特許第6202487号(P6202487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6202487金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法並びに検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202487
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法並びに検査方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/06 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   H05K3/06 D
   H05K3/06 E
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-59175(P2013-59175)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-187078(P2014-187078A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】506365131
【氏名又は名称】DOWAメタルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】塚口 信芳
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−110222(JP,A)
【文献】 特開平11−344319(JP,A)
【文献】 実開昭61−111172(JP,U)
【文献】 特開2009−182242(JP,A)
【文献】 特開2001−134627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00 〜 1/02
H05K 3/00 〜 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板に金属板を接合した後、前記金属板の表面に所定のパターンの形状のエッチングマスクを形成し、次いでエッチングにより前記エッチングマスクが形成されていない前記金属板の不要な部分を除去して前記所定のパターン形状の金属板を形成する金属−セラミックス接合回路基板の製造方法において、前記エッチングマスク前記所定のパターン寸法に対して所定量大きくし、且つ、前記エッチングマスク前記所定のパターンの寸法公差範囲内で前記所定のパターンをさらに太らせた又は細らせた寸法測定用パターン部を形成すことを特徴とする、金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記所定量大きくしたエッチングマスクが前記エッチング後に前記所定のパターン寸法になることを特徴とする、請求項1に記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記寸法測定用パターン部の太らせた又は細らせた寸法が、前記所定のパターン法公差の10%以上50%以内であることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記寸法測定用パターン部前記所定のパターンの対向する側面形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記寸法測定用パターン部が、前記所定のパターン形状と異なる矩形または弧状の形状を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記エッチング後に、前記セラミックス基板を分割することにより複数個の金属−セラミックス接合回路基板を得ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記複数個の金属−セラミックス接合回路基板の各々を得るための前記所定のパターンの形状のエッチングマスクのうち、少なくとも1つの前記所定のパターンの形状のエッチングマスクに前記寸法測定用パターン部を形成すことを特徴とする、請求項6に記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記エッチングの後に、前記所定のパターン形状の金属板にNiめっきまたはNi合金めっきを施すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記エッチング後に形成された前記所定のパターンの寸法ばらつきの標準偏差をσとすると、前記寸法測定用パターン部の太らせた又は細らせ量が、0.5σ以上であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法。
【請求項10】
セラミックス基板の一方の面に所定のパターンの形状の金属板が接合された金属−セラミックス接合回路基板において、前記所定のパターン形状の金属板が、前記所定のパターンの寸法公差範囲内で前記所定のパターンをさらに太らせた又は細らせた寸法の寸法測定用パターン部が形成されていることを特徴とする、金属−セラミックス接合回路基板。
【請求項11】
前記寸法測定用パターン部の太らせたは細らせた寸法が、前記所定のパターン寸法公差の10%以上50%以内であることを特徴とする、請求項10に記載の金属−セラミックス接合回路基板。
【請求項12】
前記寸法測定用パターン部が、前記所定のパターンの対向する側面形成されていことを特徴とする、請求項10または11に記載の金属−セラミックス接合回路基板。
【請求項13】
前記寸法測定用パターン部が、前記所定のパターン形状と異なる矩形または弧状の形状であることを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板。
【請求項14】
前記寸法測定用パターン部が、前記太らせた寸法の部分前記細らせた寸法の部分の両方を備えていることを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板。
【請求項15】
前記所定のパターン形状の金属板にNiめっきまたはNi合金めっきが形成されていることを特徴とする、請求項10〜14のいずれかに記載の金属−セラミックス接合回路基板。
【請求項16】
