(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の感光性樹脂組成物は、導電性粒子(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)及び有機スズ化合物(C)を含有し、上記導電性粒子(A)の1次粒子径が、0.7μm以下であることを特徴とする。なお、この感光性樹脂組成物における感光性はポジ型感光性でもネガ型感光性でも構わないが、ネガ型感光性であることが好ましい。
【0012】
(導電性粒子(A))
導電性粒子(A)としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)又はモリブデン(Mo)等の金属微粒子が挙げられる。中でも金、銀、銅、ニッケル、錫、ビスマス、鉛、亜鉛、パラジウム、白金、アルミニウム及び炭素からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含有する金属微粒子であることが好ましく、銀の金属微粒子であることがより好ましい。
【0013】
導電性粒子(A)の1次粒子径は、所望の導電性を有する微細な導電パターンを形成するため、0.7μm以下であることが必要である。ここで導電性粒子(A)の1次粒子径とは、走査型電子顕微鏡を用いて無作為に選択した100個の1次粒子の粒子径の平均値により算出することができる。それぞれの1次粒子の粒子径は、1次粒子における長径と短径を測定し、その平均値から算出することができる。導電性粒子(A)の1次粒子径は、10〜200nmが好ましく、10〜60nmがより好ましい。
【0014】
導電性粒子(A)は、炭素単体物及び/又は炭素化合物で表面被覆された粒子であることが好ましい。炭素単体物及び/又は炭素化合物からなる、導電性粒子(A)の表面を被覆する層(以下、「表面被覆層」)が存在することにより、低温での導電性粒子(A)同士の融着を抑制することができる。
【0015】
粒子表面を炭素単体物及び/又は炭素化合物で被覆する方法としては、例えば、熱プラズマ法により導電性粒子(A)を作製する際に、反応性ガスと接触させる方法(特開2007−138287号公報)が挙げられる。導電性粒子(A)の表面は、完全に被覆されていることが好ましいが、本目的が達成される限りにおいては、一部に被覆が不完全な粒子が存在することは許容される。
【0016】
表面被覆層の平均厚みは、0.1〜10nmが好ましい。この範囲であれば、導電性微細粒子同士の融着を抑制することで、微細パターン加工性を向上させ、かつ300℃以下の温度で熱処理することにより所望の導電性を発現することができる。
【0017】
表面被覆層の平均厚みは、炭素単体物及び/又は炭素化合物で表面被覆された導電性粒子(A)の熱天秤による質量減少を測定し、その値がすべて炭素の燃焼によるものと仮定し、粒子径から表面被覆層の平均厚みを炭素の密度を2.0として算出することができる。粒子径(Dp)が分かっている導電性粒子(A)に炭素を平均厚みA(μm)で被覆したとする。炭素被覆した粒子の個数をnとする。熱天秤測定で最初に秤取した質量をW
1(g)、完全に炭素を飛ばした質量をW
2(g)、導電性粒子(A)の密度をρとすると、以下の式からDpとW
2とが分かればnを算出することができる。
W
2=π/6×Dp
3ρ×n
そして、以下の式から表面被覆層の平均厚みAを算出することができる。
W
1−W
2={4/3×π(Dp/2+A)
3−π/6×Dp
3}×2.0×n
感光性樹脂組成物中の導電性粒子(A)の含有量としては、65〜95質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましく、70〜90質量%であることがさらに好ましい。その範囲内で含有することで、パターン加工性と導電性の発現とを両立させることができる。ここで全固形分とは、感光性樹脂組成物が含有する成分の内、溶剤を除く全成分をいう。
【0018】
全固形分に占める導電性粒子(A)の割合は、感光性樹脂組成物の全成分を定量分析することにより算出することができる。なお、後述する各成分の割合も同様の方法で算出することができる。
【0019】
感光性樹脂組成物の全成分分析方法は以下のとおりである。
(i) 感光性樹脂組成物を有機溶媒で希釈し、
1H−NMR測定、GC測定及びGC/MS測定をしてその概要を調べる。
(ii) 感光性樹脂組成物を有機溶媒抽出した後に遠心分離を行い、可溶分と不溶分とを分離する。
(iii) 上記不溶分について、高極性有機溶媒で抽出した後に遠心分離を行い、可溶分と不溶分とをさらに分離する。
(iv) 上記(ii)及び(iii)で得られた可溶分の混合液について、IR測定、
1H−NMR測定及びGC/MS測定を行う。さらに、上記混合液をGPC分取する。得られた分取物についてIR測定及び
1H−NMR測定を行う。また、該分取物については、必要に応じてGC測定、GC/MS測定、熱分解GC/MS測定及びMALDI/MS測定を行う。
(v) 上記(iii)で得られた不溶分についてIR測定又はTOF−SIMS測定を行う。有機物が存在することが確認された場合には、熱分解GC/MS又はTPD/MS測定を行う。
(vi) 上記(i)、(iv)及び(v)の測定結果を総合的に判断することで、感光性樹脂組成物が含有する各成分の含有率を求めることができる。なお、上記(iii)で用いる高極性有機溶媒としては、クロロホルム又はメタノール等が好ましい。
【0020】
(アルカリ可溶性樹脂)
アルカリ可溶性樹脂(B)は、一般的に、カルボキシル基を含有する化合物と他モノマとを共重合させることにより得られる。アルカリ可溶性樹脂(B)は、(メタ)アクリル系共重合体であることが好ましい。ここで(メタ)アクリル系共重合体とは、共重合成分に少なくとも(メタ)アクリル系モノマを含む共重合体をいう。ここで(メタ)アクリル系モノマとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフロロペンチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、チオフェノール(メタ)アクリレート又はベンジルメルカプタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0021】
(メタ)アクリル系モノマ以外の共重合成分としては、炭素−炭素二重結合を有する化合物が使用可能である。そのような化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン若しくはα−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド若しくはN−ビニルピロリドン等のアミド系不飽和化合物、(メタ)アクリロニトリル、アリルアルコール、酢酸ビニル、シクロヘキシルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル又は4−ヒドロキシブチルビニルエーテルが挙げられる。
