特許第6202286号(P6202286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202286
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】自動車前照灯用の照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20170914BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20170914BHJP
   F21V 17/10 20060101ALI20170914BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20170914BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20170914BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20170914BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20170914BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170914BHJP
【FI】
   F21S8/10 171
   F21S8/10 173
   F21S8/10 172
   F21V17/00 400
   F21V17/10 150
   F21V8/00 100
   F21V15/01 530
   G02B6/00 331
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】22
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-510569(P2015-510569)
(86)(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公表番号】特表2015-523677(P2015-523677A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】AT2013050100
(87)【国際公開番号】WO2013166535
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2015年2月3日
(31)【優先権主張番号】A50165/2012
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】クレン,イルムガード
(72)【発明者】
【氏名】プランク,ヨゼフ
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−533726(JP,A)
【文献】 特開2005−353816(JP,A)
【文献】 特開2010−092956(JP,A)
【文献】 特開2004−094115(JP,A)
【文献】 特開2007−059489(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0016074(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21V 8/00
F21V 15/01
F21V 17/00
F21V 17/10
G02B 6/00
F21W 101/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車前照灯用の照明装置(100)であって、
・複数の光源(1)と、
・1つの光入射面(2a)および1つの光出射面(2b)を備える少なくとも1つの補助光学系(2)とを含み、
・前記少なくとも1つの補助光学系(2)は複数の光導体(3)を含み、各光導体(3)は光入射面(3a)を有し、該光入射面にはそれぞれ少なくとも1つの光源(1)が光を供給し、
・前記光導体(3)は、共通の光出射面(2b)に合流し、
少なくとも1つの位置ホルダ(4)が設けられており、該位置ホルダによって前記少なくとも1つの補助光学系(2)の光導体(3)の光入射面(3a)が前記光源(1)を基準にして位置が保持され、前記位置ホルダ(4)は各光導体(3)に対して1つの収容部(4a)を有し、該収容部には割り当てられた光導体(3)が、正しい位置で受け入れられ位置決めされている照明装置において、
前記光導体(3)は、前記光入射面(3a)に向かって先細になる断面を有し、
前記収容部(4a)は前記光源(1)の後方に向かって先細になる断面を有し、当該断面は、前記光導体(3)の断面よりも強く細められ、
前記光導体(3)は、前記光源(1)の後方に向かって前記収容部(4a)から突出している、ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
自動車前照灯用の照明装置(100)であって、
