(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層、全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を60モル%以上含むジアミン単位と、全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位を60モル%以上含むジカルボン酸単位よりなる半芳香族ポリアミド(B)からなる(b)層、及び全ジアミン単位に対して、(c1)m−キシリレンジアミン単位及び(c2)p−キシリレンジアミン単位、若しくは(c1)m−キシリレンジアミン単位からなるキシリレンジアミン単位を60モル%以上含み、(c1)と(c2)のモル比が50:50モル%以上100:0モル%以下であるジアミン単位と、全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位を60モル%以上含むジカルボン酸単位よりなる半芳香族ポリアミドと導電性フィラーよりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層を含む、少なくとも3層以上からなることを特徴とする導電性積層チューブ。
前記半芳香族ポリアミド(B)及び導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)中の炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位が、アゼライン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸から誘導される単位からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の導電性積層チューブ。
前記脂肪族ポリアミド(A)が、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンデカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性積層チューブ。
前記脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層が最外層に配置され、前記導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層が最内層に配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導電性積層チューブ。
前記半芳香族ポリアミド(B)からなる(b)層が、前記脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層と前記導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層の間に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の導電性積層チューブ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において使用される、脂肪族ポリアミド(A)は、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を有し、ラクタム、アミノカルボン酸、又は脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸を原料として、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより得られる。
【0014】
ラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等、アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0015】
脂肪族ジアミンとしては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、1,19−ノナデカンジアミン、1,20−エイコサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0017】
脂肪族ポリアミド(A)としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンスクシナミド(ポリアミド44)、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリテトラメチレンスベラミド(ポリアミド48)、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54)、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリペンタメチレンスベラミド(ポリアミド58)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64)、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンスベラミド(ポリアミド68)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテトラデカミド(ポリアミド614)、ポリヘキサメチレンヘキサデカミド(ポリアミド616)、ポリヘキサメチレンオクタデカミド(ポリアミド618)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンスベラミド(ポリアミド98)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンスベラミド(ポリアミド108)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンスベラミド(ポリアミド128)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)等の単独重合体やこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)やこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体等が好ましく、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンデカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体がより好ましい。
【0019】
脂肪族ポリアミド(A)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
【0020】
また、JIS K−6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定した脂肪族ポリアミド(A)の相対粘度は、得られる導電性積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして導電性積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上5.0以下であることが好ましく、2.0以上4.5以下であることがより好ましい。
【0021】
脂肪族ポリアミド(A)は、該ポリアミド1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)とした時、[A]>[B]+5を満たす(以下、末端変性脂肪族ポリアミドと称する場合がある。)ことが後記の半芳香族ポリアミド(B)との層間接着性を考慮すると好ましく、[A]>[B]+10であることがより好ましく、[A]>[B]+15であることがさらに好ましい。さらに、ポリアミドの溶融安定性やゲル状物発生抑制の観点から、[A]>20であることが好ましく、30<[A]<120であることがより好ましい。
【0022】
なお、末端アミノ基濃度[A](μeq/g)は、該ポリアミドをフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
【0023】
末端変性脂肪族ポリアミドは、前記ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、導電性積層チューブの層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
上記アミン類としてはモノアミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミンが挙げられる。また、アミン類の他に、上記の末端基濃度条件の範囲を外れない限り、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類を添加しても良い。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加しても良い。また、下記例示のアミン類、カルボン酸類は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン、ベンジルアミン、β−フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、N,N−ジヘキシルアミン、N,N−ジオクチルアミン等の対称第二アミン、N−メチル−N−エチルアミン、N−メチル−N−ブチルアミン、N−メチル−N−ドデシルアミン、N−メチル−N−オクタデシルアミン、N−エチル−N−ヘキサデシルアミン、N−エチル−N−オクタデシルアミン、N−プロピル−N−ヘキサデシルアミン、N−プロピル−N−ベンジルアミン等の混成第二アミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
添加するジアミンの具体例としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0026】
添加するトリアミンの具体例としては、1,2,3−トリアミノプロパン、1,2,3−トリアミノ−2−メチルプロパン、1,2,4−トリアミノブタン、1,2,3,4−テトラミノブタン、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン、1,2,4−トリアミノシクロヘキサン、1,2,3−トリアミノシクロヘキサン、1,2,4,5−テトラミノシクロヘキサン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、1,2,3−トリアミノベンゼン、1,2,4,5−テトラミノベンゼン、1,2,4−トリアミノナフタレン、2,5,7−トリアミノナフタレン、2,4,6−トリアミノピリジン、1,2,7,8−テトラミノナフタレン、1,4,5,8−テトラミノナフタレン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0027】
添加するポリアミンは、一級アミノ基(−NH
2)及び/又は二級アミノ基(−NH−)を複数有する化合物であればよく、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等が挙げられる。活性水素を備えたアミノ基は、ポリアミンの反応点である。
【0028】
ポリアルキレンイミンは、エチレンイミンやプロピレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、或いは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解又は完全加水分解させる方法等で製造される。ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物等が挙げられる。ポリビニルアミンは、例えば、N−ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N−ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンが好ましい。
【0029】
ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン等の炭素原子数2以上8以下のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体や共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン、及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。さらに、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
【0030】
ポリアルキレンイミン中の窒素原子数は、特に制限はないが、4以上3,000以下であることが好ましく、8以上1,500以下であることがより好ましく、11以上500以下であることがさらに好ましい。また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100以上20,000以下であることが好ましく、200以上10,000以下であることがより好ましく、500以上8,000以下であることがさらに好ましい。
【0031】
一方、添加するカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m−キシリレンジカルボン酸、p−キシリレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,6−ヘキサントリカルボン酸、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0032】
添加されるアミン類の使用量は、製造しようとする末端変性脂肪族ポリアミドの末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及び相対粘度を考慮して、公知の方法により適宜決められる。通常、ポリアミド原料1モルに対して(繰り返し単位を構成する単量体又は単量体ユニット1モル)、アミン類の添加量は、十分な反応性を得ることと、所望の粘度を有するポリアミドの製造を容易とする観点から、0.5meq/モル以上20meq/モル以下であることが好ましく、1.0meq/モル以上10meq/モル以下であることがより好ましい(アミノ基の当量(eq)は、カルボキシル基と1:1で反応してアミド基を形成するアミノ基の量を1当量とする。)。
【0033】
末端変性脂肪族ポリアミドにおいては、上記例示のアミン類のうち、末端基濃度の条件を満たすために、ジアミン及び/又はポリアミンを重合時に添加することが好ましく、該ジアミンが、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0034】
また、末端変性脂肪族ポリアミドは、上記末端基濃度を満たす限りにおいては、末端基濃度の異なる2種類以上のポリアミドの混合物でも構わない。この場合、ポリアミド混合物の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度は、混合物を構成するポリアミドの末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及びその配合割合により決まる。
【0035】
脂肪族ポリアミド(A)は、前記の単独重合体の混合物、前記の共重合体の混合物、単独重合体と共重合体の混合物であってもよいし、あるいは他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。混合物中の脂肪族ポリアミド(A)の含有量は60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0036】
