(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
収穫した農作物を機体外部へ排出する排出手段を有し、前記排出手段には農作物の排出口及び関節が設けられ、前記関節を動かすことにより前記排出口を移動させることができる走行型収穫機に関して、前記排出手段の排出口から容器内へ農作物を排出させる農作物排出装置であって、
農作物が前記排出手段の排出口から容器内へ排出されるときの排出口の目標位置を算出する排出口位置算出手段と、
前記排出口の移動可能範囲を算出して前記排出口の目標位置が前記排出口の移動可能範囲内に存在しているか否かを判定する判定手段と、
前記排出口の目標位置が前記排出口の移動可能範囲内に存在するように走行型収穫機の位置である機体の目標位置を算出する機体位置算出手段と、
走行型収穫機を前記機体の目標位置へ移動させる機体制御手段と、を備え、
前記判定手段により、前記排出口の目標位置が前記排出口の移動可能範囲内に存在していないと判定された場合には、
前記機体位置算出手段は、前記機体の目標位置を算出し、
前記機体制御手段は、前記機体位置算出手段の算出した前記機体の目標位置に基づいて走行型収穫機を移動させる
ことを特徴とする農作物排出装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
農作物排出装置100は、コンバイン1の排出オーガ17から容器61内へ穀粒を排出させるためのものである。以下では、コンバイン1について説明し、農作物排出装置100の説明は後述する。
【0018】
図1に示すように、コンバイン1は、エンジン3、走行部4、刈取部5、脱穀部6、選別部7、穀粒排出部8、及び排藁処理部9を備える。コンバイン1は、エンジン3の動力を、走行部4、刈取部5、脱穀部6、選別部7、穀粒排出部8、及び排藁処理部9に伝達して、これらの各部を駆動させる。
【0019】
走行部4は、機体2の下部に設けられる。走行部4は、エンジン3からの動力を変速する変速機構(HST等)3a、及び左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置10を備える。クローラ式走行装置10は、エンジン3の動力を伝達されて駆動する。これにより、機体2が走行する。
【0020】
刈取部5は、機体2の前部に昇降可能に設けられる。刈取部5は、分草具11、引起部12、刈取搬送部13及び切断部14を有する。刈取部5は、圃場の穀稈を分草具11により分草し、分草後の穀稈を引起部12により引き起こし、引起後の穀稈を刈取搬送部13により後方へ搬送しつつ切断部14により切断し、切断後の穀稈を刈取搬送部13により脱穀部6に向けてさらに後方へ搬送する。
【0021】
脱穀部6は、機体2の左上側に配置される。脱穀部6は、フィードチェン、扱胴、及び処理胴を有する。脱穀部6は、刈取部5から搬送されてきた刈取後の穀稈を前記フィードチェンにより受け継いで後方へ搬送し、その搬送中の穀稈を前記扱胴により脱穀し、脱穀後の処理物を選別部7に向けて下方へ漏下させる。また、脱穀部6は、前記扱胴により脱穀されなかった未処理物を、扱室から送塵口を介して処理室に搬送して、前記処理胴により処理する。そして、前記処理胴による処理物は、選別部7へ落下する過程で処理胴網により選別される。なお、前記扱室内の未処理物はその移動速度(滞留時間)を送塵弁により調節される。前記処理胴網から受樋へと落下した処理物は、リターンコンベアにより前方に搬送され、前記リターンコンベアの前端に設けられた排出口から選別部7に投入される。
【0022】
選別部7は、機体2の左下側に配置される。選別部7は、揺動選別装置、風選別装置、及び穀粒搬送装置(一番コンベア、揚動装置、二番コンベア、及び二番還元装置)、エンジン3の動力を前記穀粒搬送装置に伝達する選別ベルトを有する。選別部7は、脱穀部6から落下してきた処理物を前記揺動選別装置により揺動選別し、揺動選別後のものを前記風選別装置により風選別し、風選別後のもののうち、一番物を前記一番コンベアにより前記揚動装置へ搬送して、つづいて前記揚動装置により穀粒排出部8のグレンタンク15へ搬送する。また、選別部7は、二番物を前記二番コンベアにより前記二番還元装置へ搬送して、つづいて前記二番還元装置により脱穀部6の扱室又は前記揺動選別装置の上方空間へ搬送する。その後、二番物は、脱穀されて、又は脱穀されずに、前記揺動選別装置及び風選別装置により再選別される。
【0023】
