(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度制御手段は、前記レーザ光源が自己発熱駆動を所定時間行うまたは前記温度情報が第二閾値以上になった場合、前記レーザ光源の自己発熱駆動を停止させ、前記レーザ光源が自己発熱駆動を停止した後においても、前記温度調整素子に前記加熱駆動させることを特徴とする請求項1に記載のレーザ光源制御装置。
前記温度制御手段は、前記レーザ光源が自己発熱駆動を停止した後、前記加熱駆動を所定時間行うまたは前記温度情報が前記第二閾値より高い第三閾値以上になった場合、前記所定条件が成立したと判定し、前記レーザ光源を通常駆動させることを特徴とする請求項2に記載のレーザ光源制御装置。
前記温度制御手段は、前記温度情報の増大に基づき、前記温度調整素子へ供給する電力を漸減させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザ光源制御装置。
光を透過する透光部を有する筐体と、レーザ光源と、前記レーザ光源を加熱する温度調整素子と、前記レーザ光源の温度に関連する温度情報を取得する温度情報取得手段と、
前記レーザ光源から出射されるレーザ光を空間光変調して画像を生成する空間光変調素子と、
前記空間光変調素子を駆動する変調素子駆動手段と、
前記画像を表示させる際に前記レーザ光源を通常駆動させ、
前記温度情報が予め定められた第一閾値以下であると判定した際、前記レーザ光源に前記通常駆動より発熱量が多くなる自己発熱駆動をさせるとともに、前記温度調整素子に前記レーザ光源を加熱する加熱駆動をさせる温度制御手段と、
前記画像を表す表示光を前記透光部の方向へ反射する反射手段と、を備えることを特徴とする車両用表示装置。
前記温度制御手段は、前記レーザ光源が自己発熱駆動を所定時間行うまたは前記温度情報が第二閾値以上になった場合、前記レーザ光源の自己発熱駆動を停止させ、前記レーザ光源の自己発熱駆動を停止した後においても、前記温度調整素子に前記加熱駆動させることを特徴とする請求項5に記載の車両用表示装置。
前記温度制御手段は、前記レーザ光源が自己発熱駆動を停止した後、前記加熱駆動を所定時間行うまたは前記温度情報が前記第二閾値より高い第三閾値以上になった場合、前記所定条件が成立したと判定し、前記レーザ光源を通常駆動させることを特徴とする請求項6に記載の車両用表示装置。
前記温度制御手段は、前記温度情報の増大に基づき、前記温度調整素子へ供給する電力を漸減させることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の車両用表示装置。
前記空間光変調素子は、前記レーザ光を走査することで画像を生成する走査素子であり、前記変調素子駆動手段は、前記レーザ光源が前記自己発熱駆動を行う間、前記走査素子により前記レーザ光を所定の周期で走査する昇温時走査を行わせることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の車両用表示装置。
前記昇温時走査は、前記走査素子により前記レーザ光を、前記走査素子が走査可能な領域のうち前記画像として表示されない領域である非表示エリアに走査してなることを特徴する請求項9に記載の車両用表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の車両用表示装置の構成を、車両に搭載するヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置と記載)1に採用した実施例を図面と共に説明する。なお、本発明におけるレーザ光源制御装置は、HUD装置1内に設けられ、後述する本実施形態のレーザ光源(レーザ光源11)と、温度調整素子(ペルチェ素子14)と、温度情報取得手段(温度検出手段16)と、温度制御手段(総合制御部500)と、により構成される。まず
図1は、本実施形態のHUD装置1における側面図であり、
図2は、本実施形態の合成レーザ光出力部10の説明図である。
【0023】
HUD装置1は、
図1に示すように、合成レーザ光RGBを出力する合成レーザ光出力部10と、合成レーザ光RGBをスクリーン40方向へ走査する走査部30と、この走査した光により表示画像Mが投影されるスクリーン40と、スクリーン40上に配設され、走査部30によって走査された合成レーザ光RGBの光強度である第二光強度を検出するフォトセンサ(第二光強度検出手段)50と、スクリーン40に映し出された表示画像Mを示す表示光Lを凹面ミラー70へ折り返す平面ミラー60と、表示光Lを後述する透光部90を介してウインドシールド2へ出射する凹面ミラー70と、凹面ミラー70を移動・回転させるミラー角度調整手段71(特許請求の範囲に記載のミラーアクチュエータ)と、これら合成レーザ光出力部10と、カラーセンサ20と、走査部30と、スクリーン40と、フォトセンサ50と、平面ミラー60と、凹面ミラー70と、ミラー角度調整手段71と、を収納する筐体80と、この筐体80の一部に配設された透光部90と、を備えるものであり、HUD装置1から出射された表示光Lは、ウインドシールド(透過投影体)2により反射され、車両運転者3により虚像Vとして視認される。
【0024】
合成レーザ光出力部10は、
図2に示すように、レーザダイオード(Laser Diode)からなるレーザ光源11と、集光光学系12と、合波手段13と、レーザ光源11に接続され、レーザ光源11を冷却する、もしくは低温においてレーザ光源11を加熱するペルチェ素子(特許請求の範囲の記載における温度調整素子)14と、ペルチェ素子14に接続され、ペルチェ素子14が吸熱した熱をHUD装置1の外部に放出するヒートシンク15と、レーザ光源11近傍に配設され、レーザ光源11の温度を検出する温度検出手段(特許請求の範囲の記載における温度情報取得手段)16と、から構成され、レーザ光源11から出力された合成レーザ光RGBを、合波して1本の合成レーザ光RGBとして出力するものである。
【0025】
レーザ光源11は、赤色のレーザ光Rを発する赤色レーザ光源11aと、緑色のレーザ光Gを発する緑色レーザ光源11bと、青色のレーザ光Bを発する青色レーザ光源11cと、から構成されるものであり、後述するLD制御部100のLD駆動信号に基づき、それぞれ独立して発光強度、発光タイミングが調整される。また、レーザ光源11は、後述するペルチェ素子14に熱交換可能な状態で接続され、このペルチェ素子14を介して放熱または吸熱するものである。
