(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力情報送信回路は、電気信号を光信号に変換して前記出力情報を送信する回路であり、前記出力情報受信回路は、光信号を電気信号に変換して前記出力情報を受信する回路である、請求項7または8に記載のワイヤレス給電システム。
前記第1共振周波数fraおよび第2共振周波数frbは、前記スイッチング周波数fsに対して、ほぼ、(fra + fs )/2 = fsとなるように設定された請求項1から10のいずれかに記載のワイヤレス給電システム。
前記スイッチング制御回路は、前記スイッチング周波数を変化させる周波数変調PFM制御により、前記送電装置から前記受電装置へ給電する電力を制御する、請求項1から13のいずれかに記載のワイヤレス給電システム。
前記送電側共振機構または前記受電側共振機構はインダクタを含み、当該インダクタは、前記送電コイルまたは前記受電コイルのインダクタンス成分のうち、結合に関与しない漏れインダクタンス成分である、請求項1から22のいずれかに記載のワイヤレス給電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、電子機器の小型軽量化とともに、スイッチング電源回路の高効率化の市場要求はいっそう高まっている。一般に、スイッチング電源回路の高効率化のため、スイッチング制御の高精度化は重要である。しかし、動作周波数がMHz帯となるような高周波パワーエレクトロニクスと呼ばれる技術分野において高い電力変換効率を得るための高度なスイッチング制御技術については、ほとんど明らかになっていない。例えば、E級インバータを応用したワイヤレス給電システムにおいて、どのようにシステムを設計すれば、スイッチング素子における導通損失やスイッチング損失を低減して、スイッチング素子の発熱を抑制しながら電磁界の共鳴を起こして電気と電磁界のエネルギーを変換することができ、システムにおける電力変換効率を高めることができるかという技術については、これまでほとんど明らかにされていない。特に、E級インバータを応用したワイヤレス給電システムでは、1石のFETのみでシステムが構成でき、シンプルな小型軽量化を達成することができるという有用性がある。また、プッシュプルE級インバータを応用したワイヤレス給電システムでは、2石のFETを交互にオンオフさせるが、これら2石のFETのグランド電位は同電位のグランドに接続でき、FETの駆動が容易であるという有用性がある。一方、E級インバータを応用したワイヤレス給電システムでは、スイッチング素子に等価的に並列に接続されたキャパシタが共振機構の要素として取り込まれるために、高い電力変換効率を得るためのワイヤレス給電システムの設計の難易度は高い。これは、共振機構により決定される共振周波数がスイッチング素子のオンオフによって離散的に変化するためである。より具体的には、オン期間とオフ期間で異なる共振周波数を有する共振機構が形成されるからである。送電装置から受電装置へ、空間を超えて電力を給電するワイヤレス給電技術では、高効率化、小型化、軽量化の要求は高く、高いエネルギー変換効率や電力変換効率を得るためのシステム設計技術を開発することは、科学技術の発展や産業の成長に寄与できる重要な技術になっている。
【0006】
本発明の目的は、E級インバータを応用したワイヤレス給電システムにおいて、直流から電磁界の共鳴を起こして、電気と電磁界のエネルギーを変換し、送電共振機構と受電共振機構を相互に作用させて共鳴させ、且つスイッチング素子において導通損やスイッチング損失が低減できる最適なZVS動作を的確に行えるようにして、電力変換効率をより一層高めたワイヤレス給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のワイヤレス給電システムは次のように構成される。
【0008】
(1)送電コイルを備える送電装置と、受電コイルを備える受電装置とで構成され、前記送電装置から前記受電装置へ電力を給電するワイヤレス給電システムにおいて、
前記送電装置は、前記送電コイルとともに送電側共振機構を構成する送電側共振キャパシタと、前記送電側共振機構の一方に電気的に接続された第1送電側交流
電圧発生回路と、前記送電
側共振機構の他方に電気的に接続された第2送電側交流
電圧発生回路と、スイッチング制御回路と、を備え、
前記第1送電側交流
電圧発生回路は、スイッチング素子、ダイオードおよびキャパシタの並列接続回路で等価的に構成される第1スイッチ回路と、入力直流電圧から、前記送電側共振機構に流す交流電流に比較して相対的に直流電流とみなせる電流源を生成するインダクタンスをもつ第1インダクタとを備え、
前記第2送電側交流
電圧発生回路は、スイッチング素子、ダイオードおよびキャパシタの並列接続回路で等価的に構成される第2スイッチ回路と、入力直流電圧から、前記送電側共振機構に流す交流電流に比較して相対的に直流電流とみなせる電流源を生成するインダクタンスをもつ第2インダクタとを備え、
前記スイッチング制御回路は、前記第1スイッチ回路のスイッチング素子および前記第2スイッチ回路のスイッチング素子を交互にオン/オフすることにより、前記第1送電側交流電圧発生回路および前記第2送電側交流電圧発生回路から
前記送電コイルに交流電流を発生させ、
前記受電装置は、前記受電コイルとともに受電側共振機構を構成する受電側共振キャパシタと、前記受電コイルに接続されて、該受電コイルに生じる交流電流を整流する受電側整流回路と、を備え、
前記送電側共振機構により決定される第1共振周波数は、前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路のスイッチング周波数よりも低く、
前記送電側共振機構に前記第1スイッチ回路または前記第2スイッチ回路のキャパシタを含めて決定される第2共振周波数は、前記スイッチング周波数よりも高く、
前記スイッチング制御回路は、前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路のうち一方のスイッチ回路の両端から、当該一方のスイッチ回路のキャパシタンスを含めずに、他方のスイッチ回路を短絡した状態で前記送電側共振機構を通して負荷側をみた第1インピーダンスが誘導性インピーダンスとなるスイッチング周波数で
前記第1スイッチ回路および
前記第2スイッチ回路のスイッチング素子をスイッチングさせ、且つ、前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路のうち一方のスイッチ回路の両端から、当該一方のスイッチ回路のキャパシタンスを含めて、他方のスイッチ回路を短絡した状態で前記送電側共振機構を通して負荷側をみた第2インピーダンスが誘導性インピーダンスとなるスイッチング周波数で
前記第1スイッチ回路および
前記第2スイッチ回路のスイッチング素子をスイッチングさせることで、前記第1スイッチ回路および前記第2スイッチ回路の両端電圧をそれぞれ半周期毎の半波の正弦波状の波形とし、
前記送電コイルと
前記受電コイルとの間に等価的に形成される相互インダクタンスまたは相互キャパシタンスで等価的な電磁界共鳴結合回路が構成されて、前記送電側共振機構と前記受電側共振機構とが共鳴する、ことを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、次のような効果を奏する。
【0010】
