特許第6202350号(P6202350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202350
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】被収容物の収容装置及び収容方法
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/10 20060101AFI20170914BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20170914BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B65F1/10
   B65F1/00 AZAB
   B09B5/00 Z
   B09B5/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-523675(P2015-523675)
(86)(22)【出願日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】JP2013067184
(87)【国際公開番号】WO2014207794
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】507206000
【氏名又は名称】北海道特殊飼料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 和宏
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−124401(JP,A)
【文献】 特開2001−261103(JP,A)
【文献】 実開昭49−029780(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/10
B09B 5/00
B65F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤物である被収容物を容器内に収容する収容装置であって、
該容器の開口部に対して往復運動しながら被収容物を圧入する圧入部材と、
該圧入部材を該往復運動させるためのリンク機構と
から構成され、該圧入部材において、
該圧入部材の非圧入面から該被収容物を導入し、圧入面から該容器内に放出するための圧入部材内を貫通する貫通路と、
該圧入面近傍に、該貫通路を開閉する第1開閉手段と、
該第1開閉手段よりも非圧入面側において、該貫通路を開閉する第2開閉手段と
を備え、
該第1開閉手段が、被収容物の圧入時に閉成すると共に、被収容物の放出時に開成すると共に該第1開閉手段は該第2開閉手段よりも同時又は遅延して連動して閉成し、該第2開閉手段は該第1開閉手段よりも同時又は遅延して連動して開成するように構成し、
ように構成し、
放出と圧入がほぼ同時かつ連続的に行われて気密となることにより、該被収容物が該圧入部材への導入時の温度を維持した状態で、該容器内において加圧されて収容される
ことを特徴とする被収容物の収容装置。
【請求項2】
前記第1開閉手段は、閉成状態において、前記圧入部材の圧入面の少なくとも一部を構成する
請求項に記載の収容装置。
【請求項3】
前記貫通路において、前記第1開閉手段又は前記第2開閉手段の少なくともいずれかが配設される部位の口径が漸次拡大する形状をなす
請求項1又は2に記載の被収容物の収容装置。
【請求項4】
前記第1開閉手段が、前記容器内に収容された収容済み被収容物を押圧する際の反発力により閉成する
請求項1ないしのいずれかに記載の被収容物の収容装置。
【請求項5】
前記収容装置において、前記圧入部材の往復運動における位置を検出するセンサ手段を備え、下死点近傍の所定位置において前記第1開閉手段と前記第2開閉手段とを閉成する制御を行う
請求項1ないしのいずれかに記載の被収容物の収容装置。
【請求項6】
前記収容装置に、容器である袋体の固定部を設け、
前記被収容物を該袋体内に圧入する
請求項1ないしのいずれかに記載の被収容物の収容装置。
【請求項7】
前記被収容物が、動植物性残渣物である
請求項1ないしのいずれかに記載の被収容物の収容装置。
【請求項8】
湿潤物である被収容物を容器内に収容する収容方法であって、
該容器の開口部に対して往復運動しながら被収容物を圧入する圧入部材を用い、
該被収容物を該圧入部材の非圧入面側から貫通路を通して圧入面側に向けて導入し、
