特許第6202204号(P6202204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202204
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170914BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20170914BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20170914BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   H02J7/00 J
   H02M7/48 E
   H02M3/28 H
   H02M1/08 301A
   H02M7/48 L
   H02M3/28 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-523034(P2016-523034)
(86)(22)【出願日】2014年5月28日
(86)【国際出願番号】JP2014064185
(87)【国際公開番号】WO2015181920
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏一
(72)【発明者】
【氏名】武井 修
【審査官】 高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−110397(JP,A)
【文献】 特開2014−073055(JP,A)
【文献】 特開2011−130571(JP,A)
【文献】 特開2011−24323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L11/18,
H02J7/00−7/12,
H02J7/34−7/36,
H02M1/00−3/44,
H02M7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータにより交流電圧を発生し、この交流電圧を整流することにより蓄電池を充電するための直流電圧を生成する充電器において、
前記インバータを構成する複数のスイッチング素子に各々対応した複数のトランスと、
前記複数のトランスの各1次巻線を各々含む複数の1次側回路に対して、前記インバータの複数のスイッチング素子のオン/オフ切り換えを行うための複数のゲート信号を各々出力する制御回路と、
前記複数のトランスの2次巻線に発生する電圧に基づいて前記インバータの複数のスイッチング素子のオン/オフ切り換えを行う複数のゲート駆動回路と、
前記複数のトランスの各1次側回路の開閉を行う遮断制御用スイッチング素子とを具備し、
強制停止信号に応じて前記遮断制御用スイッチング素子を遮断し、前記複数のトランスの各1次側回路を開状態とすることを特徴とする充電器。
【請求項2】
前記複数の1次側回路の各々は、前記複数のトランスの1つのトランスの1次巻線と、前記制御回路と、前記遮断制御用スイッチング素子とを直流電源に対して直列接続してなる回路であることを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記インバータの複数のスイッチング素子は、電界効果トランジスタを各々含み、
前記複数のゲート駆動回路の各々は、前記複数のトランスの1つのトランスの次巻線に発生する交流電圧を整流することにより得られる直流電圧を前記インバータの1つのスイッチング素子の電界効果トランジスタのゲートおよびソース間に出力することを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項4】
前記複数の1次側回路の各々について前記遮断制御用スイッチング素子を個別に設けたことを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項5】
前記複数の1次側回路を複数のグループに分け、グループ毎に共用の遮断制御用スイッチング素子を設けたことを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項6】
前記インバータの複数のスイッチング素子は、高電位電源線に接続された複数の上アームスイッチング素子と低電位電源線に接続された複数の下アームスイッチング素子とを含み、
前記充電器は、第1の強制停止信号に応じて、前記複数の上アームスイッチング素子に対応した各トランスの各1次側回路の開閉を行う遮断制御用スイッチング素子をオフとし、第2の強制停止信号に応じて、前記複数の下アームスイッチング素子に対応した各トランスの各1次側回路の開閉を行う遮断制御用スイッチング素子をオフとすることを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項7】
