(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記熱交換器を蒸発器として用いる場合、伝熱管を介してヘッダ内の一の領域に導入される冷媒は、その全てが気化しているとは限らず、液相冷媒と気相冷媒とが混在した気液二相冷媒の状態にある。このような気液二相冷媒が接続管を介してヘッダ内の他の領域の下部に導入された場合、密度の大きい液相冷媒分は上方の伝熱管まで到達し難くなる。そのため、上方の伝熱管を流れる冷媒程、液相冷媒流量が小さくなり、その結果、所望の熱交換器の性能を得られないという問題がある。
上記特許文献1の技術では、特に冷媒流量が少ない場合には、上方の伝熱管に液相の冷媒を供給し難くなり、やはり熱交換器の性能低下を招いてしまう。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、性能低下を抑制することができる熱交換器、及び、該熱交換器を用いた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の第一態様に熱交換器は、水平方向に延びて内部に冷媒が流通するとともに、上下方向に間隔をあけて複数が配列された伝熱管と、上下方向に延びる管状をなして複数の前記伝熱管の一端が内部空間に連通状態で接続されたヘッダ部と、前記ヘッダ部内に連通状態で接続されて冷媒が流通する流通路と、前記ヘッダ部内を水平断面視にて、各前記伝熱管が接続された流出側領域と、前記流通路が接続された流入側領域とに区画する主縦仕切板と、前記流入側領域を水平断面視にて、前記ヘッダ部の周方向に互いに隣り合い、それぞれ前記流通路と連通する第一室及び第二室に区画する流入側縦仕切板と、をさらに有し、前記主縦仕切板の前記第一室に面する部分に、前記第一室と前記流出側領域とを連通させる第一水平貫通孔が形成され、前記主縦仕切板の前記第二室に面する部分であって前記第一水平貫通孔と異なる上下方向位置の部分に、前記第二室と前記流出側領域とを連通させる第二水平貫通孔が形成されて
おり、前記第一室を水平断面視にて、前記流通路が接続された第一室上流領域と、前記主縦仕切板に面する第一室下流領域とに区画する第一室縦仕切板と、前記第二室を水平断面視にて、前記流通路が接続された第二室上流領域と、前記主縦仕切板に面する第二室下流領域とに区画する第二室縦仕切板と、を備え、前記第一室縦仕切板に、前記第一水平貫通孔と上下方向位置の異なる部分で前記第一室上流領域と前記第一室下流領域とを連通させる第三水平貫通孔が形成され、前記第二室縦仕切板に、前記第二水平貫通孔と上下方向位置の異なる部分で前記第二室上流領域と前記第二室下流領域とを連通させる第四水平貫通孔が形成されている。
【0008】
このような熱交換器によれば、流通路を介してヘッダ部内の第一室及び第二室のそれぞれに冷媒が導入される。第一室に導入された冷媒は、第一水平貫通孔を介してヘッダ部内の流出側領域に到達する。第二室に導入された冷媒は、第二水平貫通孔を介してヘッダ部内の流出側領域に到達する。即ち、第一室及び第二室に供給された冷媒は、それぞれ強制的に第一水平貫通孔又は第二水平貫通孔に案内されて流出側領域に供給されることになる。この際、第一室又は第二室内を冷媒が第一水平貫通孔又は第二水平貫通孔に向けて上下方向に移動することで、冷媒の移動経路を長くすることができる。これによって、第一室及び第二室内での気液二相状態の冷媒の混合促進を図ることができる。
さらに、第一水平貫通孔と第二水平貫通孔とは異なる上下方向位置に形成されているため、流出側領域にはそれぞれ異なる上下方向位置から冷媒が供給される。これにより、流出側領域内におけるより広い上下方向範囲に冷媒を供給することができる。また、第一水平貫通孔、第二水平貫通孔それぞれから供給された冷媒が互いに混合されることにより、流出側領域全体として冷媒の気液割合の均一化を図ることができる。そのため、比較的上方に配置された伝熱管にも液相の冷媒を効果的に導入することができる。
また、第一室に供給された冷媒は、流出側領域に到達する前に、第一室上流領域と第一室下流領域とを上下方向に移動しながら進行していく。一方で、第二室に供給された冷媒は、流出側領域に到達する前に、第二室上流領域と第二室下流領域とを上下方向に移動しながら進行していく。これにより、第一室、第二室に導入された冷媒における流出側領域に到達するまでの移動経路の長大化を図ることができる。そのため、移動経路中で気液二相流冷媒の均質化をより一層図ることができる。