他のポリアミド系樹脂としては、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドMXDT(H))、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドPXDT(H))、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,6−BAN6)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6−BANT)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6−BANI)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,6−BANT(H))、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6−BANN)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,3−BAC6)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンスベラミド(ポリアミド1,3−BAC8)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,3−BAC9)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,3−BAC10)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,3−BAC12)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,3−BACT)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,3−BACI)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,3−BACT(H))、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,3−BACN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,4−BAC6)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンスベラミド)(ポリアミド1,4−BAC8)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,4−BAC9)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,4−BAC10)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,4−BAC12)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,4−BACT)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,4−BACI)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,4−BACT(H))、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,4−BACN)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACM6)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACM8)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACM9)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACM10)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACM12)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACM14)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACM16)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACM18)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACMT)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACMI)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACMT(H))、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACMN)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)アジパミド)(ポリアミドMACM6)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)スベラミド)(ポリアミドMACM8)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)アゼラミド)(ポリアミドMACM9)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)セバカミド)(ポリアミドMACM10)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ドデカミド)(ポリアミドMACM12)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)テトラデカミド)(ポリアミドMACM14)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ヘキサデカミド)(ポリアミドMACM16)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)オクタデカミド)(ポリアミドMACM18)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)テレフタラミド)(ポリアミドMACMT)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)イソフタラミド)(ポリアミドMACMI)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドMACMT(H))、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ナフタラミド)(ポリアミドMACMN)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACP6)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACP8)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACP9)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACP10)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACP12)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACP14)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACP16)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACP18)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACPT)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACPI)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACPT(H))、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACPN)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンスベラミド(ポリアミドIPD8)、ポリイソホロンアゼラミド(ポリアミドIPD9)、ポリイソホロンセバカミド(ポリアミドIPD10)、ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリイソホロンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドIPDT(H))、ポリイソホロンナフタラミド(ポリアミドIPDN)、ポリテトラメチレンテレフタラミド(ポリアミド4T)、ポリテトラメチレンイソフタラミド(ポリアミド4I)、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H))、ポリテトラメチレンナフタラミド(ポリアミド4N)、ポリペンタメチレンテレフタラミド(ポリアミド5T)、ポリペンタメチレンイソフタラミド(ポリアミド5I)、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H))、ポリペンタメチレンナフタラミド(ポリアミド5N)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミド6N)、ポリ(2−メチルペンタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM5T)、ポリ(2−メチルペンタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM5I)、ポリ(2−メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H))、ポリ(2−メチルペンタメチレンナフタラミド)(ポリアミドM5N)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリ(2−メチルオクタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM8T)、ポリ(2−メチルオクタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM8I)、ポリ(2−メチルオクタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM8T(H))、ポリ(2−メチルオクタメチレンナフタラミド)(ポリアミドM8N)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリトリメチルヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミドTMHI)、ポリトリメチルヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドTMHT(H))、ポリトリメチルヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミドTMHN)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)やこれらポリアミドの原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0037】
また、混合するその他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン/ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン/イソプレン共重合体(SIR)、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体(SIBR)、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体(SEPS)等のポリスチレン系樹脂、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された上記ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)等のフッ素系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
また、脂肪族ポリアミド(A)には、可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤としては、ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類、トルエンスルホン酸アルキルアミド類、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類等が挙げられる。
【0039】
ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類としては、ベンゼンスルホン酸プロピルアミド、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド等が挙げられる。トルエンスルホン酸アルキルアミド類としては、N−エチル−o−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−o−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド等が挙げられる。ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類としては、o−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、o−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、o−ヒドロキシ安息香酸エチルデシル、p−ヒドロキシ安息香酸エチルデシル、o−ヒドロキシ安息香酸オクチルオクチル、p−ヒドロキシ安息香酸オクチルオクチル、o−ヒドロキシ安息香酸デシルドデシル、p−ヒドロキシ安息香酸デシルドデシル、o−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、o−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、o−ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、o−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、o−ヒドロキシ安息香酸デシル、p−ヒドロキシ安息香酸デシル、o−ヒドロキシ安息香酸ドデシル、p−ヒドロキシ安息香酸ドデシル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド等のベンゼンスルホン酸アルキルアミド類、N−エチル−p−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド等のトルエンスルホン酸アルキルアミド類、p−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、p−ヒドロキシ安息香酸エチルデシル等のヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類が好ましく、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシルがより好ましい。
【0040】
可塑剤の含有量は、導電性積層チューブの柔軟性や低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、脂肪族ポリアミド(A)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、2質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
【0041】
また、脂肪族ポリアミド(A)には、耐衝撃改良材を添加することが好ましい。耐衝撃改良材としては、ゴム状重合体が挙げられ、ISO 178に準拠して測定した曲げ弾性率が500MPa以下であることが好ましい。曲げ弾性率がこの値を超えると、衝撃改良効果が不十分となる場合がある。
【0042】
耐衝撃改良材としては、(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、アイオノマー重合体、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素原子数3以上のα−オレフィンを共重合した重合体であり、炭素原子数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエン等の非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0044】
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体であり、α,β−不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体としては、これら不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0045】
前記アイオノマー重合体は、オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンの中和によりイオン化されたものである。オレフィンとしてはエチレンが好ましく用いられ、α,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられるが、ここに例示したものに限定されるものではなく、不飽和カルボン酸エステル単量体が共重合されていても構わない。また、金属イオンはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の他、Al、Sn、Sb、Ti、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Cd等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0046】
