特許第6202400号(P6202400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6202400核酸に関連した眼疾患を治療するための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202400
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】核酸に関連した眼疾患を治療するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/46 20060101AFI20170914BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61K38/46ZNA
   A61P27/02
   A61K45/00
   A61K31/7105
   A61K39/395 F
   A61K9/08
【請求項の数】8
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-547214(P2014-547214)
(86)(22)【出願日】2012年8月20日
(65)【公表番号】特表2015-506920(P2015-506920A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2012051562
(87)【国際公開番号】WO2013089835
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年8月18日
(31)【優先権主張番号】61/569,604
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/600,377
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500033634
【氏名又は名称】ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・イリノイ
【氏名又は名称原語表記】THE BOARD OF TRUSTEES OF THE UNIVERSITY OF ILLINOIS
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン,サンディープ
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0096817(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/115432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00−58
A61K 45/00−08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレアーゼおよび眼科用賦形剤を含む、核酸に関連した眼疾患の治療用組成物であって、前記ヌクレアーゼが、デオキシリボヌクレアーゼI(DNアーゼI)であり、抗生物質を含まず、核酸に関連した前記眼疾患がドライアイ疾患である、組成物。
【請求項2】
組み換えDNアーゼIが、ドルナーゼアルファ(PULMOZYME(登録商標))である、請求項1に記載の核酸に関連した眼疾患の治療用組成物。
【請求項3】
眼科用賦形剤が、緩衝液、等張調節剤、湿潤剤、抗酸化剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の核酸に関連した眼疾患の治療用組成物。
【請求項4】
配列番号1の配列からなるオリゴヌクレオチドであるトール様受容体拮抗剤;抗INFα抗体である1型インターフェロン拮抗剤;細菌のエキソ多糖類であるカテリシジン阻害剤;ST2825、IMG2205またはMyD88阻害ペプチド(MIP)から選択されるMyD88阻害剤;ステロイド;抗アレルギー化合物;またはONO−5046、MR−889、L−694,458、CE−1037、GW−311616、TEI−8362、ONO−6818、AE−3763、FK−706、ICI−200,880、ZD−0892またはZD−8321から選択される好中球エラスターゼ阻害剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される拮抗剤または阻害剤をさらに含む、請求項1に記載の核酸に関連した眼疾患の治療用組成物。
【請求項5】
核酸に関連したドライアイ疾患の治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を眼に投与することを含む、請求項1に記載の核酸に関連した眼疾患の治療用組成物。
【請求項6】
有効量の組成物が、5ng/mlから3mg/mlの間のヌクレアーゼを含有する、請求項5に記載の核酸に関連した眼疾患の治療用組成物。
【請求項7】
有効量の組成物が、1mg/mlから3mg/mlの間のヌクレアーゼを含有する、請求項6に記載の核酸に関連した眼疾患の治療用組成物。
【請求項8】
組成物が眼内に注入される、請求項に記載の核酸に関連した眼疾患の治療用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年2月17日に出願された米国仮特許出願第61/600,377号、および2011年12月12日に出願された米国仮特許出願61/569,604号の優先権を主張し、参照により各出願の全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の簡単な説明
本出願は、37C.F.R.§§1.821−1.825に従った配列表を含む。配列表は、「11738468_1.txt」という名前のファイル(790バイト、2012年8月14日作成)に格納されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、核酸に関連した眼疾患を治療するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0004】
眼表面上皮は、連続した動的な代謝回転を受けており、これは通常の剥落プロセスの一部である。この代謝回転は、様々な形態の核酸に関連した眼疾患、例えばドライアイ疾患(DED)に罹患した対象において増加する。表面の角膜細胞は、角膜前涙膜に剥落する。角膜上皮細胞の剥落プロセスまたは落屑は、アポトーシス機構によって調節される。死んだ細胞および死にかけている細胞は、ダメージ関連分子パターンの分子の一種である核酸を放出し、先天性免疫系を刺激し、それを適応免疫系に関連付けることがある。例えば、細胞外DNA鎖が角膜繊維に存在することが報告されており、この繊維はDEDを伴う患者の角膜に頻繁に存在している。角膜前涙膜に落屑した細胞は、細胞外DNAの潜在的な供給源である。涙液流体は、いくつかの好中球細胞外トラップ(NET)成分を含有する。好中球は眼表面に低レベルながらリクルートされているが、眼表面が炎症を起こしている間にはおびただしい数の好中球が涙膜に存在することとなり、この際の炎症が症状の発現および増幅に顕著な役目をもっている。好中球エラスターゼおよびヒストンといったタンパク質も、涙液流体中で報告されている。これらの報告は、涙液流体における細胞外DNA、ヒストン、好中球、好中球エラスターゼおよびヌクレアーゼの存在を記録していることから、涙膜における細胞外DNAの連続的な産生およびクリアランスのための機構の存在を恐らく示唆している。
【0005】
涙膜、例えば眼の生物膜およびムコイド膜における細胞外DNAが、核酸に関連した眼疾患を伴う病変において役割を担い得る。眼のムコイド膜および/または生物膜の形成と関連し得る核酸に関連した眼疾患は、潜在的な障害状態を呈し、視力に関連したクオリティオブライフに悪影響を及ぼす。この眼疾患は、眼の不快感および/または視機能、例えば、読み速度および対比感度の劣化を招くことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
核酸に関連した眼疾患の発生率が高いにもかかわらず、現在、これらの状態への有効な治療はない。高浸透圧症および炎症は、古くからドライアイ疾患の主な理由と考えられていたため、例えば、現在の治療は、眼瞼の衛生処置、局所抗生物質、経口テトラサイクリン、抗炎症剤および/またはコルチコステロイドの使用に重点を置いている。このような治療は、無効または有効性が一定しないことが多い。したがって、例えば、眼球のムコイド膜および/または生物膜と共に、核酸の産生/形成に起因し得る核酸に関連した眼疾患、その例としてDEDを治療する新たな治療様式が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本明細書では、核酸に関連した眼疾患を治療するための組成物が提供される。これらの疾患は、質の悪い涙液を伴うことがあり、眼表面または眼内側における核酸の生物膜/ムコイド膜の形成に関連することがある。核酸は細胞外であることがある。このような疾患の1つが、ドライアイ疾患(DED)である。組成物は、ヌクレアーゼおよび眼科用賦形剤を含んでいてもよい。ヌクレアーゼは、DNアーゼもしくはRNアーゼ、またはそれらの組み合わせであってよい。ヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼであってよい。DNアーゼは、デオキシリボヌクレアーゼI(DNアーゼI);デオキシリボヌクレアーゼII(DNアーゼII);デオキシリボヌクレアーゼIIIまたはミクロコッカスヌクレアーゼであってよい。RNアーゼは、リボヌクレアーゼA(RNアーゼA);リボヌクレアーゼH(RNアーゼH);リボヌクレアーゼI(RNアーゼI);リボヌクレアーゼII(RNアーゼII);リボヌクレアーゼIII(RNアーゼIII);リボヌクレアーゼD(RNアーゼD);リボヌクレアーゼL(RNアーゼL);リボヌクレアーゼP(RNアーゼP);リボヌクレアーゼPH(RNアーゼPH);リボヌクレアーゼPhyM(RNアーゼPhyM);リボヌクレアーゼR(RNアーゼR);リボヌクレアーゼT(RNアーゼT);リボヌクレアーゼT1(RNアーゼT1);リボヌクレアーゼT2(RNアーゼT2);リボヌクレアーゼU2(RNアーゼU2);リボヌクレアーゼVI(RNアーゼVI);リボヌクレアーゼV(RNアーゼV);オリゴリボヌクレアーゼ;エキソリボヌクレアーゼI;またはエキソリボヌクレアーゼIIであってよい。DNアーゼまたはRNアーゼは組み換え体であってよい。組成物は、拮抗剤または阻害剤をさらに含んでよい。拮抗剤または阻害剤は、抗生物質化合物、トール様受容体拮抗剤、1型インターフェロン拮抗剤、カテリシジン阻害剤、MyD88阻害剤、ステロイド、抗アレルギー化合物および好中球エラスターゼ阻害剤ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0008】
本明細書では、ヌクレアーゼに関連した眼疾患を治療するための方法も提供される。この方法は、眼科用賦形剤を有する、上に記載されているヌクレアーゼ組成物を、眼疾患の治療に有効な量で眼に投与することを含み得る。眼の眼表面は、涙膜を含有してよく、生物膜またはムコイド膜であってよい。生物膜またはムコイド膜は、核酸を含有してよい。核酸は、細胞外核酸であってよい。核酸は、DNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってよい。涙膜は、組成物が投与される前に、3.14ng/ml未満のヌクレアーゼを含有し得る。涙膜は、組成物が投与される前に、0.05Kunitz単位(Kunitz unit)未満のヌクレアーゼ活性を含有し得る。有効量の組成物は、5ng/mlから3mg/mlのヌクレアーゼを含有し得る。有効量の組成物は、100ng/mlから200ng/mlのヌクレアーゼを含有し得る。
