(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記幅狭部が、水平方向において、防水性リモコン装置の中心よりも端部に近い位置に少なくとも設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の防水性リモコン装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有線式リモコンは、防水性を保ち、信号線を切られるといったイタズラを防止し、及び有線式リモコンの壁面から前に突出している部分にぶつかって怪我をしないようにするために、リモコン本体及び信号配線が壁内に埋め込まれるのが一般的であるが、埋め込んだリモコンの施工及びメンテナンスが面倒となるという問題があり、さらに、有線式リモコンの前出方向の寸法が大きいときには比較的薄い壁に埋め込みができなくなるといった問題があった。
【0005】
これに対し、壁掛け式の電波式の無線リモコンとして、防水性を有する構造を形成するために、使用者側の前面側の前側防水ケース部材と、リモコン後ろ側の後側防水ケース部材と、前側防水ケース部材と後側防水ケース部材との組合せによって防水リモコンケースを予め組み立てたのちにこの防水リモコンケースを壁に取付けたケースハンガに掛けることにより設置されるリモコンが知られている。
このような電波式の無線リモコンにおいては、電池交換等がしやすい構造が必要であるために、ケースハンガから取り外しできるリモコンケースが必要であった。
【0006】
しかしながら、上記のような電波式無線リモコンは、前側防水ケース部材と後側防水ケース部材とを組合せて防水構造を形成する防水リモコンケースを、さらにケースハンガに取付けて形成するので、リモコンを取付けたときの前出寸法が比較的大きくなってしまい、リモコンの前出寸法が比較的大きくなることにより、壁面から前方に突出したリモコンと接触して破損させてしまうなどの問題が生じる可能性があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、前面部材が壁面固定部材と嵌合して防水構造を形成する防水性リモコン装置の前出寸法を抑制し、使用者の使い勝手を向上することができ、且つ、施工者が簡単にメンテナンスを行うことができ、使用者及び施工者の使い勝手を向上することができる防水性リモコン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、トイレブース内の壁面に設置される防水性リモコン装置であって、使用者からの入力を判定する入力ユニットと、洗浄装置に洗浄命令を送信する送信ユニットと、を有する制御ユニットと、使用者と相対する前面をカバーするように形成された前面部材と、トイレブース内の壁面に固定される壁面固定部材と、を備え、前記前面部材は、壁面固定部材の前面側に配置された前面壁と、この前面壁の頂部からほぼ水平方向後方へ張り出した頂面壁と、この頂面壁の後端部から、トイレブース内の壁面と前記壁面固定部材の頂部との間を垂下する後端垂下壁を有し、前記壁面固定部材は、取付時に壁面と接触する壁面固定板部と、前記壁面固定板部の上部に形成された背面側受け部と、を有し、前記前面部材は、前記壁面固定部材に着脱自在に取付けられ、前記前面部材及び前記壁面固定部材は、前記前面部材を壁面固定部材に取り付けた状態で、前記背面側受け部と前記後端垂下壁前面との間の幅が比較的狭く形成された幅狭部と、前記背面側受け部と前記後端垂下壁前面との間の幅が前記幅狭部より広く形成された幅広部と、を形成してなり、前記後端垂下壁と、前記壁面固定板部を延長した仮想線との間に、前記幅広部よりも狭い水平方向誘導部と、前記後端垂下壁の周囲であって、前記幅狭部と前記水平方向誘導部との間に少なくとも前記水平方向誘導部より広い浸入抑制部を有し、前記幅狭部は、前記前面部材または前記壁面固定部材の何れか一方から他方へ向かう凸部によって形成してなることを特徴としている。
