特許第6202429号(P6202429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202429
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】家具用引き手
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/44 20060101AFI20170914BHJP
   E05B 65/46 20170101ALI20170914BHJP
   E05C 3/16 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   E05B65/44 A
   E05B65/46
   E05C3/16
   A47B88/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-153379(P2013-153379)
(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公開番号】特開2015-25242(P2015-25242A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】512031286
【氏名又は名称】株式会社エスエークラフト
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】綾野 博之
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6547289(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0121701(US,A1)
【文献】 実公昭47−14678(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
E05C 1/00− 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具の扉又は引出に固着され、収納部を有する枠部と、
前記収納部に収納され、前記枠部の一端面に向かって傾斜する傾斜面、前記傾斜面の下端近傍に前記収納部に向かって突出するレバー突出部、および、前記収納部の開口へ付勢する第一付勢手段を有するレバーと、
一端に家具の係止部と係止するラッチ爪、他端に固定ピンを挿入する挿通孔、中央部に前記レバー突起と係止するラッチ突起部、および、前記ラッチ突起部と反対側に前記収納部の開口へ付勢する第二付勢手段を有するラッチを備え、
前記家具の係止部と係止する前記ラッチ爪との係合により、前記扉又は引出が開放不能になり、
前記レバーの前記傾斜面を押すことで、前記レバー突出部が前記ラッチ突起部を前記第二付勢手段の付勢に抗って押しこみ、前記家具の係止部と係止する前記ラッチ爪との係合が解除されることにより、前記扉又は引出が可動になることを特徴とする家具用引き手。
【請求項2】
前記枠部の一端面に前記レバーの可動方向に長く穿設された長孔と、前記レバーに前記長孔内で摺動する規制部とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の家具用引き手。
【請求項3】
前記第二付勢手段がコイルバネであり、前記ラッチ突起部と反対側に突出して前記コイルバネと嵌合するバネ嵌合突出部と、前記枠部の前記収納部の底面に前記コイルバネと嵌合するバネ嵌合穴とを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の家具用引き手。
【請求項4】
前記第一付勢手段が、前記レバー突出部を挟み、横長の前記レバーの両端に設けられていることを特徴する請求項1から請求項3のいずれかに記載の家具用引き手。
【請求項5】
前記ラッチ爪の前記家具の係止部と係止する箇所が凹凸形状を有していることを特徴する請求項1から請求項4のいずれかに記載の家具用引き手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用家具、オフィス用家具などの家具の扉や引出に取り付けられ、地震の揺れによって家具の扉や引出が開いて内容物が飛散することを防止する引き手に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭において開き戸、引き戸、引出などを備えた食器棚や箪笥などの家具が使用され、オフィスでは開き戸、引き戸、引出などを備えた書庫、ロッカー、机などの家具が使用されている。