(a) 等価的な電磁界共鳴結合回路が構成されて、送電装置側共振機構と受電装置側共振機構とが共鳴して、送電装置から受電装置へ空間を超えて電力を送ることができ、且つ、直流電圧から電磁界共鳴を起こして電力が給電され、さらにスイッチング素子にてZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作が可能となり、スイッチング損失を大幅に低減できる。ワイヤレス給電システムの高効率化、小型軽量化、高信頼性化を図ることができる。
【0011】
(b) 送電コイルと受電コイルとの間で電磁界共鳴を起こして空間を超えて電気を送るため、電磁誘導方式による給電よりも電力効率の高い給電が可能となる。また、磁界共鳴結合だけでなく電界共鳴結合をも利用して給電を行うことで、磁界共鳴結合だけの場合より電力効率高く電力を供給することができる。
【0012】
(c) 2石のスイッチング素子を用いて相補的にスイッチング動作を行うため、共振機構を流れる共振電流波形での高調波電流成分が少なく、不要輻射ノイズを低減できる。
【0013】
(2)送電コイルを備えた送電装置と、受電コイルを備えた受電装置とで構成され、前記送電装置から前記受電装置へ電力を給電するワイヤレス給電システムにおいて、
前記送電装置は、前記送電コイルとともに送電側共振機構を構成する送電側共振キャパシタと、前記送電側共振機構に電気的に接続された第1送電側交流
電圧発生回路と、スイッチング制御回路と、を備え、
前記第1送電側交流
電圧発生回路は、スイッチング素子、ダイオードおよびキャパシタの並列接続回路で等価的に構成される第1スイッチ回路と、入力直流電圧から、前記送電側共振機構に流す交流電流に比較して相対的に直流電流とみなせる電流源を生成するインダクタンスをもつ第1インダクタとを備え、
前記スイッチング制御回路は、前
記スイッチング素子をオン/オフすることにより、前記
第1送電側交流電圧発生回路から
前記送電コイルに交流電流を発生させ、
前記受電装置は、前記受電コイルとともに受電側共振機構を構成する受電側共振キャパシタと、前記受電コイルに接続されて、該受電コイルに生じる交流電流を整流する受電側整流回路と、を備え、
前記送電
側共振機構により決定される第1共振周波数は、前記第1スイッチ回路のスイッチング周波数よりも低く、
前記送電
側共振機構に前記第1スイッチ回路のキャパシタを含めて決定される第2共振周波数は、前記スイッチング周波数よりも高く、
前記スイッチング制御回路は、前記第1スイッチ回路の両端から、当該
第1スイッチ回路のキャパシタンスを含めずに、前記送電側共振機構を通して負荷側をみた第1インピーダンスが誘導性インピーダンスとなるスイッチング周波数で
前記スイッチング素子をスイッチングさせ、且つ、前記第1スイッチ回路の両端から、当該
第1スイッチ回路のキャパシタンスを含めて、前記
送電側共振機構を通して負荷側をみた第2インピーダンスが誘導性インピーダンスとなるスイッチング周波数で
前記スイッチング素子をスイッチングさせることで、前記第1スイッチ回路の両端電圧を半周期毎の半波の正弦波状の波形とし、
前記送電コイルと前記受電コイルとの間に等価的に形成される相互インダクタンスまたは相互キャパシタンスで電磁界共鳴結合回路が構成されて、前記送電側共振機構と前記受電側共振機構とが共鳴する、ことを特徴とする。
【0014】
上記の構成により、スイッチング素子は1石式となり、送電装置および受電装置を簡素化できる。
【0015】
(3)上記(1)において、前記
スイッチング制御回路は、前記送電コイルから前記第1スイッチ回路または前記第2スイッチ回路の両端電圧が0V付近になってから前記第1スイッチ回路または前記第2スイッチ回路を導通させ
ることが好ましい。これにより、ZVS動作を行うことでスイッチング素子におけるスイッチング損を大幅に低減でき、ワイヤレス給電システムの電力効率を高めることができる。
【0016】
(4)上記(2)において、前記
スイッチング制御回路は、前記送電コイルから前記第1スイッチ回路の両端電圧が0V付近になってから前記第1スイッチ回路を導通させ
ることが好ましい。これにより、ZVS動作を行うことでスイッチング素子におけるスイッチング損を大幅に低減でき、ワイヤレス給電システムの電力効率を高めることができる。
【0017】
(5)
上記(1)または(3)において、前記
第1送電側交流電圧発生回路
および前記第2送電側交流電圧発生回路と前記送電側共振機構との間に、インダクタ要素およびキャパシタ要素を含むフィルタを備えることが好ましい。これにより、送電側共振機構から発射される不要輻射を低減することで、EMI(電磁干渉ノイズ)を低減し、他の電子機器などとのEMC(電磁両立性)を図ることができる。
【0018】
(6)上記(2)または(4)において、前記第1送電側交流電圧発生回路と前記送電側共振機構との間に、インダクタ要素およびキャパシタ要素を含むフィルタを備えることが好ましい。これにより、送電側共振機構から発射される不要輻射を低減することで、EMI(電磁干渉ノイズ)を低減し、他の電子機器などとのEMC(電磁両立性)を図ることができる。
【0019】
(
7)
上記(1)(3)または(5)において、前記受電装置は、前記受
電側整流回路の出力に関する出力情報を検出して前記送電装置に前記出力情報を伝送する出力情報送信回路を備え、前記送電装置は、前記出力情報を受信する出力情報受信回路と、前記出力情報に応じて前記
第1送電側交流電圧発生回路を制御して給電電力を制御する給電電力制御回路とを備えることが好ましい。これにより、送電側においてスイッチング動作を制御することで給電電力を調整することができ、適切に電子機器を動作させることができる。
【0020】
(8)
上記(2)(4)または(6)において、前記受電装置は、前記受電側整流回路の出力に関する出力情報を検出して前記送電装置に前記出力情報を伝送する出力情報送信回路を備え、前記送電装置は、前記出力情報を受信する出力情報受信回路と、前記出力情報に応じて前記第1送電側交流電圧発生回路を制御して給電電力を制御する給電電力制御回路とを備えることが好ましい。これにより、送電側においてスイッチング動作を制御することで給電電力を調整することができ、適切に電子機器を動作させることができる。
【0021】
(
9)前記出力情報送信回路は、無線通信で前記出力情報を送信する回路であり、前記出力情報受信回路は、無線通信で前記出力情報を受信する回路であることが好ましい。これにより、送電装置は電気的に絶縁状態で出力電力を調整することができる。
【0022】
(
10)前記出力情報送信回路は、電気信号を光信号に変換して前記出力情報を送信する回路であり、前記出力情報受信回路は、光信号を電気信号に変換して前記出力情報を受信する回路であることが好ましい。これにより、送電装置は電気的に絶縁状態で出力電力を調整することができる。
【0023】
(
11)上記(3)(4)において、前記第2共振周波数frbは、前記スイッチング周波数fsとほぼ等しくなるように設定されることが好ましい。これにより、dvds/dt = 0、vds = 0(vds:ドレイン・ソース間電圧)でターンオフをしてZVS動作を実現しながら、最小の電流でターンオフをするため、スイッチング損失を大きく低減できる。
【0024】
(
12)上記(3)(4)において、前記第1共振周波数fraおよびfrbは、前記スイッチング周波数fsに対して、ほぼ、(fra + fs )/2 = fsとなるように設定されることが好ましい。これにより、dvds/dt= 0、vds = 0でターンオフをしてZVS動作を実現しながら、最小の電流でターンオフをするため、スイッチング損失を大きく低減できる。
【0025】
(
13)
前記受電側共振機構と前記
