特許第6202510号(P6202510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6202510血圧情報測定システム、血圧情報測定方法、血圧情報測定プログラム、血圧情報測定装置、サーバ装置、演算方法及び演算プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6202510
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】血圧情報測定システム、血圧情報測定方法、血圧情報測定プログラム、血圧情報測定装置、サーバ装置、演算方法及び演算プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/022 20060101AFI20170914BHJP
   A61B 5/0452 20060101ALI20170914BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61B5/02 634H
   A61B5/04 312A
   A61B5/02 BZDM
【請求項の数】22
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-15597(P2017-15597)
(22)【出願日】2017年1月31日
【審査請求日】2017年5月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516377348
【氏名又は名称】株式会社Arblet
(74)【代理人】
【識別番号】100167667
【弁理士】
【氏名又は名称】安高 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100208395
【弁理士】
【氏名又は名称】北畠 健二
(72)【発明者】
【氏名】清水 滉允
【審査官】 亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/112774(WO,A1)
【文献】 特開2014−108141(JP,A)
【文献】 特開2006−280784(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/050059(WO,A2)
【文献】 特表2005−537080(JP,A)
【文献】 特表2005−532111(JP,A)
【文献】 特開平11−299740(JP,A)
【文献】 国際公開第99/026529(WO,A1)
【文献】 特開平08−140948(JP,A)
【文献】 実開平07−009305(JP,U)
【文献】 特開平04−200439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 − 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の血圧情報の測定を行うシステムであり、
前記被測定者の心電の検出を行う心電検出部と、
前記被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部と、
前記心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出部により検出された脈波のP波から心室収縮期脈波伝搬時間の演算を行い、前記心電波形のT波と前記脈波のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1演算部と、
前記第1演算部で演算された前記心室収縮期脈波伝搬時間と前記心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2演算部と
を有する血圧情報測定システム。
【請求項2】
前記第2演算部は、前記心室収縮期脈波伝搬時間から前記最大血圧に関する情報の演算を行い、前記心室拡張期脈波伝搬時間から前記最小血圧に関する情報の演算を行う請求項1に記載の血圧情報測定システム。
【請求項3】
前記脈波検出部が検出を行う脈波は容積脈波であり、
前記第2演算部は、前記脈波形のD波の強度用いて前記最大血圧に関する情報の演算を行い、前記脈波形のT派の強度を用いて前記最小血圧に関する情報の演算を行う請求項1又は2に記載の血圧情報測定システム。
【請求項4】
前記脈波検出部が検出を行う脈波は容積脈波であり、
前記血圧情報測定システムは、前記脈波の2階微分を行い加速度脈波の演算を行う第3演算部を更に有し、
前記第2演算部は、前記第3演算部で演算された前記加速度脈波のa波とb波の強度比と前記心室収縮期脈波伝搬時間を用いて前記最大血圧に関する情報の演算を行い、前記第3演算部で演算された前記加速度脈波のe波とf波の強度比と前記心室拡張期脈波伝搬時間から前記最小血圧に関する情報の演算を行う請求項1乃至3のいずれか一項に記載の血圧情報測定システム。
【請求項5】
前記心電検出部は、第1電極と第2電極を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載の血圧情報測定システム。
【請求項6】
前記第1電極と前記第2電極は、前記被測定者の手首に装着して使用される請求項5に記載の血圧情報測定システム。
【請求項7】
前記第1電極は、前記第2電極と前記被測定者の手首を介して対向する位置に装着される請求項5又は6に記載の血圧情報測定システム。
【請求項8】
前記第1電極は、前記被測定者の橈骨動脈の心電を検出可能に装着される請求項5乃至7のいずれか一項に記載の血圧情報測定システム。
【請求項9】
前記第1電極は、前記被測定者の尺骨動脈の心電を検出可能に装着される請求項5乃至7のいずれか一項に記載の血圧情報測定システム。
【請求項10】
前記脈波検出部は、前記第2電極の近傍に配置されることを特徴とする請求項5乃至のいずれか一項に記載の血圧情報測定システム。
【請求項11】
前記第1電極は第1ユニットに配置され、前記第2電極と前記脈波検出部は第2ユニットに配置され、前記第1ユニットと前記第2ユニットは互いの位置を可動できるように接続される請求項5乃至1のいずれか一項に記載の血圧情報測定システム。
【請求項12】
前記脈波検出部は、発光部と受光部により構成される光学センサにより構成されている請求項1乃至11のいずれか一項に記載の血圧情報測定システム。
【請求項13】
前記発光部は、中心発光波長域の異なる複数の発光部から構成され、
前記血圧情報測定システムは、前記被測定者の活動状態に応じて前記中心発光波長域の異なる発光部を選択し、切り替える制御部を更に有する請求項1に記載の血圧情報測定システム。
【請求項14】
前記発光部は、第1の発光部と第2の発光部とから構成され、前記受光部は、前記第1の発光部と前記第2の発光部に挟まれる領域に配置される請求項12又は13に記載の血圧情報測定システム。
【請求項15】
前記脈波検出部は、前記被測定者の手首に装着して使用される請求項1乃至1のいずれか一項に記載の血圧情報測定システム。
【請求項16】
被測定者の血圧情報の測定を行う方法であり、
心電検出部により前記被測定者の心電の検出を行う心電検出ステップと、
脈波検出部により前記被測定者の脈波の検出を行う脈波検出ステップと、
第1演算部により前記心電検出ステップにより検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出ステップにより検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間と、
前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1の演算ステップと、
第2演算部により前記第1の演算ステップで演算の行われた前記心室収縮期脈波伝搬時間と前記心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2の演算ステップと
を有する血圧情報測定方法。
【請求項17】
被測定者の血圧情報の測定を行うプログラムであり、
心電検出部により前記被測定者の心電の検出を行う心電検出ステップと、