【0022】
アルカリ可溶性樹脂(B)にアルカリ可溶性を付与する共重合成分である、カルボキシル基を含有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸若しくはフマル酸又はこれらの酸無水物が挙げられる。
【0023】
(メタ)アクリル系共重合体を用いる場合、感光性樹脂組成物の露光による硬化反応の速度を大きくするためには、側鎖又は分子末端に炭素−炭素二重結合を有する(メタ)アクリル系共重合体とすることが好ましい。炭素−炭素二重結合を有する官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基又は(メタ)アクリル基が挙げられる。このような官能基を(メタ)アクリル系共重合体に付加させるには、(メタ)アクリル系共重合体中のメルカプト基、アミノ基、水酸基又はカルボキシル基に対して、グリシジル基若しくはイソシアネート基と、炭素−炭素二重結合とを有する化合物又は(メタ)アクリル酸クロライド若しくはアリルクロライドを付加反応させる方法がある。
【0024】
グリシジル基と炭素−炭素二重結合とを有する化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル又はグリシジルエチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート又はグリシジルイソクロトネートが挙げられる。イソシアネート基と炭素−炭素二重結合とを有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート又は(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが挙げられる。
【0025】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、酸解離性基を有するアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。酸解離性基を有するアルカリ可溶性樹脂は、一般的に、カルボキシル基を含有する化合物と酸解離性基を有する化合物とを共重合することにより得られる。より具体的な例としては、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸化合物と、酸解離性基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの共重合が挙げられる。
【0026】
酸解離性基が脱離後分解や気化するためには、酸解離性基が炭素数4〜15の有機基であることが好ましく、6〜15の有機基であることがより好ましい。酸解離性基の炭素数が4未満であると、脱離後、低温で気化するため、膜中に大きな気泡が発生して導電性粒子(A)同士の接触を妨げ、導電性が悪化する場合がある。一方で、酸解離性基の炭素数が15を超えると、脱離後、解離性基が膜中に残存して導電性粒子(A)同士の接触を妨げ、やはり導電性が悪化する場合がある。なお、酸解離性基の酸解離性基が炭素数6〜15の有機基である場合には、膜中に気泡が発生してもポストベークによって消失させることが容易であり、導電性が良好な導電性パターンを形成可能である。
【0027】
酸解離性基としては、例えば、tert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジル基、メチルアダマンチル基又はテトラヒドロピラニル基が挙げられる。
【0028】
酸解離性基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸1−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル又は(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニルが挙げられる。
【0029】
本発明の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂(B)の含有量は、感光性発現を考慮した場合、全固形分に対し5〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
【0030】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、酸解離性基を有する化合物を20〜80モル%ラジカル共重合したアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。特に、酸解離性基を有する(メタ)アクリル酸エステルをアルカリ可溶性樹脂中にモノマ成分として20〜80モル%含有することが好ましい。このような酸解離性基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることで、空気下、100〜300℃で、酸解離性基が容易に熱酸化分解及び脱離し、膜が大きく収縮して、全固形分中の導電性粒子(A)濃度を容易に上昇させることができる。そしてその結果として、比抵抗10〜1,000μΩ・cmの所望の導電性を得ることが容易となる。この場合、後述する光酸発生剤及び/又は熱酸発生剤を併用すると、その効果はさらに顕著となる。
【0031】
アルカリ可溶性樹脂(B)のカルボン酸当量は、200〜1,400g/molが好ましく、400〜1,000g/molがより好ましい。アクリル樹脂のカルボン酸当量は、酸価を測定することで算出することができる。また、アルカリ可溶性樹脂(B)の二重結合当量は、硬度と耐クラック性とを高いレベルで両立できるため、150〜10,000g/molであることが好ましい。アクリル樹脂の二重結合当量は、ヨウ素価を測定することで算出することができる。
【0032】
アルカリ可溶性樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で、1,000〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)を上記範囲とすることで、良好な塗布特性が得られ、パターン形成する際の現像液への溶解性も良好となる。
【0033】
(有機スズ化合物)
