特許第6202265号(P6202265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202265
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】変位センサーの岩盤設置構造
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/06 20060101AFI20170914BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20170914BHJP
   E02D 1/00 20060101ALI20170914BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01C7/06
   G01B11/00 G
   E02D1/00
   G21F9/36 541D
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-208627(P2013-208627)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-72225(P2015-72225A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100099704
【弁理士】
【氏名又は名称】久寶 聡博
(72)【発明者】
【氏名】鵜山 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】深谷 正明
(72)【発明者】
【氏名】畑 浩二
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−159163(JP,A)
【文献】 実開平4−53504(JP,U)
【文献】 特開昭63−85401(JP,A)
【文献】 米国特許第5511429(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01C 1/00− 1/14
G01C 5/00−15/14
E02D 1/00− 3/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサー本体、該センサー本体に対して進退自在に取り付けられたロッド状部材及び互いに対向するように前記センサー本体と前記ロッド状部材に配置された一対のミラーとを備え該一対のミラーに入射された光がファブリペロー干渉光として前記一対のミラーから出力され該干渉光を用いて前記ロッド状部材の進退方向に沿った前記センサー本体との相対変位が検出できるように構成された変位センサーと、岩盤内に穿孔された観測孔に着脱自在に固定可能な前方側アンカーと、前記前方側アンカーから後方に離間した位置にて前記観測孔に着脱自在に固定可能な後方側アンカーとを備えるとともに、前記ロッド状部材の進退方向が前記観測孔の孔軸と平行になるようにかつ前記前方側アンカー及び前記後方側アンカーのうち、一方の動きに前記ロッド状部材が追従し他方の動きに前記センサー本体が追従するように、前記前方側アンカー、前記変位センサー及び前記後方側アンカーをこの順序で前記観測孔内に配置したことを特徴とする変位センサーの岩盤設置構造。
【請求項2】
前記前方側アンカー及び前記後方側アンカーのうち、一方に連結自在に構成されその反対側端部にてガイドロッドが立設された第1の連結部と前記前方側アンカー及び前記後方側アンカーの他方に連結自在に構成されその反対側端部にて前記ガイドロッドが挿通されるガイド孔が形成された第2の連結部とからなるセンサー装着部材を備えるとともに、前記第1の連結部に設けられた本体挿通孔に前記センサー本体を挿通して該本体挿通孔の開口周縁に該センサー本体を固定することにより、前記変位センサーを、前記ロッド状部材の頭部が前記第2の連結部に形成された当接部に対向又は当接した状態になり、前記ロッド状部材の進退方向が前記ガイドロッド及び前記ガイド孔による前記第1の連結部及び前記第2の連結部の案内方向と平行になり、前記観測孔に設置された状態では該観測孔の孔軸と平行になるように前記センサー装着部材に装着できるようになっている請求項1記載の変位センサーの岩盤設置構造。
【請求項3】
前記前方側アンカーと前記センサー装着部材との間又は前記センサー装着部材と前記後方側アンカーとの間に介在される形でそれらに各端をそれぞれ連結可能な延長ロッドを備えた請求項2記載の変位センサーの岩盤設置構造。
【請求項4】
前記前方側アンカー、前記センサー装着部材及び前記後方側アンカー又はそれらに加えて前記延長ロッドをそれらが互いに連結された状態で前記観測孔内に挿入し又は該観測孔内から回収する挿入回収ロッドを備えた請求項2又は請求項3記載の変位センサーの岩盤設置構造。
【請求項5】
前記延長ロッド又は前記挿入回収ロッドが前記観測孔内に配置された状態においてその材軸が前記観測孔の孔軸に保持されるように該延長ロッド又は挿入回収ロッドにセンター保持部材を取り付けた請求項3又は請求項4記載の変位センサーの岩盤設置構造。
