特許第6202503号(P6202503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 武富 彰の特許一覧

<>
  • 特許6202503-水中用案内器具 図000002
  • 特許6202503-水中用案内器具 図000003
  • 特許6202503-水中用案内器具 図000004
  • 特許6202503-水中用案内器具 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202503
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】水中用案内器具
(51)【国際特許分類】
   B63C 11/02 20060101AFI20170914BHJP
   A63B 31/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B63C11/02
   A63B31/08
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-60989(P2016-60989)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-171187(P2017-171187A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2016年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】515218266
【氏名又は名称】武富 彰
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人JAZY国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武富 彰
(72)【発明者】
【氏名】平沼 啓伸
【審査官】 前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−167178(JP,A)
【文献】 特開2002−087384(JP,A)
【文献】 特開平11−348880(JP,A)
【文献】 特開2009−094765(JP,A)
【文献】 特開2006−327266(JP,A)
【文献】 特開2013−220683(JP,A)
【文献】 実開平02−006698(JP,U)
【文献】 実開平02−130895(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 11/02
A63B 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中で複数のダイバーが把持し行動するための器具であって、
前記ダイバーが把持する第1及び第2の把持部材と、
前記第1及び第2の把持部材を、所定間隔をあけて平行な位置関係となるように保持する接続部材と、
前記第1及び第2の把持部材の両端にそれぞれ設けられた浮き部材と、を備えた
水中案内用器具。
【請求項2】
前記第1及び第2の把持部材の少なくともいずれかの外周面に滑り止め部材を設けた
請求項に記載の水中用案内器具。
【請求項3】
前記第1及び第2の把持部材のうちのいずれかの一端に配設されており、使用者の衣服の一部に係合可能な係合部材を更に備えた
請求項に記載の水中用案内器具
【請求項4】
水中カメラ及びGPS装置の少なくもいずれかを設置する設置部材を更に備えた
請求項1に記載の水中用案内器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばダイビングのインストラクターが、水中で初心者等をダイビングスポット等の目的地に案内するための水中用案内器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海等でダイビングを行うときには、ダイビングの初心者又は体験入学者に対しては、インストラクターが水中での動作や移動先等を案内するのが一般的である。特に、水中で複数の目的地を回る場合には、インストラクターが初心者等の手をとって、目的地へと案内することも多い。そして、今日では、情報技術により、目的地までの方向や距離等の情報を提示することで、先導のダイバーがいない場合でも、その行動をサポートできるようにした技術もいくつか提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、水中遊泳補助装置に格納容器を取り付け、該格納容器に慣性航法装置と、入力手段と、方位計と、深度計と、演算処理装置と、表示部とを備え、目的地への位置座標へ向かうための方向及び距離と、該目的地の深度を表示できるようにした水中用案内装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5614078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたものでは、目的地に向かうための各種情報提示はできるものの、体験者又は経験が浅いダイバーを、水中での基本的な動作も含めて総合的にサポートしつつ先導するという課題の解決にはなっていない。
