりガイドして走行させる。このように、ローカル台車16は一対のローカル軌道20,20にガイドされて走行し、格子状に配置されているローカル軌道20の任意の位置から任意の位置へ移動できる。この間に、ローカル台車16は縦横に走行するだけでなく、前後進が自在である。
【0025】
図4は、ローカル台車16の構造を示す。走行部40aでは、ベルト42により車輪18を回転させ、モータ46からギア43とベルト44とを介して、ベルト42を駆動する。また駆動軸48により、モータ46の出力を、走行部40bへ伝達する。走行部41も構造は同じである。50はホイストで、物品10を把持する昇降台52を昇降させ、ロードポート14及びバッファ22との間で物品10を移載する。ターンテーブル54は、ホイスト50を例えば90°刻みで回転させ、ロードポート14に適合する向きへと物品10を回転させる。切替部56は図示しないモータとカム等を備え、走行部40,41の一方を下降させて、車輪18,19の一方を溝21にガイドさせ、他方を上昇させて、ローカル軌道20から浮かす。そして物品10はローカル台車16の内部へ引き込まれ、物品10の上部に駆動軸48,切替部56等を設けると、物品10を避けてこれらの部材を配置でき、ローカル台車16の平面視での面積を小さくできる。
【0026】
以上の構造により、ローカル台車16は、図2のローカル軌道20の任意の位置から任意の位置まで走行でき、物品10を所望の向きに回転させることができる。またローカル台車16が必要とするスペースは、ローカル軌道20の格子1枠と、その周囲の格子8枠である。即ち、ローカル台車16は、他のローカル台車16との間に、格子1枠以上の隙間が有れば自由に走行できる。このため、他のローカル台車にブロックされずに、自由に走行できる。
【0027】
図5の変形例では、ローカル軌道60の中心に突条61を設けると共に、その両側に一対の溝21,21を設けて、同じローカル軌道60を一対のローカル台車16,16が走行できるようにする。なお図5の鎖線によりバッファ22を示す。ローカル軌道の構造は任意で、例えば溝21を設けずに、ローカル台車16に設けたガイドローラをローカル軌道でガイドしても良い。また実施例では、ローカル軌道20,60の上部をローカル台車16が走行するが、ローカル軌道から懸垂するように、ローカル台車16が走行しても良い。
【0028】
図6の変形例は、ローカル軌道20の配置を小規模にしたものである。図6のローカル軌道20は、イントラベイルート36の下部の軌道と、その側方の軌道とを平行に複線状に配置し、かつ任意の枠で分岐と合流とを自在にしたものと見なすことができる。ローカル台車は、ローカル軌道20を縦横にかつ前後進自在に走行できるので、移載エリア36で天井走行車あるいは他のローカル台車が物品を移載中でも、迂回して目的地に達することができる。また1つの目的地に、その三方(図2では目的地の四方から)、到達することができる。そしてターンテーブルにより、物品の向きをロードポート14に合わせて整えることができる。
【0029】
図7の変形例では、処理装置12の列の上部あるいは背面の上部に、増設ルート34を設け、イントラベイルート32から増設ルート34に渡る範囲に、ローカル軌道20を配置する。天井走行車は、移載エリア36a,36bのいずれでも物品の移載ができ、例えば直接ロードポート14との間で物品を移載することも、あるいはロードポート14と反対側の移載エリア36aのバッファと物品を移載することもできる。ローカル台車は、天井走行車あるいは他のローカル台車が移載を行っている位置を迂回して、目的地に達することができる。なお62は、ローカル軌道20もバッファ22も設けていない予備スペースで、ここにローカル軌道20とバッファ22を増設しても良い。
【0030】