【請求項6】
前記変位センサーのうち、前記本体挿通孔に挿通された状態で前記第2の連結部の側に延びる部位が取り囲まれるように該本体挿通孔の開口周縁からスリーブを立設するとともに該スリーブが挿入されるスリーブ収容凹部を前記第2の連結部に設けて該スリーブ収容凹部の底面を前記当接部とし、前記第1の連結部及び前記第2の連結部の相対移動に伴って前記スリーブが前記スリーブ収容凹部に対して相対移動したとき、前記スリーブ収容凹部の内周面と前記スリーブの外周面との間の止水性が保持されるようにそれらの間に止水部材を配置した請求項2記載の変位センサーの岩盤設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として長期間にわたって監視が必要な大規模地下空洞、特に高レベル放射性廃棄物の貯蔵処分施設に適用される変位センサーの岩盤設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル、石油備蓄施設、高レベル放射性廃棄物の貯蔵処分施設といった大規模地下空洞を岩盤内に構築するにあたっては、空洞形成に伴う周辺岩盤への影響を把握することで岩盤の安定性を検証し、ひいては施設の安全性を確保する必要がある。
【0003】
空洞形成による岩盤への影響評価は、岩盤の変位や解放ひずみあるいは応力変化を計測することで行われており、例えば、ドリルジャンボと呼ばれる掘削機やボーリングマシンを用いて空洞内面に観測孔を穿孔した後、該観測孔に電気式の岩盤変位計やひずみ計といった計測機器のアンカー部を挿入するとともに、該アンカー部を観測孔に充填注入された固化材で固定して行われることが多い。
【0004】
一方、昨今においては、施設の維持管理がより重要視されており、施工時のみならず、運用開始後においても長期間にわたって岩盤の変位あるいはひずみの計測が継続的に行われることが望まれるが、電気式の計測機器では、耐腐食性、耐薬品性、高絶縁性が十分ではなく、長期モニタリングに適しているとは言い難い(特許文献1)。
【0005】
かかる状況下、光ファイバーを用いた岩盤変位計が開発されており、例えばFBGセンサ(Fiber Bragg Grating)が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−304601号公報
【特許文献2】特開2010−210317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、FBGセンサは、一般的には分解能が10μmと言われており、岩盤内に生じる微小ひずみを計測するには十分ではないという問題を生じていた。
【0008】
また、特許文献2記載の計測方法では、計測機器の一部をグラウト材によって観測孔内に定着させるものであるため、計測位置を変更したい場合には、あらたな観測孔を穿孔した上、該観測孔に岩盤変位計を別途設置せざるを得ないという問題も生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、長期モニタリングに適しかつ計測位置の変更にも容易に適応が可能な変位センサーの岩盤設置構造を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る変位センサーの岩盤設置構造は請求項1に記載したように、センサー本体、該センサー本体に対して進退自在に取り付けられたロッド状部材及び互いに対向するように前記センサー本体と前記ロッド状部材に配置された一対のミラーとを備え該一対のミラーに入射された光がファブリペロー干渉光として前記一対のミラーから出力され該干渉光を用いて前記ロッド状部材の進退方向に沿った前記センサー本体との相対変位が検出できるように構成された変位センサーと、岩盤内に穿孔された観測孔に着脱自在に固定可能な前方側アンカーと、前記前方側アンカーから後方に離間した位置にて前記観測孔に着脱自在に固定可能な後方側アンカーとを備えるとともに、前記ロッド状部材の進退方向が前記観測孔の孔軸と平行になるようにかつ前記前方側アンカー及び前記後方側アンカーのうち、一方の動きに前記ロッド状部材が追従し他方の動きに前記センサー本体が追従するように、前記前方側アンカー、前記変位センサー及び前記後方側アンカーをこの順序で前記観測孔内に配置したものである。
【0011】
また、本発明に係る変位センサーの岩盤設置構造は、前記前方側アンカー及び前記後方側アンカーのうち、一方に連結自在に構成されその反対側端部にてガイドロッドが立設された第1の連結部と前記前方側アンカー及び前記後方側アンカーの他方に連結自在に構成されその反対側端部にて前記ガイドロッドが挿通されるガイド孔が形成された第2の連結部とからなるセンサー装着部材を備えるとともに、前記第1の連結部に設けられた本体挿通孔に前記センサー本体を挿通して該本体挿通孔の開口周縁に該センサー本体を固定することにより、前記変位センサーを、前記ロッド状部材の頭部が前記第2の連結部に形成された当接部に対向又は当接した状態になり、前記ロッド状部材の進退方向が前記ガイドロッド及び前記ガイド孔による前記第1の連結部及び前記第2の連結部の案内方向と平行になり、前記観測孔に設置された状態では該観測孔の孔軸と平行になるように前記センサー装着部材に装着できるようになっているものである。