【0026】
集光光学系12は、レンズなどを用いて、合成レーザ光RGBのスポット径を小さくし、収束光とするものであり、赤色レーザ光Rを集光する第一集光光学系12aと、緑色レーザ光Gを集光する第二集光光学系12bと、青色レーザ光Bを集光する第三集光光学系12cと、を具備してなるものである。
【0027】
合波手段13は、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光は透過するダイクロイックミラーなどから構成され、赤色レーザ光Rを反射する第一合波部13aと、赤色レーザ光Rは透過し、緑色レーザ光Gを反射する第二合波部13bと、赤色レーザ光Rと緑色レーザ光Gとを透過し、青色レーザ光Bを反射する第三合波部13cと、から構成されるものである。
【0028】
ペルチェ素子(特許請求の範囲に記載の温度調整素子)14は、ペルチェ効果を利用した板状の熱電素子であり、赤色レーザ光源11aに接続される第一ペルチェ素子14a、緑色レーザ光源11bに接続される第二ペルチェ素子14b、青色レーザ光源11cに接続される第三ペルチェ素子14c、により構成され、電流を流すことにより、一方の面より吸熱し、もう一方の面が発熱するものであり、電流の向きを逆にすることで、吸熱と発熱を逆にすることができる。本実施形態においては、レーザ光源11毎にペルチェ素子14を設けているが、これらを複数のレーザ光源11で共用してもよい。
【0029】
ヒートシンク15は、表面積を大きくするようにフィン形状を有し、金属などの熱伝導がよい部材により形成され、第一ペルチェ素子14a,第二ペルチェ素子14b,第三ペルチェ素子14cにそれぞれ接続される第一ヒートシンク15a,第二ヒートシンク15b,第三ヒートシンク15c、により構成され、ペルチェ素子14に接続される他方が筐体80の外部に突出するように配設され、ペルチェ素子14からの熱を吸熱し、筐体80の外部に放出することにより、ペルチェ素子14及びレーザ光源11を冷やす効果を有する。
【0030】
温度検出手段(特許請求の範囲に記載の温度情報取得手段)16は、レーザ光源11の温度を検出する温度センサであり、レーザ光源11の検出した温度である検出温度Tを温度データとして総合制御部500へ出力するものである。また、温度検出手段16は、レーザ光源11の温度が推定できるものであればよく、HUD装置1の筐体80内の所定箇所の温度を測定する温度センサであり、その検出温度Tからレーザ光源11の温度を推定してもよい。また、温度検出手段16は、車両周辺の温度に関連する温度情報(T)を車両側から入力する入力部であってもよい。しかしながら、レーザ光源11の温度検出の精度を向上させるため、レーザ光源11の近傍に配設することが望ましい。
【0031】
また、合成レーザ光出力部10は、合成レーザ光RGBの光路上に配設される反射透過膜21と、反射透過膜21による合成レーザ光RGBの反射方向に配設されるカラーセンサ20と、を備える。
【0032】
反射透過膜21は、5%程度の反射率を有する透過性の部材により構成され、合成レーザ光RGBを透過し、合成レーザ光RGBの一部をカラーセンサ20の方向へ反射させるものである。
【0033】
カラーセンサ(第一光強度検出手段)20は、反射透過膜21から反射された合成レーザ光RGBの一部を受光し、合成レーザ光RGBの第一光強度(赤色レーザ光Rの赤色光強度、緑色レーザ光Gの緑色光強度、青色レーザ光Bの青色光強度)をそれぞれ検出して、A/D変換部を介して、後述する総合制御部500へ出力する。また、第一光強度検出手段20は、光強度を検出できればいいので、合成レーザ光RGBの光路ではなく、赤色レーザ光R,緑色レーザ光G,青色レーザ光Bをそれぞれ検出できる箇所にそれぞれ設けられたフォトダイオードなどで構成されてもよい。また、第一光強度検出手段20は、カラーセンサではなく、フォトダイオードでもよく、赤色レーザ光源11a、緑色レーザ光源11b、青色レーザ光源11cを時分割的に点灯させることで、赤色レーザ光R,緑色レーザ光G,青色レーザ光Bそれぞれの光強度を検出してもよい。
【0034】
走査部30は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーであり、合成レーザ光出力部10からの合成レーザ光RGBを受光し、後述する走査制御部200からの走査部制御信号に基づき、この合成レーザ光RGBをスクリーン40へ走査することによりスクリーン40上に表示画像Mを生成するものである。
【0035】
スクリーン40は、走査部30からの表示画像Mを背面から受光し、透過拡散させ、前面側に表示画像Mを表示するものであり、例えば、ホログラフィックディフューザ、マイクロレンズアレイ、または偏光板などから構成される。スクリーン40は、
図3に示すように、平面ミラー60に反射されて車両運転者3に虚像Vとして視認される表示エリア40aと、平面ミラー60に反射されない非表示エリア40bと、に分類される。
【0036】
フォトセンサ(第二光強度検出手段)50は、スクリーン40の走査部30側のスクリーン40の非表示エリア40bの領域内、かつ走査部30が走査可能な領域内に配設され、走査部30により走査された合成レーザ光RGBの光強度を検出するフォトダイオードなどで構成されるフォトセンサである。
フォトセンサ50は、検出した光強度である第二光強度をアナログ信号として出力し、A/D変換部を介してデジタル信号に変換して、後述する総合制御部500へ出力する。
【0037】
平面ミラー60は、スクリーン40の前面に投影された表示画像Mの表示光Lを凹面ミラー70側へ折り返す平面鏡である。
【0038】
凹面ミラー70は、平面ミラー60から反射された表示光Lを、透光部90を介して、車両のウインドシールド2の方向へ出射する凹面鏡である。
また、凹面ミラー70は、凹面ミラー70を回動させるミラー角度調整手段71と、凹面ミラー70の角度を検出するミラー状態検出部71aと、を有し、後述するミラー制御部300からの制御信号に基づき、ミラー角度調整手段71が駆動されることで表示光Lの反射方向を調整することができるものである。
【0039】
