(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3入力信号が全開状態、全閉状態、及び中途状態のいずれか一つの状態にある前記開閉体の開閉動作を示すと判断したとき、前記制御信号を送信する、請求項1に記載の車両用開閉体の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構造又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に説明される実施形態で具体的に記載された形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0013】
[第1実施形態]
<車両の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両100の概略側面図である。以下、車両100の構成について詳細に説明する。
【0014】
車両100は、車両用開閉体としてのスライドドア101を備える。スライドドア101は、電力により駆動される開閉機構を備え、センターレール112、アッパーレール114及びロアレール116により、車両ボデー100aに対して車両100の前後方向に移動自在に支持されている。
【0015】
スライドドア101は、全開ラッチ装置103、前方ラッチ装置104及び後方ラッチ装置105を備える。一方、車両ボデー100aには複数のストライカ(不図示)が設けられており、各ラッチ装置103〜105はストライカと係合又は係脱する。全開ラッチ装置103は、スライドドア101を全開状態で保持するラッチ機構を備え、前方ラッチ装置104及び後方ラッチ装置105は、スライドドア101を全閉状態で保持するラッチ機構を備える。なお、本明細書においては車両用開閉体としてスライドドア101を一例に挙げて説明しているが、車両用開閉体は、スライドドア101に限らず、スイングドア400、バックドア500、又は、マニュアルで動くスライドドア、スイングドア、若しくはバックドアであってもよい。
【0016】
車両100は、光や音、表示によりユーザに警告を与える警報装置117、スライドドア101の開閉を検出するカーテシスイッチ119、及び、複数のセンサからなるセンサ群300をさらに備える。後述するが、センサ群300の各センサ301乃至310は、各々所定のセンシング機能を有し、ECU200は、所定の機能を実現するために、各センサ301乃至310からの信号を使用することができる。
【0017】
<車両用開閉体の構成>
図2Aは、車両用開閉体としてのスライドドア101の概略構成図であり、
図2Bは、開閉駆動装置102の概略断面図である。以下、スライドドア101の構成について詳細に説明する。
【0018】
スライドドア101には、開閉駆動装置102、全開ラッチ装置103、前方ラッチ装置104、後方ラッチ装置105、操作スイッチ106、タッチセンサ108、ガイドプーリ109、及び、ECU(Electronic Control Unit)200が取り付けられている。なお、ECU200は、スライドドア101に限らず、車両100内の所望の場所に取り付けられ得る。
【0019】
スライドドア101は、センターレール112、アッパーレール114及びロアレール116に、それぞれセンターローラ110、アッパーローラ113及びロアローラ115を介して車両100の前後方向に移動自在に支持されている。
【0020】
ECU200は、開閉駆動装置102に接続された出力回路内のリレーを制御することにより、開閉モータ102cに印加される電圧の極性を反転させる。これにより、開閉モータ102cの回転方向が変更され、スライドドア101の開閉方向が制御される。なお、電磁クラッチ102bがつながっていない状態(「非接続状態」)では、ユーザは、スライドドア101を手動で開閉することができる。
【0021】
パルスセンサ102aは、ホール素子等であり、互いに位相の異なる対のパルス信号をECU200に出力する。ECU200は、該パルス信号に基いて、開閉モータ102cの回転量、回転速度及び回転方向を検出し、スライドドア101の位置、移動速度及び移動方向を判断することができる。
【0022】
全開ラッチ装置103、前方ラッチ装置104及び後方ラッチ装置105は、それぞれ、ラッチスイッチ103a〜105a及びリリース/クローズ(R/C)モータ103b〜105bを含むラッチ機構を備える。各R/Cモータ103b〜105bは、ECU200からの制御信号に応じて、各ラッチ装置103〜105のラッチを駆動し、対応するストライカに対して係合又は係脱させる。ラッチスイッチ103a〜105aは、それぞれ、ラッチ装置103〜105のラッチとストライカとの間の係合又は係脱の状態(「ラッチ状態」)を示す信号をECU200に出力する。この信号に基いて、ECU200は、各ラッチ装置103〜105のラッチ状態を検出することにより、スライドドア101の開閉を判断することができる。ここで、「ラッチ状態」には、ラッチとストライカが完全に係脱しているアンラッチ状態、ラッチとストライカが完全に係合しているフルラッチ状態、及び、ラッチとストライカが完全には係合又は係脱していないハーフラッチ状態が含まれる。
【0023】
例えば、ECU200は、全開ラッチ装置103のラッチスイッチ103aからフルラッチ状態を示す信号を入力すると、スライドドア101が全開していると判断できる。ECU200は、前方ラッチ装置104のラッチスイッチ104a及び後方ラッチ装置105のラッチスイッチ105aからフルラッチ状態を示す信号を入力すると、スライドドア101が全閉していると判断できる。スライドドア101が全閉しているときに、ECU200は、ラッチスイッチ104a及びラッチスイッチ105aのうちの少なくとも一方からハーフラッチ状態又はアンラッチ状態を示す信号を入力すると、スライドドア101が開くだろう又は開いていると判断できる。また、スライドドア101が全開しているときに、ECU200は、ラッチスイッチ103aからハーフラッチ状態又はアンラッチ状態を示す信号を入力すると、スライドドア101の閉動作開始、又は閉動作中であることを判断できる。ここで、スライドドア101の開動作開始、開動作中、及び、開動作終了の各状態をスライドドア101の「開状態」と表現する。また、スライドドア101の閉動作開始、閉動作中、及び、兵動作終了の各状態を単純にスライドドア101の「閉状態」と表現する。特に、スライドドア101が完全に開いた状態を「全開状態」と表現し、スライドドア101が完全に閉じた状態を「全閉状態」と表現する。ここで、全開状態は開状態に包含される状態であり、全閉状態は閉状態に包含される状態である。
【0024】
また、カーテシスイッチ119は、スライドドア101の開状態又は閉状態(「開閉状態」)を示す信号をECU200に出力する。この信号に基いて、ECU200は、スライドドア101の開閉状態を判断してもよい。
【0025】
操作スイッチ106は、スライドドア101の外側のハンドルに取り付けられ、ユーザの操作に応じてスライドドア101の開閉を指示する信号をECU200に出力する。この信号に応じて、ECU200は、開閉駆動装置102に制御信号を出力し、開閉駆動装置102は、スライドドア101を開作動又は閉作動させる。