穀粒排出部8は、グレンタンク15、穀粒センサ16、排出オーガ17、及びスクリューコンベアを有する。グレンタンク15は、機体2の右後側に配置されており、グレンタンク15にはグレンタンク15内の穀粒の収容量を検出する穀粒センサ16が設けられている。グレンタンク15には排出オーガ17が接続されている。排出オーガ17は、機体2上部にて、グレンタンク15の後部から前方へ突出している。排出オーガ17の先端には、穀粒を排出するための排出口17aが形成されている。グレンタンク15及び排出オーガ17には、前記スクリューコンベアが内設されている。前記スクリューコンベアは、テンションプーリ状のオーガクラッチ19を介してエンジン3に接続されており、エンジン3の動力を伝達されて駆動する。オーガクラッチ19には、オーガクラッチ19の入切を行うためのアクチュエータ(モータ)21が接続されている。グレンタンク15内の穀粒は前記スクリューコンベアにより排出オーガ17内を搬送されて、排出オーガ17の排出口17aから機体2外部へ排出される。
【0024】
排藁処理部9は、機体2の後側に配置される。排藁処理部9は、排藁搬送装置22、及び排藁切断装置23を有する。排藁処理部9は、脱穀部6から搬送されてきた脱穀済みの排稈を、排藁として排藁搬送装置22により後方へ搬送して機体2の外部へ排出し、又は排藁切断装置23へ搬送し、排藁を排藁切断装置23へ搬送した場合には、排藁切断装置23により切断した後に機体2の外部へ排出する。
【0025】
コンバイン1には、水平面に対する機体2の傾斜角度を変更することができる機体傾斜機構24(
図5参照)と、機体2の傾斜角度を検出する傾斜センサが設けられている。機体傾斜機構24は、走行部4及び機体2の間に設けられる傾斜アクチュエータ(油圧シリンダ)を有しており、前記傾斜アクチュエータを駆動させることで、機体2を前後左右に傾斜させる。
【0026】
機体2の前側には操縦部20が設けられている。操縦部20には、運転席、ハンドル、走行レバー、変速レバー、機体傾斜機構24に接続される傾斜操作レバー等の各種操作具が設けられている。
【0027】
以下では、排出オーガ17及びその周辺の構成について説明する。
【0028】
図2に示すように、排出オーガ17には、四つの関節J1〜J4が設けられている。関節J1〜J4は、排出オーガ17の先端へ向かって、第一関節J1、第二関節J2、第三関節J3、第四関節J4の順に配置されている。排出オーガ17の先端には、排出口17aが形成されている。
【0029】
第一関節J1は回転関節(ねじり関節)であり、第二関節J2は回転関節(曲げ関節)であり、第三関節J3は直動関節であり、第四関節J4は回転関節(曲げ関節)である。なお、本実施形態では、第四関節J4は、排出オーガ17の排出口17aの向きを変えるための関節である。第四関節J4の回転角度θ4は、排出オーガ17から穀粒排出を行わない場合は0度、行う場合は排出口17aが下方を向く90度に固定されていることとする。なお、排出オーガ17に関しては、その関節が複数の回転関節で構成され、直動関節(第三関節J3)を有さないものであってもよい。
【0030】
図2には、コンバイン1と排出オーガ17の運動学モデルが示されている。コンバイン1は、圃場座標系ΣOf−xfyfzfにおいて、xy平面上を動くクローラ台車で、その位置座標は[fxν fyν]T、方向はfθν、で示される。
【0031】
また、コンバイン1の排出オーガ17は、四つの関節J1〜J4を備える、4自由度マニピュレータとみなすことができる。排出オーガ17は、コンバイン1の質量中心位置Oνから[ρmcosθm ρmsinθm]Tだけずれた位置O0に設けられている。4自由度の関節J1〜J4は、第三関節J3のみ直動関節で、それ以外の関節J1・J2・J4は回転関節である。各関節J1〜J4の関節変数は、それぞれθ1、θ2、d3、θ4とし、排出オーガ17の基端(排出オーガ17と機体2との連結部)から第二関節J2までの高さをhとする。
【0032】
コンバイン1(機体2)の座標系ΣOν−xνyνzνから見た排出オーガ17の先端位置(排出口17aの位置)は、下記(数1)で示される。
【0033】
これより、排出オーガ17の目標先端位置(排出口17aの目標位置)が与えられた場合の各関節J1〜J4の目標値を求める逆運動学問題は、下記(数2)で示される。なお、第四関節J4は、排出口17aを下方に向けるため、θ4=−π/2、とする。
【0034】
図5に示すように、排出オーガ17の各関節J1〜J4には、各関節J1〜J4を動かすためのアクチュエータ31・32・33・34がそれぞれ接続されている。アクチュエータ31・32・33・34は、例えば、油圧シリンダやモータで構成される。各アクチュエータ31・32・33・34は、各関節J1〜J4を動かして、排出オーガ17先端位置(排出口17aの位置)を変更する。各アクチュエータ31・32・33・34には、各関節J1〜J4の関節変数θ1・θ2・d3・θ4を検出するためのセンサ41・42・43・44がそれぞれ接続されている。