脈波検出部により前記被測定者の脈波の検出を行う脈波検出ステップと、
第1演算部により前記心電検出ステップにより検出された電位に基づく心電波形のR波
と前記脈波検出ステップにより検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間と、
前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1の演算ステップと、
第2演算部により前記第1の演算ステップで演算の行われた前記心室収縮期脈波伝搬時間と前記心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2の演算ステップと
を電子計算機に実行させるための血圧情報測定プログラム。
【請求項18】
被測定者の血圧情報の測定を行う測定装置であり、
前記被測定者の心電の検出を行う心電検出部と、
前記被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部と、
前記心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出部により検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間の演算を行う、前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1演算部と、
前記第1演算部で演算の行われた前記心室収縮期脈波伝搬時間と前記心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2演算部と
を有する血圧情報測定装置。
【請求項19】
被測定者の心電の検出を行う心電検出部と前記被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能な前記被測定者の血圧情報の演算を行うサーバ装置であり、
前記心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出部により検出された脈波形のP波から演算が行われた心室収縮期脈波伝搬時間と、前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から演算が行われた心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う演算部を有するサーバ装置。
【請求項20】
被測定者の心電の検出を行う心電検出部と前記被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能な前記被測定者の血圧情報の演算を行うサーバ装置であり、
前記心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出部により検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間の演算を行い、前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1演算部と、
前記第1演算部で演算の行われた前記心室収縮期脈波伝搬時間と前記心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2演算部と
を有するサーバ装置。
【請求項21】
被測定者の心電の検出を行う心電検出部と前記被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能なサーバ装置で前記被測定者の血圧情報の演算を行う演算方法であり、
演算部により、前記心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出部により検出された脈波形のP波から演算が行われた心室収縮期脈波伝搬時間と、前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から演算が行われた心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う演算方法。
【請求項22】
被測定者の心電の検出を行う心電検出部と前記被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能な電子計算機で前記被測定者の血圧情報の演算を行う演算プログラムであり、
演算部により、前記心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出部により検出された脈波形のP波から演算が行われた心室収縮期脈波伝搬時間と、前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から演算が行われた心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を前記電子計算機に実行させるための演算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の血圧情報の測定を行うための血圧情報測定システム、血圧情報測定方法、血圧情報測定プログラム、血圧情報測定装置サーバ装置、演算方法及び演算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
血圧を連続的に測定し、その変化から病気の早期発見や病状変化の検出を行うことは健康管理を行う上で有効である。そこで、カフ等により腕等を加圧することなく血圧を連続的に測定するための常時血圧測定装置や方法が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、片腕に装着し、生体表面に接する一つの電極を有する心電波検出手段と生体表面に接する光電センサを有する容積脈波検出手段とを備え、前記心電波検出手段は電極に誘導される心電位を心電波検出手段のグラウンドに対する電位として検出することにより、心電波と容積脈波を測定して容積脈波の伝達時間を求め血圧の最高値、最低値の演算を行う携帯型血圧測定装置が提案されている。
【0004】
また、カフ等を用いない血圧測定方法において、最低血圧は、検出が容易である心電波形のR波と脈波形のP波から算出する心室収縮期脈波伝搬時間に基づいて演算される最大血圧から換算式を用いて演算することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−81285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、病気の早期発見や病状変化の検出精度を高めるには、最高血圧と最低血圧に関するより正確な変化情報が求められることになる。
【0007】
そのため本発明では、被測定者が常時装着し最大血圧と最小血圧に関するより正確な血圧情報を測定可能な血圧情報測定システム、血圧情報測定方法、血圧情報測定プログラム、血圧情報測定装置サーバ装置、演算方法及び演算プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の血圧情報測定システムは、被測定者の血圧情報の測定を行うシステムであり、被測定者の心電の検出を行う心電検出部と、被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部と、心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と脈波検出部により検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間の演算を行い、心電波形のT波と脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1演算部と、記第1演算部で演算された心室収縮期脈波伝搬時間と心室拡張期脈波伝搬時間とから、被測定者の最大血圧に関する情報と被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2演算部とを有する。
【0009】
