特許第6202459号(P6202459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6202459グラビア印刷方法およびそれに用いるスキージー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6202459
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】グラビア印刷方法およびそれに用いるスキージー
(51)【国際特許分類】
   B41F 9/16 20060101AFI20170914BHJP
   B41F 31/02 20060101ALI20170914BHJP
   B41F 31/20 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B41F9/16
   B41F31/02 Z
   B41F31/20
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-37094(P2017-37094)
(22)【出願日】2017年2月28日
【審査請求日】2017年3月10日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714011259
【氏名又は名称】下村 恭一
(72)【発明者】
【氏名】下村恭一
【審査官】 加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−073327(JP,A)
【文献】 実開平04−094446(JP,U)
【文献】 特開2006−272710(JP,A)
【文献】 特開平08−039759(JP,A)
【文献】 特開2013−052642(JP,A)
【文献】 米国特許第04373443(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00 − 35/06
B41F 5/00 − 13/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラビア印刷に供するグラビア印刷版にグラビアインキを供給するファニッシャーロールにあって、前記グラビア印刷版両端のR部を含む一部領域において、インキパンフレームに固定した治具及びスキージーをもって、前記グラビアインキを前記ファニッシャーロールより掻き落とすことで、前記グラビア印刷版両端のR部を含む一部領域の版面及び版側面に前記ファニッシャーロールからのインキ付着を少なくすることを特徴とするグラビア印刷方法。
【請求項2】
グラビア印刷に供するグラビア印刷版にファニッシャーロールによりグラビアインキを供給されるグラビア印刷にあって、前記グラビア印刷版両端のR部を含む一部領域において、前記グラビアインキを前記ファニッシャーロールより掻き落とし、前記グラビア印刷版両端のR部を含む一部領域の版面及び版側面に前記ファニッシャーロールからのインキ付着を少なくすることを特徴とするインキパンフレームに固定した治具及びスキージー。
【請求項3】
インキパンフレームに固定した治具及びスキージーであって、前記スキージーの側面の長さは、グラビア印刷版端部に対し外側の方が内側よりも長く、且つ、前記グラビアインキを前記ファニッシャーロールより掻き落とす前記スキージーの先端が、前記ファニッシャーロールに円弧を描き接することを特徴とする請求項2に記載の治具及びスキージー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
グラビア印刷において、グラビア印刷版にファニッシャーロールからインキ供給されたインキが、版側面及びドクターが接触するR部などからのインキ飛散を少なくし、グラビア印刷物の品質向上、印刷ユニットのフレーム、チャキングコーン周辺へのインキ飛散をなくしグラビア印刷の生産性向上に関する。
【背景技術】
【0002】
グラビア印刷において、グラビア印刷版にインキを塗布するには、主たる方法として、(1)インキパンに貯めたインキに直接グラビア印刷版を浸し塗布する方法。(2)ファニッシャーロールにインキパンに貯めたインキを塗布し、ファニッシャーロールからグラビア印刷版に塗布する方法。がある。
【0003】
前者は、グラビア印刷が、低速(100m/分)で印刷されていた時は、この方法であった。しかし、グラビア印刷の速度が、高速(最大速度は300m/分程度)になるにつれ、(1)インキパン・グラビア印刷版周辺のインキ飛散が大きくなったため。(2)印刷絵柄の再現性をよくするように、セルへインキを押し込むため。後者のファニッシャーロールを使用する仕様が一般的になっている。