【0009】
核酸に関連した眼疾患は、DED、びまん性層間角膜炎、コンタクトレンズによる角膜炎、眼内炎もしくは感染性結晶状角膜症、眼部瘢痕性類天疱瘡(OCP)、乾性角結膜炎(KCS)、シェーグレン症候群(SS)、シェーグレン症候群性乾性角結膜炎、非シェーグレン症候群性乾性角結膜炎、乾性角膜炎、乾燥症候群、眼球乾燥症、涙膜障害、涙液産生量の減少、水性涙液欠乏(ATD)またはマイボーム腺機能不全(MGD)であってよい。DEDは、例えば、自己免疫性DEDまたはシェーグレン症候群を伴うDEDであってよい。DEDは、加齢、コンタクトレンズの利用および薬剤の利用を含む1つ以上の原因に起因することがある。抗生物質は、アンピシリン、アモキシシリン/クラブラン酸、メトロニダゾール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、シプロフラキシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、精神安定剤またはそれらの組み合わせであってよい。トール様受容体拮抗剤は、配列TTAGGGを含むオリゴヌクレオチドであってよい。オリゴヌクレオチドは、配列TTAGGGTTAGGGTTAGGGTTAGGG(配列番号1)からなっていてもよい。1型インターフェロン拮抗剤は、I型インターフェロンと、その受容体との結合、例えば受容体サブユニットIFNAR−1および/またはIFNR−2への結合に拮抗する、または競合的に阻害するあらゆる化合物であってよい。化合物は、抗IFNα抗体であってよい。カテリシジン阻害剤は細菌のエキソ多糖類であってよい。好中球エラスターゼ阻害剤は、ONO−5046、MR−889、L−694,458、CE−1037、GW−311616TEI−8362、ONO−6818、AE−3763、FK−706、ICI−200,880、ZD−0892およびZD−8321からなる群から選択されてよい。
【0010】
本明細書では、対象がヌクレアーゼに関連した眼疾患を有するかどうかを決定する方法も提供される。この方法は、対象から涙液試料を採取することを含み得る。この試料は、DNAと結合する色素、例えばピコグリーンと接触させてもよい。あるいは、試料は、DNアーゼと接触させ、次いで色素と接触させてもよい。色の強度は、測定でき、正常な対照試料における色素の蛍光強度と比較できる。対照と比較して、試料における色素の蛍光強度のレベルが上昇すると、ドライアイ疾患を示し得る。
【0011】
本明細書では、眼の細菌性感染症を治療する方法も提供される。この方法は、ヌクレアーゼを含む組成物を、感染症の治療に有効な量で眼に投与することを含む。この組成物は、眼に注入されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】DEDの生物学的な仕組みを示す概略図である。細胞外DNAは、DEDにより影響を受ける眼の眼表面に見出される。この細胞外DNAは、2つの主な供給源である、好中球ならびに結膜細胞などの角膜細胞に由来し得る。好中球の細胞外DNAは、好中球細胞外トラップ(NET)を形成する。これらのNETは、関連している炎症分子およびアンジオグネイック分子、例えばカテリシジン、好中球エラスターゼおよびヒストンを有する。結膜細胞からの、ならびにNETにおける細胞外DNAは、「ダメージ関連分子パターン」(DAMP)として作用する。DAMPは、炎症を誘発させ、継続させる。DNAのDAMPは、トール様受容体9(TLR9)を経由して、1型インターフェロンを増加させるよう作用し、いくつかの炎症媒介物質を多く存在させる。
図2】シランコーティングした粘着性のスライドに移され、ヘマトキシリンおよびエオシンにより染色された細胞を示す図である。核および鎖がヘマトキシリンにより染色され、細胞内および細胞外DNAがそれぞれ存在することが示され、さらにNETの存在が指し示される。
図3】核酸に対するDAPI染色を用いて間接的免疫蛍光染色した共焦点像(63×)を示す図である。細胞核ならびに細胞外DNA鎖による染色が取り上げられている。図3は、NETの形成に重要である細胞外DNAの存在を示す。
図4】好中球および細胞から細胞外DNAとして出てくる鎖の存在を示す図である。細胞は、最初に、間接的免疫蛍光法を用いて染色された。(B)は、細胞外の鎖様の構造を示しており、核および細胞外DNAが明らかにされた。細胞は、次いで洗浄され、ヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色されて、好中球および細胞から出てくる鎖の存在が確認されたことで、NETの存在が確認された。
図5】好中球エラスターゼ、ヒストンに対する一次抗体およびDAPIを用いて、細胞が間接的免疫蛍光染色された共焦点像を示す図である。好中球エラスターゼに関する顆粒染色は、ヒストンおよび核酸と共局在する。
図6】眼表面(A)におけるNETの存在を示す図である。DNアーゼを用いた処理の後、鎖状の細胞外DNAは消えるが、細胞のイントレグリティは維持される(B)。2つの試料(A)および(B)は、同一の対象から採取された。試料Aは、PBSで20分間処理され、次いでDAPIを用いて染色された。試料Bは、DNアーゼ(100IU/ml)で20分間処理され、DAPIを用いて染色された。
図7】NETが存在することの確証を示し、これらを眼表面の粘液と区別する図である。結膜の表面からの粘液標本が、DAPIを用いて染色された。核は染色された。しかし、粘液は染色されなかった。
図8図7で標本を得た同一の対象からの粘液の存在をさらに確実にする図である。標本は、過ヨウ素酸シッフ(PAS)を用いて染色された。染色は、粘液の鎖の存在を示す。
図9】正常な涙液産生量(シルマー試験で>5)と比較したドライアイ(シルマー試験で<5)を示す、エラーバーを用いた標準偏差付きのグラフである。ドライアイ疾患および正常な涙液産生における細胞外DNAに対する光学密度の間に有意差が存在する。ドライアイにおける光学密度(17834.14)は、正常な涙液産生における密度(12609.86)より高い。したがって、ドライアイ疾患において、シルマー濾紙から得られる細胞外DNAの量は、正常な涙液産生に用いられるシルマー濾紙と比較して多い。
図10】涙液産生が正常である(非ドライアイ)ヒトと比較した、重度のドライアイ細胞を有するヒトにおける、インターフェロンα1、インターフェロンβ、TLR−9およびMyD88の遺伝子レベルに関する、定量リアルタイムPCRデータを示す図である。これらの遺伝子量は、ドライアイおよび涙液欠乏を有する患者の結膜において数倍に増加する。これらの経路(TLR−9およびMyD88)は細胞外DNAにより刺激され、したがって受容体およびトランスクリプショニアルのデータは細胞外DNAによる眼表面の炎症による刺激を裏付ける。ドライアイ患者においては、下流の炎症媒介物質(インターフェロンαおよびβ)も増加する。
図11】シルマー試験ストリップインプレッションに由来する物質を示す図である。(A1、A2):シルマー試験ストリップ(A1、矢じり)およびシランコーティングしたガラススライド(A2)を使用したインプレッションサイトロジーの方法。(B):剥離した表面細胞を示すH&E染色。(C):結膜のインプレッション物質による広視野蛍光顕微鏡画像は、DAPI染色後の正常な対象(C1)において短くまばらな細胞外DNA(eDNA)鎖(矢じり)、ならびにDED患者においてきわめて長いeDNA鎖(C2)(矢じり)を明らかにする。(D):DAPI染色後ぬ共焦点の免疫蛍光画像は、おびただしい数の鎖(矢じり)および多葉性の核を有する好中球を実証する。(E):共焦点の免疫蛍光染色画像は、ヒストン(E1、緑)、好中球エラスターゼ(E2、赤)およびeDNA(E3、青)がNETの分子成分(E4、オーバーレイ)であることを示す。矢じりは、NET鎖を指し示す。E2の挿入図は、DAPI染色された多葉性の核を有する好中球を示す。スケールバー:B、C1、C2およびD(50μm);E1およびE2の挿入図(10μm)。
図12】ムコイド膜におけるeDNAおよび好中球細胞外トラップ(NET)を示す図である。(A):重度の涙液不足DEDを伴う患者の眼の臨床写真。矢じりは、角膜および眼球結膜上のムコイド膜(A1)ならびに下結膜円蓋(A2)を指し示す。挿入図は、ムコイド膜の拡大図を示す。(B):ムコイド膜の細胞学的検査。(B1):H&E染色は、表面上皮細胞およびおびただしい数の好中球を示す(B2):DAPI染色は、eDNA鎖(矢じり)および好中球の多葉性の核の存在を示す。(B3):好中球エラスターゼ免疫染色(赤)は、好中球の存在を確認する。(C):共焦点の免疫蛍光染色画像は、好中球エラスターゼ(C1、赤)、ヒストン(C2、緑)およびeDNA(C3、青)が、NETの分子成分(E4、オーバーレイ)であることを示す。矢じりは、NET鎖を指し示す。(D):レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)を行って、DAPI染色した鎖を取り込んで、鎖におけるDNAの存在を確認した。D1において、矢じりは、eDNA鎖を指し示す。D2において、アスタリスクにより、LCM後の鎖の領域を占有させている。(03):eDNA鎖のレーンにおけるGAPDH PCR産物は、DNA物質の存在を確認する。スケールバー:B1、B2およびB3(20μm);C、D1およびD2(50μm)である。
図13】好中球(A1−A4)を示す図である。:カテリシジン(緑)は、ムコイド膜(A1、矢印)およびeDNA鎖(A1、矢じり)に存在する。カテリシジンは、好中球エラスターゼ(A2、赤)およびDAPI核染色(A3、青)と共局在する。(B1−B4):カテリシジン(緑)は、好中球(B1、矢じり)に存在し、好中球エラスターゼ(B2、赤)およびDAPI(B3、青)と共局在する。(C1−C4):カテリシジン(C1、矢じり)およびDAPI染色された核の物質(C3、矢じり)は、好中球から押し出されてNETを形成する。スケールバー:10μm。
図14】DED患者および対照における遺伝子発現を示す図である。(A):シルマーI試験を使用して測定した水性涙液平均産生量は、DED患者において有意に低かった。(B):ガラススライド上におけるシルマーストリップのインプレッション後にeDNAの長さを測定した。eDNAの長さは、DED患者において有意に長かった。(C):ピコグリーンアッセイを使用して、シルマーストリップ上のeDNAの量が測定された。DED患者は、有意に多くeDNAの量を有する。(D):eDNAのシグナルトランスダクション経路における遺伝子は、DED患者から剥離した結膜細胞において有意に過剰発現した(E):炎症遺伝子の発現も、DED患者において有意に増加した。p<0.05。
図15】涙液流体に存在するヌクレアーゼおよびDNアーゼIを示す図である(A1−A6):ヒト涙腺のDNアーゼ1を示す免疫蛍光顕微鏡画像(A1−A3、赤)。染色の特異性は、ペプチド競合(A4−A6)およびアイソタイプ対照染色(示されていない)によって確認された。(B):正常な対象の涙液におけるヌクレアーゼ活性。DNアーゼIのELISAは、正常な涙液流体における濃度が3.14ng/mlであることを示した。DNアーゼの検出キットにおいて、正常な涙液は完全にDNAを分解した(涙液レーン)。したがって、涙液流体のヌクレアーゼ活性は、0.05Kunitz単位超である。(C):涙液におけるヌクレアーゼ活性は、FRETアッセイを使用して定量された。DED患者(青)と健常者(緑)におけるヌクレアーゼ活性を比較する典型的なグラフは、DED患者におけるヌクレアーゼ活性の低下を示す。(D):DED患者におけるヌクレアーゼ活性は、健常者と比較して有意に低かった。p<0.05、スケールバー:20m。