このように構成することにより、頂面壁に水がかけられ、後端垂下壁へと水が流れた場合であっても、水平方向誘導部へ浸入した水を毛細管現象によって、左右方向へ水を広げて外部へ排出することが可能となる。さらに、水平方向誘導部を越えて内部に浸入しようとする水が発生した場合も、毛細管現象が発生しないように広がった絶縁部を設けることによって、内部まで水が吸い上げられることを抑制している。さらに、後端垂下壁と背面固定部材との間に幅狭部を形成するような凸部(リブ)を設け、それ以外を幅広部として形成していることによって、前面部材と背面固定部材との間をガタツキなく固定できると共に、万が一絶縁部より奥に水が浸入した場合であっても、この水が毛細管現象によって吸い上げられることを抑制することが可能となる。
これにより、防水性能とガタツキ抑制を両立しながら、シール部材などを利用しないため薄型化も可能となる。つまり、前面部材が壁面固定部材と嵌合して防水構造を形成する防水性リモコン装置の前出寸法を抑制することができ、使用者が防水性リモコン装置と接触する可能性も低減することができ、使用者の使い勝手を向上することができる。また、前面部材を取り外すことが可能なため、施工者が簡単にメンテナンスを行うことができ、施工者の使い勝手を向上することができる。
なお、本発明は防水性リモコン装置が薄型であるときに最も効果を発揮する。防水性リモコンが比較的薄型である場合、自重が軽いことに加え、使用者が体重を掛ける危険性も低いため、要求される強度も比較的小さいものとなり、凸部(リブ)も小さく設けることができるなど、本発明を適用し易い。
【0009】
本発明において、好ましくは、さらに、前記幅狭部が複数設けられている。
このように構成された本発明においては、幅狭部を複数設けることによって、各々の長さは短くしながら、全体として強度を持たせることができるようになる。換言すると、強度を犠牲とせずに、各幅狭部の長さを短くすることが可能となり、毛細管現象をより効率的に抑制することが可能となる。
【0010】
本発明において、好ましくは、幅狭部が、壁面と平行な方向において、防水性リモコン装置の中心よりも端部に近い位置に少なくとも設けられている。
このように構成された本発明においては、壁面と平行な方向において中心に近い位置に水が浸入した場合も、中心よりも端部に近い位置に設けられた幅狭部により、左右の端部方向へ水を誘導することが可能となる。これにより、浸入した水滴を効率的に外部へ誘導することが可能となる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記前面部材は、その左右端部に前面から壁面方向へ立ち上がる前面左右壁を有しており、壁面にとりつけた上体において、前記前面左右壁と、前記壁面固定部材を延長した仮想線との間の幅が前記幅広部よりも狭い。
このように構成することによって、前面部材と壁面との間で毛細管現象を発生させることができる。つまり、前面部材の左右壁まで水が到達すると、自動的に防水性リモコン装置の下方まで誘導され、排出されるように構成することが可能となる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記壁面固定部材は、壁面から前面方向へ立ち上がる前出右側面部及び前出左側面部を有しており、前記前出右側面部と前記右側面覆部の間、及び前記前出左側面部と前記左側面覆部の間、の夫々の幅が、前記前記右側面覆部及び前記左側面覆部と前記壁面固定板部を延長した仮想線との間の幅よりも広い。
このように構成された本発明においては、水平方向誘導部によって左右に誘導された水滴が、前記前出右側面部と前記右側面覆部の間、及び前記前出左側面部と前記左側面覆部の間に毛細管現象によって吸引されることを抑制することが可能となる。つまり、左右方向へ流れた水が、再度内部へ浸入してしまうことを抑制することが可能となる。
【0013】
本発明において、好ましくは、制御ユニットが前面部材に取り付けられている。
このように構成された本発明においては、万が一、水が浸入した場合であっても、制御ユニットが前面部材にとりつけてあるため、直接制御ユニットまで水が到達する可能性を低減できる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前面部材の下端に、前面から壁面方向へ向かって下方へ傾斜する底面壁を設けている。