【0026】
タッチセンサ108は、静電容量式のセンサであり、スライドドア101の前縁部に取り付けられている。タッチセンサ108は、スライドドア101の閉動作中に反応すると、車両ボデー100aとスライドドア101との間に物体の挟み込みを検出したことを示す信号をECU200に出力する。この信号を基に、ECU200は、車両ボデー100aとスライドドア101との間の物体の挟み込みを認識することができる。
【0027】
センターレール112に取り付けられたストッパ111及び車両100の給油口扉118は、ECU200からの制御信号に応じて動作し、スライドドア101を停止させることができる。具体的には、スライドドア101が意図に反して開動作又は閉動作したときに、ストッパ111は、ECU200からの制御信号に応じて開き、スライドドア101を停止させることができる。また、スライドドア101が意図せず開動作したときに、給油口扉118は、ECU200からの制御信号に応じて開き、スライドドア101を受け止め停止させることができる。
【0028】
警報装置117は、ECU200からの制御信号に応じて、光や音を発生することにより、又はユーザに警告を表示することにより、表示によりユーザに警告を与えることができる。警報装置117は、車両100が上り傾斜面に位置していることをユーザに報知するための上り傾斜面警報装置117a、車両100が下り傾斜面に位置していることをユーザに報知するための下り傾斜面警報装置117b、電磁クラッチ102bが故障していること又はその予兆があることをユーザに報知するための故障警報装置117c、スライドドア101が意図しない開動作をしている又はその虞があることをユーザに報知するための開動作警報装置117d、及びスライドドア101が意図しない閉動作をしている又はその虞があることをユーザに報知するための閉動作警報装置117eを含む。
【0029】
図2Bに示すように、開閉駆動装置102は、パルスセンサ102a、電磁クラッチ102b、開閉モータ102c及びドラム102dを含む周知の駆動機構を備える。ケーブル107の一端がドラム102dに固定され、ケーブル107の他端がガイドプーリ109及びセンターレール112にガイドされて車両ボデー100aに固定されている。このため、ECU200が、電磁クラッチ102bをつなぎ(「接続状態」)、開閉モータ102cを駆動させることにより、開閉モータ102cの動力が、電磁クラッチ102b、ドラム102d及びケーブル107を介してスライドドア101に伝わる。このように、開閉駆動装置102は、ECU200からの制御信号に応じて、スライドドア101を開閉駆動することができる。
【0030】
<車両用開閉体の制御装置の構成>
図3は、車両用開閉体の制御装置としてのECU200等の機能ブロック図である。以下、車両用開閉体の制御装置としてのECU200の構成について詳細に説明する。
【0031】
ECU200は、CPU(Central Processing Unit)201、メモリ202、制御部203、入力回路214、システムバス215及び出力回路216を備える。制御部203は、CPU201やメモリ202と協働して、ECU200に入力された信号を処理し、開閉駆動装置102、全開ラッチ装置103、前方ラッチ装置104、後方ラッチ装置105、ストッパ111、警報装置117及び給油口扉118を制御するための所定の機能を備える。なお、制御部203は、CPU201により実行される機能を記したソフトウェアプログラムとしてメモリ202内に記憶されていてもよいし、ハードウェア素子としてECU200内に実装されていてもよい。また、ECU200は、CPU201にクロック周波数を提供する発振器や、カウンタ回路等のハードウェア素子をさらに備えていてもよい。
【0032】
制御部203には、車両状態判断部204、周辺状況判断部205、開閉状態判断部206、開閉位置判断部207、開閉速度判断部208、開閉方向判断部209、クラッチ状態判断部210、ラッチ状態判断部211、開閉操作判断部212、及び、挟み込み判断部213が含まれる。ECU200の各構成要素は、車両100に搭載されたバッテリ(不図示)から適当な電圧に変換された電源に接続され、システムバス215を介して互いに信号のやりとりを行う。
【0033】
CPU201は、所定の機能を実現するための演算処理を行い、メモリ202は、プログラムを記憶するためのROM(Read Only Memory)や、一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を備える。
【0034】
入力回路214は、センサ群300の各センサ301〜310、操作スイッチ106、タッチセンサ108、パルスセンサ102a、電磁クラッチ102b、及び、ラッチスイッチ103a〜105aから信号を入力する。入力回路214は、A/Dコンバータ等を備え、入力した信号をCPU201で処理可能なデジタル信号に変換する。出力回路216は、D/Aコンバータ等を備え、システムバス215を介して入力した信号を、電磁クラッチ102b、開閉モータ102c、R/Cモータ103b〜105b、ストッパ111、警報装置117及び給油口扉118の制御に適したアナログ信号に変換し、制御信号として出力する。
【0035】
車両状態判断部204は、センサ群300のセンサ301〜310からの信号のうちの少なくとも1つに基づき、車両100の走行状態を判断する。周辺状況判断部205は、センサ群300のセンサ301〜310からの信号のうち少なくとも1つに基づき、車両100の周辺状況を判断する。ここで、車両の「走行状態」には、車両が走行している状態、停車している状態、加速又は減速している状態、カーブ走行している状態等が含まれる。また、車両の「周辺状況」には、車両が傾斜面にある状況、車両周辺に別の車両や障害物、崖等の危険因子がある状況、車両が高速道路にある状況、車両がカーブした道にある状況等が含まれる。
【0036】
開閉状態判断部206は、ラッチスイッチ103b〜105b及びカーテシスイッチ119からの信号のうちの少なくとも1つに基づき、スライドドア101の開状態又は閉状態(「開閉状態」)を判断する。開閉位置判断部207は、パルスセンサ102aからの信号に基づき、スライドドア101の位置を判断する。開閉速度判断部208は、パルスセンサ102aからの信号に基づき、スライドドア101の開閉速度を判断する。開閉方向判断部209は、パルスセンサ102aからの信号に基づき、スライドドア101の開閉方向を判断する。クラッチ状態判断部210は、電磁クラッチ102bを監視し、電磁クラッチ102bの故障又は故障の予兆を判断する。例えば、電磁クラッチ102bに流れる電流値を監視し、電流値の経時的な変化を記憶し、電流値と所定の閾値とを比較することにより、電磁クラッチ102bの故障の予兆を判断してもよい。
【0037】
ラッチ状態判断部211は、ラッチスイッチ103a〜105aからの信号に基づき、それぞれ、全開ラッチ装置103、前方ラッチ装置104及び後方ラッチ装置105のラッチ状態を判断する。開閉操作判断部212は、操作スイッチ106からの信号に基づき、スライドドア101の開動作又は閉動作についてのユーザの意思を判断する。挟み込み判断部213は、タッチセンサ108からの信号に基づき、スライドドア101と車両ボデー100aとの間の物体の挟み込みを判断する。