受電側整流回路との間に、インダクタ要素およびキャパシタ要素を含むフィルタを備えることが好ましい。これにより、受電側共振機構から発射される不要輻射を低減することで、EMI(電磁干渉ノイズ)を低減し、他の電子機器などとのEMC(電磁両立性)を図ることができる。
【0026】
(
14)例えば、前記スイッチング制御回路は、前記スイッチング周波数を変化させる周波数変調PFM(Pulse Frequency Modulation)制御により、前記送電装置から前記受電装置へ給電する電力を制御する。これにより、給電電力を制御することが可能となり、出力電力を調整することができる。
【0027】
(
15)例えば、前記スイッチング制御回路は、一定のスイッチング周波数で時比率を制御するPWM(Pulse Width Modulation)制御により、前記送電装置から前記受電装置へ給電する電力を制御する。これにより、給電電力を制御することが可能となり、出力電力を調整することができる。また、一定のスイッチング周波数を用いることにより、利用周波数帯域を限定することができ、EMC対策も容易となる。また出力を制御する制御性も高まる。
【0028】
(
16)前記受電側整流回路は、スイッチング素子を備えた同期整流回路であることが好ましい。これにより、受電側同期整流回路により整流損失を低減できる。給電システムの小型化が可能となる。
【0029】
(
17)前記受電装置は、前記同期整流回路の動作周波数を制御する動作周波数制御回路を備えることが好ましい。これにより、受電側の同期整流回路の動作周波数を制御することで、送電側ではない受電側での供給電力の調整が可能となる。
【0030】
(
18)前記受電装置は、該受電装置
置の回路を制御する受電装置側制御回路を備え、該受電装置側制御回路は、前記受電装置が受電した電力によって動作することが好ましい。これにより、受電側は、受電した電力により制御回路を動作させることができる。また、受電側に電源を備える必要がなく装置の小型軽量化を図ることができる。
【0031】
(
19)前記受電側整流回路は、前記受電側整流回路の出力部から
直流電圧を受けて
前記受電側整流回路の入力部へ交流電圧を発生し、前記
第1送電側交流電圧発生回路
および前記第2送電側交流電圧発生回路は、
前記第1送電側交流電圧発生回路および前記第2送電側交流電圧発生回路の出力部に入力される交流電圧を整流する構成であることが好ましい。これにより、双方向の給電が可能となることで、受電側から送電側へ給電したり、受電側を中継点として、受電した電力をさらに別のところへ送電したりできる。また、中継システムとしても利用可能で、本装置を複数用意して中継することで長距離の給電が可能となる。
【0032】
(20)
前記受電側整流回路は、前記受電側整流回路の出力部から直流電圧を受けて前記受電側整流回路の入力部へ交流電圧を発生し、前記第1送電側交流電圧発生回路は、前記第1送電側交流電圧発生回路の出力部に入力される交流電圧を整流する構成であることが好ましい。これにより、双方向の給電が可能となることで、受電側から送電側へ給電したり、受電側を中継点として、受電した電力をさらに別のところへ送電したりできる。また、中継システムとしても利用可能で、本装置を複数用意して中継することで長距離の給電が可能となる。
【0033】
(
21)前記送電コイルおよび前記受電コイルは空心のコイルであることが好ましい。これにより、送電コイルと受電コイルの間をインダクタにて構成した場合でも、電磁共鳴現象を用いた電磁界結合を形成することで効率よくワイヤレスで電力送電を行うことができる。また、磁芯が不要になり、給電距離を長くできる。
【0034】
(
22)前記相互インダクタンスは、前記送電コイルと前記受電コイルとの間に形成される磁界共鳴結合により生じる等価的な励磁インダクタンスであることが好ましい。これにより、励磁インダクタの部品が不要になり、送電装置および受電装置の小型軽量化を図ることができる。
【0035】
(
23)前記送電側共振機構または前記受電側共振機構はインダクタを含み、当該インダクタは、前記送電コイルまたは前記受電コイルのインダクタンス成分のうち、結合に関与しない漏れインダクタンス成分であることが好ましい。これにより、共振インダクタの部品が不要になり、給電システム装置の小型軽量化を図ることができる。
【0036】
(
24)共振機構を備え、前記送電装置と前記受電装置とともに電磁界共鳴結合回路を構成する、単一または複数の共鳴装置を備えることが好ましい。これにより、複数の共振器を設置することで、複数の共振器を含めた電磁界共鳴結合を形成し、共振器を空間的に適切に設置することにより、離れた所定の場所への電力供給が可能となる。また高い電力効率で離れた距離の給電が可能となる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、
(a) 等価的な電磁界共鳴結合回路が構成されて、送電装置側共振機構と受電装置側共振機構とが共鳴して、送電装置から受電装置へ空間を超えて電力を送ることができ、且つ、直流電圧から電磁界共鳴を起こして電力が給電され、さらにスイッチング素子にてZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作が可能となり、スイッチング損失を大幅に低減できる。ワイヤレス給電システムの高効率化、小型軽量化、高信頼性化を図ることができる。
【0038】
(b) 送電コイルと受電コイルとの間で電磁界共鳴を起こして空間を超えて電気を送るため、電磁誘導方式による給電よりも電力効率の高い給電が可能となる。また、磁界共鳴結合だけでなく電界共鳴結合をも利用して給電を行うことで、磁界共鳴結合だけの場合より電力効率高く電力を供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態のワイヤレス給電システム101の回路図である。
【0041】
ワイヤレス給電システム101は電力送電装置PSUと電力受電装置PRUとで構成されている。
【0042】
このワイヤレス給電システム101は、送電コイルnpを備える送電装置PSUと、受電コイルnsを備える受電装置PRUとで構成され、電力送電装置PSUの入力部に入力電源Viを備え、電力受電装置PRUの負荷Roへ安定した直流のエネルギーを給電するシステムである。
【0043】
送電装置PSUは、送電コイルnpと送電側共振キャパシタCrとで構成される送電側共振機構と、この送電側共振機構の一方に電気的に接続された第1送電側交流
電圧発生回路と、送電共振機構の他方に電気的に接続された第2送電側交流
電圧発生回路と、スイッチング制御回路10と、を備える。
【0044】
第1送電側交流
電圧発生回路は、等価的にスイッチング素子Q1、ダイオードDds1およびキャパシタCds1の並列接続回路で構成される第1スイッチ回路S1と、入力直流電圧から、送電側共振機構に流す交流電流に比較して相対的に直流電流とみなせる電流源を生成するインダクタンスをもつ第1インダクタLf1とを備える。
【0045】
第2送電側交流
電圧発生回路は、等価的にスイッチング素子Q2、ダイオードDds2およびキャパシタCds2の並列接続回路で構成される第2スイッチ回路S2と、入力直流電圧から、送電側共振機構に流す交流電流に比較して相対的に直流電流とみなせる電流源を生成するインダクタンスをもつ第2インダクタLf2とを備える。
【0046】
スイッチング制御回路10は、第1スイッチ回路S1のスイッチング素子Q1および第2スイッチ回路S2のスイッチング素子Q2を交互にオン/オフすることにより、第1送電側交流電圧発生回路および第2送電側交流電圧発生回路から交流電圧を発生させる。
