特許第6202398号(P6202398)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6202398データ管理装置、データ管理方法、及びデータ管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202398
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】データ管理装置、データ管理方法、及びデータ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20170914BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20170914BHJP
【FI】
   G06F12/00 545F
   G06F12/00 533J
   G06F21/62
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-196455(P2014-196455)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2016-71393(P2016-71393A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】501028596
【氏名又は名称】横河レンタ・リース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 太輔
(72)【発明者】
【氏名】落合 竜一
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−008813(JP,A)
【文献】 特開2013−182292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G06F 21/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザデータの管理を行うデータ管理装置において、
ユーザデータの保存先に設定された仮想的な1次ドライブと、
前記1次ドライブに保存されるユーザデータを、前記1次ドライブに保存させることなく、内部に設けられた揮発性の第1記憶装置と、ネットワークに設けられた第2記憶装置との何れか一方の記憶装置である2次ドライブに転送する転送部と
ユーザによって操作される操作プレートを表示する表示装置と、
前記操作プレートに設けられた切替ボタンの操作内容に基づいて、前記2次ドライブを、前記第1記憶装置にするのか、或いは前記第2記憶装置にするのかを切り替える制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第2記憶装置に記憶されたユーザデータを前記操作プレートに移動させる操作がなされた場合には、該操作がなされたユーザデータを前記第1記憶装置にコピーする処理を、前記転送部に行わせる
ことを特徴とするデータ管理装置。
【請求項2】
前記操作プレートには、前記切替ボタンとともに同期ボタンが設けられており、
前記制御部は、前記操作プレートに移動させる前記操作がなされたユーザデータの内容が変更された後に前記同期ボタンが押下された場合には、内容の変更がされたユーザデータを前記第2記憶装置に記憶させる処理を前記転送部に行わせることを特徴とする請求項1記載のデータ管理装置。
【請求項3】
ユーザデータの管理を行うデータ管理方法であって、
ユーザデータの保存先に設定された仮想的な1次ドライブに保存されるユーザデータを、前記1次ドライブに保存させることなく、データ管理装置の内部に設けられた揮発性の第1記憶装置と、ネットワークに設けられた第2記憶装置との何れか一方の記憶装置である2次ドライブに転送し、
ユーザによって操作される操作プレートを前記データ管理装置の表示装置に表示し、
前記操作プレートに設けられた切替ボタンの操作内容に基づいて、前記2次ドライブを、前記第1記憶装置にするのか、或いは前記第2記憶装置にするのかを切り替え、
前記第2記憶装置に記憶されたユーザデータを前記操作プレートに移動させる操作がなされた場合には、該操作がなされたユーザデータを前記第1記憶装置にコピーする処理を行う
ことを特徴とするデータ管理方法。
【請求項4】
コンピュータを、ユーザデータの管理を行うデータ管理装置として機能させるデータ管理プログラムであって、
前記コンピュータを、ユーザデータの保存先に設定された仮想的な1次ドライブと、
前記1次ドライブに保存されるユーザデータを、前記1次ドライブに保存させることなく、内部に設けられた揮発性の第1記憶装置と、ネットワークに設けられた第2記憶装置との何れか一方の記憶装置である2次ドライブに転送する転送手段と
ユーザによって操作される操作プレートを表示する表示手段と、