・複数の光源(1)と、
・1つの光入射面(2a)および、凹面形状の1つの光出射面(2b)を備える少なくとも1つの補助光学系(2)とを含み、
・前記少なくとも1つの補助光学系(2)は複数の光導体(3)を含み、各光導体(3)は光入射面(3a)を有し、該光入射面にはそれぞれ少なくとも1つの光源(1)が光を供給し、
・前記光導体(3)は、共通の光出射面(2b)に合流する照明装置において、
前記少なくとも1つの補助光学系(2)の光出射面(2b)には、当該少なくとも1つの補助光学系(2)の形状安定化のために透明で剛性の光ディスク(5)が設けられており、該光ディスク(5)は、湾曲した形状であり、光出射方向で前記少なくとも1つの補助光学系(2)の光出射面(2b)の凹面に、前記光ディスク(5)の凸面を向い合せて配置されている、ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
少なくとも1つの位置ホルダ(4)が設けられており、該位置ホルダによって前記光導体(3)の光入射面(3a)は、前記光源(1)を基準にして位置が保持されている、ことを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記補助光学系(2)の光出射面(2b)には、当該補助光学系(2)の形状安定化のために透明光ディスク(5)が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記透明光ディスク(5)は、前記補助光学系(2)の光出射面(2b)を覆うように形成されたオーバーモールド部を備えている、ことを特徴とする請求項3又は4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記透明光ディスク(5)は、前記光出射面(2b)の全面を覆うように形成されたオーバーモールド部を備えている、ことを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光出射面は、プラスチックから作製されている、ことを特徴とする請求項から6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記位置ホルダ(4)は、熱可塑性樹脂から作製されている、ことを特徴とする請求項1並びに3から7のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記位置ホルダ(4)は、黒色のプラスチックから作製されている、請求項7または8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記位置ホルダ(4)は各光導体(3)に対して1つの収容部(4a)を有し、該収容部には割り当てられた光導体(3)が、正しい位置で受け入れられ位置決めされている、ことを特徴とする請求項3から9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記位置ホルダ(4)は前記光導体(3)を、前記光入射面(3a)に向いた側の当該光導体の端部領域で受け入れる、ことを特徴とする請求項1並びに請求項3から10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記収容部(4a)には前記位置ホルダ(4)と前記光導体(3)との間で、前記光導体(3)の材料よりも小さな屈折率を有するそれぞれ1つの材料がはめ込まれている、ことを特徴とする請求項10または11に記載の照明装置。
【請求項13】
前記屈折率の小さな材料は前記光導体(3)を、当該光導体が前記位置ホルダ(4)に接触しないように取り囲んでいる、ことを特徴とする請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
前記光導体(3)は長手に構成されており、光の伝播方向にそれに対する横方向よりも大きな広がりを有する、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項15】
各光源は、それぞれ1つまたは複数の発光ダイオードを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項16】
前記光導体(3)は、当該光導体の光入射面(3a)に向かって先細になる断面を有する、ことを特徴とする請求項3から15のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項17】
前記光導体(3)は、円錐台形状または台形状に構成されている、ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの補助光学系(2)は、透明の、光伝導性で成形可能なプラスチックから作製されている、ことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの補助光学系(2)は、シリコーン材料から作製されている、ことを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの補助光学系(2)は、ポリ(有機)シロキサンから作製されている、ことを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の照明装置を少なくとも1つ備える照明モジュール。