【0004】
ファニッシャーロールを使用するようになり、グラビア印刷の高速化が進むほどグラビア印刷版周辺のインキ飛散が大きくなり、グラビア印刷物の品質(インキ飛び)、印刷ユニットのフレーム、チャキングコーン周辺へのインキ付着による清掃など、グラビア印刷の生産効率を阻害している。
【0005】
また、グラビア印刷版の価格は、グラビアシリンダーの幅(版幅)や版面の表面積で決められるため、グラビア印刷版の幅は数種を保有し、同じ印刷機で印刷されている。このため、幅が異なる3種のニップ圧胴を内蔵し自由に選択できるタイプのグラビア印刷機が多く販売されている。異なる幅のグラビア印刷版の使用頻度が少ないグラビア印刷機においては、ニップ圧胴交換で対応する。
【0006】
異なる幅のグラビア印刷版を使用するためには、ニップ圧胴の交換をしなければ印刷をすることはできないが、ファニッシャーロールについては、全ての異なる幅のグラビア印刷版に対して、共通で使用されている。
【0007】
従って、版側面及びドクターが接触するR部などに塗布される過剰なインキについて、仕方がないものと考えられていた。また、グラビア印刷版幅に合わせたファニッシャーロールを持つことは、場所の問題、費用の問題の他に、の交換時の洗浄と言う問題もあり、グラビア印刷機においては1種類の幅のファニッシャーロールが使用されている。
【0008】
また、グラビア印刷版幅に対応したファニッシャーロールを持ち、版側面及びR部へのインキ供給を少なくすることは、印刷速度、インキ粘度、グラビア印刷版のチャッキング位置のわずかなズレなどにより、万一ドクター刃とグラビア版面の接点にインキが供給されない場合、印刷物には欠点が出ずに、グラビア印刷版の端部でドクター刃の急速な摩耗、発熱などの異常が発生するため、ファニッシャーロールの幅をグラビア印刷版の幅よりも短くすることはされてこなかった。
【0009】
このことなどの理由より、ファニッシャーロールがグラビア印刷版に両端部での、過剰なインキ供給については、改善が図られてこなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2006−272710
特開2016−203387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
グラビア印刷において、グラビア印刷版にグラビア版にインキを供給するファニッシャーロールからのインキ供給方法おいて、グラビア印刷版両端のR部版側面のへのインキ付着を少なくすることにより、版側面及びドクターが接触するR部などからのインキ飛散を少なくし、グラビア印刷物の品質向上、印刷ユニットのフレーム、チャキングコーン周辺へのインキ飛散をなくしグラビア印刷の生産性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のグラビア印刷方法は、グラビア印刷に供するグラビア印刷版にグラビアインキを供給するファニッシャーロールの、前記グラビア印刷版両端のR部を含む一部領域において、インキパンフレームに固定した治具及びスキージーをもって、前記グラビアインキを前記ファニッシャーロールより掻き落とすことにで、前記グラビア印刷版両端のR部を含む一部領域の版面及び版側面に前記ファニッシャーロールからのインキ付着を少なくすることを特徴とする。
【0013】
ファニッシャーロールは、グラビア印刷版に設けられた絵柄を形成するセルにインキを押し込むことが、主たる役割であり印刷速度の高速化に伴い不可欠なロールとなった。グラビア印刷版の速度と同じならファニッシャーロールからインキが飛散するので、周速を調整できる。従ってファニッシャーロールにより持ち上げられたインキは、障害物があれば、障害物に当たったインキは大半がインキパンに戻る。このような現象を利用すれば、障害物としてスキージーを設ければグラビア印刷版両端のR部を含む一部領域にインキの供給を少なくすることができる。
【0014】
図1に、本発明のグラビア印刷方法の概念斜視図を示す。インキパン(1)に貯めたインキ(2)<インキを太斜線で表した>にファニッシャーロール(3)をインキ(2)に漬け回転することでインキ(2)をグラビア印刷版(4)に運びインキ溜まり(5)を作り、過剰なインキ(2)はインキパン(1)に落下し、一部はグラビア印刷版(4)の両端のR部(6)からインキパン(1)に落下する。グラビア印刷版(4)及びファニッシャーロール(3)の回転方向を側面に黒矢印で示した。尚、グラビア印刷版(4)とファニッシャーロール(3)のシャフトは図1から省略している。
【0015】