前記操作プレートに設けられた切替ボタンの操作内容に基づいて、前記2次ドライブを、前記第1記憶装置にするのか、或いは前記第2記憶装置にするのかを切り替え、前記第2記憶装置に記憶されたユーザデータを前記操作プレートに移動させる操作がなされた場合には、該操作がなされたユーザデータを前記第1記憶装置にコピーする処理を、前記転送手段に行わせる制御手段と
して機能させることを特徴とするデータ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザデータの管理を行うデータ管理装置、データ管理方法、及びデータ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザデータは、コンピュータの型(デスクトップ型、ノート型、タブレット型)に拘わらず、コンピュータの内部に設けられたHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等の二次記憶装置に保存されるのが一般的である。ここで、ユーザデータとは、ユーザがアプリケーションを用いて作成又は編集するデータをいい、アプリケーションによって自動的に作成されるアプリデータとは異なる。尚、ユーザデータとしては、例えばドキュメントデータ、音楽データ、画像データ、動画データ等が挙げられる。
【0003】
コンピュータの二次記憶装置に保存されているユーザデータは、コンピュータが盗難、紛失等されると、第三者に漏洩してしまい、或いは消去されてしまう危険性がある。このような危険性を排除するために、近年のコンピュータには、二次記憶装置に書き込まれるデータを、二次記憶装置には書き込まずに、予め指定された転送先(例えば、ネットワークに接続されたファイルサーバ)に転送する機能(リダイレクト機能)が設けられている。尚、このリダイレクト機能は、正確にはコンピュータのオペレーティングシステム(OS)に設けられており、転送はフォルダ単位で行うことができる。
【0004】
以下の特許文献1には、二次記憶装置への書き込み禁止により機密データの漏洩・紛失を防止し、機密データをサーバに自動収集する技術が開示されている。具体的に、以下の特許文献1では、二次記憶装置への書き込みに対して、コンピュータのメモリを一次キャッシュとし、ネットワークに接続されたキャッシュサーバを二次キャッシュとして書き込みをリダイレクトしている。これにより、二次記憶装置への書き込みが行われることなく、差分データがキャッシュサーバに自動的に収集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−8813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したリダイレクト機能によるデータの転送先がネットワークに接続されたファイルサーバ等に設定されている場合に、ネットワークが利用できない状態(オフライン)になると、ユーザデータを転送先に転送することができなくなる。このような状態になった場合の対処としては以下の2つが挙げられる。
【0007】
(1)オフラインキャッシュを使用する
コンピュータに設けられた二次記憶装置に、転送先に転送することができなくなったユーザデータを一時的に記憶(キャッシュ)する。
(2)転送の設定がなされているフォルダを使用不可にする
前述の通り、転送はフォルダ単位で行うことができるため、転送の設定がなされているフォルダに対するアクセスを不可とする。
【0008】
上記の対処(1)を行った場合には、ユーザデータが二次記憶装置にキャッシュされるため、ネットワークがオフラインであってもユーザデータを利用することができるという利点がある。しかしながら、一時的ではあってもユーザデータが二次記憶装置に保存されることに変わりはないため、ユーザデータの漏洩等の危険性を排除することができないという問題がある。
【0009】
これに対し、上記の対処(2)を行った場合には、ユーザデータが二次記憶装置に記憶されることはないため、対処(1)を行った場合の危険性が生ずることはない。しかしながら、転送先に転送することができなかったユーザデータのみならず、フォルダ自体にアクセスすることができなくなるため、システムやアプリケーションに深刻な影響が及んでしまい、動作が不安定になるという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ネットワークがオフラインであっても、動作が不安定になることなく正常にアプリケーションを動作させることが可能であり、ユーザデータの漏洩等を効果的に防止することができるデータ管理装置、データ管理方法、及びデータ管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のデータ管理装置は、ユーザデータの管理を行うデータ管理装置(1、2)において、ユーザデータの保存先に設定された仮想的な1次ドライブ(D1)と、前記1次ドライブに保存されるユーザデータを、前記1次ドライブに保存させることなく、内部に設けられた揮発性の第1記憶装置(D2)と、ネットワーク(N1、N2)に設けられた第2記憶装置(ND、CS)との何れか一方の記憶装置である2次ドライブに転送する転送部(21)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、ユーザデータの保存先に設定された仮想的な1次ドライブに保存されるユーザデータは、1次ドライブに保存されることなく、内部に設けられた揮発性の第1記憶装置と、ネットワークに設けられた第2記憶装置との何れか一方の記憶装置である2次ドライブに転送される。
