【実施例】
【0070】
図1は、本願発明の実施例に係る管理システム1の概要を示すブロック図である。以下、
図1の管理システム1の概要を説明する。
【0071】
本実施例に係る管理システム1(本願請求項の「コンテナ管理システム」の一例)は、輸出入業務に用いられるコンテナ(本願請求項の「海上コンテナ」の一例)の管理システムである。
図1を参照して、管理システム1は、海貨業者が用いるコンピュータである海貨業者端末3(本願請求項の「海貨業者端末」の一例)と、海コン業者が用いるコンピュータである海コン業者端末5(本願請求項の「海コン業者端末」の一例)と、コンテナを運送する運送車両(本願請求項の「運送車両」の一例)の運転手(本願請求項の「運転手」の一例)が個人所有して携帯する携帯電話端末7(本願請求項の「携帯電話端末」の一例)と、運送車両が有するETC車載器9(本願請求項の「無線端末」及び「ETC車載器」の一例)と、搬送車載端末11(本願請求項の「搬送車載端末」の一例)と、ゲート部13と、管理部15とを備える。
【0072】
ETC車載器9は、高速道路交通システムにおける自動料金収受のためのETCシステム(Electronic Toll Collection System)に用いられる車載器であって、ETC番号記憶部21及びETC通信部23を有する。搬送車載端末11は、搬送車入力部25と、搬送車表示部27と、搬送車通信部29とを有する。ゲート部13は、ハンディ端末31(本願請求項の「ハンディ端末」の一例)と、LED表示板33と、DSRCアンテナ35(本願請求項の「第1アンテナ」の一例)と、天井カメラ部37(本願請求項の「天井カメラ部」の一例)とを有する。
【0073】
ハンディ端末31は、ハンディ入力部39と、ハンディ表示部41と、ハンディ通信部43とを有する。天井カメラ部37は、証跡用カメラ45と、ダメージ確認用カメラ47と、文字読取部49(本願請求項の「文字読取部」の一例)と、カメラ通信部51とを有する。証跡用カメラ45は、コンテナ天井面に表示されたコンテナ番号を撮影するためのものであり、固定されて管理部15の制御に基づいて自動的に撮影を行う。ダメージ確認用カメラ47は、コンテナ天井面のダメージをゲートチェックマンが確認するためのものであり、移動することができる。
【0074】
管理部15は、管理処理部53と、管理判定部55(本願請求項の「判定手段」の一例)と、管理記憶部57と、管理通信部59(本願請求項の「管理通信部」の一例)と、管理制御部61と、マスク部62(本願請求項の「マスク部」の一例)を備える。また、管理処理部53は、ユニークキー割付部63と、コンテナ番号書換部65(本願請求項の「履歴修正部」の一例)と、TP番号割当部67と、EIR発行部69と、コンテナ優先順位決定部71とを有する。管理判定部55は、コンテナ引当判定部73と、運送車両判定部75と、コンテナ番号判定部77と、エラー判定部79と、文字認証判定部81とを有する。さらに、管理記憶部57は、作業履歴記憶部83(本願請求項の「作業履歴記憶部」の一例)と、Booking情報記憶部85と、M/F情報記憶部87と、撮影データ記憶部89とを有する。
【0075】
ETC車載器9は、運送車両がゲート部13に接近すると、ETC車載器9に固有のETC番号をDSRCアンテナ35に無線送信する。ETC番号記憶部21は、ETC番号を記憶する。ETC通信部23は、ETC番号記憶部21に格納されているETC番号をDSRCアンテナ35に無線送信する。また、ETC車載器9は、文字読取部49を有する証跡用カメラと連動する。
【0076】
搬送車載端末11は、ゲートの通過後に運送車両に対してコンテナのONシャーシ作業又はOFFシャーシ作業を行うストラドルキャリア等のコンテナ搬送機が有するコンピュータである。
【0077】
図2を参照して、ゲート(本願請求項の「輸出入ゲート」の一例)の近辺の設備について説明する。