【0012】
また、本発明に係る変位センサーの岩盤設置構造は、前記前方側アンカーと前記センサー装着部材との間又は前記センサー装着部材と前記後方側アンカーとの間に介在される形でそれらに各端をそれぞれ連結可能な延長ロッドを備えたものである。
【0013】
また、本発明に係る変位センサーの岩盤設置構造は、前記前方側アンカー、前記センサー装着部材及び前記後方側アンカー又はそれらに加えて前記延長ロッドをそれらが互いに連結された状態で前記観測孔内に挿入し又は該観測孔内から回収する挿入回収ロッドを備えたものである。
【0014】
また、本発明に係る変位センサーの岩盤設置構造は、前記延長ロッド又は前記挿入回収ロッドが前記観測孔内に配置された状態においてその材軸が前記観測孔の孔軸に保持されるように該延長ロッド又は挿入回収ロッドにセンター保持部材を取り付けたものである。
【0015】
また、本発明に係る変位センサーの岩盤設置構造は、前記変位センサーのうち、前記本体挿通孔に挿通された状態で前記第2の連結部の側に延びる部位が取り囲まれるように該本体挿通孔の開口周縁からスリーブを立設するとともに該スリーブが挿入されるスリーブ収容凹部を前記第2の連結部に設けて該スリーブ収容凹部の底面を前記当接部とし、前記第1の連結部及び前記第2の連結部の相対移動に伴って前記スリーブが前記スリーブ収容凹部に対して相対移動したとき、前記スリーブ収容凹部の内周面と前記スリーブの外周面との間の止水性が保持されるようにそれらの間に止水部材を配置したものである。
【0016】
本発明に係る変位センサーの岩盤設置構造においては、センサー本体に対するロッド状部材の相対変位をファブリペロー干渉計の原理を用いて計測可能な変位センサーを用いて岩盤の変位を計測するが、かかる変位センサーを設置するにあたっては、岩盤内に観測孔を穿孔し、該観測孔内に、前方側アンカー、変位センサー及び後方側アンカーをこの順序で配置する。
【0017】
ここで、前方側アンカー及び後方側アンカーは、互いに所定の離間距離だけ隔てられるようにそれぞれ観測孔に固定するが、変位センサーは、ロッド状部材の進退方向が観測孔の孔軸と平行になるようにかつ前方側アンカー及び後方側アンカーのうち、一方の動きにロッド状部材が追従し他方の動きにセンサー本体が追従するように配置する。
【0018】
このようにすると、観測孔の孔軸に沿った前方側アンカーと後方側アンカーとの2点間相対変位が、変位センサーを構成するセンサー本体とロッド状部材との相対変位として該変位センサーに伝達されるため、変位センサーから光ファイバーケーブルを介して出力されるファブリペロー干渉光をシグナルコンディショナーで分析するようにすれば、前方側アンカーと後方側アンカーが固定された2点間における岩盤の相対変位、さらにはそれを2点間距離で除することで岩盤のひずみを計測することができる。
【0019】
また、前方側アンカー及び後方側アンカーが観測孔に着脱自在に固定できるようになっているため、計測箇所を変更したい場合や保守点検したい場合に観測孔への挿入配置や観測孔からの回収が可能となり、かくして長期モニタリングに最適な構成となる。
【0020】
ファブリペロー式の変位センサーは、例えばオプセンス社(OPSENS Inc. 2014, rue Cyrille-Duquet, Bureau 125, Que'bec, Que'bec G1N 4N6 Canada)から「ODP-A Fiber optic displacement sensor(Multi-purpose fiber optic displacement sensor)」の名称で市販されているものを用いることが可能である。
【0021】
前方側アンカー及び後方側アンカーは、例えば観測孔の孔壁から反力をとる形で、観測孔に着脱自在に固定できるようになっていればよく、例えば観測孔に設置された状態でその孔軸に直交する方向に展開収縮が自在で観測孔の孔壁に当接する一対の当接板を備えた構成を採用することができる。
【0022】
変位センサーは、ロッド状部材が前方側アンカー及び後方側アンカーのうちの一方の動きに追従し、他方の動きにセンサー本体が追従するように構成する限り、前方側アンカーと後方側アンカーに対し、どのように連結しあるいは接続するかは任意であるが、例えば、前方側アンカー及び後方側アンカーのうち、一方に連結自在に構成されその反対側端部にてガイドロッドが立設された第1の連結部と前方側アンカー及び前記後方側アンカーの他方に連結自在に構成されその反対側端部にてガイドロッドが挿通されるガイド孔が形成された第2の連結部とからなるセンサー装着部材を備えるとともに、第1の連結部に設けられた本体挿通孔にセンサー本体を挿通して該本体挿通孔の開口周縁に該センサー本体を固定することにより、変位センサーを、ロッド状部材の頭部が第2の連結部に形成された当接部に対向又は当接した状態になり、ロッド状部材の進退方向がガイドロッド及びガイド孔による第1の連結部及び第2の連結部の案内方向と平行になり、観測孔に設置された状態では該観測孔の孔軸と平行になるようにセンサー装着部材に装着できるように構成することが可能である。
