(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インローダーが保持している基材の前記下型への受け渡しと、前記インローダーが保持している放熱体の前記上型への受け渡しを、前記インローダーが前記下型と前記上型の間に位置している同じタイミングで行う
請求項1、2または3記載の半導体パッケージの樹脂封止装置。
半導体素子を搭載した基材と、前記半導体素子を封止する樹脂材料を、インローダーにより保持して樹脂封止ユニットへ搬送し、該樹脂封止ユニットが備える下型と上型から構成される樹脂封止用金型で、放熱体を実装するように樹脂封止を行う半導体パッケージの樹脂封止方法であって、
放熱体供給ユニットから放熱体を取り出し、放熱体を受け取りにくる前記インローダーへ移して保持させる工程を備えており、
前記インローダーは、前記放熱体供給ユニット、及び前記樹脂封止ユニットが並設される方向に設定された移動経路から、互いに同じ距離に設定された、前記放熱体供給ユニットの作業部までの移動経路と、前記樹脂封止ユニットの作業部までの移動経路を通って移動する
半導体パッケージの樹脂封止方法。
前記インローダーが保持している基材の前記下型への受け渡しと、前記インローダーが保持している放熱体の前記上型への受け渡しを、前記インローダーが前記下型と前記上型の間に位置している同じタイミングで行う
請求項7記載の半導体パッケージの樹脂封止方法。
前記放熱体供給ユニットで、前記インローダーに受け渡す一回分の放熱体を、前記インローダーの上部に一度で受け渡すと共に、前記インローダーが保持する放熱体を、前記上型へ一度で受け渡す
請求項7、8または9記載の半導体パッケージの樹脂封止方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の樹脂封止装置は、型締めにより形成されるキャビティ内に、プリント配線基板に搭載された半導体素子が配置され、封止樹脂により半導体素子を封止する上型および下型を有する樹脂封止用金型を備えている。樹脂封止用金型は、上型の吸着ブロックに、実装されるヒートシンクを吸着させる吸引用孔が形成されている。上型に吸着されたヒートシンクは、プリント配線基板に対して非接触状態に配置され、ヒートシンクと半導体素子との間に封止用樹脂が注入される空間が形成される。
【0007】
そして、上型には、ヒートシンクを上型まで搬送する搬送装置に形成された凹凸部と嵌合する凹凸部が形成されている。また、下型には、上型と型締めされたときに上型の凹凸部と嵌合する凹凸部が形成されており、型締めをする際の下型と上型の位置決めを正確に行って、ヒートシンクを電子部品と共に封止する。
【0008】
この樹脂封止装置は、上記構成を有しているので、ヒートシンク等の放熱体の樹脂封止用金型へのセットを自動で行うことで生産性がよくなる点、及び樹脂封止用金型の型締めにおいて下型と上型の位置決めが正確に行われ、成形の精度が高い半導体パッケージを製造することができる点において、充分に有用である。
【0009】
しかしながら、上記発明の実施に伴い、或いは実施による様々な知見を得ることで、次のような課題を生じていることも分かってきた。
まず、各ユニットにおいて、各ユニットの並設方向に平行な主経路から、インローダーキャリアが作業をする作業部の位置までの移動距離、あるいはインローダーキャリアが停止する位置に違いがあり、各ユニットでそれぞれ異なる制御を行う必要があるので、装置が複雑化している。また、インローダーキャリアの移動距離のパターンが複数存在することで、何等かの要因でインローダーキャリアが停止して、作業が止まるリスクが高くなる。
【0010】
また、インローダーキャリアに基板用搬送部とヒートシンク用搬送部が並設されており、基板とヒートシンクを下型と上型に受け渡す際には、インローダーキャリアを各ユニットの並設方向に適宜進退動させながら、かつ作業部へ向かう方向へも進退動させることにより、下型と上型の間の空間に入る搬送部を入れ替えている。したがって、基板とヒートシンクを受け渡す際のインローダーキャリアに、非効率的な動きが生じ、作動に無駄な時間を要するので、生産性がよいとはいえない。
【0011】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、ヒートシンク等の放熱体を樹脂封止用金型に自動的にセットし、樹脂封止をして放熱体を実装する、半導体パッケージの樹脂封止装置を、より簡易な構造とすることができ、インローダーの移動距離のパターンを単純化すると共に、その動きを効率化することで、上記半導体パッケージの効率的な製造が可能であり、何等かの要因で装置が停止するリスクを抑制できる、半導体パッケージの樹脂封止装置、及び半導体パッケージの樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するために本発明は、半導体素子を搭載した基材と、該基材を封止する樹脂材料を搬送するインローダーと、該インローダーに前記基材と、前記樹脂材料を分配し保持させる材料供給ユニットと、下型と上型から構成される樹脂封止用金型を有し、前記下型が前記インローダーから前記基材と、前記樹脂材料を受け取り、前記上型が半導体素子で発生する熱を放熱する放熱体を保持し、前記下型と前記上型を型合わせして、前記下型と前記上型の間に封止樹脂を充填して前記基材を封止する樹脂封止ユニットと、を備える半導体パッケージの樹脂封止装置であって、
前記材料供給ユニットの近傍に、前記インローダーの上部で放熱体を保持させる放熱体供給ユニットが設けられ、前記放熱体供給ユニットが、放熱体を供給する放熱体マガジン部と、該放熱体マガジン部に対向して設けられ、放熱体を吸着する吸着部が形成されると共に、前記放熱体マガジン部、及び前記放熱体マガジン部との間に移動した前記インローダーに近接可能な放熱体移載装置と、を有し、前記インローダーが保持している放熱体が、前記上型へ受け渡されて保持されるようにしてあり、前記放熱体供給ユニット、及び前記樹脂封止ユニットが並設される方向に設定された前記インローダーの移動経路から、前記放熱体供給ユニットの作業部までの移動距離と、前記樹脂封止ユニットの作業部までの移動距離とが略同じに設定された半導体パッケージの樹脂封止装置である。
