特許第6202407号(P6202407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 6202407-無人飛行体 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202407
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】無人飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20170914BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20170914BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20170914BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20170914BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20170914BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B64C13/18 Z
   B64C13/20 Z
   B64C27/08
   B64C39/02
   B64D27/24
   G05D1/10
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-10672(P2016-10672)
(22)【出願日】2016年1月22日
(62)【分割の表示】特願2015-97776(P2015-97776)の分割
【原出願日】2015年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-210403(P2016-210403A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年1月22日
【審判番号】不服2016-16469(P2016-16469/J1)
【審判請求日】2016年11月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515126879
【氏名又は名称】オービタルワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】青木 修
【合議体】
【審判長】 和田 雄二
【審判官】 尾崎 和寛
【審判官】 平田 信勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−31118(JP,A)
【文献】 特開2006−82774(JP,A)
【文献】 特開2010−182055(JP,A)
【文献】 特開2012−120438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/18
B64C 13/20
B64C 39/02
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体において、
電池と、
前記電池から供給される電力で動作し複数のローターを回転させて当該無人飛行体を浮上および飛行させる複数のモーターと、
前記複数のモーターを制御して当該無人飛行体の飛行制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、飛行中において前記電池の出力電圧、出力電流、および出力電力のいずれかが所定の閾値未満になったときに危険回避制御を行い、
前記危険回避制御は、前記モーターに対する、当該無人飛行体の上昇禁止制御または当該無人飛行体の自律降下制御を含み、
前記電池は、2次電池であり、
前記制御部は、前記電池の充電回数に応じて前記危険回避制御のための前記所定の閾値を調整すること、
を特徴とする無人飛行体。
【請求項2】
前記制御部は、前記電池の充電回数が多くなるほど前記所定の閾値が高くなるように、前記所定の閾値を調整することを特徴とする請求項1記載の無人飛行体。
【請求項3】
無人飛行体の制御プログラムにおいて、
コンピューターを、前記無人飛行体に搭載されている複数のモーターを制御して前記無人飛行体の飛行制御を行う制御部として機能させ、
前記複数のモーターは、前記無人飛行体に搭載されている電池から供給される電力で動作し複数のローターを回転させて前記無人飛行体を浮上および飛行させ、
前記制御部は、飛行中において前記電池の出力電圧、出力電流、および出力電力のいずれかが所定の閾値未満になったときに危険回避制御を行い、
前記危険回避制御は、前記モーターに対する、当該無人飛行体の上昇禁止制御または当該無人飛行体の自律降下制御を含み、
前記電池は、2次電池であり、
前記制御部は、前記電池の充電回数に応じて前記危険回避制御のための前記所定の閾値を調整すること、
を特徴とする無人飛行体の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローンと呼ばれる無人飛行体が普及しつつある。ドローンは、搭載される電池の電力で複数のローターを回転させて飛行する(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0254896号明細書