有機スズ化合物(C)とは、スズの有機酸塩又はスズ原子に少なくとも1つの炭素原子が結合している化合物をいう。有機スズ化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸スズ若しくはジラウリン酸スズ等の有機酸塩、又は、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸2−エチルヘキシル)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチル)、二酢酸ジオクチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、マレイン酸ジオクチルスズ、二酢酸ジメチルスズ、ジラウリン酸ジメチルスズ、マレイン酸ジメチルスズ、二酢酸ジフェニルスズ、ジラウリン酸ジフェニルスズ、マレイン酸ジフェニルスズ、ジクロロジブチルスズ、ジクロロジプロピルスズ、ジクロロジエチルスズ、ジクロロジメチルスズ、トリクロロブチルスズ、トリクロロメチルスズ、ジクロロジフェニルスズ、ジブチルスズオキシド、ジメチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、テトラブチルスズ、テトラメチルスズ、テトラフェニルスズ、アレニルトリブチルスズ、アリルトリブチルスズ、アリルトリフェニルスズ若しくはジエチルスズ等のスズ原子に少なくとも1つの炭素原子が結合している化合物が挙げられる。感光性樹脂組成物が有機スズ化合物(C)を含有することにより、基板上の残渣抑制の効果が顕著なものとなる。
【0034】
有機スズ化合物(C)は、一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0036】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、有機基を表し、X
1及びX
2はそれぞれ独立して、1価の陰イオンを表す。X
1及びX
2は互いに連結していても構わない。)
R
1及びR
2における有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基又はアリール基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基又はオクチル基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基又はナフチル基が挙げられる。
【0037】
X
1及びX
2における1価の陰イオンとしては、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン又はカルボン酸イオンが挙げられる。
【0038】
一般式(1)で表される具体的な化合物としては、例えば、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸2−エチルヘキシル)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチル)、二酢酸ジオクチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、マレイン酸ジオクチルスズ、二酢酸ジメチルスズ、ジラウリン酸ジメチルスズ、マレイン酸ジメチルスズ、二酢酸ジフェニルスズ、ジラウリン酸ジフェニルスズ、マレイン酸ジフェニルスズ、ジクロロジブチルスズ、ジクロロジプロピルスズ、ジクロロジエチルスズ、ジクロロジメチルスズ又はジクロロジフェニルスズが挙げられる。中でも、二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸2−エチルヘキシル)、ジブチルスズビス(メルカプト酢酸イソオクチル)、二酢酸ジオクチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、マレイン酸ジオクチルスズ、二酢酸ジメチルスズ、ジラウリン酸ジメチルスズ、マレイン酸ジメチルスズ、二酢酸ジフェニルスズ、ジラウリン酸ジフェニルスズ、マレイン酸ジフェニルスズが好ましい。
【0039】
全固形分に占める有機スズ化合物(C)の割合は、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることがさらに好ましい。有機スズ化合物(C)含有量が0.01質量%以上であると、基板上の残渣抑制の効果がさらに顕著なものとなる。一方で、有機スズ化合物(C)含有量が10質量%以下であると、導電性が高く、かつ微細なパターンを形成することができる。
【0040】
(分散剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、分散剤を含有しても構わない。分散剤を含有することで、感光性樹脂組成物中に導電性粒子(A)を安定的に存在させることができる。
【0041】
分散剤としては、アミン系のものが好ましい。市販のアミン系の分散剤としては、例えば、DISPERBYK(登録商標)106、108、112、116、142、145、166、180、2001、2008、2022、2150、6919若しくは21116(以上、いずれもビックケミー・ジャパン製)又はEfka(登録商標)4300、4400、4401、4403、4406、4510、4570、4800、5054、5055若しくは5207(以上、いずれもBASF製)が挙げられる。
【0042】
さら分散性を向上させるため、分散剤は、アクリル系ブロック共重合体構造を有することが好ましい。アクリル系ブロック共重合体構造を有する市販のアミン系の分散剤としては、例えば、DISPERBYK(登録商標)2001、2008、2022、2150、6919若しくは21116又はEfka(登録商標)4300が挙げられる。
【0043】
感光性樹脂組成物中の分散剤の含有量としては、導電性粒子(A)の分散が良好で、より微細なパターン加工が可能で、導電性粒子(A)の接触及び融着が進み、より高い導電性を得るため、導電性粒子(A)と後述する他の粒子との合計100質量部に対し、1〜7質量部が好ましい。
【0044】
(光重合開始剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有しても構わない。光重合開始剤を含有することで、感光性樹脂組成物にネガ型感光性を付与することができる。
【0045】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、α−アミノアルキルフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、有機過酸化物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物、トリアジン系化合物、アシルホスフィンオキシド化合物、キノン化合物又はオキシムエステル系化合物が挙げられるが、少量の添加であっても感度の高い、オキシムエステル系化合物が好ましく、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系化合物がより好ましい。カルバゾール骨格を有さないオキシムエステル系化合物としては、例えば、イルガキュア(登録商標)OXE01(BASF社製)が挙げられ、カルバゾール骨格を有するオキシムエステル系化合物としては、例えば、イルガキュア(登録商標)OXE02(BASF社製)、アデカオプトマー(登録商標)N1919(株式会社ADEKA製)又はアデカアークルズ(登録商標)NCI−831(株式会社ADEKA製)が挙げられる。