【0009】
上記熱交換器では、前記第一水平貫通孔が、互いに異なる上下方向位置に複数が形成されており、前記第二水平貫通孔が、互いに異なる上下方向位置に複数が形成されていてもよい。
【0010】
これによって、第一室から流出側領域に対して上下方向位置の互いに異なる複数個所から冷媒を供給することができる。さらに、第二室から流出側領域に対して上下方向位置の互いに異なる複数個所から冷媒を供給することができる。そのため、流出側領域全体としてより冷媒の気液割合の均一化を図ることができる。
【0011】
上記熱交換器では、前記第一水平貫通孔は、互いに異なる水平方向位置に複数が形成されており、前記第二水平貫通孔は、互いに異なる水平方向位置に複数が形成されていてもよい。
【0012】
これによって、第一室から流出側領域に対して水平方向位置の互いに異なる複数個所から冷媒を供給することができる。さらに、第二室から流出側領域に対して水平方向位置の互いに異なる複数個所から冷媒を供給することができる。そのため、流出側領域全体としてより一層冷媒の気液割合の均一化を図ることができる。また、水平方向の同一の上下方向位置に第一水平貫通孔、第二水平貫通孔を形成することで、ヘッダ部内の個々の流路の流量や圧損を調整することができる。
【0015】
本発明に係る熱交換器は、水平方向に延びて内部に冷媒が流通するとともに、上下方向に間隔をあけて複数が配列された伝熱管と、上下方向に延びる管状をなして複数の前記伝熱管の一端が内部空間に連通状態で接続されたヘッダ部と、前記ヘッダ部内に連通状態で接続されて冷媒が流通する流通路と、前記ヘッダ部内を水平断面視にて、各前記伝熱管が接続された流出側領域と、前記流通路が接続された流入側領域とに区画する主縦仕切板と、前記流入側領域を水平断面視にて、前記ヘッダ部の周方向に互いに隣り合い、それぞれ前記流通路と連通する第一室及び第二室に区画する流入側縦仕切板と、をさらに有し、前記主縦仕切板の前記第一室に面する部分に、前記第一室と前記流出側領域とを連通させる第一水平貫通孔が形成され、前記主縦仕切板の前記第二室に面する部分であって前記第一水平貫通孔と異なる上下方向位置の部分に、前記第二室と前記流出側領域とを連通させる第二水平貫通孔が形成されており、前記第一室を、前記流通路が接続された第一室下部領域と、該第一室下部領域の上方に配置された第一室上部領域とに区画する第一室横仕切板と、前記第二室を、前記流通路が接続された第二室下部領域と、該第二室下部領域の上方に配置された第二室上部領域とに区画する第二室横仕切板と、を備え、前記第一室横仕切板と前記第二室横仕切板とのうち少なくとも一方に、上下の領域を連通させる上下貫通孔が形成されていてもよい。
【0016】
これによって、流通路から第一室下部領域又は第二室下部領域に導入された冷媒のうち上方に進行する冷媒は、第一室横仕切板又は第二室横仕切板に衝突することにより、気液二相流冷媒の均質化を図ることができる。また、第一室と第二室とのうち、第一室上部領域、第二室上部領域を通過してから流出側領域に導入される冷媒は、上下貫通孔を介して上方に向かう際に流速が増大することで、より上方まで冷媒を行き渡らせ易くなる。これによって、上方に配置された伝熱管にもより効果的に冷媒の液相分を供給することができる。
【0017】
本発明に係る熱交換器は、水平方向に延びて内部に冷媒が流通するとともに、上下方向に間隔をあけて複数が配列された伝熱管と、上下方向に延びる管状をなして複数の前記伝熱管の一端が内部空間に連通状態で接続されたヘッダ部と、前記ヘッダ部内に連通状態で接続されて冷媒が流通する流通路と、前記ヘッダ部内を水平断面視にて、各前記伝熱管が接続された流出側領域と、前記流通路が接続された流入側領域とに区画する主縦仕切板と、前記流入側領域を水平断面視にて、前記ヘッダ部の周方向に互いに隣り合い、それぞれ前記流通路と連通する第一室及び第二室に区画する流入側縦仕切板と、をさらに有し、前記主縦仕切板の前記第一室に面する部分に、前記第一室と前記流出側領域とを連通させる第一水平貫通孔が形成され、前記主縦仕切板の前記第二室に面する部分であって前記第一水平貫通孔と異なる上下方向位置の部分に、前記第二室と前記流出側領域とを連通させる第二水平貫通孔が形成されており、前記流通路は、前記ヘッダ部への接続箇所の前記周方向位置が流出側縦仕切板と同一箇所とされていることにより、該流通路の前記ヘッダ部への接続箇所が第一室と第二室とに跨っていてもよい。