前記強制停止信号が前記充電の外部から与えられることを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項8】
複数種類の事象のいずれかの発生により前記強制停止信号が発生することを特徴とする請求項1に記載の充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車載用充電器等として好適な充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用充電器として、インバータにより交流電圧を発生し、この交流電圧を整流することにより車両内の蓄電池を充電するための直流電圧を発生するものがある。周知の通り、インバータは、複数のスイッチング素子がスイッチング動作することにより直流電圧を交流電圧に変換する回路である。この種のインバータを搭載した充電器は、インバータの各スイッチング素子に供給するゲート信号のパルス幅を制御することにより出力電流を調整することができるので、蓄電池の充電状況に応じて充電電流を容易に制御することができるという利点がある。
【0003】
さて、充電器による蓄電池の充電中に例えば感電事故等の防止のために充電動作を緊急停止する必要が生じる場合がある。ここで、充電器が電力変換手段としてインバータを備えている場合、このインバータの出力を停止させることにより充電動作を停止させることが可能である。
【0004】
従来、インバータの出力を停止させるための技術として、論理回路を利用する技術があった。この技術では、インバータの各スイッチング素子に対して、例えばANDゲートを介してゲート信号を供給するように構成する。そして、インバータの出力を停止させる旨の強制停止信号が発生した場合には、ゲート信号のANDゲートの通過をこの強制停止信号によって阻止し、インバータの出力を停止させるのである。なお、以下では、この技術を第1の従来技術という。
【0005】
インバータの出力を停止させる他の技術として、特許文献1に開示された技術がある。この特許文献1では、制御回路の発生するゲート信号がフォトカプラを介してインバータの各スイッチング素子に供給される。そして、特許文献1では、強制停止信号に応じて、フォトカプラのフォトトランジスタにバイアス電流を供給する電源を遮断することにより、制御回路からインバータの各スイッチング素子へのゲート信号の供給を遮断し、インバータの出力を停止させる。なお、以下では、この技術を第2の従来技術という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−284051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記第1の従来技術を利用する場合、ゲート信号の通過/遮断を切り換えるための論理回路が搭載されたICを充電器に追加する必要があるので、充電器の故障発生率が高くなる問題がある。
【0008】
また、上記第2の従来技術を利用して充電器のインバータの出力停止を行わせるとすると、次の問題が発生する。まず、フォトカプラは、応答速度が遅い。従って、フォトカプラを介してゲート信号をインバータに供給すると、インバータに高速スイッチングを行わせるのが困難になるという問題がある。また、フォトカプラは、寿命が短い。従って、フォトカプラを充電器に使用した場合、耐用年数の経過に伴うフォトカプラの交換等、メンテナンスの負担が大きくなる問題がある。また、インバータには、フォトカプラを介して供給されるゲート信号を適切なレベルに増幅して各スイッチング素子に供給するゲート駆動回路が設けられている。このゲート駆動回路がフォトカプラとは異なる電源を有していると、強制停止信号に応じて、フォトカプラを介したゲート信号の伝達を遮断した場合、ゲート駆動回路が回路故障によりインバータの各スイッチング素子を誤ってオンさせる可能性がある。
【0009】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、高速かつ長寿命であり、強制停止信号に応じて、電力変換用のインバータを誤動作させることなく確実に停止させることができる充電器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、インバータにより交流電圧を発生し、この交流電圧を整流することにより蓄電池を充電するための直流電圧を生成する充電器において、前記インバータを構成する複数のスイッチング素子に各々対応した複数のトランスと、前記複数のトランスの各1次巻線を各々含む複数の1次側回路に対して、前記インバータの複数のスイッチング素子のオン/オフ切り換えを行うための複数のゲート信号を各々出力する制御回路と、前記複数のトランスの2次巻線に発生する電圧に基づいて前記インバータの複数のスイッチング素子のオン/オフ切り換えを行う複数のゲート駆動回路と、前記複数のトランスの各1次側回路に各々介挿された複数の遮断制御用スイッチング素子とを具備し、強制停止信号に応じて前記複数の遮断制御用スイッチング素子を遮断し、前記複数のトランスの各1次側回路を開状態とすることを特徴とする充電器を提供する。