【0006】
また、従来、インストラクター等が、体験者又は経験の浅いダイバーを、水中での基本的な動作をサポートしつつ目的地に先導するための器具は存在しない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、体験者又は経験の浅いダイバーを、水中での基本的な動作をサポートしつつ目的地に先導する水中案器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明の第の態様に係る水中用案内器具は、水中で複数のダイバーが把持し行動するための器具であって、前記ダイバーが把持する第1及び第2の把持部材と、記第1及び第2の把持部材を、所定間隔をあけて平行な位置関係となるように保持する接続部材と、前記第1及び第2の把持部材の両端にそれぞれ設けられた浮き部材と、を備えている。
【0018】
本発明の第の態様に係る水中用案内器具は、第の態様において、前記第1及び第2の把持部材の少なくともいずれかの外周面に滑り止め部材を設けている。
【0019】
本発明の第の態様に係る水中用案内器具は、第の態様において、前記第1及び第2の把持部材のうちのいずれかの一端に配設されており、使用者の衣服の一部に係合可能な係合部材を更に備えている。
【0020】
本発明の第の態様に係る水中用案内器具は、第1の態様において、水中カメラ及びGPS装置の少なくもいずれかを設置する設置部材を更に備えている。

【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、体験者又は経験の浅いダイバーを、水中での基本的な動作をサポートしつつ目的地に先導する水中案器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る水中案内器具の構成図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る水中案内器具の構成図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る水中案内器具の構成図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る水中案内器具の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0024】
<第1実施形態>
【0025】
図1には本発明の第1実施形態に係る水中案内器具の構成を示し説明する。
【0026】
同図に示されるように、水中用案内器具1は、海や湖等の水中で複数のダイバーが把持しながら一緒に行動する器具である。水中用案内器具1は、円筒又は円柱形状の把持部材2と、把持部材2の一端に配設され、使用者の衣服やベルト等の一部に係合可能な係合部材3とを備えている。把持部材2は、円筒又は円柱形状に限定されず、中空の筒状、又は四角柱等の多角柱形状であってもよい。
【0027】
また、不図示であるが、把持部材2の外周面に滑り止め部材を設けてもよい。また、把持部材2の外表面の少なくとも一部を蛍光塗料により塗装してもよい。
【0028】
このような構成において、インストラクターが初心者、又は体験入学者等を引率して水中の行動を共にする場合に、この水中案内器具1は用いられる。例えば、把持部材2の長さを100cm程度とした場合には、略中央部をインストラクターが片手で把持し、把持部材2を挟むように対向した方向から2名の初心者等が、片手又は両手で把持部材2を把持することになる。前述したように、把持部材2を中空状とした場合には、その軽量化が図られる。水中案内器具1をインストラクター等が未使用時に携帯するときは、フック等からなる係合部材3を衣服やベルト等の一部に係合すればよい。
【0029】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る水中用案内器具では、複数のダイバーが把持しながら一緒に行動することができるので、例えば、インストラクターが複数の目的地点へとエスコートする場合等に好適である。
【0030】
<第2実施形態>
【0031】
図2には本発明の第2実施形態に係る水中案内器具の構成を示し説明する。
【0032】
図2(a)に示されるように、水中用案内器具10は、海や湖等の水中で複数のダイバーが把持し一緒に行動する器具である。水中用案内器具10は、ダイバーが把持する円筒又は円筒形状の複数の把持部材11a乃至11cと、複数の把持部材11a乃至11cの各把持部材同士を把持部材11a乃至11cの長手方向に対して180度まで回動自在に保持する回動保持部材12,13とを備えている。回動保持部材12,13への接続端において把持部材11a,11cを回動させることで、折り畳み可能となる。