請求項10〜15に記載金属−セラミックス接合回路基板において、前記寸法測定用パターン部の寸法を測定し、その測定値が前記所定のパターンの公差範囲内であるときに、前記所定のパターン寸法について合格と判定することを特徴とする、金属−セラミックス接合回路基板の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法並びに検査方法に関し、特にセラミックス基板に金属板を接合した後、金属板をエッチングにすることにより回路を形成するパワーモジュール用回路基板などの大電力半導体素子搭載用に好適な金属−セラミックス接合回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーモジュール用回路基板などの半導体実装用に用いられる金属−セラミックス接合回路基板の製造方法としては、まず金属板とセラミックス基板の接合が行われる。
【0003】
例えばセラミックス基板の主面上に銅板を直接接触させて配置し、不活性ガス中で加熱してセラミックス基板と銅板を接合させる直接接合法が工業的に利用されている。また、Ti、Zr、Hfなどの活性金属を含有するろう材を介して、セラミックス基板上に銅板を配置し、真空中で加熱してセラミックス基板と金属板を接合させるろう接法も工業的に利用されている。さらに、不活性ガス中でセラミックス基板の表面にアルミニウムやアルミニウム合金からなる金属の溶湯を直接接触させた後、冷却・凝固させてセラミックス基板表面に金属板を形成・接合する溶湯接合法も工業的に利用されている。
【0004】
前記セラミックス基板と金属板の接合が行われた後、回路用や放熱板接合用として所定の形状にパターニングする方法として、プリント回路基板の製造などにも利用されているエッチング法がある。エッチング法は寸法精度の高い回路パターンを得やすく、且つ回路パターンの設計変更も比較的簡単にできるため広く利用されている。
【0005】
エッチング法においては、エッチングの前に金属板の表面に所定のパターン形状のエッチングマスク(エッチングレジスト)を形成する。このエッチングマスクは、スクリーン印刷法や露光法などにより、レジストインクやドライフィルムレジストを所定のパターン形状として金属板の表面に形成する。エッチングレジストを形成した後、例えば、塩化鉄または塩化銅と塩酸と過酸化水素水の混合溶液からなるエッチング液で金属板などの不要な部分を溶解、除去し、所定の回路パターン形状を形成することが知られている(特許文献1の段落0021〜0024、特許文献2の段落0012〜0013)。
【0006】
近年、電子部品の高密度化に伴い、回路パターン内の一部にファインパターンが形成されるなど回路形状が一層複雑になってきており、また、高い電気特性・信頼性を求められるパワーモジュール用回路基板としては許容される寸法公差の範囲が金属板の厚さに対して極めて小さいものが求められている。所謂プリント基板で用いられる金属板(箔)の厚さは概ね0.005〜0.040mm程度であるが、パワーモジュール用の金属−セラミックス接合回路基板は大電力用途であるため、金属板の厚さは0.1〜2.0mm程度、通常多くは0.15〜1.0μmの厚さが必要である。すなわち、プリント基板と比較して少なくとも2倍以上、比較対象によっては10倍以上の厚さであり、金属板が厚いためにパターン形成のためのエッチング時間が長くなり、また、所謂エッチングファクターも大きくなり、エッチング工程による回路寸法のばらつきが必然的に大きくなる。
【0007】
また、リードフレームなどを形成する金属板の両面からエッチングする場合と比べ、パワーモジュール用金属−セラミックス接合回路基板のエッチングの場合には、セラミックス基板上に接合された金属板をエッチングするため、金属板の片面からのエッチングとなり、パターン形状によるエッチングレートの差異が生じやすく、回路寸法のばらつきは大きくなる傾向にある。
【0008】
このため、エッチング液の液流れ性を改善したり、液流れ性の場所依存性を低減するためのエッチングマスクの寸法の補正を部分的に変更するなどして、回路パターン寸法全体が設計図面寸法となるように、エッチングばらつきのパターン内場所(位置)依存性を低減する手法が採用されている(特許文献3の請求項1〜8や図3など、特許文献4の請求項1や実施例1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平5−13920号公報
【特許文献2】特開平9−3662号公報
【特許文献3】特開2000−200957号公報
【特許文献4】特開平5−110226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、近年要求されるパターン寸法の公差は厳しくなってきており、前記エッチングマスクの寸法補正をしてもエッチングばらつきを十分に制御することは困難であることがわかってきた。
【0011】
例えば、金属の溶解は金属の結晶粒、結晶方位や粒界など結晶性に大きく影響を受けるが、金属−セラミックス接合回路基板では金属とセラミックス基板との接合が500℃〜1100℃程度の高温で行われるため、プリント基板のように低温で接着される金属箔より金属結晶粒子が成長する。そのためエッチング工程において金属の結晶性の影響をより受けやすく、エッチングの溶解具合に差異が生じやすくなる。即ち結晶性はエッチングばらつきの発生要因の一つであり、極端な場合は直線のライン形状のパターン設計であっても、エッチング後にラインが波打った形状になることがある。
【0012】
また、1個の金属−セラミックス接合回路基板でも、回路パターンの場所(位置)によるエッチングの寸法ばらつきがあり、回路パターン内の任意の場所を選んで抜き取りで寸法測定を行い、公差内であることを確認しても、必ずしも回路パターン全ての部分の寸法が規格範囲内であることを保証することができないことがわかってきた。そのため回路パターンの寸法仕様をはずれた不良製品が混入し、パワーモジュールに実装される場合も想定され、その際に絶縁破壊や半導体チップの搭載不良など重大な不具合を発生させる恐れがある。
【0013】
この不具合を防止するために、パターン設計図面で規定される回路パターンの全領域・全箇所について回路パターン寸法を測定(測長)、確認すれば良いが、1個の金属−セラミックス接合回路基板で規定される設計寸法が100以上あることも多く、極めて長い測定時間・確認時間を要したり、検査のために高能率な自動測長装置等の高額な設備導入が必要になり製造コストが高くなることは避けられなかった。また、金属−セラミックス接合回路基板のサイズによっては、そのハンドリング、立体角による計測誤差、工場顕微鏡のような測長用装置の試料台可動範囲の制約、画像データサイズが大きくなることによる自動計算障害等のため、自動測長装置で測定が困難な場合もある。