【0047】
受電装置PRUは、受電コイルnsと受電側共振キャパシタCrsとで構成される受電側共振機構と、受電コイルnsに接続されて、受電コイルnsに生じる交流電流を整流する受電側整流回路RCと、を備える。
【0048】
スイッチング素子Q1,Q2には、耐圧60V、定格最大電流6AのMOSFET、ダイオードブリッジには耐圧60Vのショットキーバリアダイオードを用いた。共振キャパシタCr、Crs、Cds1、Cds2には、高周波特性に優れた中高圧セラミックコンデンサを用いた。送電側において、入力電源に並列に接続されるキャパシタと、受電側において、出力電圧を平滑するキャパシタCoには大容量積層セラミックコンデンサとフィルムコンデンサを並列接続して用いた。
【0049】
本実施形態のワイヤレス給電システム101では、スイッチング素子Q1,Q2はMOSFETなどの、寄生出力容量や寄生ダイオードを有するスイッチング素子であり、この寄生出力容量や寄生ダイオードを利用してスイッチ回路S1、S2を構成している。
【0050】
送電コイルnpと送電側共振キャパシタCrとで構成される送電側共振機構の第1共振周波数fraは、第1スイッチ回路S1および第2スイッチ回路S2のスイッチング周波数fsよりも低い。また、上記送電側共振機構に第1スイッチ回路S1または第2スイッチ回路S2のキャパシタCds1,Cds2を含めた第2共振周波数frbは、スイッチング周波数fsよりも高い。したがって、fra<fs≦frbという関係にある。
【0051】
スイッチング制御回路10は、第1スイッチ回路S1および第2スイッチ回路S2のうち一方のスイッチ回路の両端から、当該一方のスイッチ回路のキャパシタンスを含めずに他方のスイッチ回路を短絡して送電側共振機構を通して負荷側をみた第1インピーダンスZaが誘導性インピーダンスとなるスイッチング周波数で第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2をスイッチングし、且つ、第1スイッチ回路S1および第2スイッチ回路S2のうち一方のスイッチ回路の両端から、当該一方のスイッチ回路のキャパシタンスを含めて他方のスイッチ回路を短絡して送電側共振機構を通して負荷側をみた第2インピーダンスZbが誘導性インピーダンスとなるスイッチング周波数で第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2をスイッチングすることで、第1スイッチ回路S1および第2スイッチ回路S2の両端電圧を半周期毎の半波の正弦波状の波形とする。
【0052】
このようにして、送電コイルnpと受電コイルnsとの間に等価的に形成される相互インダクタンスMlおよび相互キャパシタンスMcで等価的な電磁界共鳴結合回路が構成されて、送電側共振機構と受電側共振機構とが共鳴する。
【0053】
図2は、
図1に示したワイヤレス給電システム101の各部の電圧電流波形図である。この例は、プッシュプルE級ワイヤレス給電システムにおいて最適ZVS動作となる基本的なスイッチング動作波形である。
【0054】
図1、
図2を参照して、スイッチング周期における各状態での動作を以下に示す。
【0055】
スイッチング素子Q1、Q2のゲート・ソース間電圧をvgs1、vgs2、ドレイン・ソース間電圧をvds1、vds2で表す。また、共振キャパシタCr、Crsに流れる共振電流をir、irsで表す。以下に示すように、共振キャパシタCrと送電コイルnpとで構成されるLC直列共振回路の両端電圧viacは正弦波に近い波形となる。
【0056】
本ワイヤレス給電システムでは、1スイッチング周期Tsにおいて次の2つの動作状態が存在する。
【0057】
(a) state1 (t1≦t<t2)
state1はスイッチング素子Q1がオン、スイッチング素子Q2がオフとなる期間である。スイッチング素子Q1がターンオンすると、第2インダクタLf2に流れていた電流Ii2はキャパシタCds2および送電コイルnpに流れ、共振キャパシタCrと送電コイルnpとで構成されるLC直列共振回路(送電側共振機構)には、正弦波状の共振電流irが流れる。スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間電圧vds2は0Vから正弦波状に立ち上がり、Q2がターンオンする直前に緩やかに立ち下がる。また、この期間では第1インダクタLf1にViから電流Ii1が流れて磁気エネルギーが蓄えられる。スイッチング素子Q1がターンオフするとstate2となる。
【0058】
(b) state2 (t2≦t<t1)
state2はスイッチング素子Q1がオフ、スイッチング素子Q2がオンとなる期間である。スイッチング素子Q2がターンオンすると、第1インダクタLf1に流れていた電流Ii1はキャパシタCds1および共振キャパシタCrに流れ、電流irは正弦波状の波形となる。スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間電圧vds1は0Vから正弦波状に立ち上がり、スイッチング素子Q1がターンオンする直前に緩やかに立ち下がる。また、この期間では第2インダクタLf2にViから電流Ii2が流れて磁気エネルギーが蓄えられる。スイッチング素子Q2がターンオフするとstate1となる。
【0059】
以降、state1 state2 を周期的に繰り返す。
【0060】
このように、スイッチング素子Q1,Q2ともにターンオンの直前でvds = 0となって、寄生ダイオードDdsが導通するのでZVS動作を実現する。また、スイッチング素子Q1,Q2のターンオンの直前(
図2中で破線の円で囲んだタイミング)でdvds/dt = 0に近づき、vds = 0となってZVS動作を達成し、ターンオフではZCS(Zero Current Switching)に近い動作を達成する。このような動作を最適ZVS動作と呼ぶ。最適ZVS動作ではスイッチング損失は最小となり、システムにおける電力効率を向上ができる。
【0061】
スイッチング制御による給電電力の制御として、幾つかの形態をとることができる。その一つは周波数制御PFM(Pulse Frequency Modulation)である。複共振回路の合成インピーダンスが周波数によって変化することを利用して、スイッチング周波数を変化させることにより、共鳴電流の振幅を変化させて給電電力を制御することができ、電子機器の要求に応じた電力を供給して適切に動作させることができる。
【0062】
また、別のスイッチング制御は、一定のスイッチング周波数で時比率を制御するPWM(Pulse Width Modulation)である。スイッチング素子の時比率を制御することにより、給電電力を制御することが可能となり、出力電力を調整することができる。また、一定のスイッチング周波数を用いることにより、利用周波数帯域を限定することができ、EMC対策も容易となる。また出力を制御する制御性も高まる。
【0063】
なお、受電装置PRU側の同期整流回路の動作周波数を制御することで、送電装置PSU側ではなく、受電装置PRU側で受電電力を調整することもできる。送電装置PSU側での動作周波数に対して、同期して同期整流回路を動作させることでより大きな電力を得ることができる。一方、送電装置PSU側での動作周波数に対して、同期をずらせて同期整流回路を動作させることで受電電力を抑制して小さな電力を扱うことができる。
【0064】
図3(A)は、
図1に示した電磁界共鳴結合回路と共振キャパシタCr、Crsで構成される等価的な電磁界共鳴結合を含めた複共振回路の回路図である。