図16】細菌培養皿にプレートしたムコイド膜を示す図である。重度の涙液不足のドライアイ疾患を有する患者は、眼表面にムコイド膜を有し得る。ムコイド膜は、無菌のeSwabを使用して眼表面から持ち上げられた。グラム陽性球菌の増殖が観察され、この菌はコアグラーゼ陰性のスタフィロコッカス種(staphylococcus species)と同定された。(A)血液寒天培養皿は、ピンの頭ほどの細菌コロニーを示す。(B)培養したコロニーからの塗抹標本のBaclight live/dead染色は、死んでいる球菌(赤)と混ざった生きている球菌(緑)を示す。これらの実験は、ドライアイ患者の眼表面におけるムコイド膜に細菌が存在することを確認する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、驚くべきことに、核酸に関連した眼疾患、例えばDEDおよびDEDに関連した状態が、抗生物質の存在または非存在下で、ヌクレアーゼおよび眼科用賦形剤を用いて治療できることを知見した。この知見の中心をなすのは、核酸に関連した眼疾患、例えばDEDを有する対象の眼の表面における好中球細胞外トラップ(NET)の存在である。NETは、核酸、例えばDNAを含むクロマチン;好中球エラスターゼ;ヒストン;および顆粒タンパク質で構成される細胞外構造である。NETは、抗微生物活性を局所に集中させることがあり、それに応じて炎症部位で広く認められる。
【0014】
1.定義
本明細書で使用される専門用語は、具体的な実施形態を記載する目的のためのものにすぎず、限定することを意図されていない。本明細書および添付された特許請求の範囲で使用されているように、単数形の「a」、「and」および「the」は、文脈上明らかに他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数形を含む。
【0015】
a.対照
本明細書で使用されている「対照」は、ドライアイ疾患を有さない、または細菌に感染していないことが知られている組成物または試料(陰性対照)を意味し得る。陽性対照は、核酸に関連した眼疾患を有する、または細菌に感染した試料を意味し得る。あらゆる対照は、既知量の細胞外DNAを含み得る。
【0016】
本明細書における数の範囲の記述に関しては、そこに挟まるそれぞれの数は、同等の精度で明確に企図される。例えば、6〜9の範囲に対して、数7および8が、6および9に加えて企図され、6.0〜7.0の範囲に対して、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9および7.0が明確に企図される。
【0017】
2.ヌクレアーゼをベースとした組成物
本明細書では、眼表面または眼内側から核酸を除去できる、ヌクレアーゼをベースとした組成物(「ヌクレアーゼ組成物」)が提供される。核酸は、細胞外であってよい。ヌクレアーゼ組成物は、1つ以上のヌクレアーゼを含有し得る。ヌクレアーゼは、DNアーゼまたはRNアーゼであってよい。ヌクレアーゼ組成物は、眼科用賦形剤も含有してよい。ヌクレアーゼ組成物は、1つ以上の抗生物質化合物、抗ウイルス化合物、抗炎症剤、トール様受容体拮抗剤、1型インターフェロン拮抗剤、カテリシジン阻害剤、MyD88阻害剤、ステロイド、抗アレルギー化合物および/または好中球エラスターゼ阻害剤をさらに含有してよい。あるいは、ヌクレアーゼ組成物は、抗生物質化合物、抗ウイルス化合物、抗炎症剤、トール様受容体拮抗剤、1型インターフェロン拮抗剤、カテリシジン阻害剤および/または好中球エラスターゼ阻害剤のいずれも含有しなくてよく、むしろ1つ以上の抗生物質化合物、トール様受容体拮抗剤、1型インターフェロン拮抗剤、カテリシジン阻害剤および/または好中球エラスターゼ阻害剤と組み合わせて使用されてよい。
【0018】
ヌクレアーゼ組成物のpHおよび/または浸透圧は、使用する前に適切に調整できる。ヌクレアーゼ組成物のpHは、4から9の間、5から8の間、6から7の間または6.5から7.5の間であってよい。ヌクレアーゼ組成物のpHは、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.9または9.0であってよい。ヌクレアーゼのpHは、7.4であってよい。
【0019】
ヌクレアーゼ組成物の浸透圧は、低浸透圧または等浸透圧であってよい。例えば、DNアーゼ組成物は、100mOsm/リットルから500mOsm/リットル、150mOsm/リットルから450mOsm/リットル、200mOsm/リットルから400mOsm/リットル、250mOsm/リットルから350mOsm/リットル、275mOsm/リットルから325mOsm/リットル、100mOsm/リットルから150mOsm/リットル、150mOsm/リットルから200mOsm/リットル、150mOsm/リットルから300mOsm/リットル、200mOsm/リットルから300mOsm/リットル、0mOsm/リットルから100mOsm/リットル、25mOsm/リットルから75mOsm/リットル、50mOsm/リットルから125mOsm/リットルまたは0mOsm/リットルから50mOsm/リットルの浸透圧を有していてよい。
【0020】
a.ヌクレアーゼ
本発明において企図されるヌクレアーゼは、DNアーゼおよびRNアーゼを含む。
【0021】
DNアーゼは、DNA骨格におけるホスホジエステル結合の加水分解を触媒する、あらゆる酵素であってよい。そのような酵素の1つが、デオキシリボヌクレアーゼである。デオキシリボヌクレアーゼの例は:デオキシリボヌクレアーゼI(DNアーゼI);デオキシリボヌクレアーゼII(DNアーゼII);およびミクロコッカスヌクレアーゼを含むが、それらに限定されない。DNアーゼは、ヒトDNアーゼまたは動物由来の形態(例えばウシ)もしくは微生物由来の形態の組み換え体であってよい。組み換えDNアーゼIは、ドルナーゼアルファであってよく、PULMOZYME(登録商標)の商品名でGenentech,Inc.から販売されている。DNアーゼ変異体は、遺伝子構成を改変することにより、例えば、シグナルペプチドを除去することにより、基質結合部位を変異させることにより、またはアミノ酸置換により作られて、高活性の変異体もしくはより安定な変異体が作られ得る。例えば、DNアーゼIIまたはDNアーゼのようなI、IIまたはIIIの変異体が組み合わされて、または単独で使用できる。
【0022】
RNアーゼは、RNA骨格におけるホスホジエステル結合の加水分解を触媒するあらゆる酵素であってよい。そのような酵素の1つが、リボヌクレアーゼである。リボヌクレアーゼの例は、リボヌクレアーゼA(RNアーゼA)、リボヌクレアーゼH(RNアーゼH)、リボヌクレアーゼI(RNアーゼI)、リボヌクレアーゼII(RNアーゼII)、リボヌクレアーゼIII(RNアーゼIII)、リボヌクレアーゼD(RNアーゼD)、リボヌクレアーゼL(RNアーゼL)、リボヌクレアーゼP(RNアーゼP)、リボヌクレアーゼPH(RNアーゼPH)、リボヌクレアーゼPhyM(RNアーゼPhyM)、リボヌクレアーゼR(RNアーゼR)、リボヌクレアーゼT(RNアーゼT)、リボヌクレアーゼT1(RNアーゼT1)、リボヌクレアーゼT2(RNアーゼT2)、リボヌクレアーゼU2(RNアーゼU2)、リボヌクレアーゼVI(RNアーゼVI)、リボヌクレアーゼV(RNアーゼV)、オリゴリボヌクレアーゼ;エキソリボヌクレアーゼI、およびエキソリボヌクレアーゼIIを含むが、それらに限定されない。RNアーゼは、ヒトRNアーゼまたは動物もしくは微生物由来の形態(例えばウシ)組み換え体であってもよい。RNアーゼ変異体は、遺伝子構成を改変することによって、例えば、シグナルペプチドを除去することによって、基質結合部位を変異させることによって、またはアミノ酸置換によって作られて高活性の変異体もしくはより安定な変異体が作られ得る。
【0023】
ヌクレアーゼは、核酸分子の末端における残基のみを切断できる(エキソヌクレアーゼの種類であるエキソデオキシリボヌクレアーゼまたはエキソリボヌクレアーゼ)。ヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼであってよく、単独または別のヌクレアーゼと組み合わされて使用されてよい。エンドヌクレアーゼの例は、リポカリンおよびRNアーゼAである。ヌクレアーゼは、鎖に沿ってどこでも切断できる(エンドヌクレアーゼのサブセットであるエンドデオキシリボヌクレアーゼまたはエンドリボヌクレアーゼ)。ヌクレアーゼは、切断するDNA配列に関して無差別であってよい。ヌクレアーゼは、配列特異的であってよい。ヌクレアーゼは、二本鎖の核酸のみ、一本鎖の核酸のみ、または二本鎖および一本鎖の核酸の両方を切断できる。
【0024】
ヌクレアーゼ投与量は、医師によって、例えば必要以上の実験を伴わずに決定できる。投与量は、あらゆる反対の徴候、耐性または類似した状態が生じた場合に調整できる。当業者は、そのような因子を容易に評価でき、この情報に基づき、ヌクレアーゼの具体的な有効濃度を決定して、本明細書に記載されているように使用できる。ヌクレアーゼは、5ng/mlから3mg/ml、1mg/mlから3mg/ml、2mg/mlから3mg/ml、10ng/mlから900ng/ml、20ng/mlから800ng/ml、30ng/mlから700ng/ml、40ng/mlから600ng/ml、50ng/mlから600ng/ml、60ng/mlから500ng/ml、70ng/mlから400ng/ml、80ng/mlから300ng/ml、90ng/mlから200ng/ml、50ng/mlから250ng/ml、100ng/mlから200ng/ml、150ng/mlから250ng/ml、100ng/mlから150ng/mlまたは90ng/mlから100ng/mlでヌクレアーゼ組成物に存在してよい。ヌクレアーゼは、10ng/ml、20ng/ml、30ng/ml、40ng/ml、50ng/ml、60ng/ml、70ng/ml、80ng/ml、90ng/ml、100ng/ml、110ng/ml、150ng/ml、200ng/ml、250ng/ml、300ng/ml、350ng/ml、400ng/ml、450ng/ml、500ng/ml、550ng/ml、600ng/ml、650ng/ml、700ng/ml、750ng/ml、800ng/ml、850ng/ml、900ng/ml、950ng/ml、1mg/ml、2,mg/mlまたは3mg/mlでヌクレアーゼ組成物に存在してよい。本明細書により詳細に記載されているように、組成物は、手作業で、適切な剤形、例えば、点眼薬にて眼へと送達されてよく、または適切な微液滴もしくは噴霧装置によって送達されてよく、典型的には定量の薬が供給される。
【0025】
(1)眼科用賦形剤
眼科用賦形剤は、いかなる眼科用賦形剤でもよい。眼科用賦形剤は、緩衝液、等張調節剤、湿潤剤および/または抗酸化剤であってよい。緩衝液は、ホウ酸および/またはリン酸であってよい。緩衝液は、ヌクレアーゼ組成物によるpHの変化を最小限にできる。等張調節剤は、等浸透圧環境をもたらし、塩化ナトリウム、ポスタシウムクロリド、塩化マグネシウムおよび/またはホウ酸を含むことができる。抗酸化剤は、例えばピロ亜硫酸ナトリウムおよびEDTAを含む。抗酸化剤は、ヌクレアーゼ組成物を安定させるよう促すために使用され得る。湿潤剤は、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリソルベート80を含み、ヌクレアーゼ組成物を眼に行き渡らせることができる。他の眼科用賦形剤は、塩化ベンザルコニウム(BAK)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ピュライト、クロロブタノール、過ホウ酸ナトリウムおよびソルビン酸、過ホウ酸ナトリウム、ピュライト、ポリオール、グリセリン、ポリソルベート80、デキストラン70、プロピレングリコールならびにポリエチレングリコール、例えばPEG−400を含む。眼科用賦形剤は、軟膏、例えばミネラル油、白色ワセリン、白色軟膏またはラノリンであってよい。水性ビヒクルと同様に、石油およびミネラル油は、軟膏配合物において、ビヒクルとしての役割を果たして、眼に接触する時間を増加させることができる。これらの原料は、眼球の表面上を覆う閉塞膜の形成を促し、ムチンおよび水性層を強化することにより、涙膜の組成を改善することができる。眼科用賦形剤により、ムチンのような特性が得られる、および/または、蒸発による水性層の損失を低下させることができる。眼科用担体は、以下に記載するように、担体、例えば医薬として許容できる担体として機能することができる。