【0014】
本発明はこのような従来の問題点に鑑み、少ない工数でかつ低コストで容易に回路パターンの全領域・全箇所の寸法が規格範囲内であることを確実に判別できる金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法並びに検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の金属−セラミックス接合回路基板の製造方法は、セラミックス基板に金属板を接合した後、前記金属板の表面に所定のパターン形成用エッチングマスクを形成し、次いでエッチングにより前記エッチングマスクが形成されていない前記金属板の不要な部分を除去して前記所定のパターン形状の金属板を形成する金属−セラミックス接合回路基板の製造方法において、前記エッチングマスクは前記所定のパターン寸法に対して所定量大きくした形状であり、且つ、前記エッチングマスクは、前記所定量大きくした形状の前記エッチングマスクに対して前記所定のパターンの寸法公差範囲内でパターン寸法をさらに太らせた又は細らせた寸法測定用パターン部を備えている、金属−セラミックス接合回路基板の製造方法である。
【0017】
前記所定量大きくした形状のエッチングマスクとは、エッチング後に所定のパターン寸法になるように設計されたものであることが好ましく、前記寸法測定用パターン部の太らせまたは細らせが、パターン寸法の公差の10%以上50%以内であることが好ましい。
【0018】
また、前記寸法測定用パターン部が、向かい合う直線状のパターン間に存在することが好ましく、前記寸法測定用パターン部が、所定のパターン形状と異なる矩形または弧状の形状を有することが好ましい。
【0019】
さらに、前記エッチング後に、セラミックス基板を分割することにより複数個の金属−セラミックス接合回路基板を得てもよく、前記複数個の金属−セラミックス接合回路基板を得るための所定のパターン形成用エッチングマスクにおいて、個々の金属−セラミックス接合回路基板に対応するエッチングマスクの領域のうち、少なくとも1つの領域が前記寸法測定用回路パターン部を備えていることが好ましい。
【0020】
また、前記エッチングの後に、前記所定のパターン形状の金属板にNiめっきまたはNi合金めっきを施してもよい。
【0021】
さらに前記エッチングされたパターンの寸法ばらつきの標準偏差をσとすると、前記寸法測定用パターン部の太らせまたは細らせの量が、0.5σ以上であることが好ましい。
【0022】
本発明の金属−セラミックス接合回路基板は、セラミックス基板の一方の面に金属板からなる所定のパターンが接合された金属−セラミックス接合回路基板において、前記所定のパターンが、前記所定のパターンの寸法公差範囲内でさらに太らせた又は細らせた寸法の寸法測定用パターン部を備えた、金属−セラミックス接合回路基板である。
【0023】
前記寸法測定用パターン部の太らせたまたは細らせた寸法が、前記パターン寸法公差の10%以上50%以内であることが好ましい。
【0024】
また、前記寸法測定用パターン部が、向かい合う直線状のパターン間に存在することが好ましく、前記寸法測定用パターン部が、所定のパターン形状と異なる矩形または弧状の形状であることが好ましく、前記寸法測定用パターン部が、太らせた寸法と細らせた寸法の両方を備えていることがより好ましい。
【0025】
さらに、前記所定のパターン形状の金属板にNiめっきまたはNi合金めっきが形成されていることが好ましい。
【0026】
また、本発明は、前記金属−セラミックス接合回路基板において、前記寸法測定用パターン部の寸法を測定し、その測定値が前記所定のパターンの公差範囲内であるときに、パターン寸法について合格と判定する、金属−セラミックス接合回路基板の検査方法である。
【発明の効果】
【0027】
前記寸法測定用回路パターン部を測定することにより、少ない工数でかつ低コストで容易に回路パターン寸法が規格範囲内であることを確実に判別でき、絶縁性および部品搭載性に対してより高信頼性を有する金属−セラミックス接合回路基板およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のエッチングレジストマスクに設けられた寸法測定用パターン部を示す模式図である
図2】本発明の実施例1にかかわる製造工程の模式図である
図3】本発明の実施例1にかかわるエッチングレジストマスクの模式図である
図4】本発明の寸法測定用パターン部の測長箇所を説明する図である
図5】本発明の実施例4にかかわる製造工程の模式図である
図6】寸法不良選別結果である
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による金属−セラミックス接合回路基板の製造方法の実施の形態について以下に説明する。
【0030】
<原材料>
セラミック基板:
本発明のセラミックス基板の材料は、例えばAl(アルミナ)、AlN、SiおよびSiCのうちから選ばれる少なくとも1種を主成分とするものである。一般的に、Al基板は安価であり、AlN基板は熱伝導性が良好であり、Si基板およびSiC基板は熱伝導性がAl基板とAlN基板の中間であり且つ強度や靭性が高いという特徴がある。これらのセラミックス基板の特徴を生かし、Al基板は安価な金属−セラミックス接合回路基板を提供でき、AlN基板は優れた放熱性を利用して大電力チップなどの発熱の大きい半導体に対応する金属−セラミックス接合回路基板を提供でき、また、Si基板およびSiC基板は優れた強度を生かして耐熱衝撃性や耐環境性に強く自動車など厳しい環境で使用される信頼性の高い金属−セラミックス接合回路基板を提供することができる。
【0031】
金属板:
本発明の金属板の材質としては、パワーモジュールの回路用金属板として使用できる金属であれば特に限定されないが、熱伝導率および電気伝導の大きい銅および銅合金や、熱伝導率が比較的高く且つ軽く軟らかいという特徴のアルミニウムおよびアルミニウム合金を、特に好適に選択することができる。
金属板の厚さは限定されないが、0.1mm以上1.0mm以下,より好ましくは0.15mm以上0.8mm以下、さらには0.20mm以上0.7mm以下であることが好ましい。
【0032】
<接合工程>