該被収容物を放出する工程では、
圧入面近傍で貫通路を開閉する第1開閉手段を開成して被収容物を容器内に放出するとともに、
該第1開閉手段を開成した後、又は同時に、該第1開閉手段よりも非圧入面側において、該貫通路を開閉する第2開閉手段を連動させて開成し、
該被収容物を圧入する工程では、
該第1開閉手段を閉成し、閉成した状態の第1開閉手段も含んで構成された圧入面を容器内の被収容物に対して押圧することにより圧入を行い、
該第2開閉手段を閉成した後、又は同時に、該第1開閉手段を連動させて閉成し、
閉成した状態の第1開閉手段も含んで構成された圧入面を容器内の被収容物に対して押圧することにより圧入を行い、
放出と圧入がほぼ同時かつ連続的に行われて気密となることにより、該被収容物が該圧入部材への導入時の温度を維持した状態で、該容器内において加圧されて収容される
ことを特徴とする被収容物の収容方法。
【請求項9】
前記被収容物の収容方法において、前記圧入部材の往復運動における位置を検出するセンサ手段を用い、下死点近傍の所定位置において前記第1開閉手段と前記第2開閉手段とを閉成する制御を行う
請求項8に記載の被収容物の収容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿潤物等の被収容物を容器内に収容する収容装置及び収容方法に関し、特に容器内に往復運動する圧入部材を用いて圧入する技術に係る。
【背景技術】
【0002】
農産物の加工工程や、食品の製造工程において、多量の湿潤物、例えば動植物性の残渣物が副産物として生じることが従来から問題となっている。このような残渣物は廃棄物として廃棄することは、生産者にとってはコストがかかる上に、環境保護の観点からも好ましくない。
また、一部は飼料や肥料として再利用されているが、残渣物の性質上、腐敗しやすいためにすぐに消費できる地元で活用するか、あるいは乾燥や殺菌などの工程を経てから流通させる必要があった。
【0003】
農産物から発生する残渣物は、同じ地域で同時に多量が生じるために、地元での利用には大きな制限がある。また、消費側としては継続的に供給を受けられることが好ましい。従って、保存可能な状態に加工した上で、流通性を向上することが試みられてきた。
【0004】
例えば、本件出願人による特許文献1は、動植物性残渣物に由来の乾燥発酵肥料等の製造装置を提供する。本発明では、発酵槽内で残渣物を貯留・堆積し、発酵熱を利用して効率的に乾燥させることによって肥料等を製造する技術を開示している。
【0005】
また、特許文献2に開示される堆肥製造装置では、農林畜産廃棄物、生ゴミ等の処理物に発酵菌溶液を浸透させて一次処理を行い、さらに水分調整剤を攪拌混合させた上で、好気発酵した処理物を密封上に袋詰する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4221617号
【特許文献2】特許公開平11−314990号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、動植物性残渣物を流通させる場合の課題である腐敗しやすい、悪臭を生じやすいといった問題を解決するために、従来は乾燥、発酵等の手段を用いて加工する方法が一般的であった。
しかし、これらの方法は手間とコストがかかる上、ある程度の規模の生産設備が要求されるために、様々な生産現場で容易に導入可能なものとは言えない。
【0008】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創出されたものであり、湿潤物を流通可能な状態に容器に収容する収容装置及び方法であって、特に多量の湿潤物の収容を簡便な装置構成で実現しながら、長時間の流通にも耐えうる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は次の手段を用いる。
請求項1に記載の発明によれば、被収容物を容器内に収容する収容装置であって、容器の開口部に対して往復運動しながら被収容物を圧入する圧入部材と、圧入部材を往復運動させるためのリンク機構とから構成される。