このように構成された本発明においては、最終的に水が到達する箇所に、前面から壁面へ下方に傾斜を設けることによって、底部に水がたまることなく、効率的に外部へ排出することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の防水性リモコン装置によれば、使用者及び施工者の使い勝手を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、添付図面により、本発明の実施形態による防水性リモコン装置を説明する。
まず、
図1乃至
図3により、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置を説明する。
図1は、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置をトイレブース内の壁面に設置した状態を示す図であり、
図2は、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置を前方斜め上方から見た分解斜視図であり、
図3は、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置を後方斜め上方から見た分解斜視図である。
【0018】
図1乃至
図3に示すように、符号1は防水性リモコン装置を示し、この防水性リモコン装置1は、便器洗浄装置2の設置されたトイレブース3内の壁面4に取付けられる壁面固定部材6と、この防水性リモコン装置1を制御する制御ユニット8と、制御ユニット8を保護する制御ユニット保護カバー10と、便器洗浄装置2を使用する使用者と相対する側の前面をカバーする前面カバー部材12と、を備えている。
防水性リモコン装置1は、前面カバー部材12を壁面4に予め固定された壁面固定部材6に対し、壁面固定部材6の頂部を覆うように上方から嵌合させて壁面固定部材6の下部までの全体を覆うように嵌合させることによって、一体化された箱形状(直方体形状)に形成されるようになっている。また、制御ユニット8が前面カバー部材12の後面側(前面カバー部材の背面側)内部に装着されている。
この防水性リモコン装置1は、単独では十分な防水構造を形成していない前面カバー部材12を、単独では十分な防水構造を形成せず且つ壁面4に予め直付け固着された壁面固定部材6に対し、嵌合させることにより、良好な防水構造を完成させ、壁面に組みつけられた状態において防水構造を達成している防水性リモコン装置である。
【0019】
壁面固定部材6は、トイレブース3内の壁面4にねじ留め(図示せず)によって予め取付けられて固定され、壁掛けの防水性リモコン装置1を壁面に掛けるように構成されている。また、壁面固定部材6は、前面カバー部材12と、嵌合することにより、一体化した壁掛け防水性リモコン装置を形成するように構成されている。
壁面固定部材6は、壁面に沿った平板状の壁面固定板部6aと、壁面固定板部の上部に形成された背面側受け部6bと、この背面側受け部6b近傍から前方にほぼ水平方向に延びる前出頂面部6cと、壁面固定板部6aの底辺から前方にほぼ水平方向に延びる前出底面部6dと、壁面固定板部6aの右側辺から前方に延びる前出右側面部6eと、壁面固定板部6aの左側辺から前方に延びる前出左側面部6fとを備えている。
壁面固定板部6aは、ねじによりトイレブース3内の壁面4にねじ留め固定されるように形成され、電源配線及び信号配線等が壁面4裏の電源等から制御ユニット8まで有線接続される場合に、これらの配線を通すことができるような配線開口6kを形成している。
前出底面部6dは、前面カバー部材12の下方側から挿入されるネジ14によりネジ留め固定されるように形成されている。
【0020】
制御ユニット8は、使用者の検出信号及び操作信号等の入力を受ける入力ユニット16と、便器洗浄装置2に洗浄開始命令を送信する送信ユニット18と、入力ユニット16及び送信ユニット18が接続されている基板20とを備えている。