本発明のセラミックス基板と金属板の接合方法は特に限定されないが、セラミックス基板と金属板を活性金属含有ろう材やAl系ろう材などを介して接合するろう接法、銅板と酸化物系セラミックス基板を接触させて不活性ガス中で加熱することにより生成する銅と酸素の共晶融体により接合する直接接合法、アルミニウム又はアルミニウム合金等を溶融し、その溶湯を酸化被膜を除去しながらセラミックス基板に接触させ、凝固させることにより金属板を接合する溶湯接合法など、既存の接合方法が挙げられる。金属−セラミックス接合回路基板はパワーモジュールなどで使用されるが、その放熱特性やヒートサイクル性等の要求特性に応じて、接合方法を適宜選択することができる。
【0033】
<エッチングマスク形成工程>
上記のようにセラミックス基板と金属板を接合した後、金属板の表面に所定のパターン形成用のエッチングマスク(エッチングレジスト)を形成する。前記所定のパターンとは、通常回路パターンを示すことが多いが、本発明においては図面番号の識別などに用いられるマーキングの目的のためのパターンも含み、いずれも金属−セラミックス接合回路基板の設計図面に寸法や形状が規定されている。これらのパターンは設計寸法とともに寸法の許容範囲を示す寸法公差が記載されている。
【0034】
エッチングマスクの材質:
エッチングマスクの材質としては、樹脂を成分とするエッチングレジストが好適に使用できる。なお、接合される金属やエッチング液によっては蒸着した金属等も使用できる。また、特に制約されるものではないが、紫外線硬化アルカリ剥離型のエッチングレジストが、作業利便性・安全性・環境保護の観点で好ましい。
【0035】
エッチングマスクの形成方法:
エッチングマスクの形成については、一般に実施されているようにエッチングレジストインクを所定のパターン形状にスクリーン印刷やパッド印刷等の印刷法により金属板表面に上に形成した後、紫外線や熱によりエッチングレジストインクを硬化させる方法が広く利用されている。或いは金属板の略全面にエッチングレジストを形成した後、レジストの所定の部分をマスキングして紫外線による露光、アルカリ現像の工程を経て所定のパターン形状のエッチングマスクを形成する露光法、さらに金属板の所定の部分をマスキングしてからレジストインクを噴霧して所定の回路パターン形状のエッチングマスクを形成する噴霧法などがあり、いずれも適用できる。
【0036】
多品種、多図番への適用・量産性を優先する場合は印刷法,より高精度が要求される場合は露光法が好ましい。また、エッチングレジストインクをスクリーン印刷法で形成するときは、150メッシュ以上、さらに250メッシュ以上のメッシュのスクリーン版の使用がパターン寸法精度の点から好ましい。
以上のような方法で、金属板の表面に所定のパターン形成用エッチングマスクを形成することができる。
【0037】
エッチングマスクの設計:
前記所定のパターン形成用エッチングマスクは、通常パターン設計図面に記載されているパターンの設計寸法に対して、該パターンの外側方向に所定量寸法を大きくしたものである。これは、後工程のエッチング工程において、金属板をパターン形状に薬液でエッチングする際に、エッチングされた(エッチング後の)パターンの金属板の表面(金属板のトップ)と、金属板のセラミックス基板と接合している面(金属板のボトム)とでは、いわゆるエッチングレートの違いにより、寸法の差が生じる。金属−セラミックス接合回路基板においては、例えばパターン間の絶縁距離を確保するため、金属板のセラミックス基板と接合している箇所(金属板のボトム)同士の距離(絶縁距離)の寸法が定められているが、前記エッチングレートの差を補償するためのエッチングマスクの太らせ(寸法変更)である。
【0038】
例えばパターン設計図面においてあるラインのパターンの幅が1mmであれば、例えばそのラインの外側(両側)方向に0.1mmづつ寸法を大きくしたパターン形成用エッチングマスクとする。これにより、1.2mmのパターン幅のエッチングマスクとなり、この大きくする量(幅)は金属板の材質や厚さ、エッチング液やエッチング条件などで変わるエッチングレート等から実験的、経験的に求められ、適当な大きくする量が決められる。このように設計図面寸法に対して適当に大きくしたエッチングマスクを金属板上に形成し、エッチングすることにより幅が1mmのラインのパターンを得ることができる。
すなわち、エッチングマスクは、エッチング後に設計図面に記載されているパターンの設計寸法になるように、パターンの設計図面寸法に対して所定量大きい寸法としている。
【0039】
なお、特許文献3、4に記載されているように、回路パターンの密度や形状によって変わるエッチングレートのため、所定量の大きくする寸法の量が一定でない場合もある。
例えば金属回路パターンの中に抜き穴部(後述の図3(b3)など)を有する場合は、エッチングマスクは設計パターンに対して穴部の幅を小さくすることもあるが、本願では便宜上マイナス側に大きくすると見なし、これも「所定量大きくした形状」と表現する。また、パターン形状やエッチングレートによっては設計図面どおり、即ち大きくも小さくもしない(大きくする量が0、寸法変更なし)の場合もあるが、これも便宜上「所定量大きくした形状」と表現する。所定量とは通常−0.5〜+0.5mmの範囲である。
【0040】
パターンの設計図面には設計寸法とその寸法公差(誤差許容寸法、許容可能な寸法範囲)があり記載されている。この公差内に回路パターンの寸法が入っていれば寸法精度について良品ということになる。
【0041】
寸法測定用回路パターン部:
本発明のパターン形成用エッチングマスクは寸法測定用パターン部を備えている。寸法測定用パターン部は、後工程で金属板がエッチングされた後、パターンの寸法の確認、検査用として利用される。
【0042】
寸法測定用パターン部の例として図1を用いて説明する。図1(a)(パターンa)はセラミックス基板10の一方の面に金属板14が接合され、前記金属板14の表面上にパターン形成用エッチングマスク16が形成され、且つ前記パターン形成用エッチングマスク16の一部に寸法測定用パターン部Aを備えた、本発明のエッチングマスク形成後の金属−セラミックス接合基板の上面図である。寸法測定用パターン部Aは、前記所定のパターンに対して所定量大きくしたエッチングマスクに対してさらに設計図面の寸法公差範囲内の太らせ(幅e)が付加されている。
【0043】
寸法測定用パターン部の形状:
また、寸法測定用パターン部の形状として、例えば図3のb1部に示されるような平行な直線状のパターン間が湾曲した(細らせた)形状であってもよい。湾曲した形状については、円弧または楕円弧を利用できるが、寸法変更部との境界がわかりやすい楕円弧形状が好ましい。
また、寸法測定用パターン部の形状として、図3のb2のようにパターンの外側方向(パターン間方向)への矩形の突起(太らせた)形状であっても良い。また、測定(測長)箇所がわかりやすいという点で、図3のb5部、b6部のように、線対称の凹形(細らせた形状)または凸形(太らせた形状)になっている矩形の組合わせであることが好ましい。
【0044】
寸法測定用パターン部の位置、領域:
寸法測定用パターン部の場所(位置)は特に限定されない。図1(b)(パターンb)のB部、図1(c)(パターンc)のC部およびD部のように、回路パターン中のスリット状部分などに対しても適用できる。
また、寸法測定用パターン部はパターンの任意の位置(場所)で構わないが、パターンの直線部が測定しやすいので好ましい。また、エッチング時に基板内で寸法ばらつきが大きくなる場所がわかっている場合は、その場所に寸法測定用パターン部を設けることがより好ましい。具体的な寸法測定用パターン部の位置は、パターンやパターン間、またそれ以外としてセラミックス基板の縁面とパターンとの間に設けても良い。
【0045】
前記寸法測定用パターン部の存在する領域(範囲)は限定されないが、領域が小さすぎると検証できる領域が小さいため、最大/最小組み合わせの測長データ数が少なく、異常検出の精度が下がるといった恐れがないともいえず、また、領域が大きすぎると測長するときに、測定機である測長用顕微鏡(例えば工場顕微鏡)の多くの視野にまたがってしまい、測定機のステージ移動距離等で測定時間を余計に要してしまう等の場合がある。よって、寸法測定用パターンは、0.5mm以上20mm以下、さらには1mm以上10mm以下の範囲に存在するのが好ましい。また、寸法測定用パターン部においては、パターン寸法の太らせ部と細らせ部が、1つの領域に両方存在することが寸法ばらつきを効率良く検査する上で好ましい。寸法太らせ部と細らせ部は特に限定されないが、測定時間を短縮するために隣接していることが好ましい。
【0046】
なお、検査領域は1箇所でもかまわないが、識別をより正確に行うために、好ましくは太らせ部および細らせ部の双方を備えている領域を2箇所以上、さらには4箇所以上とすることがより好ましい。
【0047】
寸法測定用パターン部のエッチングマスクの設計:
前記所定のパターン形成用エッチングマスクとして、パターンの設計寸法に対して所定量大きくしたものに対して、寸法測定用パターン部は前述の通りさらに太らせまたは細らせるパターンの寸法変更を行う。
【0048】
太らせ量或いは細らせ量としては、製品図面の寸法公差(仕様)の範囲内であればよいが、小さすぎるとラインの波打ち等によるばらつきと区別できなくなり、大きすぎると製品歩留が下がってくるため、好ましくは、パターン設計図面における寸法公差の10%以上50%以下、より好ましくは、寸法公差の20%以上40%以下で太らせ量または細らせ量を設定する。なお、寸法公差はパターンに設定される寸法公差が±0.2mmであれば0.2mmとし、+0.2mm、−0.3mmであれば±0.25mmと読みかえて0.25mmとする。すなわち本発明の特許請求の範囲においては、許容される寸法範囲の大きさの1/2を寸法公差とする。
【0049】
さらに前記太らせ量または細らせ量は、エッチング寸法ばらつきの標準偏差をσとすると、0.5σ以上、好ましくはσ以上が望ましい。
【0050】
なお、回路パターンは半導体素子などのチップ部品が半田付けされ電気的な機能を担うが、それとは別に金属−セラミックス接合回路基板の品番やロット、回路基板の縦横方向などの判定、認識のため、すなわちマーキングのための機能を有することがあり、このパターン(マーキングパターンという)を、金属板をエッチングすることにより施すことがある。マーキングパターンは、例えばパワーモジュールの絶縁性など電気的特性の性能に大きく支障ない部分であり、マーキングパターンの認識により、例えば金属−セラミックス接合回路基板に半導体などのチップ部品の実装時、搭載間違いによるモジュール不具合を回避する事ができる。マーキングパターンはエッチングで形成するために、金属板の表面にマーキングパターンの設計寸法に対して所定量大きくしたマーキングパターンのエッチングマスクを、回路パターンのエッチングマスクと同様に形成する。またこのマーキングパターンのエッチングマスクの部分に、寸法測定用パターン部を備えても良い。マーキングパターンは電気的な性能に大きく影響しないため、寸法測定用パターン部の設計の自由度が比較的大きいので、寸法測定用パターン部として利用することが好ましい。
【0051】
マーキングパターンは特に限定されないが、例えば数字またはアルファベットまたはバーコードまたはディンプルの少なくとも1つ基板認識の用途及び方法によって適宜選択できる(例えば図3のb3、b4)。マーキングパターンはエッチングにより形成するので、マーキングパターンのエッチングマスクに寸法測定用パターン部を設けておけば、エッチング後にその寸法測定用パターン部の寸法を測定することで、回路パターンの寸法を確認、検査することができる。回路パターンの寸法と直接比較できるように、セラミックスの面まで金属板をエッチングすることが好ましい。
【0052】
マーキングパターンとその寸法測定用パターン部は、接合基板内で寸法ばらつきが大きくなる場所がわかっている場合は、その場所に寸法測定用パターン部を設けることがより好ましい。寸法変更幅の範囲は限定されないが、数字またはアルファベットまたはバーコードまたはディンプルの記号単位で、直線パターンになっている箇所または径の箇所が測長しやすいため好ましい。
【0053】
<エッチング工程>
前記エッチングマスクを形成した後、エッチング液で金属板の不要な部分を溶解、除去し、金属板からなる回路パターンやマーキングパターンを形成し、金属−セラミックス接合回路基板を作製する。
【0054】
エッチング液は、溶解、除去する金属板等の組成や、エッチングマスクの対薬品性を考慮して適宜選択できる。セラミックスへの溶解ダメージも考えれば、塩化銅と塩酸または塩化鉄と塩酸を含む混合液が好適に利用できる。また、活性金属含有ろう材で金属板とセラミックス基板を接合した場合は、さらに両者の反応生成物を除去するためのフッ酸等を含むろう材除去用の薬液などを使用するのが好ましい。