また、前記芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化合物系重合体ブロックからなるブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックを少なくとも1個と、共役ジエン化合物系重合体ブロックを少なくとも1個有するブロック共重合体が用いられる。また、上記のブロック共重合体では、共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合が水素添加されていてもよい。
【0047】
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物に由来する単位から主としてなる重合体ブロックである。その場合の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,5−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、場合により少量の他の不飽和単量体からなる単位を有していてもよい。
【0048】
共役ジエン化合物系重合体ブロックは、1,3−ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン系化合物の1種又は2種以上から形成された重合体ブロックであり、水素添加した芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体では、その共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合部分の一部又は全部が水素添加により飽和結合になっている。
【0049】
芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及びその水素添加物の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状、又はそれら任意の組み合わせのいずれであってもよい。これらの中でも、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物として、1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックと1個の共役ジエン化合物系重合体ブロックが直鎖状に結合したジブロック共重合体、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック−共役ジエン化合物系重合体ブロック−芳香族ビニル化合物系重合体ブロックの順に3つの重合体ブロックが直鎖状に結合しているトリブロック共重合体、及びそれらの水素添加物の1種又は2種以上が好ましく用いられ、未水添又は水添スチレン/ブタジエンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(イソプレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0050】
また、耐衝撃改良材として用いられる(エチレン及び/又はプロピレン)/α−オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、アイオノマー重合体、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体は、カルボン酸及び/又はその誘導体で変性された重合体が好ましく使用される。このような成分により変性することにより、脂肪族ポリアミド(A)に対して親和性を有する官能基をその分子中に含むこととなる。
【0051】
脂肪族ポリアミド(A)に対して親和性を有する官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩、カルボン酸イミド基、カルボン酸アミド基、エポキシ基等が挙げられる。これらの官能基を含む化合物の例として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、及びこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0052】
耐衝撃改良材の含有量は、導電性積層チューブの機械的強度や低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、脂肪族ポリアミド(A)100質量部に対して、1質量部以上35質量部以下であることが好ましく、3質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
【0053】
さらに、脂肪族ポリアミド(A)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填材、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤等を添加してもよい。
【0054】
本発明において使用される半芳香族ポリアミド(B)は、全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を60モル%以上含むジアミン単位と、全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位を60モル%以上含むジカルボン酸単位よりなる(以下、半芳香族ポリアミド(B)と称する場合がある。)。
【0055】
半芳香族ポリアミド(B)中のキシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位の含有量は、得られる導電性積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液透過防止性等の諸物性を十分に確保する観点から、全ジアミン単位に対して、60モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
【0056】
キシリレンジアミン単位としては、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンから誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記キシリレンジアミン単位の中でも、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンから誘導される単位が好ましい。
ビス(アミノメチル)ナフタレン単位としては、1,4−ビス(アミノメチル)ナフタレン、1,5−ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6−ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,7−ビス(アミノメチル)ナフタレン等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記ビス(アミノメチル)ナフタレン単位の中でも、1,5−ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6−ビス(アミノメチル)ナフタレンから誘導される単位が好ましい。
【0057】
半芳香族ポリアミド(B)中のジアミン単位は、本発明の導電性積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。他のジアミン単位としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、1,19−ノナデカンジアミン、1,20−エイコサンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミンから誘導される単位、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジアミン単位の含有量は、全ジアミン単位に対して、40モル%以下であり、25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
【0058】
また、半芳香族ポリアミド(B)中の炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位の含有量は、得られる導電性積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液透過防止性等の諸物性を十分に確保する観点から、全ジカルボン酸単位に対して、60モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
【0059】
炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸等から誘導される単位が挙げられる。炭素原子数が上記を満たす限り、2,2−ジエチルコハク酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸、2−ブチルスベリン酸等の分岐鎖状脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を含有していても構わない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位の中でも、共押出成形性と薬液透過防止性のバランスの観点から、アゼライン酸、セバシン酸から誘導される単位が好ましく、低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、ドデカン二酸から誘導される単位が好ましい。
【0060】
半芳香族ポリアミド(B)中のジカルボン酸単位は、本発明の導電性積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルプロパン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−トリフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。上記単位の中でも、芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。これら他のジカルボン酸単位の含有量は、全ジカルボン酸単位に対して、40モル%以下であり、25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
【0061】
半芳香族ポリアミド(B)には、本発明の導電性積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジアミン単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等のラクタムから誘導される単位、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸、p−アミノメチル安息香酸等の芳香族アミノカルボン酸のアミノカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他の単位の含有量は、全ジカルボン酸単位に基づいて、30モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
【0062】
なお、半芳香族ポリアミド(B)の末端基の種類及びその濃度や分子量分布に特別の制約は無い。分子量調節や成形加工時の溶融安定化のため、モノアミン、ジアミン、ポリアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン等の脂環式ジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のポリアミンや酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら分子量調節剤の使用量は分子量調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミドの相対粘度が後記の範囲になるように適宜決められる。
【0063】
溶融安定性を考慮すると、半芳香族ポリアミド(B)の分子鎖の末端が末端封止剤により封止されていることが好ましく、末端基の10%以上が封止されていることがより好ましく、末端基の20%以上が封止されていることがさらに好ましい。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性、封止末端の安定性等の観点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の観点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等も使用できる。
【0064】
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、前記の脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の観点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、前記の脂肪族モノアミン、脂環式モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格等の観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
末端封止剤の使用量は、用いる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件等を考慮して、適宜選択することができる。重合度の調整の観点から、原料成分であるジカルボン酸とジアミンの総モル数に対して0.1モル%以上15モル%以下であることが好ましい。
【0065】
半芳香族ポリアミド(B)には、溶融成形時の加工安定性を高めるため、あるいは着色を防止するためにリン化合物を添加することができる。リン化合物としては、次亜リン酸のアルカリ土類金属塩、亜リン酸のアルカリ金属塩、亜リン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ土類金属塩、ピロリン酸のアルカリ金属塩、ピロリン酸のアルカリ土類金属塩、メタリン酸のアルカリ金属塩、及びメタリン酸のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
具体的には、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸水素リチウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸水素マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素二マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸二水素リチウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸リチウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸リチウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムが好ましく、次亜リン酸カルシウムがより好ましい。なお、これらのリン化合物は水和物であってもよい。
【0066】
リン化合物の含有量は、着色防止効果を十分に確保し、ゲルの発生を抑制する観点から、半芳香族ポリアミド(B)100質量部に対して、リン原子濃度換算で0.03質量部以上0.30質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.20質量部以下であることがより好ましく、0.07質量部以上0.15質量部以下であることがさらに好ましい。
これらのリン化合物の添加方法は、半芳香族ポリアミド(B)の原料であるナイロン塩水溶液、ジアミンもしくはジカルボン酸に添加する方法、溶融状態にあるジカルボン酸に添加する方法、溶融重合中に添加する方法等が挙げられるが、半芳香族ポリアミド(B)中に均一に分散させることが可能であれば、いかなる方法でも良く、これらに限定されるものではない。
【0067】
半芳香族ポリアミド(B)には、リン化合物と併用して、アルカリ金属化合物を添加することができる。重縮合中のポリアミドの着色を防止するためにはリン化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリアミドのゲル化を招く恐れがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酢酸塩、及びアルカリ土類金属酢酸塩が挙げられ、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が好ましい。
【0068】