【0038】
制御部203は、各判断部204〜213での判断結果を基に、電磁クラッチ102b、開閉モータ102c、R/Cモータ103b〜105b、ストッパ111、警報装置117及び給油口扉118を制御するための制御信号をそれぞれに出力する。ECU200からの制御信号に応じて、電磁クラッチ102b、開閉モータ102c、R/Cモータ103b〜105b、ストッパ111、警報装置117及び給油口扉118は所定の動作を行う。
【0039】
次に、センサ群300の各センサ301〜310について説明する。センサ群300には、イグニッションスイッチ301、車速センサ302、加速度センサ303、GPS(Global Positioning System)304、舵角センサ305、周辺カメラ306、傾斜センサ307、シフトセンサ308、ブレーキセンサ309及びパーキングブレーキセンサ310が含まれる。
【0040】
イグニッションスイッチ301は、イグニッションのON又はOFFを示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の走行状態を判断するために用いることができる。
【0041】
車速センサ302は、車両100の速度を示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の走行状態を判断するために用いることができる。加速度センサ303は、車両100の加速度(加速又は減速)を示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の走行状態を判断するために用いることができる。GPS304は、車両100の地理的位置を示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の周辺状況を判断するために用いることができる。
【0042】
舵角センサ305は、ステアリングホイールの角度を示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の走行状態を判断するために用いることができる。周辺カメラ306は、車両100周辺の画像情報をECU200に出力し、ECU200は、その情報を車両100の周辺状況を判断するために用いることができる。傾斜センサ307は、重力センサ等から構成され、車両100の傾斜角度を示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の周辺状況を判断するために用いることができる。シフトセンサ308は、シフトレバーの位置(P、R、D等)を示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の走行状態を判断するために用いることができる。ブレーキセンサ309は、ブレーキ量を示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の走行状態を判断するために用いることができる。そして、パーキングブレーキセンサ310は、パーキングブレーキのON/OFFを示す信号をECU200に出力し、ECU200は、その信号を車両100の走行状態を判断するために用いることができる。
【0043】
表1は、上記で例として挙げた車両の走行状態及び周辺状況と、それらを判断するために用いられるセンサ301〜310との関係をまとめた表である。
【0045】
例えば、ECU200の車両状態判断部204は、車速センサ302からの信号(例えば、60km/h)を基に、車両100が走行している状態にあると判断してもよい。ECU200の車両状態判断部204は、イグニッションスイッチ301からの信号(例えば、OFF)、車速センサ302からの信号(例えば、0km/h)及びシフトセンサ308からの信号(例えば、P)を基に、車両100が停車している状態にあると判断してもよい。ECU200の車両状態判断部204は、車速センサ302からの信号(例えば、40km/h)及び舵角センサ305からの信号(例えば、20°)を基に、車両100がカーブ走行している状態にあると判断してもよい。ECU200の周辺状況判断部205は、周辺カメラ306からの画像情報を処理し、その処理結果を基に車両100の左側のスライドドア101の周辺に崖が存在している状況にあると判断してもよい。ECU200の周辺状況判断部205は、GPS304からの信号を基に、メモリ202に予め記憶された地図情報を参照して、車両100が高速道路に位置している状況にあると判断してもよい。また、ECU200の周辺状況判断部205は、傾斜センサ307からの信号(例えば、15°)を基に、車両100が傾斜面に位置している状況にあると判断してもよい。なお、本実施形態では、これらの例に何ら限定されるものではない。
【0046】
<車両用開閉体の制御装置の制御方法>
本実施形態に係る車両用開閉体の制御装置による制御方法について説明する。
【0047】
本実施形態の車両用開閉体(以下「開閉体」とする)の制御装置は、開閉体の開状態又は閉状態を示す信号、車両の周辺状況を示す信号、及び電磁クラッチ102bの状態を示す信号を入力し、意図しない開閉体の動作があると判断したときに警報装置を作動させるための制御信号を出力することを特徴とする。なお、「意図しない開閉体の動作」及び「意図に反する開閉体の動作」とは、開閉体の停止状態を保持する制御が不慮の理由で解除され、開閉体が自重落下により動作することを指す。
【0048】
図4は、開閉体の制御装置としてのECU200による、開閉体としてのスライドドア101に係る制御フローチャートである。
【0049】
ECU200は、入力回路214において、開閉体の開閉状態に関連する信号(以下「開閉状態関連信号」とする)を入力する(ステップS410)。ECU200は、開閉状態関連信号として、例えば全開ラッチ装置103のラッチスイッチ103a、前方ラッチ装置104のラッチスイッチ104a、及び後方ラッチ装置105のラッチスイッチ105aからのラッチ状態を示す信号並びにカーテシスイッチ119からの信号を入力することができる。
【0050】
次いで、ECU200は、開閉状態判断部206において、スライドドア101の開閉状態を判断する(ステップS415)。開閉状態判断部206は、入力回路214に入力された開閉状態関連信号の少なくとも1つに基づいて、スライドドア101の開閉状態を判断することができる。
【0051】
ECU200は、開閉状態判断部206が開閉状態関連信号からスライドドア101の開閉状態を判断する際に、判断の基準を適宜変更することができる。例えば、複数の開閉状態関連信号からある所定の数(例えば、2つ)の信号が、スライドドア101の開状態又はスライドドア101の閉状態を示している場合、開閉状態判断部206は、スライドドア101が開状態又は閉状態であると判断することができる。また、複数の開閉状態関連信号の各々に重み付けをし、各信号の重み付けの合算がある所定の閾値を超える場合、開閉状態判断部206は、スライドドア101が開状態又は閉状態であると判断することができる。