また接合法がろう材接合の場合、ろう材除去はエッチングマスクの除去前でも除去後のいずれでもかまわないが、金属回路端部のスカート形状を適度にゆるやかにして応力緩和によってヒートサイクル性を向上させる場合は、レジスト除去後に後述の化学研磨を実施するのがより好ましい。
【0055】
<化学研磨工程・めっき工程>
さらに、パワーモジュール用回路基板では半導体チップを搭載したりワイヤーボンディングを施すため、スマット(残渣)除去や表面粗さや光沢を適正にするための化学研磨を行っても良い。化学研磨液は、接合する金属板の組成と調整する表面状態によって適宜選択できる。
また、化学研磨の後、NiめっきあるいはNi合金めっきなどのめっきを施しても良い。
【0056】
化学研磨での金属回路パターンの溶解量が無視できる時はエッチング後、化学研磨の前に寸法測定を実施しても差し支えない。
【0057】
<基板分割による多数個取り>
金属とセラミックス基板の接合体1シートから、複数個のパターンを形成した後、分割することで複数個の金属セラミックス接合回路基板を作製する場合も、本発明を適用することができる。分割して製品化する場合、分割前の全ての金属セラミックス接合回路基板に対してではなく、特定の金属セラミックス接合回路基板のみに本発明の寸法測定用回路パターン部を適用する事ができる。これにより、分割される全製品に対して測長する必要がなくなり、時間短縮が可能になる。例えば1シートを4個に分割できるようにし、このうち1個分のみに本発明を適用すれば4個全ての測長を実施する場合と比べて測長時間はほぼ1/4に低減できる。
【0058】
次に本発明の金属−セラミックス接合回路基板について説明する。本発明の金属−セラミックス接合回路基板は、セラミックス基板の一方の面に金属板からなる所定のパターンが接合された金属−セラミックス接合回路基板であって、前記所定形状の金属板のパターンが、前記所定のパターンに対して前記所定のパターンの寸法公差範囲内でさらに太らせた又は細らせた寸法の寸法測定用パターン部を備えることを特徴とする。
【0059】
原材料のセラミックス基板は、前述の通り、例えばAl(アルミナ)、AlN、SiおよびSiCのうちから選ばれる少なくとも1種を主成分とするものが好ましい。また、金属板は、前述の通り、銅および銅合金や、アルミニウムおよびアルミニウム合金であることが好ましく、金属板の厚さは限定されないが、0.1mm以上1.0mm以下,より好ましくは0.15mm以上0.8mm以下、さらに好ましくは0.2以上0.7mm以下であることが好ましい。
【0060】
本発明のセラミックス基板と金属板の接合は特に限定されないが、活性金属含有ろう材やAl系ろう材などを介して接合するろう接、銅板と酸化物系セラミックス基板を不活性ガス中で加熱することにより生成する銅と酸素の共晶融体により接合する直接接合、アルミニウム又はアルミニウム合金等を溶融し、その溶湯を酸化被膜を除去しながらセラミックス基板に接触させ、凝固させることにより金属板を接合する溶湯接合など、既存の接合方法などが挙げられる。
【0061】
前記所定のパターンとは、前記金属−セラミックス接合回路基板の設計図面で規定されている回路パターンや、図面番号の識別などのマーキングの目的のためのパターンのことである。これらのパターンはパターンの設計寸法とともにパターン寸法の許容範囲を示す寸法公差が記載されている。この寸法公差(誤差許容寸法、許容可能な寸法範囲)内に回路パターンの寸法が入っていれば寸法精度について良品ということになる。
【0062】
本発明の所定のパターンは寸法測定用パターン部を備えている。所定のパターンの設計図面はパターン又はパターン間において寸法公差が規定されていることが多い。寸法測定用パターン部は、前記所定のパターンに対して前記所定のパターンの設計図面の寸法公差範囲内の量を太らせまたは細らせた部分であり、寸法測定用パターン部は、後工程で金属板がエッチングされた後、パターンの寸法の確認、検査用として利用される。
【0063】
寸法測定用パターン部の太らせ量或いは細らせ量としては、製品の仕様の範囲内であればよいが、小さすぎるとパターンにおけるラインの波打ち等によるばらつきと区別できなくなり、大きすぎると歩留が下がってくるため、好ましくは、パターン間寸法公差の10%以上50%以下より好ましくは、パターン間寸法公差の20%以上40%以下で変更量を設定する。
【0064】
寸法測定用パターン部の場所(位置)は特に限定されず、回路パターン(間)や、回路パターン中のスリット状部分などに対しても適用できる。前記寸法測定用パターン部が、向かい合う直線状のパターン間に存在することが好ましい。パターンの直線部が測定しやすいので好ましいく、また、基板内で寸法ばらつきが大きくなる場所がわかっている場合は、その場所に設けるのがより好ましい。
【0065】
また、寸法測定用パターン部の太らせ形状または細らせ形状として、平行な直線状のパターン間が湾曲し(太らせまたは細らせ)た形状、パターンの外側方向への矩形の突起(太らせ)形状などがある。また、その組み合わせであれば測定(測長)箇所がわかりやすいという点で、線対称の凹形(細らせ形状)または凸形(太らせ形状)になっている矩形が好ましい。湾曲した形状については、円弧または楕円弧を利用できるが、寸法変更部との境界がわかりやすい楕円弧形状が好ましい。
【0066】
前記寸法測定用パターン部の存在する領域(範囲)は限定されないが、領域が小さすぎると検証できる領域が小さく、最大/最小組み合わせの側長データ数が少なくなり、異常検出の精度が下がるといった恐れがあり、領域が大きすぎると測長が測長用顕微鏡の多くの視野にまたがってしまい、測定器のステージ移動距離等で測定時間を余計に要してしまう等の恐れがある。よって、寸法測定用パターン部は、0.5mm以上20mm以下より好ましくは、2mm以上10mm以下の範囲に存在するのが好ましい。また、パターン寸法太らせ部と細らせ部の箇所が、前記領域に両方存在することが寸法ばらつきの検査する上で好ましい。寸法太らせ部と細らせ部は特に限定されないが、測定時間を短縮するために隣接していることが好ましい。
【0067】
さらに前記太らせ量または細らせ量は、エッチング寸法ばらつきの標準偏差をσとすると、0.5σ以上、好ましくはσ以上が望ましい。
【0068】
さらに、前記パターンにNiめっきあるいはNi合金めっきを施しても良い。
【0069】
また、本発明の金属−セラミックス接合回路基板の検査方法は、前記本発明の金属−セラミックス接合回路基板の寸法測定用パターン部の寸法を測定し、その測定値が前記所定のパターンの公差範囲内であるときに、前記寸法測定用パターン部以外の前記パターン寸法が寸法公差内にあり合格と判定するものである。