ミラー角度調整手段(特許請求の範囲に記載のミラーアクチュエータ)71は、ミラー制御部300からの駆動信号に基づいて凹面ミラー70の角度を調整するステッピングモーターなどのアクチュエーターで構成される。
【0040】
ミラー状態検出部71aは、凹面ミラー70が原点にあるかを検出する機械スイッチであり、凹面ミラー70の一点による接触,押下を検出し、原点検出信号を後述するミラー制御部300に出力するものである。また、ミラー状態検出部71aは、本実施形態において凹面ミラー70が原点にあるかのみを検出しているが、角度センサなどを用いて凹面ミラー70の角度検出を行ってもよい。
【0041】
筐体80は、合成レーザ光出力部10、走査部30、スクリーン40、フォトセンサ50、平面ミラー60、凹面ミラー70等を収納するものであり、遮光性の部材により形成される。また、後述するHUD装置1の電気的な制御を行う制御群(LD制御部100、走査制御部200、ミラー制御部300、ペルチェ素子駆動部400、総合制御部500など)は、筐体80内に備えられてもいいが、HUD装置1の外部に配設され、配線により電気的に接続されてもよい。
【0042】
透光部90は、筐体80に嵌合されたものであり、アクリル等の透光性樹脂からなり、HUD装置1の外部からの外光が車両運転者3の方向へ反射されないように、湾曲形状に形成される。
【0043】
以上が、本実施形態におけるHUD装置1の構成であるが、これより、
図4を用いて、本実施形態のHUD装置1の制御について説明する。
【0044】
HUD装置1における制御構成としては、レーザ光源11を駆動するLD制御部100と、走査部30を駆動する走査制御部200と、凹面ミラー70に取り付けられたミラー角度調整手段71を駆動し、凹面ミラー70を移動・回転させるミラー制御部300と、ペルチェ素子14を駆動するペルチェ素子駆動部400と、これらLD制御部100、走査制御部200、ミラー制御部300、ペルチェ素子駆動部400、を制御する総合制御部500と、を備える。
【0045】
LD制御部100は、赤色レーザ光源11a、緑色レーザ光源11b、青色レーザ光源11cを点灯させるためのLDドライバー回路からなるLD駆動手段101と、レーザ光源11に流れる電流を検出するLD電流検出手段102と、レーザ光源11に電源供給する電源回路からなるLD電源供給手段103と、を備える。LD電源供給手段103は、赤色レーザ光源11a、緑色レーザ光源11b、青色レーザ光源11c各々に対して独立して設けられてもよく、複数のLDでLD電源供給手段103を共用してもよい。
【0046】
LD駆動手段101は、後述する総合制御部500の出力するLD制御データを入力し、このLD制御データに基づいて、各々のレーザ光源11を、PWM(パルス幅変調:Pulse Width Modulation)制御またはPAM(パルス振幅変調:Pulse Amplitude Modulation)制御またはDC(直流:Direct Current)制御するものである。LD制御データは、各レーザ光源11を、所望の表示画像Mを表示させるために駆動(通常駆動)させる通常LD制御データと、低温環境下においてレーザ光源11を自己発熱駆動させ、レーザ光源11自身を温める自己発熱LD制御データと、に分類される。LD駆動手段101は、自己発熱駆動、レーザ光源11をDC制御する。このようにレーザ光源11をDC制御することにより、レーザ光源11により多くの電流が流れ、速やかにLDの昇温を行うことができる。本実施形態において、LD駆動手段101は、自己発熱駆動として、レーザ光源11をDC制御するが、上記PWM制御やPAM制御することによって、レーザ光源11自身を加熱してもよい。
【0047】
LD電流検出手段102は、赤色レーザ光源11a、緑色レーザ光源11b、青色レーザ光源11c各々に流れる電流値を検出し、この電流値を示すLD電流データを、LD駆動手段101に出力するものである。LD電流検出手段102は、常にレーザ光源11に流れる電流値を検出するが、HUD装置1の所定の動作時のみの検出や、所定期間毎の検出としてもよい。
【0048】
次に、走査制御部200について説明する。
走査制御部(特許請求の範囲に記載の変調素子駆動手段)200は、走査部30を駆動させる走査部駆動手段201と、走査部30走査位置を検出する走査位置検出手段202と、を備える。
【0049】
走査部駆動手段201は、走査部30のドライブ回路により構成され、総合制御部500からの制御データに基づき、走査部30を水平駆動及び垂直駆動することにより、
図3に示すように、合成レーザ光RGBを走査するものである。
【0050】
走査部駆動手段201は、走査部30を駆動させた後、走査位置検出手段202から出力される走査位置検出データを入力し、この走査位置検出データよりフィードバックデータを算出し、このフィードバックデータを総合制御部500へ出力する。
走査部駆動手段201から出力されるフィードバックデータは、走査部30のミラーを水平方向に実際に動かした際のピエゾ素子の共振周波数である実測共振周波数、ミラーを水平方向に実際に動かした際のピエゾ素子の水平周波数である実測垂直駆動周波数、などのデータである。
【0051】
走査位置検出手段202は、走査部30のミラーを動かすピエゾ素子の時間ごとの振れ位置を検出し、走査位置検出データとして走査部駆動手段201に出力するものである。走査部駆動手段201は、この走査位置検出データから走査部30が通常の走査が可能な状態であるかを判定し、走査部30が通常走査が可能な状態になったことを示す信号をフィードバックデータとともに、後述する総合制御部500に出力する。
【0052】
次に、ミラー制御部300について説明する。
ミラー制御部300は、凹面ミラー70の角度を調整するミラー角度調整手段71と、凹面ミラー70の角度を検出するミラー状態検出部71aと、電気的に接続されており、ミラー角度調整手段71を駆動するドライバー回路であり、総合制御部500から出力される角度調整データに基づき、ミラー角度調整手段71を駆動制御することで凹面ミラー70を所望の角度に調整するものである。
角度調整データは、後述する凹面ミラー70の所定の原点を基準として角度調整するためのデータであり、後述する総合制御部500のメモリ(図示しない)に予め記録されるものである。