【0013】
本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止装置では、材料供給ユニットにおいて、インローダーに、半導体素子を搭載した基材と、基材を封止する樹脂材料を分配して、それぞれを保持させる。
【0014】
基材と樹脂材料を保持したインローダーは、材料供給ユニットの近傍に設けられた放熱体供給ユニットへ向かい、移動経路に沿って移動する。
放熱体供給ユニットにおいては、放熱体マガジン部から放熱体が供給され、放熱体は、放熱体マガジン部に対向して設けられ、放熱体マガジン部に近接した放熱体移載装置の吸着部で吸着される。
【0015】
放熱体移載装置は、作業部である放熱体マガジン部と放熱体移載装置の間に移動したインローダーに近接し、吸着部により吸着している放熱体を、インローダーの上部に受け渡す。これにより、インローダーは、基材と樹脂材料に加えて、放熱体を保持する。
【0016】
基材、樹脂材料、及び放熱体を保持したインローダーは、放熱体供給ユニットから樹脂封止ユニットへ向かい、移動経路を移動する。
樹脂封止ユニットにおいて、インローダーは、放熱体供給ユニット、及び、樹脂封止ユニットが並設される方向に設定されたインローダーの移動経路から、上記放熱体供給ユニットにおける作業部までの移動距離と同じ距離を移動して、樹脂封止用金型の下型と上型の間の作業部に向かう。
【0017】
これにより、放熱体供給ユニットと樹脂封止ユニットでは、インローダーにおける、各ユニットが並設される方向に設定された移動経路から、各ユニットの作業部までの移動距離を、同様に制御することが可能である。したがって、インローダーの移動距離を検知する機構、あるいは走行、及び停止を制御するシステムを単純化することが可能になり、装置を、より簡易な構造とすることができる。
また、インローダーの移動距離のパターンを単純化することにより、従来のような、何等かの要因でインローダーが停止して、作業が止まるリスクを抑制することができる。
【0018】
下型は、下型と上型の間に位置しているインローダーから、基材と樹脂材料を受け取り、上型は、放熱体を受け取って保持する。基材、樹脂材料、及び放熱体を樹脂封止用金型へ受け渡したインローダーは、下型と上型の間の空間から、各ユニットの並設方向と平行な移動経路へ戻る。
【0019】
インローダーは、下型と上型の間で、インローダーが保持している基材の下型への受け渡しと、インローダーが保持している放熱体の上型への受け渡しを行うことができるので、従来の装置と相違して、インローダーを複雑に動かす機構を備えたり、複雑な制御を行うシステムを備えたりする必要がなく、より簡易な構造とすることができる。
【0020】
また、インローダーから樹脂封止用金型に基材、樹脂材料、及び放熱体を受け渡す際のインローダーの動きは、従来の複雑な動きとは相違して単純になり、効率化されるので、上記半導体パッケージの効率的な製造が可能であり、生産性を、より向上させることができる。
【0021】
樹脂封止用金型では、下型と上型の型合わせが行なわれ、下型と上型の間に封止樹脂を充填して樹脂封止が行われる。これにより、放熱体を実装した半導体パッケージを製造することができる。
【0022】
なお、本発明に係る樹脂封止装置、及び樹脂封止方法を採用して製造される、放熱体を実装した半導体パッケージは、例えばカーナビゲーション装置用の半導体、プロセッサー用の半導体、電源制御のパワー系の半導体等、半導体の発熱量が比較的大きい半導体パッケージとして好適に採用することができる。
【0023】
上型が放熱体を保持する手段としては、吸着によるものの他、機械的な機構による保持があげられる。機械的な機構については特に限定するものではないが、放熱体に損傷や変形を生じない機構であるのがより好ましい。
【0024】
(2)本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止装置は、放熱体マガジン部の放熱体を供給する位置と、前記下型と前記上型が型開きした状態の前記下型の基材を載置する位置が、型開閉方向に沿って略同一平面上にある構造としてもよい。
【0025】
この場合は、放熱体マガジン部の放熱体を供給する位置と、下型の基材を載置する位置が、略同じ高さになっているので、放熱体供給ユニットにおいて、放熱体移載装置から放熱体を受け取るときのインローダーの高さと、樹脂封止ユニットにおいて、型開きした樹脂封止用金型の下型と上型の間に入るインローダーの高さを略同じにすることができる。
【0026】
しかも、上記両ケースにおける、インローダーの下面と、その下方に位置する上記各位置との距離を、極力近付けることが可能になる。したがって、放熱体供給ユニットと樹脂封止ユニットにおいては、インローダーの移動機構を、インローダーの高さを変動させないように構成することが可能になり、装置を、より簡易な構造とすることができる。
【0027】
また、インローダーの下面と下型の基材を載置する位置を極力近付けても、放熱体供給ユニットにおけるインローダーの作業部への移動に支障はないので、下型へ基材を載置する際の、下型またはインローダーの移動量を、より小さくすることが可能になり、可動部の強度や動きの正確性において有利である。更に、インローダーの下面と、放熱体マガジン部の放熱体を供給する位置が極力近いものとなり、放熱体移送装置の移動距離を小さくすることができ、放熱体供給ユニットの構造を小型化することができる。
【0028】