上記圧入部材において、圧入部材の非圧入面から被収容物を導入し、圧入面から容器内に放出するための圧入部材内を貫通する貫通路と、圧入面近傍に、貫通路を開閉する第1開閉手段とを備える。そして、第1開閉手段が、被収容物の圧入時に閉成すると共に、被収容物の放出時に開成するように構成し、被収容物が圧入部材への導入時の温度を維持した状態で、容器内において加圧されて収容されることを特徴とする被収容物の収容装置を提供する。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、上記の収容装置において、第1開閉手段よりも非圧入面側において、貫通路を開閉する第2開閉手段をさらに備え、第1開閉手段は第2開閉手段よりも同時又は遅延して閉成し、該第2開閉手段は該第1開閉手段よりも同時又は遅延して開成するように構成してもよい。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、上記の被収容物が湿潤物である構成でもよい。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、第1開閉手段は、閉成状態において、圧入部材の圧入面の少なくとも一部を構成するようにしてもよい。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、貫通路において、第1開閉手段又は第2開閉手段の少なくともいずれかが配設される部位の口径が漸次拡大する形状としてもよい。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、第1開閉手段が、容器内に収容された収容済み被収容物を押圧する際の反発力により閉成するようにしてもよい。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、上記の収容装置において、圧入部材の往復運動における位置を検出するセンサ手段を備え、下死点近傍の所定位置において第1開閉手段と第2開閉手段とを閉成する制御を行う構成でもよい。
【0016】
請求項8に記載の発明によれば、収容装置に、容器である袋体の固定部を設け、被収容物を袋体内に圧入する構成でもよい。
【0017】
請求項9に記載の発明によれば、被収容物が、動植物性残渣物であってもよい。
【0018】
請求項10に記載の発明によれば、被収容物を容器内に収容する収容方法を提供することもできる。
本方法では、容器の開口部に対して往復運動しながら被収容物を圧入する圧入部材を用い、被収容物を圧入部材の非圧入面側から貫通路を通して圧入面側に向けて導入する。
そして、被収容物を放出する工程では、圧入面近傍で貫通路を開閉する第1開閉手段を開成して被収容物を容器内に放出する。
一方、被収容物を圧入する工程では、第1開閉手段を閉成し、閉成した状態の第1開閉手段も含んで構成された圧入面を容器内の被収容物に対して押圧することにより圧入を行い、被収容物が圧入部材への導入時の温度を維持した状態で、容器内において加圧されて収容されることを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明によれば、上記の収容方法において、被収容物を放出する工程では、第1開閉手段を開成した後、又は同時に、第1開閉手段よりも非圧入面側において、前記貫通路を開閉する第2開閉手段を開成する一方、被収容物を圧入する工程では、第2開閉手段を閉成した後、又は同時に、該第1開閉手段を閉成し、閉成した状態の第1開閉手段も含んで構成された圧入面を容器内の被収容物に対して押圧することにより圧入を行う構成でもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被収容物を圧入部材から容器内に収容する際に、加圧して収容することができるので密封状態となり腐敗等を防止することができる。また、第1開閉手段及び第2開閉手段を本発明によるタイミングで開閉することで効率よく収容することができるので収容効率が向上する。
さらに、被収容物が生じると同時に、連続的に収容することができるため、収容過程の温度変化によって被収容物の品質変化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の収容装置の実施例である。
図2】本発明の収容方法のフローチャートである。
図3】本発明の収容装置の第2の態様である。
図4】本発明の収容装置の第3の態様である。
図5】本発明の収容装置の第4の態様である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る収容装置の実施例を以下、図面に基づいて説明する。なお本発明は請求項に記載される範囲内において適宜変更することができ、本実施例に限定されるものではない。
【0023】
