(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202391
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】熱交換器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20170914BHJP
F28F 9/18 20060101ALI20170914BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20170914BHJP
F24H 9/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
F28F9/02 301A
F28F9/18
F28D1/047 A
F24H9/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-267842(P2013-267842)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-124907(P2015-124907A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】辻 佑太
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 秀行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 一幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正人
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 吉伸
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−27363(JP,A)
【文献】
実開昭55−34164(JP,U)
【文献】
実開平2−147688(JP,U)
【文献】
特開2012−2464(JP,A)
【文献】
特開2009−162461(JP,A)
【文献】
特開2006−57475(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0018135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/04 − 1/047
F28F 9/00 − 9/26
F24H 9/00 − 9/20
B23K 101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝熱管を内部に収容するケースと、前記複数の伝熱管への入水用または出湯用のヘッダと、を備えており、
前記ケースの側壁部には、前記ケースの外方に向けて膨出する筒状の周壁部およびこの周壁部の先端部を塞ぐ先端壁部を有する膨出部が形成されている、熱交換器であって、
前記複数の伝熱管の端部は、前記膨出部の先端壁部に形成された貫通孔に挿入されて前記先端壁部に接合されており、
前記ヘッダは、前記膨出部に対応した開口部を形成する開口縁部を有する内部空洞状の本体部を有し、前記開口縁部が前記周壁部に外嵌されていることにより、前記ヘッダの前記開口部が前記先端壁部によって塞がれ、前記ヘッダの内部には、前記複数の伝熱管の内部に連通するチャンバが形成されており、
前記ヘッダを前記側壁部に接合する手段として、前記ヘッダの開口縁部の内周面先端部を断面凸状の第1の曲面部に形成するとともに、前記膨出部の周壁部の外面には、断面凹状の第2の曲面部を形成しておき、かつ前記第1および第2の曲面部を互いに面接触させた状態で、この面接触部分およびその周辺領域に溶接を施す手段が用いられていることを特徴とする、熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記第1の曲面部は、前記ヘッダの開口縁部を外方に曲げることにより形成されている、熱交換器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱交換器であって、
前記第2の曲面部は、前記膨出部の周壁部のうち、この周壁部の突出高さの中間位置に形成され、前記周壁部は、前記第2の曲面部よりも前記側壁部の非膨出部寄りに位置して前記ヘッダの開口縁部との嵌合が回避された基部を有している、熱交換器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の熱交換器であって、