【0023】
かかる構成によれば、ガイドロッド及びガイド孔の協働作用により、第1の連結部及び第2の連結部が観測孔の孔軸に沿った方向にのみ相対移動するため、前方側アンカー及び後方側アンカーを介した岩盤の変位は、該変位センサーを構成するロッド状部材の進退方向に沿った相対変位のみが入力されることとなり、かくして変位センサーに側方荷重が作用して計測誤差が生じたり破損したりするのを未然に防止することが可能となる。
【0024】
前方側アンカー、センサー装着部材及び後方側アンカーは、これらをその順序で直接連結するようにしてもかまわないが、前方側アンカーとセンサー装着部材との間又はセンサー装着部材と後方側アンカーとの間に介在される形でそれらに各端をそれぞれ連結可能な延長ロッドを備えるようにしたならば、延長ロッドの長さを適宜設定することによって前方側アンカーと後方側アンカーとの2点間距離を任意に調整することが可能となり、岩盤変位の計測を行う際の自由度が拡がる。
【0025】
前方側アンカー、センサー装着部材及び後方側アンカー又はそれらに加えて延長ロッドを観測孔内に配置する方法は任意であるが、これらが互いに連結された状態で観測孔内に挿入し又は該観測孔内から回収する挿入回収ロッドを備えるようにしたならば、観測孔の奥深い場所への挿入設置やその位置からの回収が可能となり、岩盤変位の計測領域が拡がる。
【0026】
ここで、延長ロッド又は挿入回収ロッドが観測孔内に配置された状態においてその材軸が観測孔の孔軸に保持されるように該延長ロッド又は挿入回収ロッドにセンター保持部材を取り付けた構成を採用することができる。
【0027】
かかる構成によれば、観測孔内に配置された前方側アンカー、センサー装着部材及び後方側アンカー又はそれらに加えて延長ロッドを挿入回収ロッドで回収する場合、その先端を後方側アンカーの連結箇所に容易に位置あわせすることができるので、観測孔の奥深い箇所に設置されている状況であっても、回収作業を効率よく行うことができる。
【0028】
岩盤変位を計測する際の地下水による変位センサーへの影響を回避することに関し、変位センサー自体が有する耐水性が十分でない場合には、変位センサーのうち、本体挿通孔に挿通された状態で第2の連結部の側に延びる部位が取り囲まれるように該本体挿通孔の開口周縁からスリーブを立設するとともに該スリーブが挿入されるスリーブ収容凹部を第2の連結部に設けて該スリーブ収容凹部の底面を上述の当接部とし、第1の連結部及び第2の連結部の相対移動に伴ってスリーブがスリーブ収容凹部に対して相対移動したとき、スリーブ収容凹部の内周面とスリーブの外周面との間の止水性が保持されるようにそれらの間に止水部材を配置した構成とすることにより、変位センサー周囲に地下水が浸入するのを未然に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造の全体図。
図2】前方側アンカー及び後方側アンカーの図であり、(a)は前方側アンカーの縦断面図、(b)はA−A線に沿う横断面図、(c)は後方側アンカーの縦断面図。
図3】変位センサーとそれを装着するセンサー装着部材の図であり、(a)は変位センサーの全体斜視図、(b)はセンサー装着部材の縦断面図、(c)はB−B線に沿う横断面図。
図4】変位センサーを設置する手順を示した説明図。
図5】前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を挿入回収ロッド61を用いて観測孔3に挿入配置する様子を示した縦断面図。
図6】本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造を用いて岩盤変位を計測する際の岩盤変位計測システムを示したブロック図。
図7】延長ロッド82を用いた変形例に係る縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る変位センサーの岩盤設置構造の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造を示した縦断面図である。同図に示すように本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造1は、前方側アンカー5、該前方側アンカーの後端に連結されたセンサー装着部材8及び該センサー装着部材の後端に連結された後方側アンカー6を岩盤2内に穿孔された観測孔3内に配置して構成してあるとともに、センサー装着部材8には変位センサー7を装着してある。
【0032】
前方側アンカー5及び後方側アンカー6はそれぞれ、観測孔3の孔壁4から反力をとる形で該孔壁に着脱自在に固定可能になっており、後方側アンカー6は、前方側アンカー5から後方に距離Lだけ離間した位置に配置してある。
