(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202492
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ジニトロ化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 231/02 20060101AFI20170914BHJP
C07C 233/66 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
C07C231/02
C07C233/66
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-144189(P2013-144189)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2014-43434(P2014-43434A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-172774(P2012-172774)
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000187046
【氏名又は名称】東レ・ファインケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182785
【弁理士】
【氏名又は名称】一條 力
(72)【発明者】
【氏名】柴山 勝弘
【審査官】
東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−316294(JP,A)
【文献】
特開2004−143143(JP,A)
【文献】
特表2002−535393(JP,A)
【文献】
特表2011−519916(JP,A)
【文献】
特開2009−062398(JP,A)
【文献】
特開2000−143806(JP,A)
【文献】
特開平11−199557(JP,A)
【文献】
Iseitlin, G. M.; Tokarev, B. V.; Ilingin, O. V.,Acylation in amide solvents,Tekhnologiya,1979年,22(10),1190-1193
【文献】
Morzycki, Jacek W. et al.,Three new derivatives of 3-amino-1,2-propanediol; their spectral properties and biological evaluation,Acta Poloniae Pharmaceutica ,2001年,58(4),249-256
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】
(式中、R
1は、水素原子または炭素数1から3の1価の有機基を表す。)
で表されるニトロベンゾイルクロリドと、一般式
【化2】
(式中、Aは、単結合、
または、C(CF
3)
2を表す。)
で表されるジアミノフェノールを含窒素有機溶媒中で反応させて、一般式
【化3】
(式中、Aは、単結合、
または、C(CF
3)
2を表し、R1は、水素原子または炭素数1から3の1価の有機基を表す。)
で表されるジニトロ化合物を製造する方法。
【請求項2】
R1が水素原子である請求項1に記載のジニトロ化合物の製造方法。
【請求項3】
含窒素有機溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、または、N,N−ジメチルアセトアミドである請求項1または2に記載のジニトロ化合物の製造方法。
【請求項4】
塩基を加えない請求項1〜3のいずれかに記載のジニトロ化合物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミノフェノールとニトロベンゾイルクロリドから、ジニトロ化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体は、容量、密度、集積化および表面取り付けにおいて急速に進歩している。その進歩に伴って、半導体機器の製造において多数の問題が発生している。問題の1つは、封止材料が薄くなると、半導体チップに熱または熱応力がかかることである。従って、微細な半導体回路を熱または熱応力から保護する必要がある。一方、半導体上に高密度および高集積の回路を形成するためには、多層配線の技術が不可欠である。これを達成するためには、高耐熱性、高接着性および低比誘電率を有する層間誘電体が必要である。
【0003】
前記問題は芳香族ポリイミドまたはポリベンゾオキサゾールをパッシベーションフィルム、バッファーコートフィルムまたは層間誘電体として使用することにより解決されることが知られている。芳香族ポリイミドおよびポリベンゾオキサゾールは、優れた熱安定性、高い機械的特性、良好な電気特性および優れた耐薬品性を有するポリマーである。ポリベンゾオキサゾールはポリイミドよりも水分取り込みが低いが、シリコンウエハーに対する接着性が乏しく剥離しやすいという問題がある。この問題を解決するために、ポリイミドを導入した、ポリベンゾオキサゾールーポリイミドコポリマーに改良することで接着性を向上することができる。
【0004】
具体例としては下式に示すように、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を重合し、熱処理によりポリ(イミドーベンゾオキサゾール)を得た例が報告されている(特許文献1、2、3参照)。
【0005】
【化1】
【0006】
この文献ではジアミンは下式に示すようにニトロベンゾイルクロリドとジアミノフェノールの反応において、プロピレンオキシドを酸捕捉剤として使用して合成している。
【0007】
【化2】
【0008】