図3(B)はその等価回路図である。ここで、相互インダクタンスLmは、送電コイルnpと受電コイルnsとの磁界共鳴結合により電力を伝送する等価的なインダクタとして示され、相互キャパシタンスCmは、送電コイルnpと受電コイルnsとの電界共鳴結合により電力を伝送する等価的なキャパシタとして示される。
【0065】
共鳴現象により、電磁界共鳴結合回路への入力電流iac in (t)は、共振電流の振幅をIacとして、近似的に次式で表すことができる。
【0066】
iac in (t) =Iac sin(ωst)
但し、ωs=2π/Ts
端子1−1’間には正弦波電流iac in(t)が与えられる。端子1−1’間には各周波数成分を含む電流が流入しようとするが、電磁界共鳴結合回路によってインピーダンスが大きくなる高次の周波数成分の電流波形はカットされ、共鳴動作を行なうことで、主にスイッチング周波数成分の共鳴電流波形のみが流れ、効率良く電力を伝送することができる。
【0067】
次に、上記共振周波数fra,frbおよびスイッチング周波数fsの設定とZVS動作との関係をシミュレーションで示す。
【0068】
図4は、
図1に示したワイヤレス給電システム101のシミュレーション回路である。また
図5は、
図4各部の電流電圧波形図である。
【0069】
共振電流irは、正弦波状となり、且つ、スイッチング素子Q1およびQ2の両端電圧vds1、vds2は半周期毎の半波の正弦波状の波形となり、ZVS動作を実現している。
【0070】
既に述べたとおり、送電共振機構の共振周波数fraは、第1および第2のスイッチ回路S1,S2のスイッチング周波数fsよりも低く、送電共振機構に第1または第2のスイッチ回路のキャパシタを含めた第2共振周波数frbは、スイッチング周波数fsよりも高く設定してfra<fs≦frbとする。具体的には、例えば、
fra=1/√(LpCr)
frb=1/2π√(LpCrCds/(Cr+Cds))
となるため、スイッチング周波数をfs =6.78MHzとすると、例えば、fra = 4MHz,frb = 7MHzなどとなるように、キャパシタCr,Cdsの値を調整する。但し、ここでは、Cds1=Cds2=Cds、としている。
【0071】
また、一方のスイッチ回路の両端から、当該一方のスイッチ回路のキャパシタンスを含めずに他方の前記スイッチ回路を短絡して共振機構を通して負荷側をみた第1インピーダンスZa、および、一方のスイッチ回路の両端から、当該一方のスイッチ回路のキャパシタンスを含めずに他方の前記スイッチ回路を短絡して共振機構を通して負荷側をみた第2インピーダンスZbは誘導性インピーダンスとなるように調整する。これらにより、スイッチング素子Q1およびQ2の両端電圧vds1、vds2は半周期毎の半波の正弦波状の波形となりZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作を実現する。
【0072】
図6(A)は上記第1インピーダンスZaを示す等価回路図であり、
図6(B)は上記第2インピーダンスZbを示す等価回路図である。ここで、kは送電コイルnpと受電コイルnsとの結合係数、Riは送電側共振機構の抵抗成分、Risは受電側共振機構の抵抗成分である。Racは交流負荷抵抗である。
【0073】
ここで、スイッチング周波数をfs =6.78MHzとし、
(A)fra = 4MHz、frb = 9.5MHz、Cds1=1.14nF、Cds2=1.14nF、Cr=5.2nF
(B)fra = 4MHz、frb = 6.78MHz、Cds1=2.84nF、Cds2=2.84nF、Cr=5.2nF
(C)fra = 6.78MHz、frb = 8.7MHz、Cds1=2.84nF、Cds2=2.84nF、Cr=1.835nF
の各条件について、動作波形を
図7(A)(B)(C)に示す。
図7(A)は上記条件(A)での波形、
図7(B)は上記条件(B)での波形、
図7(C)は上記条件(C)での波形である。
【0074】
条件(A)(B)(C)のうち、条件(C)は本発明の条件を満たさない。条件(C)では、スイッチング素子Q1およびQ2の両端電圧vds1、vds2は半周期毎の半波の正弦波状の波形とならず、ZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作を実現しない。条件(A)(B)に比べて条件(C)が共振電流irの振幅が最も大きく、電磁界共鳴が大きく起こっている。しかしZVS動作を実現していないため、スイッチング素子の発熱は大きく、システムの電力効率や信頼性は大きく低下する。
【0075】
一方、上記条件(A)(B)は本発明の条件fra<fs≦frbを満たす。
図7(A)、
図7(B)から明らかなように、スイッチング素子Q1およびQ2の両端電圧vds1、vds2は半周期毎の半波の正弦波状の波形となり、ZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作を実現する。
【0076】
因みに、本実施形態のように、2石式のプッシュプル構成では、2つのスイッチング素子Q1,Q2のうち常に一方はオフ状態であるので、等価回路は常に
図6(B)に示す状態の等価回路と同等である。この状態での第2共振周波数frb付近のスイッチング周波数でスイッチング動作をすると、ZVS動作を達成しながら共鳴を起こすことができ、より最適に近いZVS動作を達成できる。これらにより高いエネルギー変換効率および高い電力変換効率を得ることが可能となる。すなわち、
図7(B)の動作に相当する。
【0077】
共振現象の原理においては、共振周波数とスイッチング周波数が近いほど給電電力を大きくすることができる。具体的には、2石式のプッシュプル構成では、|fra-fs|の大きさで給電電力を制御できる。|frb-fs|が小さいほど給電電力を大きくできる。また、本発明の条件fra<fs≦frbを満たす範囲において、|frb-fra|の値が小さいほど給電電力を大きくできる。
【0078】
図8(A)(B)(C)は、第2の実施形態で示す1石E級の送電装置との特性を対比する図である。
図8(A)は入力電圧対出力電力の特性、
図8(B)は入力電圧に対する電力変換効率の関係、
図8(C)は出力抵抗対出力電力の特性、をそれぞれ示す。
【0079】
図8(A)(B)では、負荷抵抗Ro =20Ωとし、入力電源Viの電圧を1Vから13Vまで変化させた。
図8(A)より、Vi = 5V、10V、13Vの場合に、本実施形態(プッシュプルE級)ではそれぞれPo = 6.18W、24.6W、40.5Wとなり、1石E級ではそれぞれPo = 1.68W、7.23W、12.8Wとなる。プッシュプル構成とすることで、Vi = 5V、10V、13Vの場合でそれぞれ1石E級の3.67倍、3.41倍、3.17倍の出力電力を得ている。実験ではVi = 5Vとし、プッシュプルE級を用いることで、1石E級の4倍に近い出力電力が得られている。また、
図8(B)より、Viが6Vよりも小さい場合では、プッシュプルE級の方が電力効率は高い。
【0080】
図8(C)では、Vi = 10Vとして、抵抗Ro を15Ωから40Ωまで変化させた。Ro = 20Ωとすると、プッシュプルE級ではviacの絶対値の平均値、出力電力はそれぞれ19.9V、Po = 24.6W、1石E級ではそれぞれ9.99V、Po = 6.21Wとなり、プッシュプルE級とした場合、viacの絶対値の平均値はほぼ2倍、出力電力はほぼ4倍となる。
【0081】
第1の実施形態によれば次のような効果を奏する。
【0082】