アルカリ金属化合物としては、具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、経済性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好ましく、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好ましい。
【0069】
半芳香族ポリアミド(B)の重縮合系内にアルカリ金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数を前記リン化合物のリン原子換算モル数で除した値は、アミド化反応の促進と抑制のバランスの観点から、0.3以上1.0以下であることが好ましく、0.40以上0.95以下であることがより好ましく、0.5以上0.9以下であることがさらに好ましい。
これらのアルカリ金属化合物の添加方法は、半芳香族ポリアミド(B)の原料であるナイロン塩水溶液、ジアミンもしくはジカルボン酸に添加する方法、溶融状態にあるジカルボン酸に添加する方法、溶融重合中に添加する方法等が挙げられるが、半芳香族ポリアミド(B)中に均一に分散させることが可能であればいかなる方法でも良く、これらに限定されるものではない。
【0070】
半芳香族ポリアミド(B)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。半芳香族ポリアミド(B)の製造方法としては、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法があり、これらの方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して半芳香族ポリアミド(B)を製造することができる。これらの製造方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができ、これらの中でも、溶融重合法が好ましい。例えば、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンと炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸からなるナイロン塩を水の存在下で、加圧、昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンを溶融状態の炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンを炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応系の温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点以上になるように反応系を昇温しつつ、重合が進められる。また、半芳香族ポリアミド(B)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行っても良い。
【0071】
JIS K−6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定した半芳香族ポリアミド(B)の相対粘度は、得られる導電性積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして導電性積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上4.0以下であることが好ましく、1.8以上3.5以下であることがより好ましく、2.0以上3.0以下であることがさらに好ましい。
【0072】
半芳香族ポリアミド(B)は、他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂としては、前記脂肪族ポリアミド(A)の場合と同様の樹脂が挙げられる。さらに、脂肪族ポリアミド(A)との混合物であっても構わない。混合物中の半芳香族ポリアミド(B)の含有量は60質量%以上であることが好ましい。
【0073】
さらに、半芳香族ポリアミド(B)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機質充填材、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、可塑剤、着色剤、潤滑剤、耐衝撃改良材等を添加してもよい。半芳香族ポリアミド(B)の低温耐衝撃性を改良するために、耐衝撃改良材を添加することが好ましく、特に脂肪族ポリアミド(A)中に記載した、ISO 178に準拠して測定した曲げ弾性率が500MPa以下のゴム状重合体を添加することがより好ましい。
【0074】
本発明において使用される導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)は、全ジアミン単位に対して、(c1)m−キシリレンジアミン単位及び(c2)p−キシリレンジアミン単位、若しくは(c1)m−キシリレンジアミン単位からなるキシリレンジアミン単位を60モル%以上含み、(c1)と(c2)のモル比が50:50モル%以上100:0モル%以下であるジアミン単位と、全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位を60モル%以上含むジカルボン酸単位よりなる半芳香族ポリアミド(C1)(以下、半芳香族ポリアミド(C1)と称する場合がある。)と導電性フィラー(C2)からなる。なお、半芳香族ポリアミド(C1)は、前記半芳香族ポリアミド(B)に包含される重合体である。
【0075】
半芳香族ポリアミド(C1)中の(c1)m−キシリレンジアミン単位及び(c2)p−キシリレンジアミン単位、若しくは(c1)m−キシリレンジアミン単位からなるキシリレンジアミン単位の含有量は、得られる導電性積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液透過防止性等の諸物性を十分に確保する観点から、全ジアミン単位に対して、60モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
【0076】
前記(c1)m−キシリレンジアミン単位と(c2)p−キシリレンジアミン単位のモル比は、成形性、低温耐衝撃性、及び薬液透過防止性のバランスの観点から、(c1):(c2)=50:50モル%以上100:0モル%以下であり、55:45モル%以上100:0モル%以下であることが好ましく、60:40モル以上100:0モル%%以下であることがより好ましく、65:35モル%%以上100:0モル以下であることがさらに好ましい。
【0077】
半芳香族ポリアミド(C1)中のジアミン単位は、本発明の導電性積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、(c1)m−キシリレンジアミン単位と(c2)p−キシリレンジアミン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。他のジアミン単位としては、半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載したジアミン単位が挙げられる。他のジアミン単位の含有量は、全ジアミン単位に対して、40モル%以下であり、25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
【0078】
また、半芳香族ポリアミド(C1)中の炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位の含有量は、得られる導電性積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液透過防止性等の諸物性を十分に確保する観点から、全ジカルボン酸単位に対して、60モル%以上であり、75モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド(C1)中の炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸等から誘導される単位が挙げられる。炭素原子数が上記を満たす限り、2,2−ジエチルコハク酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、2,4,4−トリメチルアジピン酸、2−ブチルスベリン酸等の分岐鎖状脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を含有していても構わない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位の中でも、共押出成形性と薬液透過防止性のバランスの観点から、アゼライン酸、セバシン酸から誘導される単位が好ましく、低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、ドデカン二酸から誘導される単位が好ましい。
【0079】
半芳香族ポリアミド(C1)中のジカルボン酸単位は、本発明の導電性積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載したジカルボン酸単位が挙げられる。他のジカルボン酸単位の含有量は、全ジカルボン酸単位に対して、40モル%以下であり、25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
【0080】
半芳香族ポリアミド(C1)には、本発明の導電性積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジアミン単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載したラクタムから誘導される単位やアミノカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。その他の単位の含有量は、全ジカルボン酸単位に基づいて、30モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
【0081】
なお、半芳香族ポリアミド(C1)の末端基の種類及びその濃度や分子量分布に特別の制約は無い。分子量調節や成形加工時の溶融安定化のため、モノアミン、ジアミン、ポリアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載したモノアミン、ジアミン、ポリアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸が挙げられ、分子量調節剤の使用量は分子量調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミドの相対粘度が後記の範囲になるように適宜決められる。
【0082】
溶融安定性を考慮すると、半芳香族ポリアミド(C1)の分子鎖の末端が末端封止剤により封止されていることが好ましく、末端基の10%以上が封止されていることがより好ましく、末端基の20%以上が封止されていることがさらに好ましい。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性、封止末端の安定性等の観点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の観点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等も使用できる。例えば、半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載したモノカルボン酸やモノアミンが末端封止剤として使用される。末端封止剤の使用量は、用いる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件等を考慮して、適宜選択することができる。重合度の調整の観点から、原料成分であるジカルボン酸とジアミンの総モル数に対して0.1モル%以上15モル%以下であることが好ましい。
【0083】
半芳香族ポリアミド(C1)には、溶融成形時の加工安定性を高めるため、あるいは着色を防止するためにリン化合物を添加することができる。例えば、半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載したリン化合物が挙げられる。
リン化合物の含有量は、着色防止効果を十分に確保し、ゲルの発生を抑制する観点から、半芳香族ポリアミド(C1)100質量部に対して、リン原子濃度換算で0.03質量部以上0.30質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.20質量部以下であることがより好ましく、0.07質量部以上0.15質量部以下であることがさらに好ましい。
【0084】
半芳香族ポリアミド(C1)には、リン化合物と併用して、アルカリ金属化合物を添加することができる。重縮合中のポリアミドの着色を防止するためにはリン化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリアミドのゲル化を招く恐れがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物を共存させることが好ましい。例えば、半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載したアルカリ金属化合物が挙げられる。
半芳香族ポリアミド(C1)の重縮合系内にアルカリ金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数を前記リン化合物のリン原子換算モル数で除した値は、アミド化反応の促進と抑制のバランスの観点から、0.3以上1.0以下であることが好ましく、0.40以上0.95以下であることがより好ましく、0.5以上0.9以下であることがさらに好ましい。
【0085】
半芳香族ポリアミド(C1)の製造装置としては半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載した公知のポリアミド製造装置が挙げられる。半芳香族ポリアミド(C1)の製造方法としては、半芳香族ポリアミド(B)の説明で記載した公知の製造方法が挙げられる。
【0086】
JIS K−6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定した半芳香族ポリアミド(C1)の相対粘度は、得られる導電性積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして導電性積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上3.0以下であることが好ましく、1.7以上2.5以下であることがより好ましく、1.8以上2.3以下であることがさらに好ましい。
【0087】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)中の導電性フィラー(C2)は、樹脂に導電性能を付与するために添加されるすべての充填材が包含され、粒状、フレーク状、及び繊維状フィラー等が挙げられる。
導電性とは、例えば、ガソリンのような引火性の流体が樹脂のような絶縁体に連続的に接触した場合、静電気が蓄積して引火する可能性があるが、この静電気が蓄積しない程度の電気特性を有することを言う。これにより、燃料等の流体の搬送時に発生する静電気による爆発防止が可能となる。
【0088】
粒状フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。フレーク状フィラーとしては、アルミフレーク、ニッケルフレーク、ニッケルコートマイカ等が挙げられる。また、繊維状フィラーとしては、炭素繊維、炭素被覆セラミック繊維、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブ、アルミ繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維等の金属繊維等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、カーボンナノチューブ、カーボンブラックが好ましい。
【0089】
カーボンナノチューブは、中空炭素フィブリルと称されるものであり、該フィブリルは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが該フィブリルの円柱軸の周囲に実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。さらに、上記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、上記中空領域の直径が2nm以上20nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの外径は、樹脂中への十分な分散性や、得られる樹脂成形体の良好な導電性を付与する観点から、3.5nm以上70nmであることが好ましく、4nm以上60nm以下であることがより好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/外径の比をいう)は、5以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、500以上であることがさらに好ましい。該アスペクト比を満たすことにより、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