【0070】
本発明においては、設計図面において、寸法が規定されている部分があっても、前記寸法測定用パターン部のみを測定し、その測定値が公差範囲内であれば、他の寸法も公差範囲内であることがわかってきており、検査時間の大幅な短縮効果がある。
【実施例】
【0071】
[実施例1]
質量%で、金属成分が75%のAg、23%のCu、2%のTiとなるように金属粉を秤量し、この金属粉の総重量に対して約10%のアクリル系のビヒクルを加え、乳鉢および3本ロールミルにより混錬して、ペースト状のろう材を作製した。
【0072】
次に、図2の金属セラミックス接合回路基板の製造工程(断面模式図)に示すように、セラミックス基板10を用意し(図2(a))、スクリーン印刷によりセラミックス基板10の一方の面および他方の面の略全面に厚さ約20μmの前記ろう材12を塗布した後(図2(b))、塗布したろう材12の表面に0.3mmの厚さの無酸素Cu板14を接触するように配置し(図2(c))、真空炉中においてセラミックス基板10とCu板14を接合した。なお、セラミックス基板10としてはAlN基板を使用した。
【0073】
次いでサンプルを真空炉から取り出し、接合したCu板14の表面に、図3に示す形状のパターンのUV硬化アルカリ剥離型レジスト16を、スクリーン印刷機を用いて塗布する。
図3に示すように、サンプルのパターン形状は10.000mm×10.000mmの正方形の形状のパターン(アイランド)が18個セラミックス基板の表裏に存在し、これらのパターン間はそれぞれ1.000mmの間隔であるパターン設計となっている。エッチングレートを考慮し、エッチングレジストマスクは上記パターンに対して所定量大きくしており、具体的には片側0.1mm太らせ10.200mm×10.200mmの正方形のサイズとし、エッチングレジストマスクのパターン間隔は0.980mmとなった。
さらに、寸法測定用パターン部として図3のb1部、b2部を形成するために、前記所定量大きくしたエッチングレジストマスクからさらに、b1部はパターンのラインから円弧形状に0.070mm凹ませた(細らせた)形状、b2部はパターンのラインから矩形状に0.07mm突出した(太らせた)形状のエッチングレジストマスクを作製した。
このようなエッチングレジストマスクを、300メッシュのスクリーン版を用いてエッチングレジストインクが約15μmとなるように金属板の表面にスクリーン印刷してエッチングレジストインクを塗布した。
【0074】
次いで塩化銅と過酸化水素水と塩酸からなるエッチング液により、図3(a)の箇所のパターン間が1.000mmとなるようにエッチング条件を調整して、Cu板14の不要部分を除去した(図2(e))。
【0075】
次いで、3%水酸化ナトリウム水溶液でエッチングレジスト16を剥離した後、パターン間やセラミックス基板の縁面に残った不要なろう材を除去するため、フッ酸と過酸化水素水などの混合溶液からなるろう材除去液により、前記ろう材12の不要な部分を除去した。さらに、回路パターンの表面を整えるために、硫酸と過酸化水素水からなる化学研磨処理を行った(図2(f))。
【0076】
このようにして得られた基板について、前記b1部、b2部の寸法、すなわちパターン間距離を、Nikon社製工場顕微鏡MM-22にて測長した。工場顕微鏡の1視野の大きさは約4000×4000μmであり、測長は1μmの桁まで読み取った。b1部は寸法が一番大きくなるように、b2部は寸法が一番小さい箇所をそれぞれ100枚測長した。図4にパターン間寸法を大きくとった(パターンを細らせた)寸法測定用パターン部のエッチング後の測長箇所(例えばb1部に相当)と、パターン間寸法を小さくとった(パターンを太らせた)寸法測定用パターン部の測長箇所(b2部に相当)のイメージを示す。そして1.000±0.200mmの範囲に入らないものを寸法不良として選別した結果を図6に示す。
【0077】
この結果不良と判定、選別されたものは3枚であり、100枚の測長時間は17分であった。
寸法不良として選別した3枚のサンプルを除いた基板の全てのサンプルについて、各パターンの縦横、各パターン間の全寸法を工場顕微鏡の視野の範囲毎に試料台をずらしながら測長した。その結果、前記許容範囲を超える不良基板はなかった。
【0078】
[実施例2]
図3の、b1部、b2部を設ける代わりにb3部およびb4部のモジュール実装時の基板認識機能を有しているマーキングパターンに、寸法測定用パターン部を設定した。すなわち、マーキングパターンとしてパターン内部に長方形の穴(スリット)が空いた形状であり、スリットの幅がb3部、b4部とも1.000mmの設計寸法である。このスリット部分について、片側−0.05mm大きくした(0.05mm小さくした、エッチングレジストマスクのスリット幅としては1.100mm)エッチングレジストとし、さらに寸法測定用パターン部を形成するために、b3部は0.1mmの細らせてスリット幅を1.200mmとし、b4部は0.1mm太らせてスリット幅を1.000mmとした。それ以外は実施例1と同様の所定量大きくしたエッチングレジストマスク形状とした。
【0079】
図4のスリットの短辺方向の幅の、b3部は最大となっている箇所、b4部は最小となっている箇所について、それぞれ100枚測定した。そして、実施例1と同様に、1.000±0.200mmの範囲に入らないものを寸法不良として選別した結果を図6に示す。
この結果不良と判定、選別されたものは7枚であり、100枚の測長時間は8分であった。
寸法不良として選別した7枚のサンプルを除いた基板の全てのサンプルについて、実施例1と同様にパターンで規定されている箇所を全寸法測長した結果、前記許容範囲を超える不良基板はなかった。
【0080】
さらに、このように選別された基板について、放熱板である銅ベース板上の所定の場所へ自動搭載機を用いて機械的に搭載する。本搭載例では、マガジンラックに配置された金属−セラミックス接合回路基板をエアピンセットで持ち上げ、ベース板上に設けられた金属−セラミックス接合回路基板の半田付け部へ移動、搭載した。
さらに金属−セラミックス接合回路基板の図3(b3)および図3(b4)パターン上に、1000×1000画素の認識用モニタを配置し、この2つのパターンの検出有無で良品と不良品を選別した。
また、このとき実装の検証用として、意図的に金属−セラミックス接合回路基板の表裏を反転させた基板および前記不良と判定された金属−セラミックス接合回路基板を混ぜたところ、意図的に混ぜた不具合品は全て検出されリジェクトできた。