また、本発明のデータ管理装置は、ユーザによって操作される操作プレート(P)を表示する表示装置(12)と、前記操作プレートに設けられた切替ボタン(B1)の操作内容に基づいて、前記2次ドライブを、前記第1記憶装置にするのか、或いは前記第2記憶装置にするのかを切り替える制御部(24)とを備えることを特徴としている。
また、本発明のデータ管理装置は、前記制御部が、前記第2記憶装置に記憶されたユーザデータを前記操作プレートに移動させる操作がなされた場合には、該操作がなされたユーザデータを前記第1記憶装置にコピーする処理を、前記転送部に行わせることを特徴としている。
また、本発明のデータ管理装置は、前記操作プレートには、前記切替ボタンとともに同期ボタン(B2)が設けられており、前記制御部が、前記操作プレートに移動させる前記操作がなされたユーザデータの内容が変更された後に前記同期ボタンが押下された場合には、内容の変更がされたユーザデータを前記第2記憶装置に記憶させる処理を前記転送部に行わせることを特徴としている。
本発明のデータ管理方法は、ユーザデータの管理を行うデータ管理方法であって、ユーザデータの保存先に設定された仮想的な1次ドライブ(D1)に保存されるユーザデータを、前記1次ドライブに保存させることなく、データ管理装置(1、2)の内部に設けられた揮発性の第1記憶装置(D2)と、ネットワーク(N1、N2)に設けられた第2記憶装置(ND、CS)との何れか一方の記憶装置である2次ドライブに転送することを特徴としている。
本発明のデータ管理プログラムは、コンピュータを、ユーザデータの管理を行うデータ管理装置(1、2)として機能させるデータ管理プログラムであって、前記コンピュータを、ユーザデータの保存先に設定された仮想的な1次ドライブ(D1)と、前記1次ドライブに保存されるユーザデータを、前記1次ドライブに保存させることなく、内部に設けられた揮発性の第1記憶装置(D2)と、ネットワーク(N1、N2)に設けられた第2記憶装置(ND、CS)との何れか一方の記憶装置である2次ドライブに転送する転送手段(21)として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザデータの保存先に設定された仮想的な1次ドライブを設け、1次ドライブに保存されるユーザデータを、1次ドライブに保存させることなく、内部に設けられた揮発性の第1記憶装置と、ネットワークに設けられた第2記憶装置との何れか一方の記憶装置である2次ドライブに転送するようにしている。
これにより、ネットワークがオンラインであるかオフライであるかに拘わらずユーザデータの保存先である1次ドライブが常時存在しているため、動作が不安定になることなく正常にオペレーティングシステム等を動作させることができるという効果がある。
また、ネットワークがオンラインである場合には、ユーザデータはネットワークに設けられた2次ドライブとしての第2記憶装置に格納されて、データ管理装置1の内部には保存されない。他方、ネットワークがオフラインである場合には、ユーザデータはデータ管理装置に設けられた2次ドライブとしての揮発性の第1記憶装置に記憶されるものの、データ管理装置の電源遮断等によりユーザデータは消去される。これにより、ユーザデータの漏洩等を効果的に防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態によるデータ管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態によるデータ管理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態によるデータ管理装置に表示されるプレートの一例を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態によるデータ管理装置で行われる2次ドライブの切り替えを模式的に示す図である。