図1は本発明の第1の実施形態である。本発明は、容器として例えば樹脂製の袋体(2)内に被収容物、例えば湿潤物(21)を収容する収容装置(1)であって、袋体(2)の開口部(20)に対して往復運動しながら湿潤物(21)を圧入するピストン様の圧入部材(10)と、圧入部材(10)を往復運動させるためのリンク機構(14)とから構成される。
【0024】
リンク機構(14)は、圧入部材(10)を開口部(20)に対して往復運動可能な機構であれば、周知のいかなる形状でもよい。本発明において、リンク機構はモーター等の動力源によって動作される構成でもよいし、手動で運動させる構成でもよい。以下の実施例ではリンク機構については説明を省略するが、どの実施例においても、図示しないリンク機構を備えるものとする。
【0025】
上記の圧入部材(10)において、圧入部材(10)の非圧入面(10a)から湿潤物(21)を導入し、圧入面(10b)から容器内に放出するための圧入部材内を貫通する貫通路(13)を配設する。該貫通路(13)は、図示のように非圧入面(10a)からさらに上方に延伸していてもよく、例えば湿潤物(21)を搬送する搬送路と連結されていてもよい。
【0026】
また、被圧入面(10a)は、本実施例のように上面とする場合に限らず、圧入面以外のいかなる面でもよい。例えば本実施例の側面(10c)から圧入面(10b)に向けて貫通路(13)を設けてもよい。
【0027】
本発明では、圧入面(10b)近傍に、貫通路を開閉する第1開閉手段として第1シャッター(11)を設ける。第1シャッター(11)は、図示しない開閉機構によって開成・閉成動作が可能である。開閉の態様は、本実施例のように蝶番で開閉する機構でもよいし、横方向のスライドによって開閉する機構でもよい。開閉手段の機構は限定されない。
【0028】
本発明の最小限の実施形態としては、少なくとも上記の第1開閉手段のみを備えればよい。しかし、湿潤物のような被収容物を収容する際には、次に述べるように第2開閉手段を備えることが好ましい。
第1シャッター(11)よりも非圧入面側において、貫通路(13)を開閉する第2開閉手段として第2シャッター(12)を備える。第2シャッター(12)も同様に、開成・閉成動作が可能であり、その機構は限定されない。
【0029】
以上の構成において、第1シャッター(11)は第2シャッター(12)よりも遅延して閉成し、第2シャッター(12)は第1シャッター(11)よりも遅延して開成するように構成する。本発明に係る具体的な被収容物の収容方法を説明するフローチャートを図2に示す。
【0030】
まず、湿潤物(21)を貫通路(13)の上端から導入(S1)する。導入された湿潤物(21)はこの時点で閉成している第2シャッター(12)の上面まで充満した状態で待機する。そして、後述する制御により第1シャッター(11)を開成(S2)した後に、第2シャッター(12)を開成(S3)する。
【0031】
第1シャッター(11)と第2シャッター(12)の間には、貫通路(13)の一部である空間(13a)が介在し、第2シャッター(12)の開成後に湿潤物(21)が滑らかに袋体(2)の開口部(20)に向けて放出するようになっている。空間(13a)が介在しない場合、第2シャッター(12)の上面に滞留した湿潤物(21)が、すでに圧入された湿潤物(21)や貫通路(13)の中途に付着した湿潤物(21)に干渉することがあるが、本構成によれば湿潤物の圧入と放出を連続的に行っても安定して湿潤物を放出可能となる。
【0032】
湿潤物(21)の放出が完了すると、第2シャッター(12)を閉成(S5)した後、第1シャッター(11)を閉成(S6)する。放出の完了は、湿潤物(21)の放出量を計測して決定してもよいし、あるいは規定時間の放出によって決定してもよい。
【0033】
以上のように2つのシャッター(11)(12)の開成・閉成のタイミングをずらすことによって、第1シャッター(11)に湿潤物(21)を挟み込むことがない。また、湿潤物(21)の搬送に伴う気流が一緒に噴出する場合でも、第2シャッター(12)によって気流が抑制され、第1シャッター(11)から気流の勢いで湿潤物(21)が飛散するのを防ぐことができる。
なお、本発明では第1シャッター(11)と第2シャッター(12)が同時に開成、閉成する構成でもよい。
【0034】
第1シャッター(11)が閉成(S6)すると共に圧入部材(10)が降下(S7)し、該第1シャッター(11)も含めて構成する圧入面(11b)が湿潤物(21)を袋体(2)内で圧入(S8)する。
圧入の程度は、圧入部材(10)を所定の往復運動によって規定の高さまで降下することで圧入してもよいし、圧入部材(10)に圧力センサーを備え、規定の圧力で湿潤物(21)を圧入する構成でもよい。