ミラー制御部300は、凹面ミラー70の角度を調整することで、凹面ミラー70の角度状態(方向)を制御する。角度状態(方向)は、凹面ミラー70が表示光Lを透光部90から外部に照射(反射)する可視方向と、凹面ミラー70が表示光Lを透光部90から外部に照射(反射)しない不可視方向と、に分類され、ミラー制御部300は、凹面ミラー70の角度方向を、これら可視方向と不可視方向とに切り替えることができる。
【0053】
可視方向は、
図5(b)に示すような本実施形態のHUD装置1の通常表示動作における凹面ミラー70の角度方向、または
図5(a)や(c)のように凹面ミラー70が表示光Lを透光部90から外部へ照射する角度方向である。
また、可視方向内において、車両に搭載される押釦スイッチ(図示しない)の操作により、ミラー制御部300が凹面ミラー70の角度を調整することで、表示光Lがウインドシールド2に投影される位置(虚像Vが視認される位置)を調整することができる。
【0054】
不可視方向は、
図6に示すように、本実施形態のHUD装置1のレーザ光源11を自己発熱駆動させるときに、余計な表示光Lを透光部90から射出しない凹面ミラー70の角度位置である。
【0055】
なお、本実施形態のHUD装置1において、ミラー角度調整手段71を、凹面ミラー70の角度を可視方向と不可視方向とに調整するものと、可視方向内で表示光Lがウインドシールド2に投影される位置を調整するものと、を共通のミラーアクチュエータとして示しているが、これらは別々に設けられてもよい。
また、ミラー角度調整手段71は、本実施形態においては、凹面ミラー70の角度を調整するものであるが、凹面ミラー70を車両の前後または/および上下または/および左右方向に移動させることで、光を筐体80の外部へ出射する状態と、光を筐体80の外部へ出射しない状態と、で切り替えるものであってもよい。
【0056】
次に、ペルチェ素子駆動部400について説明する。
ペルチェ素子駆動部400は、ペルチェ素子14を駆動するペルチェ素子ドライバー回路401と、車両側の電源からペルチェ素子14に駆動電流を供給する電源回路からなるペルチェ素子電源供給手段402と、ペルチェ素子14の駆動電流を検出するペルチェ素子電流検出手段403と、を備え、後述する総合制御部500からのペルチェ素子駆動信号に基づいて、ペルチェ素子14を駆動させ、レーザ光源11の温度調整(冷却または発熱)を行う。
【0057】
ペルチェ素子電流検出手段403は、ペルチェ素子14に流れる電流を連続的または断続的に検出し、この電流値のデータを後述する総合制御部500に出力し、総合制御部500は、ペルチェ素子ドライバー回路401を介して、ペルチェ素子14に所望の電流値を供給する。このように、ペルチェ素子14に流れる電流値を監視することによって、環境温度に応じて、ペルチェ素子14に過電流が供給されることを防止し、温度調整を精度よく行うことができる。また、このようにペルチェ素子14に流れる電流値を監視して、ペルチェ素子14に流れる電流値を調整する機能は、総合制御部500でなく、ペルチェ素子ドライバー回路401が行ってもよい。
【0058】
次に、総合制御部500について説明する。
総合制御部500は、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などからなり、LD制御部100(レーザ光源11)と、走査制御部200(走査部30)と、ミラー制御部300(凹面ミラー70)と、ペルチェ素子駆動部400(ペルチェ素子14)と、を制御するものであり、表示画像Mを生成する通常表示動作を行うための表示制御手段と、レーザ光源11の温度制御動作を行うための温度制御手段と、を機能として有する。本実施形態において、総合制御部500は、LD制御部100、走査制御部200、ミラー制御部300、ペルチェ素子駆動部400を介して、レーザ光源11、走査部30、凹面ミラー70、ペルチェ素子14を駆動制御しているが、これらを直接制御できるように構成されていてもよい。
総合制御部500は、様々な処理を行うためのプログラムやデータなどを格納するためのメモリ(図示しない)を有し、様々な情報信号を入力し、演算処理しHUD装置1内の電子機器を制御する。具体的に、総合制御部500は、車両ECU(図示しない)からの車両情報や起動信号、レーザ光源11に流れる電流値を示すLD電流データと、温度検出手段16からのレーザ光源11の検出温度(温度情報)Tを示す温度データと、第一光強度検出手段20からの第一光強度データと、第二光強度検出手段50からの第二光強度データと、走査制御部200からのフィードバックデータ、ミラー角度調整手段71からの凹面ミラー70が原点位置であることを示す原点検出信号と、を入力し、これらの情報信号より、LD制御部100を駆動するLD駆動データ(通常LD制御データ、自己発熱LD制御データ)と、走査制御部200を駆動する走査部制御データと、ミラー角度調整手段71を駆動する角度調整データと、ミラー制御部300を駆動するペルチェ素子制御データと、を生成・出力し、本実施形態におけるHUD装置1の総合的な制御をするものである。
【0059】
以上が、本実施形態のHUD装置1における制御構成であり、つづいて、本実施形態におけるHUD装置1の温度制御動作について
図7、8を用いて説明する。
【0060】
(温度制御動作)
図7は、温度検出手段16より検出された検出温度Tに基づく、温度制御動作を説明した図であり、
図8は、検出温度Tに応じた、(a)レーザ光源11及び(b)ペルチェ素子14への電力供給を示した図である。
【0061】
(検出温度T<T1)
総合制御部500は、温度検出手段16により検出された検出温度Tが、予め記憶された第一温度T1(−10℃)より低い場合、LD駆動手段101に対して、自己発熱LD制御データを出力し、LD駆動手段101は、レーザ光源11を自己発熱駆動させ、さらに、ペルチェ素子ドライバー回路401に対して、加熱制御データを出力し、ペルチェ素子ドライバー回路401は、ペルチェ素子14を加熱駆動させ、レーザ光源11を加熱する。このように、レーザ光源11とペルチェ素子14との双方を同時に加熱駆動させることにより、レーザ光源11の熱がペルチェ素子14側に吸熱されることなく、速やかにレーザ光源11を昇温させることができる。