【0090】
カーボンブラックは、導電性付与に一般的に使用されているカーボンブラックがすべて包含され、好ましいカーボンブラックとしては、アセチレンガスを不完全燃焼して得られるアセチレンブラックや、原油を原料にファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等のファーネスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックがより好ましい。
【0091】
また、カーボンブラックは、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分等の特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。該カーボンブラックの特性に制限は無いが、良好な鎖状構造を有し、凝集密度の大きいものが好ましい。カーボンブラックの多量配合は耐衝撃性の観点から好ましくなく、より少量で優れた電気伝導度を得る観点から、平均粒径は500nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上70nm以下であることがさらに好ましく、また、表面積(BET法)は10m
2/g以上であることが好ましく、30m
2/g以上であることがより好ましく、50m
2/g以上であることがさらに好ましく、さらに、DBP(ジブチルフタレート)吸油量は50ml/100g以上であることが好ましく、100ml/100gであることがより好ましく、150ml/100g以上であることがさらに好ましい。また、灰分は0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。ここでいうDBP吸油量は、ASTM D−2414に定められた方法で測定した値である。また、カーボンブラックの揮発分含量は1.0質量%未満であることが好ましい。
これら、導電性フィラー(C2)はチタネート系、アルミ系、シラン系等の表面処理剤で表面処理を施されていても良い。また、溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
【0092】
導電性フィラー(C2)の含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等のバランスの観点から、半芳香族ポリアミド(C1)100質量部に対して、一般に1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、2質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
また、かかる導電性フィラー(C2)は、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が10
8Ω/square以下であることが好ましく、10
6Ω/square以下であることがより好ましい。但し、導電性フィラーの添加は強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
【0093】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)は、半芳香族ポリアミド(C1)と導電性フィラー(C2)に加えて、他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂としては、前記脂肪族ポリアミド(A)の場合と同様の樹脂が挙げられる。さらに、脂肪族ポリアミド(A)との混合物であっても構わない。導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)中の半芳香族ポリアミド(C1)の含有量は50質量%以上であることが好ましい。
【0094】
さらに、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機質充填材、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、可塑剤、着色剤、潤滑剤、耐衝撃改良材等を添加してもよい。導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)の低温耐衝撃性を改良するために、耐衝撃改良材を添加することが好ましく、特に脂肪族ポリアミド(A)中に記載した、ISO 178に準拠して測定した曲げ弾性率が500MPa以下のゴム状重合体を添加することがより好ましい。
【0095】
本発明において使用される導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)の製造は、半芳香族ポリアミド(C1)、導電性フィラー(C2)、並びに、必要に応じて添加される添加剤等の原料成分を用いて製造され、その方法は公知の方法は用いることができるが、一般に溶融混合により製造される。溶融混合のための具体的な方法としては、原料成分を、所定の配合割合にて、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等の混練機を用いて混練する方法が挙げられる。さらに、各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではなく、(C1)、(C2)、及び付加的配合材料を一括して混練する方法、(C1)と(C2)の内の一部を配合し、上記の方法にて溶融混練した後、さらに残りの原料を配合し、溶融混練する方法、あるいは、(C1)と(C2)の内の一部を配合し、上記の方法にて溶融混練中に、サイドフィーダー等を用いて残りの原料を混合する方法、(C1)と付加的配合材料の内の一部を配合し、上記の方法にて溶融混練中に、サイドフィーダー等を用いて(C2)と残りの原料を混合する方法のいずれであってもよい。
【0096】
本発明に係わる導電性積層チューブは、脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層、全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を60モル%以上含むジアミン単位と、全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位を60モル%以上含むジカルボン酸単位よりなる半芳香族ポリアミド(B)からなる(b)層、及び全ジアミン単位に対して、(c1)m−キシリレンジアミン単位及び(c2)p−キシリレンジアミン単位、若しくは(c1)m−キシリレンジアミン単位からなるキシリレンジアミン単位を60モル%以上含み、(c1)と(c2)のモル比が50:50モル%以上100:0モル%以下であるジアミン単位と、全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数8以上13以下の脂肪族ジカルボン酸単位を60モル%以上含むジカルボン酸単位よりなる半芳香族ポリアミドと導電性フィラーよりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層を含む、少なくとも3層以上から構成される。半芳香族ポリアミド(B)からなる(b)層や導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層を含むことにより、導電性積層チューブの薬液透過防止性の向上が図れる。
【0097】
好ましい実施態様としては、脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層は、導電性積層チューブの最外層に配置される。脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性や柔軟性に優れた導電性積層チューブを得ることが可能となる。また、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層は、導電性積層チューブの最内層に配置される。導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層が最内層に配置されることにより、成形加工時熱安定性、低温耐衝撃性、耐劣化燃料性、薬液透過防止性等のバランスの優れ、かつ導電性を有する積層チューブを得ることが可能となる。
【0098】
より好ましい実施態様としては、半芳香族ポリアミド(B)からなる(b)層は、導電性積層チューブの脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層と導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層の間に配置される。半芳香族ポリアミド(B)からなる(b)層が、脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層と導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層の間に配置されることにより、低温耐衝撃性と薬液透過防止性を両立することが可能であり、また、経済的に有利な導電性積層チューブを得ることができる。
【0099】
本発明の導電性積層チューブでは、各層の厚みは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、導電性積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、導電性積層チューブの薬液透過防止性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定され、一般には、(a)層、(b)層、(c)層の厚みは、導電性積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液透過防止性のバランスを考慮して、(b)層、(c)層の厚みは、導電性積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ5%以上80%以下であることがより好ましく、7%以上50%以下であることがさらに好ましい。
【0100】
また、本発明の導電性積層チューブにおける全体の層数は、脂肪族ポリアミド(A)からなる(a)層、半芳香族ポリアミド(B)からなる(b)層、及び導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)からなる(c)層を含む、少なくとも3層以上である限り特に制限されない。さらに本発明の導電性積層チューブは、(a)層、(b)層、(c)層の3層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な導電性積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂からなる層を1層又は2層以上を有していてもよい
本発明の導電性積層チューブの層数は3層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、3層以上7層以下であることがより好ましい。
【0101】
他の熱可塑性樹脂としては、本発明において規定された脂肪族ポリアミド(A)、半芳香族ポリアミド(B)、及び半芳香族ポリアミド(C1)以外の、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドMXDT(H))、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドPXDT(H))、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,6−BAN6)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6−BANT)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6−BANI)、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,6−BANT(H))、ポリ(2,6−ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6−BANN)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,3−BAC6)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンスベラミド(ポリアミド1,3−BAC8)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,3−BAC9)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,3−BAC10)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,3−BAC12)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,3−BACT)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,3−BACI)、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,3−BACT(H))、ポリ(1,3−シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,3−BACN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,4−BAC6)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンスベラミド)(ポリアミド1,4−BAC8)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,4−BAC9)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,4−BAC10)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,4−BAC12)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,4−BACT)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,4−BACI)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,4−BACT(H))、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,4−BACN)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACM6)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACM8)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACM9)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACM10)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACM12)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACM14)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACM16)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACM18)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACMT)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACMI)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACMT(H))、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACMN)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)アジパミド)(ポリアミドMACM6)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)スベラミド)(ポリアミドMACM8)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)アゼラミド)(ポリアミドMACM9)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)セバカミド)(ポリアミドMACM10)