【0035】
湿潤物の圧入(S8)を終了すると、圧入部材(10)を上昇させる。上昇した後に再び第1シャッター(11)を開成して再び湿潤物の放出工程に進んでもよいし、所定量の収容を完了した場合には本方法による収容を終了してもよい。
【0036】
以上の収容方法によれば、湿潤物(21)が圧入部材(10)への導入時の温度を維持した状態で、容器(2)内において加圧されて収容される。従来のように手作業で収容すると収容の過程での温度変化が大きく、被収容物の変質の原因となっていた。これに対して本発明は、湿潤物(21)の袋体(2)への放出と圧入がほぼ同時かつ連続的に行われて気密となるため高いレベルで温度が維持される。
【0037】
上記の実施例では被収容物として湿潤物を例示したが、例えば動植物性残渣物でもよい。本発明の最も代表的な利用方法は、豆腐の製造過程で生じるおからの収容であり、多くの水分を含むおからをスムーズに袋体(2)に収容するために本発明の収容装置(1)の構成は非常に好適である。
また、おからが生じた直後の高温の状態でも、機械的な圧入によって収容を可能にした。
【0038】
その他の動植物性残渣物の例としては、ビールかす、もやしかす、リンゴの絞りかすなどでもよい。
また、被収容物は湿潤物に限定されず、例えば粉砕したペットボトルのチップ、木材チップなどの収容においても、中途での滞留や、シャッターにおける挟み込みの防止、効率的な圧入に寄与することができる。
【0039】
本発明の貫通路(13)の形状において、第1シャッター(11)や第2シャッター(12)が配設される部位の口径が漸次拡大するように構成してもよい。
図1の実施例では、第2シャッター(12)の直上部(13b)と、第1シャッター(11)の直上部(13c)にそれぞれ口径が漸次拡大する部位を設けている。
本形状を採用することで、各シャッターの開成時に湿潤物(21)の圧力が急激に解放されるため、さらに放出されやすくなる。
【0040】
本実施例のように容器として袋体(2)を用いる場合には、袋体(2)を支持する固定部材(22)を合わせて用いてもよい。また、固定部材(22)を設置したパレット(23)を備えて、収容済みの袋体(2)を移送してもよい。
【0041】
図3は本発明の第2の実施形態である。
本実施例の収容装置(3)は、ピストン様の圧入部材(30)を備え、その非圧入面(30a)から湿潤物(21)を導入し、圧入面(30b)から容器内に放出するための圧入部材内を貫通する貫通路(33)を配設する。該貫通路(33)は、図示のように非圧入面(10b)からさらに上方に延伸していてもよく、例えば湿潤物(21)を搬送する搬送路と連結されていてもよい。
【0042】
圧入部材(30)内において、圧入面(30b)近傍に、貫通路を開閉する第1開閉手段として第1開閉部材(31)を設ける。第1開閉部材(31)は円錐台形であって、上方に向けて直径が小さくなる。この形状は圧入部材(30)内における貫通路(33)下端のテーパー状部(33a)と合致し、第1開閉部材(31)が上昇すると該テーバー状部(33a)に嵌合して貫通路(33)を閉鎖する。
また、第1開閉部材(31)の下面は、下方に向けて膨張させた膨張部(31a)を形成し、湿潤物(21)の圧入時に圧力が集中し、圧入性能を高めるように構成している。
【0043】
第1開閉部材(31)よりも非圧入面側において、貫通路(33)を開閉する第2開閉手段として第2シャッター(32)を備える。第2シャッター(32)も同様に、開成・閉成動作が可能であり、第1開閉部材(31)と物理的、又は電気的な連結手段(34)によって連係して動作する。
【0044】
ここで、本実施例において第1開閉部材(31)は袋体(2)内に蓄積した湿潤物(21)を押圧する際の反発力によって閉成する。すなわち、袋体(2)内に湿潤物(21)を放出していくと段々と湿潤物(21)の上面が高くなり、往復運動する圧入部材(30)の圧入面(30b)と干渉する。その際、開成した状態の第1開閉部材(31)は圧入面(30b)よりも下方にあるため、湿潤物(21)から上方の作用力を受ける。本実施例は、この作用力によって第1開閉部材(31)を閉成するものである。
また、別の実施方法として、第1開閉部材(31)の下端面にセンサ(図示しない)を設けて、センサが湿潤物(21)と接触したときに、閉成するように構成してもよい。
【0045】