図5】本発明の第1実施形態によるデータ管理装置の起動時に行われる動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態によるデータ管理装置で行われるファイル操作の一例を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態によるデータ管理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるデータ管理装置、データ管理方法、及びデータ管理プログラムについて詳細に説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるデータ管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態のデータ管理装置1は、入力装置11、表示装置12、通信装置13、CPU(中央処理装置)14、光学ドライブ装置15、メモリ16、及びドライブ装置17を備えており、ネットワークN1に接続されて、ユーザがアプリケーションを用いて作成又は編集するデータ(ユーザデータ)の管理を行う。このようなデータ管理装置1は、例えばデスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータにより実現される。尚、ネットワークN1は、例えば企業内に敷設されたLAN(Local Area Network)である。
【0016】
入力装置11は、例えばキーボードやポインティングデバイス等を備えており、データ管理装置1を使用するユーザの操作に応じた指示をCPU14に入力する。表示装置12は、液晶表示装置等を備えており、CPU14から出力される各種情報を表示する。通信装置13は、ネットワークN1に接続されており、ネットワークN1を介してネットワークドライブND(第2記憶装置、2次ドライブ)と通信を行う。
【0017】
CPU14は、図1に示したブロックの各々を制御することにより、データ管理装置1の動作を統括して制御する。光学ドライブ装置15は、例えばCD−ROM又はDVD(登録商標)−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体Mに記録されているデータの読み出しを行う。尚、データ管理装置1の機能(詳細は後述する)は、記録媒体Mに記録されたプログラム(データ管理プログラム)を光学ドライブ装置15によって読み出してインストールすることによりソフトウェア的に実現される。
【0018】
メモリ16は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性を有する半導体メモリである。尚、メモリ16に記憶された各種データ(ユーザデータを含む)は、データ管理装置1がシャットダウン(電源遮断)され、再起動され、或いはログオフ等されると消去される。ドライブ装置17は、HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等の二次記憶装置である。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態によるデータ管理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。図2に示す通り、データ管理装置1は、仮想ハードディスク(VHD)D1(1次ドライブ)、RAMディスクD2(第1記憶装置、2次ドライブ)、ドライバ21(転送部、転送手段)、オペレーティングシステム(OS)22、アプリケーション23、制御アプリケーション24(制御部)を備える。尚、ドライバ21及び制御アプリケーション24は、データ管理装置1にインストールされたプログラム(データ管理プログラム)を、CPU14が実行することによって実現される。
【0020】
仮想ハードディスクD1は、データ管理装置1に設けられたドライブ装置17(図1参照)内に作成される仮想的な二次記憶装置である。この仮想ハードディスクD1は、ユーザデータ(例えば、アプリケーション23によって作成されるユーザデータ)の保存先に設定されている。尚、仮想ハードディスクD1は、ユーザデータの保存先を設定するために設けられており、実際にユーザデータが保存されることはない。このため、仮想ハードディスクD1の容量は任意で良く、例えば数十MB程度の容量であっても良い。
【0021】
RAMディスクD2は、データ管理装置1に設けられたメモリ16を用いて実現される二次記憶装置である。尚、前述の通り、メモリ16に記憶された各種データは、データ管理装置1がシャットダウン、再起動、ログオフ等されると消去される。このため、RAMディスクD2に記憶されたユーザデータも、データ管理装置1がシャットダウン、再起動、ログオフ等されると消去される。このRAMディスクD2は、仮想ハードディスクD1とは異なり、実際にユーザデータが記憶されることがあるため、ユーザデータを記憶するのに十分な容量(例えば、数GB程度)に設定される。
【0022】
ドライバ21は、仮想ハードディスクD1に保存されるユーザデータの転送制御を行う。具体的に、ドライバ21は、仮想ハードディスクD1に保存されるユーザデータを、仮想ハードディスクD1に保存させることなく、RAMディスクD2及びネットワークドライブNDの何れか一方に転送する。尚、ドライバ21によるユーザデータの転送先は、制御アプリケーション24によって切り替えられる。