【請求項22】
請求項1から20のいずれか一項に記載の照明装置を少なくとも1つおよび/または請求項21に記載の照明モジュールを少なくとも1つ備える車両前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車前照灯用の照明装置に関するものである。この照明装置は、複数の光源と、1つの光入射面および1つの光出射面を備える少なくとも1つの補助光学系とを含み、前記少なくとも1つの補助光学系は、複数の光導体を含み、前記各光導体は光入射面を有し、この光入射面にはそれぞれ少なくとも1つの光源が光を供給し、前記光導体は、共通の光出射面に合流する。
【0002】
さらに本発明は、上記の照明装置から形成される照明モジュール、ないしそのような照明装置を少なくとも1つ含む照明モジュールに関する。さらに本発明は、上記照明装置を少なくとも1つ含む自動車前照灯、ないし上記照明装置を少なくとも1つ含む照明モジュールを少なくとも1つ含んだ自動車前照灯に関する。
【背景技術】
【0003】
上記照明装置は、照明モジュールないし自動車前照灯と関連して、光分布を形成するために使用される。通常は、ガラスから成る補助光学系が使用され、このガラスにより補助光学系に対する簡単な幾何形状を実現することができる。これに対し、補助光学系に対して複雑な幾何形状が必要な場合、そのためにガラスを使用することはしばしば不適切である。
【0004】
複雑な幾何形状を作製するためにガラスの代わりに、透明、とりわけ高透明の、光伝導性で成形可能なプラスチックが材料として良く適することが判明した。複雑な補助光学系を作製するためにはポリ(有機)シロキサンが特に適しており、少なくとも1つの補助光学系がシリコーン材料から作製されていると特に有利である。
【0005】
しかしながらこのようなプラスチックの使用の欠点、とりわけ補助光学系の作製のためにシリコーンを使用することの欠点は、このような補助光学系がガラス体のような強度を有していないことである。しかしながら光学的観点では、補助光学系が、とりわけ光源を基準にしたその光入射面(単数または複数)の位置決めに関して可及的に安定した形態を有することが有利ないし必要である。とりわけ光源として発光ダイオードを使用する場合に、光源を基準にして光入射面がずれると、例えば不所望の光損失が生じる。
【0006】
さらに補助光学系の光出射面がずれると、結像された光像が所望の要求に対応しないということを引き起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、上記の問題が解消された補助光学系を備える照明装置を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、冒頭に述べた照明装置により、本発明にしたがい少なくとも1つ、好ましくはちょうど1つの位置ホルダが設けられており、この位置ホルダによって、少なくとも1つの補助光学系の光導体の光入射面が、光源を基準にして位置が保持されていることによって解決される。
【0009】
このような位置ホルダによって、光導体ないしそれらの光入射面を、光源の光出射面を基準にして正確に位置決めすることができ、これにより不正確な位置決めの際に発生し得る光損失を最小にすることができる。とりわけ走行時に車両の振動によって発生し得る補助光学系の振動、とりわけ光導体の振動、すなわちy方向およびz方向での光入射面の振動を、これにより阻止することができる。ここでy方向およびz方向は互いに直交し、実質的に補助光学系の光入射面の平面内にあり、一方、x方向は、yおよびzにより張架される平面上に垂直に起立する。
【0010】
加えてこのような位置ホルダは、この位置ホルダが下でさらに詳細に説明するような適切な材料から形成されていることを前提にすれば、LED/光源、例えば発光ダイオードから出射する散乱光がこの位置ホルダによって遮閉されるという作用をさらに有する。
【0011】
さらにこの課題は、冒頭に述べた照明装置により、本発明にしたがい少なくとも1つの補助光学系の光出射面に、当該少なくとも1つの補助光学系の形状安定化のために、透明光ディスクが設けられていることによって解決される。
【0012】
このような固定ないし剛性の光ディスクにより、補助光学系をその光出射面の領域において安定化することができ、これにより、そうでない場合に発生する不利な光学的作用を阻止することができる。
【0013】
補助光学系の光出射面では、y方向およびz方向での振動の問題はさほど存在せず、むしろ、特に光出射面の中央領域がx方向に振動を開始し得るというおそれがある。光ディスクによりこの振動も同様に阻止することができる。
【0014】