(3)本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止装置は、前記インローダーが、前記上型に向けて進退動して放熱体を受け渡す保持部を有する構成としてもよい。
【0029】
この場合は、インローダーが放熱体を上型に受け渡す際に、保持部を上型へ向けて進めるように移動させて、放熱体を保持させることができる。この際、上型は、型開き位置の定位置に停止しておくことができ、上型の受け取り位置までの保持部の上昇ストロークを比較的容易に制御することができる。
【0030】
(4)本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止装置は、前記インローダーが保持している基材の前記下型への受け渡しと、前記インローダーが保持している放熱体の前記上型への受け渡しを、前記インローダーが前記下型と前記上型の間に位置している同じタイミングで行うようにしてもよい。
【0031】
この場合は、インローダーが、下型と上型の間に位置している状態を維持したまま、インローダーが保持している基材の下型への受け渡しと、インローダーが保持している放熱体の上型への受け渡しを行うことができる。したがって、従来の装置と相違して、インローダーを複雑に動かす機構を備えたり、複雑な制御を行ったりする必要がなく、より簡易な構造とすることができる。
【0032】
(5)本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止装置は、前記上型が、放熱体の保持を吸着により行う吸着手段を備えている構成としてもよい。
【0033】
この場合は、例えば、空気の負圧を利用して放熱体を吸着するので、機械的に保持する場合と比較して、放熱体が損傷したり変形したりしにくい。
【0034】
(6)本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止装置は、前記上型が、保持状態の放熱体を機械的に保持する保持手段を備えている構成としてもよい。
【0035】
この場合は、樹脂封止装置の運転中に、上型による放熱体の保持が、何等かの理由で解除された場合も、保持手段による機械的な保持が維持される可能性が高くなる。これにより、保持部から脱落した放熱体が装置内で異物となり、これによる装置の停止や、あるいは樹脂封止用金型で、放熱体が実装されていない不良品を製造してしまう不測の事態の発生を抑止することが可能になる。
【0036】
(7)上記の目的を達成するために本発明は、半導体素子を搭載した基材と、前記半導体素子を封止する樹脂材料を、インローダーにより保持して樹脂封止ユニットへ搬送し、該樹脂封止ユニットが備える下型と上型から構成される樹脂封止用金型で、放熱体を実装するように樹脂封止を行う半導体パッケージの樹脂封止方法であって、前記基材と前記樹脂材料を前記インローダーに保持させる材料供給ユニットの近傍に設けられた放熱体供給ユニットが備える、放熱体を吸着する吸着部の略鉛直方向の動作により、放熱体マガジン部から放熱体を取り出し、放熱体を受け取りにくる前記インローダーの上部へ移して保持させる工程と、前記下型と前記上型との間に前記インローダーが移動して、前記インローダーが保持している放熱体を前記上型へ受け渡して保持させる工程を備えており、前記インローダーは、前記放熱体供給ユニット、及び前記樹脂封止ユニットが並設される方向に設定された移動経路から、互いに同じ距離に設定された、前記放熱体供給ユニットの作業部までの移動経路と、前記樹脂封止ユニットの作業部までの移動経路を通って移動する半導体パッケージの樹脂封止方法である。
【0037】
本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止方法では、材料供給ユニットにおいて、基材と樹脂材料をインローダーに保持させる。インローダーは、各移動経路を通って放熱体供給ユニットへ移動する。
【0038】
放熱体供給ユニットにおいては、放熱体を吸着する吸着部の略鉛直方向の動作により、吸着部が放熱体マガジン部から放熱体を取り出す。吸着部で吸着された放熱体は、移動経路を通って放熱体供給ユニットの作業部まで放熱体を受け取りにきたインローダーの上部に移されて保持される。インローダーは、各移動経路を通って封止樹脂ユニットへ移動する。
【0039】
樹脂封止ユニットにおいては、インローダーは、放熱体供給ユニットにおいて、各ユニットの並設方向と平行な移動経路から作業部までの移動経路と同じ距離の移動経路を通って、作業部である下型と上型の間に移動して停止する。インローダーは、上部に保持している放熱体を上型に受け渡して保持させる。また、インローダーが保持している基材と樹脂材料は、下型に受け渡される。
そして、下型と上型で構成される樹脂封止用金型により樹脂封止が行われ、これにより、放熱体を実装した半導体パッケージが製造される。
【0040】
(8)本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止方法は、前記インローダーが保持している基材の前記下型への受け渡しと、前記インローダーが保持している放熱体の前記上型への受け渡しを、前記インローダーが前記下型と前記上型の間に位置している同じタイミングで行うようにしてもよい。
【0041】
この場合は、インローダーが、下型と上型の間に位置している状態を維持したまま、インローダーが保持している基材の下型への受け渡しと、インローダーが保持している放熱体の上型への受け渡しを行うことができる。したがって、従来の装置と相違して、インローダーを複雑に動かす機構を備えたり、複雑な制御を行ったりする必要がなく、より簡易な構造とすることができる。
【0042】
(9)本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止方法は、上記(8)の樹脂封止方法において、前記材料供給ユニットで、前記インローダーに樹脂材料を保持させ、樹脂材料の下型への受け渡しを、基材の前記下型への受け渡しと、放熱体の前記上型への受け渡しと共に、前記インローダーが前記下型と前記上型の間に位置している同じタイミングで行うようにしてもよい。