【0023】
オペレーティングシステム22は、図1に示すハードウェアを抽象化したインターフェースを、アプリケーション23及び制御アプリケーション24等に提供するソフトウェアである。尚、図2では図示を省略しているが、オペレーティングシステム22には、ユーザデータを含む各種データをファイルとして取り扱うファイルシステムが設けられている。アプリケーション23によって作成されたユーザデータを、ユーザデータの保存先として設定された仮想ハードディスクD1に保存させようとする処理は、オペレーティングシステム22によって行われる。
【0024】
アプリケーション23は、オペレーティングシステム22上で動作して、ユーザデータの作成や編集等に用いられるソフトウェアである。このアプリケーション23としては、例えばドキュメントデータの作成及び編集を行うワープロソフト、画像データの作成及び編集を行うペイントソフトやドローソフト等が挙げられる。また、ブラウザと呼ばれる閲覧ソフトもアプリケーション23に含まれる。
【0025】
制御アプリケーション24は、データ管理装置1におけるユーザデータの管理に係る動作を制御するためのソフトウェアである。具体的に、制御アプリケーション24は、ユーザデータの管理を行うためのユーザインターフェイスであるプレートP(操作プレート)を表示装置12に表示させ、このプレートPに対するユーザの操作に応じて、データ管理装置1のユーザデータの管理に係る動作を制御する。
【0026】
図3は、本発明の第1実施形態によるデータ管理装置に表示されるプレートの一例を示す図である。図3に示す通り、プレートPは、切替ボタンB1、同期ボタンB2、クローズボタンB3、及び容量表示欄R1が設けられた矩形形状のウィンドウであり、ファイルF1,F2やフォルダFL1,FL2とともに、表示装置12の表示画面Gに表示される。尚、ファイルF1,F2やフォルダFL1,FL2は、ネットワークドライブND又はRAMディスクD2に格納されているものである。
【0027】
切替ボタンB1は、ユーザデータが転送されるドライブ(2次ドライブ)を、RAMディスクD2にするのか、或いはネットワークドライブNDにするのかを切り替えるためのボタンである。この切替ボタンB1は、例えばネットワークN1が利用できる状態(オンライン)である場合には緑色で点灯表示され、ネットワークN1が利用できない状態(オフライン)である場合には赤色で点灯表示される。尚、ネットワークN1がオンラインであるか否かの確認が行われている場合には、切替ボタンB1は、例えば緑色で点滅表示される。
【0028】
同期ボタンB2は、RAMディスクD2に記憶されているユーザデータと、ネットワークドライブNDに格納されているユーザデータとを同期させる(内容を一致させる)ためのボタンである。クローズボタンB3は、プレートPを画面Gから消去するためのボタンである。これら切替ボタンB1、同期ボタンB2、及びクローズボタンB3は、例えばユーザがポインティングデバイスを操作してカーソルCを各ボタンの表示位置に移動させ、ポインティングデバイスに設けられたボタンを押下する操作を行うことによって操作される。
【0029】
容量表示欄R1は、RAMディスクD2の容量に関する情報が表示される領域である。図3に示す例では、RAMディスクD2の全体容量が分母に表示され、RAMディスクD2の残容量が分子に表示されている。尚、図3に示す例では、RAMディスクD2の全体容量と残容量とが表示される例を図示しているが、例えばRAMディスクD2の使用容量と残容量とを表示しても良い。
【0030】
ここで、プレートPは、RAMディスクD2を抽象的に表すものである。つまり、プレートPの外枠(ウィンドウ)をRAMディスクD2と見立て、プレートPの外枠内をRAMディスクD2の内部と見立てることができる。このため、プレートPを用いてコピー等のファイル操作を行うことが可能である。尚、このようなファイル操作の詳細については後述する。
【0031】
制御アプリケーション24は、プレートPに設けられた切替ボタンB1が操作された場合には、その操作内容に基づいてユーザデータが転送されるドライブ(2次ドライブ)を、RAMディスクD2にするのか、或いはネットワークドライブNDにするのかを切り替える。図4は、本発明の第1実施形態によるデータ管理装置で行われる2次ドライブの切り替えを模式的に示す図である。
【0032】
具体的に、制御アプリケーション24は、切替ボタンB1が操作される度に、図4(a)に示す通り、ユーザデータの転送先をネットワークドライブNDに切り替え、或いは、図4(b)に示す通り、ユーザデータの転送先をRAMディスクD2に切り替える。尚、ネットワークN1がオフラインである場合には、RAMディスクD2からネットワークドライブNDへの切り替えは、ネットワークN1がオフラインであるために接続エラーが発生する。