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ドデカミド)(ポリアミドMACM12)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)テトラデカミド)(ポリアミドMACM14)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ヘキサデカミド)(ポリアミドMACM16)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)オクタデカミド)(ポリアミドMACM18)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)テレフタラミド)(ポリアミドMACMT)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)イソフタラミド)(ポリアミドMACMI)、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドMACMT(H))、ポリ(4,4’−メチレンビス(2−メチル−シクロヘキシレン)ナフタラミド)(ポリアミドMACMN)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACP6)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACP8)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACP9)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACP10)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACP12)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACP14)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACP16)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACP18)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACPT)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACPI)、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACPT(H))、ポリ(4,4’−プロピレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACPN)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンスベラミド(ポリアミドIPD8)、ポリイソホロンアゼラミド(ポリアミドIPD9)、ポリイソホロンセバカミド(ポリアミドIPD10)、ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリイソホロンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドIPDT(H))、ポリイソホロンナフタラミド(ポリアミドIPDN)、ポリテトラメチレンテレフタラミド(ポリアミド4T)、ポリテトラメチレンイソフタラミド(ポリアミド4I)、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H))、ポリテトラメチレンナフタラミド(ポリアミド4N)、ポリペンタメチレンテレフタラミド(ポリアミド5T)、ポリペンタメチレンイソフタラミド(ポリアミド5I)、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H))、ポリペンタメチレンナフタラミド(ポリアミド5N)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミド6N)、ポリ(2−メチルペンタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM5T)、ポリ(2−メチルペンタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM5I)、ポリ(2−メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H))、ポリ(2−メチルペンタメチレンナフタラミド)(ポリアミドM5N)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリ(2−メチルオクタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM8T)、ポリ(2−メチルオクタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM8I)、ポリ(2−メチルオクタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM8T(H))、ポリ(2−メチルオクタメチレンナフタラミド)(ポリアミドM8N)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリトリメチルヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミドTMHI)、ポリトリメチルヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドTMHT(H))、ポリトリメチルヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミドTMHN)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)やこれらポリアミドの原料単量体及び/又は前記脂肪族ポリアミド(A)の原料単量体を数種用いた共重合体等のポリアミド系樹脂が挙げられる。
【0102】
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系樹脂やアミノ基に対して反応性を有する官能基を含有する前記フッ素系樹脂が挙げられる。
【0103】
さらに、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン/ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン/イソプレン共重合体(SIR)、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体(SIBR)、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体(SEPS)等のポリスチレン系樹脂、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のカルボキシル基、及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等の酸無水物基、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された上記ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリ酢酸ビニル(PVAc)等のポリビニルエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。
【0104】
また、熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属や金属化合物、及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。
【0105】
導電性積層チューブ製造法としては、層の数もしくは材料の数に対応する押出機を用いて、溶融押出し、ダイ内あるいは外において同時に積層する方法(共押出法)、あるいは、一旦、単層チューブあるいは、上記の方法により製造された導電性積層チューブを予め製造しておき、外側に順次、必要に応じては接着剤を使用し、樹脂を一体化せしめ積層する方法(コーティング法)が挙げられる。本発明の導電性積層チューブにおいては、各種材料を溶融状態で共押出し、両者を熱融着(溶融接着)して一段階で積層構造のチューブを製造する共押出法により製造されることが好ましい。
【0106】
また、得られる導電性積層チューブが複雑な形状である場合や、成形後に加熱曲げ加工を施して成形品とする場合には、成形品の残留歪みを除去するために、上記の導電性積層チューブを形成した後、前記チューブを構成する樹脂の融点のうち最も低い融点未満の温度で、0.01時間以上10時間以下熱処理して目的の成形品を得る事も可能である。
【0107】
導電性積層チューブにおいては、波形領域を有するものであってもよい。波形領域とは、波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状、又はコルゲート形状等に形成した領域である。波形領域は、導電性積層チューブ全長にわたり有するものだけではなく、途中の適宜の領域に部分的に有するものであってもよい。波形領域は、まず直管状のチューブを成形した後に、引き続いてモールド成形し、所定の波形形状等とすることにより容易に形成することができる。かかる波形領域を有することにより、衝撃吸収性を有し、取り付け性が容易となる。さらに、例えば、コネクタ等の必要な部品を付加したり、曲げ加工によりL字、U字の形状等にする事が可能である。
【0108】
このように成形した導電性積層チューブの外周の全部又は一部には、石ハネ、他部品との摩耗、及び耐炎性を考慮して、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、カルボキシル化ブタジエンゴム(XBR)、カルボキシル化クロロプレンゴム(XCR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、アクリロニトリルイソプレンゴム(NIR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化スチレンブタジエンゴム(XSBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム(MQ,VMQ)、フッ素ゴム(FKM,FFKM)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成するソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクタ)を配設することができる。保護部材は既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維等を添加してその強度を改善してもよい。保護部材の形状は特に限定されないが、通常は、筒状部材又は導電性積層チューブを受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に導電性積層チューブを後で挿入したり、あるいは導電性積層チューブの上に筒状部材を被覆押出しして両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに導電性積層チューブを挿入又は嵌着し、両者を密着することにより、導電性積層チューブと保護部材の一体化された構造体を形成する。また、金属等で補強する事も可能である。
【0109】
導電性積層チューブの外径は、薬液(例えば含アルコールガソリン等の燃料)等の流量を考慮し、肉厚は薬液の透過量が増大せず、また、通常のチューブの破壊圧力を維持できる厚みで、かつ、チューブの組み付け作業容易性及び使用時の耐振動性が良好な程度の柔軟性を維持することができる厚みに設計されるが、限定されるものではない。好ましくは、外径は4mm以上300mm以下、内径3mm以上250mm以下、肉厚は0.5mm以上25mm以下である。
【0110】
本発明の導電性積層チューブは、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類等の機械部品を始め、工業材料、産業資材、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品等各種用途に使用することが可能である。
【0111】
また、本発明の導電性積層チューブは、薬液透過防止性に優れるため、薬液搬送チューブとして好適である。薬液としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール、フェノール系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、二塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、ガソリン、灯油、ディーゼルガソリン、含アルコールガソリン、メチル−t−ブチルエーテル、含酸素ガソリン、含アミンガソリン、サワーガソリン、ひまし油ベースブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリングオイル、含硫化水素オイル、ウインドウオッシャー液、エンジン冷却液、尿素溶液、医薬剤、インク、塗料等が挙げられる。本発明の導電性積層チューブは、上記薬液を搬送するチューブとして好適であり、具体的には、フィードチューブ、リターンチューブ、エバポチューブ、フューエルフィラーチューブ、ORVRチューブ、リザーブチューブ、ベントチューブ等の燃料チューブ、オイルチューブ、石油掘削チューブ、ガソリンスタンド用地下埋設チューブ、ブレーキチューブ、ウインドウオッシャー液用チューブ、エンジン冷却液(LLC)チューブ、リザーバータンクチューブ、尿素溶液搬送チューブ、冷却水、冷媒等用クーラーチューブ、エアコン冷媒用チューブ、ヒーターチューブ、ロードヒーティングチューブ、床暖房チューブ、インフラ供給用チューブ、消火器及び消火設備用チューブ、医療用冷却機材用チューブ、インク、塗料散布チューブ、その他薬液チューブが挙げられる。特に、燃料チューブとして好適である。
【実施例】
【0112】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における分析及び物性の測定方法、及び実施例及び比較例に用いた材料を示す。
【0113】
ポリアミド系樹脂の特性は、以下の方法で測定した。
[相対粘度]
JIS K−6920に準拠して、96%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃の条件下で測定した。
【0114】
[末端アミノ基濃度]
活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、あらかじめ調整しておいた溶媒フェノール/メタノール(体積比9/1)の40mLを加えた後、マグネットスターラで攪拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いて0.05Nの塩酸で滴定を行い、末端アミノ基濃度を求めた。
【0115】
[末端カルボキシル基濃度]
三つ口ナシ型フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、ベンジルアルコール40mLを加えた後、窒素気流下、180℃に設定したオイルバスに浸漬する。上部に取り付けた攪拌モータにより攪拌溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用いて0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い、末端カルボキシル基濃度を求めた。
【0116】
また、導電性積層チューブの各物性は、以下の方法で測定した。
[成形加工時熱安定性]
成形したチューブを10箇所の断面を観察することにより、添加されたオレフィン系重合体に起因する発泡、目やにと称される劣化物の発生有無を確認した。発泡や劣化物が観察されない場合、成形加工時熱安定性が良好であると判断した。
【0117】
[低温耐衝撃性]
SAE J−2260 7.5に記載の方法で、−40℃にて衝撃試験を実施した。
【0118】
[耐劣化燃料性]
イソオクタン/トルエン/メタノール=42.5/42.5/15体積%に混合したメタノール含有ガソリン(CM15)に、同燃料1リットル当たり、18.1mlの純度80%クメンヒドロパーオキシドを含む溶液と、0.73gのステアリン酸銅と、3mlの酢酸とを添加し、燃料の過酸化物数(PON)が200(mg当量/L)になるように調整した。200mmにカットしたチューブの片端を密栓し、内部に前記劣化燃料を封入し、残りの端部も密栓した。次いで試験チューブを80℃のオーブンに336時間保持した。その後、チューブを取り出し、SAE J−2260 7.5に記載の方法で、−40℃にて衝撃試験を実施し、試験本数10本に対して、破断本数が0本の場合、耐劣化燃料性に優れていると判断した。
【0119】
[薬液(含アルコールガソリン)透過防止性]