【0043】
この場合は、インローダーが、下型と上型の間に位置している状態を維持したまま、インローダーが保持している基材と樹脂材料の下型への受け渡しと、インローダーが保持している放熱体の上型への受け渡しを行うことができる。したがって、従来の装置と相違して、インローダーを複雑に動かす機構を備えたり、複雑な制御を行ったりする必要がなく、より簡易な構造とすることができる。
【0044】
(10)本発明に係る半導体パッケージの樹脂封止方法は、前記放熱体供給ユニットで、前記インローダーに受け渡す一回分の放熱体を、前記インローダーの上部に一度で受け渡すと共に、前記インローダーが保持する放熱体を、前記上型へ一度で受け渡すようにしてもよい。
【0045】
この場合は、インローダーに受け渡す一回分の放熱体を、インローダーの上部に一度で受け渡すことができ、加えてインローダーから上型へ一度で受け渡すことができる。すなわち、インローダーに受け渡す一回分の放熱体が、大判の短冊状のものが一枚の場合でも、あるいは各種形状の個片状のものが複数枚ある場合でも、上記各ケースにおいて、それぞれ一度で受け渡すことができるので、効率がよい。
【発明の効果】
【0046】
本発明は、ヒートシンク等の放熱体を樹脂封止用金型に自動的にセットし、樹脂封止をして放熱体を実装する、半導体パッケージの樹脂封止装置を、より簡易な構造とすることができ、インローダーの移動距離のパターンを単純化すると共に、その動きを効率化することで、上記半導体パッケージの効率的な製造が可能であり、従来のような、何等かの要因で装置が停止するリスクを抑制できる、半導体パッケージの樹脂封止装置、及び半導体パッケージの樹脂封止方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1乃至
図13を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。
なお、本実施の形態においては、方向や位置を表す表現として、「上下」、「左右」、「前後」の用語を使用する場合がある。このうち、「上下」については、
図2を基準とし、後述するヒートシンク移載装置22がある方向を「上」または「上方」、台フレーム21がある方向を「下」または「下方」と表現する。「左右」については、
図1を基準とし、後述する材料供給ユニット1がある方向を「左」、アウトプットユニット5がある方向を「右」と表現する。また、「前後」については、
図3を基準とし、後述するヒートシンクマガジン部20がある方向を「前」または「前方」、ガイド部8がある方向を「後」または「後方」と表現する。
【0049】
半導体パッケージの樹脂封止装置A(以下、単に樹脂封止装置Aという)は、基材であるリードフレーム92と、樹脂封止用の樹脂材料である樹脂タブレット93を搬送するインローダー6と、インローダー6にリードフレーム92と樹脂タブレット93を分配して保持させる材料供給ユニット1と、インローダー6の上部で放熱体を保持させる放熱体供給ユニット2と、第1の樹脂封止ユニット3、第2の樹脂封止ユニット4、及び樹脂封止後の成形品95をアンローダー7から受け取り、成形品95の不要な樹脂部分を除去して収納するアウトプットユニット5を備えている(
図1参照)。
【0050】
なお、以下に説明する上記インローダー6とアンローダー7、及び上記各ユニット1〜5の構成については、公知構造を含んだ構成であるので、本発明に直接関わる部分を除き、簡易的な説明に止める場合がある。
【0051】
(インローダー6)
インローダー6は、各ユニットの並設方向に平行に設置されたガイド部8(
図3、及び
図4参照:
図1では省略)に沿って各ユニット間(材料供給ユニット1、ヒートシンク供給ユニット2、及び第1の樹脂封止ユニット3、第2の樹脂封止ユニット4間)を移動する。ガイド部8は、全経路(全行程)にわたり、各ユニットのベース面90と平行、かつ高さに変動のない所要の高さに設定されており、インローダー6もこれに沿って同じ高さで走行する。
【0052】
インローダー6は、各ユニットにおいて、ガイド部8を走行するスライダー80から作業部までの前後方向において進退動が可能で、作業部へ移動して各ユニットに対応した作業を行い、スライダー80へ戻ることができる。この進退する経路が、ガイド部8から作業部までの移動経路となる(
図3及び
図4参照)。
【0053】
インローダー6の下部には、リードフレーム92を保持するリードフレーム保持部60が同じ高さで二箇所に並設されている(
図2乃至
図4、及び
図7乃至
図11参照)。各リードフレーム保持部60は、後述する材料供給ユニット1で供給されるリードフレーム92を受け取って保持し、後述する下型31へ受け渡すことができる(
図11参照)。なお、リードフレーム保持部60のリードフレーム92を受け取る手段、他に受け渡す手段、及び保持する手段等については、特に限定するものではなく、各種公知の手段が採用できる。
【0054】
また、各リードフレーム保持部60の間には、樹脂タブレット93を保持する樹脂タブレット保持部61が設けられている(
図7乃至
図11参照)。各樹脂タブレット保持部61は、後述する材料供給ユニット1で供給される樹脂タブレット93を受け取って保持し、後述する下型31へ受け渡すことができる(
図11参照)。
【0055】
インローダー6の上部には、放熱体である金属製のヒートシンク94を保持するヒートシンク保持部62が二箇所に並設されている(
図2乃至
図4、及び
図7乃至
図11参照)。各ヒートシンク保持部62は、所要のストローク長で昇降動可能な昇降台63を有している。昇降台63の上面には、二箇所に載置台632が設けられ、その上面が同じ高さのヒートシンク保持部62となっている(