入力ユニット16は、使用者の手指等が前方にかざされていることを、赤外線の利用により検知する赤外線検知ユニットであり、使用者の手指等を検出するために赤外線を投光する投光部22と、赤外線を受光する受光部24と、円板形状に形成され且つ赤外線の光を透過させる透光板26と、意図する方向に進む赤外線光以外の赤外線光を遮光するようにラバーにより形成されたラバー支持部28と、を備えている。
【0021】
ここで、
図4により、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置におけるラバー支持部28の構造を詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置におけるラバー支持部の構造部分を示す、
図1のIV-IV線に沿って見た部分断面図である。
ラバー支持部28は、その上部が透光板26に接続され、その下部が基板20に接続され、外周形状がほぼ円形に形成され且つ、基板20上に筒状に立ち上がるように配置され、その内側領域が複数の領域に区分されて形成されている。例えば、ラバー支持部28は、投光部22から透光板26まで赤外線光を概ね直進させるように投光部22を収容する投光通路28aを形成し、透光板26から受光部24まで赤外線光を概ね直進させるように受光部24を収容する受光通路28bを形成している。従って、ラバー支持部28は、投光部22から投光された赤外線の光を、透光板26を通過させることなく受光部24で直接受光させないような遮光構造を形成している。また、透光板26付近から中に浸入しようとする水を、ラバー支持部28と、前面カバー部材12との間でシールすることができる。さらに、投光部22は、基板20上に配置され、投光部22とラバー支持部28との間が防水されるようにシールされるようになっている。ラバー支持部28によって、防水性の高い構造を有する防水性リモコン装置1を提供することができる。
このように、ラバー支持部28を、透光板26と、基板20の間に設置することにより、遮光と防水を兼ね備えた支持構造を実現することができる。
【0022】
次に、送信ユニット18は、洗浄開始信号を無線電波により送信する電波送信装置30を備える。この電波送信装置30により発信された無線電波信号を便器洗浄装置2の制御部(図示せず)の受信装置(図示せず)で受信し、便器洗浄を行うようになっている。電波送信装置30は、消費電力が非常に少ないため、電波送信装置30の代わりに赤外線光送信装置を採用した場合に必要となる電力を供給する電池の取替え頻度と比べて、電波送信装置30に必要となる電力を供給する電池32の取替え頻度を少なくすることができる。また、電波送信装置30は、電力容量の小さなボタン電池を採用することが可能となり、比較的大きな乾電池や大容量の大型電池を利用する必要がなくなり、防水性リモコン装置1をより薄型化することが可能となる。
電波送信装置30は、入力ユニット16よりも上方に所定距離離間して取付けられている。電波送信装置30が、使用者が手指等を入力ユニット16前方にかざしているときに、その手指等が電波送信装置30の前方にかからないような所定距離だけ入力ユニット16から離間されているので、使用者が手指等を入力ユニット16前方に(入力ユニット16が壁面4に取付けられている場合の前側に)かざしているとき、電波送信装置30から送信される電波が使用者の手指等によって妨げられ、通信に不具合が生じることを抑制することができる。
【0023】
基板20は、基板20上に入力ユニット16及び送信ユニット18の各部品等、及び電池32などを接続した状態で、前面カバー部材12の後面側空間内に挿入されて取付けられている。防水性リモコン装置1と、便器洗浄装置2及び/又は外部電源(図示せず)等とを有線式の接続方法により接続する場合には、後述するような電源配線及び信号配線等を基板に接続するようになっている。基板20上には、電池32が電極上に配置され、電池交換のメンテナンスが必要な場合には、消耗した電池を基板に接続された電極から取り外して新しい電池と取り替えるようになっている。また、電池32としては比較的サイズの小さなボタン電池を採用している。