図2は、管理システム1と連携するゲート設備の概要を示す図である。
【0078】
ゲート部13は、ゲート近辺にあって管理部15と情報を伝達し合う設備の総称である。ハンディ端末31は、ゲートにおいて運送車両の通過の可否を確認するゲートチェックマン(本願請求項の「ゲートチェックマン」の一例)が用いる携帯端末である。LED表示板33は、運送車両に対してTP(トランスファーポイント)や「STOP」等の指示を表示する。DSRCアンテナ35は、ETC車載器9からの情報を無線通信により受信して管理部15に伝達する。天井カメラ部37は、証跡用カメラ45とは異なるダメージ確認用カメラ47でコンテナの天井面を撮影して映像(本願請求項の「撮影データ」の一例)を管理部15に送信する。
【0079】
管理部15は、管理システム1内の情報を管理する。管理処理部53は、管理システム1内の情報を編集する。管理判定部55は、管理システム1内の情報に基づいて判定を行う。管理記憶部57は、船揚げからデバンニング、デバンニングからコンテナ返却場所、バンプールからバンニング、バンニングから船積みまでのコンテナに関する一連の作業履歴(本願請求項の「作業履歴」の一例)等のデータ群を記憶(格納)する。管理通信部59は、管理システム1内の各種機器間で情報を伝達させる。管理制御部61は、管理システム1内の各種機器を制御する。
【0080】
続いて、管理システム1を用いた輸出コンテナの流れについて
図3を用いて説明する。
図3は、管理システム1を用いた輸出コンテナの流れの概要を示すフロー図である。なお、
図3におけるステップのうち、従来のフロー図と異なるステップは、太い枠で強調して表示されている。
【0081】
ステップST001において、ターミナル運営会社は、船舶代理店からのコンテナ船の寄港スケジュールをTACTOSに登録する。TACTOSは、発明者らが開発したソフトウェアであり、本実施例における管理部15の一例である。
【0082】
ステップST002において、海貨事業者がTACTOSにBooking情報の入力/データ取り込みをする際、バンプルールに山積みされている空コンテナの引き当てる輸出コンテナが未決であるとする。従来であれば、コンテナに固有のコンテナ番号(本願請求項の「コンテナ番号」の一例)が確定するのを待ってコンテナ番号を入力するところ、ユニークキー割付部63が、貨物識別コードやコンテナ番号とは異なりコンテナ番号と連動するユニークキー(本願請求項の「ユニークキー」の一例)を割り付ける。これにより、Booking情報の画面には“仮番”と表示され、一連のトレーサビリティを実現する。
【0083】
コンテナ番号の例として、ABCD12345678のようなものが挙げられる。最初のアルファベット4文字は、コンテナの所有者である船社を表示する。海貨業者が海コン業者に対して指示をする場合に、「ABCD社のコンテナを使ってほしい」と指示する場合、最初のアルファベット4文字は確定するが、コンテナ番号は確定しない。
【0084】
また、コンテナの準備作業の遅れなどによりABCD社の船にコンテナを載せることができなくなる場合もある。すると、同社の次便が2週間後となるがそこまで待てないことも多い。このとき、EFGH社の船にコンテナを載せたいが、EFGH社は、自社のコンテナしか載せない方針としている。このような場合、コンテナを詰め替える必要があり、必然的にコンテナ番号も変更されることとなる。
【0085】
ステップST003において、ここでヤード搬入するコンテナが確定されると、荷役事業者又は海貨業者が、コンテナ番号をTACTOSに登録する。このとき、コンテナ番号が仮番号から正式の番号に変更されると、入力履歴の仮番号も正式の番号に自動的に変更される。
【0086】
ステップST004において、海貨業者は、WebシステムでコンテナのG/W(総重量)、シール番号(封印)、リマーク(本願請求項の「作業指示」の一例)を入力する。