前記第2の曲面部は、前記膨出部の周壁部と前記側壁部の非膨出部とが交差して繋がった境界部分に形成されている、熱交換器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の熱交換器を製造するための方法であって、
複数の伝熱管と、
これら複数の伝熱管を収容するためのケースの一部を構成し、かつ前記ケースの外方に向けて膨出する筒状の周壁部およびこの周壁部の先端部を塞ぐ先端壁部を有する膨出部が形成されているケースの側壁部と、
前記膨出部に対応した開口部を形成する開口縁部を有する内部空洞状のヘッダと、
を準備するとともに、
前記ヘッダの開口縁部の内周面先端部を、断面凸状の第1の曲面部に形成しておく一方、前記膨出部の周壁部の外面には、断面凹状の第2の曲面部を予め形成しておき、
前記膨出部の先端壁部に複数の伝熱管を貫通させ、かつこれら複数の伝熱管を前記膨出部に溶接する第1の工程と、
この第1の工程の後に、前記膨出部の周壁部に前記ヘッダの開口縁部を外嵌させるとともに、前記第1および第2の曲面部を互いに面接触させて、この面接触部分およびその周辺領域に溶接を施して、前記ヘッダを前記側壁部に接合する第2の工程と、
を有していることを特徴とする、熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の伝熱管がケース内に収容されたタイプの熱交換器、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、この種の熱交換器の一例として、特許文献1に記載のものを先に提案している。
同文献に記載の熱交換器は、複数の伝熱管を収容するケースの側壁部の一部をケースの外方に膨出させており、この膨出部を入水用または出湯用のヘッダとして構成している。前記膨出部をヘッダとするための具体的な手段として、複数の伝熱管の端部が貫通するように設定された補助部材を利用し、この補助部材を前記膨出部の内側に接合することによって、前記膨出部の内部と前記ケースの内部との間を仕切っている。
このような構成によれば、ヘッダがケースの側壁部に一体化して設けられているために、部品点数の少数化や全体の小型化を図ることが可能である。また、前記膨出部は、ケースの外方に向けて膨出しているために、たとえば特許文献2とは異なり、ケース内のスペースが狭くなって、伝熱管の配置に大きな制約を受けるといった不具合も回避することができる。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次のように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、前記膨出部の内側には、補助部材を接合する必要があるが、その接合箇所は、ケースの内側に位置することとなる。したがって、前記の箇所の接合手段として、溶接を用いることは難しく、ロウ付けする必要が生じる。ところが、ロウ付けを行なうには、真空炉などの大掛りな設備が必要であるため、その設備コストが高くなる結果、熱交換器の製造コストも高くなる不具合を生じる。また、ケースの内側部分においてロウ付けを行なったのでは、ロウ付けが適正であるか否かの検査も難しいものとなる。したがって、品質管理の面でやや難点がある。
なお、従来においては、特許文献1とは異なり、溶接手段を利用して製造可能な熱交換器は存在するものの、そのような熱交換器は、部品点数が多く、構造が複雑なものとなっている場合が多い。このため、その製造コストはやはり高価なものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−2464号公報
【特許文献2】特開2009−162461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、部品点数の少数化や構成の簡易化などを適切に図りながらも、容易かつ低コストに製造することが可能な熱交換器、およびその製造方法を提供することを、課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面により提供される熱交換器は、複数の伝熱管を内部に収容するケースと、前記複数の伝熱管への入水用または出湯用のヘッダと、を備えており、前記ケース