【0026】
(2)抗生物質
抗生物質は、いかなる抗生物質でもよい。抗生物質は、アンピシリン、アモキシシリン/クラブラン酸、メトロニダゾール、クリンダマイシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、シプロフラキシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、精神安定剤、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロザシリン、ジクロキサシリン、フルコザシリン、メズロシリン、ナフシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフラザシン、トロバフロキサシン、マフェニド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファサラジン、スルフイソオキサゾール、トリメトプリム、コトリモキサゾール、デメクロサイクリン、ソキシサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリンまたはオキシテトラサイクリンであってよい。抗生物質は、眼科に許容できる抗生物質であってよい。
【0027】
(3)抗ウイルス剤
抗ウイルス剤化合物は、いかなる抗ウイルス剤であってもよい。抗ウイルス剤化合物は、アバカビル、アシクロビル、アデフォビル、アマンタジン、アンプレナビル、アンプリジェン、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、ボセプレビル、シドフォビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、ホミビルセン、ホスアンプレナビル、ガンシクロビル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、ペンシクロビル、ペレミビル、プレコナリル、リバビリン、リトナビル、サクイナビル、テラプレビル、テノホビル、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビルまたはザナミビルであってよい。抗ウイルス剤は、眼科に許容できる抗ウイルス剤であってよい。
【0028】
(4)抗炎症剤
抗炎症剤は、非ステロイド性またはステロイド性抗炎症剤であってよい。抗炎症剤は、シクロスポリンまたはシクロスポリンAであってよい。シクロスポリンAは、0.05%の濃度のシクロスポリンA(例えば、RESTASIS(登録商標))であってよい。抗炎症剤は、眼科に許容できる抗炎症剤であってよい。
【0029】
(5)トール様受容体−9拮抗剤
トール様受容体9(TLR9)は、特定の非メチル化CpGオリゴヌクレオチド(ODN)配列を認識し、哺乳動物のDNAから微生物のDNAを区別する。トール様受容体拮抗剤は、CpG ODNの刺激作用を中和できる、いかなるオリゴヌクレオチドでもよい。これらのオリゴヌクレオチドは、CまたはAの下流にある3つ連続するGに特徴付けられ得る。さらに、4番目のG(G−テトラッド)が加わることで、ODNを阻害する能力が増強できる。最も強力な阻害配列は、TTAGGG、例えば(TTAGGG)(配列番号1)を含有する配列である。例えば図1を参照されたい。拮抗剤オリゴヌクレオチドは、CpG ODNとTLR9の共局在化を、例えばエンドソーム小胞において、妨害することにより作用し得る。トール様受容体−9拮抗剤は、眼科に許容できるトール様受容体−9拮抗剤であってよい。
【0030】
(6)1型インターフェロン拮抗剤
1型インターフェロンは、ウイルス性感染症およびいくつかの細胞内寄生生物に対する、防御反応の一部である。一方で、これらのタンパク質は、いくつかのウイルス性疾患、腫瘍および多発性硬化症に対する治療用途を有する。1型インターフェロンは、ある疾患状態においては、不適切に産生されることがある。
【0031】
1型インターフェロン拮抗剤は、I型インターフェロンに拮抗する、または競合的に阻害するいかなる化合物でもよい。化合物は、例えば、抗インターフェロンα抗体であってよい。化合物は、1型インターフェロンがその受容体に結合することを拮抗または阻害できる。化合物は、1型インターフェロンが、受容体サブユニットであるIFNAE−1またはIFNR−2に結合することを拮抗または阻害できる。拮抗剤または競合阻害剤は、天然型インターフェロンの生物学的活性を遮ることができる。1型インターフェロン拮抗剤は、眼科に許容できる1型インターフェロン拮抗剤であってよい。
【0032】
(7)カテリシジン阻害剤
カテリシジン阻害剤は、カテリシジンの生物学的活性を遮るまたは低下させることができ、眼の眼表面における細胞外DNAを安定させることができるいかなる阻害剤でもよい。カテリシジン阻害剤の例は、細菌のエキソ多糖類である。カテリシジン阻害剤は、眼科に許容できるカテリシジン阻害剤であってよい。
【0033】
(8)MyD88阻害剤
MyD88阻害剤は、MyD88の生物学的活性または発現を阻害または低下させることができる、いかなる化合物でもよい。MyD88阻害剤は、MyD88のホモ二量体化を阻害するペプチドまたは小分子、例えば、ST2825(Sigma Tau、Pomezia、Italy)、合成オリゴペプチドIMG2205(Imgenex Corporation、San Diego、CA)および/またはMyD88阻害性ペプチド(MIP)であってよい。MyD88阻害剤は、MyD88のシグナル伝達パートナーへの結合を阻害できる。MyD88阻害剤は、ドミナントネガティブMyD88タンパク質であってよい。MyD88阻害剤は、MyD88発現を阻害するアンチセンス、siRNAまたはshRNA分子であってよい。
【0034】
(9)好中球エラスターゼ阻害剤
好中球エラスターゼ阻害剤は、好中球エラスターゼの生物学的活性を阻害または低下させることができ、炎症の際に好中球により分泌されるセリンプロテアーゼであるいかなる化合物であってもよい。例えば、阻害剤は、合成でも天然でも、可逆性でも不可逆性でもよい。例えば、好中球エラスターゼ阻害剤は、ONO−5046、MR−889、L−694,458、CE−1037、GW−311616またはTEI−8362であってよい。好中球エラスターゼ阻害剤は、ONO−6818、AE−3763、FK−706、ICI−200,880、ZD−0892またはZD−8321であってよい。例えば、Expert Opinion on Investigational Drugs、2002年7月、Vol.11、No.7:965−980頁(Neutrophil elastase inhibitors as treatment for COPD、Hiroyuki Ohbayashi著)を参照されたい。好中球エラスターゼ阻害剤は、眼科に許容できる好中球エラスターゼ阻害剤であってよい。
【0035】
b.医薬として許容できる担体
ヌクレアーゼ化合物は、対象(例えば患者、ヒトでもヒト以外の動物でもあり得る。)への投与に適切な医薬組成物に組み込まれ得る。典型的には、ヌクレアーゼ組成物は、眼科用送達に適切な、医薬として許容できる担体を含む。適切な眼科用担体は、当業者に知られており、そのような従来の担体のすべてが、本発明に用いられ得る。局所組成物を眼球または付属器組織内へと経皮的に送達することを促進し、早めるために使用され得る適切な担体は、アルコール(エタノール、プロパノールおよびノナノール)、脂肪アルコール(ラウリルアルコール)、脂肪酸(吉草酸、カプロン酸およびカプリン酸)、脂肪酸エステル(イソプロピルミリスチン酸エステルおよびイソプロピルn−ヘキサン酸エステル)、アルキルエステル(酢酸エチルおよび酢酸ブチル)、ポリオール(プロピレングリコール、プロパンジオンおよびヘキサントリオール)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドおよびデシルメチルスルホキシド)、アミド(尿素、ジメチルアセトアミドおよびピロリドン誘導体)、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ポラキサマー、spans、tweens、胆汁酸塩およびレシチン)、テルペン(D−リモネン、α−テルペネオール、1,8−シネオールおよびメントン)ならびにアルカノン(N−ヘプタンおよびN−ノナン)を含むが、それらに限定されない。さらに、局所的に投与される組成物は、カドヘリン拮抗剤、セレクチン拮抗剤およびインテグリン拮抗剤を含むが、それらに限定されない表面接着分子調節剤を含む。場合によって、組成物は、生理学的な許容できる塩、カーボポールを有するポロキサマー類似体、カーボポール/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カーボポール−メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒアルロン酸、シクロデキストリンおよび石油からなる群から選択される化合物をさらに含有する。さらに、局所的に投与される組成物は、カドヘリン拮抗剤、セレクチン拮抗剤およびインテグリン拮抗剤を含むが、それらに限定されない表面接着分子調節剤を含んでいてよい。したがって、具体的な担体は、無菌、眼科用軟膏、クリーム、ゲル、溶液または分散剤の形態をとってよい。徐放性ポリマー、例えば「Ocusert」ポリマー、「Hydron」ポリマーなども、適切な眼科用担体として含まれる。
【0036】
安定剤、例えば、キレート剤、その例として、EDTAも使用されてよい。抗酸化剤、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、8−ヒドロキシキノリンまたはアスコルビン酸も使用されてよい。典型的には、無菌性は、水性配合物用の従来の眼科用防腐剤、例えば、チオルブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジウム、フェニル水銀塩、チメロサールなどによって維持されることになり、非毒性量、および一般的に水溶液の重量で約0.001から約0.1%に変化する量で使用される。軟膏用の従来の防腐剤は、メチルおよびプロピルパラベンを含む。典型的な軟膏基剤は、白色ワセリンおよびミネラル油または液体石油を含む。しかし、保存した水性担体が好ましい。溶液は、手作業で、適切な剤形、例えば、点眼薬にて眼に送達され、または適切な微液滴もしくは噴霧装置によって送達され、典型的には定量の薬が供給される。適切な眼科用担体の例は、少ない量、すなわち重量で約5%未満のヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、グリセリンおよびEDTAを含有する、無菌であり、実質的に等浸透圧の水溶液を含む。溶液は、好ましくは、適量の従来の緩衝液、例えばリン酸塩、ホウ酸塩、酢酸、トリスで実質的に中性pHおよび等浸透圧に維持される。
【0037】
医薬として許容できる眼科用担体は、ある量の補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、防腐剤または緩衝液をさらに含むことができ、ヌクレアーゼ、抗生物質化合物、抗ウイルス化合物、トール様受容体拮抗剤、1型インターフェロン拮抗剤、カテリシジン阻害剤および/または好中球エラスターゼ阻害剤の保存可能期間または有効性を向上させることができる。