【0011】
この充電器において、制御回路が複数のゲート信号を出力すると、複数のトランスの2次巻線に各ゲート信号に応じた電圧が発生する。複数のゲート駆動回路は、各2次巻線に発生する電圧に基づいて、インバータを構成する各スイッチング素子のオン/オフ切り換えを行う。この結果、インバータから交流電圧が出力される。強制停止信号が発生すると、遮断制御用スイッチング素子が遮断され、複数のトランスの1次側回路が開状態となる。この結果、各トランスの2次巻線から電圧が出力されなくなり、複数のゲート駆動回路による複数のスイッチング素子のオン/オフ切り換えが停止され、インバータによる交流電圧の出力が停止される。これにより蓄電池の充電が停止される。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ゲート信号の伝達手段として、トランスを使用しているので、インバータの高速化、長寿命化を実現することができる。また、この発明によれば、強制停止信号が発生すると、複数のトランスの2次巻線からの電圧出力が停止され、複数のゲート駆動回路に対する電力供給が途絶える。従って、強制停止信号に応じて、インバータの誤駆動を発生させることなく、インバータの動作を確実に停止させ、充電を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の第1実施形態である車載用充電器の構成を示すブロック図である。
図2】同車載用充電器のインバータ等の詳細な構成を示す回路図である。
図3】この発明の第2実施形態である車載用充電器の構成を示すブロック図である。
図4】同車載用充電器のインバータ等の詳細な構成を示す回路図である。
図5】この発明の第1実施形態である車載用充電器の変形例のインバータ等の詳細な構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本願発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態である車載用充電器1の構成を示すブロック図である。この車載用充電器1は、コンバータ3と、インバータ4と、トランス5と、整流部6と、制御回路7と、電源8と、トランジスタ91〜96と、パルストランス101〜106と、ゲート駆動回路111〜116とを有している。
【0015】
コンバータ3は、車両外の交流電源2から出力された交流電圧を直流電圧に変換してインバータ4に出力する回路である。このコンバータ3は、ダイオードなどの整流素子によって構成されている。
【0016】
インバータ4は、コンバータ3が出力する直流電圧のスイッチングを行うことによりパルス波状の3相の交流電圧を発生する装置である。トランス5は、互いに磁気結合された3相の1次巻線と3相の2次巻線とを有している。トランス5の3相の1次巻線には、インバータ4が出力するパルス波状の3相の交流電圧が印加される。これによりトランス5は、略正弦波状の3相の交流電圧を2次巻線から整流部6に出力する。整流部6は、整流ダイオードや平滑コンデンサから構成されており、トランス5の3相の2次巻線から得られる3相の交流電圧を整流して直流電圧を発生する。充電対象である車両内の蓄電池は、この整流部6が出力する直流電圧に基づき充電される。
【0017】
図2は、図1におけるインバータ4、制御回路7、電源8、トランジスタ91〜96、パルストランス101〜106、ゲート駆動回路111〜116の詳細な構成を示している。この図2に示す回路は、図1におけるインバータ4を構成するスイッチング素子のオン/オフ切り換えの制御を行う手段を構成している。なお、図2では、インバータ4の機能の理解を容易にするため、その前段のコンバータ3が併せて図示されている。
【0018】
図2において、コンバータ3は、高電位電源線Pおよび低電位電源線N間に直流電圧を出力する。インバータ4は、上アームスイッチング素子41〜43と、下アームスイッチング素子44〜46とにより構成されている。これらの上アームスイッチング素子41〜43と下アームスイッチング素子44〜46の各々は、互いに逆並列接続されたNチャネルFET(Field Effect Transistor;電界効果トランジスタ)と還流ダイオードとから構成されている。上アームスイッチング素子41〜43における各NチャネルFETのドレインは高電位電源線Pに接続されており、下アームスイッチング素子44〜46における各NチャネルFETのソースは低電位電源線Nに接続されている。そして、上アームスイッチング素子41〜43における各NチャネルFETのソースは、下アームスイッチング素子44〜46における各NチャネルFETのドレインと各々接続されており、これらの各接続点がトランス5のU相、V相、W相の各1次巻線に接続されている。