図12参照)。
【0056】
昇降台63は、下方へ向けて設けられた複数のロッド630を有し、各ロッド630を基体(符号省略)に固定されたガイド管631にスライド可能に挿通しており(
図3、
図4、及び
図7乃至
図11参照)、アクチュエータ64(
図7乃至
図11参照)で駆動される。各ヒートシンク保持部62は、後述するヒートシンク供給ユニット2で供給されるヒートシンク94を受け取り(
図8及び
図9参照)、後述する上型32へ受け渡すことができる(
図11参照)。なお、ヒートシンク保持部62のヒートシンク94を受け取る手段、他に受け渡す手段、及び保持する手段等については、特に限定するものではなく、各種公知の手段が採用できる。
【0057】
本実施の形態では、一度に受け渡すヒートシンク94の数は二枚であるが、これに限定されるものではない。すなわち、後述するヒートシンク供給ユニット2において、インローダー6に受け渡される一回分のヒートシンク94が、大判の短冊状のものが一枚の場合でも、あるいは各種形状の個片状のものが三枚以上ある場合でも、それぞれ一度で受け渡すことができるように、後述する受け渡し側である吸着パッド220の配置や数、あるいは受け取り側である上型32の吸引孔325の配置や数を適宜設定することが可能である。
【0058】
また、昇降体63には、上記載置台632の外周部に若干の隙間を以て設けられた枠状の当接枠633が、下方へ向け設けた複数のガイドロッド634を図示しないガイド孔に差し込んで昇降可能、かつガイドロッド634が抜けないようにして嵌装されている(
図12参照)。各ガイドロッド634には、両端を当接枠633と昇降体63に当てて、コイルバネ635が嵌め込まれている。常態においては、当接枠633は、その上面がヒートシンク保持部62より、やや高くなるように設定されている(
図12(a)参照)。
【0059】
これにより、ヒートシンク保持部62にヒートシンク94を保持して、昇降体63が上昇した時、ヒートシンク94より先に、まず当接枠633が上型32の上型キャビティブロック321の下面に当たる(
図12参照)。しかも、その際の力や衝撃は、コイルバネ635で緩衝されるので、ヒートシンク94が上型キャビティブロック321に、直接当たることによるヒートシンク94の破損や変形を抑止することができる。
【0060】
(アンローダー7)
アンローダー7は、上記インローダー6と同様に、各ユニットの並設方向に平行に設置されたガイド部8に沿って各ユニット間(第1の樹脂封止ユニット3、第2の樹脂封止ユニット4、及びアウトプットユニット5間)を移動する。
【0061】
アンローダー7は、上記各ユニットにおいて、ガイド部8を走行するスライダー80から作業部方向へ進退動が可能で、作業部へ移動して各ユニットに対応した作業を行い、スライダー80へ戻ることができる。
【0062】
アンローダー7の下部には、成形品95を真空吸着により吸着して保持する成形品保持部70が同じ高さで二箇所に並設されている(
図1参照)。各成形品保持部70は、樹脂封止用金型30で樹脂封止された成形品95を下型31から取り出して保持し、後述するアウトプットユニット5のディゲート部50(
図1参照)へ受け渡すことができる。
【0063】
また、アンローダー7には、プレヒーター71が一体に併設されている(
図1参照)。プレヒーター71は、インローダー6で保持している樹脂封止前のリードフレーム92を予備的に温めることにより、成形時の封止金型の熱によるリードフレーム92の変形を抑止するためのものである。アンローダー7は、第1の樹脂封止ユニット3または第2の樹脂封止ユニット4の各作業部に移動する前のインローダー6の停止位置まで移動し、インローダー6が保持しているリードフレーム92をプレヒーター71で温める。
【0064】
(材料供給ユニット1)
材料供給ユニット1は、
図1に示すようにインローダー6に、リードフレーム92と樹脂タブレット93を供給する。材料供給ユニット1は、リードフレームマガジン部10を有し、リードフレームマガジン部10にあるリードフレーム92を、プッシャー11、及びプル部12により整列部13へ移載する。そして、整列部13の二箇所に並んで載置されたリードフレーム92を、上記インローダー6が取りに行く構成である。
【0065】
また、材料供給ユニット1は、樹脂タブレット93を供給する樹脂タブレットローダー14を有している(
図1参照)。材料供給ユニット1においてリードフレーム92を保持した後のインローダー6には、樹脂タブレット保持部61に、樹脂タブレットローダー14により樹脂タブレット93が受け渡される。
【0066】
(ヒートシンク供給ユニット2)
放熱体供給ユニットであるヒートシンク供給ユニット2は、
図1、
図3等に示すように、ヒートシンク94をインローダー6に供給し、インローダー6の上部に設けられたヒートシンク保持部62で保持させる。また、ヒートシンク供給ユニット2は、材料供給ユニット1の次の工程として、すなわち材料供給ユニット1と後述する第1の樹脂封止ユニット3との間に設けられている。
【0067】
ヒートシンク供給ユニット2は、
図2、
図3、及び
図5等に示すように、ヒートシンク94を供給するヒートシンクマガジン部20と、供給されるヒートシンク94をインローダー6に受け渡す放熱体移載装置であるヒートシンク移載装置22を有している。ヒートシンクマガジン部20は、上下が開口した角筒状に形成されている。ヒートシンクマガジン部20は、二台が上下方向に沿うように立てられて、台フレーム21に並設されている。
【0068】
ヒートシンクマガジン部20の内部には、厚み方向に複数(または多数)積層したヒートシンク94を収容することができる(
図3、及び
図7乃至
図9参照)。ヒートシンクマガジン部20に収容されたヒートシンク94は、プッシャー23で下方から押し上げることにより、ヒートシンクマガジン部20の上部開口部200(
図2、