【0087】
ステップST005において、海貨業者(乙仲業者)は、海貨業者端末3を用いてTACTOSのWebシステムで、輸出コンテナのヤード搬入を担う海コン業者を登録(入力指定)する。すると、管理通信部59は、当該海コン業者が有する海コン業者端末5に対して、コンテナ番号に代えて“仮番”と表示された情報を送信する。
【0088】
ステップST006において、海コン業者は、海コン業者端末5を用いて、海貨業者端末3から受信した登録済輸出コンテナの一覧に対し、運送車両、運転手、ヤード搬入予定日をTACTOSのWebシステムで登録(入力指定)する。すると、管理通信部59は、海貨業者端末3に対して海コン業者が受託した事実を送信する。また、管理通信部59は、ターミナル運営会社がTACTOSに登録した運転手の携帯電話(携帯電話端末7)に作業内容のメールを配信する。
【0089】
上記のように、仮番表示と後に遡っての修正とを行うことにより、コンテナ番号が決定される前に輸出入業務を迅速に開始することが可能となる。また、管理システム1が自動的に海貨業者、海コン業者及び運転手間の通信を行うことにより、トレーサビリティを確保しつつ、リアルタイムに輸出入業務を進めることが可能となる。
【0090】
ここで、管理システム1が連絡する携帯電話端末7は、運送車両の運転手が個人所有する携帯電話を前提としている。そのため、海コン業者がインターネットを介して管理システム1に登録した運転手の携帯電話端末のメールアドレスに対してのみ情報が発信される。第三者に送信されないので、コンテナを搬送する行為自体が、運転手の認証を行ったことになる。運転手は、ゲートにて国土交通省発行のPSカードで個人認証を受けなければならない。そのため、結果的に第三者が運転手に取って代わることができない。
【0091】
ステップST007において、バンプールにて空コンテナが運送車両にフォークリフト等で積載される際、管理通信部59は、搬送車載端末11が指定したコンテナ番号をTACTOSに登録させる。なお、フォークリフト等が搬送車載端末11を搭載していない場合は、バンプール事務所に設置された端末で入力してもよい。この際、コンテナ番号書換部65が、作業履歴記憶部83が有する作業履歴の“仮番”等の表示を確定後の正式なコンテナ番号に修正する。運転手は、バンニング場所に運送車両を移動させて貨物をコンテナに積み込む。貨物積み込み後、運送車両をヤード入場ゲートに移動する。
【0092】
ステップST008において、ゲートチェックマンは、積載された輸出コンテナのコンテナ番号(メイン番号:英字4桁+数字7桁または8桁)の下4桁(数字、メイン記号、本願請求項の「第2コンテナ番号」の一例)をハンディ入力部39からハンディ端末31に入力する。コンテナ番号判定部77は、入力されたコンテナ番号の下4桁の情報に基づいて、海コン業者による指定済の輸出コンテナであるか否かを判定する。管理通信部59は、判定結果をハンディ端末31に送信し、ハンディ表示部41に判定結果が表示される。また、ゲートチェックマンは、ハンディ端末31にコンテナ側面のダメージ入力を行う。
【0093】
なお、通常、コンピュータシステムのデータ処理は一連の流れで行われるが、ハンディ端末31でのコンテナ対象の特定と、ETC車載器9を用いた認証は同一データベースに対して独立して行われる。ハンディ端末31が行うコンテナ特定は、あくまでも海貨業者が作業登録をしたコンテナリストに対して行われる。ETC車載器9を用いた認証は、海コン業者が登録した情報に対して行われる。そのため、独立した多重のチェックにより、実業務の負荷を増やすことなく日常のルーティンワークによる思い込みのヒューマンエラーを失くすこととなり、物流トレーサビリティの信頼性を飛躍的に向上させられる。
【0094】