本発明のインキパンの前面フレーム(7)に固定した治具(8)及びスキージー(9)で、ファニッシャーロール(3)により持ち上げられたインキ(2)を掻き落としグラビア印刷版(4)両端のR部(6)を含む一部領域にインキ(2)を供給しないことにより、R部(6)及び版側面(10)へのインキ(2)の付着を少なくするものである。グラビア印刷版(4)両端のR部(6)近傍においてもドクター刃(11)で掻き落とされるインキも少なくなり版側面(10)のインキ汚れも軽減される。
【0016】
このように、本発明のグラビア印刷方法である、前面フレームに固定した治具及びスキージーを取り付けることにより、R部及び版側面からのインキ飛散がなくなり、版側面へのインキ付着もR部の近傍だけとなることで、グラビア印刷機のフレーム内面やグラビア印刷版を保持するシャフト、更にはグラビア印刷版とシャフト先端のチャッキングコーンの間にもインキの侵入がなく、常にグラビア印刷機を汚れのない状態を維持するだけでなくグラビア印刷版の清掃作業もなくなり、グラビア印刷の効率を高めるものである。
【0017】
本発明のインキパンフレームに固定する治具及びスキージーは、グラビア印刷に供するグラビア印刷版にファニッシャーロールによりグラビアインキを供給されるグラビア印刷にあって、前記グラビア印刷版両端のR部を含む一部領域において、前記グラビアインキを前記ファニッシャーロールより掻き落とし、前記グラビア印刷版両端のR部を含む一部領域の版面及び版側面に前記ファニッシャーロールからのインキ付着を少なくすることを特徴とする。
【0018】
先に示した図1に示したように、インキパンフレームに固定した治具及びスキージーにより、ファニッシャーロールに塗布したインキは掻き落とされ、ファニッシャーロールが接するグラビア印刷版両端のR部を含む一部領域のインキ溜まりは少なくなり、グラビア印刷版両端のR部及び版側面へのインキ付着を少なくすることが出来る。
【0019】
更に、グラビアインキをファニッシャーロールより掻き落とすための、インキパンフレームに固定した治具及びスキージーであって、前記スキージーの側面の長さは、グラビア印刷版端部に対し外側の方が内側よりも長く、且つ、前記グラビアインキを前記ファニッシャーロールより掻き落とす前記スキージーの先端が、前記ファニッシャーロールに円弧を描き接することを特徴とする。
【0020】
グラビア印刷版から遠くなる片方のスキージーの先端を長くし、更に接する一辺を凹状の円弧とすれば、スキージーで除去されたインキはグラビア印刷版に接しない方向に多く流れるため、スキージーのインキ除去効果を高める。図2のスキージーのファニッシャーロールと接する一辺を凹状の円弧にしたスキージー(12)を概念斜視図で示す。
【0021】
本発明のインキパンフレームに固定する治具及びスキージーは、グラビアインキをファニッシャーロールより掻き落すことができればよいが、取り扱い、作業性を考えればグラビア印刷版の半円周が変われば、ファニッシャーロールの位置が変わる為、スキージーが簡単に交換できるものがよい。また、グラギア印刷版の版幅が変わればインキパンフレームに固定する治具の位置も変わる為、固定する治具の取り付け取り外しが容易なものがよい。
【0022】
図3に、インキパンフレームに固定する治具及びスキージーの分解斜視図を示す。(以下、スキージーを設けたインキ掻き落とし治具を「スキージー治具」と言う) 本発明のスキージー治具は、ファニッシャーロールに近く、治具などを固定できる場所としてインキパンフレームの前面に設けられるフレーム部を選んでいる。このフレーム部分には、インキの排出口以外は設けられず、スキージー治具の固定位置を変えるのに都合がよい。(以下、インキパンフレームの前面フレーム部を「前面フレーム部(7)」と言う)
【0023】
図3のスキージー治具の説明をする。前面フレーム部分に固定するスキージー治具分解斜視図に示す、前面フレーム部分に固定部品A(13)を蝶ネジ(14)で固定し、固定部品B(15)に設けられている固定バネ(16)とのに間にスキージー(9)を挟んで固定し、固定部品A、Bに設けられている勘合孔(17)に勘合ピン(18)を差し込めば前面フレーム部分となる。ファニッシャーロールにスキージー(9)を押し当てる力は、固定部品B(15)とスキージー(9)の自重でよい。ファニッシャーロールで持ち上げられるインキを完全に掻き落とす必要はなく、スキージーを弱い力で沿わせれば大半のインキを除去することができる。従って、固定部品B(16)の重さで調整すればよい。
【0024】