【0046】
(溶剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤を含有しても構わない。
【0047】
溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、2−ヘプタノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、t−ブタノール、ダイアセトンアルコール、α−テルピネオール、2−ヒドロキシイソイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソイソ酪酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、マロン酸ジエチル、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、酢酸イソブチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、アセチルアセトン、トリアセチン又は2−ヘプタノンが挙げられる。
【0048】
(他の粒子)
本発明の感光性樹脂組成物は、分散性向上や、導電性コントロールのため、(A)導電微粒子以外の他の粒子を含有しても構わない。他の粒子としては、例えば、表面被覆されていない金属微粒子若しくは金属酸化物微粒子、有機顔料又は無機顔料が挙げられる。
【0049】
これら他の粒子の粒子径は、10〜100nmが好ましい。粒子径が10nm未満であると、分散安定化のための分散剤使用が多くなり、所望の導電性を得ることが難しくなる場合がある。一方で、粒子径が100nmを超えると、パターンの解像度が低下し、5μm以下の超微細パターン形成が難しくなる場合がある。
【0050】
これらその他の粒子としては、導電性コントロールに資する、カーボンブラックが好ましい。
【0051】
カーボンブラックとしては、例えば、MA77、7、8、11、100、100R、100S、230、220若しくは14(以上、いずれも三菱化学株式会社製)、#52、47、45、45L、44、40、33、32、30、25、20、10、5、95、85若しくは260(以上、いずれも三菱化学株式会社製)、Special Black100、250、350若しくは550(以上、いずれもエボニックデグサ社製)又はPrintex95、90、55、45、40、P、60、L6、L、300、30、ES23、9、ES22、35、25,200、A若しくはG(以上、いずれもエボニックデグサ社製)を挙げることができる。中でもpH値が4以下である、MA77、7、8、11、100、100R、100S、230、220若しくは14又はSpecial Black100、250、350若しくは550が好ましい。なお、カーボンブラックのpH値は、JIS K5101に準拠して測定することができる。
【0052】
(光酸発生剤及び熱酸発生剤)
本発明の感光性樹脂組成物は、光酸発生剤及び/又は熱酸発生剤を含有しても構わない。アルカリ可溶性樹脂(B)が酸解離性基を有するアルカリ可溶性樹脂である場合、発生した酸によって、酸解離性基の分解が促進され、空気下での熱処理温度を低下させることが可能となる。
【0053】
熱により酸を発生する化合物である熱酸発生剤としては、例えば、SI−60、SI−80、SI−100、SI−110、SI−145、SI−150、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−145L、SI−150L、SI−160L、SI−180L若しくはSI−200(以上、いずれも三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−アセチルフェニルメチルスルホニウム若しくは2−メチルベンジル−4−ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウム又はこれらのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩若しくはp−トルエンスルホン酸塩が挙げられる。中でも4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−アセチルフェニルメチルスルホニウム若しくは2−メチルベンジル−4−ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウム又はこれらのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩若しくはp−トルエンスルホン酸塩が好ましく使用できる。
【0054】
感光性樹脂組成物中の熱酸発生剤の含有量としては、酸解離性基含を有するアルカリ可溶性樹脂中の酸解離性基の分解を促進し、導電性粒子(A)同士の接触を妨げず、より高い導電性を得るため、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましい。
【0055】
光により酸を発生する化合物である光酸発生剤から発生する酸は、酸解離性基の分解を促進するため、パーフルオロアルキルスルホン酸又はp−トルエンスルホン酸等の強酸が好ましい。
【0056】
光酸発生剤としては、例えば、SI−101、SI−105、SI−106、SI−109、PI−105、PI−106、PI−109、NAI−100、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI−01、PAI−101、PAI−106若しくはPAI−1001(以上、いずれもみどり化学(株)製)、SP−077若しくはSP−082(以上、いずれも(株)ADEKA製)、TPS−PFBS(東洋合成工業(株)製)、CGI−MDT若しくはCGI−NIT(以上、いずれもチバジャパン(株)製)又はWPAG−281、WPAG−336、WPAG−339、WPAG−342、WPAG−344、WPAG−350、WPAG−370、WPAG−372、WPAG−449、WPAG−469、WPAG−505若しくはWPAG−506(以上、いずれも和光純薬工業(株)製)が挙げられる。
【0057】
感光性樹脂組成物中の光酸発生剤の含有量としては、酸解離性基を有するアルカリ可溶性樹脂中の酸解離性基の分解を促進し、導電性粒子(A)同士の接触を妨げず、より高い導電性を得るため、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましい。
【0058】
また、酸解離性基の分解をより促進するために、熱酸発生剤と光酸発生剤とを併用しても構わない。
