(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202248
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】長尺体支持具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/10 20060101AFI20170914BHJP
F16L 3/14 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
F16L3/10 Z
F16L3/14 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-100463(P2013-100463)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-219089(P2014-219089A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】中島 裕生
【審査官】
仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−240789(JP,A)
【文献】
特開2000−291832(JP,A)
【文献】
実用新案登録第2571956(JP,Y2)
【文献】
特開2000−291831(JP,A)
【文献】
特開2000−002368(JP,A)
【文献】
特開2000−002366(JP,A)
【文献】
特開2000−002362(JP,A)
【文献】
特開2008−095776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/10
F16L 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後側板部と受止め部とを有し、前記後側板部と前記受止め部とで囲まれる受止め支持空間に長尺体を横架姿勢で受止め支持する支持具本体と、
前記後側板部から水平方向で前記受止め支持空間とは反対側となる背面側に延出し、かつ、前記受止め支持空間側に開口するフック部を有し、前記フック部にて前記受止め支持空間の外側で棒状部材に対して係脱自在な係止部と、
前記係止部に係入する前記棒状部材に当接して前記係止部を前記棒状部材に圧接付勢する付勢手段と、
平面視で前記フック部の開口部と重なる位置において前記棒状部材側に突出することにより、前記棒状部材に対して前記係止部が前記付勢手段の圧接付勢力に抗して離脱移動することを阻止する離脱阻止手段と、
前記支持具本体に対して開閉自在な蓋部材と、
前記蓋部材を閉止姿勢で係合保持する蓋ロック手段と、
を備え、
前記蓋ロック手段が、前記蓋部材の先端部に設けられて前記蓋部材の閉止姿勢で前記支持具本体に形成された係合口部に係合する係合片と、前記係合片から前記棒状部材側に突出形成された係止突起と、前記支持具本体の背面に前記係合口部に対向する状態で設けられた延出板部と、前記延出板部から前記支持具本体側に向けて形成されて前記蓋部材の閉止姿勢で前記係止突起に当接可能な離脱阻止片と、を有し、
前記離脱阻止片が前記係合片及び前記係止突起と当接することによって前記延出板部が前記棒状部材側に突出変位するように構成され、前記延出板部により前記離脱阻止手段が構成されている長尺体支持具。
【請求項2】
前記離脱阻止手段が、前記棒状部材に対する前記係止部の離脱移動を阻止する離脱阻止状態と前記棒状部材に対する前記係止部の脱着操作を許容する阻止解除状態とに切り替え自在に構成されている請求項1に記載の長尺体支持具。
【請求項3】
前記離脱阻止手段が、前記蓋ロック手段の係合動作に連係して前記離脱阻止状態に、且つ、前記蓋ロック手段の係合解除動作に連係して前記阻止解除状態に切り替えられる構成にしてある請求項2に記載の長尺体支持具。
【請求項4】