(1)直流電圧から電磁界共鳴を起こして空間を超えて電気を送り、且つ、第1と第2のスイッチング素子においてZVS動作を達成し、スイッチング素子における電力損失を低減できる。ワイヤレス給電システムの高効率化、小型軽量化、高信頼性を得ることができる。
【0083】
(2)2石プッシュプルE級の構成は、1石E級の構成に比べて約4倍の電力を得ることができる。
【0084】
(3)離れた場所に給電する給電システムを構成することが可能。非常にシンプルに構成でき、給電システム装置の小型軽量化を図ることができる。
【0085】
(4)送電と受電の共振機構の間に起こる電磁界共鳴現象により、電磁誘導方式による給電よりも高い電力効率、長い距離の給電が可能となる。
【0086】
(5)送電コイルと受電コイルとの間で形成される磁界共鳴結合だけでなく電界共鳴結合をも利用して給電を行うことで、磁界共鳴結合だけの場合より電力効率高く電力を供給することができる。
【0087】
(6)送電コイルと受電コイルのインダクタンス成分のうち、結合に関与しない漏れインダクタンスを送電側共振機構もしくは受電側共振機構を構成するインダクタとして用いることができる。共振インダクタの部品が不要になり、給電システム装置を小型軽量化できる。
【0088】
(7)送電コイルnpと受電コイルnsは、それぞれ電界共鳴によりキャパシタを形成し、共振キャパシタとして利用することができる。キャパシタの部品が不要になり小型軽量化できる。
【0089】
(8)出力を検出して、送電側に帰還回路を用いて情報を伝達し、送電側交流電圧発生回路を制御して給電電力を調整することができ、適切に電子機器を動作させることができる。
【0090】
(9)送電コイルと受電コイルを空芯とすることでコイルの鉄損がなくなり、高い周波数でも効率よくワイヤレスで電力送電を行うことができる。
【0091】
《第2の実施形態》
図9は第2の実施形態のワイヤレス給電システム102の回路図である。
【0092】
ワイヤレス給電システム101は電力送電装置PSUと電力受電装置PRUとで構成されている。第1の実施形態では、送電装置PSUを2石E級プッシュプル形式としたが、この第2の実施形態の送電装置PSUは1石E級のスイッチング電源形式としている。
【0093】
送電装置PSUは、送電コイルnpと送電側共振キャパシタCrとで構成される送電側共振機構と、この送電側共振機構の一方に電気的に接続された第1送電側交流
電圧発生回路と
、スイッチング制御回路10と、を備える。
【0094】
第1送電側交流
電圧発生回路は、等価的にスイッチング素子Q1、ダイオードDds1およびキャパシタCds1の並列接続回路で構成される第1スイッチ回路S1と、入力直流電圧から、送電側共振機構に流す交流電流に比較して相対的に直流電流とみなせる電流源を生成するインダクタンスをもつ第1インダクタLf1とを備える。
【0095】
図10は、
図9に示したワイヤレス給電システム102のシミュレーション回路である。また
図11は、
図10各部の電流電圧波形図である。
【0096】
共振電流irは、正弦波状となり、且つ、スイッチング素子Q1の両端電圧vds1は半周期毎の半波の正弦波状の波形となり、ZVS動作を実現している。
【0097】
既に述べたとおり、送電共振機構の第1共振周波数fraは、第1スイッチ回路S1のスイッチング周波数fsよりも低く、送電共振機構に第1スイッチ回路S1のキャパシタを含めた第2共振周波数frbは、スイッチング周波数fsよりも高く設定してfra<fs≦frbとする。具体的には、例えば、
fra=1/√(LpCr)
frb=1/2π√(LpCrCds1/(Cr+Cds1))
となるため、スイッチング周波数をfs =6.78MHzとすると、例えば、fra = 4MHz,frb = 10MHzなどとなるように、キャパシタCr,Cds1の値を調整する。
【0098】
また、第1スイッチ回路S1の両端から、第1スイッチ回路S1のキャパシタンスを含めずに送電側共振機構を通して負荷側をみた第1インピーダンスZa、および、第1スイッチ回路S1の両端から、第1スイッチ回路S1のキャパシタを含めずに送電側共振機構を通して負荷側をみた第2インピーダンスZbは誘導性インピーダンスとなるように調整する。これらにより、スイッチング素子Q1およびQ2の両端電圧vds1、vds2は半周期毎の半波の正弦波状の波形となりZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作を実現する。
【0099】
上記インピーダンスZa,Zbを示す等価回路図は第1の実施形態で
図6に示したとおりである。
【0100】
ここで、スイッチング周波数をfs =6.78MHzとし、
(A)fra = 4MHz、frb = 9.5MHz、Cds1=1.14nF、Cr=5.2nF
(B)fra = 4MHz、frb = 6.78MHz、Cds1=2.84nF、Cr=5.2nF
(C)fra = 6.78MHz、frb = 8.7MHz、Cds1=2.84nF、Cr=1.835nF
の各場合について、動作波形を
図11に示す。
【0101】
条件(A)、(B)、(C)のうち、条件(C)は本発明の条件を満たさない。条件(C)では、スイッチング素子Q1の両端電圧vds1は半周期毎の半波の正弦波状の波形とならず、ZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作を実現しない。条件(A)、(B)に比べて条件(C)が共振電流irの振幅が最も大きく、電磁界共鳴が大きく起こっている。しかしZVS動作を実現していないため、スイッチング素子の発熱は大きく、システムの電力効率や信頼性は大きく低下する。
【0102】
一方、上記条件(A)、(B)は本発明の条件fra<fs≦frbを満たす。
図11から明らかなように、上記条件(A)は、スイッチング素子Q1の両端電圧vds1は半周期毎の半波の正弦波状の波形となり、ZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作を実現する。上記条件(B)は、完全なZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作を実現しているとは言い難いが、上記条件(C)に比べて、スイッチング素子におけるスイッチング損失は十分に小さく、ZVS(ゼロ電圧スイッチング)動作に準じた動作を実現している。
【0103】
《第3の実施形態》
図12は第3の実施形態に係るワイヤレス給電システムの各部の電圧電流波形図である。回路構成は第2の実施形態で示したとおりである。
【0104】
この
図12を参照して、スイッチング周期における各状態での動作を以下に示す。
【0105】
(a) state1 (t1≦t<t2)
送電装置側では、スイッチング素子Q1は導通し、流れる電流id1は0Aから流れ始めて正電流となる。送電コイルnpと共振キャパシタCr、および受電コイルnsと共振キャパシタCrsには共振電流が流れる。
【0106】
受電装置側では、共振電流が整流され、整流平滑された電流が負荷に供給され、電力が伝送される。スイッチング素子Q1がターンオフするとstate2となる。
【0107】
(b) state2 (t2≦t<t1)
スイッチング素子Q1の両端のキャパシタCds1は共振をはじめ、まずは充電されて、ピーク電圧を越えると放電する。電圧vds1は次第に0Vに漸近し、スイッチング素子Q1がターンオンするとstate2は終わる。
【0108】
以降、state1 state2 を周期的に繰り返す。
【0109】