しかしながら、高価で重合しやすいプロピレンオキシドを使用し、−15℃という低温で反応しているので、大量生産に向いていない。
【0009】
その他、下式に示すようにニトロベンゾイルクロリドとジアミノフェノールの反応において、トリエチルアミンを酸捕捉剤として使用した例も報告されているが再結晶で精製して目的物を単離する必要があった(特許文献4参照)。
【0010】
【化3】
【0011】
その理由として、下式に示すようにトリエチルアミンを酸捕捉剤として用いると、アミノ基だけでなく、フェノール基もベンゾイル化された化合物が優先的に得られるという報告があり、反応の選択性が低く、生成物の純度が低かったことが推定される(特許文献5参照)。
【0012】
【化4】
【0013】
また、上記文献では、トリエチルアミンを用いない場合の例も報告されているが、選択性が低く、問題は改善されていない。そこで、選択性を出すために、塩化リチウム、塩化カルシウムを添加することで良い結果を得ているが、電子材料用途の場合、リチウム、カルシウムなどの金属が微量残存しても問題となるので好ましくない。
【0014】
以上のように、工業的スケールで安価に、ジアミノフェノールとニトロベンゾイルクロリドを反応して、電子材料用途に使用する、ポリ(イミドーベンゾオキサゾール)の原料となるジニトロ化合物を得る方法は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平11−199557号公報
【特許文献2】特開2009−62398号公報
【特許文献3】特開2001−235860号公報
【特許文献4】特開平7−316294号公報
【特許文献5】特開2000−143806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、簡便な方法でジアミノフェノールとニトロベンゾイルクロリドを反応して、高純度のジニトロ化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、高純度のジニトロ化合物を極めて簡便な方法で、収率よく得ることができる。
【0018】
本発明の方法によって製造されるジニトロ化合物を還元することにより、ジアミンが製造され、これをテトラカルボン酸二無水物と重合し、熱処理することで、ポリ(イミドーベンゾオキサゾール)に変換される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、一般式
【0020】
【化5】
【0021】
(式中、R
1は水素原子または炭素数1から3の1価の有機基を表す。)
で表されるニトロベンゾイルクロリドと、一般式
【0022】
【化6】
【0023】
(式中、Aは、単結合、
または、C(CF
3)
2を表す。)
で表されるジアミノフェノールを含窒素有機溶媒中で反応させて、一般式
【0024】
【化7】
【0025】
(式中、Aは、単結合、
または、C(CF
3)
2を表し、R
1は水素原子または炭素数1から3の1価の有機基を表す。)
で表されるジニトロ化合物を製造する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、一般式
【0027】
【化8】
【0028】
(式中、R
1は水素原子または炭素数1から3の1価の有機基を表す。)
で表されるニトロベンゾイルクロリドと、一般式
【0029】
【化9】
【0030】
(式中、Aは、単結合、
または、C(CF
3)
2を表す。)
で表されるジアミノフェノールを含窒素有機溶媒中で反応させて、一般式
【0031】
【化10】
【0032】
(式中、Aは、単結合、
または、C(CF
3)
2を表し、R
1は水素原子または炭素数1から3の1価の有機基を表す。)
で表されるジニトロ化合物を製造する方法である。
【0033】
一般式
【0034】
【化11】
【0035】
で表されるニトロベンゾイルクロリドにおいて、R
1は、水素原子または炭素数1から3の1価の有機基であり、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基が好ましく、R
1は、より好ましくは、水素原子である。
【0036】
ニトロベンゾイルクロリドの具体的な化合物としては、3−ニトロベンゾイルクロリド、4−ニトロベンゾイルクロリド、2−ニトロベンゾイルクロリドが挙げられ、特に、3−ニトロベンゾイルクロリド、4−ニトロベンゾイルクロリドが好ましい。
【0037】
一般式
【0038】
【化12】
【0039】
で表されるジアミノフェノールにおけるAは単結合、
または、C(CF
3)
2を表
す。
【0040】
ジアミノフェノールの具体的な化合物としては、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3、3’−ジアミノ−4、4’−ジヒドロキシビフェニ
ルなどが挙げられる。ジアミノフェノールは、好ましくは、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジ
ンである。
【0041】
本発明の方法によって製造される一般式
【0042】
【化13】
【0043】
で表されるジニトロ化合物は具体的には、例えば、下記構造のものを挙げることができる。
【0044】
【化14】
【0045】
一般式
【0046】
【化15】
【0047】
で表されるニトロベンゾイルクロリドは、ジアミノフェノールに対して、2.0〜3.0モル倍用いることが好ましく、2.0〜2.5モル倍用いることがより好ましい。
【0048】
本発明の製造方法において、反応に含窒素有機溶媒を用いる。具体的には、含窒素有機溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルリン酸トリアミド、テトラメチル尿素などが好ましく、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、または、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)がより好ましい。含窒素有機溶媒は、単独で使用してもよく、複数種組み合わせて用いてもよい。
