特許第6202200号(P6202200)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202200
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電磁接触器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/04 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   H01H50/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-520912(P2016-520912)
(86)(22)【出願日】2015年4月7日
(86)【国際出願番号】JP2015001946
(87)【国際公開番号】WO2015177958
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-104748(P2014-104748)
(32)【優先日】2014年5月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】堤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 勝昭
(72)【発明者】
【氏名】代島 英樹
(72)【発明者】
【氏名】椎木 翔太
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−6680(JP,A)
【文献】 特開2012−128993(JP,A)
【文献】 特開平6−196071(JP,A)
【文献】 特開2000−11832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/04
H01H 50/30
H01H 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合される合成樹脂製の第1フレーム及び第2フレームと、
前記第1フレーム内に固定コアが固定され、前記第2フレーム内に可動コアが配置された操作用電磁石と、
前記第1フレームの有底筒状部の底部に一体に形成された前記操作用電磁石の前記固定コアを支持する緩衝用リブとを備え、
前記緩衝用リブは、前記固定コアの長手方向の両端側を個別に支持するように形成されている
ことを特徴とする電磁接触器。
【請求項2】
前記緩衝用リブは、前記有底筒状部の底板部を補強する補強用リブの一部を利用して構成され、当該緩衝用リブの幅が他の補強用リブの幅より狭く設定され、且つ前記緩衝用リブの高さが他の補強用リブの高さより高く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器。
【請求項3】
前記緩衝用リブの周囲に前記固定コアの装着時に当該固定コアをガイドするガイド部材が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁接触器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定コア及び可動コアを有する操作用電磁石を備えた電磁接触器に関し、特に固定コアに対する可動コア衝接時の衝撃を緩和するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
この種の操作用電磁石を備えた電磁接触器としては、例えば特許文献1に記載された従来例が知られている。
この特許文献1では、固定絶縁台内に固定コアを緩衝ゴムからなる弾性体を介して配置すると共に、電磁石コイルによる駆動時に積極的に固定コアを可動コア側に移動させることにより、相対的な衝突速度を低減して可動コア及び固定コアの機械的耐久性を向上させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−282834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例では、固定絶縁台内の底部に設けた緩衝ゴムからなる弾性体を緩衝材として配置するようにしているので、緩衝材を別途必要とし、部品点数が増加すると共に、製造コストも増加するという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、緩衝部材をフレームに一体形成することにより、部品点数を削減しながら緩衝効果を発揮することができる電磁接触器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る電磁接触器の一態様は、互いに結合される合成樹脂製の第1フレーム及び第2フレームと、第1フレーム内に固定コアが固定され、第2フレーム内に可動コアが配置された操作用電磁石と、第1フレームの有底筒状部の底部に一体に形成された操作用電磁石の前記固定コアを支持する緩衝用リブとを備え、緩衝用リブは、固定コアの長手方向の両端側を個別に支持するように形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1フレームの底部に固定コアを支持する緩衝用リブを形成したので、別途緩衝部材を固定コアと台1のフレームの底部との間に配置する必要がなく、部品点数を削減しながら緩衝効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る電磁接触器の外観斜視図である。
図2図1の横断面図である。