【0035】
以下では、農作物排出装置100について説明する。農作物排出装置100は、撮像手段110と、マーカー121と、制御装置130と、を備える。
【0036】
図3に示すように、撮像手段(カメラ)110は、排出オーガ17の先端寄りの箇所に取り付けられている。撮像手段110は、排出オーガ17と一体移動するように構成されている。撮像手段110は、排出オーガ17から下方を撮像する姿勢に固定されている。このように構成することで、排出オーガ17の先端が高い位置に移動されると、撮像手段110が排出オーガ17の下方を広範囲に撮像できるようになる。その結果、撮像手段110の画像内に、後述するマーカー121が写り込みやすくなり、マーカー121が見つかりやすくなる。
【0037】
グレンタンク15内の穀粒は、排出オーガ17の排出口17aから、容器(穀粒タンク)61内へ排出される。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、容器61は、搬送車60の荷台に載置されている。搬送車60の操縦部の屋根には、板状部材が配置されており、前記板状部材の上面にはマーカー121が描かれている。これにより、マーカー121が容器61に対して定位置に配置された状態となっている。マーカー121は、容器61の直前方に存在しており、容器61の近傍にて上向きに配置されている。
【0038】
図4(c)に示すように、マーカー121は、前記板状部材の縁側部121aを黒塗りにして、内側部121bを白塗りにして、内側部121b(白塗り部分)に黒文字で「A」と表示した外観を有している。
図4(c)に示すように、マーカー121に対する前後左右方向は、文字「A」の向きを基準にして設定されている。
【0039】
図5に示すように、制御装置130は、排出口位置制御手段131、排出口位置算出手段132、位置情報記憶手段133、判定手段136、穀粒排出量制御手段137、機体位置算出手段138、及び機体制御手段139を有している。
【0040】
排出口位置制御手段131には、アクチュエータ31・32・33・34が接続されている。排出口位置制御手段131は、アクチュエータ31・32・33・34を操作することによって、排出オーガ17の動作を制御して、排出口17aを移動させることが可能である。排出口位置制御手段131には、センサ41・42・43・44が接続されている。排出口位置制御手段131は、各センサ41・42・43・44から各関節J1〜J4の関節変数θ1・θ2・d3・θ4に関する情報を取得することが可能である。排出口位置制御手段131には、機体傾斜機構24が接続されている。排出口位置制御手段131は、機体傾斜機構24の傾斜アクチュエータを操作して、機体2を前後左右に傾斜させることが可能である。排出口位置制御手段131には、穀粒排出操作具25が接続されている。穀粒排出操作具25は、作業者が穀粒排出作業を開始するときに操作する操作具であり、例えば、ボタンやレバーで構成される。穀粒排出操作具25は、操縦部20に設けられている。作業者が、穀粒排出操作具25を操作すると、穀粒排出操作具25から排出口位置制御手段131に信号が送信されるように構成されている。
【0041】
排出口位置算出手段132は、排出オーガ17の排出口17aから穀粒が排出されるときの排出口17aの目標位置Pを算出するものである。排出口位置算出手段132が排出口17aの目標位置Pを算出するときの手順についての詳細な説明は後述する。排出口位置算出手段132には、撮像手段110が接続されている。排出口位置算出手段132は、撮像手段110により撮像された画像のデータを取得することが可能である。
【0042】
位置情報記憶手段133には、マーカー121と、排出口17aの目標位置Pと、の所定の位置関係に関する情報が記憶されている。この情報は、以下の手順で記憶される。作業者は、予め、マーカー121と、排出口17aの目標位置Pと、の位置関係を決めておく。具体的には、作業者は、例えば、マーカー121から後方向にmメートル、上方向にnメートル離れた位置を、排出口17aの目標位置Pに設定するといったことを、予め決めておく(
図4(a)及び
図4(b)参照)。そして、作業者は、この予め決めておいた、マーカー121と、排出口17aの目標位置Pと、の位置関係に関する情報(前記所定の位置関係に関する情報)を、位置情報記憶手段133に記憶させておく。
【0043】