【0024】
制御ユニット保護カバー10は、制御ユニット8の基板20に取付けられ、前面カバー部材12を壁面固定部材6から取り外した際に、前面カバー部材12に取付けられている基板20がむき出しになり、誤操作されたり、いたずらされることを防ぐように基板20を保護している。逆に、制御ユニット保護カバー10は、施工者等が基板20のメンテナンス調整等を行うことが必要な部分については切り欠き開口10aを形成しており、施工者等がその切り欠き開口10aを通して基板20の調整等を行うことができるようになっている。この制御ユニット保護カバー10は、制御ユニット8の基板20とともに、前面カバー部材12の後面側空間内に挿入されて前面カバー部材12に取付けられている。
このように、制御ユニット保護カバー10は、前面カバー部材12と組合せて防水構造を形成するように設けられた従来の壁面カバー部材部材とは異なる部材である。
【0025】
次に、
図2乃至
図12により、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置における前面カバー部材12の構造についてより詳細に説明する。
図5は、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置を前面カバー部材と壁面固定部材とを嵌合した状態で後方から見た図である。
図6は
図5のA-A線に、
図7は
図5のB-B線に、夫々沿って見た断面図である。また、
図8は
図5のC-C線に沿って見た断面図であり、
図9は
図8のE付近の部分拡大断面図であり、
図10は
図5のD-D線に沿って見た断面図であり、
図11は
図10のF付近の部分拡大断面図であり、
図12は
図5のE-E線に沿って見た断面図である。
【0026】
前面カバー部材12は、自身の内部に壁面固定部材6、制御ユニット8及び制御ユニット保護カバー10を収容しながら奥行き寸法(すなわち壁からの前出寸法)をなるべく小さく抑えるような薄型の形状に形成されている。前面カバー部材12は、自身の内部に壁面固定部材6の大部分を収容できるので、防水性リモコン装置1全体の前出寸法を抑えることができる。
この前面カバー部材12は、壁面固定部材6全体に対して使用者側の前面を覆う前面覆部12aと、壁面固定部材6の前出頂面部6c及び背面側受け部6bを覆うようにほぼ水平方向後方に張り出した頂面覆部12bと、前出底面部6dを下方から覆うように形成された底面覆部12cと、前出右側面部6eを覆う右側面覆部12dと、前出左側面部6fを覆う左側面覆部12eとを備えている。
【0027】
前面覆部12aは、ほぼ長方形に形成され、中央近傍に入力ユニット16のラバー支持部28を埋め込むことができる円形開口部12fを形成し、頂面覆部12bは、前面覆部12aの背面側の頂部辺から後方に水平に突出して形成され、底面覆部12cは、前面覆部12aの背面側の底部辺から後方に水平に突出して形成され、右側面覆部12dは、前面覆部12aの背面側の右側辺から後方に水平に突出して形成され、左側面覆部12eは、前面覆部12aの背面側の左側辺から後方に水平に突出して形成されている。
このように、前面覆部12aの背面側の4辺から頂面覆部12b、底面覆部12c、右側面覆部12d及び左側面覆部12eが後方に張り出すように形成されているので、前面カバー部材12は、背面側に開放する凹形状に形成され、その背面側に基板20、電池32及び配線等を取付けることができる取付け空間12gを形成している。従って、この取付け空間12g内に、壁面固定部材6の壁面固定板部6a、前出頂面部6c、前出底面部6d、前出右側面部6e及び前出左側面部6fが、外周内側に嵌まり込むように配置できるようになっている。
【0028】
前面カバー部材12は、壁面固定部材6に着脱自在に形成されており、前面カバー部材12が壁面固定部材6の頂部を覆うように上方から嵌合された後、前面カバー部材12と壁面固定部材6とは、ネジ留め固定される。