図3】第1フレームの正面図である。
図4】第1フレームの固定コアを装着した正面図である。
図5】第1フレームのスプールを装着した正面図である。
図6】第1フレームの斜視図である。
図7】第1フレームの縦断面図である。
図8】第1フレームの緩衝用リブを示す拡大斜視図である。
図9】第2フレームを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
図10図1の電磁接触器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を伴って説明する。
本発明に係る電磁接触器10は、図1に示すように、互いに連結される合成樹脂材例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)で形成された第1フレーム11Aと第2フレーム11Bとで構成されている。
第1フレーム11Aには、図2図4及び図6に示すように、操作用電磁石12が内装されている。第2フレーム11Bには、図2に示すように、操作用電磁石12によってオン・オフ駆動される接点機構13が内装されている。
【0009】
第1フレーム11Aは、操作用電磁石12を収容する有底角筒状部21を有する。この有底角筒状部21は、正面から見て、図3に示すように、中央部の幅広部21aと、この幅広部21aの一方の対向側壁例えば上下側壁に幅広部21aと連通するように幅広部21aの上下方向の中心線を中心として上下線対称に形成された幅狭部21b及び21cとで構成されている。そして、幅広部21aを挟む幅狭部21b及び幅狭部21c間の底面に、有底角筒状部21の底板部を補強する格子状の補強用リブ22が一体に形成されている。
【0010】
この補強用リブ22の上下端部側の左右方向に延長するリブが操作用電磁石12の固定コア12Fを支持する緩衝用リブ23とされている。これら緩衝用リブ23は、図6及び図8に示すように、その幅W1が他の補強用リブ22の幅W2より薄くされ、且つ高さH1が他の補強用リブ22の高さH2より高く設定されている。このため、緩衝用リブ23が補強用リブ22に比較して撓み易くされて緩衝機能を発揮するように構成されている。また、緩衝用リブ23の左右端部には、前方に突出して固定コア12Fをガイドするガイド部材24が一体に形成され、上下端部側にも固定コア12Fをガイドするガイド部材24が一体に形成されている。
【0011】
そして、緩衝用リブ23上に操作用電磁石12を構成する固定コア12Fが支持されている。この固定コア12Fは、図7に示すように、上下方向に延長する連結板部12aの上端部、中央部及び下端部にそれぞれ前方に突出する突出部12b〜12dが形成されてE字形状を有する。
固定コア12Fは、連結板部12aの中央突出部12cに対向する位置に形成された貫通孔12e内に支持板26が挿通され、この支持板26の連結板部12aから突出する左右両端部が図2に示すようにそれぞれ弾性部材27に挿通されている。
【0012】
これら弾性部材27は、図2に示すように、固定コア12Fの中央突出部12cの周囲に装着された励磁コイル28aを巻回したスプール28と有底角筒状部21の底部との間に挟持されている。
したがって、固定コア12Fは、中央部が支持板26を介して弾性部材27によって弾性支持されると共に、長手方向の上下端部が緩衝用リブ23によって弾性支持されている。
【0013】
また、スプール28には、第1フレーム11Aの一方の幅狭部21bから外方に突出する端子台29に固定されたコイル端子30が一体に形成されている。
さらに、第1フレーム11Aの幅広部21aの他方の対向側壁例えば左右側壁の前端には、図3図7に示すように、幅狭部21b及び21c側の両端部にそれぞれ前方に延長する4本のフック部31が係合部31aを内側に向けるように上下方向及び前後方向の対称位置に形成されている。
【0014】
さらに、第1フレーム11Aの有底角筒状部21の底部四隅には取付孔を有する取付板部32が形成されている。
第2フレーム11Bは、図9(a)〜(c)に示すように、第1フレーム11Aと連結する連結部側の形状が第1フレーム11Aの有底角筒状部21と同一形状を有する角筒部40を備えている。この角筒部40は、有底角筒状部21と同様に幅広部41aとこの幅広部41aと連通する幅狭部41b及び41cとを有する。
【0015】
また、角筒部40は、図10に示すように幅狭部41b及び41cが連通していない対向側面板部40a及び40bが連結部側とは反対側に延長している。これら対向側面板部40a及び40bの延長端部の中央部間に連結板部40cが橋架されている。この連結板部40cの下側には、対向側面板部40a及び40b間を平行に仕切る複数例えば3枚の隔壁42が形成されて主回路電源側端子部43a及び補助端子部44aが設けられている。
【0016】
また、連結板部40cの上側には、対向側面板部40a及び40b間を平行に仕切る複数例えば3枚の隔壁45が形成されて主回路負荷側端子部43b及び補助端子部44bが設けられている。
さらに、対向側面板部40a及び40bには、第1フレーム11Aのフック部31に対向する4個所に、フック部31の係合部31bが外側から係合する係合突起46がそれぞれ形成されている。
【0017】
そして、第1フレーム11Aに形成したフック部31と第2フレーム11Bに形成した係合突起46とでスナップフィット47が構成されている。
また、連結板部40cの背面側に消弧室48が形成され、この消弧室48内に可動接触子49aを保持する接触子ホルダ49が前後方向に摺動可能に保持され、この接触子ホルダ49の背面側に固定コア12Fに対向する可動コア12Mが連結され、この可動コア12Mと第1フレーム11Aのスプール28との間に図示しない復帰スプリングが配置されている。