【0019】
制御回路7は、上アームスイッチング素子41〜43と下アームスイッチング素子44〜46の各FETのゲートに供給されるゲート信号G1〜G6の基となるゲート信号g1〜g6を発生する回路である。この制御回路7は、PWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)回路を内蔵しており、このPWM回路により、電圧指令値に基づいてパルス幅変調されたゲート信号g1〜g6を出力する。
【0020】
パルストランス101〜106の各1次巻線を各々含む各1次側回路には、制御回路7によってゲート信号g1〜g6が各々入力される。さらに詳述すると、パルストランス101〜106の1次巻線の各一端は、制御回路7におけるゲート信号g1〜g6の各出力端に接続されている。また、パルストランス101〜106の1次巻線の各他端は、トランジスタ(この例ではNPNトランジスタ)91〜96の各エミッタに接続されている。そして、トランジスタ91〜96のコレクタは電源8に接続されている。また、トランジスタ91〜93のベースには強制停止信号DIS1が入力され、トランジスタ94〜96のベースには強制停止信号DIS2が入力される。ここで、トランジスタ91〜93(94〜96)は、強制停止信号DIS1(DIS2)が非アクティブレベル(この例ではHレベル)であるときにオンとなって電源8をパルストランス101〜103(104〜106)の1次巻線に接続する。また、トランジスタ91〜93(94〜96)は、強制停止信号DIS1(DIS2)がアクティブレベル(この例ではLレベル)であるときにオフとなって電源8をパルストランス101〜103(104〜106)の1次巻線の各一端から切り離す。このようにトランジスタ91〜96は、遮断制御用スイッチング素子として機能する。
【0021】
好ましい態様において、強制停止信号DIS1およびDIS2は、例えば車両外部の充電ステーションに設けられた操作子の操作等に応じて発生される。他の好ましい態様において、強制停止信号DIS1およびDIS2は、車両または車両の補機等の故障が検知されたとき、その際に発生する故障検知信号に基づいて発生される。2種類の強制停止信号DIS1およびDIS2を発生するのは、インバータの出力停止のための手段を2重化し、安全性を高めるためである。
【0022】
ゲート駆動回路111〜116は、パルストランス101〜106の各2次巻線に発生する交流電圧を各々整流し、この結果得られるゲート信号G1〜G6をインバータ4のスイッチング素子41〜46の各NチャネルFETのゲートおよびソース間に出力する回路である。
以上が本実施形態による車載用充電器1の構成の詳細である。
【0023】
次に本実施形態の動作を説明する。強制停止信号DIS1およびDIS2の両方が非アクティブレベル(この例ではHレベル)であるとき、トランジスタ91〜96は各々オンとなる。この状態では、制御回路7が出力するゲート信号g1〜g6に応じた各電圧がパルストランス101〜106の各一次巻線に印加され、パルストランス101〜106の各2次巻線からゲート信号g1〜g6に応じた各電圧が出力される。ゲート駆動回路111〜116は、この各2次巻線から出力される電圧を整流し、この結果得られるゲート信号G1〜G6をインバータ4のスイッチング素子41〜46の各NチャネルFETのゲートおよびソース間に出力する。これによりインバータ4のスイッチング素子41〜46のオン/オフ切り換えが行われ、インバータ4から3相の交流電圧が出力される。この3相の交流電圧はトランス5を介して整流部6に供給され、整流部6により直流電圧に変換される。そして、この直流電圧に基づいて、図示しない蓄電池の充電が行われる。
【0024】
強制停止信号DIS1(DIS2)がアクティブレベルになると、トランジスタ91〜93(94〜96)が各々オフとなり、電源8がパルストランス101〜103(104〜106)の1次巻線から切り離される。そのため、パルストランス101〜103(104〜106)の2次巻線からの電圧出力が停止され、ゲート駆動回路111〜113(114〜116)からのゲート信号G1〜G3(G4〜G6)の出力が停止される。これによりインバータ4の全ての上アームスイッチング素子41〜43(全ての下アームスイッチング素子44〜46)がオフとなり、インバータ4による交流電圧の出力が停止される。この結果、蓄電池の充電が停止される。
以上が本実施形態による車載用充電器1の動作の詳細である。
【0025】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。
まず、上述した第1の従来技術では、ゲート信号の通過/遮断を切り換えるための論理回路が搭載されたICを充電器に追加する必要があるので、充電器の故障発生率が高くなる問題がある。
【0026】
これに対し、本実施形態では、ゲート信号の伝達手段としてトランスを使用するので、そのような論理回路の搭載されたICを充電器に設ける必要がない。従って、充電器の故障発生率を低くすることができる。