ステップST009において、管理制御部61は、運送車両がゲートに進入する際、LED表示板33に“STOP”と表示させる。また、ETC通信部23は、DSRCアンテナ35に対してETC番号記憶部21に記憶されたETC番号(本願請求項の「機体固有番号」の一例)を送信する(本願請求項の「無線送信ステップ」の一例)。DSRCアンテナは、ETC番号を管理部15に送信し、運送車両判定部75が、受信したETC番号と作業履歴で関係付けられているコンテナ番号(本願請求項の「第1コンテナ番号」の一例)、ゲート搬入指定日、輸出コンテナ、運送車両が全て正しいか否か、及び、運送車両のゲートの通過の是非を判定する(本願請求項の「判定ステップ」の一例)。
【0095】
ここで、ETC車載器9に固有のETC番号を認証情報として採用した理由は、ETC車載器9に記録された情報のうち、民間業者による変更が不可能な情報であるためである。これにより、トレーサビリティを確保することが容易となる。
【0096】
ステップST010において、管理制御部61は、証跡用カメラ45にコンテナの天井面(本願請求項の「コンテナの上面」の一例)を撮影させる。カメラ通信部51は、撮影データを管理部15に送信する。自動撮影する撮影データ(本願請求項の「撮影データ」の一例)は、作業証拠(コンテナ積載有無の状況)として管理システムの如何なる利用者も変更ができない状態で撮影データ記憶部89に記憶される。また、マスク部62は、ハンディ端末から証跡用カメラ45の撮影データへのアクセスを禁止するマスク処理(本願請求項の「マスク処理」の一例)を行う。これにより、トレーサビリティが強化される。また、撮影データは、管理部15が管理記憶部57に記憶された作業履歴と自動的に連携させることにより、各荷役事業者及びターミナル運営会社がリアルタイムで確認できる。文字認証判定部81は、撮影データに基づいて輸出コンテナのコンテナ番号(本願請求項の「第3コンテナ番号」の一例)の文字認証を行い、撮影されたコンテナが海コン事業者により登録されたコンテナであるか否かの判定を行う。
【0097】
ここで、コンテナが、扉等の部品が破損したために他のコンテナの対応する部品と交換したコンテナである場合もある(いわゆる「ニコイチ」)。例えば、ニコイチの理由で歩行者が視認できるコンテナ側面(本願請求項の「コンテナの側面」の一例)に表示されたコンテナ番号と、歩行者が視認できない天井に表示されたコンテナ番号が異なる場合、エラー判定部79は、エラー判定を行う。この場合、システムエラーが表示されてコンテナ情報にサブ番号(英字4桁+数字7桁または8桁、(本願請求項の「サブ番号」の一例))が追加登録される。
【0098】
ステップST011において、ゲートブース又はセンターの係員は、ダメージ確認用カメラ47の映像を確認して天井ダメージの有無を入力する。ETC車載器9の作業確認が完了した状態で、天井ダメージの入力とゲートチェックマンのハンディ端末からの入力がされると、TP番号割当部67は、TP番号を自動で割り当てる。管理制御部61は、ゲートに設置されたLED表示板33に割り当てられたTP番号を表示させる。
【0099】
ステップST012において、運転手は、LED表示板33に表示されたTP番号に基づいて運送車両を移動して停車する。続いて、管理制御部61は、搬送車載端末11の搬送車表示部27に作業指示を表示させ、OFFシャーシ作業が行われる。
【0100】
ここで、ストラドルキャリアからは、構造上、天井のコンテナ番号のみが視認可能である。サブ番号がある場合(天井のコンテナ番号が側面のコンテナ番号と異なる場合)、管理制御部61は、サブ番号を搬送車表示部27に表示させる。これにより、仮番を使用することがある管理システム1においても、コンテナのトレーサビリティを確保することが容易となる。
【0101】
ステップST013において、管理システム1は、輸出コンテナのヤード搬入登録をNACCSに対してゲートウェイ方式で自動配信(CYAの送信)する。
【0102】