前記蓋ロック手段の係合解除状態で前記離脱阻止片の先端が前記支持具本体の背面に当接し、且つ、前記蓋ロック手段の係合状態で前記離脱阻止片と前記支持具本体との間に前記係合片が介在する請求項1から3のいずれか一項に記載の長尺体支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管やケーブル等の長尺体を横架姿勢で受止め支持する受止め部を備えた支持具本体に、吊りボルト等の棒状部材に対して係脱自在な係止部と、この係止部に係入する棒状部材に当接して係止部を棒状部材に圧接付勢する付勢手段とが設けられている長尺体支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の長尺体支持具では、支持具本体の背面に、係止部を構成する上下一対のフック部が設けられているとともに、両フック部間の上下中間位置には、両フック部に係入される棒状部材の一例である吊りボルトに当接して、両フック部を棒状部材に圧接付勢する付勢手段としての板バネが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−38146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支持具本体の両フック部を吊りボルトに係止した状態では、板バネによる弾性付勢力によって各フック部が吊りボルトに圧接されているため、支持具本体を吊りボルトに対してガタツキの無い状態で簡便に取付けることができ、しかも、吊りボルトに対する両フック部の離脱移動を抑制することができる。
【0005】
しかし、板バネの付勢力は、吊りボルトに対する両フック部の係脱操作を許容する範囲内で設定されているため、地震等によって横架されている長尺体に大きな外力が作用すると、吊りボルトに対して両フック部が板バネの付勢力に抗して離脱移動する可能性がある。
【0006】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、支持具本体を棒状部材に対してガタツキの無い状態で簡便に取付けることができるものでありながら、地震等に起因して長尺体に大きな外力が作用したときの長尺体支持性能の信頼性の向上を図ることのできる長尺体支持具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の特徴構成は、長尺体を横架姿勢で受止め支持する受止め部を備えた支持具本体に、棒状部材に対して係脱自在な係止部と、この係止部に係入する前記棒状部材に当接して前記係止部を前記棒状部材に圧接付勢する付勢手段とが設けられている長尺体支持具であって、
前記棒状部材に対して前記係止部が前記付勢手段の圧接付勢力に抗して離脱移動することを阻止する離脱阻止手段が設けられている点にある。
【0008】
上記構成によれば、支持具本体の係止部を棒状部材に係止した状態では、付勢手段によって係止部が棒状部材に圧接付勢されているため、支持具本体を棒状部材に対してガタツキの無い状態で簡便に取付けることができる。
【0009】
しかも、地震等によって横架されている長尺体に大きな外力が作用しても、棒状部材に圧接されている係止部が付勢手段の付勢力に抗して離脱移動することを離脱阻止手段によって阻止することができる。
【0010】
したがって、支持具本体を棒状部材に対してガタツキの無い状態で簡便に取付けることができるものでありながら、地震等に起因する棒状部材からの係止部の外れを抑止して、長尺体支持性能の信頼性の向上を図ることができる。
【0011】
本発明による第2の特徴構成は、前記離脱阻止手段が、前記棒状部材に対する前記係止部の離脱移動を阻止する離脱阻止状態と前記棒状部材に対する前記係止部の脱着操作を許容する阻止解除状態とに切り替え自在に構成されている点にある。
【0012】
上記構成によれば、棒状部材に支持具本体を装着する場合には、離脱阻止手段を阻止解除状態にすることにより、支持具本体の係止部を付勢手段の付勢力に抗して押し込み操作する必要があるものの、従来と同様に棒状部材に対して係止部を簡便に係止操作することができる。
【0013】
支持具本体の係止部が棒状部材に係止されたのちに離脱阻止手段を離脱阻止状態にすることにより、地震等に起因して長尺体に大きな外力が作用しても、棒状部材に圧接されている係止部が付勢手段の付勢力に抗して離脱移動することを阻止することができる。
【0014】
本発明による第3の特徴構成は、前記支持具本体には、開閉自在な蓋部材とこの蓋部材を閉止姿勢で係合保持する蓋ロック手段とが備えられているとともに、前記離脱阻止手段が、前記蓋ロック手段の係合動作に連係して離脱阻止状態に、且つ、前記蓋ロック手段の係合解除動作に連係して阻止解除状態に切り替えられる構成にしてある点にある。
【0015】
上記構成によれば、棒状部材に装着された支持具本体に長尺体を横架し、蓋部材を閉止操作した時点で当該棒状部材での作業が終了するため、蓋部材を閉止姿勢で係合保持する蓋ロック手段の係合動作に連係して離脱阻止手段を離脱阻止状態に切り替えることにより、蓋部材の閉止操作を利用して最も適切な時期に蓋ロック手段を離脱阻止状態に確実に切り替えることができる。