【0027】
また、上述した第2の従来技術では、ゲート信号の伝達手段として、応答速度が遅く、かつ、寿命が短いフォトカプラを使用していたので、インバータに高速スイッチングを行わせるのが困難であるとともに、耐用年数の経過に伴うフォトカプラの交換等、メンテナンスの負担が大きくなる問題があった。
【0028】
これに対し、本実施形態では、ゲート信号の伝達手段として、応答速度が速く、かつ、長寿命のトランスを使用するので、この第2の従来技術のような問題は発生しない。
【0029】
また、上述した第2の従来技術では、強制停止信号に応じてフォトカプラを介したゲート信号の伝達が遮断されると、ゲート駆動回路に電源が接続されたままであるので、入力が不安定となってゲート駆動回路が発振し、インバータの各スイッチング素子が誤駆動される可能性がある。
【0030】
これに対し、本実施形態では、強制停止信号に応じて、パルストランス101〜106を介したゲート駆動回路111〜116への電力供給が断たれるので、ゲート駆動回路111〜116によるスイッチング素子41〜46のオン/オフ切り換えを停止させることができる。従って、強制停止信号に応じて、誤駆動を招くことなく、インバータ4を停止させることができる。
【0031】
また、本実施形態では、操作子の操作または車両の故障検出等に応じて、2つの強制停止信号DIS1およびDIS2を発生させ、強制停止信号DIS1の発生によりインバータ4の全ての上アームスイッチング素子41〜43をオフさせ、強制停止信号DIS2の発生によりインバータ4の全ての下アームスイッチング素子44〜46をオフさせる。ここで、インバータ4からの交流電圧の出力を停止させるためには、全ての上アームスイッチング素子41〜43か、全ての下アームスイッチング素子44〜46の少なくとも一方をオフさせれば足りる。しかしながら、強制停止信号DIS1またはDIS2の一方のみを発生させる構成とした場合、強制停止信号を発生する回路の故障等により発生すべき強制停止信号が発生しなかった場合や、発生した強制停止信号に基づいてスイッチング素子をオフさせる回路に故障が生じた場合に、インバータを停止させることができない。そこで、本実施形態では、2つの強制停止信号DIS1およびDIS2を発生させ、各々に応じて全ての上アームスイッチング素子41〜43、全ての下アームスイッチング素子44〜46を各々オフさせるようにしている。従って、本実施形態によれば、少なくとも一方の強制停止信号が発生され、その強制停止信号により全ての上アームスイッチング素子41〜43または全ての下アームスイッチング素子44〜46の少なくとも一方がオフされればインバータ4の出力を停止させることができる。このように本実施形態によれば、強制停止信号に基づいてインバータ4を停止させる手段が2重に設けられているので、高い安全性を実現することができる。
【0032】
<第2実施形態>
図3はこの発明の第2実施形態である車載用充電器1aの構成を示すブロック図である。本実施形態における車載用充電器1aでは、上記第1実施形態の車載用充電器1において3相の交流電圧を発生するインバータ4が単相の交流電圧を発生するインバータ4aに、3相の交流電圧を伝達するトランス5が単相の交流電圧を伝達するトランス5aに、3相の交流電圧を整流する整流部6が単相の交流電圧を整流する整流部6aに置き換えられている。また、これに伴い、本実施形態では、上記第1実施形態における制御回路7、トランジスタ91〜96、パルストランス101〜106、ゲート駆動回路111〜116が、トランス5a、整流部6a、制御回路7a、トランジスタ91a〜92a、パルストランス101a〜104a、ゲート駆動回路111a〜114aに置き換えられている。
【0033】
図4は、図3におけるインバータ4a、制御回路7a、電源8a、トランジスタ91a〜92a、パルストランス101a〜104aおよびゲート駆動回路111a〜114aの構成を示す回路図である。なお、図4では、インバータ4aの前段のコンバータの図示は省略している。
【0034】
図3に示すコンバータ3は、図4に示す高電位電源線Paおよび低電位電源線Na間に直流電圧を出力する。図4において、インバータ4aは、上アームスイッチング素子41a〜42aと下アームスイッチング素子43a〜44aとにより構成されている。これらの上アームスイッチング素子41a〜42aと下アームスイッチング素子43a〜44aの各々は、互いに逆並列接続されたNチャンネルFETと還流ダイオードとから構成されている。上アームスイッチング素子41a〜42aにおける各NチャンネルFETのドレインは高電位電源線Paに接続されており、下アームスイッチング素子43a〜44aにおける各NチャネルFETのソースは低電位電源線Naに接続されている。そして、上アームスイッチング素子41a〜42aにおける各NチャネルFETのソースは、下アームスイッチング素子43a〜44aにおける各NチャネルFETのドレインと各々接続されており、これらの各接続点がトランス5aの単相の各1次巻線に接続されている。