【0052】
一方で、ECU200は、入力回路214において、車両の周辺状況に関連する信号(以下「周辺状況関連信号」とする)を入力する(ステップS420)。ECU200は、周辺状況関連信号として、例えばGPS304からの地理的位置を示す信号、周辺カメラ306からの車両100周辺の画像情報を示す信号、傾斜センサ307からの車両100の傾斜角度を示す信号を入力することができる。
【0053】
ECU200は、周辺状況判断部205において、車両100の周辺状況、具体的には、車両100が傾斜面上に位置する状況であるか否かを判断する(ステップS425)。周辺状況判断部205は、入力回路214に入力された周辺状況関連信号に基づいて、車両100が傾斜面に位置している状況にあるか否かを判断することができる。例えば、傾斜センサ307からの車両100の傾斜角度を示す信号が、車両の後部よりも前部のほうが高いことを示すとき、周辺状況判断部205は、車両100が上り斜面に位置していると判断する。逆に、傾斜センサ307からの車両100の傾斜角度を示す信号が、車両の前部よりも後部のほうが高いことを示すとき、周辺状況判断部205は、車両100が下り斜面に位置していると判断する。
【0054】
ECU200は、周辺状況判断部205が周辺状況関連信号から車両100が傾斜面に位置している状況であるか否かを判断する際に、判断の基準を適宜変更することができる。例えば、車両100が傾斜面に位置している状況にあることを、所定の数以上(例えば、2つ以上)の周辺状況関連信号が示している場合、周辺状況判断部205は、車両100が傾斜面に位置している状況にあると判断することができる。また、複数の周辺状況関連信号の各々に重み付けをし、各周辺状況関連信号の重み付けの合算がある所定の閾値を超える場合、周辺状況判断部205は、車両100が傾斜面に位置している状況にあると判断することができる。
【0055】
更にECU200は、入力回路214において、電磁クラッチ102bの状態に関連する信号(以下「クラッチ状態関連信号」とする)を入力する(ステップS430)。ECU200は、クラッチ状態関連信号として、例えば電磁クラッチ102bの電源側端子と接地側端子の電圧値、電磁クラッチ102bを流れる電流値、又は電磁クラッチ102b内のコイルの抵抗値を示す信号を入力することができる。
【0056】
ECU200は、クラッチ状態判断部211において、電磁クラッチ102bの状態、具体的には、電磁クラッチ102bに故障が発生しているか否かを判断する(ステップS435)。クラッチ状態判断部211は、入力回路214に入力されたクラッチ状態関連信号に基づいて、電磁クラッチ102bに故障が発生しているか否かを判断することができる。例えば、クラッチ状態判断部211は、例えば、電磁クラッチ102bの電源側端子と接地側端子の電圧値、電磁クラッチ102bを流れる電流値、又は電磁クラッチ102b内のコイルの抵抗値を監視し、その変化を検知することで故障の有無を判断する。また、電磁クラッチ102bの故障の予兆は、電磁クラッチ102bを流れる電流値の変化を監視することで判断する。
【0057】
なお、ステップS410、S420、及びS430における入力工程は、どの入力工程が先に実行されても良い。また、上記三つの入力工程が同時に実行されても良い。同様に、ステップS415、S425、及びS435における判断工程は、どの判断工程が先に実行されても良い。また、上記三つの判断工程が同時に実行されても良い。
【0058】
次に、ECU200は、制御部203において、ステップS415、S425、及びS435における判断結果に基づいて、スライドドア101が意図に反して開動作又は閉動作をしているか否かを判断する(ステップS450)。スライドドア101が開動作又は閉動作をしていないと判断した場合、制御手順は、再びステップS410、S420、及びS430の入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。
【0059】
スライドドア101が意図に反して開動作又は閉動作をしていると判断された場合、ECU200は、制御部203から警報装置117を作動させるための制御信号(以下警報装置制御信号とする)を出力回路216から警報装置117へ出力する(ステップS460)。
【0060】
ECU200は、例えば車両100が傾斜面に位置し、且つ電磁クラッチ102bが故障していると判断した場合に、警報装置制御信号を出力することができる。また、車両100が傾斜面に位置し、且つ電磁クラッチ102bが故障しており、更に全閉状態であったスライドドア101が開動作している、又は、全開状態であったスライドドア101が閉動作していると判断した場合に、警報装置制御信号を出力することができる。
【0061】
警報装置117は、ECU200の出力回路216から警報装置制御信号を受信すると、車両内にいる者や車両周辺にいる者へ注意や避難を喚起するための動作を行う(ステップS470)。警報装置117は、例えば、インジケータの点灯又は点滅による視覚に頼った注意や避難の喚起、若しくは、ブザー、メロディ、又は音声の鳴動による聴覚に頼った注意や避難の喚起、若しくは、上記喚起手段の組み合わせにより車両内にいる者や車両周辺にいる者へ注意や避難を喚起する。これにより、車両内にいる者や車両周辺にいる者へスライドドア101の意図に反した開動作又は閉動作を報知することができ、スライドドア101の動作による事故を防ぐことができる。
【0062】
以上説明した実施形態から明らかなように、本願発明のECU200は、スライドドア101の開閉状態、車両100の周辺状況、及び電磁クラッチ102bの状態を示す信号に基づき、スライドドア101が意図に反した開閉動作をしているか否かを判断する。スライドドア101が意図に反した開閉動作をしていると判断された場合、ECU200は警報装置117を作動させるための制御信号を出力する。警報装置117は制御信号を受信すると、車両内にいる者や車両周辺にいる者に対して注意や避難の喚起をする。これにより、例えスライドドア101が意図に反した開閉動作をした場合でも、当該開閉動作による事故を未然に防ぎ、周囲の者に対する安全性を向上させることが可能となる。
【0063】
[第2実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る開閉体の制御装置による制御方法について説明する。なお、本実施形態及び以下の実施形態における開閉体や開閉体の制御装置の構成は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0064】
本実施形態の開閉体の制御装置は、開閉体の開状態又は閉状態を示す信号を入力し、開閉体が意図に反した動作をしている、又はその虞があると判断したときに警報装置を作動させるための制御信号を出力することを特徴とする。
【0065】
図5は、開閉体の制御装置としてのECU200による、開閉体としてのスライドドア101に係る制御フローチャートである。ここで、ステップS410乃至S435、S460、及びS470における工程は、第1実施形態と同様であり、重複する説明を省略する。
【0066】