の側壁部には、前記ケースの外方に向けて膨出する筒状の周壁部およびこの周壁部の先端部を塞ぐ先端壁部を有する膨出部が形成されている、熱交換器であって、前記複数の伝熱管の端部は、前記膨出部の先端壁部に形成された貫通孔に挿入されて前記先端壁部に接合されており、前記ヘッダは、前記膨出部に対応した開口部を形成する開口縁部を有する内部空洞状の本体部を有し、前記開口縁部が前記周壁部に外嵌されていることにより、前記ヘッダの前記開口部が前記先端壁部によって塞がれ、前記ヘッダの内部には、前記複数の伝熱管の内部に連通するチャンバが形成されており、前記ヘッダを前記側壁部に接合する手段として、前記ヘッダの開口縁部の内周面先端部を断面凸状の第1の曲面部に形成するとともに、前記膨出部の周壁部の外面には、断面凹状の第2の曲面部を形成しておき、かつ前記第1および第2の曲面部を互いに面接触させた状態で、この面接触部分およびその周辺領域に溶接を施す手段が用いられていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、複数の伝熱管をケースの側壁部の膨出部に接合する作業は、ケースの外部において行なうことができ、その接合手段としては、溶接を適用することができる。加えて、前記膨出部に嵌合させたヘッダをケースの側壁部に接合する作業は、溶接により行なわれ、しかもこの溶接はケースの外部において行なうことができる。したがって、ロウ付け用の大掛りな設備をもたないメーカなどであっても、本発明に係る熱交換器を容易かつ廉価に製造することが可能となる。
第2に、本発明によれば、熱交換器全体の部品点数が少なく、全体の構成を簡素にすることができる。また、膨出部へのヘッダの組み付け方式として、嵌合方式を採用しているために、組み立て作業性もよい。したがって、熱交換器の製造コストをより低減することが可能である。
第3に、ヘッダをケースの側壁部に溶接する手段としては、ヘッダの開口縁部の内周面先端部に形成された断面凸状の第1の曲面部と、膨出部の周壁部の外面に形成された断面凹状の第2の曲面部とを互いに面接触させ、かつこの面接触部分およびその周辺領域に溶接を施す手段が用いられているために、溶接対象部位に不当な隙間を生じないようにし、たとえば溶接時に溶け落ちなどの溶接不良を生じないようにすることができる。したがって、溶接部分の品質を高めてその強度も高いものとすることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記第1の曲面部は、前記ヘッダの開口縁部を外方に曲げることにより形成されている。
【0011】
このような構成によれば、ヘッダの開口縁部の内周面先端部に、断面凸状の第1の曲面部を寸法精度よく適切に形成することが容易となる。また、曲げられた部分(フランジ部)を残存させておけば、この部分を溶接時における溶加棒として利用することも可能となる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記第2の曲面部は、前記膨出部の周壁部のうち、この周壁部の突出高さの中間位置に形成され、前記周壁部は、前記第2の曲面部よりも前記側壁部の非膨出部寄りに位置して前記ヘッダの開口縁部との嵌合が回避された基部を有している。
【0013】
このような構成によれば、ヘッダの開口縁部を膨出部の周壁部の突出高さの途中位置に溶接することとなるために、ヘッダの開口縁部をケースの側壁部の非膨出部に溶接する場合と比較すると、ヘッダと膨出部とを溶接する際の溶接方向を、ヘッダと膨出部との嵌合方向に対して大きな傾斜角度で交差する方向に設定することが容易に実現できる。熱交換器に接続された配管経路においてウォータハンマが生じた場合には、ヘッダ内のチャンバ圧が急激に上昇し、ヘッダと膨出部とをこれらの嵌合方向とは反対方向に相対移動させようとする大きな力が発生するが、前記した溶接方向の溶接部分は、そのような力に対して
高い強度を発揮するものとなる(前記の力は溶接部分に対する剪断力として作用するが、溶接を剥離させる方向の力としては殆ど作用しない)。したがって、溶接部分の強度を高くし、熱交換器の耐久性を高める上でより好ましいものとなる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記第2の曲面部は、前記膨出部の周壁部と前記側壁部の非膨出部とが交差して繋がった境界部分に形成されている。
【0015】
このような構成によれば、膨出部の形状を簡素とし、製造コストを廉価にする上で、より好ましいものとすることができる。
【0016】
本発明の第2の側面により提供される熱交換器の製造方法は、本発明の第1の側面により提供される熱交換器を製造するための方法であって、複数の伝熱管と、これら複数の伝熱管を収容するためのケースの一部を構成し、かつ前記ケースの外方に向けて膨出する筒状の周壁部およびこの周壁部の先端部を塞ぐ先端壁部を有する膨出部が形成されているケースの側壁部と、前記膨出部に対応した開口部を形成する開口縁部を有する内部空洞状のヘッダと、を準備するとともに、前記ヘッダの開口縁部の内周面先端部を、断面凸状の第1の曲面部に形成しておく一方、前記膨出部の周壁部の外面には、断面凹状の第2の曲面部を予め形成しておき、前記膨出部の先端壁部に複数の伝熱管を貫通させ、かつこれら複数の伝熱管を前記膨出部に溶接する第1の工程と、この第1の工程の後に、前記膨出部の周壁部に前記ヘッダの開口縁部を外嵌させるとともに、前記第1および第2の曲面部を互いに面接触させて、この面接触部分およびその周辺領域に溶接を施して、前記ヘッダを前記側壁部に接合する第2の工程と、を有していることを特徴としていることを特徴としている。