判定手段136は、排出口17aの移動可能範囲Rを算出して、そして、排出口位置算出手段132により算出された排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R内に存在しているか否かを判定する。判定手段136は、排出口17aの移動可能範囲Rを、排出オーガ17の関節J1〜J3の可動範囲に基づいて算出する。言い換えれば、判定手段136は、排出口17aの移動可能範囲Rを、各関節J1〜J3の関節変数θ1・θ2・d3の取りうる値の範囲に基づいて算出する。関節変数θ1・θ2・d3の取りうる値の範囲は、予め決められている。
【0044】
穀粒排出量制御手段137には、アクチュエータ21に接続されている。穀粒排出量制御手段137は、アクチュエータ21を操作して、オーガクラッチ19の入切操作を行うことで、前記スクリューコンベアの動作を制御して、排出オーガ17の排出口17aからの穀粒の排出・停止を切り換えることが可能である。穀粒排出量制御手段137には、穀粒センサ16が接続されている。穀粒排出量制御手段137は、穀粒センサ16から、グレンタンク15内の穀粒の収容量に関する情報を取得することが可能である。
【0045】
機体位置算出手段138は、判定手段136により、排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R内に存在していないと判定された場合に、排出口17aの目標位置Pが排出口17aの移動可能範囲R内に存在する機体2の目標位置Qを算出するものである。機体位置算出手段138が、機体2の目標位置Qを算出するときの手順についての詳細な説明は後述する。
【0046】
機体制御手段139は、変速機構3a、ブレーキ機構等に接続されており、機体2の移動・停止を制御することが可能である。
【0047】
以下では、穀粒の排出作業が行われるときの手順ステップS1〜S12について、
図6を参照して説明する。
【0048】
ステップS1において、作業者は、圃場内において刈取作業によってグレンタンク15内に穀粒を収納した後、圃場外に駐車された搬送車60に対して、コンバイン1(機体2)を圃場内から横付けする(
図7(a)及び
図7(b)参照)。そして、作業者は、穀粒排出操作具25を操作する。これにより、排出口位置制御手段131が穀粒排出操作具25から信号を受信する。
【0049】
ステップS2において、排出口位置制御手段131は、穀粒排出操作具25から信号を受信すると、アクチュエータ31・32・33を操作して、排出オーガ17の関節J1〜J3を駆動させて、排出オーガ17の先端を移動させる。なお、本実施形態では、機体2が搬送車60に対して並列に停止される(横付けされる)ことを前提としている。そして、排出口位置制御手段131は、穀粒排出操作具25から信号を受信すると、排出オーガ17の先端を側方(搬送車60側)へ移動させるようにプログラミングされていることとする。また、このとき、排出口位置制御手段131は、排出オーガ17の先端をなるべく高い位置へ移動させて、撮像手段110の撮像範囲を広げて、撮像手段110の画像内に、マーカーが写り込みやすい状態にするように構成されている。なお、機体2が搬送車60に対して後付けされることを前提としている場合には、排出口位置制御手段131が、穀粒排出操作具25から信号を受信すると、排出オーガ17の先端を後方に移動させるように構成すればよい。
【0050】
ステップS3において、排出口位置算出手段132は、撮像手段110により撮像された画像のデータを取得して、当該画像に対して二値化処理を行い、そして、当該画像内のマーカー121を特定する。
【0051】
ステップS4において、排出口位置算出手段132は、前記画像内のマーカー121を特定すると、機体2に対するマーカー121の位置(機体2の座標系ΣOν−xνyνzνから見たマーカー121の位置)を算出する。マーカー121の位置は以下のように算出される。排出口位置算出手段132は、撮像手段110により撮像されたマーカー121の文字「A」の画像と、予め記憶されているマーカー121の文字「A」の形状・サイズ等に関する情報と、を比較することで、撮像手段110とマーカー121との位置関係、及び文字「A」の向きを算出する。そして、排出口位置算出手段132は、上記算出した撮像手段110とマーカー121との位置関係に関する情報と、予め記憶されている撮像手段110の取り付け位置に関する情報に基づいて、機体2に対するマーカー121の位置を算出する。なお、撮像手段により撮像された画像内の、特定の物体(マーカー121)の位置を算出する画像処理解析技術については公知であるため詳細な説明は省略する。
【0052】