ECU200は、ステップS410乃至ステップS435における開閉体の開閉状態、車両の周辺状況、及び電磁クラッチの状態の判断のための入力工程及び判断工程を実行する。次いで、ECU200は、制御部203において、ステップS415、S425、及びS435における判断結果に基づいて、スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をしているか否かを判断する(ステップS510)。スライドドア101が意図に反した開動作又は閉動作をしている判断した場合、制御手順はステップS460に進み、ECU200は、警報装置117を作動させるために、警報装置制御信号を出力するための工程を実行する。スライドドア101が意図に反した開動作又は閉動作をしていないと判断した場合、制御手順は、ステップS520に進む。
【0067】
スライドドア101が意図に反した開動作又は閉動作をしていないと判断された場合、ECU200は、制御部203において、ステップS415、S425、及びS435における判断結果に基づいて、スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をする虞があるか否かを判断する(ステップS520)。スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をする虞が無い場合、制御手順は再びステップS410、S420、及びS430の入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をする虞が有る場合、制御手順はステップS460へ進み、ECU200は、警報装置117を作動させるために、警報装置制御信号を出力するための工程を実行する。
【0068】
ECU200は、例えば車両がある所定の傾斜以上の傾斜面にあるとき、又は、ラッチが何らかの理由でフルラッチからハーフラッチ又はアンラッチに切り替わったとき、若しくは、電磁クラッチ102bに故障の予兆が見られるとき、スライドドア101が意図に反した開動作又は閉動作をする虞があると判断することができる。これら意図に反した開閉動作の虞は、ECU200の制御部203において、開閉状態関連信号、周辺状況関連信号、及びクラッチ状態関連信号が示す情報に基づき判断できる。
【0069】
なお、本実施形態では、ステップS510においてスライドドア101が意図に反した開閉動作をしていると判断された場合と、ステップS520においてスライドドア101が意図に反した開閉動作をする虞があると判断された場合とでは同じ警報装置制御信号を出力する(ステップS460)としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、スライドドア101が意図に反した開閉動作をしていると判断された場合(ステップS510)は、スライドドア101が意図に反した開閉動作をする虞があると判断された場合(ステップS520)と比較して、車両100内や車両100周辺に居る者への警報動作の重要性が高い。従って、スライドドア101が意図に反した開閉動作をしていると判断された場合に確実に警報を車両100内や車両100周辺に居る者へ報知するために、例えば、インジケータの点灯の色を変化させ、また、点滅の早さを変化させることができる。更に、ブザー、メロディ、又は音声を鳴動させる際の音圧を変化させることができる。
【0070】
以上説明した実施形態から明らかなように、本願発明のECU200は、スライドドア101の開閉状態、車両100の周辺状況、及電磁クラッチ102bの状態に関する情報に基づき、スライドドア101が意図に反した開閉動作をしているか否か、及びそのような開閉動作の虞があるか否かを判断する。スライドドア101が意図に反した開閉動作をしている、又はその虞があると判断された場合、ECU200は警報装置117を作動させるための制御信号を出力する。従って、本発明による制御装置は、このような不慮の事態に対しても、更に高い安全性を車両に提供することが可能となる。
【0071】
[第3実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る開閉体の制御装置による制御方法について説明する。
【0072】
本実施形態の開閉体の制御装置は、先ず、開閉体が全開状態であるか、それとも全閉状態であるかを判断し、その判断結果に従って別個の制御工程を実行し、意図に反した開閉体の動作をユーザに報知する警報装置117を作動させるための制御信号を出力することを特徴とする。
【0073】
図6Aは、開閉体の制御装置としてのECU200による、開閉体としてのスライドドア101に係る制御フローチャートである。ここで、ステップS410及びS415における工程は、第1実施形態と同様であり、重複する説明を省略する。
【0074】
ECU200は、ステップS410及びステップS415における開閉体の開閉状態の判断のための入力工程及び判断工程を実行する。次いで、ECU200は、制御部203において、ステップS415における判断結果に基づいて、スライドドア101が全閉状態であるか否かを判断する。ステップS610において、スライドドア101が全閉状態である場合、制御工程はステップS630の全閉状態時制御に進む。また、スライドドア101が全閉状態でない場合、制御工程はステップS650の全開状態時制御に進む。全閉状態時制御については以下の
図6Bにおいて詳細に説明する。また、全開状態時制御については後述の
図6Cにおいて詳細に説明する。
【0075】
図6Bは、開閉体の制御装置としてのECU200による、開閉体としてのスライドドア101が全閉状態であると
図6Aに示す制御手順において判断された場合の制御フローチャートである。ここで、ステップS420、S425、S430、及びS435における工程は、第1実施形態と同様であり、重複する説明を省略する。
【0076】
ECU200は、ステップS420及びS425における車両100の周辺状況の判断のための入力工程及び判断工程を実行する。次いでステップS631において、車両100が傾斜面上に位置する状況に無いと判断された場合、制御手順は
図6AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。ステップS631において、車両100が傾斜面上に位置する状況に有ると判断された場合、制御手順はステップS632に進む。
【0077】
ステップS632において、車両100が上り傾斜面上に位置する状況に無いと判断された場合、制御手順は
図6AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。ステップS632において、車両100が上り傾斜面上に位置する状況に有ると判断された場合、制御手順はステップS633に進む。
【0078】