【0038】
様々な送達系、例えば、リポソーム、微小粒子、マイクロカプセルにカプセル化することが知られており、核酸に関連した眼疾患またはその1つ以上の症状の治療または改善に有用な、本明細書に記載されている組成物の投与に使用できる。組成物は、注入によって投与されてよい。例えば、組成物は、眼に注入されてよい。ヌクレアーゼ組成物は、液体点眼薬、ゲルまたは軟膏の形態であってよく、影響を受ける眼の眼表面に直接塗布されてよい。点眼薬、ゲルまたは軟膏は、医師の指示に従っておよび/または推奨投与量に従って塗布できる。例えば、100ng/mlから200ng/mlのヌクレアーゼを含有する組成物のある点眼薬は、1日当たり1から10回、1日当たり1から7回、1日当たり1から4回または1日当たり1から3回投与され得る。
【0039】
本明細書に記載されているヌクレアーゼ組成物は、コンタクトレンズを介して眼に送達され得る。例えば、組成物は、前記レンズ内へと組み込まれる、または前記レンズ上にコーティングされる。組成物は、コンタクトレンズのポリマーにより化学的に結合される、または物理的に封入される。あるいは、着色添加剤は、治療薬組成物として同一量で放出されるポリマー組成物により化学的に結合される、または物理的に封入され、したがって、添加剤の色の強度が変化することは、ポリマー内で結合されたまま、またはポリマー内に封入されたまま留まっている治療薬組成物の量または用量が変化することを指し示す。あるいは、またはさらに、紫外線(UV)吸収剤は、コンタクトレンズポリマー内で化学的に結合される、またはポリマー内に物理的に封入される。コンタクトレンズは、疎水性または親水性である。
【0040】
本発明の組成物を送達する手段を伴う、疎水性レンズの製造に使用される例示的な物質は、アメフォコンA、アムシルフォコンA、アキラフォコンA、アルフォコンA、カブフォコンA、カブフォコンB、カルボシルフォコンA、クリルフォコンA、クリルフォコンB、ジメフォコンA、エンフルフォコンA、エンフロフォコンB、エリフォコンA、フルオロフォコンA、フルシルフォコンA、フルシルフォコンB、フルシルフォコンC、フルシルフォコンD、フルシルフォコンE、ヘキサフォコンA、ホフォコンA、ヒブフォコンA、イタビスフルオロフォコンA、イタフルオロフォコンA、イタフォコンA、イタフォコンB、コルフォコンA、コルフォコンB、コルフォコンC、コルフォコンD、ロティフォコンA、ロティフォコンB、ロティフォコンC、メラフォコンA、ミガフォコンA、ネフォコンA、ネフォコンB、ネフォコンC、オンシフォコンA、オプリフォコンA、オキシフルフロコンA、パフルフォコンB、パフルフォコンC、パフルフォコンD、パフルフォコンE、パフルフォコンF、パシフォコンA、パシフォコンB、パシフォコンC、パシフォコンD、パシフォコンE、ペムフォコンA、ポロフォコンA、ポロフォコンB、ロフルフォコンA、ロフルフォコンB、ロフルフォコンC、ロフルフォコンD、ロフルフォコンE、ロシルフォコンA、サタフォコンA、シフルフォコンA、シラフォコンA、ステラフォコンA、スルフォコンA、スルフォコンB、テラフォコンA、チシルフォコンA、トロフォコンA、トリフォコンA、ユニフォコンA、ビナフォコンAおよびウィロフォコンAを含むが、それらに限定されない。
【0041】
本発明の組成物を送達する手段を伴う、親水性レンズの製造に使用される例示的な物質は、アバフィルコンA、アコフィルコンA、アコフィルコンB、アクアフィルコンA、アロフィルコンA、アルファフィルコンA、アムフィルコンA、アスチフィルコンA、アトラフィルコンA、バラフィルコンA、ビスフィルコンA、ブフィルコンA、コムフィルコンA、クロフィルコンA、シクロフィルコンA、ダルフィルコンA、デルタフィルコンA、デルタフィルコンB、ジメフィルコンA、ドロクスフィルコンA、エラストフィルコンA、エプシルフィルコンA、エステリフィルコンA、エタフィルコンA、フォコフィルコンA、ガリフィルコンA、ゲンフィルコンA、ゴバフィルコンA、ヘフィルコンA、ヘフィルコンB、ヘフィルコンC、ヒラフィルコンA、ヒラフィルコンB、ヒオキシフィルコンA、ヒオキシフィルコンB、ヒオキシフィルコンC、ヒドロフィルコンA、レネフィルコンA、リクリフィルコンA、リクリフィルコンB、リドフィルコンA、リドフィルコンB、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、マフィルコンA、メサフィルコンA、メタフィルコンB、ミパフィルコンA、ネルフィルコンA、ネトラフィルコンA、オクフィルコンA、オクフィルコンB、C、オクフィルコンD、オクフィルコンE、オフィルコンA、オマフィルコンA、オキシフィルコンA、ペンタフィルコンA、ペルフィルコンA、ペバフィルコンA、フェムフィルコンA、ポリマコン、セノフィルコンA、シラフィルコンA、シロキシフィルコンA、スルフィルコンA、テフィルコンA、テトラフィルコンA、トリルフィルコンA、ビフィルコンA、ビフィルコンBおよびキシロフィルコンAを含むが、それらに限定されない。
【0042】
組成物は、固体、ペースト、軟膏、ゲル、液体、エアロゾル、ミスト、ポリマー、膜、エマルションまたは懸濁液として投与され得る。さらに、組成物はコンタクトレンズまたは薬物送達装置へと組み込まれてよく、またはコーティングされてよく、1つ以上の分子が、時間制御される手段で、レンズまたは装置から拡散されるまたは放出される。コンタクトレンズ組成物は、例えばレンズが視力矯正に必要とされる場合は、眼表面に留まってもよく、コンタクトレンズは時間経過に応じて溶解し、同時に、密接に隣り合った組織に組成物を放出してもよい。同様に、薬物送達装置は、様々な実施形態において、場合によって生分解性または不変である。
【0043】
具体的には、1つ以上のヌクレアーゼ組成物は、密閉容器、例えばアンプルまたはサシェットに包装でき、例えばヌクレアーゼの量を指し示す。一実施形態において、1つ以上のヌクレアーゼ組成物は、密閉容器に、乾燥殺菌した凍結乾燥粉末または無水濃縮物として供給され、再構成されて(例えば、水または生理食塩水を用いて)、対象への投与に適切な濃度にされ得る。一実施形態において、1つ以上の組成物は、少なくとも0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、1.5mg、2.0mg、5mg、例えば少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも75mgまたは少なくとも100mgの単位投与量で、密閉容器に、乾燥した無菌の凍結乾燥粉末として供給される。凍結乾燥組成物は、元の容器に2℃から8℃で保存されるべきであり、組成物は、再構成されてから1週間以内、例えば5日以内、72時間以内、48時間以内、24時間以内、12時間以内、6時間以内、5時間以内、3時間以内または1時間以内に投与されるべきである。さらなる実施形態において、液体形態の、投与されるヌクレアーゼ組成物は、密閉容器に、少なくとも0.25mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、少なくとも1mg/ml、少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/kg、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも75mg/mlまたは少なくとも100mg/ml供給される。液体形態は、元の容器中に2℃から8℃で保存されるべきである。
【0044】
医薬組成物は、「治療有効量」または「予防有効量」のヌクレアーゼを含むことができる。「治療有効量」は、望ましい治療結果を達成するために必要な投与の量および期間において有効な量を指す。組成物の治療有効量は、当業者によって決定されてよく、因子、例えば患者の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに組成物が患者において望ましい反応を引き出す能力に従って変化させてよい。治療有効量はまた、治療的に有益な効果により、ヌクレアーゼの毒性または有害作用のいずれか一方を上回るものである。「予防有効量」は望ましい予防結果を達成するために必要な投与の量および期間において有効な量を指す。典型的には、予防用量は疾患の前または早期段階で対象に使用されるので、予防有効量は治療有効量より少なくなる。
【0045】
c.対象
対象は、哺乳動物であってよく、ヒトであってもヒト以外の動物であってもよい。対象は、核酸に関連した眼疾患の治療を必要とし得る。
【0046】
3.核酸に関連した眼疾患を治療する方法
本明細書では、核酸に関連した眼疾患、例えばDEDを治療する方法が提供される。ヌクレアーゼ組成物は、核酸に関連した眼疾患、例えばDEDに罹患した対象の眼と接触させることができる。
【0047】
a.ヌクレアーゼ組成物の眼との接触
ヌクレアーゼ組成物は、あらゆる手段で眼と接触させることができる。眼と接触する様式は、ヌクレアーゼ組成物が局所的に塗布される、または眼に注入されるようにできる。本明細書に記載されているように、局所的に投与される、または注入される場合、組成物は、当業者によく知られている種々の形態に製剤できる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms、第19版、Mack Pub.Co.、Easton、Pa.(1995年)を参照されたい。ヌクレアーゼ組成物は、本明細書に記載されている医薬として許容できる担体と製剤化されてもよい。例えば、3(b)節を参照されたい。
【0048】
投与量、有効量およびDNアーゼ組成物を眼に接触させる他の投与経路なども、「医薬として許容できる担体」と題した部分に記載されている。
【0049】
b.核酸に関連した眼疾患
核酸に関連した眼疾患は、自己免疫性状態、涙液産生量の減少、微生物感染、涙液組成物の変質および/または環境的な条件によって引き起こされ得る。そのような条件は、例えば、まばたきの回数を減少させ、および/または眼の潤滑不足を引き起こし得る。対象は、乾燥、刺激感、刺痛、かゆみ、灼熱感または圧迫感、過敏、疼痛、赤み、炎症、分泌物および過剰流涙からなる群から選択される兆候または症状を検出することにより、核酸に関連した眼疾患、または関連した障害に罹患していると同定され得る。対象の涙液組成物は、適正な眼組織の潤滑に関して不十分なことがある。核酸に関連した眼疾患は、眼の上、中、周辺に炎症、細菌増殖および/または細菌性感染症の環境を作り得る。核酸に関連した眼疾患は、眼の上または中の涙膜、例えば、生物膜またはムコイド膜によって引き起こされ得る。涙膜は、眼と接触する物質、例えば、コンタクトレンズまたは眼にインプラントされる物質、例えば、強膜バックル、眼内レンズ、人工角膜移植術および緑内障ドレインインプラントの上に形成させてもよい。
【0050】
核酸に関連した眼疾患は、核酸産生およびクリアランス機構の異常調節の結果であることがあり、これによって涙液流体および涙膜のヌクレアーゼレベルならびに/または活性が不足し、例えば細胞外DNAおよび好中球細胞外トラップ(NETS)が涙膜に蓄積され、眼表面における炎症を引き起こす。核酸に関連した疾患は、正常な対象と比較した涙液において、ヌクレアーゼ活性の低下またはヌクレアーゼのレベルの低下によって引き起こされ得る。
【0051】
核酸に関連した眼疾患は、ドライアイ疾患、眼部瘢痕性類天疱瘡(OCP)、乾性角結膜炎(KCS)、シェーグレン症候群(SS)、シェーグレン症候群性乾性角結膜炎、非シェーグレン症候群性乾性角結膜炎、乾性角膜炎、乾燥症候群、眼球乾燥症、涙膜障害、涙液産生量の減少、水性涙液欠乏(ATD)、マイボーム腺機能不全(MGD)および蒸発損失、びまん性層間角膜炎、コンタクトレンズによる角膜炎、眼内炎または感染性結晶状角膜症であってよい。核酸に関連した眼疾患は、アレルギー性の眼の状態であってよい。アレルギー性の眼の状態は、NETまたは好酸球細胞外トラップの存在に起因し得る。