従来の管理システムは、OFFシャーシ時をもってCYAデータをNACCSに送信していた。本発明に係る管理システム1は、DSRCアンテナ35を備えたことで、ゲート通過時の時刻をもってCYAデータをNACCSに送信する。これにより、業務の適正化を図ることが可能となる。
【0103】
ステップST014において、OFFシャーシ作業が完了すると、運送車両は、ゲートのコンテナ積載車両又は非積載車両の退場レーンのうち、コンテナ非積載車両の退場レーンからノンストップでヤードを退場する。このとき、ETC車載器9が送信したETC番号をDSRCアンテナ35が受信する。管理制御部61は、管理記憶部57に運送車両の正確な退場時刻を記録させる。また、天井カメラ部37は、撮影タイミングを調整して、ノンストップで退場する運送車両を撮影する。
【0104】
ホットデリバリー等で運送車両がトランステナーやガントリークレーン等の大型コンテナ搬送機(本願請求項の「コンテナ搬送機」の一例)にコンテナを運送する場合、ステップST011において、管理制御部61は、コンテナを運送すべきコンテナ搬送機の番号をLED表示板33に表示させる(ステップST011’)。ステップST012において、運送車両の運転手は、表示された番号の大型コンテナ搬送機のところに運送車両を移動して停車する(ステップST012’)。
【0105】
ここで、大型コンテナ搬送機は、第2DSRCアンテナ(本願請求項の「第2アンテナ」の一例)を脚部に有する。また、オペレータ室に作業対象とすべきコンテナを表示するモニタ(本願請求項の「搬送機表示部」の一例)を有する。オペレータ室は、通常、地上10m以上の高さに位置する。
【0106】
第2DSRCアンテナは、運送車両のETC車載器9からETC番号を無線通信により受信する。管理システム1は、受信したETC番号と作業履歴で関係付けられているコンテナ番号をオペレータ室のモニタに表示する。大型コンテナ搬送機のオペレータは、モニタに表示されたコンテナ番号に基づいてOFFシャーシ作業を行う。ステップST013以降は、上記と同様である。
【0107】
手板を用いたりフォアマンの指示に従っていた従来と比較して、運送車両の運転手の手板の書き間違い、大型コンテナ搬送機のオペレータの手板の読み間違い、フォアマンの指示の間違い、大型コンテナ搬送機のオペレータの聞き間違いによるヒューマンエラーのリスクが軽減される。そのため、ホットデリバリーの対象コンテナも含めて、トレーサビリティを確保することが容易となる。
【0108】
以下、通関業者による許可申請のステップST015から船積みのステップST017までは従来のステップと同様である。
【0109】
続いて、管理システム1を用いた輸入コンテナの流れについて
図4を用いて説明する。
図4は、管理システム1を用いた輸入コンテナの流れの概要を示すフロー図である。なお、
図4におけるステップのうち、従来のフロー図と異なるステップは、太い枠で強調して表示されている。
【0110】
ターミナル運営会社がコンテナ船の寄港スケジュールを管理システム1に登録するステップST101から、海貨業者が通関業務としてNACCSシステムに許可申請するステップST105までは、従来と同様である。
【0111】
ステップST106において、海貨業者は、海貨業者端末3を用いてTACTOSのWebシステムで、コンテナ番号と輸入コンテナのヤード搬出を担う海コン業者とを含む情報を登録(入力指定)する。すると、管理通信部59は、当該海コン業者が有する海コン業者端末5に対して、コンテナ番号を含む情報を送信する。
【0112】
ステップST107において、海コン業者は、海貨業者による登録済み輸入コンテナの一覧に対し、海コン業者端末5を用いてTACTOSのWebシステムで、運送車両、運転手及びヤード搬出予定日を入力することにより、ピックアップオーダーを受託する。
【0113】