【0033】
前方側アンカー5は図2(a)、(b)に示すように、観測孔3内における配置姿勢でその孔軸と直交するように配置された押出し用ピストン21と、その先端に取り付けられた押出し板22と、押出し用ピストン21の先端側が突出した状態でその鍔状基部23が収容される中空部24が液密に形成されたアンカー本体25と、該アンカー本体と押出し板22との間に挟み込まれるように押出し用ピストン21の両側方に配置された押出しバネ26,26とを備え、中空部24の内部空間のうち、押出し用ピストン21の鍔状基部23の先端側スペース27に連通するように油圧管路28をアンカー本体25に形成して該油圧管路に油圧ホース29を接続するとともに、押出し板22とアンカー本体25のうち、観測孔3の孔壁4と対向する側には、それぞれ当接板30a,30bを取り付けてある。
【0034】
後方側アンカー6も前方側アンカー5とほぼ同様、図2(c)に示すように観測孔3内における配置姿勢でその孔軸と直交するように配置された押出し用ピストン21と、その先端に取り付けられた押出し板22と、押出し用ピストン21の先端側が突出した状態でその鍔状基部23が収容される中空部24が液密に形成されたアンカー本体25と、該アンカー本体と押出し板22との間に挟み込まれるように押出し用ピストン21の両側方に配置された押出しバネ26,26とを備え、中空部24の内部空間のうち、押出し用ピストン21の鍔状基部23の先端側スペース27に連通するように油圧管路28をアンカー本体25に形成して該油圧管路に油圧ホース29を接続するとともに、押出し板22とアンカー本体25のうち、観測孔3の孔壁4と対向する側には、それぞれ当接板30a,30bを取り付けてあるが、後方側アンカー6においては、挿入回収用連結部31を後端側に連結してあるとともに、該挿入回収用連結部の後面には、円錐すり鉢状の凹部32を設けた上、その底面に雌ネジ33を穿孔形成してある。
【0035】
変位センサー7は図3(a)に示すように、オプセンス社から「ODP-A Fiber optic displacement sensor」の名称で市販されている変位センサーで構成してあり、取付け用ブラケット44が径方向に突設された円筒状のセンサー本体41と、該センサー本体に対してその材軸方向に進退自在に取り付けられたロッド状部材42と、互いに対向するようにセンサー本体41とロッド状部材42に配置された一対のミラー(図示せず)とを備え、該一対のミラーに光ファイバーケーブル43を介して入射させた光をファブリペロー干渉光として同じく光ファイバーケーブル43を介して出力させ、該干渉光を用いてロッド状部材42の進退方向に沿ったセンサー本体42との相対変位を計測できるようになっている。
【0036】
ここで、ロッド状部材42は、内蔵スプリング(図示せず)によってセンサー本体41から前進方向に付勢されるようになっている。
【0037】
センサー装着部材8は図3(b),(c)に示すように、後方側アンカー6に連結自在に構成されその反対側端部にてガイドロッド45が立設された第1の連結部46と、前方側アンカー5に連結自在に構成されその反対側端部にてガイドロッド45が挿通されるガイド孔47が形成された第2の連結部48とで構成してある。
【0038】
ここで、センサー装着部材8は、第1の連結部46に設けられた本体挿通孔49に変位センサー7のセンサー本体41を挿通して該本体挿通孔の開口周縁に該センサー本体を取付け用ブラケット44で固定することで、変位センサー7を、ロッド状部材42の頭部が第2の連結部48に形成された当接部50に対向又は当接した状態となり、ロッド状部材42の進退方向がガイドロッド45及びガイド孔47による第1の連結部46及び第2の連結部48の案内方向と平行になり、観測孔3に設置された状態では該観測孔の孔軸と平行になるように装着できるようになっているとともに、かかる構成によって、変位センサー7のロッド状部材42が前方側アンカー5の動きに追従し、センサー本体41が後方側アンカー6の動きに追従できるようになっている。
【0039】
一方、第1の連結部46には、変位センサー7のうち、本体挿通孔49に挿通された状態で第2の連結部48の側に延びる部位が取り囲まれるように、該本体挿通孔の開口周縁からスリーブ51を立設するとともに、該スリーブが挿入されるスリーブ収容凹部52を第2の連結部48に設けて該スリーブ収容凹部52の底面を当接部50とし、第1の連結部46及び第2の連結部48の相対移動に伴ってスリーブ51がスリーブ収容凹部52に対して相対移動したとき、スリーブ収容凹部52の内周面とスリーブ51の外周面との間の止水性が保持されるように、それらの間に止水部材を配置してある。止水部材は同図には示していないが、例えばOリングで構成することが可能である。
【0040】