ステップS5において、排出口位置算出手段132は、算出したマーカー121の位置に対して所定の位置関係を有する位置を、排出口17aの目標位置Pとして算出する。前記所定の位置関係に関する情報は、位置情報記憶手段133に記憶されているものである。本実施形態では、位置情報記憶手段133には、排出口17aの目標位置Pを、マーカー121から後方向にmメートル、上方向にnメートル離れた位置に設定する旨の情報が記憶されていることとする(
図4(a)及び
図4(b)参照)。排出口位置算出手段132は、前記所定の位置関係に関する情報を位置情報記憶手段133から取得して、この取得した情報を用いて、排出口17aの目標位置Pを算出する。排出口位置算出手段132は、排出口17aの目標位置Pを、機体2の座標系ΣOν−xνyνzνから見た値で算出する。
【0053】
ステップS6において、判定手段136は、排出口17aの移動可能範囲Rを算出する、上記したように、判定手段136は、排出口17aの移動可能範囲Rを、排出オーガ17の関節J1〜J3の可動範囲に基づいて算出する。本実施形態では、マーカー121のnメートル上方の位置での、排出口17aの移動可能範囲Rが算出される。判定手段136は、排出口17aの移動可能範囲Rを、機体2の座標系ΣOν−xνyνzνから見た値で算出する。
【0054】
ステップS7において、判定手段136は、排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R内に存在しているか否かを判定する。
【0055】
図7(a)に示すように、判定手段136により、排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R内に存在していると判定された場合には(ステップS7、Yes)、ステップS8に移行する。
図7(b)に示すように、判定手段136により、排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R内に存在していないと判定された場合には(ステップS7、No)、ステップS11に移行する。
【0056】
ステップS8において、排出口位置制御手段131は、各関節J1〜J3の関節変数θ1・θ2・d3の目標値θ1’・θ2’・d3’を算出する。関節変数θ1・θ2・d3の目標値θ1’・θ2’・d3’は、排出口17aが、排出口17aの目標位置Pに存在するときの関節変数θ1・θ2・d3の値である。排出口位置制御手段131は、上記(数2)を用いて、関節変数θ1・θ2・d3の目標値θ1’・θ2’・d3’を算出する。
【0057】
ステップS9において、排出口位置制御手段131は、各関節J1〜J3の関節変数θ1・θ2・d3が目標値θ1’・θ2’・d3’になるように、各アクチュエータ31・32・33を操作する。これにより、排出オーガ17の排出口17aが、排出口17aの目標位置P(容器61の直上方)へ移動される(
図8(a)及び
図8(b)参照)。このとき、排出口位置制御手段131は、センサ41・42・43の検出値が目標値θ1’・θ2’・d3’になったか否かを確認することによって、排出オーガ17の排出口17aが、排出口17aの目標位置Pに到達したか否かを判断する。
【0058】
ステップS10において、穀粒排出量制御手段137は、オーガクラッチ19を入状態にして、排出オーガ17の排出口17aから穀粒Kを排出させる(
図8(a)及び
図8(b)参照)。
【0059】
ステップS11において、機体位置算出手段138は、機体2の目標位置Qを算出する(
図9(a)参照)。機体位置算出手段138は、機体2の目標位置Qを、機体2の座標系ΣOν−xνyνzνから見た値で算出する。機体2の目標位置Qは、排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R内に存在するときの、機体2の位置である。従って、機体2が現在の位置qから目標位置Qまで移動したときには、排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R内に存在することとなる(
図9(b)参照)。
【0060】
ステップS12において、機体制御手段139は、機体2を、現在の位置qから機体2の目標位置Qまで移動させる(
図9(a)及び
図9(b)参照)。その後は、上記ステップS3〜S10の手順に従って、穀粒の排出作業が行われる。
【0061】
以上のように、上記ステップS7に示すように、判定手段136により、排出オーガ17の排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R内に存在しているか否かが判定される。これにより、作業者が、排出オーガ17を手動で操作して、排出オーガ17の排出口17aを移動させて、排出口17aが容器61まで届いているか否かを目視で確認する作業を行う必要がなくなる。これにより、穀粒排出作業を円滑に行え、作業性を向上させることが可能となる。