ステップST108において、D/O用意、通関、船社フリータイム及びFREIGHT支払い(任意)の4項目全てがOKになると、管理通信部59は、作業内容を記載したメールを海貨業者端末3に自動的に送信することで海コン業者が受託した事実を海貨業者伝達すると共に、海コン業者が登録した運転手の携帯電話にも作業内容のメールを送信する。
【0114】
従来、海貨業者が海コン業者へ連絡してから海コン業者が必要事項を管理システムに入力していた。本実施例においては、指定された海コン業者が必要事項をTACTOSに入力した際に、管理通信部59が海貨業者に受託を自動的に連絡することにより、海貨業者から海コン業者への連絡に要していた時間を短縮可能となる。よって、輸入業務のスピードアップを図ることが容易となる。
【0115】
さらに、管理通信部59が作業内容を運転手に自動的に連絡することにより、海コン業者から運転手への連絡に要していた時間を短縮することが可能となる。よって、作業のスピードアップがさらに容易となる。結果として、トレーサビリティを確保しつつリアルタイムに作業を進めることが可能となる。
【0116】
ステップST109において、運送車両のゲート進入の際、ETC車載器9は、DSRCアンテナ35に対してETC番号記憶部21に記録されているETC番号を送信する。DSRCアンテナ35は、ETC車載器9の機体固有番号を管理部15に送信し、運送車両判定部75が、輸入コンテナ積載用に登録された運送車両であるか否か判定する。この間、管理制御部61は、LED表示板33に“STOP”と表示させる。
【0117】
ステップST110において、管理制御部61は、ゲート天井に設置された証跡用カメラ45に運送車両を撮影させる。カメラ通信部51は、撮影データを管理部15に送信する。文字認証判定部81は、コンテナ番号の文字認証が可能であるか否かを判定する。運送車両にはコンテナが積載されていないため、文字認証ができないことが判定される。TP番号割当部67は、TP番号を割り当てる。管理制御部61は、ゲートに設置されたLED表示板33を制御し、割り当てられたTP番号を表示させる。
【0118】
ステップST111において、LED表示板33に表示されたTP番号に運転手が運送車両を移動して停車させると、管理制御部61は、搬送車載端末11の搬送車表示部27に作業指示を表示させる。サブ番号がある場合は、サブ番号を併せて搬送車表示部27に表示させる。コンテナ搬送機は、搬送車表示部27の表示内容に基づいてONシャーシ作業を行う。
【0119】
ステップST112において、運送車両のゲート進入の際、ETC車載器9が送信したETC番号をDSRCアンテナ35が受信する。DSRCアンテナ35は、ETC番号を管理部15に送信する。運送車両判定部75は、読み取ったETC番号に基づいて、輸入コンテナ積載用に登録された運送車両であるか否かを判定する。この間、管理制御部61は、LED表示板33に“STOP”と表示させる。
【0120】
ステップST113において、ゲートチェックマンは、運送車両に積載された輸入コンテナの番号(メイン番号)の下4桁(メイン記号)をハンディ端末31に入力する。ハンディ端末31は、入力された下4桁の番号を管理部15に送信する。コンテナ番号判定部77は、入力された下4桁の番号に基づいて、海コン業者が指定した輸入コンテナであるか否かを判定する。また、ゲートチェックマンは、コンテナ側面のダメージをハンディ端末31に入力する。運送車両に輸入コンテナが複数積載されている場合は、コンテナ優先順位決定部71がどのコンテナから作業するか決定する。ゲートチェックマンは、コンテナ優先順位決定部71が決定した優先順位にしたがって作業を行う。
【0121】