このような構成によれば、本発明が意図する熱交換器を容易かつ適切に製造することができる。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る熱交換器の一例を示す外嵌斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1のIIa−IIa断面図であり、(b)は、(a)のIIb−IIb断面図である。
【
図3】(a)は、
図2(b)の要部拡大断面図であり、(b)は、(a)の要部平面断面図であり、(c)は、(a)の要部拡大断面図であり、(d)は、(c)の構造において溶接を施した後の一例を示す要部拡大断面図である。
【
図4】(a)は、
図3(a)の分解断面図であり、(b)は、
図3(b)の分解断面図である。
【
図5】(a)〜(c)は、
図1に示す熱交換器のヘッダの製造工程を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1および
図2に示す熱交換器HEは、たとえばガスバーナなどのバーナ(図示略)によって発生された燃焼ガスから熱回収を行なって湯水加熱を行なう用途に好適なものであり、たとえば給湯装置の潜熱回収用の熱交換器として利用される。
この熱交換器HEは、ケース2と、このケース2内に収容された複数の伝熱管1と、これら複数の伝熱管1の下端部および上端部に繋がった入水用および出湯用の一対のヘッダ
3(3A,3B)とを具備している。
【0021】
複数の伝熱管1は、平面視長円状の複数の螺旋状管体を利用して構成されている。これら複数の螺旋状管体は、互いにサイズが異なっており、略同心の重ね巻き状に配されている。各伝熱管1の下部および上部は、略水平に延びる直状管体部10a,10bとされている。
図2(b)においては、ケース2内のうち、伝熱管1の上方および下方の隙間が大きく示されているが、好ましくは、これらの隙間はできる限り小さくされる。前記隙間を小さくするための手段としては、たとえば上壁部20aおよび下壁部20bに、伝熱管1に向けて突出する段部(図示略)を形成する手段を用いることができる。
【0022】
ケース2は、略直方体状であり、このケース2の本体部20(矩形筒状の胴体部)に加え、一対の側壁部21,21aを有している。本体部20および側壁部21,21aのそれぞれは、たとえばステンレスなどの金属板を用いて構成されている。ケース2の後壁部20cおよび前壁部20dには、燃焼ガス用の給気口25および排気口26が設けられている。給気口25からケース2内に流入した燃焼ガスは複数の伝熱管1の隙間を通過した後に排気口26に到達するが、この過程において前記燃焼ガスから各伝熱管1により熱回収がなされ、各伝熱管1内を流通する湯水が加熱される。
【0023】
ケース2の側壁部21には、2つの膨出部22が形成されている。各膨出部22は、側壁部21にプレス加工を施すことにより形成されたものであり、
図3によく表われているように、ケース2の外方に向けて膨出する筒状の周壁部22a、およびこの周壁部の先端部を塞ぐ先端壁部22bを有している。複数の伝熱管1は、先端壁部22bに設けられた複数の貫通孔22cに挿入され、かつ先端壁部22bに溶接されている。各伝熱管1の端部が、先端壁部22bを貫通してケース2の外部に引き出された状態(図示された状態)において、各伝熱管1の端部に溶接を施すと、この端部は溶加棒の代わりに溶融され、先端壁部22bと略面一状(この状態は図示略)となる。
【0024】
図3(c)によく表われているように、膨出部22の筒状の周壁部22aは、ヘッダ3の後述する開口縁部33が外嵌される嵌合部22a'、およびこの嵌合部22a'よりも側壁部21の非膨出部(膨出部22が形成されていない側壁部21の一般部分)寄りに位置する基部22a"を有している。嵌合部22a'は、後述する第1の曲面部33aと面接触させるための所定の曲率半径Raをもつ断面凹状の第2の曲面部23aと、外径が略一定の筒状部23bとを有している。
【0025】
ヘッダ3は、側壁部21とは別部材を用いて構成されており、
図3および