【0062】
自己発熱駆動は、レーザ光源11に直流電流を流すことにより自己発熱させるものであり、このように直流電流によりレーザ光源11を駆動することにより、より速くレーザ光源11を昇温させることができる。電流値の大きさが大きい程、昇温の速度を速めることができるが、総合制御部500は、レーザ光源11を、レーザ光源11が破壊される電流値(レーザ光源11の寿命を考慮した電流値)未満で駆動する。また、総合制御部500は、温度検出手段16から検出される検出温度TやLD電流検出手段102から検出されるレーザ光源11に流れる電流値から自己発熱駆動で流す電流値を調節してもよい。
【0063】
総合制御部500は、レーザ光源11の温度上昇に伴い、レーザ光源11の駆動電力を漸減させていく(例えば、総合制御部500は、レーザ光源11を定電流駆動により駆動電流を低下させる、またはレーザ光源11を定電圧駆動により駆動電圧を低下させる)。具体的に、総合制御部500は、
図8(a)に示すように、検出温度Tが第一温度T1より低い温度T0になってから検出温度Tの上昇に応じて、レーザ光源11の駆動電力を低下させていき、第一温度T1でレーザ光源11の駆動電力をゼロにする(自己発熱駆動を停止する)。このように、検出温度Tに応じて、レーザ光源11の駆動電力を低下させていくことにより、温度上昇によるレーザ光源11への過電流を抑制し、レーザ光源11が破壊されるのを防止することができ、さらに、レーザ光源11にかかる電力を瞬断しないことにより、逆起電力等によるレーザ光源11へのストレスを抑制することができる。さらに、レーザ光源11の駆動電力を漸減させていくことで、レーザ光源11の自己発熱駆動によるレーザ光源11の温度変化率を抑え、ペルチェ素子14(ペルチェ素子駆動部400)による温度制御でレーザ光源11の温度を調整することができるため、LD制御部100とペルチェ素子駆動部400との双方による温度制御に比べて、レーザ光源11の温度制御がしやすく、精度よく温度制御が可能となる。
【0064】
(T1≦検出温度T<T2)
総合制御部500は、検出温度Tが、第一温度T1(−10℃)と第二温度T2(0℃)との間である場合、レーザ光源11の自己発熱駆動を停止し、検出温度Tが第三温度T3に達するまでペルチェ素子14のみでレーザ光源11の昇温を行う(第二温度T2から第三温度T3まではレーザ光源11は通常駆動を行うことにより、レーザ光源11自身も加熱される)。
【0065】
また、総合制御部500は、検出温度Tが、第一温度T1(−10℃)と第二温度T2(0℃)との間である場合、カラーセンサ20、フォトセンサ50から検出される光強度情報に基づき、レーザ光源11それぞれの光出力調整を行う。具体的には、総合制御部500は、カラーセンサ20、フォトセンサ50から検出される光強度情報に基づき、総合制御部500のメモリに記憶されたレーザ光源11の駆動電流と光強度とを関連付けた電流−光強度特性を断続的または連続的に補正する。このように、レーザ光源11が通常駆動を開始する第二温度T2まで温度が上昇する間に、電流−光強度特性を調整することによって、第二温度T2においてレーザ光源11が通常駆動する際、速やかに所望の光強度をレーザ光源11に出力させることができる。
【0066】
また、総合制御部500は、検出温度Tが、第一温度T1(−10℃)と第二温度T2(0℃)との間である場合、検出温度Tの上昇に伴い、ペルチェ素子14の駆動電力を漸減させてもよい。具体的には、
図8(b)に示すように、検出温度Tが第一温度T1以上になってから検出温度Tの上昇に応じて、ペルチェ素子14の駆動電力を漸減させていき、レーザ光源11の温度変化率を緩やかにする。これにより、レーザ光源11が通常駆動を開始する第二温度T2になる際、レーザ光源11の温度が安定するので、レーザ光源11の光出力を安定させることができる。さらに、上述したように、レーザ光源11が通常駆動を開始する第二温度T2まで温度が上昇する間に、電流−光強度特性を調整することによって、検出温度Tの温度変化率が第二温度T2付近で緩やかになるため、第二温度T2に近い温度環境で電流−光強度特性を調整することができ、第二温度T2においてレーザ光源11が通常駆動する際、速やかに所望の光強度を精度よくレーザ光源11に出力させることができる。
【0067】
(T2≦検出温度T)
総合制御部500は、検出温度Tが、第二温度T2(0℃)以上である場合、レーザ光源11を通常駆動させ、走査制御部200を介して走査部30を通常駆動させ、スクリーン40上に表示画像Mを表示させる。この際、総合制御部500は、ミラー制御部300を介して凹面ミラー70を回動させ、表示光Lを外部へ出射する可視方向に調整しておく。したがって、スクリーン40上に表示された表示画像Mの表示光Lは、ウインドシールド2に投影され、車両運転者3は表示画像Mの虚像Vを視認することができる。ちなみに、ペルチェ素子14は、検出温度Tが第二温度T2(0℃)以上であり、レーザ光源11が通常駆動を開始した後でも、検出温度Tが第三温度T3に達するまで加熱駆動を停止せず、少なくとも検出温度Tが減少しない程度に加熱駆動を継続する。レーザ光源11が通常駆動を開始する第二温度T2と、ペルチェ素子14が加熱駆動を停止する第三温度T3とを別々に設けない(温度差を設けない)場合、ペルチェ素子14が加熱駆動を停止した後、レーザ光源11の熱がペルチェ素子14を介してヒートシンク15側から吸熱され、レーザ光源11が、再度第二温度T2を下回ってしまい、レーザ光源11の光強度が安定しないおそれがあるが、本実施形態のように、レーザ光源11が通常駆動を開始する第二温度T2と、ペルチェ素子14が加熱駆動を停止する第三温度T3とを別々に設ける(温度差を設ける)ことにより、レーザ光源11が通常駆動により十分に自己発熱しているため、ペルチェ素子14が停止してもレーザ光源11の温度低下を抑えることができ、レーザ光源11の光出力を安定させることができる。
【0068】
また、総合制御部500は、検出温度Tが、第四温度T4(60℃)以上である場合、ペルチェ素子14に発熱時に流す電流とは逆に電流を流し、レーザ光源11の熱を吸熱させ、ヒートシンク15を介して熱を放出させる。レーザ光源11の動作可能温度範囲およそ0℃〜60℃であり、60℃を超えると、レーザ発振するために流す必要のある発振閾値電流値が上昇してしまうだけではなく、レーザ発振しなくなってしまう虞がある。従って、ペルチェ素子14は、レーザ光源11の温度が動作可能温度範囲内となるように吸熱もしくは発熱を行うように制御される。