なお、第1の連結部46のうち、変位センサー7を構成するセンサー本体41の基端側が突出する空間頂部には、該空間に向けて開いた形状となるようにケーブル溝53が形成してあるとともに、該ケーブル溝に連通するケーブル孔54を第1の連結部46の後端側に穿孔してあり、これらのケーブル溝53及びケーブル孔54に変位センサー7に接続された光ファイバーケーブル43を嵌め込みあるいは挿通することにより、該光ファイバーケーブルをセンサー装着部材8の外側に引き出すことができるようになっている。
【0041】
本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造1を用いて岩盤変位を計測するには、まず、センサー装着部材8に変位センサー7を装着した上、図1で説明したように、前方側アンカー5、センサー装着部材8、後方側アンカー6の順でそれらを相互に連結する。前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6は、後述する計測対象区間の数だけ複数組を組み立てておく。
【0042】
ここで、前方側アンカー5や後方側アンカー6に接続された油圧ホース29を介して押出し用ピストン21の鍔状基部23に油圧を作用させることにより、該押出し用ピストンを中空部24の底部に向けて押し下げる。
【0043】
このようにすれば、後述する挿入設置作業に支障がなきよう、押出し用ピストン21の先端に取り付けられた当接板30aを退避させておくことができる。
【0044】
一方、これらの連結組立作業と並行して、図4(a)に示すように岩盤2に観測孔3を穿孔し、しかる後、孔壁観察カメラ等で観測孔3の孔壁4を観察することにより、図4(b)に示すように、例えば亀裂55が発見された3つの区間A,B,Cを計測対象区間と定める。
【0045】
次に、相互連結された3組の前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を、1組ずつ観測孔3内に挿入しては亀裂55を跨ぐ位置で前方側アンカー5及び後方側アンカー6を孔壁4に固定することにより、図4(c)に示すように、3組の前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を各区間A,B,Cにそれぞれ設置する。
【0046】
前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を観測孔3に挿入するにあたっては、図5(a)に示す挿入回収ロッド61を用いる。
【0047】
挿入回収ロッド61は、ロッド本体62と該ロッド本体の径方向に90゜ごとに突設された4枚の板状スペーサーからなるセンター保持部材63とで構成してあり、該センター保持部材によって、ロッド本体62の材軸が観測孔3の孔軸に保持されるようになっているとともに、ロッド本体62の先端には雌ネジ64を形成してある。
【0048】
挿入回収ロッド61を用いて前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を観測孔3に挿入するには、まず、後方側アンカー6の後端側に連結された挿入回収用連結部31の雌ネジ33に挿入回収ロッド61の雄ネジ64を螺合することにより、挿入回収ロッド61を、前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6と一体化させ、次いで、挿入回収ロッド61を把持しつつ、観測孔3の開口位置から区間Aまでの距離だけ観測孔3の奥側に押し込む。
【0049】
次に、油圧ホース29の基端側に接続された図示しない油圧ポンプを停止することにより、押出し用ピストン21の鍔状基部23に作用する油圧を解除する。
【0050】
このようにすると図5(b)に示すように、押出しバネ26,26は、アンカー本体25から反力をとる形で押出し板22を孔軸直交方向(同図矢印方向)に前進させるとともに、該押出し板に取り付けられた当接板30aとその背中合わせに位置する当接板30bとを観測孔3の孔壁4に押し付けるので、前方側アンカー5及び後方側アンカー6は、その位置に固定される。
【0051】
前方側アンカー5及び後方側アンカー6を観測孔3の孔壁4に固定したならば、次に、挿入回収ロッド61を逆方向に回すことで、その先端の雄ネジ64を挿入回収用連結部31の雌ネジ33から取り外し、しかる後、挿入回収ロッド61を引き抜く。
【0052】
以下、上述したと同様の手順で、残り2組の前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を、それぞれ区間B,Cに設置する。
【0053】
3組の前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を設置したならば、図6に示すように、各変位センサー7を光ファイバーケーブル43を介してシグナルコンディショナー71に接続するとともに、該シグナルコンディショナーに解析用のコンピュータ72を接続し、次いで、シグナルコンディショナー71に内蔵された光源(図示せず)からの光を光ファイバーケーブル43を介して各変位センサー7に内蔵された一対のミラーに入射する一方、該一対のミラーから出力されるファブリペロー干渉光をシグナルコンディショナー71で分析することにより、ロッド状部材42の進退方向に沿ったセンサー本体42との相対変位、ひいては区間A,B,Cにおける岩盤の変位を計測する。