図8は、搬送システム2の制御系を示す。70は最上位の生産管理システム(MES)で、材料管理システム(MCS)71および処理装置コントローラ75の情報管理を行うと共に、半導体の生産スケジュールに基づいて、処理装置コントローラ75と材料管理システム71に指示する。処理装置コントローラ75は、生産管理システム70からの指示に基づき、処理装置12を管理し、処理の進捗状況を生産管理システム70に報告する。材料管理システム71は、生産管理システム70からの半導体の生産スケジュールに基づいて、物品10の搬送スケジュールを作成し、天井走行車コントローラ(OHTコントローラ)72及びローカル台車コントローラ74に、物品10の搬送を実行させる。これ以外に、不図示のストッカコントローラを設けても良い。なお天井走行車コントローラ72とローカル台車コントローラ74とを一体にしても、別体にしても良い。天井走行車4は、走行ルートを一方向にしか走行できず、また走行ルートが渋滞することがあるため、指示通りに物品を搬送することは難しい。これに対してローカル台車16は、縦横に走行でき、前進と後退とが自由で、かつローカル軌道が平行に複線状に配置されているため、容易に目的地に達することができる。
【0031】
渋滞等が生じると、天井走行車4は荷下ろし位置を移載エリア内のバッファなどに適宜に変更し、その旨を天井走行車コントローラ72からローカル台車コントローラ74へ通知する。そしてローカル台車16は、天井走行車が荷下ろしした位置から、目的のロードポートへ物品を搬送する。またロードポート上に天井走行車4が停止して荷積みすると、他の天井走行車の走行を制約する。さらに渋滞のため、天井走行車が目的のロードポートにアクセスするのが難しいことがある。これに対して、ローカル台車16は容易に所望のロードポートにアクセスして荷積みでき、また天井走行車の渋滞が生じにくい位置のバッファへ荷下ろしできる。このためロードポートからの搬出を速やかに行うことができる。
【0032】
実施例には以下の特徴がある。
1) ローカル台車16は縦横にかつ前後進自在に走行でき、目的地までの走行経路を自由に選択できる。
2) ローカル台車16はターンテーブルを備え、物品の向きをロードポート14に合わせて変更できる。
3) ローカル台車16とバッファ22とが有るので、天井走行車4は荷下ろし位置と荷積み位置とを自由に変更できる。言い換えると、天井走行車4の都合の良い位置と目的のロードポート14との間で、ローカル台車16により物品を搬送し、バッファ22に保管しておくことができる。
4) バッファ22を多数設けることができ、またローカル台車16は柔軟に走行できるので、多数のローカル台車16により物品を搬送できる。
5) これらのため、緊急に搬送を要する物品(ホットロット)を速やかにロードポート14に搬出入できる。
6) 多数のローカル台車16が所望のロードポート14にアクセスでき、多数のバッファ22が有るので、生産管理システム71から要求された時間に、要求されたロードポート14に物品を搬出入できる。
【0033】
実施例では、ローカル軌道20は格子状で、ローカル台車16は縦横に走行自在である。しかし最小限、ローカル軌道を複線に配置し、分岐部と合流部とで複線を接続すると、前後進が自在でかつ分岐と合流とが自在なローカル台車により、目的位置へ柔軟に走行して、物品を搬出入できる。
【符号の説明】
【0034】
2 搬送システム 4 天井走行車(OHT)
6 走行軌道(走行ルート) 7 支柱 8 昇降台
10 物品 12 処理装置 14 ロードポート
16 ローカル台車 18,19 車輪
20 ローカル軌道(ローカル台車の走行ルート) 21 溝
22 バッファ 23,24 支柱 25 天井
30 インターベイルート 32 イントラベイルート
34 増設ルート 36 移載エリア 37 通路
40,41 走行部 42,44 ベルト(駆動媒体)
43 ギア 46 モータ 48 駆動軸 50 ホイスト
52 昇降台 54 ターンテーブル 56 切替部
60 ローカル軌道 61 突条 62 予備スペース
70 生産管理システム(MES)
71 材料管理システム(MCS)
72 天井走行車コントローラ(OHTコントローラ)
74 ローカル台車コントローラ 75 処理装置コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8