上記熱交換器では、前記流通路が、前記ヘッダ部内の第一室に連通状態で接続された第一流通路と、前記ヘッダ部内の第二室に連通状態で接続された第二流通路とを有していてもよい。
これによって、第一室及び第二室のそれぞれに冷媒を強制的に供給することができる。
【0018】
本発明の第二態様に係る空気調和機は、上記いずれかの熱交換器を備える。
これによって、ヘッダ部内から伝熱管に供給される冷媒の均一化を図ることができ、冷房及び暖房性能の低下を回避することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の熱交換器及び空気調和機によれば、複数の伝熱管を流通する冷媒の不均一化による性能低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の第一実施形態に係る熱交換器10を備えた空気調和機1について
図1〜4を参照して説明する。
図1に示すように、空気調和機1は、圧縮機2、室内熱交換器3(熱交換器10)、膨張弁4、室外熱交換器5(熱交換器10)、四方弁6、及び、これらを接続する配管7を備えており、これらからなる冷媒回路を構成している。
【0022】
圧縮機2は、冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を冷媒回路に供給する。
室内熱交換器3は、冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う。室内熱交換器3は、冷房運転時には蒸発器として用いられ室内から吸熱し、暖房運転時には凝縮器として用いられ室内へ放熱する。室外熱交換器5は、冷媒と室外の空気との間で熱交換を行う。
膨張弁4は、凝縮器で熱交換をすることで液化した高圧の冷媒を膨張させることで低圧化する。
室外熱交換器5は、冷房運転時には、凝縮器として用いられ室外へ放熱し、暖房運転時には、蒸発器として用いられ室外から吸熱する。
四方弁6は、暖房運転時と冷房運転時とで冷媒の流通する方向を切り替える。これにより、冷房運転時には、冷媒が、圧縮機2、室外熱交換器5、膨張弁4及び室内熱交換器3の順に循環する。一方、暖房運転時には、冷媒が、圧縮機2、室内熱交換器3、膨張弁4及び室外熱交換器5、の順に循環する。
【0023】
次に、上記室内熱交換器3及び室外熱交換器5として用いられる熱交換器10について、
図2〜
図4について説明する。
図2〜
図4に示すように、熱交換器10は、複数の伝熱管20、複数のフィン23、一対のヘッダ30、接続管55、主縦仕切板60及び流入側縦仕切板70を備える。
【0024】
伝熱管20は、水平方向に直線状に延びる管状の部材であって、内部に冷媒が流通する流路が形成されている。このような伝熱管20は、上下方向に間隔をあけて複数が配列されており、互いに平行に配置されている。
本実施形態では、各伝熱管20は扁平管状をなしており、伝熱管20の内部には、該伝熱管20の延在方向に直交する水平方向に並設された複数の流路が形成されている。これら複数の流路は互いに平行に配列されている。これにより、伝熱管20の延在方向に直交する断面の外形は、伝熱管20の延在方向に直交する水平方向を長手方向とした扁平状とされている。
【0025】
フィン23は、上記のように配列された伝熱管20の間にそれぞれ配置されており、本実施形態では、各伝熱管20の延在方向に向かうにしたがって上下に隣り合う伝熱管20に交互に接触するように延びるいわゆるコルゲート状に延びている。なお、フィン23の形状はこれに限定されることはなく、伝熱管20の外周面から張り出すように設けられていれば、いかなる形状であってもよい。
【0026】
一対のヘッダ30は、上記複数の伝熱管20の両端にこれら伝熱管20を挟み込むように設けられている。これら一対のヘッダ30の一方は、外部から熱交換器10内への冷媒の出入り口となる出入口側ヘッダ40とされており、他方は、熱交換器10内で冷媒が折り返すための折り返し側ヘッダ50とされている。