ステップST114において、文字認証判定部81は、ゲート天井に設置された証跡用カメラ45が取得した撮影データに基づいてコンテナ番号の文字認証が可能であるか否かを判定する。文字認証が可能である場合は、管理制御部61は、LED表示板33に対してTP番号割当部67が割り当てたTP番号を表示させる。コンテナ側面に表示されたコンテナ番号と、文字読取部49が読み取りした天井面のコンテナ番号が異なる場合、エラー判定部79は、エラー判定を行う。この場合、システムエラーが表示されてコンテナ情報にサブ番号(英字4桁+数字8桁)が追加登録される。すなわち、コンテナ側面のコンテナ番号と天井面のコンテナ番号のいずれか一方がメインコンテナ番号(本願請求項の「メインコンテナ番号」の一例)とされ、他方がサブコンテナ番号(本願請求項の「サブコンテナ番号」の一例)とされる。
【0122】
ステップST115において、ゲートブース又はセンターの係員が、ダメージ確認用カメラ47の映像及びコンテナ情報を確認して天井ダメージチェックを入力する。チェック完了の入力を受けて、EIR発行部69がゲートでEIRを発行する。また、管理制御部61は、LED表示板33に退場を表示させる。
【0123】
ステップST116において、管理システム1は、輸入コンテナのヤード搬出登録をNACCSに対してゲートウェイ方式で自動配信(CYOの送信)する。
【0124】
ホットデリバリー等で運送車両がトランステナーやガントリークレーン等の大型コンテナ搬送機から直接コンテナを運送する場合、ステップST110において、管理制御部61は、コンテナを受け取るべきコンテナ搬送機の番号をLED表示板33に表示させる(ステップST110’)。ステップST111において、運送車両の運転手は、LED表示板33に表示されたコンテナ搬送機の番号に運送車両を移動して停車する。第2DSRCアンテナは、運送車両のETC車載器9からETC番号を無線通信により受信する。管理システム1は、受信したETC番号と作業履歴で関係付けられているコンテナ番号をオペレータ室のモニタに表示する。大型コンテナ搬送機のオペレータは、モニタに表示されたコンテナ番号に基づいてONシャーシ作業を行う(ステップST111’)。ステップST112以降は、上記と同様である。
【0125】
この構成により、ホットデリバリーの対象コンテナも含めて、トレーサビリティを確保することが容易となる。
【0126】
続いて、作業履歴記憶部83に記憶される作業履歴のデータについて
図5を用いて説明する。
図5は、管理システム1におけるデータ連携の関係を示す図である。
【0127】
図5を参照して、作業履歴には、ユニークキー、0又は1で仮番の有無を区別して表示する仮番フラグ(本願請求項の「仮番フラグ」の一例)、4桁のメイン記号、8桁のメイン番号、4桁のサブ記号及び8桁のサブ番号が含まれる。また、運送車両のETC車載器9に固有のETC番号も関連付けて記録されている。さらに、必要に応じて天井カメラ部37の撮影データも関連付けて記録される。ユニークキーは、コンテナごとに割り当てられる記号であり、作業履歴記憶部83に記憶された作業履歴、Booking情報記憶部85に記憶された輸出目録のBooking情報、及び、M/F情報記憶部87に記憶された輸入目録のM/F情報ごとに関連付けられている。
図5においては、Booking情報記憶部85及びM/F情報記憶部87を合わせたものとして、目録記憶部88が表示されている。
【0128】
次に、管理システム1におけるコンテナ番号の変化とコンテナ作業との関係について、
図6を用いて説明する。
図6は、管理システム1におけるコンテナ番号のエントリーフローの概要を示す図である。
【0129】
図6を参照して、ステップST002におけるBooking情報の新規登録の際、船社又は荷主から積載コンテナを指定された場合、新規のコンテナであれば、メインコンテナ番号としてメイン番号及びメイン記号を入力する。ユニークキーは定まっている。仮番フラグは、コンテナが確定していることを表す番号として1が入力される。サブ番号及びサブ記号は入力されない。指定されたコンテナが過去に取り扱われて登録データがある場合、サブコンテナ番号として過去の8桁のコンテナ番号及びその下4桁の番号がそれぞれサブ番号及びサブ記号として登録される。