このように、スイッチング素子Q1のターンオンの直前で電圧vdsが0Vに漸近し、ターンオンのタイミングで電流id1が0Aから流れ始める。スイッチング素子Q1がZVS動作をすることにより、スイッチング損失とスイッチングノイズを大幅に低減できる。また、スイッチ回路S1のダイオードDds1が導通しないため、導通損失も低減される。その結果、ワイヤレス給電システムの電力効率を高めることができる。
【0110】
《第4の実施形態》
図13は第4の実施形態に係るワイヤレス給電システム104の回路図である。
【0111】
ワイヤレス給電システム104は電力送電装置PSUと電力受電装置PRUとで構成されている。
【0112】
本実施形態では、送電側交流電圧発生回路と送電側共振機構との間に、インダクタ要素
Lfおよびキャパシタ要素
Cfを含む第1フィルタを備える。また、受電側共振機構と整流回路との間に、インダクタ要素Lfsおよびキャパシタ要素Cfsを含む第2フィルタを備える。その他の構成は第1の実施形態で示したものと同じである。
【0113】
第1フィルタ、第2フィルタはいずれもローパスフィルタとして作用する。これらローパスフィルタは、共振機構に流れる電流波形の高調波成分を低減するように、遮断周波数が定められている。このように、フィルタを備えることにより、共振機構に流れる電流波形の高調波成分を低減し、EMI(電磁干渉)ノイズを低減することができる。これにより、他の電子機器とのEMC(電磁両立性)を高めることができる。例えば、無線通信機器などとの混信を抑制できる。また、フィルタにより共振機構のインピーダンスを変換することができる。すなわちインピーダンス整合を図ることができる。これにより、負荷に適した電流と電圧を供給することができる。
【0114】
《第5の実施形態》
図14は第5の実施形態のワイヤレス給電システム105の回路図である。第1の実施形態で
図1に示したワイヤレス給電システムと異なるのは、受電装置PRU側の構成である。第5の実施形態では、受電コイルns1,ns2、ダイオードD3,D4、キャパシタCoによってセンタータップ整流回路が構成されている。送電装置PSUの構成は第1の実施形態で示したものと同様である。
【0115】
この第5の実施形態では、受電装置PRU側では受電コイルns1、ns2に生じる浮遊容量または単体のキャパシタにより、共振キャパシタCrsa,Crsb(
図1におけるCrsに相当するキャパシタ)を構成している。
【0116】
このワイヤレス給電システム105は2つの受電コイルns1,ns2と2つの整流ダイオードD3,D4を用いることで、受電装置側での損失を分散することができ、電力損失が少なくできる。また、ブリッジ整流と比較して整流素子の数が少ない。また、受電装置側に並列共振回路が構成されているので、直列共振回路構成とする場合に比較して電圧利得を大きくできる。
【0117】
《第6の実施形態》
図15は第6の実施形態のワイヤレス給電システム106の回路図である。第5の実施形態で
図14に示したワイヤレス給電システムと異なり、この例では、受電装置PRU側に直列共振用の共振キャパシタCrsを備えている。このように受電装置側に直列共振回路を構成することにより、並列共振回路を構成した場合に比較して電流利得を大きくできる。
【0118】
《第7の実施形態》
図16は第7の実施形態のワイヤレス給電システム107の回路図である。第1の実施形態で
図1に示したワイヤレス給電システムと異なるのは、受電装置PRU側の構成である。第7の実施形態では、受電コイルnsに、ダイオードD3,D4,D7,D8、キャパシタCoによってブリッジ整流回路が接続されている。送電装置PSUの構成は第1の実施形態で示したものと同様である。
【0119】
受電装置PRU側では受電コイルnsに生じる浮遊容量または単体のキャパシタにより共振キャパシタCrs(
図1におけるCsに相当するキャパシタ)を構成している。
【0120】
この第7の実施形態のワイヤレス給電システム107では、第6の実施形態で
図15に示した電流伝送システムに比べて整流素子の耐圧を低減することができる。また、受電装置側に並列共振回路が構成されているので、直列共振回路構成とする場合に比較して電圧利得を大きくできる。
【0121】
《第8の実施形態》
図17は第8の実施形態のワイヤレス給電システム108の回路図である。第7の実施形態で
図16に示したワイヤレス給電システムとは共振キャパシタCrsの位置が異なる。このため、このキャパシタCrsによって所定の共振周波数で電磁界共鳴動作をさせることができる。
【0122】
この第8の実施形態のワイヤレス給電システム108では、このように受電装置側に直列共振回路を構成することにより、並列共振回路を構成した場合に比較して電流利得を大きくすることができる。
【0123】
《第9の実施形態》
図18は第9の実施形態のワイヤレス給電システム109の回路図である。この例では受電装置PRU側に4つのスイッチング素子Qs1,Qs2,Qs3,Qs4によるブリッジ整流構成の同期整流回路が設けられている。また、送電コイルnpの両端には等価的にキャパシタCp、受電コイルnsの両端には等価的にキャパシタCsがそれぞれ構成される。
【0124】
この第9の実施形態によれば、第1〜第8の実施形態に比べて、受電装置PRU側のスイッチング素子Qs1、Qs2、Qs3、Qs4に印加される電圧がそれぞれ半分となるため、スイッチング素子での損失を低減できる。
【0125】
このワイヤレス給電システム109では、第8の実施形態で示したワイヤレス給電システムに比べて同期整流回路により整流損失を低減できる。また、ブリッジ構成により整流スイッチング素子の耐圧を低減することができる。また、スイッチング素子による整流回路であるので、双方向のワイヤレス給電が可能である。さらに、共振キャパシタCrsを用いて所定の共振周波数で電磁共鳴動作をすることが可能となる。
【0126】
《第10の実施形態》
図19は第10の実施形態のワイヤレス給電システム110の回路図である。この例では受電装置PRU側に2つのダイオードD1,D2による整流回路を設けている。
【0127】
第10の実施形態によれば、第9の実施形態に比べて受電装置PRU側の構成を簡素にできる。また、整流回路が受動回路であるので、整流回路を駆動制御する回路が不要となる。
【0128】
《第11の実施形態》
図20は第11の実施形態のワイヤレス給電システム111の回路図である。
【0129】
この例では入力電源Viの電圧を分圧するキャパシタCr1、Cr2、および出力電圧Voを分圧するキャパシタCrs1、Crs2を備えている。すなわち、第1の実施形態で示したワイヤレス給電システムにおける共振キャパシタCrをCr1、Cr2に分割し、共振キャパシタCrsをCrs1、Crs2に分割したものである。ここでは、送電コイルnpおよび受電コイルnsの漏れインダクタンスを共振インダクタLr、Lrsとして明示している。受電装置PRUには、スイッチング素子Q3,Q4による同期整流回路が設けられている。
【0130】
第11の実施形態では、共振キャパシタに流れる電流が2つのキャパシタに分割されるので、キャパシタにおける電力損失が分散され全体の損失が低減され、発熱が分散される。また、複数の共振キャパシタを用いることで任意に共振周波数を設定でき、共鳴動作が容易になる。
【0131】
なお、キャパシタCr1、Cr2およびキャパシタCrs1、Crs2は、直流電圧を保持したり、直流電流を遮断したりする作用と直列共振用キャパシタとしての作用の両方の役割を果たす。また、送電コイルnpの両端での等価的なキャパシタCp、受電コイルnsの両端での等価的なキャパシタCsも含めて表記している。
【0132】
《第12の実施形態》