【0049】
含窒素有機溶媒の使用量は一般式
【0050】
【化16】
【0051】
の化合物に対して1から40重量倍用いるのが好ましく、2から20重量倍用いるのがより好ましい。
【0052】
本発明の製造方法においては、溶媒の含窒素有機溶媒を酸捕捉剤と使用するので、通常、塩基を加えない。本製造方法は、ジアミノフェノールのアミノ基が選択的にニトロベンゾイルクロリドと反応する、塩基を使用せず、溶媒量が少なくて済むので製造コストが安くなるという利点がある。
【0053】
本発明の製造方法において、最初にジアミノフェノールを含窒素有機溶媒に溶解し、次に、ニトロベンゾイルクロリドを加える事が好ましい。この順序で添加すると、反応液中では常にジアミノフェノールが過剰になるために、ジアミノフェノールのアミノ基が選択的に反応する。
【0054】
ニトロベンゾイルクロリドは、固体のまま添加しても良いし、融点以上の温度に加熱溶解して添加しても良い。また、ニトロベンゾイルクロリドと反応しない溶媒に溶解した溶液を添加しても良い。
【0055】
ニトロベンゾイルクロリドと反応しない溶媒とは、含窒素有機溶媒、芳香族炭化水素、エーテル類等が挙げられる。含窒素有機溶媒は、反応で用いる含窒素有機溶媒が好ましく、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、または、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)がより好ましい。芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、キシレンが好ましく、トルエンがより好ましい。エーテル類は、テトラヒドロフランが好ましい。ニトロベンゾイルクロリドを溶解する溶媒の使用量は、ニトロベンゾイルクロリドに対して0.1から5重量倍用いるのが好ましく、0.2から1重量倍用いるのがより好ましい。
【0056】
反応温度は−10から100℃の範囲が好ましく、10から50℃の範囲がより好ましい。反応時間は1時間から1週間が好ましく、2時間から1日がより好ましい。反応の雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
【0057】
本発明のジニトロ化合物の製造方法では、反応終了後、目的の化合物は、抽出、濃縮、晶析、ろ過などの方法で単離精製することができる。目的物の沈殿が発生しているものはろ過を行い、目的のジニトロ化合物を得ることができる。
【0058】
本発明のジニトロ化合物の製造方法では、反応終了後、水やアルコール類から選ばれる少なくとも1種類の溶媒を添加するか、反応液を水やアルコール類から選ばれる少なくとも1種類の溶媒に滴下して、生じた沈殿をろ過することにより目的のジニトロ化合物を得ることができる。
【0059】
また、ろ過した沈殿は、水やアルコール類から選ばれる少なくとも1種類の溶媒で洗浄を行うことが好ましい。水、アルコール類から選ばれる少なくとも1種類の溶媒の使用量は、ニトロベンゾイルクロリドに対して0.1から20重量倍用いるのが好ましく、1から10重量倍用いるのがより好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが好ましい。反応終了後に添加、洗浄に用いる水、アルコール類から選ばれる少なくとも1種類の溶媒は、単独、または複数組み合わせて用いても良い。
【0060】
また、必要により、本発明のジニトロ化合物は、再結晶、再沈、カラムクロマトグラフィーなどの方法により精製することもできる。再結晶する場合は、目的物と反応することがない溶媒を、単独もしくは複数種組み合わせて行うことができる。
【0061】
このようにして得られたジニトロ化合物を還元することにより、一般式
【0062】
【化17】
【0063】
(式中、Aは、単結合、
または、C(CF
3)
2を表し、R
1は、水素原子または炭素数1から3の1価の有機基を表す。)
で表されるジアミンを得ることができる。
【0064】
還元方法としては、パラジウム/炭素、ラネーニッケルなどの金属触媒の存在下に水素ガスを作用させる方法、パラジウム/炭素、ラネーニッケルなどの金属触媒の存在下にギ酸アンモニウムを作用させる方法、塩化第一スズと塩酸による方法、鉄と塩酸による方法、ヒドラジンを使用する方法などを用いることができる。
【0065】
得られたジアミンをモノマーとして重合することにより、ポリ(イミドーベンゾオキサゾール)を得ることができる。
【実施例】
【0066】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【0067】
以下の実施例において、測定には下記装置を使用し、原料は試薬メーカー(東京化成工業、和光純薬工業、ナカライテスク)から購入した一般的な試薬を用いた。
【0068】
IR測定
島津製作所製 IR Prestige−21を使用した。KBrを用いてATR法で測定した。
【0069】
HPLC測定
島津製作所製 LC−10AVPシリーズを使用した。カラムはガスクロ工業製Inertsil ODS 80Aを使用し、面積百%で純度を算出した。
【0070】
融点測定
ヤナコ機器開発研究所製 微量融点測定装置 MP−J3を使用した。
【0071】
実施例1
2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
【0072】
【化18】
【0073】