【0069】
走査部30は、レーザ光源11が自己発熱駆動している間、合成レーザ光RGBを所定の周期でスクリーン40へ走査する昇温時走査を行う。この昇温時走査とは、
図3に示すような、レーザ光源11が通常駆動しているときと同様の周期で水平走査駆動、垂直走査駆動を行う通常走査であり、この通常走査により生成される表示光Lは、凹面ミラー70を不可視方向とすることで透光部90の方向へ反射されず、車両運転者3に視認されることはない。このように、レーザ光源11が自己発熱駆動している間に、走査部30を所定の周期で走査させることにより、自己発熱駆動による光強度の強いレーザ光RGBにより、走査部30自身もしくはスクリーン40が破壊されることを防止することができる。
また、昇温時走査は、レーザ光源11が自己発熱駆動している間の不要な表示光Lによりスクリーン40が焼きつかない程度に表示光Lの走査位置を変えればいいので、常に走査している必要はなく、スクリーン40が焼きつかない程度に、所定の周期で走査部30が停止と走査を繰り返すものであってもよい。
【0070】
以上説明したように、本実施形態におけるHUD装置1において、総合制御部500は、温度検出手段16により検出された検出温度Tが第一温度T1より低い場合、レーザ光源11を自己発熱駆動させ、さらに、ペルチェ素子14を加熱駆動させてレーザ光源11を加熱する。このように、レーザ光源11とペルチェ素子14との双方を同時に加熱駆動させることにより、レーザ光源11の熱がペルチェ素子14側に吸熱されることなく、速やかにレーザ光源11を昇温させることができる。
【0071】
また、総合制御部500は、検出温度Tが、第一温度T1(−10℃)になった場合、レーザ光源11の自己発熱駆動を停止し、検出温度Tが第三温度T3に達するまでペルチェ素子14のみでレーザ光源11の昇温を行う(レーザ光源11は通常駆動を行う)。斯かる構成により、所定の温度まで達した時に、自動的にレーザ光源11の自己発熱駆動を停止させることができ、レーザ光源11の自己発熱駆動によるレーザ光源11の温度変化率を抑え、ペルチェ素子14(ペルチェ素子駆動部400)による温度制御のみでレーザ光源11の温度を調整することができるため、LD制御部100とペルチェ素子駆動部400との双方による温度制御に比べて、レーザ光源11の温度制御がしやすく、精度よく温度制御が可能となると供に、レーザ光源11の温度勾配を緩やかすることでレーザ光源11が通常駆動する際、速やかに所望の光強度を精度よくレーザ光源11に出力させることができる。
ちなみに、レーザ光源11が自己発熱駆動を停止する契機は、上述した検出温度Tが第一温度T1以上になることのみではなく、レーザ光源11が一定時間行った後に自己発熱駆動を停止するようにしてもよく、このような構成においてもレーザ光源11が十分昇温してから自動的にレーザ光源11の自己発熱駆動を停止させることができる。なお、温度検出手段16が始めに検出する検出温度Tに応じて、レーザ光源11が自己発熱駆動する時間を切り替えてもよい。
【0072】
また、総合制御部500は、レーザ光源11が自己発熱駆動を停止し、ペルチェ素子14が加熱駆動している際に、カラーセンサ20、フォトセンサ50から検出される光強度情報に基づき、総合制御部500のメモリに記憶されたレーザ光源11の駆動電流と光強度とを関連付けた電流−光強度特性を断続的または連続的に補正するので、レーザ光源11が通常駆動する際、速やかに所望の光強度をレーザ光源11に出力させることができる。
【0073】
また、総合制御部500は、レーザ光源11が通常駆動を開始する第二温度T2と、ペルチェ素子14が加熱駆動を停止する第三温度T3とを別々に設ける(温度差を設ける)ことにより、ペルチェ素子14が停止してもレーザ光源11の温度低下を抑えることができ、レーザ光源11の光出力を安定させることができる。
ちなみに、ペルチェ素子14が加熱駆動を停止する契機は、上述した検出温度Tが第三温度T3以上になることのみではなく、レーザ光源11の自己発熱駆動停止後、ペルチェ素子14が加熱駆動を一定時間行った後に加熱駆動を停止するようにしてもよく、このような構成においても、ペルチェ素子14が停止してもレーザ光源11の温度低下を抑えることができ、レーザ光源11の光出力を安定させることができる。なお、温度検出手段16が始めに検出する検出温度Tに応じて、ペルチェ素子14が加熱駆動する時間を切り替えてもよい。
【0074】
また、総合制御部500は、レーザ光源11の温度上昇に伴い、レーザ光源11の駆動電力を漸減させていくので、温度上昇によるレーザ光源11への過電流を抑制し、レーザ光源11が破壊されるのを防止することができ、さらに、レーザ光源11にかかる電力を瞬断しないことにより、逆起電力等によるレーザ光源11へのストレスを抑制することができる。さらに、レーザ光源11の駆動電力を漸減させていくことで、レーザ光源11の自己発熱駆動によるレーザ光源11の温度変化率を抑え、ペルチェ素子14(ペルチェ素子駆動部400)による温度制御でレーザ光源11の温度を調整することができるため、LD制御部100とペルチェ素子駆動部400との双方による温度制御に比べて、レーザ光源11の温度制御がしやすく、精度よく温度制御が可能となる。
【0075】
また、総合制御部500は、検出温度Tの上昇に伴い、ペルチェ素子14の駆動電力を漸減させ、レーザ光源11の温度変化率を緩やかにすることで、レーザ光源11が通常駆動を開始する際、レーザ光源11の温度が安定するので、レーザ光源11の光出力を安定させることができる。さらに、上述したように、レーザ光源11が通常駆動を開始する第二温度T2まで温度が上昇する間に、電流−光強度特性を調整することによって、レーザ光源11が通常駆動を開始する温度(第二温度T2)付近で温度変化が緩やかになるため、レーザ光源11が通常駆動を開始する環境(第二温度T2)に近い状態で電流−光強度特性及びホワイトバランスを調整することができ、レーザ光源11が通常駆動する際、速やかに所望の光強度を精度よくレーザ光源11に出力させることができる。
【0076】