図3、及び
図7乃至
図9参照)から供給することができる。
【0069】
ヒートシンク移載装置22は、その下面に、ヒートシンク94を吸着する吸着部である複数の吸着パッド220を有している。各吸着パッド220は、吸盤様の形状であり、水平に設定された昇降部材221に対して、下向きの吸着口(符号省略)が同じ高さになるように設けられている(
図2、
図3参照)。なお、昇降部材221は、図示しない真空装置を備えており、各吸着パッド220の内部を負圧にすることにより、ヒートシンク94を吸着することができる。
【0070】
昇降部材221は、ボールスクリュー222をアクチュエータ223(
図3参照)で回転させることにより水平を維持したままで、所要のストローク長(ヒートシンクマガジン部20の上部開口部200の高さから、インローダー6のヒートシンク保持部62よりやや上方位置の高さまでのストローク長)で昇降する構造である。
【0071】
なお、ヒートシンク移載装置22は、上部フレーム224(
図2、及び
図3参照)に固定されており、各吸着パッド220は、各ヒートシンクマガジン部20の上部開口部200と対向して設けられている。ヒートシンク移載装置22の一部である各吸着パッド220は、ヒートシンクマガジン部20のヒートシンク94の供給部である上部開口部200、及びヒートシンクマガジン部20との間に移動したインローダー6のヒートシンク保持部62に対して近接可能である。
【0072】
また、ヒートシンク94を移載するにあたり、各吸着パッド220は、昇降部材221と共に、鉛直方向にのみ動作するという、極めて単純な動きによって作業を行う構造となっている。
【0073】
(第1の樹脂封止ユニット3と第2の樹脂封止ユニット4)
第1の樹脂封止ユニット3と第2の樹脂封止ユニット4は、それぞれが備える樹脂封止用金型30と樹脂封止用金型40(
図1参照)が、互いに同様の構成を有しているので、その構成については、第1の樹脂封止ユニット3、及び樹脂封止用金型30についてのみ説明し、同様の構成の第2の樹脂封止ユニット4、及び樹脂封止用金型40については、説明を省略する。
【0074】
第1の樹脂封止ユニット3と第2の樹脂封止ユニット4は、一台のインローダー6によって、基材、樹脂材料、及びヒートシンク94が受け渡され、同じ種類の半導体パッケージが成形される。樹脂封止ユニットは、二箇所に限定されるものではなく、一箇所でもよいし、三箇所以上設けることもできる。また、複数の樹脂封止ユニットで成形される半導体パッケージは、各ユニットにおいて同じ種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
【0075】
第1の樹脂封止ユニット3は、半導体素子(符号省略)を搭載したリードフレーム92とヒートシンク94の樹脂封止を行い、ヒートシンク94の表面を露出させて実装した半導体パッケージ(図示省略)を成形する樹脂封止用金型30を有している。樹脂封止用金型30は、下型31と上型32で構成されている(
図13等参照)。
【0076】
下型31、及び上型32の構造の詳細については、
図13(a)、(b)及び(a)のP3拡大図を主に参照する。
下型31は、下型チェスブロック310、及び下型キャビティブロック311を備えている。下型キャビティブロック311の上面には、半導体素子を搭載したリードフレーム92が載置されるリードフレーム載置部312が設けられている。
【0077】
下型キャビティブロック311は、カル部313を挟んで二箇所に並設されている。また、下型キャビティブロック311には、型合わせのため、後述する上型キャビティブロック321の嵌合凹部329と嵌め合う嵌合凸部319が設けられている。
【0078】
上型32は、上型チェスブロック320、上型キャビティブロック321、及び吸着ブロック322を備えている。上型キャビティブロック321と吸着ブロック322のセットは、各下型キャビティブロック311にそれぞれ対向して二箇所に並設されている。
【0079】
上型32の下面には、吸着ブロック322から上型キャビティブロック321に一部がかかるように、キャビティ凹部323が形成されている。キャビティ凹部323は、上型32と下型31を型合わせすることにより、下型キャビティブロック311の上面との間で、キャビティ300を形成する。
【0080】
キャビティ凹部323には、ヒートシンク94を吸着するヒートシンク吸着部324が設けられている。吸着ブロック322には、ヒートシンク吸着部324に開口し、真空装置(図示省略)につながる吸引孔325が複数設けられている。なお、上型32のヒートシンク94を受け取る手段、及び保持する手段等については、特に限定するものではなく、各種公知の手段が採用できる。
また、上型キャビティブロック321には、下型キャビティブロック311の嵌合凸部319と嵌め合う嵌合凹部329が設けられている。
【0081】
上型32は、四本のタイバー33の上端部に水平に固定されている固定プラテン34に取り付けられている。また、下型31は、各タイバー33に水平状態で昇降可能に嵌装されている可動プラテン35に取り付けられている(
図2、
図10、
図11等参照)。下型31は、駆動部(図示省略)により上昇することで、後述するように、インローダー6からのリードフレーム92の受け取り、及び上型32との型合わせ(または型締め)を行うことができる。
【0082】
また、上記ヒートシンク供給ユニット2と、第1の樹脂封止ユニット3、及び第2の樹脂封止ユニット4においては、各ユニットが並設される方向に(またはその方向と平行に)設定された移動経路であるガイド部8から、各作業部までのインローダー6の移動距離が略同じになるように設定されている。
【0083】
すなわち、ヒートシンク供給ユニット2では、ガイド部8から、作業部である、ヒートシンク94の受け取り位置までの最短距離と、各封止樹脂ユニット3、4では、ガイド部8から、作業部である、樹脂封止用金型30へのリードフレーム92、及びヒートシンク94の受け渡し位置までの最短距離が略同じである(