図4によく表われているように、膨出部22に対応した開口部32を形成する開口縁部33を前面側に有する内部空洞状の本体部30と、この本体部30の後面側に連結された継手用管体部31とを有している。開口縁部33の外周には、開口縁部の外方に向けて短寸で突出したフランジ部34が一体的に形成されており、開口縁部33の内周面先端部には、断面凸状の第1の曲面部33aが形成されている。この第1の曲面部33aの曲率半径は、第2の曲面部23aの曲率半径Raと略同一である。
【0026】
ヘッダ3の開口縁部33は、膨出部22の周壁部22aの嵌合部22a'に外嵌されている。この外嵌は、第1および第2の曲面部33a,23aが面接触するようにしてなされている。この面接触部分およびその周縁領域には、ヘッダ3と側壁部21とを接合するための溶接が施される。この溶接により、ヘッダ3と側壁部21とは、たとえば
図3(d)に示すように、溶接部Waを介して接合される。
ヘッダ3が前記のようにして膨出部22に接合されている結果、ヘッダ3の開口部32は、膨出部22の先端壁部22bによって塞がれる。このことにより、ヘッダ3内のうち、先端壁部22bよりもケース2の外方側の領域は、各伝熱管1の内部に連通した湯水流
通用のチャンバ36となっている。
【0027】
前記した熱交換器HEは、たとえば次のような方法で製造される。
【0028】
まず、前記した構成の複数の伝熱管1、ケース2、およびヘッダ3を準備する。
ヘッダ3の本体部30については、たとえば
図5に示すような工程で製造する。すなわち、同図(a)に示すように、まず原材料となる平板状の金属板Pに対し、深絞り加工を施す。このことにより、同図(b)に示すように、平板部34Aに繋がったヘッダ中間品30’を形成する。その後、同図の仮想線L1の位置で平板部34Aを打ち抜く。すると、同図(c)に示すように、短寸のフランジ部34を有するヘッダ3の本体部30を製造することができる。この本体部30に、継手用管体部31を溶接することにより、ヘッダ3が完成する。
【0029】
熱交換器HEを組み立てるには、
図4に示すように、まずケース2の側壁部21の膨出部22に複数の伝熱管1を貫通させ、側壁部21の外方に各伝熱管1の端部を引き出す。その後、各伝熱管1のうち、先端壁部22bに隣接する部分の全周を先端壁部22bに溶接する。この溶接は、符号W1で示すように、側壁部21の外方(ケース2の外方)において行なうことができる。既述したように、その際には、伝熱管1の端部を溶加棒として利用可能である。
【0030】
次いで、ヘッダ3の開口縁部33を、膨出部22の周壁部22aに外嵌し、第1および第2の曲面部33a,23aを面接触させる。その後は、
図3に示すように、たとえばTIG溶接トーチ9を利用し、開口縁部33の全周を周壁部22aにTIG溶接する。この溶接も、ケース2の外方において行なうことができる。前記した一連の作業は、側壁部21をケース2の本体部20に接合していない状態で行なうことが可能であり、側壁部21にヘッダ3を溶接した後に、複数の伝熱管1をケース2の本体部20内に収容させるようにして側壁部21を本体部20の側部に組み付ければよい。この組み付けに際しては、本体部20に形成されている側部開口に側壁部21を嵌入し、この嵌合部分に溶接を施せばよい。もちろん、これとは異なり、側壁部21を本体部20に組み付けた後に、この側壁部21の膨出部22にヘッダ3を組み付けるといった作業順序にすることもできる。
【0031】
本実施形態によれば、次のような作用が得られる。
【0032】
まず、既述したように、熱交換器HEを組み立てて製造する際の各構成部材どうしの接合は溶接手段を用いて簡単に行なうことができる。よって、ロウ付け用の設備は不要とすることができる。また、溶接箇所は、ケース2の外方位置とすることが可能であるため、溶接後において、その接合が適正でるか否かの確認も容易となる。一方、熱交換器HEの部品点数は少なく、全体の構成は簡素である。膨出部22に対するヘッダ3の組み付けは、嵌合方式を採用しているために、組み立て作業性もよい。このようなことから、熱交換器HEの製造コストを低減することができる。
【0033】
ヘッダ3を膨出部22の周壁部22aに外嵌させた状態においては、第1および第2の曲面部33a,23aを面接触させているために、これらの間に隙間がない状態、あるいは殆どない状態に設定することができる。第1および第2の曲面部33a,23aは、プレス加工によって形成されているために、寸法精度が高い部分とすることができる。したがって、前記した隙間を無くす上で、より好ましいものとなる。溶接対象となる2部材間に比較的大きな隙間が生じていると、溶接時に溶け落ちなどの溶接不良を生じる虞があるが、本実施形態によれば、そのような虞を無くし、品質がよく、かつ高強度の溶接部が得られることとなる。フランジ部34は、TIG溶接を施す際の溶加棒として利用することができるために、溶接部Waが薄肉部に仕上がるといった不具合も好適に防止される。