撹拌機、滴下漏斗及び温度計を備えた100mL3つ口フラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 10.1g、NMP 37gを仕込み、窒素気流下、40℃で攪拌して溶解した後、30℃以下まで冷却した。3−ニトロベンゾイルクロリド 10.3gをトルエン 5gに溶解した溶液を25−30℃の温度で30分間で滴下した後、25−30℃で3.5時間攪拌した。サンプルの1部を取り、メタノールとトリエチルアミンを加えてHPLC分析した結果、3−ニトロ安息香酸 0.5%、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン 99.1%であった。
【0074】
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた300mL4つ口フラスコにメタノール 150gを仕込み、窒素気流下、45℃に加熱した。ここに、先の反応溶液を、40−45℃の温度で30分間で滴下した。1時間で室温まで冷却してから析出した沈殿をろ過し、メタノール 26gで洗浄、乾燥し、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンを18g得た。HPLC分析した結果、純度は99.8%であった。
【0075】
IR(ATR)cm
−1:3414、3181、1655、1537,1352,1252
mp:300℃以上 。
【0076】
実施例2
2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
撹拌機、滴下漏斗及び温度計を備えた300mL4つ口フラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 10.1g、NMP 45gを仕込み、窒素気流下、40℃で攪拌して溶解した。3−ニトロベンゾイルクロリド 10.4gをNMP 5gに溶解した溶液を40℃で30分間で滴下した後、40℃で3時間攪拌した。サンプルの1部を取り、メタノールとトリエチルアミンを加えてHPLC分析した結果、3−ニトロ安息香酸 0.8%、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン 98.9%であった。
【0077】
反応溶液を60℃に昇温し、メタノール 100gを1時間で滴下し、室温まで冷却してから析出した沈殿をろ過し、メタノール 18gで洗浄、乾燥し、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンを16.2g得た。HPLC分析した結果、純度は99.6%であった。
【0078】
実施例3
2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
実施例1において、メタノールの代わりにイソプロパノールを用いた以外は実施例1と同様にして2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンを得た。HPLC分析した結果、純度は99.6%であった。
【0079】
実施例4
2,2−ビス[3−(4−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
【0080】
【化19】
【0081】
実施例1において、3−ニトロベンゾイルクロリドの代わりに4−ニトロベンゾイルクロリドを用いた以外は、実施例1と同様にして、2,2−ビス[3−(4−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンを得た。HPLC分析した結果、純度は99.5%であった。
実施例5
2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
撹拌機、滴下漏斗及び温度計を備えた100mL3つ口フラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 12.5g、DMAC 37.6gを仕込み、窒素気流下、30℃で攪拌し、3−ニトロベンゾイルクロリド 12.7gをDMAC 3.8gに溶解した溶液を30分間で滴下した後、30℃で2時間攪拌した。サンプルの1部を取り、メタノールとトリエチルアミンを加えてHPLC分析した結果、3−ニトロ安息香酸 0.8%、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン 98.8%であった。これにメタノール12.3gを加え、生じた沈殿を溶解した。
【0082】
撹拌機、滴下漏斗及び温度計を備えた300mL4つ口フラスコにメタノール 125gを仕込み、窒素気流下、30℃に加熱した。ここに、先の反応溶液を、滴下ロートから30分間で滴下した。氷水浴につけて10℃以下まで冷却し、析出した沈殿をろ過し、メタノール 25gで洗浄、乾燥し、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンを21.5g得た。HPLC分析した結果、純度は99.9%であった。
【0083】
実施例6
2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
撹拌機、滴下漏斗及び温度計を備えた100mL3つ口フラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 7.9g、DMAC 21.4gを仕込み、窒素気流下、35℃で攪拌し、3−ニトロベンゾイルクロリド 8.0gをTHF 5.3gに溶解した溶液を15分間で滴下した後、30−35℃で2時間攪拌した。サンプルの1部を取り、メタノールとトリエチルアミンを加えてHPLC分析した結果、3−ニトロ安息香酸 1.0%、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン 98.8%であった。これにメタノール8.0gを加え、生じた沈殿を溶解した。
【0084】