【0027】
出入口側ヘッダ40は、上下方向に延びる筒状の部材であって、上端及び下端が閉塞されるとともに内部が仕切板によって上下二つの領域に区画されている。出入側仕切板41によって区画された下方の領域は下部出入領域42とされ、上方の領域は上部出入領域43とされている。これら下部出入領域42と上部出入領域43とは出入口側ヘッダ40内で互いに非連通状態とされている。これら下部出入領域42及び上部出入領域43は、冷媒回路を構成する配管7がそれぞれ接続されている。
ここで、複数の伝熱管20のうち、下部出入領域42と連通状態で接続されている伝熱管20は、第一伝熱管21とされており、上部出入領域43と連通状態で接続されている伝熱管20は、第二伝熱管22(伝熱管20)とされている。
【0028】
折り返し側ヘッダ50は、ヘッダ本体51及び折り返し側仕切板54を備えている。
ヘッダ本体51は、上下方向に延びる筒状をなす部材であって、上端及び下端が閉塞されている。折り返し側仕切板54は、ヘッダ本体51内に設けられ、該ヘッダ本体51内の空間を上下二つの領域に区画している。ヘッダ本体51の折り返し側仕切板54の下方の部分は第一ヘッダ部52とされており、ヘッダ本体51の折り返し側仕切板54の上方の部分は第二ヘッダ部53(ヘッダ部)とされている。即ち、本実施形態では、ヘッダ本体51内が折り返し側仕切板54によって区画されることで、折り返し側ヘッダ50に、それぞれ内部に空間を有する第一ヘッダ部52及び第二ヘッダ部53が形成されている。換言すれば、第一ヘッダ部52及び第二ヘッダ部53によって折り返し側ヘッダ50が構成されている。
【0029】
上記第一伝熱管21は、それぞれ第一ヘッダ部52内と連通状態となるように該第一ヘッダ部52に水平方向一方側から接続されている。また、上記第二伝熱管22は、それぞれ第二ヘッダ部53内と連通状態となるように水平方向一方側から該第二ヘッダ部53に接続されている。換言すれば、第一ヘッダ部52に接続されている伝熱管20が第一伝熱管21とされ、第二ヘッダ部53に接続されている伝熱管20が第二伝熱管22とされている。
【0030】
接続管55は、内部に流路が形成された管状の部材であって、その一端が第一ヘッダ部52に対して該第一ヘッダ部52の内部と連通状態で接続されており、他端が第二ヘッダ部53に対して該第二ヘッダ部53の内部と連通状態で接続されている。より詳細には、接続管55の一端は、第一ヘッダ部52における上下方向の中央部に接続されている。一方で、接続管55の他端は、第二ヘッダ部53における下部に接続されている。なお、接続管55は、第一ヘッダ部52及び第二ヘッダ部53に対して、第一伝熱管21及び第二伝熱管22が接続される水平方向一方側とは反対側の水平方向他方側から接続されている。
この接続管55の内側に形成された流路が、第一ヘッダ部52内と第二ヘッダ部53内との間で冷媒の流通を可能とする流通路56とされている。
【0031】
図2及び
図3に示すように、主縦仕切板60は、上下方向に延びる板状の部材であって、第二ヘッダ部53内に設けられている。主縦仕切板60は、第二ヘッダ部53内の空間を水平断面視にて、各第二伝熱管22が接続された領域と接続管55が接続された領域との二つの領域に区画している。主縦仕切板60によって区画された第二伝熱管22が接続された領域は、流出側領域63とされている。主縦仕切板60によって区画された接続管55が接続された領域は流入側領域64とされている。
【0032】
本実施形態では、ヘッダ30は上下方向に延びる円筒形状をなしており、これにともなって内部空間も円筒状をなしている。そして、主縦仕切板60は、円筒状をなす第二ヘッダ部53の内部空間の水平断面視における直径方向に沿うようにして配置されている。これによって、流入側領域64及び流出側領域63はそれぞれ水平断面視が半円形状をなしている。
【0033】
流入側縦仕切板70は、上下方向に延びる板状の部材であって、第二ヘッダ部53内の流入側領域64に設けられている。流入側縦仕切板70は、流入側領域64を水平断面視にて、第二ヘッダ部53の周方向に互いに隣り合う二つの領域に区画している。この二つの領域のうち、接続管55の接続方向である水平方向他方側から見て左側の領域は第一室71とされており、右側の領域は第二室72とされている。