もちろん、上記措置の両方、すなわち少なくとも1つ、好ましくはちょうど1つの位置ホルダが設けられており、この位置ホルダによって光導体の光入射面が、光源を基準にして位置が保持されること、およびさらに補助光学系の光出射面に、この補助光学系の形状安定化のために透明、特に高透明の光ディスクが設けられていることの両方が、本発明の照明装置において一緒に実現されると特に有利である。
【0015】
補助光学系の光出射面が、透明光ディスクによりオーバーモールド成形されていると特に有利である。
【0016】
例えばこのオーバーモールド成形は、2成分射出成形法によって行われる。
【0017】
補助光学系の高い安定性の観点では、光出射面が透明な光ディスクにより全面でオーバーモールド成形されていると有利である。
【0018】
光ディスクによるオーバーモールド成形によって、あらかじめ作製されたディスクを使用する場合と比較して、後の組み立て工程が不要になる。さらに、光ディスクと補助光学系の光出射面との間に空隙が発生しない。この空隙は、付加的な不所望の光屈折の原因となり得る。
【0019】
光出射面がプラスチック、好ましくは熱可塑性樹脂、特に好ましくは耐熱性熱可塑性樹脂、とりわけPC(ポリカーボネート)から作製されていると特に有利である。ここで光ディスクは、少なくとも約150℃までは耐熱性であるべきである。
【0020】
しかし、光ディスクをあらかじめ作製し、引き続き補助光学系に取り付け、例えば機械的に固定することもできる。あらかじめ作製された光ディスクを使用する場合には、この光ディスクを光学的に透明な接着剤により、補助光学系の光出射面と接着すると特に有利であり得る。これにより空隙を回避することができる。
【0021】
さらに位置ホルダがプラスチック、特に熱可塑性樹脂から作製されていると有利である。熱可塑性樹脂は、デュロプラスチック(Duroplasten)と比較してやや良好な成形性を備える。
【0022】
ここでは、位置ホルダが、散乱光を遮閉する材料、すなわち光非透過性材料、例え黒色のプラスチック、とりわけ例えば黒色の熱可塑性樹脂から作製されていると特に有利である。これにより、とりわけ隣接する光源、特に発光ダイオードからの散乱光が遮閉される。
【0023】
位置ホルダに入り込む光損失を回避するさらなる択一的な、または好ましくは付加的な措置は、位置ホルダとの光導体(単数または複数)の接触面が可及的に小さくなるように位置ホルダが構成されていることである。
【0024】
これにより光導体は位置ホルダと、細い接触領域でだけ接触し、例えばそれぞれの光導体を周回する1つのラインで接触する。
【0025】
位置ホルダが各光導体に対して、割り当てられた光導体が正しい位置で受け入れられ位置決めされる収容部を有すると、個々の光導体を、光源を基準にしたそれらの位置に特に良好に保持することができる。
【0026】
この収容部は、位置ホルダ内にあるホールないし開口部であり、それぞれの光導体に対して正確に適合した断面を備える。これらの光導体は、割り当てられた収容部に挿入され、この位置ホルダによって所望の位置に保持される。
【0027】
とりわけ光入射面の正確な位置決めは重要であるので、位置ホルダが光導体を、光入射面に向いた側の光導体の端部領域で受け入れると合目的的である。
【0028】
ここで光導体は、後方に向かって収容部から僅かに突き出ることができ、または位置ホルダと面一に終端することができる。
【0029】
さらに収容部には位置ホルダと光導体との間で、光導体の材料よりも小さな屈折率を有するそれぞれ1つの材料をはめ込むこともできる。
【0030】
前記屈折率の小さい材料が光導体を、当該光導体が位置ホルダに接触しないように取り囲んでいると特に有利である。
【0031】
これにより全反射のための限界角が高まり、光が光導体から全く出射しないか、または僅かな量の光しか出射しない。
【0032】
具体的な一実施形態では、光導体が長手に構成されており、光の伝播方向にそれに対する横方向よりも大きな広がりを有する。
【0033】
さらに好ましくは、各光源は、それぞれ1つまたは複数の発光ダイオードを含む。好ましくは各光源は別個に制御可能であり、対応してスイッチオン・オフ可能であり、好ましくは調光可能である。1つの光源が複数の発光ダイオードから形成される場合、各発光ダイオードが別個に制御可能であることも有利であり得る。
【0034】
最後に、光導体が、それらの光入射面に向かって先細になる断面を有すると有利である。
【0035】
これにより、光伝播方向に拡大された光導体の断面によって、位置ホルダは所定の一箇所でだけ光導体に押し込むことができ、そこで位置ホルダは例えば締め付け固定される。位置決めを締め付けることの代わりに、またはそれに加えて、位置ホルダを上に既に述べた補助光学系用のホルダと共に、所望の位置に固定ないし保持することができる。この補助光学系用のホルダによって、補助光学系は(光ディスクおよび位置ホルダと共に)、例えば照明モジュールまたは車両前照灯内に固定される。
【0036】
例えば、光導体を円錐台形状または台形状に構成することができる。
【0037】