【0130】
続いて、指定された輸出用空コンテナをバンプールにおいてONシャーシ作業が行われても、Booking情報に変化はない。その後、サービスセンター等で空コンテナに荷物が積載される。
【0131】
さらに、ゲートで輸出コンテナのヤード搬入が行われる。このとき、ゲートチェックマンが有するハンディ端末31から入力されたメイン番号下4桁とBooking情報に登録されているメイン記号とが照合される。また、証跡用カメラ45により撮影された番号と、メイン番号、メイン記号、サブ番号及びサブ記号との照合が行われる。
【0132】
さらに、ヤード内でコンテナ搬送重機によって、OFFシャーシ作業、コンテナの蔵置作業及びシフト作業が行われる際、サブ記号及びサブ番号の有無とその照合が行われる。
【0133】
ここで、Booking情報の新規登録の際、船社又は荷主から積載コンテナを指定されなければ、メイン番号、メイン記号、サブ番号及びサブ記号のいずれも入力されない。ユニークキーは定まっている。仮番フラグは、コンテナが未確定であることを表す番号として0が入力される。
【0134】
続いて、例えば、ステップST003又はST007において、コンテナ番号が確定すると、メイン番号及びメイン記号が登録される。サブ番号及びサブ記号は入力されないままである。コンテナ番号の確定は、ヤード搬入の前である場合もあり、ヤード搬入後となる場合もある。コンテナ番号が確定すると、仮番フラグは1に修正される。
【0135】
最終的に輸出までには、メイン番号及びメイン記号が確定し、仮番フラグは1とされる。また、一連の作業を通してユニークキーは同一のものが使用される。例えば、輸出時であって、運送車両へのコンテナのONシャーシ作業時にコンテナ番号が未確定であり、ストラドルキャリアによるOFFシャーシ作業時にコンテナ番号が確定していたとする。このとき、コンテナのONシャーシ作業が本願請求項における「第1作業」の一例であり、OFFシャーシ作業が本願請求項における「第2作業」の一例である。
【0136】
なお、管理システム1は、側面のコンテナ番号と天井のコンテナ番号とがニコイチ等の理由により異なる場合にシステムエラーを表示した際、サブ番号の登録前に人によるダブルチェックを経たことをユーザに確認するダブルチェック部をさらに備えてもよい。
【0137】
また、管理システム1は、NACCSとの連携がとれている場合は、通関チェックを自動的に行う通関チェック部をさらに備えてもよい。
【0138】
さらに、ゲートチェックマンが下4桁の番号を確認して入力する代わりに、同様に輸出入業務を迅速かつ簡便にする目的で、コンテナ番号の中の任意の4桁の番号を確認して入力することとしてもよい。
【0139】
さらに、
図6において、指定されたコンテナが過去に取り扱われて登録データがある場合、登録されていたデータをメイン番号及びメイン記号とし、今回指定されたコンテナ番号をサブ番号及びサブ記号としてもよい。
【0140】
さらに、OFFシャーシ後に運送車両がヤードからノンストップで退場する際に、運送車両の退場スピードを時速10km(2.78m/秒)程度に制限してもよい。これにより、天井カメラ部が運送車両を適切に撮影することが容易となる。
【0141】
さらに、運転手が有する携帯電話端末は、運転手を特定するために個人所有であることが望ましいが、運転手が携帯電話端末を個人所有していない場合は海コン業者から運転手専用に貸与された携帯電話端末を用いてもよい。
【0142】
さらに、運送車両がゲートに接近した際、ハンディ端末由来の情報、ETC車載器由来の情報及び天井カメラ部由来の情報の独立した情報に基づいて適切なコンテナが積載されているか否かについて多重チェックが行われればよく、管理システム1が各情報を取得する順序は相互に変更されてもよい。