【0052】
核酸に関連した疾患を有する対象の涙液または涙膜におけるヌクレアーゼレベルは、3.14ng/mL未満のヌクレアーゼになり得る。例えば、核酸に関連した疾患を有する対象の涙液におけるヌクレアーゼレベルは、3.00ng/mL未満のヌクレアーゼ、2.50ng/mL未満のヌクレアーゼ、2.00ng/mL未満のヌクレアーゼ、1.50ng/mL未満のヌクレアーゼ、1.00ng/mL未満のヌクレアーゼ、3.00ng/mL未満のヌクレアーゼ、0.50ng/mL未満のヌクレアーゼ、または0.25ng/ml未満のヌクレアーゼになり得る。核酸に関連した疾患を有する対象の涙液または涙膜におけるヌクレアーゼ活性のレベルは、0.05Kunitz単位に等しい、またはそれ未満になり得る。核酸に関連した疾患を有する対象の涙液におけるヌクレアーゼ活性のレベルは、0.04Kunitz単位未満、0.03Kunitz単位未満、0.02Kunitz単位未満、0.01Kunitz単位未満、0.05Kunitz単位未満になり得る。1Kunitz単位は、特定条件下において25℃およびpH5.0で高度にポリマー化されたDNAに作用する際に、260nmの吸光度で、ml当たり0.001の増加を引き起こすヌクレアーゼ酵素の量と定義できる。
【0053】
(1)涙膜
涙膜は、核酸およびNETの蓄積物を含有でき、生物膜であってもムコイド膜でもあってよい。生物膜は、細菌によって産生され得る。ムコイド膜は、眼の結膜によって産生され得る。ムコイド膜または生物膜は、アレルギー性の眼の状態において存在し得る。核酸に関連した眼疾患を有する対象の眼表面または眼内側における生物膜およびムコイド膜は、細胞外DNA、NETSおよび/または好中球を含有し得る。NETSは、細胞外DNA、ヒストン、カテリシジン、および/または好中球エラスターゼを含有し得る。
【0054】
(a)ドライアイ疾患(DED)
DEDは、いくつかの因子のいずれか1つに起因し得る、あらゆる眼の疾患または障害であってよい。いくつかの変形形態において、治療されるDEDは、同種免疫反応以外のあらゆる状態によって引き起こされるDEDである。同種免疫反応は、例えば、何らかの角膜移植患者を生じ得る。より具体的には、いくつかの変形形態において、治療されるDEDは、自己免疫性DEDまたはシェーグレン症候群を伴うDEDである。DEDは、細胞外DNAが眼表面に存在することにより、涙液蒸発(蒸発性ドライアイ)が過剰に速くなる、および/または涙液産生が不十分になる可能性がある。図1およびその説明も参照されたい。いくつかの変形形態において、ドライアイ疾患は、加齢、コンタクトレンズの利用および薬剤の利用に起因する1つ以上の原因から選択される。いくつかの変形形態において、ドライアイ疾患は、レーシック屈折矯正手術の合併症である。他の変形形態において、DEDは、いかなる種類の目の手術も受けていない対象に生じる。例えば、治療される対象において、レーシック手術、角膜移植手術または他の眼球手術によってDEDは引き起こされていない。
【0055】
細胞外DNA、NETおよび好中球は、DEDの対象の眼表面に存在し、ムコイド膜および/または生物膜に豊富に存在し得る。NETは、細胞外DNA、ヒストン、カテリシジンおよび好中球エラスターゼからなり得る。涙液流体のヌクレアーゼ活性は、DEDの対象において有意に低下することがあり、一方、眼表面における細胞外DNAの量は、増加することがある。TLR9、MyD88およびI型インターフェロン、ならびに炎症性サイトカインであるインターロイキン−6および腫瘍壊死因子αなどの細胞外DNAシグナル伝達の下流の遺伝子の発現は、DED患者においても増加し得る。ヌクレアーゼ活性の欠乏は、細胞外DNAおよびNETを涙膜、例えば角膜前涙膜、ムコイド涙膜または生物膜に蓄積させ、眼表面に炎症を生じさせ得る。
【0056】
4.眼の感染症を治療する方法
細胞外核酸は、涙膜の成分である。本明細書に記載されているヌクレアーゼ組成物は、眼表面または眼内側(眼内)における、生物膜形成に関連した細菌性感染症および炎症を治療するために使用できる。
【0057】
本明細書では、眼の感染症および/または眼の炎症を治療する方法が提供される。ヌクレアーゼ組成物は、感染症に罹患した対象の眼と接触させることができる。感染症は、細菌性感染症であってもウイルス性感染症であってもよい。組成物は、上に記載したように(3節(a)を参照されたい。)眼と、例えば眼表面への局所適用により、または眼内への注入により接触させることができる。結果的に、組成物は、眼内に使用できる。
【0058】
5.キット
本明細書では、核酸に関連した眼疾患を治療、または診断するために使用できるキットが提供される。キットは、ヌクレアーゼを含んでよい。ヌクレアーゼは、眼科用賦形剤を含むヌクレアーゼ組成物であってよい。組成物は、影響を受ける眼の治療に使用するために、1つ以上の抗生物質化合物、抗ウイルス剤化合物、トール様受容体拮抗剤、1型インターフェロン拮抗剤、カテリシジン阻害剤および/または使用する好中球エラスターゼ阻害剤を容器に含有することができる。キットは、罹患した眼の治療に使用するために、ヌクレアーゼ組成物および1つ以上の抗生物質化合物、トール様受容体拮抗剤、1型インターフェロン拮抗剤、カテリシジン阻害剤および/または好中球エラスターゼ阻害剤を2つ以上の容器に含むことができる。キットは、試料採取の手段として、ピペットまたは濾紙を含むことができる。ピペットまたは濾紙は、眼表面からの涙液を採取するために使用され得る。2つ以上の容器は、例えば、段ボール箱にまとめて包装できる。キットは、一連の使用上の指示も含むことができ、この使用上の指示は、ヌクレアーゼ組成物ならびに存在すれば、抗生物質化合物、抗ウイルス剤化合物、トール様受容体拮抗剤、1型インターフェロン拮抗剤、カテリシジン阻害剤および/または好中球エラスターゼ阻害剤に言及する。指示は、本明細書に記載されている方法の行い方および/またはモニターの仕方について記載していてもよい。
【0059】
6.診断方法
本明細書では、対象が核酸に関連した眼疾患を有するかどうかを決定する方法が提供される。この方法は、対象からの涙液試料の採取を含むことができる。試料は、上記のキットを使用することによって得ることができる。この試料を、核酸に結合する色素、例えばピコグリーンと接触させることができる。あるいは、試料を、核酸と接触させ、次いで色素と接触させることができる。色の強度は、測定でき、正常な対照試料における色素の蛍光強度と比較できる。対照と比較した試料において、色素の蛍光強度のレベルが増加することは、ドライアイ疾患を示し得る。色素の強度は、眼表面における細胞外核酸のレベルを示し得る。したがって、色素の強度および細胞外核酸のレベルは、疾患の重度を示し得る。例えば、ピコグリーンが使用される場合、緑色強度が、特に対照(すなわち陰性対照)と比較して高いと、対象が重大なドライアイ疾患を有することを指し示し得る。使用される色素の種類に応じて、眼表面におけるヌクレアーゼのレベルも、この方法を使用して決定され得る。
【0060】
本発明は、複数の態様を有し、以下の非限定的な例により例示される。
【実施例】
【0061】
[実施例1]
眼表面における細胞外DNAを確定する方法(図2〜9およびそれらの説明を参照されたい。)
ドライアイ患者から、シルマー試験紙を使用して試料を採取した。シルマー試験は、眼の検査中に実施されるごく普通の試験である。シルマー試験は、下外側眼瞼の下に5分間配置した薄い濾紙ストリップからなる。次いで紙ストリップは、取り去られ、紙の湿った部分の量について測定される。その量はミリメートルで測定される。数値が5未満であれば、ドライアイ疾患と診断される。通常は、試験後、この紙ストリップは廃棄される。しかし、本研究においては、この紙は、廃棄されずに使用された。
【0062】
紙は、パルパーバル結膜および眼球結膜に接触するので、これらの領域からの細胞が濾紙に付着する。紙からの細胞は、シランコーティングした、Tekdon Corporationの粘着性コーティングスライドに採取された。このプロセスにおいて各患者からスライド4枚が得られた。スライドは、染色する前に、10%ホルムアルデヒド中で少なくとも半時間にわたって保存された。これらのスライドは、次いで、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色され、NETの存在に関して、好中球エラスターゼ、ヒストンおよびミエロペルオキシダーゼ抗体を用いて免疫染色された。スライドは、次いで、アポトーシスに関して、カスパーゼ3抗体を用いて免疫染色された。
【0063】
ヘマトキシリンおよびエオシン染色に関して、細胞は10%ホルムアルデヒド中に少なくとも半時間にわたって固定された。スライドは、ヘマトキシリンに7分間浸され、続いて洗浄された。次いで、スライドは、酸リンスに4回浸され、続いて洗浄され、次いで青味剤に2分間浸された。スライドは、軽く洗浄され、続いてエオシンに2分間浸された。洗浄した後、スライドは室温で空気乾燥され、カバースリップにより覆われ、光学顕微鏡下で視覚化された。
【0064】
眼表面におけるNETの存在を示すために、(a)好中球エラスターゼ(Dakocytomation−モノクローナルマウス抗ヒト好中球エラスターゼ)およびヒストン(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)に対する抗体を4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールすなわちDAPI(Vector Labs、Burlingame、CA)と共に、(b)ミロペルオキシダーゼおよびヒストン(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)に対する抗体をDAPIと共に使用した2重の免疫染色が行われた。シランコーティングしたスライドにおける細胞は、10%ホルムアルデヒド中に少なくとも半時間にわたって固定された。次いでスライドは、PBS+0.025%Triton−X100を使用して、5分間撹拌しながら2回洗浄された。次いで、細胞は、PBS中の10%通常血清+1%BSAを用いて2時間にわたり室温でブロックされた。一次抗体は、PBSを使用して、好中球エラスターゼに対して1:400およびヒストンに対して1:200の比で希釈された。一次抗体を用いたスライドは、4℃で一晩インキュベートされた。一晩インキュベーションさせた後、細胞は、PBS+0.025%Tritonを使用して5分間撹拌しながら2回洗浄された。次のステップで、好中球エラスターゼ(赤)およびヒストン(緑)に対する二次抗体が加えられ、PBS+1%BSAを使用して希釈され、室温で1時間インキュベートされた。1時間後、スライドはPBSで5分間にわたって3回すすがれ、DAPI(Vector Labs、Burlingame、CA)を用いて対比染色された。後で、スライドは、倒立顕微鏡(Carl Zeiss Meditec GmbH、Hamburg、Germany)により視覚化された。
【0065】
細胞外DNAを定量化するために、細胞外DNAおよび細胞を含有する濾紙は、100U/mLのDNアーゼ1(Fermentas Life Sciences、Hanover、MDから)でインキュベートされた。次いで、ヌクレアーゼ活性を止めるためにEDTA0.5Mが加えられ、上澄みが採取された。ピコグリーン(Invitrogen、Carlsbad、CA)DNA蛍光DNA色素が加えられ、DNA含有量が蛍光分光分析法により定量された。
【0066】
DNアーゼ処理:各患者の結膜からの試料4種が採取され、処理された:試料1−DAPIで染色された(対照);試料2−DNアーゼ(100IU/ml、20分間)を用いて処理され、DAPIで染色された;試料3−加熱不活性化DNアーゼ(100IU/ml、20分間)を用いて処理され、DAPIで染色された;試料4−PBSに浸漬させ、DAPIで染色された。