ステップS632において車両100が上り傾斜面上に位置する状況に有ると判断された場合、ECU200は、出力回路216から警報装置117へ警報装置制御信号を出力する(ステップS633)。ステップS633は省略可能な任意の工程であり、車両100が上り傾斜面上に位置していることをユーザに報知するための工程である。ECU200は、上り傾斜面警報装置117aを作動させるための上り傾斜面警報信号を送信することが可能である。上り傾斜面警報装置117aは、上り傾斜面警報信号を受信すると、車両100が上り傾斜面上に位置していることをユーザに報知するための警報動作を行なう。上り傾斜面警報装置117aは、インジケータの点灯又は点滅に依って、又は、ブザー、メロディ、又は音声の鳴動に依って、若しくは、上記手段の組み合わせに依って、ユーザへの警報動作を行なうことができる。
【0079】
一方でECU200は、ステップS430及びステップS435における電磁クラッチ102bの状態の判断のための入力工程及び判断工程を実行する。次いでステップS634において、電磁クラッチ102bが故障している状態に無いと判断された場合、制御手順は
図6AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。ステップS634において、電磁クラッチ102bが故障している状態に有ると判断された場合、制御手順はステップS635に進む。
【0080】
ステップS634において電磁クラッチ102bが故障している状態に有ると判断された場合、ECU200は、制御部203から警報装置制御信号を出力回路216から警報装置117へ出力する(ステップS635)。ステップS635は省略可能な任意の工程であり、電磁クラッチ102bが故障していることをユーザに報知するための工程である。ECU200は、故障警報装置117cを作動させるための故障警報信号を送信することが可能である。故障警報装置117cは、故障警報信号を受信すると、電磁クラッチ102bが故障していることをユーザに報知するための警報動作を行なう。故障警報装置117cは、インジケータの点灯又は点滅に依って、又は、ブザー、メロディ、又は音声の鳴動に依って、若しくは、上記喚起手段の組み合わせに依って、ユーザへの警報動作を行なうことができる。
【0081】
次いでECU200は、スライドドア101の開閉状態を再度確認する(ステップS636)。このステップS636における再確認の工程は、第1実施形態のステップS410及びステップS415における工程と同様に実行できる。更にECU200は、開閉駆動装置102のパルスセンサ102aからのスライドドア101の位置、移動速度及び移動方向を示すパルス信号が示す情報に基づいて、開閉位置判断部207、開閉速度判断部208、及び開閉方向判断部209においてもスライドドア101の開閉状態を判断することもできる。制御部203は、開閉状態判断部206に加えて、これらの判断部207乃至209からの判断結果も考慮してスライドドア101の開閉状態を判断してもよい。
【0082】
次いでステップS637において、スライドドア101の全閉状態が解除されていると判断された場合、制御手順はステップS639に進む。ステップS637において、スライドドア101の全閉状態が解除されていないと判断された場合、制御手順はステップS638に進む。
【0083】
スライドドア101の全閉状態が解除されていないと判断された場合、ステップS638において、スライドドア101が意図に反した開動作をする虞があるか否かを判断する。このステップS639における判断の工程は、第2実施形態のステップS520における工程と同様であるので重複する説明を省略する。スライドドア101が意図に反した開動作をする虞が無い場合、制御手順は
図6AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。スライドドア101が意図に反した開動作をする虞が有る場合、制御手順はステップS639に進む。
【0084】
スライドドア101が意図に反した開動作をしている又はその虞が有ると判断された場合、ECU200は、出力回路216から警報装置117へ警報装置制御信号を出力する(ステップS639)。
【0085】
警報装置117は、ECU200の出力回路216から警報装置制御信号を受信すると、車両内にいる者や車両周辺にいる者へ注意や避難を喚起するための動作を行う(ステップS640)。ステップS640は、スライドドア101が意図に反した開動作をしている又はその虞が有ることをユーザに報知するための工程である。ECU200は、開動作警報装置117dを作動させるための開動作警報信号を送信することが可能である。開動作警報装置117dは、開動作警報信号を受信すると、スライドドア101が意図に反した開動作をしている又はその虞が有ることをユーザに知らせ、又は、ユーザに避難を喚起するための警報動作を行なう。開動作警報装置117dは、インジケータの点灯又は点滅に依って、又は、ブザー、メロディ、又は音声の鳴動に依って、若しくは、上記喚起手段の組み合わせに依って、ユーザへの警報動作を行なうことができる。
【0086】
なお、開動作警報装置117dが車両周辺に居る者に報知するべき警報は、上り傾斜面警報装置117a、下り傾斜面警報装置117b、及び故障警報装置117cが報知するべき警報に比べその重要性の高いものである。従って、開動作警報装置117dは、下り傾斜面警報装置117b、及び故障警報装置117cと比較して、車両周辺に居る者にとって認識し易い警報動作をすることができる。例えば、インジケータの点灯の色を変化させ、また、点滅の早さを変化させることができる。更に、ブザー、メロディ、又は音声を鳴動させる際の音圧を変化させることができる。
【0087】
図6Cは、開閉体の制御装置としてのECU200による、開閉体としてのスライドドア101が全開状態であると
図6Aに示す制御手順において判断された場合の制御フローチャートである。ここで、ステップS420、S425、S430、及びS435は、第1実施形態と同様であり、重複する説明を省略する。
【0088】
ECU200は、ステップS420及びS425における車両100の周辺状況の判断のための入力工程及び判断工程を実行する。次いでステップS631において、車両100が傾斜面上に位置する状況に無いと判断された場合、制御手順は
図6AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。ステップS631において、車両100が傾斜面上に位置する状況に有ると判断された場合、制御手順はステップS651に進む。
【0089】
ステップS651において、車両100が下り傾斜面上に位置する状況に無いと判断された場合、制御手順は
図6AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。ステップS651において、車両100が下り傾斜面上に位置する状況に有ると判断された場合、制御手順はステップS652に進む。
【0090】
ステップS651において車両100が下り傾斜面上に位置する状況に有ると判断された場合、ECU200は、出力回路216から警報装置117へ警報装置制御信号を出力する(ステップS652)。ステップS652は省略可能な任意の工程であり、車両100が下り傾斜面上に位置していることをユーザに報知するための工程である。ECU200は、下り傾斜面警報装置117bを作動させるための下り傾斜面警報信号を送信することが可能である。下り傾斜面警報装置117bは、下り傾斜面警報信号を受信すると、車両100が下り傾斜面上に位置していることをユーザに報知するための警報動作を行なう。下り傾斜面警報装置117bは、インジケータの点灯又は点滅に依って、又は、ブザー、メロディ、又は音声の鳴動に依って、若しくは、上記手段の組み合わせに依って、ユーザへの警報動作を行なうことができる。