【0003】
このような家具は、地震など揺れを伴う災害が発生すると、家具の内部に収納している物が外へ飛び出し、家事や仕事をしている者など近くにいる人物に直撃する、外へ飛び出した食器類などが破損するなどして危険であり、又は、外へ飛び出した食器類や書類などの後片付けが手間であった。
【0004】
一方、このような家具に錠などにより施錠すれば、地震などの揺れを伴う災害が発生しても、内容物が外部へ飛び出すことがなく安全であるが、このような家具は日常において使用頻度が高いため、例え安全のためとはいえ使用の度に施錠解錠を行うことは不便であった。
【0005】
このため、地震などの揺れを伴う災害が発生してもその揺れによって家具の引出などが飛び出さないようにラッチを有する家具が種々開発されている。例えば、特許文献1には、レバーの手掛片に手を掛けて前上方に引き上げて下向フックを前方に回動させ、そして、クランク部とともに駆動部を前方に回動させることにより、従動部とともにラッチ軸が回動して、そして、ラッチがバネの付勢力に抗って回動して、係止孔から係止突起が離間して引出しが引き出されるようにするラッチ装置に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−215541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1にあっては、クランク軸を回動させるために、枢軸された手掛けレバーを回転させているので、まず、使用者は下方から手をレバーに挿入し回動操作し、その後、引出しの開放のために前方に移動させるという2つ操作が必要で、ラッチを外す操作と引出の移動操作の方向が不一致であることから、手先がうまく使えないお年寄り等には不向きであった。
【0008】
また、特許文献1に記載のラッチ装置では、部品点数が多いためコストが高くなり、また、キャビネットを作成する工程が増えることから作成に時間を要していた。
【0009】
さらに、特許文献1に記載のラッチ装置では、ラッチ装置を引出に取り付けたときに、レバーがすぐに目に付き、家具の美感を損ねていた。
【0010】
そこで、本発明では、地震などの揺れが伴う災害が発生したときであっても確実に収納物を外へ飛び出させることがなく、家具の扉又は引出を開く方向に力を入れることによりその扉又は引出を開けることができ、さらに家具に取り付けたときに扉又は引出の前面に位置しないことにより家具の美感を損ねない家具用引き手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題などを達成するために、下記の家具用引き手を提供する。具体的には、以下〔1〕〜〔5〕の手段を講じている。
〔1〕本発明の家具用引き手は、家具の扉又は引出に固着され、収納部を有する枠部と、前記収納部に収納され、前記枠部の一端面に向かって傾斜する傾斜面、前記傾斜面の下端近傍に前記収納部に向かって突出するレバー突出部、および、前記収納部の開口へ付勢する第一付勢手段を有するレバーと、一端に家具の係止部と係止するラッチ爪、他端に固定ピンを挿入する挿通孔、中央部に前記レバー突起と係止するラッチ突起部、および、前記ラッチ突起部と反対側に前記収納部の開口へ付勢する第二付勢手段を有するラッチを備え、前記家具の係止部ラッチ爪との係合により、前記扉又は引出が開放不能になり、前記レバーの前記傾斜面を押すことで、前記レバー突出部が前記ラッチ突起部を前記第二付勢手段の付勢に抗って押しこみ、前記家具の係止部と係止する前記ラッチ爪との係合が解除されることにより、前記扉又は引出が可動になることを特徴とする家具用引き手である。
そして、〔2〕前記枠部の一端面に前記レバーの可動方向に長く穿設された長孔と、前記レバーに前記長孔内で摺動する規制部とを備えていることを特徴とする前記〔1〕に記載の家具用引き手であるである。
そして、〔3〕前記第二付勢手段がコイルバネであり、前記ラッチ突起部と反対側に突出して前記コイルバネと嵌合するバネ嵌合突出部と、前記枠部の前記収納部の底面に前記コイルバネと嵌合するバネ嵌合穴とを備えていることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の家具用引き手であるである。
そして、〔4〕前記第一付勢手段が、前記レバー突出部を挟み、横長の前記レバーの両端に設けられていることを特徴する〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の家具用引き手であるである。