【0067】
試料は、次いで、倒立顕微鏡(Carl Zeiss Meditec GmbH、Hamburg、Germany)により視覚化された。AxiovisionおよびNeurolucidaソフトウェアを使用して撮像することにより、定量化が行われた。Microsoft Excelを使用して値が算出され、グラフがプロットされた。図9およびその説明を参照されたい。
【0068】
[実施例2]
実施例3および4に使用される方法
研究対象母集団:涙液不足の症状を示すDED患者および通常の涙液産生を有する無症状の健常者が登録され、施設内の治験審査委員会に承認されたプロトコールの下で、ヘルシンキ宣言に従って、書面によるインフォームドコンセントを得た。患者は、何らかのDED症状(乾燥、過敏、不快感、光感受性または異物感)について訴え、さらにシルマーI値≦5分で5mm(麻酔なし)と定義される重大な水性涙液欠乏を有する場合に含まれた。個体は、眼球症状を示さず、シルマーI値≧5分で12mm(麻酔なし)の場合に対照群に含まれた。
【0069】
剥離した結膜細胞およびムコイド膜の分析:シルマーI試験は、局所麻酔なしで、シルマー試験ストリップ(Haag−Streit、Essex、UK)を眼瞼縁下外側、側面、中央の3か所の上に5分間置くことにより行われた。ストリップが湿った部分がミリメートル単位で記録された。試験ストリップは眼瞼結膜および眼球結膜に接触しているため、これらの領域からの細胞は、ストリップ除去の際に剥離された。ストリップに付着する細胞は、シランコーティングした粘着性のスライドに移された。スライドは、さらなる分析の前に、直ちに、中性緩衝10%ホルムアルデヒド(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)に30分間固定された。ムコイド膜は、使い捨ての毛管ガラスチューブ(5μlの体積;Sigma−Aldrich)を使用して眼球結膜の上でまたは下結膜円蓋から採取された。ムコイド膜は、シランコーティングしたスライドの上に展開され、加工された。
【0070】
ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色:結膜の剥離した細胞(n=15)またはムコイド膜(n=10)を有するスライドは、ヘマトキシリン(H−3401、Vector Labs、Burlingame、CA)で染色され、酸ですすがれ、青味溶液に浸され、エオシン(Thermo Scientific、Waltham、MA)で対比染色された。スライドは、Axioscope 100正立顕微鏡(Carl Zeiss Meditec GmbH、 Hamburg、Germany)を使用して試験され、Zeiss MRcカラーカメラを使用して撮像され、Zeiss Axiovisionを使用して分析された。
【0071】
免疫染色および共焦点顕微鏡:免疫蛍光染色および共焦点顕微鏡を行い、先に記載されているように、NETの分子成分および細胞外DNA(eDNA)を限局させる。スライドは、0.025%TritonX−100中で5分間にわたって透過処理し、PBS中の1%ウシ血清アルブミン(BSA)および10%通常ロバ血清を用いて2時間にわたって室温でブロックされた。スライドは、ブロッキング溶液で希釈した(1:200)一次抗体で、4℃で一晩インキュベートされた。スライドはPBS中で4回洗浄され(各15分間)、ブロッキング溶液で希釈した(1:200)二次抗体で1時間インキュベートされた。4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI;Cat.♯H−1200、Vector Labs)を有するVectashield mounting mediumをスライド上に配置し、ガラスカバースリップで覆った。使用された一次抗体は:(1)マウスモノクローナル抗ヒト好中球エラスターゼ(clone NP57、DAKO、Glostrup、Denmark);(2)ヤギポリクローナル抗ヒストンH2B(Cat.#SC−8650、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA);および(3)ウサギポリクローナル抗カテリシジン(Cat.#ab64892、Abcam、Cambridge、MA)であった。使用された二次抗体は、好中球エラスターゼに対してDylight594−結合抗マウスIgG(1:1000、Jackson Immunoresearch Laboratories、West Grove、PA)およびヒストンおよびカテリシジンに対してFITC 480抗ヤギIgG(1:200、Jackson Immunoresearch Laboratories)であった。標本は、LSM710META共焦点顕微鏡(Carl Zeiss Meditec GmbH、Hamburg、Germany)を使用して分析された。患者の試料が、最初に撮像されて、蛍光シグナルが最適化され、その後直ちに、同一の設定を使用して陰性対照のスライド(一次抗体が省略されている。)が撮像された。一次抗体の抗好中球エラスターゼおよび抗カテリシジンの特異性は前もって検証された。
【0072】
涙腺DNアーゼI免疫染色法:保管していた非炎症性および非悪性の涙腺生検(n=5)から涙腺部位(6〜8μm)を得た。部位は、56℃で30分間にわたり脱パラフィン化され、続いて、段階的にアルコールを用いて連続して処理された。部位は、上に記載したように染色処理された。使用される一次抗体は、ウサギポリクローナル抗DNアーゼ1(1:50、Cat.♯HPA010703、Sigma Prestige、St.Louis、MO)であった。二次抗体は、Dylight594−結合抗ウサギIgGであった。陰性対照は:(1)一次抗体の省略(2)ウサギポリクローナルIgGアイソタイプ対照(Cat.#ab27427、Abcam)および(3)一次抗体と共にプレインキュベートしたペプチド(Cat#HPA010703に対するペプチド、Atlas Antibodies AB、Stockholm、Sweden)であった。上に記載したように、撮像および分析を行った。
【0073】
eDNA鎖のレーザーキャプチャーマイクロダイセクション:シルマー試験ストリップインプレッションは、上に記載したように、膜スライド(Cat#11505158、Leica、Solms、Germany)上で撮像された。スライドは、10%ホルムアルデヒド中に30分間にわたって固定され、1×PBSで洗浄された。スライドは、DAPIで染色された。PBS中で軽く洗浄され、37℃で30分間乾燥させられた。DAPI染色したeDNA鎖は、PALMレーザーキャプチャ−マイクロダイセクション顕微鏡(Carl Zeiss、Thornwood、NY)を使用して、視覚化され、分析され、取り込まれた。取り込まれた鎖は、粘着性のキャップに採取され、DNAは、DNAzol(Cat.#1−0503−027、Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して、製造者のプロトコールに従って抽出された。PCRは、製造者のプロトコールによりGoTaq PCRキット(Cat.#M7122、Promega、Madison、WI)を使用して行われた。ヒトGAPDH遺伝子(Cat.#PPH00150F、SA Biosciences、Frederick、MD)は、遺伝子の特異的なプライマーを使用して増幅された。PCR産物は、2%エチジウムブロマイド染色されたアガロースゲル上で電気泳動され、視覚化された。
【0074】
眼表面のeDNAの定量化:我々は、2つの方法を使用して、眼表面におけるeDNAの量を計算した。第一に、eDNA鎖の全体の長さは、ガラススライド上のシルマー試験ストリップインプレッションに由来する剥離した物質において決定された。第二に、eDNAが、DNアーゼIを使用してシルマー試験ストリップから抽出され、ピコグリーンDNA蛍光色素を使用して蛍光強度を決定した。
【0075】
eDNAの長さ:シルマーストリップインプレッションを用いたスライドは、固定され、DAPIで染色された。5種の無作為な20×対物レンズ視野が、倒立顕微鏡(Axio Observer、Zeiss)を使用して撮像され、Neurolucidaソフトウェア(MBF Bioscience、Williston、VT)を使用して分析された。eDNAの繊維がトレースされ、長さが角膜神経に関して先に記載されているように、Neuroexplorer(MBF Bioscience)を使用して算出された。ドライアイ患者(n=10)におけるeDNA全長の平均が正常な対照(n=10)と比較された。
【0076】
ピコグリーンアッセイ:ピコグリーンアッセイを、先に記載されているように行った。結膜に接触したシルマーストリップの折り畳んだ端部が、エッペンドルフ型チューブに採取され、100U/mlのDNアーゼI(Cat.#EN0521、Fermentas Life Sciences、Hanover、MD)の200μlが加えられた。20分後、ヌクレアーゼ活性が、EDTA0.5mMにより停止され、シルマーストリップの端部が除去された。ピコグリーンDNA蛍光色素(Cat.#P7589、Invitrogen Detection Technologies)が加えられ、蛍光強度が、マイクロプレートリーダー(Synergy H1、BioTek、Winooski、VT)を使用して決定された。値は、平均化され、DED患者(n=10)および正常な対照(n=10)の間で比較された。
【0077】
剥離した結膜細胞の遺伝子発現:RNAは、DED患者(n=20)および正常な対照(n=16)からのシルマー試験ストリップにおける剥離した結膜細胞から抽出された。シルマー試験ストリップの折り畳んだ端部が、RNA抽出のためにTRIzol(Invitrogen)中に直接配置され、RNA抽出が製造者のプロトコールに従って行われた。合計1000ngのRNAに対して、RT First Strand eDNA合成キット(SABiosciences)を使用して逆転写が行われた。生じるeDNAは、TR Nano Pre AMPキットを使用して、製造者の指示に従ってプレ増幅された。リアルタイム定量PCR(qPCR)は、SYBRを用いて7900HT ABIリアルタイム機器を使用して行われた。eDNAシグナル伝達遺伝子の発現および炎症性サイトカインは、リアルタイムqPCRにより分析された。
【0078】
特に記載がなければ、すべてのプライマーおよび試薬は、SABiosciencesから購入された。使用されたプライマーは、トール様受容体9(TLR9;Cat.#PPH01809A)、インターフェロン−a(INFA;Cat.#PPH01321A)、MyD88(Cat.#PPH00911A)、インターフェロン−β(INFB;Cat.#PPH00384E)、IL−6(Cat.#PPH00560B)、TNF−a(Cat.#PPH00341E)およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH;Cat.#PPH00150F)であった。試料は、95℃で10分間、95℃で15秒間を40サイクル、および60℃で60秒間のサイクル条件を使用して、25μlの全体体積で、繰り返しアッセイされた。ヒトゲノムDNAの混入対照は、増幅試薬がゲノムDNAで汚染されていないことを確認するために使用された。データ分析に関して、DED患者の各遺伝子のサイクル閾(CT)は、正常な対象の対応する値へと標準化され、2ΔΔCT法を使用して倍率変化を計算するために使用された。
【0079】
涙液流体におけるヌクレアーゼ活性およびDNアーゼI:スリットランプ生物顕微鏡を使用し、使い捨ての毛管ガラスチューブを使用して涙液が採取された。チューブは、下結膜円蓋に配置され、毛管作用により涙液が採取された。涙液は、分析のために、DNアーゼを含まないエッペンドルフチューブに移された。