【特許文献2】特開2015−37937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ドローンのような無人飛行体は、搭載される電池の電力が消費され不足すると墜落することになり、人に対して危険であるとともに、無人飛行体が損傷してしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、搭載電池の電力不足に起因する墜落による損傷の可能性が比較的小さい無人飛行体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無人飛行体は、電池と、電池から供給される電力で動作し複数のローターを回転させて当該無人飛行体を浮上および飛行させる複数のモーターと、当該無人飛行体の高度を少なくとも検出する位置検出部と、複数のモーターを制御して当該無人飛行体の飛行制御を行う制御部とを備える。そして、制御部は、飛行中において電池の出力電圧、出力電流、および出力電力のいずれかが所定の閾値未満になったときに危険回避制御を行う。この危険回避制御は、当該無人飛行体の上昇禁止制御または当該無人飛行体の自律降下制御を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搭載電池の電力不足に起因する墜落による損傷の可能性が比較的小さい無人飛行体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本発明の実施の形態に係る無人飛行体の電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態に係る無人飛行体の電気的な構成を示すブロック図である。図1に示す無人飛行体は、ここでは、ドローンであるが、同様の機能を有する他の形態としてもよい。この無人飛行体には、例えば特許文献2に記載されているようなカメラシステムを搭載してもよい。また、この無人飛行体は、例えば特許文献1に記載のように物品の運搬を行うことができるようにしてもよい。
【0011】
図1に示す無人飛行体は、電池11、複数のモーター12、位置検出部13、制御部14、ドライバー回路15、記憶装置16、無線通信装置17、電圧センサー21、および電流センサー22を備える。これらの構成要素は、所定形状の本体構造体(フレームなど)に搭載されている。所定形状の本体構造体(フレームなど)については、既知のドローンと同様なものを採用すればよい。
【0012】
電池11は、1次電池または2次電池であり、無人飛行体内の各構成要素に電力を供給する。電池11は、当該無人飛行体に固定されていてもよいし、着脱可能としてもよい。モーター12は、電池11から供給される電力で動作し複数のローターを回転させて当該無人飛行体を浮上および飛行させる。
【0013】
位置検出部13は、当該無人飛行体の高度を少なくとも検出する。ここでは、位置検出部13は、GPS(Global Positioning System)検出器であって、位置検出部13、つまり当該無人飛行体の現在位置の緯度、経度、および高度を検出する。
【0014】
制御部14は、複数のモーター12を制御して当該無人飛行体の飛行制御(上昇、下降、水平移動などの制御)を行う。また、制御部14は、当該無人飛行体に搭載されている図示せぬジャイロを使用して、複数のモーター12を制御して姿勢制御を行う。制御部14は、マイクロコンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで構成される。ドライバー回路15は、制御部14からの制御信号に従ってモーター12を駆動する。例えば、モーター12は、直流モーターであって、ドライバー回路15は、制御部14からの制御信号により指定された電圧をモーター12に印加する可変電圧電源回路である。
【0015】
記憶装置16は、制御部14のマイクロコンピューターで実行される制御プログラムを格納しているとともに、飛行ルートデータを格納される。つまり、この制御プログラムがこのマイクロコンピューターを制御部14として機能させる。この記憶装置16は、フラッシュメモリーなどの書換可能な不揮発性の記憶装置で構成される。
【0016】
なお、飛行ルートデータは、着陸地点の位置情報(緯度および経度)、経路上の位置情報(緯度および経度)、飛行高度情報などを含む。制御部14は、位置検出部13により検出される現在位置が、飛行ルートデータにより示される経路上になるように飛行方向および飛行高度を決定し、現在位置並びに決定した飛行方向および飛行高度に応じてモーター12を制御する。
【0017】
制御プログラムおよび飛行ルートデータは、図示せぬ無線または有線のインターフェイス回路を介して外部の端末装置からインストールされ、記憶装置16に格納される。なお、このインターフェイス回路の代わりに無線通信装置17を使用してもよい。また、制御プログラムは、制御プログラムを記録した可搬性のある記録媒体によって配布されてもよいし、インターネット上のサーバーから配布されるようにしてもよい。また、飛行ルートデータは、端末装置上の所定のソフトウェアで作成され、その端末装置からインストールされるようにしてもよい。
【0018】
無線通信装置17は、図示せぬリモートコントローラーとの間で無線通信を行い、リモートコントローラーから遠隔制御信号を受信する。
【0019】
電圧センサー21は、電池11の出力電圧を検出する。電流センサー22は、電池11の出力電流を検出する。
【0020】
制御部14は、(a)飛行中において電池11の出力電圧、出力電流、および出力電力のいずれかが低下して所定の閾値未満になったときに危険回避制御を行い、(b)その所定の閾値を、少なくとも位置検出部13により検出された高度に応じて調節する。
【0021】
この実施の形態では、この所定の閾値は位置検出部13により検出された高度に応じて調節され、位置検出部13により検出された緯度および経度に応じて調節されない。
【0022】
なお、出力電力は、出力電圧および出力電流の積として計算される。
【0023】
この危険回避制御は、当該無人飛行体の上昇禁止制御または当該無人飛行体の自律降下制御を含む。上昇禁止制御は、位置検出部13により検出される高度が増加しないように、モーター12の動作を制限する制御である。自律降下制御は、位置検出部13により検出される高度を監視して、所定値(例えば20m/分)以下の降下速度で自律的に降下していくようにするモーター12の制御である。
【0024】