【0034】
本実施形態では、流入側縦仕切板70は、円筒状をなす第二ヘッダ部53の内部空間の水平断面視における半径方向に沿うように配置されている。また、流入側縦仕切板70は、主縦仕切板60に直交して延在するように配置されており、これによって第一室71と第二室72との容積は同一とされている。
【0035】
ここで、主縦仕切板60における第一室71に面する部分には、該第一室71と流出側領域63とを連通させる第一水平貫通孔61が形成されている。また、主縦仕切板60における第二室72に面する部分には、該第二室72と流出側領域63とを連通させる第二水平貫通孔62が形成されている。
【0036】
これら第一水平貫通孔61及び第二水平貫通孔62は、互いに上下方向位置が異なる箇所に配置されている。本実施形態では、第一水平貫通孔61は、主縦仕切板60の下部であって第二ヘッダ部53の最下部に近い箇所に形成されている。また、第二水平貫通孔62は、主縦仕切板60の上部であって第二ヘッダ部53最上部に近い箇所に形成されている。さらに、第一水平貫通孔61及び第二水平貫通孔62の上下方向位置は、接続管55の第二ヘッダ部53への接続箇所の上下方向位置と互いに異なる位置とされている。なお、第一水平貫通孔61及び第二水平貫通孔62の一方のみが接続管55の第二ヘッダ部53への接続箇所と上下方向位置が違っていてもよい。
【0037】
そして、上記接続管55の第二ヘッダ部53との接続箇所は、流出側縦仕切板の第二ヘッダ部53における周方向位置と同一箇所とされている。これにより、接続管55の第二ヘッダ部53への接続箇所は第一室71と第二室72とに跨って配置されている。したがって、接続管55から第二ヘッダ部53に導入される冷媒は、第一室71と第二室72との双方に導入されることになる。
【0038】
次に上記熱交換器10が蒸発器として用いられる場合の作用・効果について説明する。
なお、熱交換器10が室内熱交換器3の場合は空気調和機1の冷房運転時に蒸発器として用いられることになり、室外熱交換器5の場合には空気調和機1の暖房運転時に蒸発器として用いられることになる。
【0039】
熱交換器10が蒸発器として用いられる際には、
図2に示す出入口側ヘッダ40の下部出入領域42に配管7から液相分の多い気液二相冷媒が供給される。この冷媒は、下部出入領域42で複数の第一伝熱管21内に分配供給され、第一伝熱管21を流通する過程で該第一伝熱管21の外部雰囲気との間で熱交換することで蒸発が促される。これにより、第一伝熱管21から折り返し側ヘッダ50の第一ヘッダ部52内に供給される冷媒は、一部が液相から気相に変化したことで液相割合が減少した気液二相冷媒となる。
【0040】
そして、
図4に示すように、第一ヘッダ部52内に供給される気液二相状態の冷媒は、該第一ヘッダ部52に接続された接続管55内に導入され、該接続管55を介して該第二ヘッダ部53に導入される。この際、接続管55の第二ヘッダ部53への接続箇所が第一室71及び第二室72に跨っているため、これら第一室71及び第二室72内のそれぞれに冷媒が導入される。
【0041】
第一室71に導入された冷媒は、第二ヘッダ部53の下部に形成された第一水平貫通孔61を介して流出側領域63の下部に導入される。この際、冷媒の流量が小さい場合には、第一室71内に冷媒が貯留されることなく第一水平貫通孔61を介して流出側領域63の下部に導入される。一方、冷媒の流量が大きい場合には、第一室71内にある程度冷媒が貯留された状態で、該冷媒が順次第一水平貫通孔61を介して流出側領域63の下部に導入される。
【0042】
一方、第二室72に導入された冷媒は、冷媒が供給され続けるにしたがって順次第二室72内を上方に移動し、第二ヘッダ部53の上部に形成された第二水平貫通孔62を介して流出側領域63の上部に導入される。即ち、接続管55と第二ヘッダ部53との接続箇所が第二ヘッダ部53の下部に配置されているのに対して、第二室72と流出側領域63とを連通される第二水平貫通孔62は第二ヘッダ部53の上部に配置されているため、第二室72に導入された冷媒は該第二室72を下方から上方にわたって移動した上で流出側領域63の上部に導入される。
【0043】