【0059】
(増感剤)
本発明の感光性樹脂組成物が光酸発生剤を含有する場合、感光性樹脂組成物はさらに増感剤を含有しても構わない。増感剤は、熱処理により気化するもの、又は、硬化膜に残存した場合においても、光照射によって退色するものが好ましく、パターン加工における高解像性の観点から、光照射によって退色するものがより好ましい。
【0060】
熱処理により気化する、又は、光照射によって退色する増感剤としては、例えば、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)等のクマリン、9,10−アントラキノン等のアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン若しくはベンズアルデヒド等の芳香族ケトン又はビフェニル、1,4−ジメチルナフタレン、9−フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9−メトキシアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(4−メトキシフェニル)アントラセン、9,10−ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン(DPA;川崎化成(株)製)、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA;川崎化成(株)製)、9,10−ジペンタオキシアントラセン、2−t−ブチル−9,10−ジブトキシアントラセン若しくは9,10−ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセン等の縮合芳香族が挙げられる。
【0061】
熱処理により気化する増感剤としては、熱処理により昇華、蒸発又は熱分解による熱分解物が昇華若しくは蒸発するものが好ましい。増感剤の気化温度としては、プリベーク温度では気化せず、熱硬化時に分解及び気化して導電性粒子(A)を接触及び融着させるため、150〜300℃が好ましい。
【0062】
また、増感剤は高感度及び高解像度を達成できるという点、並びに、光照射によって二量化して退色するという点から、アントラセン系化合物が好ましく、熱に安定である、9,10−二置換アントラセン系化合物であることが好ましく、増感剤の溶解性の向上と光二量化反応の反応性の観点から、一般式(2)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン系化合物であることがさらに好ましい。
【0064】
(R
3〜R
10はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エチニル基、アリール基若しくはアシル基又はそれらが置換された有機基を表し、R
11及びR
12はそれぞれ独立して、炭素数1〜20のアルコキシ基又はその他の有機基で置換されたアルコキシ基を表す。)
R
3〜R
10におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基又はn−プロピル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペンチルオキシ基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アクリロキシプロピル基又はメタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基又はナフチル基が挙げられる。アシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。なお、化合物の気化性及び光二量化の反応性の観点から、R
3〜R
10は水素又は炭素数は1〜6の有機基であることが好ましく、R
3、R
6、R
7及びR
10は水素であることがより好ましい。
【0065】
R
11及びR
12においてアルコキシ基を置換する置換基としては、例えば、アルコキシ基又はアシル基が挙げられる。この場合のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、メトキシエトキシ基、1−メトキシ−2−プロポキシ基又は1−アセチル−2−プロポキシ基が挙げられるが、化合物の溶解性及び光二量化による退色反応の観点から、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
【0066】
感光性樹脂組成物中の増感剤含有量としては、光酸発生剤を感光するための増感効果が十分となり、導電性粒子(A)同士の接触を妨げず、より高い導電性を得るため、アルカリ可溶性樹脂(B)100質量部に対し、0.001〜20質量部が好ましく、0.005〜15質量部がより好ましい。
【0067】
(可視光に吸収を有する顔料及び/又は染料)
本発明の感光性樹脂組成物は、可視光に吸収を有する顔料及び/又は染料を、導電性粒子(A)同士の接触及び融着を阻害しない範囲で含有しても構わない。感光性樹脂組成物が可視光に吸収を有する顔料及び/又は染料を含有することより、ポストベーク後の導電性パターンの可視光反射を抑制できる。
【0068】
可視光に吸収を有する顔料としては、例えば、ラクタム系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、ジアミノアントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インダントロン系顔料、カーボンブラック又は無機顔料が挙げられる。
【0069】
青色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下、「PB」)15、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:5、PB15:6、PB16又はPB60が挙げられる。紫色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット(以下、「PV」)19、PV23又はPV37が挙げられる。赤色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下、「PR」)149、PR166、PR177、PR179、PR209又はPR254が挙げられる。緑色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン(以下、「PG」)7、PG36又はPG58が挙げられる。黄色の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(以下、「PY」)150、PY138、PY139又はPY185が挙げられる。黒色の顔料としては、例えば、HCF、MCF、LFF、RCF、SAF、ISAF、HAF、XCF、FEF、GPF若しくはSRF等のファーネスブラック、FT若しくはMT等のサーマルブラック、チャンネルブラック又はアセチレンブラック等のカーボンブラックあるいはラクタム系顔料(例えば、“Irgaphor”(登録商標)ブラックS0100CF;BASF社製)が挙げられる。中でも、耐熱性、耐光性及び可視光の吸収性に優れるカーボンブラックが好ましく、導電性及び分散性の観点から、ファーネスブラック又はラクタム系顔料がより好ましい。