【0033】
より具体的には、把持部材11aの一端は回動保持部材12に回動自在に接続されており、把持部材11bの一端は回動保持部材12に回動自在に接続され、他端は回動保持部材13に回動自在の接続されている。そして、把持部材11cの一端は回動保持部材13に回動自在に接続されている。
【0034】
回動保持部材12,13は、本体12a,13aと、把持部材11a,11b,11cを本体12a,13aに対して軸支するための軸部材12b,12c,13b,13cとで構成されている。従って、把持部材11a,12b,11cは、この軸部材12b,12c,13b,13cを中心として回動し、図2(b)に示されるように三つ折りに落ち畳まれることになる。尚、折りたたむ際には、回動保持部材12も、90度回転して2本の把持部材を平行に並べた位置関係を保持する。
【0035】
この例では、把持部材11aの一端には、使用者の衣服やベルト等の一部に係合可能な係合部材14が設けられている。尚、把持部材11a〜11cは、円筒又は円柱形状に限定されず、中空の筒状、又は四角柱等の多角柱形状であってもよい。
【0036】
また、不図示であるが、把持部材11a〜11cの外周面に滑り止め部材を設けてもよい。また、把持部材11a〜11cの外表面の少なくとも一部を蛍光塗料により塗装してもよい。
【0037】
このような構成において、インストラクターが初心者、又は体験入学者等を引率して水中の行動を共にする場合に、この水中案内器具10は用いられる。例えば、把持部材11a〜11cの長さをそれぞれ30cm程度とし、全長を100cm程度とした場合、略中央部をインストラクターが片手で把持し、把持部材11a〜11cを挟むように対向した方向から2名の初心者等が、片手又は両手で把持部材11a〜11cを把持することになる。前述したように、把持部材11a〜11cを中空状とした場合には、その軽量化が図られる。水中案内器具10をインストラクター等が未使用時に携帯するときは、三つ折りにして、フック等からなる係合部材14を衣服やベルト等の一部に係合すればよい。
【0038】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る水中用案内器具では、前述した第1実施形態の効果に加えて、把持部材を回動保持部材にて回動させることで三つ折り等にすることができるので、携帯性が更に良好である。
【0039】
<第3実施形態>
【0040】
図3には本発明の第3実施形態に係る水中案内器具の構成を示し説明する。
【0041】
同図に示されるように、水中用案内器具20は、海や湖等の水中で複数のダイバーが把持し一緒に行動する器具である。水中用案内器具20は、ダイバーが把持する円筒又は円筒形状の第1の把持部材21と、第1の把持部材21の両端に、長手方向が第1の把持部材21の長手方向に対して垂直となるように結合された第2の把持部材22及び第3の把持部材23とを備えている。さらに、第1の把持部材21の中央に、長手方向が第1の把持部材21の長手方向に対して垂直となるように結合された支持部材24と、支持部材24の第1の把持部材21との結合端とは反対側の端に、支持部材24の長手方向に対して垂直となるように結合された第4の把持部材25とを備えている。
【0042】
水中案内用器具20は、第2の把持部材22に、使用者の衣服やベルト等の一部に係合可能な係合部材26が配設されている。第1の把持部材21の外表面の少なくとも一部には、滑り止め部材27,28が設けられている。ここでは不図示であるが、第2乃至第4の把持部材22,23,25にも同種の滑り止め部材を設けてもよい。
【0043】
第1乃至第4の把持部材21,22,23,25は、円筒又は円柱形状に限定されず、中空の筒状、又は四角柱等の多角柱形状であってもよい。また、第1乃至第4の把持部材21,22,23,25の外表面の少なくとも一部を蛍光塗料により塗装してもよい。
【0044】
このような構成において、インストラクターが初心者、又は体験入学者等を引率して水中の行動を共にする場合に、この水中案内器具20は用いられる。例えば、第1の把持部材21の長さを100cm程度とした場合には、2名の初心者等が、片手又は両手で第1の把持部材21を把持することになる。一方、インストラクターは、第2乃至第4の把持部材22,23,25のいずれかを把持し、初心者等をエスコートする。
【0045】
前述したように、第1乃至第4の把持部材21,22,23,25を中空状とした場合には、その軽量化が図られる。水中案内器具20をインストラクター等が未使用時に携帯するときは、フック等からなる係合部材26を衣服やベルト等の一部に係合すればよいことになる。
【0046】