200mmにカットしたチューブの片端を密栓し、内部にFuelC(イソオクタン/トルエン=50/50体積比)とエタノールを90/10体積比に混合した含アルコールガソリンを入れ、残りの端部も密栓した。その後、全体の質量を測定し、次いで試験チューブを60℃のオーブンに入れ、一日毎に質量変化を測定した。一日当たりの質量変化を、チューブの内層表面積で除して含アルコールガソリン透過量(g/m
2・day)を算出した。
【0120】
[層間接着性]
200mmにカットしたチューブをさらに縦方向に半分にカットし、テストピースを作成した。万能材料試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM III−200)を用い、50mm/分の引張速度にて180°剥離試験を実施した。S−Sカーブの極大点から剥離強度を読み取り、層間接着性を評価した。
【0121】
[実施例及び比較例で用いた材料]
脂肪族ポリアミド(A)
ポリアミド12樹脂組成物(A−1)の製造
ポリアミド12(a−1)(宇部興産(株)製、UBESTA3030UX1、相対粘度2.21)に、耐衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/プロピレン共重合体(JSR(株)製、JSR T7761P)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給する一方、該二軸溶融混練機のシリンダの途中から、可塑剤としてベンゼンスルホン酸ブチルアミドを定量ポンプにより注入し、シリンダ温度180℃から260℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、ポリアミド12 85質量%、耐衝撃改良材10質量%、可塑剤5質量%よりなるポリアミド12樹脂組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12樹脂組成物を(A−1)という。)。
【0122】
ポリアミド610(a−2)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、1,6−ヘキサンジアミンとセバシン酸との塩の50質量%水溶液17.6kg、1,6−ヘキサンジアミン63.8gを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、220℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで、重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を1.7MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において4時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.48、末端アミノ基濃度73μeq/g、末端カルボキシル基濃度14μeq/gのポリアミド610を得た(以下、このポリアミド610を(a−2)という。)。
【0123】
ポリアミド610樹脂組成物(A−2)の製造
ポリアミド610(a−2)に、耐衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/プロピレン共重合体(JSR(株)製、JSR T7761P)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給する一方、該二軸溶融混練機のシリンダの途中から、可塑剤としてベンゼンスルホン酸ブチルアミドを定量ポンプにより注入し、シリンダ温度200℃から270℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、ポリアミド610 80質量%、耐衝撃改良材10質量%、可塑剤10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド610樹脂組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド610樹脂組成物を(A−2)という。)。
【0124】
ポリアミド612(a−3)の製造
ポリアミド610(a−2)の製造において、1,6−ヘキサンジアミンとセバシン酸の等モル塩の50質量%水溶液17.6kgを1,6−ヘキサンジアミンとドデカン二酸の等モル塩の50質量%水溶液20.0kg、1,6−ヘキサンジアミンの添加量を63.8gから70.0gに変更した以外は、ポリアミド610(a−2)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.52、末端アミノ基濃度65μeq/g、末端カルボキシル基濃度19μeq/gのポリアミド612を得た(以下、このポリアミド612を(a−3)という。)。
【0125】
ポリアミド612樹脂組成物(A−3)の製造
ポリアミド610樹脂組成物(A−2)の製造において、ポリアミド610(a−2)をポリアミド612(a−3)に変更した以外は、ポリアミド610樹脂組成物(A−2)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612 80質量%、耐衝撃改良材10質量%、可塑剤10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612樹脂組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド612樹脂組成物を(A−3)という。)。
【0126】
半芳香族ポリアミド(B)
半芳香族ポリアミド(B1−1)又は(C1−1)の製造
攪拌機、温度計、トルクメータ、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調整装置、及びポリマー放出口を備えた内容積が40リットルの圧力容器に、セバシン酸6.068kg(30.0モル)、次亜リン酸カルシウム8.50g(0.049モル)、及び酢酸ナトリウム2.19g(0.025モル)を仕込み、圧力容器の内部の純度が99.9999%の窒素ガスで0.3MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。さらに少量の窒素気流下で、190℃まで昇温した後、(c1)m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を撹拌下で160分を要して滴下した。この間、反応系内圧は0.5MPaに制御し、内温を連続的に245℃まで昇温させた。また、(c1)m−キシリレンジアミンの滴下とともに留出する水は分縮器および冷却器を通して系外に除いた。(c1)m−キシリレンジアミン滴下終了後、60分間かけて常圧まで降圧し、この間に、容器内の温度を250℃に保持して10分間反応を継続した。その後、反応系内圧を79kPaまで減圧し、40分間溶融重合反応を継続した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で0.2MPaに加圧して重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重縮合物は直ちに冷却し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化し、その後、減圧乾燥を行い、融点191℃、相対粘度2.48の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(B1−1)又は(C1−1)という。)。
【0127】
半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造
半芳香族ポリアミド(B1−1)に、耐衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/プロピレン共重合体(JSR(株)製、JSR T7761P)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度200℃から240℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、半芳香族ポリアミド90質量%、耐衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(B−1)という。)。
【0128】
半芳香族ポリアミド(B1−2)又は(C1−2)の製造
半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造において、(c1)m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を(c1)m−キシリレンジアミンと(c2)p−キシリレンジアミンの7:3の混合ジアミン4.086kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造と同様の方法にて、融点215℃、相対粘度2.45の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10/PXD10=70/30モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(B1−2)又は(C1−2)という。)。
【0129】
半芳香族ポリアミド組成物(B−2)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(B1−1)を(B1−2)に変え、シリンダ温度を240℃から250℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド90質量%、耐衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(B−2)という。)。
【0130】
半芳香族ポリアミド(B1−3)又は(C1−3)の製造
半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造において、(c1)m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を(c1)m−キシリレンジアミンと(c2)p−キシリレンジアミンの6:4の混合ジアミン4.086kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から270℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造と同様の方法にて、融点224℃、相対粘度2.44の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10/PXD10=60/40モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(B1−3)又は(C1−3)という。)。
【0131】
半芳香族ポリアミド組成物(B−3)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(B1−1)を(B1−3)に変え、シリンダ温度を240℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド90質量%、耐衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(B−3)という。)。
【0132】
半芳香族ポリアミド(B1−4)又は(C1−4)の製造
半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造において、セバシン酸6.068kg(30.0モル)をドデカン二酸6.488kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造と同様の方法にて、融点175℃、相対粘度2.40の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD12=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(B1−4)又は(C1−4)という。)。
【0133】
半芳香族ポリアミド組成物(B−4)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(B1−1)を(B1−4)に変え、シリンダ温度を240℃から230℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド90質量%、耐衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(B−4)という。)。
【0134】
半芳香族ポリアミド(B1−5)の製造
半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造において、(c1)m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を(c2)p−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造と同様の方法にて、融点281、291℃(融点を2つ有する)、相対粘度2.42の半芳香族ポリアミド(ポリアミドPXD10=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(B1−5)という。)。
【0135】
半芳香族ポリアミド組成物(B−5)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(B1−1)を(B1−5)に変え、シリンダ温度を240℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド90質量%、耐衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(B−5)という。)。
【0136】
半芳香族ポリアミド(B1−6)の製造
半芳香族ポリアミド(B1−4)の製造において、(c1)m−キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を2,6−ビス(アミノメチル)ナフタレン5.588kg(30.0モル)に変え、重合温度を240℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(B1−4)の製造と同様の方法にて、融点272℃、相対粘度2.33の半芳香族ポリアミド(ポリアミド2,6−BAN12=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(B1−6)という。)。
【0137】
半芳香族ポリアミド組成物(B−6)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(B1−1)を(B1−6)に変え、シリンダ温度を240℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド90質量%、耐衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(B−6)という。)。
【0138】
半芳香族ポリアミド(B1−7)の製造
半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造において、セバシン酸6.068kg(30.0モル)をアジピン酸4.384kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から275℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(B1−1)の製造と同様の方法にて、融点243℃、相対粘度2.42の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD6=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(B1−7)という。)。
【0139】
半芳香族ポリアミド組成物(B−7)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(B1−1)を(B1−7)に変え、シリンダ温度を240℃から280℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド90質量%、耐衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(B−7)という。)。
【0140】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C)
半芳香族ポリアミド(C1−5)の製造
半芳香族ポリアミド(C1−1)の製造において、溶融重合時間を40分から20分に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1−1)の製造と同様の方法にて、融点191℃、相対粘度2.16の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1−5)という。)。