【0070】
カーボンブラックとしては、例えば、MA77、7、8、11、100、100R、100S、230、220若しくは14(以上、いずれも三菱化学株式会社製)、#52、47、45、45L、44、40、33、32、30、25、20、10、5、95、85若しくは260(以上、いずれも三菱化学株式会社製)、Special Black100、250、350若しくは550(以上、いずれもエボニックデグサ社製)、又は、Printex95、90、55、45、40、P、60、L6、L、300、30、ES23、9、ES22、35、25,200、A若しくはGが挙げられる。中でもpH値が4以下である、MA77、7、8、11、100、100R、100S、230、220若しくは14、又は、Special Black100、250、350若しくは550が好ましい。カーボンブラックのpH値は、JIS K5101に準拠して測定することができる。
【0071】
感光性樹脂組成物中の可視光に吸収を有する顔料の添加量としては、組成物中の全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましい。
【0072】
可視光に吸収を有する染料としては、例えば、フェロセン系染料、フルオレノン系染料、ペリレン系染料、トリフェニルメタン系染料、クマリン系染料、ジフェニルアミン系染料、キナクリドン系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料又はキサンテン系染料が挙げられるが、耐熱性、耐光性及び可視光の吸収性に優れる黒色染料が好ましく、VALIFAST(登録商標) Black 1888、VALIFAST(登録商標) Black 3830、NUBIAN(登録商標) Black PA−2802又はOIL Black 860が好ましい。
【0073】
感光性樹脂組成物中の可視光に吸収を有する染料の添加量としては、組成物中の全固形分に対し、0.1〜10質量%が好ましい。
【0074】
(その他の成分)
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性能を調整し、パターン加工性を向上する観点から、アクリルモノマを、導電性粒子(A)同士の接触及び融着を阻害しない範囲内で含有しても構わない。
【0075】
アクリルモノマとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート若しくはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート又はこれらのアルキル変性物、アルキルエーテル変性物若しくはアルキルエステル変性物が挙げられる。
【0076】
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、密着改良剤、界面活性剤又は重合禁止剤等を含有しても構わない。
【0077】
密着改良剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
【0078】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等の陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート若しくはラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド若しくはラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル若しくはソルビタンモノステアレート等の非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤が挙げられる。
【0079】
感光性樹脂組成物中の界面活性剤の添加量としては、塗布性及び塗膜表面の均一性を良好にするため、組成物全体に対し、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%より少ないと、塗布性及び塗膜表面の均一性の効果が不十分となる場合がある。一方で、添加量が10質量%を超えると、ハジキや凹み等の塗膜欠陥や、粒子の凝集が起こる場合がある。
【0080】
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン系、カテコール系、リン系、イオウ系、アミン系又はヒンダードフェノール系の化合物が挙げられる。これらの中でもヒドロキノン系とカテコール系のものが、溶剤への溶解性や顔料の分散安定性を阻害しない、ヒドロキノン系又はカテコール系の化合物が好ましく、ヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノンやカテコール又はtert−ブチルカテコールがより好ましい。
【0081】
(感光性樹脂組成物の製造方法)
本発明の感光性樹脂組成物は、ボールミルや、サンドグラインダー、3本ロールミル、マイルド分散機、メディアレス分散機等の分散機を用いて製造される。導電性粒子(A)を均一に分散したい場合は、分散剤を用いて、予め有機溶剤中に導電性粒子(A)を分散させた分散液を調製し、この分散液を、モノマ、ポリマー、密着改良剤、界面活性剤及び重合禁止剤等を含有する溶液と混合する方法により製造しても良い。導電性粒子(A)の分散液は、表面被覆層が損傷を受けるのを防ぐために、マイルド分散機又はメディアレス分散機を用いて分散させることが好ましく、メディアレス分散機を用いて分散させることがより好ましい。導電性粒子(A)の分散液は、例えば、マイルド分散機ナノゲッター(登録商標)(アシザワファインテック(株))又は高圧湿式メディアレス微粒化装置ナノマイザー(ナノマイザー(株))等の分散機を用いて、有機溶剤中に導電性粒子(A)を分散させて製造される。
【0082】
(導電性パターンの製造方法)
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いた、フォトリソ法による導電性パターンの製造方法について説明する。
【0083】
本発明の導電性パターンの製造方法は、本発明の感光性樹脂組成物を基板面上に塗布する塗布工程、それを乾燥するプリベーク工程、それを露光及び現像してパターンを形成する工程(露光工程、現像工程)、及び、それをポストベークするポストベーク工程を備えるプロセスにより行われる。