そして、〔5〕前記ラッチ爪の前記家具の係止部と係止する箇所が凹凸形状を有していることを特徴する〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の家具用引き手であるである。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明に係る家具用引き手であれば、地震などの揺れが伴う災害が発生したときであっても確実に収納物を外へ飛び出させることがなく、家具の扉又は引出を開く方向に力を入れることによりその扉又は引出を開けることができ、さらに家具に取り付けたときに扉又は引出の前面に位置しないことにより家具の美感を損ねないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の係合時の状態を示す斜視図。
図2】本発明の一実施形態の係合の解除時の状態を示す斜視図。
図3】本発明の一実施形態を示す背面図。
図4】本発明の一実施形態の係合時の状態を示すA−A線断面図。
図5】本発明の一実施形態の係合の解除時の状態を示すB−B線断面図。
図6】本発明の一実施形態の分解斜視図。
図7】(a)本発明の一実施形態の係合状態を示す家具の部分断面図。(b)本発明の一実施形態の係合の解除状態を示す家具の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る家具用引き手に関する実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0015】
具体的には、図1に示すように、本発明の家具用引き手(1)は、縁に張り出しがある略直方体形状の枠部(2)の収納部(21)に横長のレバー(3)が第一付勢手段(4)であるコイルバネ(4A、4B)を介して収納されており、レバー(3)と収納部(21)の底面との間にラッチ(5)が第二付勢手段(6)であるコイルバネ(6A)を介して設けられている。
【0016】
また、図2に示すように、家具用引き手(1)は、レバー(3)の傾斜面(31)を押すことで、レバー突出部(32)がラッチ突起部(53)を第二付勢手段(6)であるコイルバネ(6A)の付勢に抗って押しこみ、ラッチ爪(51)が下方に回動するように作動する。
【0017】
枠部(2)は、図6に示すように、一端面(22)に板状の張り出しがある略直方体形状を有しており、家具用引き手(1)の外形を為している部材である。枠部(2)の内部には、上方の開口からレバー(3)を入れて収納可能な収納部(21)が設けられている。そして、一端面(22)の左右2箇所には、上下方向、すなわち、レバー(3)が収納部(21)内で摺動する方向に長い長孔(23)が穿孔されている。この長孔(23)内で、レバー(3)の規制部(33)が摺動することにより、レバー(3)がコイルバネ(4A、4B)の付勢力により枠部(2)から飛び出すことを防ぎ、また、レバー(3)の移動範囲を規制している。
【0018】
そして、枠部(2)の収納部(21)の底面には、第二付勢手段(6)であるコイルバネ(6A)の一端と嵌合するバネ嵌合穴(24)が設けられている。このバネ嵌合穴(24)により、コイルバネ(6A)が、使用回数によらず安定してラッチ(5)との間で収縮、伸長することができる。
【0019】
そして、枠部(2)の一端面(22)には、2つの長孔(23)の間にラッチ爪(51)を挿通する略長方形状のラッチ爪挿通孔(25)が穿設されている。ラッチ爪挿通孔(25)は、ラッチ爪(51)が、枠部(2)の一端面(22)から突出し上下方向に回動するように設けられていればよく、略長方形状だけでなく、略楕円形状であってもよい。
【0020】
また、枠部(2)の収納部(21)の内側面には、上下方向に略矩形状のガイド突起(26)がそれぞれ対向する位置に2箇所設けられている。ガイド突起(26)は、レバー(3)の左右側面に設けられた略矩形状のガイド溝(34)と摺接し、レバー(3)が上下方向に摺動するように規制している。
【0021】
また、枠部(2)の一端面(22)における板状の張り出しには、左右2箇所ずつ枠部螺子孔(27)が設けられており、枠部(2)を螺子により家具の扉、引出の背面、すなわち、内容物を収納する側の面に固定することができる。
【0022】
また、図3に示すように、枠部(2)の収納部(21)の底面には、ラッチ(5)を挟んでコイルバネ(4A、4B)の一端と嵌合するバネ嵌合突起(28)が2箇所設けられている。バネ嵌合突起(28)により、コイルバネ(4A、4B)が、使用回数によらず安定してレバー(3)との間で収縮、伸長することができる。