【0141】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造
半芳香族ポリアミド(C1−5)に、耐衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/1−ブテン共重合体(三井化学(株)製、タフマーMH5010)とエチレン/1−ブテン共重合体(三井化学(株)製、タフマーA−0550)、導電性フィラーとしてカーボンブラック(ライオン(株)製、ケッチェンブラックEC600JD)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度200℃から250℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、半芳香族ポリアミド68質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−1)という。)。
【0142】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−2)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造において、カーボンブラック(ライオン(株)製、ケッチェンブラックEC600JD)をカーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC7000)に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド70質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−2)という。)。
【0143】
半芳香族ポリアミド(C1−6)の製造
半芳香族ポリアミド(C1−2)の製造において、溶融重合時間を40分から20分に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1−2)の製造と同様の方法にて、融点215℃、相対粘度2.15の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10/PXD10=70/30モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1−6)という。)。
【0144】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−3)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1−5)を(C1−6)に変え、シリンダ温度を250℃から270℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド68質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−3)という。)。
【0145】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−4)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−2)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1−5)を(C1−6)に変え、シリンダ温度を250℃から270℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−2)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド70質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー5質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−4)という。)。
【0146】
半芳香族ポリアミド(C1−7)の製造
半芳香族ポリアミド(C1−3)の製造において、溶融重合時間を40分から20分に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1−3)の製造と同様の方法にて、融点224℃、相対粘度2.13の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10/PXD10=60/40モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1−7)という。)。
【0147】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−5)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1−5)を(C1−7)に変え、シリンダ温度を250℃から280℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド68質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−5)という。)。
【0148】
半芳香族ポリアミド(C1−8)の製造
半芳香族ポリアミド(C1−4)の製造において、溶融重合時間を40分から20分に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1−4)の製造と同様の方法にて、融点175℃、相対粘度2.16の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD12=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1−8)という。)。
【0149】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−6)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1−5)を(C1−8)に変え、シリンダ温度を250℃から240℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド68質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−6)という。)。
【0150】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−7)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1−5)を(B1−5)に変え、シリンダ温度を250℃から350℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド68質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−7)という。)。
【0151】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−8)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1−5)を(B1−6)に変え、シリンダ温度を250℃から330℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド68質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−8)という。)。
【0152】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−9)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1−5)を(B1−7)に変え、シリンダ温度を250℃から290℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド68質量%、耐衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C−9)という。)。
【0153】
実施例1
上記に示すポリアミド12樹脂組成物(A−1)、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)3層チューブ成形機にて、(A−1)を押出温度260℃、(B−1)を押出温度240℃、(C−1)を押出温度250℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、管状に成形し、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A−1)からなる層を(a)層(最外層)、(B−1)からなる層を(b)層(中間層)、(C−1)からなる層を(c)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)=0.75/0.15/0.10mm、内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0154】
実施例2
実施例1において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0155】
実施例3
実施例1において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−3)に変え、(C−3)の押出温度を270℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0156】
実施例4
実施例1において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−4)に変え、(C−4)の押出温度を270℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0157】
実施例5
実施例1において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−5)に変え、(C−5)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0158】
実施例6
実施例1において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−6)に変え、(C−6)の押出温度を240℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0159】
実施例7
実施例1において、ポリアミド12樹脂組成物(A−1)をポリアミド610樹脂組成物(A−2)に変え、(A−2)の押出温度を270℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0160】
実施例8
実施例1において、ポリアミド12樹脂組成物(A−1)をポリアミド612樹脂組成物(A−3)に変え、(A−3)の押出温度を270℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0161】
実施例9
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)を(B−2)に変え、(B−2)の押出温度を250℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0162】
実施例10
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)を(B−3)に変え、(B−3)の押出温度を260℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0163】
実施例11
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)を(B−4)に変え、(B−4)の押出温度を230℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0164】
実施例12
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)を(B−5)に変え、(B−5)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0165】
実施例13
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)を(B−6)に変え、(B−6)の押出温度を300℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0166】
実施例14
実施例9において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−3)に変え、(C−3)の押出温度を270℃に変更した変更した以外は、実施例9と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0167】
実施例15
実施例10において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−5)に変え、(C−5)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例10と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0168】
実施例16
実施例11において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−6)に変え、(C−6)の押出温度を240℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0169】
比較例1
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す単層チューブを得た。当該単層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0170】
比較例2
実施例1において、ポリアミド12樹脂組成物(A−1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0171】
比較例3
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0172】
比較例4
実施例1において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−7)に変え、(C−7)の押出温度を350℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0173】
比較例5
実施例1において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−8)に変え、(C−8)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0174】
比較例6
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(B−1)を(B−7)に変え、(B−7)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0175】
比較例7
実施例6において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C−1)を(C−9)に変え、(C−9)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J−2260に準拠して測定したところ、10
6Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0176】
【表1】
【0177】
表1から明らかなように、本発明に規定の半芳香族ポリアミド及び導電性半芳香族ポリアミド組成物からなる層を有していない比較例1の単層チューブは薬液透過防止性に劣り、導電性を有していない。本発明に規定の脂肪族ポリアミドからなる層を有していない比較例2の積層チューブは低温耐衝撃性や耐劣化燃料性に劣っていた。本発明に規定の脂肪族ポリアミドからなる層を有していない比較例3の積層チューブは薬品透過防止性に劣っていた。本発明に規定以外の導電性半芳香族ポリアミド組成物からなる層を有する比較例4や5の積層チューブは成形加工時熱安定性や耐劣化燃料性に劣っていた。本発明に規定以外の半芳香族ポリアミドからなる層を有する比較例6の積層チューブは耐劣化燃料性や層間接着性に劣っていた。本発明に規定以外の半芳香族ポリアミドからなる層と導電性半芳香族ポリアミド組成物からなる層を有する比較例7の積層チューブは耐劣化燃料性や層間接着性に劣っていた。
一方、本発明に規定されている実施例1から16の積層チューブは、導電性を有しており、成形加工時熱安定性、低温耐衝撃性、耐劣化燃料性、薬液透過防止性、及び層間接着性等の諸特性が良好であることは明らかである。