【0016】
また、棒状部材に装着されている支持具本体の蓋部材を開き操作するときは、支持具本体を棒状部材から取り外す可能性もあるので、蓋ロック手段の係合解除動作に連係して離脱阻止手段を阻止解除状態に切り替えることにより、蓋部材の開き操作を利用して最も適切な時期に蓋ロック手段を阻止解除状態に確実に切り替えることができる。
【0017】
本発明による第4の特徴構成は、前記蓋ロック手段が、前記蓋部材の先端部に形成された係合片と、前記支持具本体に形成された係合口部、及び、この係合口部に係合された前記係合片の係合離脱を接当阻止する状態で前記係止部の係入経路に臨む前記支持具本体の背面に設けられたロック部とから構成されているとともに、前記ロック部を、前記係合片の前記係合口部への係合に伴って前記係止部の係入経路側に突出変位する構成にすることにより、このロック部をもって前記離脱阻止手段が構成されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、蓋ロック手段の構成部材であるロック部が、係止部の係入経路に臨む支持具本体の背面に設けられていることを利用して、このロック部を、係合片の係合口部への係合に伴って係止部の係入経路側に突出変位させるといった簡単な改造により、離脱阻止手段を構造面及びコスト面で有利に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の長尺体支持具の第1実施形態を示す支持金具の斜視図
【
図7】地震等の大きな外力が作用したときの離脱阻止作用図
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
図2は、本発明の長尺体支持具の一例である支持金具Rによって長尺体の一例である空調配管1を、固定部である躯体に垂設された吊りボルト2(棒状部材の一例)に支持させてある状態を示すものであり、支持対象の空調配管1は、冷媒経路を形成する銅製等の管本体1aにウレタンフォーム製やグラスウール製などの断熱材1bを被覆したものである。
【0021】
吊りボルト2は、その上端部を躯体に固定してあり、図には示さないが、空調配管1の長手方向に間隔をあけた別の複数箇所にも設置してあって、それらの各吊りボルト2に図と同様に取り付けたそれぞれの支持金具Rによって空調配管1は支持されている。
【0022】
支持金具Rについて説明すると、
図1に示すように、空調配管1を受止め支持する受止め部7Aを備えた板金製の支持具本体Aと、吊りボルト2に対して係脱自在な係止部4と、この係止部4に係入する吊りボルト2に当接して係止部4を吊りボルト2に圧接付勢する付勢手段5、及び、吊りボルト2に対して係止部4が付勢手段5の圧接付勢力に抗して離脱移動することを阻止する離脱阻止手段6とが主要構成として設けられている。
【0023】
支持具本体Aには、二本の空調配管1に対する受止め支持空間S及び上側に湾曲する受止め部7Aを現出する状態で略「し」の字状に湾曲形成された板金製の支持部材7と、当該支持部材7の前側板部7Bの上端部に枢着された受止め支持空間Sの上部を開閉する板金製の蓋部材8、及び、蓋部材8を閉止姿勢で係合保持する蓋ロック手段9とが装備されている。
【0024】
支持部材7の前側板部7Bの上端部に形成された連結片7aを、蓋部材8の基端部に貫通形成された揺動支点口8aに挿通させたのち、外方側にループ状の揺動支点筒部を構成する状態で折り曲げ形成して、この揺動支点筒部に形成された連結片7aと揺動支点口8aとをもって、支持部材7の前側板部7Bの上端部に対して蓋部材8の基端部を開閉揺動自在に連結するためのヒンジ部が構成されている。
【0025】
係止部4は、上下方向に間隔を隔てて配置される一対のフック部4A,4Bから構成され、上方のフック部4Aは、支持部材7の後側板部7Cの上端部から受止め支持空間Sとは反対の背面側に屈曲形成して構成され、平面視においてそれのフック凹部4aが支持部材7の後側板部7Cの背面に向く略「J」字状に形成されている。
【0026】
そして、フック凹部4aは、空調配管1の長手方向である軸芯方向の一方側に向って開口する状態で略L字状に形成され、吊りボルト2への接当部分には、吊りボルト2のネジ部2aに係止して脱落を防止する係止爪部4cがネジ部2aの螺旋形状に沿う傾斜姿勢で形成されている。
【0027】