先ず、前面カバー部材12の底面覆部12cは、その中央部近傍において、ネジ固定部12hを形成しており、このネジ固定部12hにおいてネジ14を下から上に貫通させて壁面固定部材6の前出底面部6dとネジ留め固定できるようになっている。底面覆部12cのネジ固定部12hに取り付けられるネジ14は、防水性リモコン装置1の正面方向、上方向及び/又は左右方向から見えにくく配置されているので、いたずらなどでネジ14をはずされてしまう可能性を低減でき、また、防水性リモコン装置1のパブリック環境において配置された場合の美観がよくなり、意匠性に優れている。さらに、ネジ14によって底面の1箇所を固定すればよいので、仮にネジ14を両側面においてネジ留めする場合のようにネジ留め箇所が2箇所必要になる場合と比べて、取付け者等の施工作業が軽減される。
【0029】
次に、
図5乃至
図12により、本発明の実施形態による手かざし式センサの入力ユニット及び無線式の送信ユニットを備えた防水性リモコン装置1における、前面カバー部材と、壁面固定部材の背面側受け部とを嵌合した状態において形成される防水構造について説明する。
壁面固定部材6の背面側受け部6bには、リブ7が形成されている。また、前面カバー部材12の頂面覆部12bは、ほぼ水平方向に後方に延びる上面壁12iと、この上面壁12iの後端辺から垂下する最も背面側の壁を形成する後端垂下壁12jとを備える。
このとき、後端垂下壁12jの壁面側面と、壁面固定部材6の壁面固定板部6aを延長した仮想線との間の距離はW1と設定されている、つまり壁面と後端垂下壁12jとの間には比較的狭い幅W1の隙間空間を有する水平方向誘導部5が形成されている。
防水性リモコン装置1に水がかかり頂面覆部12bに水が付着した場合、前面覆部12a、右側面覆部12d及び左側面覆部12eへと至った水は重力により、そのまま最下部まで導かれて、防水性リモコン装置1の外部へと排出される。後端垂下壁12jへと至った場合のみ、内部への浸入が懸念される。しかし、前述のように後端垂下壁12jと壁面との間には、比較的狭い幅W1の隙間空間を有する水平方向誘導部5が形成されている。この水平方向誘導部5へと浸入した水は表面張力に起因する毛細管現象により水平方向誘導部5へと引き込まれる。この水平方向誘導部5は後端垂下壁12jの全幅に亘って形成されているため、どこか1点に浸入した水は水平方向に誘導されることになる。
【0030】
この水平方向誘導部5の下流側(防水性リモコン装置1の内部方向)には、W1より広い幅W2を有する空間である浸入抑制部9が設けられている。本実施例においては後端垂下壁12jと壁面固定部材6との間に形成されているが、後端垂下壁12jと壁面、壁面固定部材6と壁面の間に形成されていてもよい。少なくとも、浸入抑制部9を通らないと、背面側受け部6b、つまりは防水性リモコン装置1の内部へと進めない構造になっていることが重要である。このとき、水平方向誘導部5の幅(W1)<浸入抑制部9の幅(W2)であるため、水平方向誘導部5から浸入抑制部9へと水が進むためには、水平方向誘導部5に働く毛細管現象(表面張力)を越える力が必要となる。換言すればこのような力が加わらない場合、水平方向誘導部5に取り込まれた水は浸入抑制部9へと進むことができず、背面側受け部6bへとは到達できない。
背面側受け部6bにはリブ7が設けられている。このリブ7が後端垂下壁12jと略接触することにより(
図9)、前面カバー部材12がガタツキなく、壁面固定部材6に固定される。また、このリブ7は等間隔に3つ設けられており、使用者が体重を前面カバー部材12にかけるなどして力が加わった場合には夫々分散して支える構造となっている。このとき、リブ7と後端垂下壁12jの間は略接触しており、非常に狭い幅W3程度しか隙間がない幅狭部13となっている。しかしながら、先述のように浸入抑制部9を設けることによって水がこの部分まで浸入することを抑制しているため、毛細管現象により水を吸い上げてしまうことを抑制することができている。
【0031】
また、
図11に示すようにリブ7とリブ7の間においては、背面側受け部6bと後端垂下壁12jの間には十分広い幅W4の幅広部15が設けられている。このため、万が一浸入抑制部9へと水が浸入した場合であっても直ちに水が吸い上げられることを抑制している。このとき、防水性リモコン装置1の全幅のうち、幅広部15が幅狭部13よりも多く設けられていることが好ましい。