原則的に全ての多角形のピラミッド状台形が考えられ、例えば6角の、楔形の蜂の巣のような形状が考えられる。底面形状は、LEDチップ構成および所望の光入出射と密接に関連している。
【0038】
冒頭に既に述べたように、少なくとも1つの補助光学系は、透明、とりわけ高透明の、光伝導性で成形可能なプラスチックから作製されている。例えば少なくとも1つの補助光学系は、ポリ(有機)シロキサンから作製されている。
【0039】
少なくとも1つの補助光学系が、シリコーン材料から製造されていると特に有利である。
【0040】
以下本発明を図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明の照明装置の分解図である。
図2図2は、図1の本発明の照明装置が組み立てられた状態を斜め後方から見た斜視図である。
図3図3は、複数の光導体を備えるシリコーン製の補助光学系の斜視図である。
図4図4は、図3に示すのと同様の補助光学系の光導体用の、本発明による位置ホルダの斜視図である。
図5図5は、図2の平面B−Bに沿った本発明の照明装置の水平断面図である。
図6図6は、平面A−Aに沿った図2の照明装置の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、自動車前照灯用の本発明の照明装置100を分解図に示す。ここで照明装置100は複数の光源1を含み、具体的な実施形態で各光源は、1つまたは複数の発光ダイオードから形成される。
【0043】
さらに照明装置100は補助光学系2を含み、この補助光学系は上記のプラスチック、とりわけシリコーン材料から形成されている。補助光学系2は、1つの光入射面2aと1つの光出射面2bを有する。
【0044】
さらに分かるように補助光学系2は複数の光導体3を含み、各光導体3は光入射面3aを有する。この光入射面には、それぞれ少なくとも1つ、好ましくはそれぞれちょうど1つの光源1が光を供給する。光源(ないしそれらの光出射面)と光入射面3aとの間には細いスリットが存在する。
【0045】
したがって個々の光導体3の光入射面3aは補助光学系2の光入射面2aを形成し、したがって補助光学系2の光入射面2aは複数の個別の面3aから成る。
【0046】
光導体3は共通の光出射面2bに合流し、この光出射面を介して、供給された光が補助光学系2から再び出射し、光分布として車両の前方領域に結像される(照明装置が車両に組み付けられた状況を基準にして)。ここでこの結像は、通常、二次光学系、例えばレンズにより形成され、補助光学系を出射した光はこのレンズを通過する。
【0047】
ここで供給された光は、光導体内を全反射によって伝播する。
【0048】
補助光学系2が図3に、再度大きな縮尺で図示されており、図示の変形実施形態では光導体3の上列が、光導体3の下方の2列よりも垂直方向に大きな広がりを有することが分かる。しかしこれは、光導体は原則的に全て同じ形態を有するが、所望の光分布等に応じて任意で異なる形態を有することもできる、ことを表現するためだけのものである。
【0049】
図1はさらに位置ホルダ4を示し、この位置ホルダによって補助光学系3の光導体3の光入射面3aは、光源1を基準にして位置が保持されている。
【0050】
図1と特に図4に良く示されているように、このために図示の実施形態で位置ホルダ4は、各光導体3に対して1つの収容部4aを有し、この収容部には、割り当てられた光導体3が正しい位置で受け入れられ位置決めされている。
【0051】
この収容部は、位置ホルダ4内のホールないし開口部であり、それぞれの光導体3に対して正確に適合した断面を備える。これらの光導体3は、割り当てられた収容部4aに挿入され、位置ホルダによって所望の位置に保持される。
【0052】
光導体3は、図示の変形実施形態では長手に構成されており、光の伝播方向にそれに対する横方向よりも大きな広がりを有する。さらに光導体3は、それらの光入射面3aに向かって先細になる断面を有する。例えば光導体3を円錐台形状に、または図示のように台形状に構成することができる。
【0053】
したがって、光伝播方向に拡大された光導体3の断面によって、位置ホルダ4を所定の一箇所でだけ光導体3に押し込むことができ、そこで位置ホルダは例えば締め付け固定される。
【0054】
この状況は図5と6に良く示されており、これらの図は本発明の照明装置100を組み立てられた状態で示す。
【0055】
図1、5および6、並びにさらに照明装置を組み立てられた状態で斜視図に示す図2から良く分かるように、補助光学系用のホルダ6がさらに設けられており、このホルダ6によって補助光学系2は(光ディスク5および位置ホルダ4と共に)例えば照明モジュールまたは車両前照灯内に固定される。
【0056】
このホルダ6によってさらに位置ホルダ4は補助光学系2の光導体3の上に、この位置ホルダ4が光導体3から下に滑り落ちないように保持される。このために対応のストッパ4bが位置ホルダ4に設けられている。これらストッパにより位置ホルダ4は、ホルダ6にある相応に適合された切欠部6a(図1図4参照)内に当接し、光出射方向とは反対向きの運動に対して確保され、所望の位置に固定ないし保持される。