【0033】
また、制御アプリケーション24は、ネットワークドライブNDに格納されているユーザデータ(例えば、画面Gに表示されているファイルF1,F2)をプレートPに移動させる操作が行われた場合には、その操作がなされたユーザデータをRAMディスクD2にコピーさせる処理を、ドライバ21に行わせる。尚、ユーザデータをプレートPに移動させる操作は、具体的には上記のファイルF1等をプレートPの枠内にドラッグ・アンド・ドロップする操作である。
【0034】
また、制御アプリケーション24は、上記の操作(プレートPに移動させる操作)がなされたユーザデータの内容が変更された後に、同期ボタンB2が押下された場合には、内容が変更されたユーザデータをネットワークドライブNDに記憶させる処理を、ドライバ21に行わせる。これは、RAMディスクD2に記憶されているユーザデータと、ネットワークドライブNDに格納されているユーザデータとを同期させるためである。
【0035】
次に、上記構成におけるデータ管理装置の動作について説明する。図5は、本発明の第1実施形態によるデータ管理装置の起動時に行われる動作を示すフローチャートである。データ管理装置1の電源が投入されると、まず図1に示すドライブ装置17に格納された各種プログラムがCPU14によってロードされ、図2に示すドライバ21及びオペレーティングシステム22、制御アプリケーション24等が実現される。
【0036】
次に、ドライバ21及びオペレーティングシステム22によってRAMディスクD2が作成され、作成されたRAMディスクD2を初期化した上でマウントする処理が行われる(ステップS11)。これにより、オペレーティングシステム22からRAMディスクD2が利用可能な状態になる。次いで、ドライバ21及びオペレーティングシステム22によって仮想ハードディスクD1が作成され、作成された仮想ハードディスクD1をマウントする処理が行われる(ステップS12)。これにより、オペレーティングシステム22から仮想ハードディスクD1が利用可能な状態になり、仮想ハードディスクD1のルートディレクトリ(例えば、「D:¥」)がユーザデータの保存先として設定される。
【0037】
以上の処理が終了すると、ネットワークドライブNDを2次ドライブとして転送(リダイレクト)する処理がドライバ21によって開始される(ステップS13)。つまり、仮想ハードディステムD1に保存されるユーザデータを、仮想ハードディステムD1に保存させることなく、2次ドライブとしてのネットワークドライブNDに転送する処理がドライバ21によって開始される。
【0038】
続いて、2次ドライブとしてのネットワークドライブNDへのアクセスが可能であるか否かがオペレーティングシステム22によって判断される(ステップS14)。ネットワークドライブNDへのアクセスが可能であると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、ネットワークドライブNDを2次ドライブに設定する処理(ここでは、2次ドライブをネットワークドライブNDのままとする処理)がドライバ21によって行われる(ステップS15)。以上の処理により、プレートPに設けられた切替ボタンB1(図3参照)は、例えば緑色に点灯表示される。また、ネットワークドライブNDにユーザデータが保存されている場合には、このユーザデータが、図3中に示すファイルF1,F2やフォルダFL1,FL2等として画面Gに表示される。
【0039】
これに対し、ネットワークドライブNDへのアクセスが不可能であると判断された場合(判断結果が「NO」の場合)には、RAMディスクD2を2次ドライブに設定する処理がドライバ21によって行われる(ステップS16)。以上の処理により、プレートPに設けられた切替ボタンB1(図3参照)は、例えば赤色に点灯表示される。また、RAMディスクD2にユーザデータが記憶されている場合には、このユーザデータが、図3中に示すファイルF1,F2やフォルダFL1,FL2等として画面Gに表示される。
【0040】
ネットワークドライブNDが2次ドライブに設定されている状態(図4(a)に示す状態)のときに、アプリケーション23等によってユーザデータを仮想ハードディスクD1に保存する処理が行われると、そのユーザデータは、ドライバ21によって、仮想ハードディスクD1に保存されることなくネットワークドライブNDに転送される。同様に、RAMディスクD2が2次ドライブに設定されている状態(図4(b)に示す状態)のときに、アプリケーション23等によってユーザデータを仮想ハードディスクD1に保存する処理が行われると、そのユーザデータは、ドライバ21によって、仮想ハードディスクD1に保存されることなくRAMディスクD2に転送される。
【0041】