幅狭部13の合計の幅が同一の場合、大きな単一の幅狭部13を設けるよりも、小さな複数の幅狭部13(リブ7)を設けるほうが好ましい。また、リブ7は
図6に示されるように中央位置から外側に近い位置に設けることが好ましい。このように設けることで、中央付近に浸入した水を偏狭部13の毛細管現象(表面張力)によって、左右の端部へと誘導することができるようになるためである。
【0032】
次に、水平方向誘導部5によって、水平方向へ誘導された水滴について説明を行う。前述のように水平方向誘導部5は壁面4と後端垂下壁12jとの間に狭い幅W1で設けられており、この内部に引き込まれた水滴は毛細管現象により水平方向へと左右端部まで誘導されることになる。
図7に示されるように、防水性リモコン装置1の左右端部には、前面カバー部材12の前出右側面部6eを覆う右側面覆部12dと、前出左側面部6fを覆う左側面覆部12eが設けられている。前面カバー部材12が壁面固定部材6に組み付いた状態で右側面覆部12dと壁面固定板部6aを延長した仮想線、左側面覆部12eと壁面固定板部6aを延長した仮想線の間の幅は浸入抑制部9の幅W2や幅広部15の幅W4、前出右側面部6eと右側面覆部12d及び前出左側面部6fと左側面覆部12eの間の幅W6よりも狭い幅W5になるように設定されている。つまり、右側面覆部12dと壁面4や左側面覆部12eと壁面4の間には浸入抑制部9の幅W2や幅広部15の幅W4、前出右側面部6eと右側面覆部12d及び前出左側面部6fと左側面覆部12eの間の幅W6よりも狭い幅W5の上下方向誘導部51が設けられている。これは右側面覆部12d及び左側面覆部12eの上端から下端に亘る全域に設けられている。
このように設定することによって、水平方向誘導部5によって左右端部まで誘導された水滴を、重力と、上下方向誘導部51に発生する毛細管現象の力によって、防水性リモコン装置1の下方まで誘導することが可能となる。このとき、上下方向誘導部51が、浸入抑制部9や幅広部15、前出右側面部6eと右側面覆部12d及び前出左側面部6fと左側面覆部12eの間よりも狭いことによって、これらよりも強く水滴を吸引する力が発生する。つまり、端部まで誘導された水滴は防水性リモコン装置1の内部に浸入するよりも、上下方向誘導部51を通じて下方まで誘導されやすいということである。
【0033】
最後に、防水性リモコン装置1の下方まで到達した水滴について説明を行う。
図12に示すように、前面カバー部材12の底面は底面覆部12cとなっている。この底面覆部12cは前方から後方、つまり壁面方向へ向かって傾斜を有している。この傾斜により、底面覆部12cへと到達した水滴は壁面側へと誘導され、防水性リモコン装置1の外部へと排出される。
防水性リモコン装置1がパブリックトイレで使用されるとき、防水性リモコン装置1が頻繁にトイレブースの清掃作業が行われ濡れることも多く、またパブリック環境において使用者も多いため何らかの要因で濡れるような場合にも比較的高い防水性により自身内部への水の浸入を抑制できることが、防水性リモコン装置1の洗浄開始機能を維持する上で有用となっている。
【0034】
次に、
図1乃至
図7を参照して、本発明の実施形態による防水性リモコン装置における前面カバー部材を壁面固定部材に取付ける取付け動作について説明する。
防水性リモコン装置1を最初に設置する施工工事の際に、壁面固定部材6が、公衆トイレなどの、パブリックトイレ空間、各種洗浄装置の設置空間、トイレブース3等の壁面4に固定されている。
次に、防水性リモコン装置1の施工工事をする者、防水性リモコン装置1の設置をする者、防水性リモコン装置1をメンテナンス管理する者等(本発明において「施工者」という用語の意義には、最初の施工工事者の他、最初の施工工事後に、清掃、調整、工事等のさまざまな目的で、前面カバー部材12を壁面固定部材6に取付け又は取外し等する者を広義に含んでいる)は、前面カバー部材12を、トイレブース3等内の壁面4に固定されている壁面固定部材6に、壁面固定部材6を覆うように取付ける。