【0054】
シグナルコンディショナー71は、オプセンス社から「Fiber optic Signal Conditioner」の名称で市販されているもので構成することができる。
【0055】
一連の計測が終了した後、計測位置を変更する、保守点検する等の理由で、前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を回収したい場合には、まず、観測孔3に挿入回収ロッド61を挿入し、その先端に形成された雄ネジ64を、後方側アンカー6の後端側に連結された挿入回収用連結部31の雌ネジ33に螺合することにより、挿入回収ロッド61を、前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6と一体化する。
【0056】
ここで、挿入回収用連結部31の雌ネジ33は、円錐すり鉢状の凹部32の底面に形成してあるので(図5(a)参照)、該雌ネジの材軸が挿入回収ロッド61の材軸とずれていたとしても、その先端に形成された雄ネジ64は、凹部32の円錐面上で頭部を滑らせるようしながら、挿入回収用連結部31の雌ネジ33に自然に嵌り込む。
【0057】
そのため、挿入回収ロッド61にセンター保持部材63が設けてあることとも相俟って、前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6が観測孔3の奥深くに設置されている場合であっても、挿入回収ロッド61の先端を後方側アンカー6の後端側に連結された挿入回収用連結部31に確実に螺着することができる。
【0058】
挿入回収ロッド61を前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6に一体化させたならば、次に、前方側アンカー5と後方側アンカー6に接続された各油圧ホース29を介して押出し用ピストン21の鍔状基部23に油圧を作用させることにより、該押出し用ピストンを中空部24の底部に向けて押し下げる。
【0059】
このようにすると、押出し用ピストン21の先端に取り付けられた当接板30aとその背中合わせとなる位置に配置された当接板30bが観測孔3の孔壁4から離脱するので、挿入回収ロッド61を引き抜くことにより、該挿入回収ロッドに一体化された前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6を観測孔3から回収することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造1によれば、変位センサー7のロッド状部材42が前方側アンカー5の動きに追従し、センサー本体41が後方側アンカー6の動きに追従するので、前方側アンカー5と後方側アンカー6との2点間相対変位が、変位センサー7を構成するセンサー本体41とロッド状部材42との相対変位として該変位センサーに伝達される。
【0061】
そのため、変位センサー7から光ファイバーケーブル43を介して出力されるファブリペロー干渉光をシグナルコンディショナー71で分析するようにすれば、前方側アンカー5と後方側アンカー6が固定された2点間における岩盤2の相対変位、さらにはそれを2点間距離Lで除することで岩盤2のひずみを計測することができる。
【0062】
ちなみに、変位センサー7は、ファブリペロー干渉計の原理を用いているため、1μmの分解能で岩盤2の変位を計測することが可能である。
【0063】
また、前方側アンカー5及び後方側アンカー6が観測孔3に着脱自在に固定できるようになっているため、計測箇所を変更したい場合や保守点検したい場合に観測孔3への挿入配置や観測孔3からの回収が可能となり、かくして長期モニタリングに最適な構成となる。
【0064】
また、本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造1によれば、センサー装着部材8を、変位センサー7のロッド状部材42の進退方向が、ガイドロッド45及びガイド孔47による第1の連結部46及び第2の連結部48の案内方向と平行になり、観測孔3に設置された状態では、該観測孔の孔軸と平行になるように構成したので、 前方側アンカー5及び後方側アンカー6を介した岩盤2の変位は、変位センサー7を構成するロッド状部材42の進退方向に沿った相対変位のみが入力されることとなり、かくして変位センサー7に側方荷重が作用して計測誤差が生じたり破損したりするのを未然に防止することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造1によれば、前方側アンカー5、センサー装着部材8及び後方側アンカー6をそれらが互いに連結された状態で観測孔3内に挿入し又は該観測孔内から回収可能な挿入回収ロッド61を備えたので、観測孔3の奥深い場所への挿入設置やその位置からの回収が可能となり、岩盤変位の計測領域が拡がる。
【0066】