なお、以上に説明した第一温度T1は、特許請求の範囲における第一閾値及び第二閾値の一具体例であり、第二温度T2は、特許請求の範囲における第三閾値の一具体例であり、本発明の第一閾値及び第二閾値を、本実施形態においては、共通の温度(第一温度T1)としているが別々に設けてもよい。以下に、本発明における実施形態の変形例を説明する。
【0077】
(第二実施形態)
上記実施形態においては、凹面ミラー70を不可視方向にすることにより、自己発熱時の不要な表示光Lが外部へ射出されないようにしたが、本発明の第二実施形態は、凹面ミラー70を不可視方向にする必要がなく、レーザ光源11が、自己発熱駆動している間、
図9(a)に示すように、走査部30が非表示エリア40bを走査するタイミングのみレーザ光源11に自己発熱駆動させ、表示エリア40aにてLDを駆動させないことにより、不要な表示光Lが外部へ射出されるのを防止してもよい。
【0078】
(第三実施形態)
また、本発明の第三実施形態としては、レーザ光源11が自己発熱駆動している間、走査部駆動手段201が走査部30を、
図9(b)に示すように、非表示エリア40bのみで走査させるものであり、かかる構成においても上記の実施形態と同様に、不要な表示光Lが外部へ射出されるのを防止することができる。
【0079】
上記実施形態において、HUD装置1の起動時にレーザ光源11を自己発熱駆動した際の合成レーザ光RGBを、走査部30が、
図3や
図9に示すように、スクリーン40上に昇温時走査させることで、スクリーン40の焼きつきを防止している。しかしながら、HUD装置1の起動時において走査部30が正常に動かず、レーザ光源11を自己発熱駆動した際の合成レーザ光RGBがスクリーン40の一部に局所的に照射され、スクリーン40が焼きつくおそれがある。そこで、以下の第四実施形態によれば、走査部30が正常に起動するまでに、走査部30に照射されるレーザ光を減光部22により減光することで、スクリーン40の焼きつきを防止することができる。以下に、本発明の第四実施形態について、
図10乃至15を用いて説明する。
【0080】
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態としては、
図10に示すように、合成レーザ光RGBの光路上に、合成レーザ光RGBの透過率(減光率P)を調整する減光部22と、この減光部22の減光率Pを制御する駆動回路で構成される減光部制御手段600(
図11参照)と、をさらに備える。
【0081】
減光部22は、前偏光フィルター22aと、液晶素子22bと、後偏光フィルター22cと、を備え、後述する、起動スイッチON直後のレーザ光R,G,Bを減光して、レーザ光R,G,Bによるスクリーン40の焼きつきを防止することが出来る。
【0082】
前偏光フィルター22aと後偏光フィルター22cとは、アルミワイヤグリッド偏光フィルター等、レーザ光に耐久性のある偏光素子で構成される。
【0083】
液晶素子22bは、無電圧時に透過率最小(最大減光率Pm)となるノーマリーブラックモードであるVA型(Vertical Alignment型)等の液晶素子で構成され、減光部制御手段600からの制御信号に基づき、減光率Pを調整するものである。液晶素子22bは、VA型液晶で構成されているが、反射型及び透過型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等で構成されてもよい。
【0084】
また、減光部22は、レーザ光源11のレーザ光を減光出来ればよいので、合成レーザ光RGBの光路ではなく、赤色レーザ光R,緑色レーザ光G,青色レーザ光Bそれぞれに設けられてもよい。また、減光部22は、レーザ光が一点に常時照射されるため、耐光性や耐熱性を有した部材を用いることが望ましく、それぞれに放熱部材などを接続しておくことが望ましい。また、減光部22は偏光フィルター22a,22cと液晶素子22bとで構成されているが、レーザ光を減光出来ればよいので、例えば可変濃度型NDフィルターで構成されてもよい。
【0085】
減光部制御手段600は、液晶素子22bの偏光角度を調整する、発振,積分及び増幅回路などからなるVA液晶用電圧可変型パルス波形生成回路で構成される。減光部制御手段600は、総合制御部500に電気的に接続され、総合制御部500から入力される輝度調整データ(PWM信号)から0〜±20V程度の電圧の液晶駆動パルス波形を生成する。減光部制御手段600は、この液晶駆動パルス波形の電圧幅により、液晶素子22bによるレーザ光の偏光角を調整し、後偏光フィルター22cの透過偏光角との差異により、レーザ光の減光率Pを調節する。
【0086】
また、第四実施形態における総合制御部500は、車両ECU(図示しない)から表示輝度情報及び起動信号、レーザ光源11に流れる電流値を示すLD電流データと、温度検出手段16からのレーザ光源11の検出温度Tを示す温度データと、第一光強度検出手段20からの第一光強度データと、第二光強度検出手段50からの第二光強度データと、走査制御部200からのフィードバックデータ、ミラー角度調整手段71からの凹面ミラー70が原点位置であることを示す原点検出信号と、を入力し、これらの情報より、減光部制御手段600を駆動する輝度調整データを生成して、減光部制御手段600を介して液晶素子22bによるレーザ光の減光率Pを調節する。
以上が、第四実施形態のHUD装置1における制御構成であるが、つづいて、第四実施形態におけるHUD装置1の温度制御動作について
図12乃至15を用いて説明する。
【0087】
(第四実施形態におけるHUD装置1の温度制御動作)
図12は、HUD装置1を、起動開始時間を時間t0とした際のレーザ光源11と、ペルチェ素子14と、走査部30と、減光部22との時間推移を説明した図である。総合制御部500は、時間t0において、温度検出手段16により検出された検出温度Tが、予め記憶された第一温度T1(−10℃)より低い場合、LD駆動手段101に対して、自己発熱LD制御データを出力し、LD駆動手段101は、レーザ光源11を自己発熱駆動させる。この自己発熱駆動は、レーザ光源11に直流電流を流すことにより自己発熱させる。また、このようにレーザ光源11を自己発熱駆動させている際、総合制御部500は、ペルチェ素子14に電流を流すことによりレーザ光源11に接続された面を発熱させ、レーザ光源11の昇温を補助する。また、走査部30は、レーザ光源11が自己発熱駆動している間、合成レーザ光RGBを所定の周期でスクリーン40へ走査する昇温時走査を行う。しかしながら、前述したように、起動時において走査部30が安定的な走査ができるまで、時間がかかってしまうため、この間、減光部22は、レーザ光RGBを減光する昇温時減光を行う。