本実施例の構成によれば、第1開閉部材(31)と第2シャッター(32)の間には、貫通路(33)の一部である空間(33b)及びテーパー状部(33a)が介在し、第2シャッター(32)の開成後に湿潤物(21)が滑らかに袋体(2)の開口部(20)に向けて放出するようになっている。空間(33a)(33b)が介在しない場合、第2シャッター(32)の上面に滞留した湿潤物(21)が、すでに圧入された湿潤物(21)や貫通路(13)の中途に付着した湿潤物(21)に干渉することがあるが、本構成によれば湿潤物の圧入と放出を連続的に行っても安定して湿潤物を放出可能となる。
【0046】
図4は本発明の第3の実施形態である。
本実施例の収容装置(4)は、ピストン様の圧入部材(40)を備え、その非圧入面(40a)から湿潤物(21)を導入し、圧入面(40b)から容器内に放出するための圧入部材内を貫通する貫通路(43)を配設する。該貫通路(43)は、図示のように非圧入面(40b)からさらに上方に延伸していてもよく、例えば湿潤物(21)を搬送する搬送路と連結されていてもよい。
【0047】
圧入部材(40)内において、圧入面(40b)近傍に、貫通路を開閉する第1開閉手段として第1シャッター(41)を設ける。第1開閉部材(41)の下面は、下方に向けて膨張させた膨張部(41a)を形成し、湿潤物(21)の圧入時に圧力が集中し、圧入性能を高めるように構成している。
【0048】
本実施例では、圧入部材(40)内部のさらに大きな口径の第2貫通路(44)を備え、貫通路(43)は第2貫通路(44)内の中途位置に下端が位置する。そして、貫通路(43)を開閉する第2開閉手段として第2シャッター(42)を備える。
【0049】
本実施例の構成でも、第1シャッター(41)と第2シャッター(42)の間には、貫通路(43)より大きな口径の第2貫通路(44)が介在し、第2シャッター(42)の開成後に湿潤物(21)が滑らかに袋体(2)の開口部(20)に向けて放出するようになっている。
【0050】
最後に、第1開閉手段と第2開閉手段の制御について説明する。図5は本発明の収容装置の第4の態様である。
本実施例の収容装置(5)は、上記第3の態様と同じく圧入部材(50)の非圧入面(50a)から圧入面(50b)を貫通する貫通路(53)、第2貫通路(54)、第1シャッター(51)、第2シャッター(52)を備える。
【0051】
そして、圧入部材(50)は、電気的に上下運動を制御する制御装置(55)と位置を検出するセンサ(56)と接続されており、圧入部材(50)が所定位置まで下降した時にセンサ(56)がそれを検出する。ここで、上記所定位置は少なくとも圧入部材の往復運動の下死点近傍が好ましい。
【0052】
下降すると、制御装置(55)が第2シャッター(52)、第1シャッター(51)を閉成するように制御する。その後、圧入部材(50)が湿潤物(21)を圧入し、再び上昇する。
センサ(56)によって上昇を検出すると、制御装置(55)は第1シャッター(51)、第2シャッター(52)を開成制御する。
【0053】
以上のように、本発明は電気的な制御によって各開閉手段を制御することができる。本制御は、いずれか一方の開閉手段だけを制御するようにしてもよい。例えば、第1開閉手段だけを開閉制御し、第2開閉手段は、該第1開閉手段と機械的な連結によって開閉する構成でもよい。
【0054】
本発明によって袋体(2)に収容する場合、規定の量を詰めた後は、被収容物の放出を停止し、次の袋体(2)に詰めなければならない。そのために、搬送路又は貫通路の一部に流量センサを備えるか、あるいは袋体(2)の重量を測定する重量センサを備え、上記制御手段(55)に対し、湿潤物(21)の導入を行うか否かの情報を提供する。
制御手段(50)は、規定量の収容が済んだことを検知しると、第2シャッター(52)を閉成し、新たに導入しないようにする。
【0055】
また次の袋体(2)に詰め始めた場合には、再び第2シャッター(52)を開成し、湿潤物(21)を放出する。
このように、制御手段(50)を備える構成は、複数の袋体(2)に順次収容する構成とも組み合わせしやすく、圧入の自動化において好適である。
【0056】
本発明の容器は袋体に限定されず、硬質素材で成形された箱、瓶、缶、ボンベ、タンク、トレイ、ペットボトルなどでもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 収容装置
10 圧入部材
10a 非圧入面
10b 圧入面
10c 側面
11 第1シャッター
12 第2シャッター
13 貫通路
13a 空間
13b 直上部
14 リンク部材
2 袋体
21 湿潤物
22 固定部材
23 パレット
図1
図2
図3
図4
図5