【0080】
通常の涙液流体におけるヌクレアーゼ活性:DED患者(n=5)および正常な対照(n=5)における涙膜のヌクレアーゼ活性が、製造者の指示によりDNA消化アッセイ(DNアーゼ検出キット、MO−BIO Laboratories、Carlsbad、CA)を使用して定量された。涙液試料およびDNA標準物質(1−kbのDNAラダー)が、2%エチジウムブロマイド染色されたアガロースゲルで電気泳動され、UV−ライトボックスを使用して撮影された。DNアーゼ活性は、DNA標準物質のバンド強度およびパターンを、涙液試料のものと比較することによって評価される。ヌクレアーゼが涙液流体に存在する場合、試料レーンにおいてスメアを生じ、バンド強度が低下する。DNAラダーが完全に分解される場合、ヌクレアーゼ活性は、この方法による検出の上限である0.05Kunitz単位を超える。
【0081】
涙液流体におけるヌクレアーゼ活性:蛍光性共鳴エネルギー伝達(FRET)に基づくアッセイが使用されて、DED患者(n=17)および正常な対照(n=15)からの涙液流体における全体のヌクレアーゼ活性が比較された。FRETヌクレアーゼアッセイが行われた。FRET基質であるPRIMETIME商標qPCRプローブは、Integrated DNA Technologies(Coralville、IA)から購入した。これは、短い(15mer)一本鎖のオリゴヌクレオチドからなり、Cy3蛍光体により5’末端で、およびBlack Hole Quencher2(BHQ2)により3’末端で修飾されている。オリゴヌクレオチド基質の配列は、5’CCC CGG ATC CAC CCC3’(配列番号2)である。オリゴヌクレオチドが無傷である場合、Cy3およびBHQ2は、蛍光を抑えることができるほど近い。オリゴヌクレオチド切断の際に、Cy3の蛍光は、切断回数に比例することから、ヌクレアーゼ活性の定量に使用され得る。HPLC精製したFRET基質の収率について相当な差異が、3オーダー(250nモル合成オーダーに対する21.1および35.8nモルならびに1μモル合成オーダーに対する124.5nモル)において観察されたことから、我々はデータをプールせず、1μモルのオーダーを用いて行われた涙液流体のヌクレアーゼ活性分析について報告した。収率における差異は、HPLC精製プロセスのためであり、FRET基質の純度に反比例する。涙液試料は、上に記載したように採取された。試料は、アッセイが行われるまで氷上でインキュベートされた。アッセイは、試料採取から3時間以内に行われた。涙液試料(5μl)がマイクロタイタープレートに加えられた。FRET基質(50μlの緩衝液溶液中に2.5nmol)が、涙液試料を含有するウェルに加えられた。放射された蛍光(RFU)および蛍光変化の量が、マイクロプレートリーダー(Synergy H1、BioTek)を使用して、37℃、励起552nmおよび放出580nmで測定された。読み取り前および読み取りが3秒間隔で30分間行われた後に、プレートは5秒間撹拌された。分析に関して、各患者に対する動的なRFU測定が30分間にわたって平均化された。
【0082】
涙液流体におけるDNアーゼIの定量化:我々は、市販のヒトDNアーゼ1のELISAキット(Cat.#E0100214、Life Sciences Advanced Tech、St.Petersburg、FL)を使用して、涙液流体におけるDNアーゼIの量を決定した。25μlの涙液流体(n=5)および0.5mlの唾液(n=5)が健常な対象から採取された。唾液は、4℃で、15,000rpmにて5分間遠心分離され、25μlの上澄みが分析された。標準物質または試料(25μl)が、抗体をプレコーティングしたマイクロタイタープレートの適切なウェルに加えられ、製造者の指示によりアッセイが行われた。このアッセイの感度は0.1ng/mlである。
【0083】
統計的な分析:平均値および平均の標準誤差が、DED患者および通常の対象に対して計算され、スチューデントのt検定を使用して分析された。Microsoft Excel事務用統計ソフトウェアパッケージが、分析およびグラフに使用され、p≦0.05は、統計的に有意と考えられた。
【0084】
[実施例3]
eDNAおよび好中球細胞外トラップ(NET)は眼表面に存在する
研究対象の母集団は、DED患者(n=37名、眼73例)を含んでおり、DED患者は、2.76±0.35mmの水性涙液の平均産生量を有していた。通常の患者(n=18名、眼36例)は、19.1±1.25mmの水性涙液の平均産生量を有しており、DED患者より有意に多かった(p<0.001)。患者は、非シェーグレン症候群性ドライアイ(n=33)、これには特発性、レーシック手術後、神経栄養性のものおよび眼部の瘢痕性類天疱瘡などの病因が含まれていた、ならびにシェーグレン疾患(n=4)を有していた。
【0085】
eDNAおよび好中球細胞外トラップ(NET)は、眼表面に存在する:H&Eおよび免疫蛍光染色が、重度のDED患者からの結膜細胞において行われた。細胞は、シルマーI試験(図11、A1、A2)を行った後のガラススライドにおける試験ストリップインプレッションに由来していた。H&E染色は、単体または集団で存在する、剥離した結膜細胞を示した。細胞は、円形または楕円形の形状をとり、エオシニオフィリックな細胞質および均一に円形で好塩基性の核を伴っていた(図11、B)。DAPI核染色は、通常の対象における2、3のまばらなeDNA鎖(図11、C1)、DED患者におけるきわめて長いeDNA鎖(図11、C2)を明らかにした。共焦点顕微鏡法は、好中球が、eDNA鎖の間に存在する(図11、D)ことを明らかにした。ヒストン(図11、E1)および好中球エラスターゼ(図11、E2)は、DAPI染色したeDNA鎖と共局在し、これらがNET(図11、E4)であることを確認した。eDNAがインプレッションサイトロジーによる人為的な結果となり得る可能性を除外するために、同一の方法論を使用して得られた剥離した頬粘膜細胞で分析が行われた。eDNA鎖は観察されなかった(データは示されていない。)。
【0086】
H&Eおよび免疫蛍光染色が、眼球結膜/角膜上(図12、A1)または下結膜円蓋(図12、A2)に存在するムコイド膜で行われた。ムコイド膜は、泡状の白いムコイドの堆積物として発生し、まばたきにより分散することがあった。毛管チューブが使用されて、分析のためにこれらのムコイド膜を持ち上げた。いくつかの例において、濁った白い流体が毛管チューブへと吸い出された。しかし、分析は、類似した結果をさらに明らかにした。H&Eは、ムコイド膜内におけるおびただしい数の好中球および剥離した細胞を示した(図12、B1)。DAPI染色は、eDNA(図12、B2)およびおびただしい数の好中球エラスターゼ陽性好中球(図12、B3)を示した。好中球エラスターゼ(図12、C1)およびヒストン(図12、C2)は、DAPI染色されたeDNA鎖と共局在し、これらがNET(図12、C4)であることが確認された。
【0087】
DNAに含有されているDAPI染色された鎖を確認するために、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション顕微鏡(図12、D1およびD2)を使用して、DAPI染色された鎖が膜のスライドから取り込まれた。細胞外でDAPI染色された鎖は、GAPDH遺伝子産物のPCR増幅で示されるように(図12、D3)DNAを含有する。
【0088】
NETにおけるカテリシジンの存在が調査された:カテリシジンはムコイド膜内に存在し(図13、A1)、好中球エラスターゼおよびDAPI染色された核の物質と共局在した(図13、A4)。カテリシジンは、好中球内にも存在した(図13、B4)。カテリシジン、核の物質および好中球エラスターゼは、好中球から押し出されてNETを形成する(図13、C1〜4)。
【0089】
眼表面におけるeDNAの量に関して、DED患者は、水性涙液産生量が通常の対象と比較して有意に低かった(図14、A)。eDNA鎖の長さは、通常の対象(1.58±0.47mm)と比較して、DED患者(15.0±4.2mm)において有意に長かった(p=0.002)(図14、B)。眼表面におけるeDNAの量も、ピコグリーンアッセイによって測定されたように、対照(13055.5±1787.2RFU)と比較して、DED患者(20137.2±1507.3RFU)において有意に多かった(p=0.006)(図14、B)。
【0090】
[実施例4]
eDNAシグナル伝達経路の遺伝子発現
剥離した結膜細胞におけるqPCRが行われて、eDNAシグナル伝達の遺伝子下流の発現における倍率変化が決定された(図14、D)。TLR9、Myd88およびI型IFN(IFNAおよびIFNB)ならびに炎症遺伝子であるIL−6およびTNF−aの発現は、DED患者からの結膜細胞において有意に増加した。観察されたDED患者の遺伝子発現において、倍率増加は次のとおりであった:TLR9(5.57±1.6、p=0.003)、Myd88(4.20±0.6、p<0.0001)、IFNA(3.09±0.5、p=0.0003)、INFB(4.18±0.6、p<0.0001)、TNF−a(20.6±10.0、p=0.03)およびIL−6(17.3±3.1、p<0.0001)。
【0091】
[実施例5]
DED患者におけるヌクレアーゼ欠乏
ヌクレアーゼおよびDNアーゼIは、涙液流体に存在する。DNアーゼIの特異的な抗体は、涙腺部位を免疫染色するために使用された。DNアーゼIは、涙腺腺房を裏打ちしている上皮細胞内に局在していた(図15、A)。涙液試料にELISAが行われて、涙液および唾液におけるDNアーゼIの量が決定された(図15、B1)。涙液におけるDNアーゼIの濃度は、3.14±0.49ng/mlであり、唾液における濃度は4.21±1.14ng/mlであった。涙液におけるヌクレアーゼ活性は、DNアーゼ検出キットアッセイを使用して定量された(図15、B2)。正常な対象およびDED患者の涙液におけるヌクレアーゼ活性は、0.05Kunitz単位超であった。このアッセイは、0.05Kunitz単位がこの方法の検出上限であるため、DED患者および正常な対象の涙液流体のヌクレアーゼ活性を、定量および比較するためには使用できなかった。したがって、FRETに基づくヌクレアーゼ活性アッセイが使用されて、DED患者および正常な対象との間で、全体のヌクレアーゼ活性が比較された(図15、C1)。全体のヌクレアーゼ活性は、対照(52843.6±724.4RFU)と比較して、DED患者(36749.2±3898.6RFU、p=0.003)において有意に低かった(図15、C2)。
【0092】
[実施例6]
NETのヌクレアーゼ媒介性分解
DEDに関連する、eDNA鎖の処理におけるヌクレアーゼ処理の治療価値を立証するために、DED患者のシルマーストリップインプレッションに由来する剥離した物質は、DNアーゼIで処理された。図6(A)で示されているように、eDNA鎖は、DED患者の眼の眼表面からサンプリングされた未処理の剥離した物質に多く見出された。しかし、図6Aで示されているように、DNアーゼIを用いた、20分間にわたる同一の物質のインキュベーション後、eDNA鎖は認められなかった(図6(B))。この結果は、眼表面のeDNA鎖は、DNアーゼIを用いた処理により溶解され得ることを実証する。
【0093】
[実施例7]
涙膜における細菌
重度に涙液が不足するドライアイ疾患患者は、眼表面にムコイド膜を有し得る。ムコイド膜は、無菌のeSwabを使用して眼表面から持ち上げられた。グラム陽性球菌の増殖が観察され、この菌はコアグラーゼ陰性のスタフィロコッカス種と同定された。図16AおよびBを参照されたい。
図1
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]