図21は第12の実施形態のワイヤレス給電システム112の回路図である。この例は、電磁界共鳴結合を形成する磁路にフェライトなどの磁性体を用いた例である。
【0133】
図21に示したワイヤレス給電システム112では、磁性体を用いることで磁気結合の度合いが大きくなり、電力伝送効率を高くすることができる。また、空間に放出される電磁波(磁束と電束)をフェライトにより抑制することができる。
【0134】
《第13の実施形態》
図22は第13の実施形態のワイヤレス給電システム113の回路図である。この例は、電磁界共鳴結合を形成する磁路にフェライトなどの磁性体を用いた例である。この例でも磁性体を用いることで磁気結合の度合いが大きくなり、電力伝送効率を高くすることができる。また、空間に放出される電磁波(磁束と電束)をフェライトにより抑制することができる。
【0135】
《第14の実施形態》
図23は第14の実施形態のワイヤレス給電システム114の回路図である。この例では、送電装置PSUに二つの共振キャパシタCr1,Cr2、受電装置PRUに二つの共振キャパシタCrs1,Crs2がそれぞれ設けられている。また、受電装置PRU側に4つのスイッチング素子Qs1、Qs2、Qs3、Qs4によるブリッジ整流構成の同期整流回路が設けられている。
【0136】
このワイヤレス給電システム114では、送電装置PSUの送電コイルnpおよび受電装置PRUの受電コイルnsをそれぞれフェライトなどの磁芯を有するコイルとしている。そのため、磁性体を用いることで磁気結合の度合いが大きくなり、電力伝送効率を高めることができる。また、空間に放出される電磁波(磁束と電束)をフェライトにより抑制することができる。
【0137】
《第15の実施形態》
図24は第15の実施形態のワイヤレス給電システム115の回路図である。
【0138】
このワイヤレス給電システム115は、双方向ワイヤレス給電可能な複数の送受電装置PSU/PRU1、PSU/PRU2、PSU/PRU3、PSU/PRU4を備えたシステムである。
【0139】
第1の電力送受電装置PSU/PRU1が送電装置として作用するとき、それに対応して電磁界共鳴結合を形成する第2の送受電装置PSU/PRU2は受電装置として作用する。したがって、第1の送受電装置PSU/PRU1から第2の送受電装置PSU/PRU2へ電力が伝送される。ここで、第2の送受電装置PSU/PRU2の負荷Roには充電電池およびその充電回路を備える。
【0140】
第3の送受電装置PSU/PRU3は第2の送受電装置PSU/PRU2に対応していて、第2の送受電装置PSU/PRU2が送電装置として作用するとき、第3の送受電装置PSU/PRU3は受電装置として作用する。このとき、第2の送受電装置PSU/PRU2は前記充電電池が電源として用いられる。そして第3の送受電装置PSU/PRU3の負荷Ro2は充電電池およびその充電回路を備える。
【0141】
第4の送受電装置PSU/PRU4は第3の送受電装置PSU/PRU3に対応していて、第3の送受電装置PSU/PRU3が送電装置として作用するとき、第4の送受電装置PSU/PRU4は受電装置として作用する。このとき、第3の送受電装置PSU/PRU3は前記充電電池が電源として用いられる。そして第4の送受電装置PSU/PRU4の負荷Ro3は充電電池およびその充電回路である。
【0142】
このようにして、複数の電力送受電装置を備えることにより、途中の電力送受電装置が電力を中継して遠方まで電力を伝送することが可能となる。
【0143】
なお、複数の受電装置側の共振回路の共振周波数を異ならせておき、送電装置側は、送電先に応じたスイッチング周波数でスイッチング動作するように構成すれば、複数の受電装置に対して所定の受電装置に選択的に電力を伝送できる。
【0144】
また、電力送受電装置の電力伝送方向に応じてスイッチング周波数を切り替えることにより、スイッチング周波数ごとに目的にあった方向(場所)への電力伝送が可能となる。すなわち、スイッチング周波数を切り替えるなどの制御を行うことにより、適切な電子機器を選択したり、適切な方向や場所へ電力を送電することができる。
【0145】
《第16の実施形態》
図25は第16の実施形態のワイヤレス給電システム116の回路図である。この例では、送電コイルnpと受電コイルns4との間に複数の共振器を設置している。
図25において、受電コイル(インダクタ)ns1およびキャパシタCs1で第1の中継用LC共振回路が構成されていて、受電コイル(インダクタ)ns2およびキャパシタCs2で第2の中継用LC共振回路が構成されていて、受電コイル(インダクタ)ns3およびキャパシタCs3で第3の中継用LC共振回路が構成されている。
【0146】
このように複数の共振器を設置することで、複数の共振器を含めて電磁界共鳴結合を形成し、共振器を所定の間隔で設置することにより、より離れた場所への電力供給が可能となる。また、高い電力伝送効率で離れた距離の給電が可能となる。
【0147】
《第17の実施形態》
第17の実施形態のワイヤレス給電システム117では送電装置PSUと受電装置PRUに対称性をもたせている。また、送電装置PSUと受電装置PRUとの間で通信機能を備えている。
【0148】
図26は第17の実施形態のワイヤレス給電システム117の回路図である。
【0149】
スイッチング制御回路20は、出力情報(負荷Roへ出力される電圧、電流、または電力等)を検出し、受電側通信回路50を介して送電装置PSU側へフィードバック情報を伝達する。送電側通信回路40は、信号伝達手段30を介して受電側通信回路50から受信した出力情報に基づいて送電側交流電圧発生回路(スイッチ回路S1,S2)を制御して給電電力を制御する。スイッチング制御回路20、受電側通信回路50、信号伝達手段30等は、受電装置PRUが受電した電力によって(出力電圧Voで)動作する。
【0150】
上記受電側通信回路50は本発明に係る「出力情報送信回路」の例である。また、送電側通信回路40は本発明に係る「出力情報受信回路」の例である。
【0151】
このように受電装置からフィードバックされた情報に基づいて給電電力を制御することで、負荷に適した電圧、電流を供給することができる。
【0152】
なお、送電側通信回路40は、スイッチング素子Q1,Q2に対する制御タイミング信号を受電側通信回路50へ伝達する。スイッチング制御回路20は、このタイミング信号に同期してスイッチング素子Q3,Q4をスイッチングすることにより同期整流制御を行う。
【0153】
上記信号伝達手段30は、例えば無線通信回路を用いて出力情報を送電装置側に伝達する。また、上記信号伝達手段30は、出力信号を光信号に変換して伝達し、光信号を電気信号(受信信号)に変換する。これらの構成により、電気的に絶縁して送電装置側で給電電力を調整することができる。
【0154】
本実施形態のワイヤレス給電システム117は、送電装置PSUと受電装置PRUは同様構成の回路であり、対称性があるので、双方向ワイヤレス給電システム装置として用いることができる。すなわち、受電側整流回路(S3,S4)は、出力部から電力を受けて、スイッチングにより送電側交流電圧発生回路として作用し、送電側交流電圧発生回路(S1,S2)は、出力部から電力を受けてスイッチングにより受電側整流回路として作用する。
【0155】
このことにより、双方向の給電が可能となり、受電装置PRU側から送電装置PSU側へ電力を給電したり、受電装置PRU側を中継点として、受電した電力をさらに別のところへ送電したりすることもできる。また、中継システムとしても利用可能で、本装置を複数用意して中継することで、長距離の電力給電が可能となる。