撹拌機、滴下漏斗及び温度計を備えた300mL4つ口フラスコにメタノール 73gを仕込み、窒素気流下、室温で攪拌した。ここに、先の反応溶液を15分間で滴下した。室温で1時間攪拌し、析出した沈殿をろ過し、メタノール 33gで洗浄、乾燥し、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンを13.9g得た。HPLC分析した結果、純度は99.6%であった。
【0085】
実施例7
4,4’−ビス(4−ニトロベンズアミド)−3,3’−ジヒドロキシビフェニル
【0086】
【化20】
【0087】
実施例1において、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの代わりに3,3’−ジヒドロキシベンジジンを用いた以外は、実施例1と同様にして、4,4’−ビス(4−ニトロベンズアミド)−3,3’−ジヒドロキシビフェニルを得た。HPLC分析した結果、純度は99.0%であった
IR(ATR)cm
−1:3320、1650,1520
参考例1
2,2−ビス[3−(3−アミノベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えた200mL3つ口フラスコに実施例1で得られた2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン 17.2g、N、N−ジメチルホルムアミド 144g、イソプロパノール 17gを仕込み窒素置換し、5%パラジウム/炭素 0.69gを加えて激しく攪拌させた。ここに水素を風船で導入して、70℃で5時間攪拌し風船がこれ以上しぼまなくなることを確認して還元反応を終了させた。サンプルの1部を取り、HPLC分析した結果、3−アミノ安息香酸 0.1%、2,2−ビス[3−(3−アミノベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン 97.3%であった。冷却後、触媒をろ過し、ろ液を濃縮して、濃縮液を 31g得た。
【0088】
撹拌機、還流冷却管、滴下ロート及び温度計を備えた300mL4つ口フラスコに水 105gを仕込み、窒素気流下45℃まで加熱した。濃縮液を滴下ロートから30分間で滴下し、室温まで冷却した後、生じた沈殿をろ過し、沈殿を水で洗浄、乾燥し、2,2−ビス[3−(3−アミノベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンを7.9g得た。HPLC分析した結果、純度は99.4%であった。
mp:300℃以上
比較例1
有機塩基のイミダゾールを酸捕捉剤として使用した例
2,2 −ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた100mLの3つ口フラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 6.0g、NMP 24g、イミダゾール 2.6gを仕込み、窒素気流下、60℃で、NMP 10gと3−ニトロベンゾイルクロリド 6.2gの混合溶液を1時間で滴下した後、4時間60℃で熟成した。サンプルの1部を取り、メタノール/トリエチルアミンを加えて未反応の3−ニトロベンゾイルクロリドをメチルエステル化して、HPLCで分析した結果、3−ニトロ安息香酸 1.3%、3−ニトロ安息香酸メチル 7.4%、2−[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]−2−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 11.8%、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン 77.1%であり、反応が未完結であった。
【0089】
比較例2
溶媒にテトラヒドロフランを使用し、有機塩基のイミダゾールを酸捕捉剤として使用した例
2,2 −ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
温度計、攪拌機、滴下ロートを備えた100mLの3つ口フラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 6.0g、テトラヒドロフラン 47g、イミダゾール 2.5gを仕込み、窒素気流下、水浴につけて攪拌した。THF 13gと3−ニトロベンゾイルクロリド 6.0gの混合溶液を1時間で10−15℃で滴下した後、終夜室温で攪拌した。サンプルの1部を取り、メタノール/トリエチルアミンを加えて未反応の3−ニトロベンゾイルクロリドをメチルエステル化して、HPLCで分析した結果、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンの純度は26.3%であった。その他、ニトロベンゾイルクロリドが1つ置換した化合物、3つ置換した化合物、4つ置換した化合物、3−ニトロ安息香酸、3−ニトロ安息香酸メチルなど多数のピークが検出され、反応に選択性は無かった。
【0090】
比較例3
溶媒にアセトンを使用し、有機塩基のイミダゾールを酸捕捉剤として使用した例
2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン
比較例2において、溶媒としてTHFの代わりにアセトンを用いる以外は比較例2と同様にして反応した。サンプルの1部を取り、メタノール/トリエチルアミンを加えて未反応の3−ニトロベンゾイルクロリドをメチルエステル化して、HPLCで分析した結果、2,2−ビス[3−(3−ニトロベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパンの純度は14.0%であった。その他、ニトロベンゾイルクロリドが1つ置換した化合物、3つ置換した化合物、4つ置換した化合物、3−ニトロ安息香酸、3−ニトロ安息香酸メチルなど多数のピークが検出され、反応に選択性は無かった。