【0062】
また、上記ステップS12に示すように、機体制御手段139により、機体2が、機体2の目標位置Qまで移動されるので、作業者が感覚に頼って、コンバイン1の容器61に対する位置決めを行う必要がなくなる。これにより、作業者の熟練度の影響を受けることが抑制され、作業性を向上させることが可能となる。
【0063】
なお、撮像手段110を機体2に取り付けてもよい。
図10に示すように、例えば、撮像手段110を、機体2の側部に取り付ける。そして、マーカー121を、搬送車60の側部に取り付けて、横向きに配置する。そして、機体2が搬送車60の側方に停止された(横付けされた)ときに、撮像手段110の画像内にマーカー121が写り込むように構成してもよい。また、機体2が搬送車60に対して後付けされる場合には、撮像手段110を、機体2の後部に取り付けて、撮像手段110により機体2の後方を撮像するように構成すればよい。
【0064】
また、上記ステップS6に示すように、本実施形態では、判定手段136が、排出口17aの移動可能範囲Rを、排出オーガ17の関節J1〜J3の可動範囲のみに基づいて算出するように構成したが、これに限定されない。
図11に示すように、判定手段136が、排出口17aの移動可能範囲R’を、排出オーガ17の関節J1〜J3の可動範囲と、機体傾斜機構24による機体2の傾斜可能範囲と、に基づいて算出するように構成してもよい。これにより、排出口17aの移動可能範囲R’がより広くなる(R’>R)。従って、排出口17aの目標位置Pが、排出口17aの移動可能範囲R外に存在していたとしても、排出口17aの移動可能範囲R’内に存在している場合には、排出口位置制御手段131が、機体傾斜機構24により機体2を傾斜させることによって、排出口17aを目標位置Pまで移動させることが可能となる。なお、この場合において、機体2が搬送車60に対して横付けされる場合には、排出口位置制御手段131は、機体2を左右方向に傾斜させることとなり、これに対し、機体2が搬送車60に対して後付けされる場合には、排出口位置制御手段131は、機体2を前後方向に傾斜させることとなる。
【0065】
また、上記ステップS12に示すように、本実施形態では、機体位置算出手段138により機体2の目標位置Qが算出されると、機体制御手段139が機体2を目標位置Qまで移動させるように構成したが、これに限定されない。例えば、機体位置算出手段138により機体2の目標位置Qが算出された後に、操縦部20の操作具(例えば、走行レバー)が操作されることによって、機体制御手段139が機体2を目標位置Qまで移動させるように構成してもよい。すなわち、機体位置算出手段138により機体2の目標位置Qが算出されても、作業者が前記操作具を操作するまでは機体2が停止しているように構成してもよい。これにより、作業者の意思によって、機体2が目標位置Qへ移動するタイミングを決定できるので、作業者にとって思いがけずに機体2が動きだしてしまうことが防げる。
【0066】
また、操縦部20に表示手段27を設けて、表示手段27に機体位置算出手段138を接続する(
図5参照)。そして、機体位置算出手段138により算出された機体2の目標位置Qに関する情報が、表示手段27に表示されるように構成してもよい。この機体2の目標位置Qに関する情報は、例えば、
図9(a)に示すような、機体2の現在の位置qと、機体2の目標位置Qを示すような位置情報や、「(機体2を目標位置Qまで移動させるためには)機体2をxメートル前進させて下さい」といった文字情報である。これにより、作業者は、表示手段27に表示される情報を頼りにして、機体2を、機体2の目標位置Qまで移動させることが可能となる。これにより、作業者が感覚のみに頼ってコンバイン1の容器61に対する位置決めを行う必要がなくなり、作業者の熟練度の影響を受けることが抑制され、作業性を向上させることが可能となる。なお、作業者が、機体2を操作して、機体2が目標位置Qに到達したときに、音声や音が発生するように構成してもよい。
【0067】
なお、本実施形態の農作物排出装置は、コンバインの穀粒排出作業以外にも採用することが可能である。本実施形態の農作物排出装置は、収穫した農作物(例えば、人参、じゃがいも等)を機体外部へ排出する排出手段を有し、前記排出手段には農作物の排出口及び関節が設けられ、前記関節を動かすことにより前記排出口を移動させることができる走行型収穫機により、収穫した農作物を前記排出手段の排出口から容器へ排出する作業を行う場合にも採用できる。これにより、上記した農作物排出装置を採用してコンバインの穀粒排出作業を行う場合と、同様の効果を奏する。