図4に、インキパンフレームに固定する治具及びスキージーの別な分解斜視図を示す。予めスキージーの固定具(20)を前面フレーム部(7)に丁番を(19)使い固定しておくものである。使用するグラビア印刷版の幅に対応する位置に、丁番(19)の一方を固定し、もう一方にはスキージー固定具(20)を固定したものを、前面フレーム部(7)に固定する。使用しない時は、インキパン外部に収めれば、作業の邪魔にならない。使用時は、スキージー固定具(20)に設けたネジ穴(23)に、長穴(21)を設けたスキージー(9)を蝶ネジ(14)と座金(22)で固定すればよい。長穴(21)は、ファニッシャーロールの位置によりスキージーの固定位置を調整するためのものである。ファニッシャーロールにスキージー(9)を押し当てる力は、スキージー固定具(20)スキージー(9)等の自重でよい。
【0025】
図5に、インキパンフレームに固定する治具及びスキージーの別な分解斜視図を示す。スキージーで掻き落としたインキの一部はスキージーの両端部へ逃げるが、そのインキをグラビア印刷版側でなく版側面の外側に逃がすため、スキージーの先端を版面部よりR部の方向に長くしたものである。従って、スキージー(9)がファニッシャーロールと接する先端部は中央部が凹状の円弧にしたスキージー(12)となる。また、前面フレーム部(7)に固定する丁番(17)は、スキージーが長くなる端部(24)を高く、短くなる端部(25)を低くして前面フレーム部(7)に固定している。全体図として図2を参照すればよい。
【0026】
インキパンフレームに固定する治具及びスキージーは、インキパンフレームの前面に限るものではない。図6はインキパン(1)前面部の一部を図示したものであるが、インキパンのサイドフレーム(26)に丸棒(27)の両端にフレーム固定具(28)を設け、スキージー治具(20)を丸棒(27)に通して2個設け、該スキージー治具(20)を自重でファニッシャーロール(3)に沿わせたものである。この場合は、スキージー治具(20)は同一のものでサイドフレーム(26)の固定位置を変えれば版円周の異なるグラビア印刷版に対しても対応することができる。
【発明の効果】
【0027】
グラビア印刷版にグラビア版にインキを供給するファニッシャーロールからのインキ供給方法をグラビア印刷版の版側面へのインキ供給量を少なくし、機械フレームなどへのインキ飛散をなくすため、ファニッシャーロールにスキージーをあてがうことで、改善が図れた。
【0028】
これにより、グラビア印刷物の品質向上、印刷ユニットのフレーム、チャキングコーン周辺へのインキ飛散がなくなり、グラビア印刷の生産性向上及び品質向上を図ること出来た。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明のグラビア印刷方法の概念斜視図
図2】本発明のグラビア印刷方法の別な概念斜視図
図3】インキパンフレームに固定する治具及びスキージーの分解斜視図
図4】インキパンフレームに固定する治具及びスキージーの別な分解斜視図
図5】インキパンフレームに固定する治具及びスキージーの別な分解斜視図
図6】インキパンサイドフレームに固定する治具及びスキージーの別な分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0030】
グラビア印刷を、図1に示した状態で行った。スキージーは図3のタイプのものを使用した。スキージー及び固定具の自重で9割程度のインキを除去できた。この状態でR部を観察すると、R部からインキパンに落ちるインキはなかった。また、スキージーと対向するグラビア印刷版とファニッシャーロールとの間のインキ溜まりは明らかに少ない状態であった。
【0031】
この状態での印刷を、10万m行ったが、印刷機フレーム、版のチャッキングコーンへのインキ飛散はなかった。
【符号の説明】
【0032】
1 インキパン
2 インキ
ファニッシャーロール
4 グラビア印刷版
5 インキ溜まり
6 両端のR部
7 インキパンの前面フレーム
8 固定した治具
9 スキージー
10 版側面
11 ドクター刃
12 凹状の円弧にしたスキージー
13 固定部品A
14 蝶ネジ
15 固定部品B
16 固定バネ
17 勘合孔
18 勘合ピン
19 丁番
20 スキージー固定具
21 長穴
22 座金
23 ネジ穴
24 長くなる端部
25 短くなる端部
26 インキパンのサイドフレーム
27 丸棒
28 フレーム固定具
【要約】      (修正有)
【課題】グラビア印刷版側面からのインキ飛散を少なくする。
【解決手段】ファニッシャーロール3にスキージー9を沿わせることでグラビア印刷版4側面へのインキ2供給を少なくし、機械フレーム7などへのインキ飛散をなくした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6