【0034】
ヘッダ3の開口縁部33は、膨出部22の周壁部22aの突出高さの中間部分に溶接されるために、
図3(d)に示す溶接部Waの溶接方向(開口縁部33と周壁部22aとの接合方向)は、たとえば矢印N1に示す方向またはこれに近い方向となる。これに対し、熱交換器HEのヘッダ3が接続されている湯水配管経路(図示略)においてウォータハンマが発生し、チャンバ36の水圧が上昇した際には、ヘッダ3および膨出部22に、
図3(d)に示すような方向の力F1が発生する。溶接部Waの溶接方向は、前記した力F1の方向に対して交差する方向(剪断力となる方向)であるため、力F1に対する強度は高いものとなる。したがって、熱交換器HEの耐久性能にも優れたものとすることができる。
【0035】
膨出部22とヘッダ3との溶接箇所は、側壁部21の非膨出部から適当な距離だけ離間した位置となるため、
図3(a),(b)に示すように、溶接ジグ9と側壁部21との不当な干渉を生じないようにして、溶接ジグ9の傾斜角度αを大きな角度に設定することも容易である。また、溶接の熱が側壁部21の非膨出部に伝達することも抑制し、側壁部21に歪みが生じるといった不具合を回避する上でも好ましいものとなる。
【0036】
図6は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0037】
図6に示す実施形態においては、第2の曲面部23aが、膨出部22の周壁部22aのうち、最も基端寄りに位置し、側壁部21の非膨出部の外面に繋がった状態に形成されている。
本実施形態においては、前記実施形態において設けられていた基部22a"が設けられていないために、その分だけ膨出部22の形状が簡素化されている。したがって、製造コストを廉価にする上でより好ましい。なお、本実施形態の場合には、符号n1で示す部分において、ヘッダ3の一部を側壁部21に対して溶接することとなるが、この部分の溶接は、チャンバ36の圧力が上昇した際に発生する力F1と略同方向の溶接となり、力F1に対する強度がやや弱いものと虞がある。したがって、溶接強度の信頼性を高める観点からすると、前記実施形態の構造(膨出部22の周壁部22aの高さ方向の中間部分において溶接を施す構造)を採用することがより好ましい。ただし、本実施形態においても、実用に十分に耐え得る強度の溶接を施すことが可能である。
【0038】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る熱交換器の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内で種々に設計変更自在である。また、本発明に係る熱交換器の製造方法の各工程の具体的な構成も、種々に変更自在である。
【0039】
本発明でいう膨出部は、ケースの側壁部からケース外方に向けて膨出する筒状の周壁部と、この周壁部の先端部を塞ぐ先端壁部とを有する形態であればよく、その具体的な膨出寸法などは限定されない。伝熱管は、螺旋状管体を利用したものでなくてもよく、これ以外の種々の伝熱管(たとえば、直状管、U字管、蛇行状のフレキシブル管など)を用いることができる。
【0040】
ヘッダ3については、フランジ部34を具備しない構成とすることもできる。たとえば、フッダの開口縁部を外方に曲げることによって第1の曲面部を形成した後に、その際に形成されたフランジ部をヘッダから取り除き、この状態のヘッダをケースの側壁部に溶接するようにしてもかまわない。TIG溶接とは異なり、たとえばMIG溶接においては、消耗電極を用いるために、フランジ部を溶加棒として用いる必要はない。
【0041】
本発明においては、熱交換器に複数のヘッダが設けられる場合に、これら複数のヘッダ
の全てが本発明の意図する構成とされることが好ましいものの、やはりこれに限定されない。たとえば複数のヘッダのうち、一部のヘッダのみが本発明の意図する構成とされ、これ以外の他のヘッダが本発明の意図する構成ではない場合であっても、本発明の技術的範囲に包摂される。ケース内に流入される熱交換対象媒体としては、燃焼ガス以外の流体とすることができる。本発明に係る熱交換器は、潜熱回収用に限らないことは勿論のこと、湯水加熱用途以外の種々の用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
HE 熱交換器
1 伝熱管
2 ケース
3(3A,3B) ヘッダ
21 側壁部(ケースの)
22 膨出部
22a 周壁部(膨出部の)
22b 先端壁部(膨出部の)
22c 貫通孔
23a 第2の曲面部
32 開口部(ヘッダの)
33 開口縁部(ヘッダの)
33a 第1の曲面部
34 フランジ部(ヘッダの)