下方のフック部4Bは、支持部材7の後側板部7Cの背面に固着(リベット接合)された板金製の移動規制部材10の下端部を上方のフック部4Aと同じ側に屈曲形成して構成され、平面視においてそれのフック凹部4bが空調配管1の長手方向である軸芯方向の他方側に向って開口する状態で形成されている。
【0028】
下方のフック部4Bにおける吊りボルト2への接当部分には、吊りボルト2のネジ部2aに係止して脱落を防止する係止爪部4dがネジ部2aの螺旋形状に沿う傾斜姿勢で形成されている。
【0029】
また、移動規制部材10の上辺部には、下方のフック部4Bのフック凹部4bの開口側から吊りボルト2に当接可能な移動規制片10Aを折り曲げ形成して、この移動規制片10Aの移動規制端縁10aと下方のフック部4Bのフック凹部4bにおける三方向への移動規制端縁4e,4f,4gとの協働により、支持具本体Aと吊りボルト2との相対的な横移動を一定範囲内に規制する規制部を構成してある。
【0030】
付勢手段5を構成するに、移動規制部材10と一緒に支持部材7の後側板部7Cに固着された弾性板金部材11に、上下のフック部4A,4B間の中間位置において吊りボルト2を上方のフック部4Aのフック凹部4a及び下方のフック部4Bのフック凹部4bに圧接させる状態で押付付勢する板バネ部5Aと、その押付付勢状態を解除操作する押付解除操作部5Bとを折り曲げ形成して構成されている。
【0031】
板バネ部5Aは、板面が上下方向に沿う状態に且つ左右に揺動自在な状態に支持部材7に取付けてあり、その揺動遊端部に押付解除操作部5Bを形成してある。即ち、押付解除操作部5Bを吊りボルト2に対する付勢力の作用方向とは反対側へ揺動操作することによって押付付勢状態を解除することができ、吊りボルト2に対して上下に取付位置を変更する際に有効である。また、板バネ部5Aには、吊りボルト2に係止自在な係止爪5aを設けてあり、この係止爪5aは、具体的には板バネ部5Aの上下縁部の一部を切り起こして形成してある。
【0032】
蓋ロック手段9を構成するに、蓋部材8の先端部に折り曲げ形成された「L」字状の係合片13と、支持部材7の後側板部7Cの上側部に貫通形成された矩形状の係合口部14、及び、この係合口部14に係合された係合片13の上方側への係合離脱揺動を接当阻止する状態で係止部4の係入経路に臨む支持部材7の後側板部7Cの背面に設けられたロック部15とから構成されている。
【0033】
このロック部15は、弾性板金部材11における支持部材7への固着部よりも上方に延出した板バネ部11Aで構成され、この延出板バネ部11Aの基端部になる移動規制部材10の上側端縁に相当する部位には、後側板部7Cの係合口部14を通して当該後側板部7Cの背面と延出板バネ部11Aとの対向面間に蓋部材8の係合片13が係入したとき、延出板バネ部11Aの外方側への揺動変位の支点となる略「V」字状の揺動支点部11aが屈曲形成されている。
【0034】
さらに、延出板バネ部11Aの上部側には、蓋部材8の係合片13の外側面に突出形成した係止突起13Aの上面13aに係合して、当該係合片13の上方側への係合離脱揺動を阻止する離脱阻止片15Aが、後側板部7Cの背面側に向かって打ち出し形成されている。
【0035】
この離脱阻止片15Aは、
図3に示すように、先端ほど下方に位置する傾斜姿勢にあり、蓋部材8が開き操作されている状態では、離脱阻止片15Aの先端が、支持部材7の後側板部7Cの背面における係合口部14の下側縁より少し下方に偏位した部位に当接した待機状態にある。
【0036】
また、蓋部材8の閉じ操作時には、離脱阻止片15Aが蓋部材8の係合片13の先端及び係止突起13Aの傾斜面13bと順次当接したとき、延出板バネ部11Aが、係止部4に係止されている吊りボルト2に近接する状態で当該係止部4の係入経路側に突出変位し、詳しくは、上方のフック部4Aのフック凹部4aに係止保持されている吊りボルト2に近接する状態で当該フック凹部4aの入口側に突出変位するように構成されている。
【0037】
離脱阻止片15Aの先端が係合片13の外側面と係止突起13Aの上面13aとで形成される入隅部に係合している状態では、
図3〜
図5に示すように、離脱阻止片15Aの先端と支持部材7の後側板部7Cの背面との間に係入した蓋部材8の係合片13の板厚分だけ、ロック部15を構成する延出板バネ部11Aの上端が、蓋部材8の開き操作時よりも寸法Lだけ吊りボルト2に近接する状態でフック凹部4aの入口側に突出変位する。
【0038】
この延出板バネ部11Aの上端がフック凹部4aの入口側に突出変位した状態では、