ここで、前面カバー部材12は、予め制御ユニット8及び制御ユニット保護カバー10が組み込まれて一体の部材に組み立てられている。
【0035】
施工者は、前面カバー部材12を、壁面固定部材6の上方から前方及び下方を覆うように、壁面固定部材6に取付ける。より具体的には、施工者は、前面カバー部材12の頂面覆部12bの後端垂下壁12jを、上方から壁面固定部材6の背面側受け部6bに嵌合させ、さらに、前面カバー部材12の前面覆部12aを壁面固定部材6の前方側を覆うように位置決めさせ、前面カバー部材12の底面覆部12cを壁面固定部材6の前出底面部6dの下面に合致させる。
施工者は、前面カバー部材12を壁面固定部材6に取り付けた状態で、前面カバー部材12の底面からネジ止めすることで、ネジ14を目立たせないようにして防水性リモコン装置1の意匠性に優れさせ且つ1箇所のネジ止めで確実に固定し、両者を固定する。
このように、施工者は、前面カバー部材12を、壁面固定部材6に取り付けると、前面カバー部材12及び壁面固定部材6が一体化されて、防水性リモコン装置1が完成及び設置された状態となる。防水性リモコン装置1が設置された状態では、防水性リモコン装置1全体のトイレブース3内の壁面4からの前出寸法は、概ね前面カバー部材12の前後方向の長さとなっており、従来の防水性リモコン装置を構成する前面ケース部材、壁面側ケース部材、及びリモコンケースハンガーのうち壁面側ケース部材を省略するように構成されているので、前面カバー部材12を壁面固定部材6に取り付けた状態における防水性リモコン装置1の前出寸法が抑制されている。
【0036】
次に、
図1乃至
図7を参照して、本発明の実施形態による防水性リモコン装置における前面カバー部材を壁面固定部材から取り外す取外し動作及びメンテナンス動作について説明する。
施工者は、前面カバー部材12の底面覆部12cからネジ14を取外し、次いで前面カバー部材12を壁面固定部材6の下方から前方及び上方に向かって取り外す。
施工者が、前面カバー部材12を壁面固定部材6から取り外した状態では、施工者の手元に前面カバー部材12及び前面カバー部材12に取付けられている制御ユニット8等があり、トイレブース3内の壁面4には壁面固定部材6が固定されたままである。
施工者は、これら前面カバー部材12及び前面カバー部材12に取付けられている制御ユニット8等を手元で確認しながらメンテナンス(機器の不具合の調整や設定変更など)を簡単に行うことができ、さらに定期的に発生する電池交換についても、電池32が前面カバー部材12側に取付けられているので、施工者は、手元で電池32の交換を容易に行うことができる。
【0037】
次に、
図1乃至
図7を参照して、本発明の実施形態による防水性リモコン装置1における前面カバー部材12を壁面固定部材6に取付けた状態において、便器を使用する使用者が防水性リモコン装置1を使用して便器洗浄を開始させる動作について説明する。
便器洗浄を行おうとする使用者が、防水性リモコン装置1の入力ユニット16における赤外線を投光する投光部22の前方且つ透光板26の前方空間に手指をかざすと、入力ユニット16の受光部24は赤外線を受光し、入力ユニット16を有する制御ユニット8は使用者の便器洗浄を行う意図を判断して、制御ユニット8の送信ユニット18の電波送信装置30によって便器洗浄装置2に洗浄開始命令を送信する。
便器洗浄装置2の制御部(図示せず)は、洗浄開始命令を受信すると、便器洗浄装置2の便器洗浄動作を開始させる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について図を用いながら説明を行った。なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において適宜設計が可能である。例えば、実施形態においては、赤外線を利用した所謂手かざし式の入力を採用しているが、その他のセンサを用いて人体を検知することや、押しボタン式を採用してもよい。また、便器洗浄装置への通信は電波送信によって行ったが、有線接続して通信を行うことも可能である。また、電池ではなくAC電源に接続するなど、適宜設計してよい。