また、本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造1によれば、挿入回収ロッド61にセンター保持部材63を設けるようにしたので、回収の際、挿入回収ロッド61の先端を後方側アンカー6の連結箇所に容易に位置あわせすることが可能となり、かくして観測孔3の深い位置であっても、回収作業を効率よく行うことができる。
【0067】
また、本実施形態に係る変位センサーの岩盤設置構造1によれば、変位センサー7のうち、第2の連結部48の側に延びる部位が取り囲まれるように、第1の連結部46の本体挿通孔49の開口周縁からスリーブ51を立設するとともに、該スリーブが挿入されるスリーブ収容凹部52を第2の連結部48に設け、第1の連結部46及び第2の連結部48の相対移動に伴ってスリーブ51がスリーブ収容凹部52に対して相対移動したとき、スリーブ収容凹部52の内周面とスリーブ51の外周面との間の止水性が保持されるように、それらの間に止水部材を配置するようにしたので、変位センサー7の周囲に地下水が浸入するのを未然に防止することができる。
【0068】
本実施形態では、前方側アンカー5及び後方側アンカー6を、観測孔3の孔壁4から反力をとる形で該観測孔に着脱自在に固定する構成としたが、前方側アンカー5及び後方側アンカー6を固定するための部位としては、観測孔3の孔壁4に限定されるものではなく、観測孔3の開口近傍に設置する場合であれば、該観測孔の開口周囲に拡がる坑道や空洞の壁面に固定するようにしてもかまわない。
【0069】
また、本実施形態では、変位センサー7を構成するセンサー本体41及びロッド状部材42を、センサー装着部材8を介して前方側アンカー5と後方側アンカー6にそれぞれ連結するようにしたが、本発明の変位センサーは、ロッド状部材が前方側アンカー及び後方側アンカーのうちの一方の動きに追従し、他方の動きにセンサー本体が追従するように構成すれば足りるものであり、上述の構成に代えて、ロッド状部材を前方側アンカー及び後方側アンカーのうちの一方に直接連結し、他方にセンサー本体を直接連結するようにしてもかまわない。
【0070】
また、本実施形態では、変位センサー7が取り囲まれるように第1の連結部46にスリーブ51を立設するとともに、該スリーブが挿入されるスリーブ収容凹部52を第2の連結部48に設けた上、それらの間に止水部材を配置するようにしたが、変位センサー7に十分な防水性あるいは耐水性があるのであれば、スリーブ51やスリーブ収容凹部52を省略してもかまわない。
【0071】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、前方側アンカー5と後方側アンカー6との離間距離を変更したい場合には、それらの間に延長ロッドを介在させればよい。
【0072】
図7は、かかる変形例を示した図であり、同変形例においては、センサー装着部材8と後方側アンカー6との間に延長ロッド81を介在させてあるとともに、該延長ロッドにはセンター保持部材82を取り付けてある。
【0073】
延長ロッド81は、各端をセンサー装着部材8の後端と後方側アンカー6の前端にそれぞれ連結できるようになっている。
【0074】
センター保持部材82は、半円筒状スリーブ83、半円筒状スリーブ84及び該半円筒状スリーブの周面に突設された板状スペーサ85で構成してあり、延長ロッド81が挟み込まれるようにして半円筒状スリーブ83及び半円筒状スリーブ84を該延長ロッドに抱き合わせた上、それらの長手縁部に設けられた各リブを重ねてボルト接合することで、延長ロッド81に着脱自在に取り付けることができるようになっている。
【0075】
かかる構成によれば、延長ロッド81の全長を適宜設定することにより、前方側アンカー5と後方側アンカー6との離間距離L′を適宜調整することができるとともに、板状スペーサ85の突出長さを調整することにより、その下方縁部を観測孔3の孔壁4に当接させ、延長ロッド81の材軸を観測孔3の孔軸に保持することが可能となる。
【0076】
なお、延長ロッド81を用いた場合の岩盤変位の計測は、上述した例では、前方側アンカー5、センサー装着部材8、延長ロッド81、後方側アンカー6の順でそれらを連結した上、後方側アンカー6の後端に挿入回収ロッド61を螺合して挿入設置し、あるいは回収すればよいが、その手順は上述した実施形態とほぼ同様であるので、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0077】
1 変位センサーの岩盤設置構造
2 岩盤
3 観測孔
4 孔壁
5 前方側アンカー
6 後方側アンカー
7 変位センサー
8 センサー装着部材
41 センサー本体
42 ロッド状部材
45 ガイドロッド
46 第1の連結部
48 第2の連結部
47 ガイド孔
49 本体挿通孔
50 当接部
51 スリーブ
52 スリーブ収容凹部
61 挿入回収ロッド
63 センター保持部材
81 延長ロッド
83 センター保持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7