【0081】
[実施例3]
図3の、b1部、b2部を設ける代わりに、b5部およびb6部に示される凹部(細らせ部)と凸部(太らせ部)を双方備えた矩形の寸法測定用パターン部に相当するエッチングレジスト印刷範囲を設けた以外は、実施例1のとおり実施した。すなわち、前記所定量大きくしたエッチングレジストマスクからさらに、b5部はパターンのラインから矩形状に0.070mm凹ませた(細らせた)形状、b6部はパターンのラインから矩形状に0.07mm突出した(太らせた)形状のエッチングレジストマスクを作製した。それ以外は実施例1と同様にサンプルを作製した。
このようにして得られた基板について、前記b5部、b6部の寸法、すなわちパターン間距離を、実施例1と同様に測定し、12.000±0.200mmの範囲に入らないものを寸法不良として選別した結果を図6に示す。
【0082】
この結果不良と判定、選別されたものは5枚であり、100枚の測長時間は8分であった。
寸法不良として選別した5枚のサンプルを除いた基板の全てのサンプルについて、各パターンの縦横、各パターン間の全寸法を工場顕微鏡の視野の範囲毎に試料台をずらしながら測長した。その結果、前記許容範囲を超える不良基板はなかった。
【0083】
[実施例4]
図5に示すように、セラミックス基板10を用意し(図5(a))、その両側に0.15mmの厚さのCu板14を配置し(図5(b))、窒素雰囲気中においてセラミックス基板10とCu板14を接合した。セラミックス基板10として、アルミナ基板を使用した。
その後、サンプルを炉から取り出し、接合したCu板14の両面に、図3のb1、b2の寸法測定用パターン部を形成し、b1,b2のパターン間寸法をそれぞれ0.04mm太らせた寸法(パターンは0.04mm細らせる)および0.04mm細らせ寸法(パターンは0.04mm太らせる)にしたエッチングレジストマスクを用いた以外は実施例1と同じ形状である回路パターンのUV硬化アルカリ剥離型レジスト16を約15μmの厚さに300メッシュのスクリーン印刷版で塗布し(図5(c))、塩化銅と過酸化水素水と塩酸からなるエッチング液によりCu板14の不要部分を除去した(図5(d))。
エッチングは実施例1記載と同じように行ったが、仮想条件として工程変動によってアンダーエッチングぎみになった時を再現するため、意図的にパターン間寸法0.90mmを狙ってエッチングした。
次に、3%水酸化ナトリウム水溶液でレジスト16を剥離した後、回路パターンの表面を整えるために、硫酸と過酸化水素水からなる化学研磨処理およびNi−P無電解めっき18を行った(図5(e))。
このようにして得られた基板について、前記b1部、b2部の寸法、すなわちパターン間距離を、実施例1と同様に測定し、1.000±0.200mmの範囲に入らないものを寸法不良として選別した結果を図6に示す。
【0084】
この結果不良と判定、選別されたものは8枚であり、100枚の測長時間は17分であった。
寸法不良として選別した8枚のサンプルを除いた基板の全てのサンプルについて、各パターンの縦横、各パターン間の全寸法を工場顕微鏡の視野の範囲毎に試料台をずらしながら測長した。その結果、前記許容範囲を超える不良基板はなかった。
【0085】
[実施例5]
図3(b1)および図3(b1)を設けるかわりに、図3(b7)に示すようにパターン1箇所について、寸法測定用パターン部におけるパターン間寸法が0.04mm細らせた寸法(パターンは0.04mm太らせる)になるようにエッチングレジストマスクを設計した以外は実施例4のとおり実施した。
【0086】
この結果不良と判定、選別されたものは6枚であり、100枚の測長時間は8分であった。
寸法不良として選別した6枚のサンプルを除いた基板の全てのサンプルについて、各パターンの縦横、各パターン間の全寸法を工場顕微鏡の視野の範囲毎に試料台をずらしながら測長した。その結果、前記許容範囲を超える不良基板はなかった。
【0087】
[比較例1]
寸法測定用パターン部を備えないエッチングレジストマスクを用いた以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。出来上がったサンプルの図3(a)のパターン間距離について、最大および最小および平均的な箇所のパターン寸法を測長して選別した以外は、実施例1のとおり測長を行った。
このようにしてa部の寸法が、1.000±0.200mmの範囲に入らないものを寸法不良として選別した結果を図6に示す。
【0088】
この結果不良と判定、選別されたものは0枚であり、100枚の測長時間は12分であった。
この後、全てのサンプルについて、各パターンの縦横、各パターン間の全寸法を工場顕微鏡の視野の範囲毎に試料台をずらしながら測長した。その結果、前記許容範囲を超える不良基板が2枚抽出され、前記測長による検査で不良は完全に除去することができないことがわかった。
【0089】
[比較例2]
寸法測定用パターン部を備えないエッチングレジストマスクを用いた以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。この後、全てのサンプルについて、各パターンの縦横、各パターン間の全寸法を工場顕微鏡の視野の範囲毎に試料台をずらしながら測長した。
この結果不良と判定、選別されたものは2枚であり、100枚の測長には500分を要した。
【0090】
[比較例3]
寸法測定用パターン部を備えないエッチングレジストマスクを用いた以外は実施例4と同様にしてサンプルを作製した。出来上がったサンプルの図3(a)のパターン間距離について、平均的な箇所のパターン寸法を測長して選別した以外は、実施例4のとおり測長を行った。
このようにしてa部の寸法が、1.000±0.200mmの範囲に入らないものを寸法不良として選別した結果を図6に示す。
【0091】
この結果不良と判定、選別されたものは2枚であり、100枚の測長時間は12分であった。
この後、全てのサンプルについて、各パターンの縦横、各パターン間の全寸法を工場顕微鏡の視野の範囲毎に試料台をずらしながら測長した。その結果、前記許容範囲を超える不良基板が4枚抽出され、前記測長による検査で不良は完全に除去することができないことがわかった。
【符号の説明】
【0092】
10 セラミックス基板
12 ろう材
14 金属板
16 エッチングレジストマスク
18 めっき
図1
図2
図3
図4
図5
図6