【0057】
位置ホルダ4は有利にはプラスチック、とりわけ熱可塑性樹脂から作製されている。ここでは位置ホルダ4が黒色のプラスチック、とりわけ黒色の熱可塑性樹脂から作製されていると特に有利である。
【0058】
位置ホルダに入り込む光損失を回避するための措置は、位置ホルダ4との光導体3(単数または複数)の接触面が可及的に小さくなるように位置ホルダ4が構成されていることである。このために、図5と6に良く示されるように、収容部4aは後方に向かって先細になる断面を有する。ここでこの断面は、好ましくは光導体3の断面よりも強く細められている。したがって収容部4aの制限壁4a’は、光導体3における場合よりも強く集まって延在している。これは図5と6に良く示されている。これにより光導体3は、制限壁4a’に細い領域でだけ、1つのラインにほぼ沿って接触する。
【0059】
光入射面の正確な位置決めが特に重要であるので、位置ホルダ4の収容部4aは光導体3を、好ましくは図示のように、光入射面3aに向いた側の光導体の端部領域で受け入れる。ここで光導体3は例えば、図示のように僅かに後方へ収容部4aから突き出ている。
【0060】
したがって位置ホルダ4によって、すでに説明したように光導体ないしそれらの光入射面は、光源の光出射面を基準にして正確に位置決めすることができる。これにより、不正確な位置決めの際に発生し得る光損失を最小にすることができる。加えてこのような位置ホルダは、これが黒色の熱可塑性樹脂のような適切な材料から形成されていることを前提にすれば、光源、例えば発光ダイオードから出射する散乱光が位置ホルダによって阻まれるという作用をさらに有する。
【0061】
もう一度図1に戻ると、図示の照明装置100ではさらに、シリコーン製である補助光学系2の光出射面2bに、形状安定化のために透明光ディスク5が設けられている。
【0062】
このような固定ないし剛性の光ディスクにより、補助光学系をその光出射面の領域において安定化することができ、それにより、そうでない場合に発生する不利な光学的作用を阻止することができる。
【0063】
補助光学系2の光出射面2bが、透明光ディスク5によりオーバーモールド成形されていると特に有利である。例えばこのオーバーモールド成形は、2成分射出成形法によって行われる。
【0064】
補助光学系の高い安定性の観点では、光出射面2bが透明光ディスク5により全面でオーバーモールド成形されていると有利である。
【0065】
ここで製造の際にはまず補助光学系2が作製され、使用される工具によってウェブ7が形成される。第2の工程で、光ディスク5が射出され、次にこの光ディスクは補助光学系3に直接当接し、ウェブ7のバックインジョクションにより光ディスク5は補助光学系2に保持される。ここで図1の図示では、光ディスク5がスリット状の開口部8を有する。しかしながらこれは、光ディスク5が補助光学系2から破壊されずに分離されたとする場合に対する単なる仮想的な図示である。現実には光ディスク5は、補助光学系の上に直接射出成形され、したがって図1に示すように破壊せずに分離することは不可能である。
【0066】
図面の図示とは異なりさらなる変形実施形態では、ホルダ6が、補助光学系と光ディスクから成る部分の上に射出成形されることも可能であろう。 光出射面がプラスチック、好ましくは熱可塑性樹脂、特に好ましくは耐熱性熱可塑性樹脂、とりわけPCから作製されていると特に有利である。
【0067】
しかし光ディスクは、補助光学系2用のホルダ6内に固定、例えばクリップ止めすることもできる。または従来技術から公知の他のやり方で、補助光学系の光出射面の前方で位置が保持されるように固定することができる。
【0068】
本発明の照明装置により、例えばロービームまたはハイビームを形成することができる。そのために例えば左前照灯と右前照灯はそれぞれ1つの本発明の照明装置を含み、これらの照明装置によって光分布のそれぞれ左部分と右部分が形成される。ここで光出射方向でホルダ6の前方にはさらにそれぞれ1つの二次光学系、通常はレンズ(図示せず)が設けられており、このレンズによってそれぞれの光分布が形成される。
【0069】
しかし本発明の照明装置は、バック走行灯のためにも使用することができる。
【0070】
最後に図2は、再度、本発明の照明装置100を組み立てられた状態で示す。ここで補助光学系2、位置ホルダ4、光ディスク5およびホルダ6は1つのユニットを形成し、補助光学系2は、位置ホルダ4と光ディスク5を介してホルダ6と接続されている。光源1は、このユニットとは別個に前照灯にあらかじめ組み込まれており、図示しないレンズも同様である。ホルダ6は、前照灯と適切な固定エレメントを介して接続されており、例えば固有の支持体の上に着座する。
【0071】
例えばジャーナルまたはピンの形態の適切な固定エレメント10により、ここではホルダ6が正しい位置で前照灯ケーシング内に光源を基準にして固定される。光源自体は、図示しない冷却体の上に取り付けられている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6