【0084】
塗布工程で用いる基板としては、例えば、シリコンウエハー、セラミックス基板又は有機系基板が挙げられる。セラミックス基板としては、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス若しくは石英ガラス等のガラス基板、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板又は炭化ケイ素基板が挙げられる。有機系基板としては、例えば、エポキシ基板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムが挙げられる。
【0085】
本発明の感光性樹脂組成物を基板面上に塗布する方法としては、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、カレンダーコーター若しくはメニスカスコーターを用いた塗布、スクリーン印刷、スプレー塗布又はディップコートが挙げられる。
【0086】
プリベーク工程における乾燥方法としては、例えば、ホットプレート、熱風乾燥機(オーブン)、減圧乾燥、真空乾燥又は赤外線照射による乾燥が挙げられる。
【0087】
プリベークの温度及び時間は、感光性樹脂組成物の組成や、乾燥する塗布膜の膜厚によって適宜決定すればよいが、50〜150℃の温度範囲で10秒〜30分加熱することが好ましい。
【0088】
中でも、ホットプレート又は熱風乾燥機(オーブン)での加熱と、減圧乾燥とを併用することが、塗布膜が含有する樹脂の熱硬化を抑制しながら、溶剤を乾燥除去できるため、好ましい。減圧乾燥の到達圧力としては、10〜200Paが好ましく、30〜100Paがより好ましい。
【0089】
露光工程で用いる光源としては、例えば、水銀灯のj線、i線、h線又はg線が好ましい。
【0090】
現像工程でアルカリ性現像液に用いるアルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム若しくはアンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン若しくはn−プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン若しくはジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン若しくはメチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン等の4級アンモニウム塩、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール若しくはジエチルアミノエタノール等のアルコールアミン類又はピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン若しくはモルホリン等の環状アミン類等の有機アルカリ類が挙げられるが、これらにエタノール、γーブチロラクトン、ジメチルホルムアミド又はN−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤を適宜加えても構わない。
【0091】
また、より良好な導電性パターンを得るため、これらのアルカリ性現像液にさらに非イオン系界面活性剤等の界面活性剤を0.01〜1質量%添加することも好ましい。
【0092】
ポストベーク工程における乾燥方法としては、プリベーク工程と同様のものが挙げられる。ポストベークの雰囲気、温度及び時間は、感光性樹脂組成物の組成や、乾燥する塗布膜の膜厚によって適宜決定すればよいが、空気中、100〜300℃の温度範囲で、5〜120分加熱することが好ましい。
【0093】
導電性パターンを基板上にメッシュ状に形成すれば、タッチパネル、液晶若しくは有機EL等のディスプレイパネル又はウェアラブル端末等が具備する、透明導電配線として使用することができる。
【0094】
上記導電性パターンは透明ではないので、パターンの幅が大きいと機器のユーザーに配線を視認されてしまう。このため、導電性パターンの幅は、5μm以下であることが好ましい。
【実施例】
【0095】
以下、本発明の実施例について説明する。まず、実施例及び比較例で用いた材料について説明する。
【0096】
[導電性粒子(A)]
(A−1)1次粒子径が0.7μmの銀粒子(三井金属(株)製)
(A−2)1次粒子径が0.2μmの銀粒子(三井金属(株)製)
(A−3)表面炭素被覆層の平均厚みが1nmで、1次粒子径が40nmの銀粒子(日清エンジニアリング株式会社製)。
【0097】
[アルカリ可溶性樹脂(B)]
(B−1)
500mLのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を2g、PGMEAを50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を15.69g、スチレンを37.45g、ジシクロペンタニルメタクリレートを46.86g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを10.46g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル樹脂(B−1)の溶液を得た。得られたアクリル樹脂(B−1)の溶液に固形分濃度が40質量%になるようにPGMEAを加えた。アクリル樹脂(B−1)の重量平均分子量(Mw)は25,000であった。
(B−2)
500mLのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を2g、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)を50g仕込んだ。その後、メタクリル酸を23.26g、ベンジルメタクリレートを31.46g、ジシクロペンタニルメタクリレートを32.80g仕込み、室温でしばらく撹拌し、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間加熱撹拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを12.69g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g、PGMEAを100g添加し、90℃で4時間加熱撹拌し、アクリル樹脂(B−2)の溶液を得た。得られたアクリル樹脂(B−2)の溶液に固形分濃度が40質量%になるようにPGMEAを加えた。アクリル樹脂(B−2)の重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
【0098】
[有機スズ化合物(C)]
(C−1)2−エチルヘキサン酸スズ(和光純薬(株)製)