飛行ルートデータに基づく自律飛行中の場合、上昇禁止制御では、高度の増加のための制御は禁止されるが、緯度方向および経度方向の移動のための制御は許可される。遠隔制御信号に基づく遠隔制御飛行中の場合、上昇禁止制御では、遠隔制御信号に基づく高度の増加のための制御は禁止されるが、緯度方向および経度方向の移動のための制御は許可される。
【0025】
危険回避制御が自律降下制御である場合には、上述の閾値は、現在の高度から所定の降下速度以下で着陸するために必要な電力が確保されるように設定される。なお、現在の高度から所定の降下速度以下で着陸するために必要な電力は、実験などにより予め求められる。危険回避制御が上昇禁止制御である場合には、上述の閾値は、危険回避制御が自律降下制御である場合の閾値より所定の割合で高く設定される。
【0026】
したがって、高度が高いほど、上述の閾値は高くなるように調整される。つまり、高度が第1の値であるときの閾値は、高度が第1の値より低い第2の値であるときの閾値以上に設定される。
【0027】
制御部14は、無線通信装置17により受信される遠隔制御信号、または記憶装置16内に格納されている飛行ルートデータに従って当該無人飛行体の飛行制御を行い、電池11の出力電圧、出力電流、および出力電力のいずれかが所定の閾値未満になった場合、遠隔制御信号または飛行ルートデータに拘わらず、上述の危険回避制御を行う。
【0028】
次に、上記無人飛行体の動作について説明する。
【0029】
制御部14は、遠隔制御信号または図示せぬ操作部に対するユーザー操作に従って、モーター12を制御して当該無人飛行体を離陸させる。その後、制御部14は、遠隔制御信号または飛行ルートデータに従って、モーター12を制御して当該無人飛行体を飛行させる。
【0030】
飛行中、制御部14は、(a)位置検出部13により検出された現在の高度を定期的に繰り返し特定し、特定した高度に基づいて閾値を調整するとともに、(b)電池11の出力電圧、出力電流、または出力電力を監視し、監視している出力電圧、出力電流、または出力電力の値が閾値未満であるか否かを定期的に繰り返し特定する。なお、例えば、位置検出部13により検出された現在の高度に基づいて、飛行中であるか否かを判定してもよいし、モーター12への印加電圧などに基づいて、飛行中であるか否かを判定してもよい。
【0031】
監視している出力電圧、出力電流、または出力電力の値が閾値未満であると判定しなかった場合、制御部14は、遠隔制御信号または飛行ルートデータに従って、飛行を継続する。一方、監視している出力電圧、出力電流、または出力電力の値が閾値未満であると判定した場合、制御部14は、所定の危険回避制御を実行する。
【0032】
以上のように、上記実施の形態に係る無人飛行体は、電池11の電力でモーター12を駆動してローターを回転させ、当該無人飛行体を浮上、飛行させる。そして、制御部14は、飛行中において電池11の出力電圧、出力電流、および出力電力のいずれかが所定の閾値未満になったときに危険回避制御を行う。この危険回避制御は、当該無人飛行体の上昇禁止制御または当該無人飛行体の自律降下制御を含む。さらに、制御部14は、その所定の閾値を、少なくとも位置検出部により検出された高度に応じて調節する。
【0033】
これにより、搭載電池11の電力不足に起因して高高度からの墜落の可能性を低くすることができ、そのような墜落に起因する墜落による損傷の可能性が比較的小さくなる。
【0034】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0035】
例えば、上記実施の形態において、制御部14は、(a)飛行中において電池11の出力電圧、出力電流、および出力電力のいずれか1つの指標が所定の第1閾値未満になったときに第1危険回避制御を行い、その指標が所定の第2閾値未満になったときに第2危険回避制御を行い、(b)第1閾値および第2閾値を、上述のようにして高度に応じて調節するようにしてもよい。その場合、第2閾値は、第1閾値より低く、第1危険回避制御は、上述の上昇禁止制御であり、第2危険回避制御は、上述の自律降下制御である。
【0036】
また、上記実施の形態において、電池11が2次電池である場合、電池11の充電回数に応じて閾値を調整するようにしてもよい。その場合、電池11の充電回数が多くなるほど上述の閾値が高くなるように調整される。つまり、その場合、充電回数が多くなると、電池11が劣化し、出力電力が減少するため、早めに危険回避制御が実行されるようにする。なお、電池11が2次電池である場合、当該無人飛行体に充電回路を搭載し充電時に外部電源(ACアダプターなど)が充電回路に接続されるようにしてもよいし、当該無人飛行体に充電回路を搭載せず、充電時に充電回路を含む外部電源を電池11に接続するようにしてもよい。制御部14は、電圧センサー21および電流センサー22を必要に応じて使用して、充電動作を検知し、充電回数をカウントし、現時点までの充電回数を示す充電回数データを記憶装置26に格納してもよい。
【0037】
また、上記実施の形態において、制御部14は、位置検出部13により検出される離陸時の当該無人飛行体の緯度、経度、および高度並びに現時点の当該無人飛行体の緯度、経度、および高度に基づいて現時点から離陸位置から現時点の位置までの距離を特定し、上述の閾値を、特定した距離に応じて調節するようにしてもよい。
【0038】
また、上記実施の形態において、位置検出部13において得られる高度として、GPS高度の代わりに、測定地点のジオイド面からの高さ(ジオイド高)でGPS高度を補正して得られる標高値を使用してもよい。これにより、位置検出部13における高度誤差が低減される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えば自律飛行型ドローンまたは遠隔操作型ドローンに適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
11 電池
12 モーター
13 位置検出部
14 制御部
図1