以上説明したように、本発明の第3実施形態に係る水中用案内器具では、前述した第1実施形態の効果に加えて、インストラクター用の把持部材を3か所(符号22,23,25)に設けているので、エスコートの態様(並列、縦列)に応じて、把持する箇所を適宜変更できるので、水中での行動の自由度を更に高めることができる。
【0047】
<第4実施形態>
【0048】
図4には本発明の第4実施形態に係る水中案内器具の構成を示し説明する。
【0049】
図4(a)に示されるように、水中案内用器具30は、海や湖等の水中で複数のダイバーが把持し一緒に行動するための器具である。水中案内用器具30は、ダイバーが把持する円筒又は円筒形状の第1の把持部材31及び第2の把持部材32と、第1及び第2の把持部材31,32を、所定間隔をあけて平行な位置関係となるように保持する接続部材33,34,35,36と、第1及び第2の把持部材31,32の両端にそれぞれ設けられた浮き部材37,38とを備えている。
【0050】
より具体的には、第1の把持部材31と第2の把持部材32とが、所定間隔(この例では20cm程度)隔てて平行な位置関係となるように、その長手方向が該第1及び第2の把持部材31,32の長手方向と垂直となるような位置関係で、接続部材33乃至36が第1及び第2の把持部材31,32に接続されている。
【0051】
従って、第1及び第2の把持部材31の一端には、第1及び第2の把持部材31,32の一端から所定の長さとなる一部と接続部材33,35とで囲まれた浮き部材設置部40が形成される。同様に、第1及び第2の把持部材31の他端には、第1及び第2の把持部材31,32の他端から所定の長さとなる一部と接続部材34,36とで囲まれた浮き部材設置部41が形成される。浮き部材37,38は、浮き部材設置部40,41にそれぞれ取り付けられる。
【0052】
図4(b)は、浮き部材37の詳細な構成例を示している。同図に示されるように、海部材37は、空気の吸入口37aと排気バルブ37bとを備えており、吸入口37aから酸素ボンベ等のレギュレータを介して空気を入れると、バルーン状に膨張し、浮力を生み出ることになる。一方、排気するときには、排気バルブ37bより排気する。尚、浮き部材38も同様の構成である。
【0053】
水中案内用器具30は、不図示であるが、把持部材31,32の一端に、使用者の衣服やベルト等の一部に係合可能な係合部材を配設してもよい。
【0054】
また、把持部材31の外表面の少なくとも一部には、滑り止め部材39が設けられている。ここでは不図示であるが、把持部材32にも同種の滑り止め部材を設けてもよいことは勿論である。
【0055】
把持部材31,32は、円筒又は円柱形状に限定されず、中空の筒状、又は四角柱等の多角柱形状であってもよい。また、把持部材31,32の外表面の少なくとも一部を蛍光塗料により塗装してもよい。
【0056】
このような構成において、インストラクターが初心者、又は体験入学者等を引率して水中の行動を共にする場合に、この水中案内器具30は用いられる。例えば、第1の把持部材31の把持部分の長さを100cm程度とした場合には、2名の初心者等が、片手又は両手で第1の把持部材31を把持することになる。一方、インストラクターは、把持部材32を把持し、初心者等をエスコートする。
【0057】
前述したように、把持部材31,32や接続部材33乃至36を中空状とした場合、その軽量化が図られる。水中案内器具30をインストラクター等が未使用時に携帯するときは、フック等からなる係合部材を衣服やベルト等の一部に係合すればよい。
【0058】
そして、水中でのグループでの活動を終え、海上に戻るときには、酸素ボンベの酸素を浮き部材37,38に吸入して、膨張させることで、浮力を生み出し、海上への移動を円滑なものとすることも可能である。
【0059】
以上説明したように、本発明の第4実施形態に係る水中用案内器具では、前述した第1実施形態の効果に加えて、浮き部材を有しているので、海上に戻るときの移動、及び海上で待機状態の維持を、サポートすることができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【0061】
例えば、水中カメラ及びGPS(Global Positioning System)装置の少なくもいずれかを設置する設置部材を更に備えた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…水中用案内器具、2…把持部材、3…係合部材、10…水中用案内器具、11a〜11c…把持部材、12…回動保持部材、12a…本体、12b,12c…軸部材、13…回動保持部材、13a…本体、13b,13c…軸部材、14…係合部材、20…水中用案内器具、21…第1の把持部材、22…第2の把持部材、23…第3の把持部材、24…支持部材、25…第4の把持部材、26…係合部材、27,28…滑り止め部材、30…水中用案内器具、31…把持部材、32…把持部材、33〜36…接続部材、37,38…浮き部材、39…滑り止め部材、40,41…浮き部材設置部。
図1
図2
図3
図4