【0088】
図13は、経過時間tに対する減光部22の減光率Pの推移(
図13の実線)と、経過時間tに対する走査部30の走査可能範囲Qの推移(
図13の点線)とを示す図である。走査部30の走査可能範囲Qは、起動時(時間t0)から徐々に増加していき、時間txには通常走査における広さだけ走査できるようになる。この際、走査部30は、まず水平走査駆動が可能になり、その後、垂直走査駆動が徐々に広範囲で可能になり、これらの結果、走査部30の走査可能範囲Qが広がっていく。この走査部30の走査可能範囲Qが小さいほど、スクリーン40は焼きつきやすく、走査可能範囲Qが大きいほど、スクリーン40は焼きつきにくくなる。
【0089】
起動スイッチがONされた(時間t0)後、総合制御部500は、減光部制御手段600へ、最大減光率Pmの輝度調整データを送る。減光部22はノーマリーブラックの特性を有しているため、最大減光率Pmの輝度調整データは無電圧パルス波形である。その後、総合制御部500が走査制御部200からのフィードバックデータより、走査部30が安定走査となった(tx)ことを判断した後、総合制御部500は、車両ECUからの輝度情報を基に、任意の(要求)輝度調整データPnを減光部制御手段600へ送り、減光部22を制御する(
図13参照)。このように、液晶素子22がノーマリーブラックモードであるので、起動直後からレーザ光を確実に減光させることができる。走査部30が安定走査をしたかの判定は、上記のように走査制御部200からのフィードバックデータより判定するのではなく、安定走査までにかかると予想される時間txを予めメモリに記憶しておき、その所定時間(tx)が経過するまで減光部22に昇温時減光をさせるようにしてもよい。
【0090】
図14は、経過時間tに対するスクリーン40の損傷危険因子Dの推移(
図14の実線)と、経過時間tに対する走査部30の走査可能範囲Qの推移(
図14の点線)とを示す図である。スクリーン40の損傷危険因子Dは、走査部30の走査可能範囲Qにより変化し、走査部30の走査可能範囲Qが狭いほど、スクリーン40は焼きつきやすく(損傷危険因子Dが大きくなる)、走査可能範囲Qが広いほど、スクリーン40は焼きつきにくくなる(損傷危険因子Dが小さくなる)。具体的には、損傷危険因子Dは、走査部30の走査可能範囲Qと反比例の関係をもつ。よって、減光部22の減光率Pを、
図15に示すように、この走査可能範囲Qの増加(損傷危険因子Dの減少)に反比例させた形で漸減させるように制御してもよい。
【0091】
また、減光部22は、レーザ光源11各々に配設され、自己発熱駆動範囲がLD各々異なる場合、自己発熱駆動を行っているレーザ光源11と対となる減光部22のみ昇温時減光を行うこととしても良い。
【0092】
本発明のHUD装置1において、上記のような温度検出手段16により温度検出を行い、低温時にレーザ光源11を自己発熱駆動させるか否かの制御は、HUD装置1の起動時に行われる。HUD装置1は、車両の起動スイッチ(イグニッション(以下IGN)もしくはアクセサリー(以下ACC)もしくはキー開錠)のオンにより起動され、温度検出手段16にて検出温度Tを検出し、検出温度Tに基づき、必要に応じて温度制御動作を行う。総合制御部500は、レーザ光源11の通常駆動を開始した場合、その後の温度制御動作はペルチェ素子14にて行い、検出温度Tが第二温度T2以下にならないようにペルチェ素子14は駆動され、レーザ光源11の通常駆動を中止して自己発熱駆動を行うようなことはしないことが望ましい。斯かる構成により、HUD装置1が表示画像Mを表示している際に、レーザ光源11が自己発熱駆動により車両運転者3が予期しない(自己発熱駆動による)表示が行われるのを防ぐことができる。
【0093】
また、総合制御部500は、温度検出手段16によって検出される検出温度Tが第一温度T1を超えるまでレーザ光源11に自己発熱駆動させるのではなく、予めメモリに記憶しておいた所定の時間だけ自己発熱駆動させ、その後に通常駆動させるものであってもよい。また、自己発熱駆動を行う所定の時間を、メモリに複数記憶しておき、始めの検出温度Tに基づいて、自己発熱駆動を行う所定の時間を決定してもよい。
また、カラーセンサ20やフォトセンサ50により検出される光強度が所定の値に達することにより、レーザ光源11が昇温したことを推測し、自己発熱駆動を停止する構成としてもよい。
【0094】
また、走査部30の走査可能な領域のスクリーン40上に耐熱超合金やセラミック等の超高温耐熱材料である耐レーザ部材をさらに備え、前記走査部駆動手段201は、レーザ光源11が自己発熱駆動を行う間、走査部30により合成レーザ光RGBを耐レーザ部材に照射してもよい。斯かる構成により、スクリーン40の焼付き・破損を防止することができ、特にスクリーン40上の非表示エリア40b(
図3もしくは
図9)に耐レーザ部材を備え、自己発熱駆動時の合成レーザ光RGBを耐レーザ部材に照射することにより、凹面ミラー70を不可視方向に調整することなく、外部に不要な表示光Lが射出されないようにすることができる。また、走査部30の走査可能な領域のスクリーン40上に耐レーザ部材を複数個所に設け、所定の周期で合成レーザ光RGBを照射する耐レーザ部材を切り替えてもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、画像を生成する空間光変調素子として、走査部30(MEMSミラー)を用いたが、これには限定されない。本発明におけるHUD装置1は、TFT(Thin Film Transistor)、LCOS(登録商標:Liquid Crystal On Silicon)、DMD(Digital Micromirror Device)等の空間光変調素子と、赤色光を出射する赤色レーザ光源11a、緑色光を出射する緑色レーザ光源11b及び青色光を出射する青色レーザ光源11cと、により画像を生成するものであってもよい。