(C−2)テトラブチルスズ(東京化成工業(株)製)
(C−3)ジラウリン酸ジブチルスズ(東京化成工業(株)製)
(C−4)二酢酸ジブチルスズ(東京化成工業(株)製)。
【0099】
[分散剤]
DISPERBYK(登録商標)140(ビックケミー・ジャパン株式会社製)(アミン価:146mgKOH/g)。
【0100】
[溶剤]
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(東京化成工業(株)製)
CA:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(東京化成工業(株)製)。
【0101】
[光重合開始剤]
イルガキュア(登録商標)OXE02(オキシムエステル系化合物;BASF社製)。
【0102】
[アクリルモノマ]
ライトアクリレート(登録商標)PE−4A(共栄社化学社製)。
【0103】
(実施例1)
クリーンボトルに、25.0gのアルカリ可溶性樹脂(B−1)の溶液(40質量%)、1.0gの有機スズ化合物(C−1)、1.5gの光重合開始剤、5.5gのアクリルモノマ及び2.0gの分散剤を入れ、自転公転ミキサー“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して、樹脂溶液1を得た。
【0104】
得られた樹脂溶液1に、80.0gの導電性粒子(A−1)を加え、さらにCAを固形分比率が80質量%になるように加えた後に混ぜ合わせ、3本ローラー(EXAKT M−50;EXAKT社製)を用いて混練することで、感光性樹脂組成物1を得た。
【0105】
感光性樹脂組成物1を無アルカリガラス基板(OA−10;日本電気硝子株式会社製)上に、乾燥膜の膜厚が2μmになるようにスクリーン印刷し、得られた塗布膜を100℃の熱風オーブン内で5分間プリベークした。得られたプリベーク膜を、PLAを用いて超高圧水銀灯を光源として、感度測定用のグレースケールマスクを介して50μmのギャップで露光した。その後、自動現像装置(AD−2000;滝沢産業(株)製)を用いて、0.2質量%炭酸ナトリウム水溶液で30秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。露光、現像後、5μmのラインアンドスペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、「最適露光量」)を感度とした。露光量はI線照度計で測定した。そして、最適露光量における現像後の最小パターン寸法を測定し、解像度とした。
【0106】
また、感光性樹脂組成物1を別途、無アルカリガラス基板上に乾燥膜の膜厚が2μmになるようにスクリーン印刷し、得られた塗布膜を100℃の熱風オーブン内で5分間プリベークした。得られたプリベーク膜を、PLAを用いて超高圧水銀灯を光源として、長方形の透光パターン(10mm×15mm)を有するフォトマスクを介して50μmのギャップで露光した。その後、自動現像装置を用いて、0.2質量%炭酸ナトリウム水溶液で30秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。その後、オーブン(「IHPS−222」;エスペック(株)製)を用いて、230℃で30分(空気中)ポストベークを施すことで、体積抵抗率評価パターンを得た。
【0107】
得られた体積抵抗率評価パターンについて、表面抵抗測定機(ロレスタ(登録商標)−FP;三菱油化株式会社製)で測定した表面抵抗値ρs(Ω/□)と、表面粗さ形状測定機(サーフコム(登録商標)1400D;株式会社東京精密製)にて測定した膜厚t(cm)とを測定し、両値を乗算することで、体積抵抗率(μΩ・cm)を算出した。
【0108】
さらに、上記の体積抵抗率評価パターンが形成された基板の未露光部分について、透過率評価により、基板上の残渣を評価した。具体的には、未露光部分について、膜形成前後の400nmにおける透過率を、分光光度計(U−3410;日立製作所株式会社製)を用いて測定した。そして、膜形成前の透過率をT
0、膜形成後の透過率をTとしたときに、式(T
0−T)/T
0で表される透過率変化を算出した。透過率変化が1%未満である場合は、残渣抑制の効果が十分であると判断可能である。測定した解像度並びに算出した体積抵抗率及び透過率変化の結果を、表1に示す。
【0109】
(実施例2)
160.0gの導電性粒子(A)、50.0gのアルカリ可溶性樹脂(B−2)の溶液(40質量%)、4.0gの分散剤及び486.0gのPGMEAを、ホモジナイザーを用いて1200rpm、30分の条件で混合処理し、さらに、高圧湿式メディアレス微粒化装置ナノマイザー(ナノマイザー(株))を用いて分散して、銀粒子分散体2を得た。350.0gの銀粒子分散体2、1.0gの有機スズ化合物(C−1)、1.5gの光重合開始剤、5.5gのアクリルモノマ及び142.0gのPGMEAを混合して撹拌することにより、感光性樹脂組成物2を得た。
【0110】
感光性樹脂組成物2を無アルカリガラス基板上にスピンコーター(ミカサ(株)製「1H−360S(商品名)」)を用いて500rpmで10秒、1000rpmで4秒の条件でスピンコートした後、ホットプレート(SCW−636;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて90℃で2分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を得た。得られたプリベーク膜を、実施例1と同様に露光、現像し、解像度を測定した。評価結果を、表1に示す。
【0111】
また、感光性樹脂組成物2を別途、無アルカリガラス基板上にスピンコーターを用いて500rpmで10秒、1000rpmで4秒の条件でスピンコートした後、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークし、膜厚1μmのプリベーク膜を得た。得られたプリベーク膜を、実施例1と同様に露光、現像し、体積抵抗率及び透過率変化を算出した。評価結果を、表1に示す。
【0112】
(実施例3〜5及び9並びに比較例1)
実施例1と同様の方法で、表1記載の組成の感光性樹脂組成物を得て、それぞれの感光性樹脂組成物について実施例1と同様の評価をした。評価結果を、表1に示す。
【0113】
(実施例6〜8及び10〜12並びに比較例2)
実施例2と同様の方法で、表1記載の組成の感光性樹脂組成物を得て、それぞれの感光性樹脂組成物について実施例2と同様の評価をした。評価結果を、表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
実施例1〜12は、有機スズ化合物添加により残渣抑制の効果が十分となっており、かつ、解像度が5μm以下であった。
【0116】
一方で、比較例1及び2は、有機スズ化合物を添加していないため、残渣抑制の効果が不十分であった。