【0091】
一方でECU200は、ステップS430からS635までの、ECU200がクラッチ状態関連信号に基づいて故障警報信号を出力するまでの制御工程を有する。この工程は第1実施形態で説明した工程と同様であるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0092】
次いでECU200は、スライドドア101の開閉状態を再度確認する(ステップS636)。このステップS636は、第1実施形態で説明した工程と同様であるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0093】
次いでステップS653において、スライドドア101の全開状態が解除されていると判断された場合、制御手順はステップS656に進む。ステップS653において、スライドドア101の全開状態が解除されていないと判断された場合、制御手順はステップS654に進む。
【0094】
スライドドア101の全閉状態が解除されていないと判断された場合、ステップS654において、スライドドア101が意図に反した閉動作をする虞があるか否かを判断する。このステップS654における判断の工程は、第2実施形態のステップS520における工程と同様であるので重複する説明を省略する。スライドドア101が意図に反した閉動作をする虞が無い場合、制御手順は
図6AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。スライドドア101が意図に反した開動作をする虞が有る場合、制御手順はステップS656に進む。
【0095】
スライドドア101が意図に反した閉動作をしている又はその虞が有ると判断された場合、ECU200は、出力回路216から警報装置117へ警報装置制御信号を出力する(ステップS656)。
【0096】
警報装置117は、ECU200の出力回路216から警報装置制御信号を受信すると、車両内にいる者や車両周辺にいる者へ注意や避難を喚起するための動作を行う(ステップS657)。ステップS657は、スライドドア101が意図に反した閉動作をしている又はその虞が有ることをユーザに報知するための工程である。ECU200は、閉動作警報装置117eを作動させるための閉動作警報信号を送信することが可能である。閉動作警報装置117eは、閉動作警報信号を受信すると、スライドドア101が意図に反した閉動作をしている又はその虞が有ることをユーザに知らせ、又は、ユーザに避難を喚起するための警報動作を行なう。閉動作警報装置117eは、インジケータの点灯又は点滅に依って、又は、ブザー、メロディ、又は音声の鳴動に依って、若しくは、上記喚起手段の組み合わせに依って、ユーザへの警報動作を行なうことができる。
【0097】
なお、閉動作警報装置117eが車両周辺に居る者に報知するべき警報は、上り傾斜面警報装置117a、下り傾斜面警報装置117b、及び故障警報装置117cが報知するべき警報に比べその重要性の大きいものである。従って、閉動作警報装置117eは、下り傾斜面警報装置117b、及び故障警報装置117cと比較して、車両周辺に居る者にとって認識し易い警報動作をすることができる。例えば、インジケータの点灯の色を変化させ、また、点滅の早さを変化させることができる。更に、ブザー、メロディ、又は音声を鳴動させる際の音圧を変化させることができる。
【0098】
以上説明した実施形態から明らかなように、本願発明のECU200は、先ずスライドドア101が全閉状態であるか、それとも全開状態であるか判断し、判断結果に基づいて各々別個の制御工程を実行することができる。すなわち、全閉状態のときは、ECU200は、車両100が上り傾斜面上に位置している状況であるか否か及び電磁クラッチ102bが故障している状態か否かを判断し、その状況に最も適した警報装置を作動させるための制御信号を適宜出力する。また、全開状態のときは、ECU200は、車両100が下り傾斜面上に位置している状況であるか否か及び電磁クラッチ102bが故障している状態か否かを判断し、その状況に最も適した警報装置を作動させるための制御信号を適宜出力する。
【0099】
[第4実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る開閉体の制御装置による制御方法について説明する。
【0100】
本実施形態の開閉体の制御装置は、先ず、開閉体が全開状態であるか、それとも全閉状態であるか、あるいはそのいずれでもない中途状態であるかを判断し、その判断結果に従って別個の制御工程を実行し、意図に反した開閉体の動作をユーザに報知する警報装置117を作動させるための制御信号を出力することを特徴とする。
【0101】
第3実施形態では、スライドドア101の開閉状態は、全閉状態あるいは全開状態であるものとして判断された。しかしながら、スライドドア101は必ずしも全閉状態又は全閉状態のいずれかの状態とは限らない。すなわち、スライドドア101が開作動又は閉作動の途中で停止された場合も考えられる。このような、スライドドア101がレールの中途で停止した状態を中途状態とする。スライドドア101が中途状態にある場合、スライドドア101は、傾斜面に依存して意図に反した開動作も意図しない閉動作も起こりえる。このような状況も考慮した本発明の制御装置について以下に説明する。
【0102】
図7Aは、開閉体の制御装置としてのECU200による、開閉体としてのスライドドア101の制御フローチャートである。ここで、ステップS410及びS415における工程は、第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0103】
ECU200は、
図6Aのフローチャートと同様に、ステップS410及びステップS415における開閉体の開閉状態の判断のための工程を実行し、ステップS610へ進む。次いで、ECU200は、制御部203において、ステップS415における判断結果に基づいて、スライドドア101が全閉状態であるか否かを判断する。スライドドア101が全閉状態である場合、制御工程はステップS630の全閉状態時制御に進む。全閉状態時制御については第3実施形態の
図6Bにおける制御手順と同様であるので重複する説明は省略する。また、スライドドア101が全閉状態でない場合、制御工程はステップS710に進む。
【0104】
次いで、ECU200は、制御部203において、ステップS415における判断結果に基づいて、スライドドア101が全開状態であるか否かを判断する(ステップS710)。スライドドア101が全開状態である場合、制御工程はステップS650の全開状態時制御に進む。全開状態時制御については第3実施形態の
図6Cにおける制御手順と同様であるので重複する説明は省略する。スライドドア101が全開状態でない場合、制御手順はステップS730の中途状態時制御に進む。中途状態時制御については以下の
図7Bにおいて詳細に説明する。
【0105】