【0023】
図6に示すように、レバー(3)は、上方に向かって鋭角に尖り下方に開口している箱形状を有している。レバー(3)は、使用者が直接手で触れて操作する部材である。
【0024】
レバー(3)は、枠部(2)の一端面(22)に向かって滑り落ちるようレバー(3)の内側に湾曲して傾斜する傾斜面(31)を有している。図4に示すように、家具の扉、引出が開く方向に、すなわち、図4における右方向に、使用者が手で傾斜面(31)を押すことで、手による引っ張る力は、家具の扉、引出が開く方向とレバー(3)を枠部(2)の収納部(2)に押しこむ方向に分解されるため、レバー(3)と連動するラッチ(5)の係合を解除しながら、家具の扉、引出が開くことができる。このように、使用者が家具の扉、引出が開く方向にレバー(3)の傾斜面(31)を引っ張るという一つの動作で家具の扉、引出が開くことができる。
【0025】
そして、レバー(3)は、傾斜面(31)の下端近傍に収納部(21)の底面に向かって突出する略台形状のレバー突出部(32)を有する。レバー突出部(32)は、ラッチ(5)のラッチ突起部(53)と当接することができ、使用者が手で傾斜面(31)を押す力をラッチ(5)に伝えて、ラッチ(5)を回動させることができる。
【0026】
そして、レバー(3)は、傾斜面(31)の下端近傍にレバー突出部(32)を挟んで、枠部(2)の一端面(22)に向かって突出する略楕円柱状の規制部(33)を有している。規制部(33)は、レバー(3)と一体となっており、また、枠部(2)の長孔(23)に挿通されているため、レバー(3)がコイルバネ(4A、4B)の付勢力により枠部(2)から飛び出すことを防ぎ、また、レバー(3)の移動範囲を規制している。
【0027】
そして、レバー(3)の左右側面には、枠部(2)のガイド突起(26)とそれぞれ摺動することができる上下方向に長い略矩形状のガイド溝(34)が2箇所穿設されている。ガイド溝(34)は、枠部(2)の収納部(21)の内側面に設けられた略矩形状のガイド突起(26)と摺接し、レバー(3)が上下方向に摺動するように規制している。レバー(3)に設けられた規制部(33)とガイド溝(34)とにより、コイルバネ(4A、4B)の付勢力を一定の方向に常に働くようにしている。なお、本実施例においてガイド溝(34)は、レバー(3)の左右側面に設けられているが、レバー(3)のレバー突出部(32)や規制部(33)が位置する側面などに設けられていてもよく、その場合、枠部(2)のガイド突起(26)が枠部(2)の一端面(22)側に位置することとなる。
【0028】
また、図4図5に示すように、レバー(3)の傾斜面(31)の裏側には、コイルバネ(4A、4B)の他端と嵌合するばね嵌合突起(35)が2箇所設けられている。ばね嵌合突起(35)により、コイルバネ(4A、4B)は、枠部(2)のバネ嵌合突起(28)とも嵌合されているため、レバー(3)を押す力により収縮されても、外れることなく常にレバー(3)と枠部(2)の収納部(21)の底面を離間する方向に作用する。
【0029】
ラッチ(5)は、図6に示すように、レバー(3)とは別体として形成され、上下面視において略T字状であり、側面視において略L字状の形状を有し、家具の扉、引出に設けられた係止部と係合する部材である。ラッチ(5)の材質としては、特に限定されないが、繰り返しの使用にも破断しない耐衝撃性に優れているPBT(ポリブチレンテレフタレート)などが好ましい。
【0030】
そして、ラッチ(5)には、一端に家具の係止部(9)と係合する略L字状のラッチ爪(51)がレバー(3)に向かって突設されている。さらに、ラッチ爪(51)は、他端側に位置する、挿通孔(52)、ラッチ突起部(53)に向かって傾斜するように突設されている。ラッチ爪(51)は、家具の係止部(9)と係合することにより、家具の扉、引出が地震などの揺れが伴う災害が発生したときであっても確実に収納物を外へ飛び出させることのないようにすることができる。
【0031】
そして、ラッチ(5)には、他端に固定ピンを挿入する挿通孔(52)が穿設されている。挿通孔(52)に棒状の固定ピン(7)が挿通されて固定されることにより、ラッチ(5)は、固定ピン(7)を軸に上下方向に回動することができる。
【0032】