【0018】
さらに、連結板部40cの上面、正面及び下面を覆うように消弧カバー51が配置されている。
そして、第1フレーム11Aと第2フレーム11Bとが、図1に示すように、第1フレーム11Aのフック部31を第2フレーム11Bの係合突起46に係合させた状態で一体化されている。
【0019】
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、電磁接触器10の主回路電源側端子部42aに交流電源を接続し、主回路負荷側端子42bに例えば三相電動モータを接続しているものとする。
このとき、操作用電磁石12のスプール28に巻回された励磁コイル28aが非通電状態であるときには、図2に示すように、可動コア12Mが図示しない復帰スプリングによって前方位置に保持されて固定コア12Fから離間している。
【0020】
この状態では、可動コア12Mに連結された接触子ホルダ49が前方に移動して、可動接触子49aが固定接触子(図示せず)から前方に離間して主回路電源側端子部43a及び主回路負荷側端子部43b間が通電遮断状態となっている。
この通電遮断状態から操作用電磁石12のスプール28に巻装した励磁コイル28aに通電を開始すると、固定コア12Fに大きな吸引力が発生し、この吸引力によって可動コア12Mが復帰スプリング(図示せず)に抗して固定コア12Fに衝接される。
【0021】
このとき、固定コア12Fは、中央部が支持板26を介して弾性部材27によって弾性支持され、上下端部が緩衝用リブ23によって弾性支持されているので、可動コア12Mが衝接したときの衝撃力が弾性部材27及び緩衝用リブ23によって緩和される。
このように、可動コア12Mが固定コア12Fに衝接することにより、可動コア12Mに連結された接触子ホルダ49が後方に移動し、可動接触子49aが固定接触子(図示せず)に接触して主回路電源側端子部43aと主回路負荷側端子部43bとが通電状態となり、電源が三相電動モータに供給される。
【0022】
その後、三相電動モータを停止させる場合には、コイル端子30への通電を停止することにより、固定コア12Fの吸引力を消失させる。これにより、可動コア12Mが復帰スプリング(図示せず)によって図2に示す前方位置に復帰し、可動接触子49aが固定接触子(図示せず)から前方に離間して通電遮断状態に復帰する。
このように、上記実施形態によると、第1フレーム11Aの有底角筒状部21の底部に固定コア12Fの上下端部を弾性支持する緩衝用リブ23を形成したので、通電状態とするために、固定コア12Fで可動コア12Mを吸引して可動コア12Mが固定コア12Fに衝接したときの衝撃力を固定コア12Fの中央部では弾性部材27によって緩和し、固定コア12Fの上下端部では緩衝用リブ23によって緩和することができる。
【0023】
この場合、緩衝用リブ23を第1フレーム11Aの有底角筒状部21の底部に一体成型しており、前述した従来例のように緩衝ゴムによる弾性体を別途設ける必要がなく、部品点数を低減しながら緩衝効果を発揮することができる。
しかも、緩衝用リブ23が有底角筒状部21に一体成型されているので、緩衝ゴムによる弾性体を装着する作業が不要となり、組立工数も削減することができる。
【0024】
また、緩衝用リブ23を有底角筒状部21の底部を補強する補強用リブ22の一部として形成するので、専用の緩衝用リブを形成する場合に比較して金型を大幅に変更することなく一体成型を容易に行うことができる。
さらに、緩衝用リブ23の周囲に固定コア12Fをガイドするガイド部材24及び25が形成されているので、固定コア12Fの上下端部が緩衝用リブ23に確実に接触するように位置決めすることができる。
【0025】
なお、上記各実施形態においては、第1フレーム11Aが有底角筒状部21を有する場合について説明したが、角筒状である必要はなく、角部を円弧状としたり、円筒状や楕円筒状等の任意の筒状形状としたりすることができる。
また、上記各実施形態においては、スナップフィット47のフック部31を第1フレーム11Aに形成し、係合突起46を第2フレーム11Bに形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、第1フレーム11Aに係合突起46を形成し、第2フレーム11Bにフック部31を形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、補助端子部44a及び44bを有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、補助端子部44a及び44bを省略した電磁接触器にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
10…電磁接触器、11A…第1フレーム、11B…第2フレーム、12…操作用電磁石、12F…固定コア、12M…可動コア、13…接点機構、21…有底角筒状部、22…補強用リブ、23…緩衝用リブ、24,25…ガイド部材、26…支持板、27…弾性部材、28…スプール、29…端子台、30…コイル端子、31…フック部、40…角筒部、43a…主回路電源側端子部、43b…主回路負荷側端子部、44a,44b…補助端子部、46…係合突起、47…スナップフィット、49…接触子ホルダ、49a…可動接触子、51…消弧カバー
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