そして、第一室71及び第二室72から流出側領域63で導入されたそれぞれ気液二相状態の冷媒は、該流出側領域63にて互いに混合された上で、第二ヘッダ部53に接続された各伝熱管20内に導入される。その後、冷媒は、第二伝熱管22を流通する過程で該第二伝熱管22の外部雰囲気との間で熱交換することで、再度蒸発が促される。これにより、第二伝熱管22内にて、冷媒における残存していた液相が気相に変化し、出入口側ヘッダ40の上部出入領域43には気相状態の冷媒が供給される。そして、この冷媒は上部出入領域43から配管7に導入され、冷媒回路を循環することになる。
【0044】
以上のように、本実施形態の熱交換器10によれば、第一室71及び第二室72に供給された冷媒は、それぞれ強制的に第一水平貫通孔61又は第二水平貫通孔62に案内されて流出側領域63に供給されることになる。本実施形態では、第二水平貫通孔62が冷媒の導入箇所から上方に離間した位置とされているため、第二室72に導入された冷媒が流出側領域63に導入されるまでの移動経路が長大化する。これによって、気液二相状態の冷媒の第二室72内での混合促進を図ることができる。
【0045】
さらに、第一水平貫通孔61と第二水平貫通孔62とは異なる上下方向位置に形成されているため、流出側領域63にはそれぞれ異なる上下方向位置から冷媒が供給される。本実施形態では、流出側領域63の最下部及び最上部のそれぞれから冷媒が導入されるため、流出側領域63の内の上下方向全域での冷媒の気液割合を平均化させることができる。そのため、比較的上方に配置された第二伝熱管22にも液相の冷媒を効果的に導入することができる。その結果、本実施形態の熱交換器10を用いた空気調和機では、冷房性能や暖房性能が損なわれることはない。
【0046】
次に本発明の第二実施形態に係る熱交換器80について、
図5及び
図6を参照して説明する。なお、第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素については、該第一実施形態同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5及び6に示すように、第二実施形態の熱交換器80は、主縦仕切板60に第一水平貫通孔61及び第二水平貫通孔62が複数形成されている点で第一実施形態と相違する。
【0047】
本実施形態では第一水平貫通孔61が二つ形成されており、一つ目の第一水平貫通孔61は第一実施形態同様、主縦仕切板60の下部であって、第二ヘッダ部53の径方向外側の部分に形成されている。一方、二つ目の第一水平貫通孔61は、主縦仕切板60の上下方向中央部であって、第二ヘッダ部53の径方向内側の部分に形成されている。
【0048】
また、本実施形態では第二水平貫通孔62が二つ形成されており、一つ目の第二水平貫通孔62は第一実施形態同様、主縦仕切板60の上部であって、第二ヘッダ部53の径方向外側の部分に形成されている。一方、二つ目の第二水平貫通孔62は、主縦仕切板60の上下方向中央部であって、第二ヘッダ部53の径方向内側の部分に形成されている。なお、二つ目の第二水平貫通孔62は、二つ目の第一水平貫通孔61よりも上方に形成されているが、上下方向位置の関係はこの逆であってもよい。
【0049】
この熱交換器80によれば、第一室71に導入された冷媒は、下部の第一水平貫通孔61に加えて上下方向中央部の第一水平貫通孔61を介して流出側領域63に導入される。また、第二室72に導入された冷媒は、上部の第二水平貫通孔62に加えて上下方向中央部の第二水平貫通孔62を介して流出側領域63に導入される。
これによって、第一室71から流出側領域63に対して上下方向位置の互いに異なる複数個所から冷媒を供給することができる。さらに、第二室72から流出側領域63に対して上下方向位置の互いに異なる複数個所から冷媒を供給することができる。そのため、流出側領域63全体として冷媒の気液割合の均一化をより図ることができる。
なお、水平方向位置の異なる複数の第一水平貫通孔61を同一の上下方向位置に形成してもよく、また、水平方向位置の異なる複数の第二水平貫通孔62を同一の上下方向位置に形成してもよい。これによって、ヘッダ部内の個々の流路の流量や圧損を調整することができる。
【0050】