図3、及び
図4参照)。
【0084】
また、樹脂封止用金型30が型開きしたときの下型31のリードフレーム載置部312と、上記材料供給ユニット1のリードフレーム92を供給するリードフレームマガジン部10の供給部が、型開閉方向である鉛直方向と直交する、水平な略同一平面上にあり、換言すれば、略同じ高さにある(
図2参照)。
【0085】
なお、本実施の形態では備えていないが、上型32のヒートシンク吸着部324の近傍に、吸着して保持状態としているヒートシンク94を、更に機械的に保持する、保持爪等の保持手段を備える構成を採用することもできる。
【0086】
これによれば、樹脂封止装置Aの運転中に、上型32によるヒートシンク94の吸着による保持が、真空装置の故障等、何等かの理由で解除された場合も、保持爪等の機械的な保持手段による保持は、そのまま維持される可能性が高くなる。
【0087】
したがって、これにより、樹脂封止用金型30内において、脱落したヒートシンク94が装置内で異物となること、あるいはヒートシンク94が実装されていない不良品を製造してしまう不測の事態の発生を抑止することが可能になる。なお、同様の機構は、インローダー6のリードフレーム保持部60に設けることもできる。
【0088】
(アウトプットユニット5)
アウトプットユニット5は、成形品95からライナー部等の樹脂の不要な部分を除去するディゲート部50を備えている。ディゲート部50の後には、収納部であるアウトプットマガジン部51を備えている。ディゲート部50とアウトプットマガジン部51の間には、ディゲート部50で不要部分が除去された成形品(符号省略)をアウトプットマガジン部51へ搬送するピックアップ部52が設けられている。
【0089】
(樹脂封止装置Aの使用方法及び作用)
図1乃至
図13を参照して、本実施の形態に係る樹脂封止装置Aの使用方法、及び作用を説明する。なお、以下では、大判のヒートシンクを実装した成形品をつくる場合を例にとり説明する。なお、成形品は、後行程で切断されて個片化され、製品であるヒートシンクを実装した半導体パッケージとなる。
【0090】
(1)材料供給ユニット1においては、まず、リードフレームマガジン部10に積層して収容されているリードフレーム92を、プッシャー11、及びプル部12により整列部13へ移載する。そして、整列部13の二箇所に並んで載置されているリードフレーム92を、インローダー6が取りに行き、インローダー6のリードフレーム保持部60により保持する。
【0091】
また、材料供給ユニット1においては、樹脂タブレットローダー14から樹脂タブレット93が供給され、リードフレーム92を保持した後のインローダー6の樹脂タブレット保持部61に、樹脂タブレット93が受け渡される。これにより、インローダー6は、下部にリードフレーム92と樹脂タブレット93を保持する(
図1参照)。
【0092】
(2)リードフレーム92と樹脂タブレット93を保持したインローダー6は、移動経路であるガイド部8上を走行して、材料供給ユニット1と樹脂封止ユニット3との間に設けられたヒートシンク供給ユニット2へ移動する。
【0093】
(3)ヒートシンク供給ユニット2においては、インローダー6が、ガイド部8の前方に位置している作業部(インローダー6のヒートシンク保持部62がヒートシンク94を受け取る位置)に向け移動する(
図1、
図3参照)。
【0094】
そして、ヒートシンクマガジン部20からヒートシンク94が供給され、ヒートシンク94は、ヒートシンクマガジン部20の上部開口部200に対向して設けられ、ヒートシンクマガジン部20に近接したヒートシンク移載装置22の吸着パッド220により吸着される。(
図5、
図6参照)
【0095】
なお、本実施の形態で実装するヒートシンク94は、平板状であり、脚付きタイプではない。平板状のものは、脚部が樹脂の流路を塞いでしまったり、封止時に空気を噛みこんでしまったりして、成形不良が生じることを抑止することができると共に、脚部が低背化の妨げになることを解消できるので、特に大判のヒートシンクを実装する際に、品質を確保する上で有効である。
【0096】
(4)ヒートシンク移載装置22の昇降部材221が下降し、各吸着パッド220は、作業部である、ヒートシンクマガジン部20とヒートシンク移載装置22の間に移動したインローダー6に近接し、吸着パッド220により吸着しているヒートシンク94を、インローダー6の上部のヒートシンク保持部62に受け渡す。これにより、インローダー6は、リードフレーム92と樹脂タブレット93に加えて、ヒートシンク94を保持する。(
図7、
図8参照)
【0097】
(5)リードフレーム92、樹脂タブレット93、及びヒートシンク94を保持したインローダー6は、ヒートシンク供給ユニット2の作業部からスライダー80まで後退し、ガイド部8上を走行して第1の樹脂封止ユニット3へ移動する。(
図1、及び
図9参照:
図10参考)
【0098】
(6)第1の樹脂封止ユニット3おいては、インローダー6は、ガイド部8から、上記ヒートシンク供給ユニット2における作業部までの移動距離と同じ距離を移動して、型開きしている樹脂封止用金型30の下型31と上型32の間の作業部に位置する。(
図4及び
図10参照)
【0099】
これにより、ヒートシンク供給ユニット2と第1の樹脂封止ユニット3では、インローダー6のガイド部8から作業部までの移動距離を、同様に制御することが可能である。したがって、ガイド部8から作業部までの移動距離を検知する機構、あるいは走行、及び停止を制御するシステムを単純化することが可能になり、装置を、より簡易な構造とすることができる。また、インローダー6の移動距離のパターンを単純化することにより、従来のような、何等かの要因でインローダー6が停止して、作業が止まるリスクを抑制することができる。