図5に示すように、平面視において延出板バネ部11Aの上端と上方のフック部4Aの先端面4hとの間隔(通路幅)Wが吊りボルト2の直径よりもかなり小さくなり、吊りボルト2に対して係止部4が付勢手段5の圧接付勢力に抗して離脱移動することを阻止することができる。
【0039】
蓋部材8が開き操作されている状態でも、
図5に示すように、平面視において延出板バネ部11Aの上端と上方のフック部4Aの先端面4hとの間隔(通路幅)Wが吊りボルト2の直径よりも小さく構成されているが、この延出板バネ部11Aと支持部材7の後側板部7Cの背面との間には蓋部材8の係合片13が存在しないため、延出板バネ部11Aが後側板部7Cの背面側に弾性変形することが可能であり、吊りボルト2に対する係止部4の係脱操作に悪影響を与えることはない。
【0040】
さらに、ロック部15を構成する延出板バネ部11Aの上部には、上方のフック部4Aのフック凹部4aに係止保持されている吊りボルト2に近接する側に突出する離脱牽制板部15Bと、離脱阻止片15Aによる係合状態(ロック状態)を解除操作するロック解除操作部15Cとが折り曲げ形成されている。
【0041】
それ故に、蓋ロック手段9のロック部15を構成する延出板バネ部11Aの離脱阻止片15A及び離脱牽制板部15Bをもって前述の離脱阻止手段6が構成されているとともに、この離脱阻止手段6が、蓋ロック手段9のロック動作(係合動作)に連係して離脱阻止状態に、且つ、蓋ロック手段9のロック解除動作(係合解除動作)に連係して阻止解除状態に切り替えられることになる。
【0042】
上述の如く構成された支持金具Rを吊りボルト2に装着する場合には、上方のフック部4Aのフック凹部4aの開口及び下方のフック部4Bのフック凹部4bの開口が吊りボルト2に向かう状態で、支持具本体Aを吊りボルト2に対して傾斜姿勢で当て付け、両フック部4A,4Bのフック凹部4a,4bが吊りボルト2に係入する方向に支持具本体Aを回動操作し、付勢手段5の板バネ部5Aの押付付勢に抗して両フック部4A,4Bのフック凹部4a,4b内の所定係止位置に吊りボルト2を係入させる。
【0043】
この状態では、付勢手段5の板バネ部5Aの押付付勢によって、支持金具Rの両フック部4A,4Bのフック凹部4a,4bが吊りボルト2に圧接され、各フック凹部4a,4bに設けた係止爪部4c,4dが吊りボルト2noネジ部2aに係止することになる。
【0044】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、離脱阻止手段6を蓋ロック手段9のロック部15をもって兼用構成したが、この離脱阻止手段6を、係止部4に係止されている吊りボルト2に近接又は接当する状態で当該係止部4の係入経路側に突出する離脱阻止位置と、吊りボルト2に対する係止部4の係脱操作を許容する状態にまで当該係止部4の係入経路を開放する阻止解除位置とに変更自在な離脱阻止部材から構成してもよい。
この場合、離脱阻止部材を、蓋ロック手段9のロック動作又は蓋部材8の閉止操作に連係して離脱阻止位置に、且つ、蓋ロック手段9のロック解除動作又は蓋部材8の開き操作に連係して阻止解除位置に切り替えるように構成してもよい。
【0045】
(2)上述の実施形態では、離脱阻止手段6を兼用構成する蓋ロック手段9のロック部15と付勢手段5とを一つの弾性板金部材11から構成したが、ロック部15と付勢手段5とをそれぞれ別の弾性部材から構成してもよい。
【0046】
(3)支持対象の長尺体1は、上述の実施形態で説明した空調配管以外の他の用途の管類、あるいは、ケーブルなど、どのようなものであってもよい。
【0047】
(4)上述の各実施形態では、棒状部材2として吊りボルトを例に挙げて説明したが、棒軸芯方向に沿って多数の係止突起が周方向の一部に形成してある棒状部材を用いてもよい。
【0048】
(5)吊りボルト2に対して係脱自在な係止部4は、上述の実施形態で示した構造に限らず、種々の係止構造を採用することができ、さらに、係止部4に係入する吊りボルト2に当接して係止部4を吊りボルト2に圧接付勢する付勢手段5も、上述の実施形態で示した構造に限らず、種々の付勢構造を採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
A 支持具本体
1 長尺体(空調配管)
2 棒状部材(吊りボルト)
4 係止部
5 付勢手段
6 離脱阻止手段
7A 受止め部
8 蓋部材
9 蓋ロック手段
13 係合片
14 係合口部
15 ロック部