さらに本実施形態では、それぞれ2つの第一水平貫通孔61及び第二水平貫通孔62の水平方向位置が互いに異なっている。そのため、第一室71から流出側領域63に対して上下方向位置のみならず水平方向位置の互いに異なる複数個所から冷媒を供給することができる。さらに、第二室72から流出側領域63に対して上下方向位置のみならず水平方向位置の互いに異なる複数個所から冷媒を供給することができる。そのため、流出側領域63全体としてより一層冷媒の気液割合の均一化を図ることができる。
【0051】
次に本発明の第三実施形態に係る熱交換器90について、
図7及び
図8を参照して説明する。なお、第三実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素については、該第一実施形態同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7及び8に示すように、第三実施形態の熱交換器90は、第一室仕切板91及び第二室縦仕切板95を備えている点で第一実施形態と相違する。
【0052】
第一室縦仕切板91は上下方向に延びる板状の部材であって、第一室71内に配置されている。この第一室縦仕切板91は、第一室71内を水平断面視にて2つの領域に区画している。この2つの領域のうち接続管55が接続された側の領域は第一室上流領域93とされており、主縦仕切板60に面する領域が第一室下流領域94とされている。
【0053】
この第一室縦仕切板91は、主縦仕切板60と平行に延びるように配置されている。また、第一室縦仕切板91には、第一室上流領域93と第一室下流領域94とを互いに連通させる第三水平貫通孔92が形成されている。この第三水平貫通孔92は、主縦仕切板60に形成された第一水平貫通孔61を上下方向の位置が互いに異なるように形成されている。本実施形態では、第三水平貫通孔92は、第一水平貫通孔61よりも下方に配置されている。
また、第一水平貫通孔61と第三水平貫通孔92の水平方向位置は互いに異なっている。本実施形態では、第一水平貫通孔61は第二ヘッダ部53の径方向内側に形成されており、第三水平貫通孔92は第二ヘッダ部53の径方向外側に形成されている。
【0054】
第二室縦仕切板95は上下方向に延びる板状の部材であって、第二室72内に配置されている。この第二室縦仕切板95は、第二室72内を水平断面視にて2つの領域に区画している。この2つの領域のうち接続管55が接続された側の領域は第二室上流領域97とされており、主縦仕切板60に面する領域が第二室下流領域98とされている。
【0055】
この第二室縦仕切板95は、第一室縦仕切板91と同様に主縦仕切板60と平行に延びるように配置されている。また、第二室縦仕切板95には、第二室上流領域97と第二室下流領域98とを互いに連通させる第四水平貫通孔96が形成されている。この第四水平貫通孔96は、主縦仕切板60に形成された第二水平貫通孔62を上下方向の位置が互いに異なるように形成されている。本実施形態では、第四水平貫通孔96は、第二水平貫通孔62よりも上方に配置されている。
また、第二水平貫通孔62と第四水平貫通孔96の水平方向位置は互いに異なっている。本実施形態では、第二水平貫通孔62は第二ヘッダ部53の径方向内側に形成されており、第四水平貫通孔96は第二ヘッダ部53の径方向外側に形成されている。
【0056】
このような熱交換器90によれば、第一室71に供給された冷媒は、流出側領域63に到達する前に、第一室上流領域93と第一室下流領域94とを上下方向に移動しながら進行していく。一方で、第二室72に供給された冷媒は、流出側領域63に到達する前に、第二室上流領域97と第二室下流領域98とを上下方向に移動しながら進行していく。これにより、第一室71、第二室72に導入された冷媒における流出側領域63に到達するまでの移動経路の長大化を図ることができる。そのため、移動経路中で気液二相流冷媒の均質化をより一層図ることができる。
【0057】
なお、第三実施形態の変形例として、例えば
図9に示すように、第一室縦仕切板91と第二室縦仕切板95とをそれぞれ第一室71内又は第二室72内にて、第二ヘッダ部53の半径方向に沿うように配置してもよい。これによっても、上記同様に冷媒の移動経路の長大化を図ることができる。
【0058】
次に本発明の第四実施形態に係る熱交換器100について、
図10及び