【0035】
制御回路7aは、上アームスイッチング素子41a〜42aと下アームスイッチング素子43a〜44aの各FETのゲートに供給されるゲート信号G1a〜G4aの基となるゲート信号g1a〜g4aを発生する回路である。
【0036】
パルストランス101a〜104aの各1次巻線を各々含む各1次側回路には、制御回路7aによってゲート信号g1a〜g4aが各々入力される。さらに詳述すると、パルストランス101a〜104aの1次巻線の各一端は、制御回路7aにおけるゲート信号g1a〜g4aの各出力端に接続されている。また、パルストランス101aおよび102aの1次巻線の各他端は、NPNトランジスタ91aのエミッタに接続され、パルストランス103aおよび104aの1次巻線の各他端は、NPNトランジスタ92aのエミッタに接続されている。そして、トランジスタ91aおよび92aのコレクタは電源8に接続されている。また、トランジスタ91aのベースには強制停止信号DIS1aが入力され、トランジスタ92aのベースには強制停止信号DIS2aが入力される。ここで、トランジスタ91a(92a)は、強制停止信号DIS1a(DIS2a)が非アクティブレベル(この例ではHレベル)であるときにオンとなって電源8をパルストランス101a〜102a(103a〜104a)の1次巻線に接続する。また、トランジスタ91a(92a)は、強制停止信号DIS1a(DIS2a)がアクティブレベル(この例ではLレベル)であるときにオフとなって電源8をパルストランス101a〜102a(103a〜104a)の1次巻線の各一端から切り離す。このようにトランジスタ91a〜92aは、遮断制御用スイッチング素子として機能する。
【0037】
ゲート駆動回路111a〜114aは、パルストランス101a〜104aの各2次巻線に発生する交流電圧を各々整流し、この結果得られるゲート信号G1a〜G4aをインバータ4aのスイッチング素子41a〜44aの各NチャネルFETのゲートおよびソース間に出力する回路である。
以上が本実施形態による車載用充電器1aの構成の詳細である。
【0038】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態では、上アームスイッチング素子41aおよび42aに対応したパルストランス101aおよび102aについて共用のトランジスタ91aを設け、下アームスイッチング素子43aおよび44aに対応したパルストランス103aおよび10aについて共用のトランジスタ92aを設けることで、トランス101a〜104aの1次側回路の開閉を行うためのトランジスタ数を減らしている。従って、上記第1実施形態に比べて、回路の小規模化を図ることができ、かつ、故障発生率を低下させることができる。
【0039】
<他の実施形態>
以上、この発明の第1および第2実施形態を説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0040】
(1)上記第1および第2実施形態において、複数種類の異なった事象のいずれかが発生した場合に、強制停止信号DIS1およびDIS2を発生するように構成してもよい。
【0041】
(2)上記第1および第2実施形態では、この発明を車載用充電器に適用したが、この発明は、車載用のみならず、鉄道車両搭載用や航空機搭載用の充電器にも適用可能である。
【0042】
(3)図5は、この発明の第1実施形態である車載用充電器の変形例のインバータ等の詳細な構成を示す回路図である。図5に示すように、パルストランス101〜103を共通のトランジスタ91を介して電源8に接続し、また、パルストランス104〜106を共通のトランジスタ94を介して電源8に接続してもよい。この態様によれば、トランジスタ91をオフさせることにより、上アームスイッチング素子41〜43を一括オフとし、トランジスタ94をオフさせることにより、下アームスイッチング素子44〜46を一括オフとすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1,1a……車載用充電器、2……交流電源、3……コンバータ、4,4a……インバータ、41〜43,41a,42a……上アームスイッチング素子、44〜46,43a,44a……下アームスイッチング素子、5,5a……トランス、6,6a……整流部、7,7a……制御回路、8……電源、91〜96,91a,92a……トランジスタ、101〜106,101a〜104a……パルストランス、111〜116,111a〜114a……ゲート駆動回路、P,Pa……高電位電源線、N,Na……低電位電源線、g1〜g6,g1a〜g4a,G1〜G6,G1a〜G4a……ゲート信号、DIS1〜DIS2,DIS1a〜DIS2a……強制停止信号。
図1
図2
図3
図4
図5