ここで、ネットワークN1がオンラインである場合に、切替ボタンB1を押下する操作がユーザによって行われると、制御アプリケーション24によってドライバ21が制御され、2次ディスクがRAMディスクD2に切り替えられる。続けて、切替ボタンB1を押下する操作がユーザによって行われると、制御アプリケーション24によってドライバ21が制御され、2次ディスクがネットワークドライブD1に切り替えられる。尚、ネットワークN1がオフラインである場合に、切替ボタンB1を押下する操作がユーザによって行われると、ネットワークN1がオフラインであるために接続エラーが表示装置12の画面Gに表示される。
【0042】
図6は、本発明の第1実施形態によるデータ管理装置で行われるファイル操作の一例を示す図である。尚、ここでは、ネットワークN1はオンラインであり、ユーザデータの転送先としてネットワークドライブNDが設定されているとする。このため、図6中の画面G内に表示されているファイルF1,F2やフォルダFL1,FL2等は、ネットワークドライブNDに保存されているユーザデータであるとする。
【0043】
図6(a)に示す通り、ユーザがカーソルCを用いて、画面Gに表示されているファイルF1をプレートPに移動させる操作(ファイルF1をプレートPの枠内にドラッグ・アンド・ドロップする操作)を行ったとする。すると、制御アプリケーション24によってドライバ21が制御され、ネットワークドライブNDに格納されたファイルF1を読み出してRAMディスクD2にコピーする処理が行われる。これにより、RAMディスクD2の内部と見立てることができるプレートPの外枠内には、ファイルF1が表示されることになる。
【0044】
次に、ユーザが、アプリケーション23を操作して、RAMディスクD2にコピーされたファイルF1の編集を行って上書き保存したとする。すると、図6(b)に示す通り、プレートP内に表示されたファイルF1には、更新された旨を示す更新マークMKが表示される。尚、図6に例示する更新マークMKは、エクスクラメーション・マークを図案化したものであるが、更新マークMKとしては任意のマークを用いることができる。
【0045】
続いて、図6(c)に示す通り、ユーザがカーソルCを操作して、プレートPに設けられた更新ボタンB2を押下する操作を行ったとする。すると、制御アプリケーション24によってドライバ21が制御され、更新マークMKが付されたファイルF1をRAMディスクD2から読み出して、ネットワークドライブNDに記憶させる処理が行われる。これにより、RAMディスクD2に記憶されたファイルF1とネットワークドライブNDに格納されたファイルF1とが同期する(内容が一致する)。このように、プレートPを用いることで、ファイル操作を極めて簡単に行うことができる。
【0046】
以上の通り、本実施形態では、ユーザデータの保存先に設定された仮想ハードディスクD1を1次ドライブとして設け、仮想ハードディスクD1に保存されるユーザデータを、2次ドライブとして設けられたRAMディスクD2とネットワークドライブNDとの何れか一方に転送するようにしている。このため、ネットワークN1がオフラインであっても、動作が不安定になることなく正常にアプリケーション23等を動作させることが可能であり、ユーザデータの漏洩等を効果的に防止することができる。
【0047】
つまり、ユーザデータの保存先に設定された仮想ハードディスクD1が1次ドライブとして設けられており、ネットワークN1がオンラインであるかオフライであるかに拘わらずユーザデータの保存先が常時存在する。このため、動作が不安定になることなく正常に、オペレーティングシステム22やアプリケーション23等を動作させることが可能である。
【0048】
また、ネットワークN1がオンラインである場合には、ユーザデータはネットワークドライブNDに格納されて、データ管理装置1の内部には保存されない。他方、ネットワークN1がオフラインである場合には、ユーザデータはデータ管理装置1に設けられたRAMディスクD2に記憶されるものの、データ管理装置1をシャットダウン、再起動、ログオフ等させればユーザデータが消去される。このため、ユーザデータの漏洩等を効果的に防止することができる。
【0049】
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の第2実施形態によるデータ管理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。尚、本実施形態のデータ管理装置2のハードウェア構成は、図1に示すデータ管理装置1のハードウェア構成と同様である。また、図7においては、図2に示す構成と同様の構成には同じ符号を付してある。
【0050】
図7に示す通り、本実施形態のデータ管理装置2は、インターネットN2を介して提供されるクラウドストレージサービスを利用し、クラウドストレージCSを2次ドライブとして用いるものである。ここで、クラウドストレージCSへのアクセスは、インターネットN2を介するものになることから、通信プロトコルは、通信経路を暗号化することができるWebDAV(Web-based Distributed Authoring and Versioning)が用いられている。