図11を参照して説明する。なお、第四実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素については、該第一実施形態同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図10及
図11に示すように、第四実施形態の熱交換器100は、第一室横仕切板101及び第二室横仕切板105を備えている点で第一実施形態と相違する。
【0059】
第一室横仕切板101は水平方向に延びる板状の部材であって、第一室71内に配置されている。この第一室横仕切板101は、第一室71内を上下に二つの領域に区画している。この2つの領域のうち接続管55が接続された下方の領域は第一室下部領域103とされており、上方の領域は第一室上部領域104とされている。
この第一室横仕切板101には、第一室下部領域103と第一室上部領域104とを互いに連通させる第一上下貫通孔102が形成されている。
【0060】
第二室横仕切板105は水平方向に延びる板状の部材であって、第二室72内に配置されている。この第二室横仕切板105は、第二室72内を上下に二つの領域に区画している。この2つの領域のうち接続管55が接続された下方の領域は第二室下部領域107とされており、上方の領域は第二室上部領域108とされている。
この第二室横仕切板105には、第二室下部領域107と第二室上部領域108とを互いに連通させる第二上下貫通孔106が形成されている。
【0061】
本実施形態では、主縦仕切板60に形成された第一水平貫通孔61は、第一室下部領域103と流出側領域63とを連通させている。また主縦仕切板60に形成された第二水平貫通孔62は、第二室上部領域108と流出側領域63とを連通させている。
【0062】
このような熱交換器100によれば、流通路56から第一室下部領域103又は第二室下部領域107に導入された冷媒のうち上方に進行する冷媒は、第一室横仕切板101又は第二室横仕切板105に衝突する。これによって、気液二相流状態の冷媒がより撹拌されることになるため、冷媒の均質化をより一層図ることができる。
また、特に第二室上部領域108を通過してから流出側領域63に導入される第二室72の冷媒は、第二上下貫通孔106を介して上方に向かう際に流速が増大することで、より上方まで冷媒を行き渡らせ易くなる。これによって、上方に配置された第二伝熱管22にもより効果的に冷媒の液相分を供給することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、第一室横仕切板101に第一上下貫通孔102が形成されているが、必ずしも形成されていなくてもよい。第一上下貫通孔102が形成されていれば、例えば冷媒の流量が比較的大きい場合には、一時的に第一室上部領域104に冷媒を貯留できるといった利点はある。また、第一室上部領域104と他の領域との内圧差を低減させることで耐圧性を向上させることができるといった利点もある。
一方、冷媒の流量が比較的小さい場合には、第一室下部領域103に接続管55から導入された冷媒は第一水平貫通孔61を介して流出側領域63に向かうため、第一室上部領域104まで液相冷媒が到達することはない。
なお、この第四実施形態では、第三実施形態で説明した第一縦室仕切板91及び第二室縦仕切板95を設けてもよい。
【0064】
次に本発明の第五実施形態に係る熱交換器110について、
図12を参照して説明する。第一〜第四実施形態では、一の接続管55が第一室71及び第二室72に跨るように第二ヘッダ部53に接続されていたが、本実施形態では、二つの接続管55が第二ヘッダ部53に接続されている。この接続管55はそれぞれ第一ヘッダ部52にも接続されており、内部が連通路とされている。この場合であっても、第一〜第四実施形態同様に第一室71及び第二室72に強制的に冷媒を導入することができる。
また、接続管55の流路断面積を適宜変更することで、第一室71及び第二室72に導入する冷媒の流量を適宜調整することができる。さらに、各接続管55に流量の異なる冷媒は、気液割合の異なる冷媒を意図的に導入することで、熱交換率の最適化を図ることもできる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。