図7Bは、開閉体の制御装置としてのECU200による、開閉体としてのスライドドア101が中途状態であると
図7Aに示す制御手順において判断された場合の制御フローチャートである。フローチャートは、ステップS420及びステップS425における車両の周辺状況の判断のための工程を経る。次いでステップS631において、車両100が傾斜面上に位置する状況に無い場合、制御手順は
図7AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。ステップS631において、車両100が傾斜面上に位置する状況に有る場合、制御手順はステップS731に進む。
【0106】
ステップS731において車両100が上り傾斜面上に位置する状況に有ると判断された場合、ECU200は、出力回路216から上り傾斜面警報装置117aへ上り傾斜面警報信号を出力する(ステップS633)。また、ステップS731において車両100が上り傾斜面上に位置する状況に無いと判断された場合、ECU200は、出力回路216から下り警報装置117bへ下り傾斜面警報信号を出力する(ステップS652)。これらの制御工程は第3実施形態の
図6B及び
図6Cで説明した工程と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0107】
一方で、ECU200は、ステップS430からS635までの、ECU200がクラッチ状態関連信号に基づいて故障警報信号を出力するまでの制御工程を有する。この工程は第1実施形態で説明した工程と同様であるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0108】
次いでECU200は、スライドドア101の開閉状態を再度確認する(ステップS636)。
【0109】
次いでステップS733において、
図7AのステップS415で中途状態にあると判断されたスライドドア101が開閉動作をしていると判断された場合、すなわち、スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をしていると判断された場合、制御手順はステップS737に進む。ステップS733において、
図7AのステップS415で中途状態にあると判断されたスライドドア101が開閉動作をしていないと判断された場合、すなわち、スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をしていないと判断された場合、制御手順はステップS735に進む。
【0110】
中途状態にあるスライドドア101が意図しない開閉動作をしていないと判断された場合、ステップS735において、ECU200は、制御部203において、スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をする虞があるか否かを判断する。この判断工程は、第2実施形態で説明した工程と同様であるので重複する説明は省略する。スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をする虞が無い場合、制御手順は
図7AのステップS410に示す入力工程に戻り、上述の動作を繰り返す。スライドドア101が意図に反した開動作又は意図に反した閉動作をする虞が有る場合、制御手順はステップS737へ進む。
【0111】
ステップS737において、車両100が上り傾斜面上に位置する状況に有る場合、制御手順はステップS639に進む。ステップS737において、車両100が上り傾斜面上に位置する状況に無い場合、制御手順はステップS656に進む。
【0112】
中途状態にあるスライドドア101が意図しない開閉動作をしており、車両100が上り傾斜面上に位置する状況に有る場合、ECU200は、制御部203において、スライドドア101が意図に反した開動作をしていると判断できる。この判断に基づき、制御部203は、開動作警報装置117dを作動させるために、開動作警報信号を出力する(ステップS639)。開動作警報装置117dは、ECU200の出力回路216から開動作警報信号を受信すると、車両内にいる者や車両周辺にいる者へ注意や避難を喚起するための動作を行う(ステップS640)。これらの工程はこれまで説明してきた実施形態の制御工程と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0113】
中途状態にあるスライドドア101が意図しない開閉動作をしており、車両100が上り傾斜面上に位置する状況に無い場合、ECU200は、制御部203において、スライドドア101が意図に反した閉動作をしていると判断できる。この判断に基づき、制御部203は、閉動作警報装置117eを作動させるために、閉動作警報信号を出力する(ステップS656)。閉動作警報装置117eは、ECU200の出力回路216から閉動作警報信号を受信すると、車両内にいる者や車両周辺にいる者へ注意や避難を喚起するための動作を行う(ステップS657)。これらの工程は第3実施形態の
図6Cで説明した制御工程と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0114】
以上説明した実施形態から明らかなように、本願発明のECU200は、スライドドア101が中途状態にある場合、車両100が上り傾斜面上に位置する状況であるか、それとも下り傾斜面上に位置する状況であるかを判断し、その判断結果に基づいて、意図に反したスライドドア101の開閉動作を報知するために最も適した警報装置を作動させるための制御信号を適宜出力できる。
【0115】
[第5実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る開閉体の制御装置による制御方法について説明する。
【0116】
図8は、本実施形態の開閉体の制御装置としてのECU200による、開閉体としてのスライドドア101の制御フローチャートである。これまで説明した実施形態では、開閉状態関連信号、周辺状況関連信号、及びクラッチ状態関連信号を用いて車両用開閉体に係る制御を行なったが、ECU200が本発明で取り扱う信号はこれに限定されない。例えば
図8に示すように、ECU200は、車両状態判断部204において車両の走行状態を判断し、この判断結果を更に考慮して本発明を実施することができる。具体的には、ECU200は、入力回路214において、イグニッションスイッチ301からのイグニッションのON/OFFを示す信号、車速センサ302からの車両100の速度を示す信号、加速度センサ303からの車両100の加速度を示す信号、シフトセンサ308からのシフトレバーの位置を示す信号、ブレーキセンサ309からのブレーキ量を示す信号、及びパーキングブレーキセンサ310からのパーキングブレーキのON/OFFを示す信号を入力することができる(ステップS810)。これら走行状態に関連する信号(以下走行状態関連信号という)に基づいて、車両100の走行状態を判断することができる(ステップS815)。これら走行状態関連信号に基づいて、例えば、車両が停車中、加速中、減速中などの場合に、それぞれ別の制御信号を出力し、車両の走行状態に応じて最適な制御を適宜選択することができる。