【0100】
また、上記したように、ヒートシンクマガジン部20のヒートシンク94を供給する位置と、下型31のリードフレーム92を載置するリードフレーム載置部312の位置が、略同じ高さになっている。これにより、ヒートシンク供給ユニット2において、ヒートシンク移載装置22からヒートシンク94を受け取るときのインローダー6の高さと、樹脂封止ユニット3において、型開きした樹脂封止用金型30の下型31と上型32の間に入るインローダー6の高さを略同じにすることができる。
【0101】
しかも、上記両ケースにおける、インローダー6の下面と、その下方に位置するヒートシンクマガジン部20のヒートシンク94を供給する位置と、下型31のリードフレーム載置部312の位置との距離を、極力近付けることが可能になる。したがって、ヒートシンク供給ユニット2と樹脂封止ユニット3においては、インローダー6の移動機構を、インローダー6の高さを変動させないように構成することが可能になり、装置を、より簡易な構造とすることができる。
【0102】
また、インローダー6の下面と下型31のリードフレーム載置部312の位置を極力近付けても、ヒートシンク供給ユニット2におけるインローダー6の作業部への移動に支障はないので、下型31へリードフレーム92を載置する際の、下型31の上方向の移動量を、より小さくすることが可能になり、可動部の強度や動きの正確性において有利である。
【0103】
更に、インローダー6の下面と、ヒートシンクマガジン部20のヒートシンク94を供給する位置が極力近いものとなり、ヒートシンク移載装置22の移動距離を小さくすることができ、ヒートシンク供給ユニット2の構造を小型化することができる。
【0104】
(7)下型31が上昇して、下型31と上型32の間に位置しているインローダー6から、リードフレーム92と樹脂タブレット93を受け取る。また、インローダー6は、昇降体63を上昇させ、ヒートシンク94を上型32のヒートシンク保持部62に受け渡す。上型32は、吸着ブロック322でヒートシンク94を受け取って保持する。(
図11参照)
【0105】
このように、インローダー6は、インローダー6が保持しているリードフレーム92の下型31への受け渡しと、ヒートシンク94の上型32への受け渡しを、下型31と上型32の間に位置している同じタイミングで行うことができる。したがって、従来の装置と相違して、インローダー6を複雑に動かす機構を備えたり、複雑な制御を行うシステムを備えたりする必要がなく、より簡易な構造とすることができる。
【0106】
また、インローダー6から樹脂封止用金型30にリードフレーム92、樹脂タブレット93、及びヒートシンク94を受け渡す際のインローダー6の動きは、ガイド部8に沿う動きと、ガイド部8から作業部への動きだけなので、従来の複雑な動きとは相違して単純な動きになっており、効率化されるので、上記半導体パッケージの効率的な製造が可能であり、生産性を、より向上させることができる。
【0107】
(8)リードフレーム92、樹脂タブレット93、及びヒートシンク94を樹脂封止用金型30へ受け渡したインローダー6は、下型31と上型32の間の空間から後退してスライダー80へ戻り、更にガイド部8に沿って走行して材料供給ユニット1へ戻り、上記と同様の材料の搬送工程を繰り返す。なお、上記したように、本実施の形態において、インローダー6は、第1の樹脂封止ユニット3と第2の樹脂封止ユニット4へ、各材料を交互に搬送するようになっている。
【0108】
(9)インローダー6が移動した後、樹脂封止用金型30では、下型31と上型32の型合わせが行なわれ、下型31と上型32の間のキャビティ300に、封止樹脂を充填して樹脂封止による成形が行われる。これにより、二つの半導体パッケージが樹脂のライナー部950でつながった成形品95が得られる(
図13(a)、(b)参照)。
【0109】
(10)樹脂封止用金型30の型開きを行うと共に、アンローダー7がガイド部8に沿って走行し、第1の樹脂封止ユニット3へ移動する。そして、アンローダー7は、第1の樹脂封止ユニット3の作業部へ移動し、下部の成形品保持部70により、下型31上にある成形品95を吸着して保持する。
【0110】
(11)成形品95を保持したアンローダー7は、後退してスライダー80へ移動し、ガイド部8に沿って走行して、成形品95は、アウトプットユニット5のディゲート部50に受け渡される(
図1参照)。
ディゲート部50においては、成形品95からライナー部等の樹脂の不要な部分が除去されて、大判の短冊状のヒートシンク94をそのまま実装した形態の成形品がつくられる。そして、成形品は、ピックアップ部52により、ディゲート部50からアウトプットマガジン部51へ搬送されて適宜収納される。
【0111】
本明細書、及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書、及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【課題】装置を、より簡易な構造とすると共に、樹脂封止用金型に材料を受け渡す際のインローダーの動きを効率化して生産性を向上させた、半導体パッケージの樹脂封止装置を提供する。
【解決手段】樹脂封止装置Aは、材料を搬送するインローダー6と、インローダー6に材料を保持させる材料供給ユニット1と、材料供給ユニット1と樹脂封止ユニット3との間に設けられ、ヒートシンク移載装置によりインローダー6の上部でヒートシンク94を保持させるヒートシンク供給ユニット2と、樹脂封止用金型30の上型32にヒートシンク94を保持させ、リードフレーム92と共に樹脂封止をする樹脂封止ユニット3、4と、成形品95を取り出すアンローダー7と、成形品95を収納するアウトプットユニット5を備えており、ヒートシンク供給ユニット2と樹脂封止ユニット3において、ガイド部8から作業部までの距離が略同じである。