【0051】
また、本実施形態のデータ管理装置2では、ユーザデータの漏洩等の危険性を排除するために、オペレーティングシステム22の機能によって、ドライブ装置17へのアクセスが制限されている。例えば、オペレーティングシステム22の機能によって、仮想ハードディスクD1及びRAMディスクD2への書き込みは許可されているものの、仮想ハードディスクD1及びRAMディスクD2以外のドライブ装置への書き込みが禁止されている。或いは、仮想ハードディスクD1及びRAMディスクD2以外のドライブ装置は不可視となるように設定されている。
【0052】
本実施形態のデータ管理装置2は、クラウドストレージCSを2次ドライブとして用いる点において、第1実施形態のデータ管理装置1と大きく異なる。しかしながら、本実施形態のデータ管理装置2においても、第1実施形態のデータ管理装置1と同様に、ユーザデータの保存先に設定された仮想ハードディスクD1を1次ドライブとして設け、仮想ハードディスクD1に保存されるユーザデータを、2次ドライブとして設けられたRAMディスクD2とクラウドストレージCSとの何れか一方に転送するようにしている。このため、第1実施形態と同様に、ネットワークN1がオフラインであっても、動作が不安定になることなく正常にアプリケーション23等を動作させることが可能であり、ユーザデータの漏洩等を効果的に防止することができる。
【0053】
また、本実施形態では、インターネットN2に接続されたクラウドストレージCSが2次ドライブとして用いられる。このため、ユーザデータの作成等が行われたデータ管理装置2以外の他の端末装置3から、インターネットN2を介してクラウドストレージCSに格納されたユーザデータにアクセスすることが可能である。
【0054】
以上、本発明の実施形態によるデータ管理装置、データ管理方法、及びデータ管理プログラムについて説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、説明を簡単にするために、ドライバ21が、ネットワークドライブNDやクラウドストレージCSとの間のデータ授受を直接行うものとして説明した。しかしながら、ドライバ21からネットワークドライブNDやクラウドストレージCSへのユーザデータの転送、或いはネットワークドライブNDやクラウドストレージCSからドライバ21へのユーザデータの読み出しは、オペレーティングシステム22を介して行われるのが望ましい。
【0055】
また、上記実施形態では、データ管理装置1,2に設けられたドライブ装置17内に仮想ハードディスクD1を作成し、この仮想ハードディスクD1をユーザデータの保存先として設定するようにしていた。しかしながら、このような仮想ハードディスクD1を作成することなく、任意のネットワークドライブND(或いは、クラウドストレージCS)を、ユーザデータの保存先として設定しても良い。前述の通り、ユーザデータの保存先として設定された仮想ハードディスクD1にはユーザデータが保存されることはないため、任意のネットワークドライブND等をユーザデータの保存先として設定しても何ら問題は生じない。
【0056】
また、上記実施形態では、データ管理装置1,2の機能が、記録媒体Mに記録されたプログラムを光学ドライブ装置15によって読み出してインストールすることによりソフトウェア的に実現される場合を例に挙げて説明した。しかしながら、インターネット等のネットワークを介してダウンロードしたプログラム(記録媒体Mに記録されたプログラムと同様のプログラム)をコンピュータにインストールすることによりデータ管理装置1,2の機能を実現しても良い。
【0057】
また、上記実施形態では、データ管理装置1,2が、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータにより実現される例について説明したが、データ管理装置1は、タブレット型のコンピュータによっても実現可能である。タブレット型のコンピュータによっても実現される場合には、図1に示す光学ドライブ装置15が省略され、例えばインターネット等のネットワークを介してダウンロードしたプログラム(記録媒体Mに記録されたプログラムと同様のプログラム)をコンピュータにインストールすることによりデータ管理装置1,2の機能が実現される。
【符号の説明】
【0058】
1,2 データ管理装置
12 表示装置
21 ドライバ
24 制御アプリケーション
B1 切替ボタン
B2 同期ボタン
CS クラウドストレージ
D1 仮想ハードディスク
D2 RAMディスク
N1 ネットワーク
N2 インターネット
ND ネットワークドライブ
P プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7