そして、ラッチ(5)には、一端と他端の間である中央部にレバー突起(32)と係止する半円柱状のラッチ突起部(53)が設けられている。ラッチ突起部(53)は、ラッチ爪(51)の突設方向と同じ側に設けられ、レバー突起(32)と係止したときに、レバー突起(32)がラッチ(5)と滑らないように受け止めることにより、レバー(3)を押す力を無駄なくラッチ(5)に伝え、さらに、ラッチ(5)がコイルバネ(6A)の付勢により元の位置に戻るときに円滑にレバー突起(32)を上方に押し上げることができる。レバー突起(32)がなければ、ラッチ(5)がコイルバネ(6A)の付勢により元の位置に戻るときにレバー突起(32)を斜め上方に押し上げる力が働くため円滑にレバー突起(32)を上方に押し上げることができない。
【0033】
そして、ラッチ(5)には、ラッチ突起部(53)と反対側に突出してコイルバネ(6A)と嵌合するバネ嵌合突出部(54)が突設されている。バネ嵌合突出部(54)により、コイルバネ(6A)は、枠部(2)のバネ嵌合穴(24)とも嵌合されているため、レバー(3)を押す力により収縮されても、外れることなく常にラッチ(5)と枠部(2)の収納部(21)の底面を離間する方向に作用する。
【0034】
そして、ラッチ爪(51)において、家具の係止部と係止する箇所には凹凸形状を有している。この凹凸形状により、ラッチ爪(51)は、家具の係止部の形状を特定の形状にすることなく、種々の係止部の形状に対して係合し易くなる。
【0035】
ラッチ固定具(8)は、図6に示すように、ラッチ(5)を枠部(2)に固定する略凹状の部材である。ラッチ固定具(8)には、左右側面に、固定ピンを挿通させる固定ピン挿通孔(81)が穿設されている。また、ラッチ固定具の底部には、固定螺子(S)により枠部(2)と固定する螺子孔(35)が穿設されている。
【0036】
本実施例において、第一付勢手段(4)として、コイルバネ(4A、4B)を用い、第二付勢手段(6)として、コイルバネ(6A)を用いたが、これらの付勢手段はコイルバネに限定されるものではなく、ねじりばねなどを用いることもできる。
【0037】
次に本発明に係る家具用引き手(1)に関する実施形態の使用方法について説明する。
【0038】
図7(a)に示すように、家具(F)に出し入れ可能な引出(D)の背面に家具用引き手(1)が固着されており、使用者には枠部(2)の上面とレバー(3)しか視認できず、引出(D)の前面には枠部(2)もレバー(3)も配設されていない。使用にあたって、使用者は、家具(F)の引出(D)が開く方向に、すなわち、図7(a)における右方向に、手で傾斜面(31)を引っ張ると、図7(b)に示すように、レバー(3)によってラッチ(5)が押し下げられてラッチ爪(51)と係止部(9)の係合が解除されて、引出(D)を開けて内容物を取り出せるなどすることができる。
【0039】
また、図7において係止部(9)は、使用者も一部視認することができる略サイクロイド状の表面からなるデザイン性を備えた断面略L字状の形状を有し、ラッチ(5)と係合する部分が突起している。そして、その突起のラッチ爪(51)と係合する面には凹凸形状が設けられており、ラッチ爪(51)と係合が解除されにくくなっている。また、係止部(9)は、他に断面略コの字状の部材、板状部材で形成された断面略L字形状の部材を用いることもできる。
【0040】
なお、引出のみでなく、片開き扉、観音開き扉、引き戸の背面に固定して用いることができる。
【0041】
以上にように、本発明に係る家具用引き手(1)によれば、食器棚や箪笥などの家庭用家具、書庫、ロッカーや机などのオフィス家具の扉、引出の背面、すなわち、内容物を収納する側の面に固定されることにより、使用者が視認する扉、引出の前面には配設されないので、地震などの揺れによって開かず、一つの動作で開くことができるばかりか、家具の美感を損ねることがなく、また、幼児などが転倒することにより接触して怪我を負うことも防止することができる。
【符号の説明】
【0042】
1・・・家具用引き手
2・・・枠部
21・・収納部
22・・一端面
23・・長孔
24・・バネ嵌合穴
25・・ラッチ爪挿通孔
26・・ガイド突起
27・・枠部螺子孔
28・・バネ嵌合突起
3・・・レバー
31・・傾斜面
32・・レバー突出部
33・・規制部
34・・ガイド溝
35・・ばね嵌合突起
4・・・第一付勢手段
5・・・ラッチ
51・・ラッチ爪
52・・挿通孔
53・・ラッチ突起部
54・・バネ嵌合突出部
6・・・第二付勢手段
7・・・固定ピン
8・・・ラッチ固定具
81・・固定ピン挿通孔
82・・螺子孔
9・・・係止部
S・・・固定螺子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7