又、本発明の血圧情報測定方法は、被測定者の血圧情報の測定を行う方法であり、心電検出部により被測定者の心電の検出を行う心電検出ステップと、脈波検出部により被測定者の脈波の検出を行う脈波検出ステップと、第1演算部により心電検出ステップにより検出された電位に基づく心電波形のR波と脈波検出ステップにより検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間と、心電波形のT波と脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1の演算ステップと、第2演算部により第1の演算ステップで演算された心室収縮期脈波伝搬時間と心室拡張期脈波伝搬時間とから、被測定者の最大血圧に関する情報と被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2の演算ステップとを有する。
【0010】
又、本発明の血圧情報測定プログラムは、被測定者の血圧情報の測定を行うプログラムであり、心電検出部により被測定者の心電の検出を行う心電検出ステップと、脈波検出部により被測定者の脈波の検出を行う脈波検出ステップと、第1演算部により心電検出ステップにより検出された電位に基づく心電波形のR波と脈波検出ステップにより検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間と、心電波形のT波と脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1の演算ステップと、第2演算部により第1の演算ステップで演算の行われた心室収縮期脈波伝搬時間と心室拡張期脈波伝搬時間とから、被測定者の最大血圧に関する情報と被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2の演算ステップとを電子計算機に実行させるための血圧情報測定プログラムである。
【0011】
又、本発明の血圧情報測定装置は、被測定者の血圧情報の測定を行う測定装置であり、被測定者の心電の検出を行う心電検出部と、被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部と、心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と脈波検出部により検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間の演算を行い、心電波形のT波と脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1演算部と、第1演算部で演算された心室収縮期脈波伝搬時間と心室拡張期脈波伝搬時間とから、被測定者の最大血圧に関する情報と被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2演算部とを有する。
【0013】
又、本発明のサーバ装置は、被測定者の心電の検出を行う心電検出部と被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能な被測定者の血圧情報の演算を行うサーバ装置であり、心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と脈波検出部により検出された脈波形のP波から演算された心室収縮期脈波伝搬時間と、心電波形のT波と脈波形のD波から演算された心室拡張期脈波伝搬時間とから、被測定者の最大血圧に関する情報と被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う演算部を有する。
【0014】
又、本発明のサーバ装置は、被測定者の心電の検出を行う心電検出部と被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能な被測定者の血圧情報の演算を行うサーバ装置であり、心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と脈波検出部により検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間の演算を行い、心電波形のT波と脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1演算部と、第1演算部で演算された心室収縮期脈波伝搬時間と心室拡張期脈波伝搬時間とから、被測定者の最大血圧に関する情報と被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2演算部とを有する。
【0015】
又、本発明の演算方法は、被測定者の心電の検出を行う心電検出部と被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能なサーバ装置で被測定者の血圧情報の演算を行う演算方法であり、演算部により、心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と脈波検出部により検出された脈波形のP波から演算が行われた心室収縮期脈波伝搬時間と、心電波形のT波と前記脈波形のD波から演算が行われた心室拡張期脈波伝搬時間とから、被測定者の最大血圧に関する情報と被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う演算方法である。
【0016】
又、本発明の演算プログラムは、被測定者の心電の検出を行う心電検出部と被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能な電子計算機で被測定者の血圧情報の演算を行う演算プログラムであり、演算部により、前記心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出部により検出された脈波形のP波から演算が行われた心室収縮期脈波伝搬時間と、前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から演算が行われた心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を電子計算機に実行させるための演算プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
上述の血圧情報測定システム、血圧情報測定方法、血圧情報測定プログラム、血圧情報測定装置、サーバ装置、演算方法及び演算プログラムによれば、被測定者が常時装着し最大血圧と最小血圧に関するより正確な血圧情報を測定可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態に係る被測定者の左腕と血圧情報測定装置及び測定部位の電極等にについて説明するための図である。
図2】第1の実施形態に係る血圧情報測定装置を装着した被測定者の左腕と血圧情報測定装置の図1(A)におけるA−A断面について説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る血圧情報測定システムの構成を示す概略ブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る心電波形及び脈波の例について説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係る血圧情報測定システムの動作について説明するためのフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係る血圧情報測定システムの構成を示す概略ブロック図である。
図7】第2の実施形態に係る血圧情報測定システムの動作について説明するためのフローチャートである。
図8】第3の実施形態に係る被測定者の左腕と血圧情報測定装置及び測定部位の電極等にについて説明するための図である。
図9】第3の実施形態に係る血圧情報測定装置を装着した被測定者の左腕と血圧情報測定装置の図8(A)におけるB−B断面について説明するための図である。
図10】第4の実施形態に係る被測定者の左腕と血圧情報測定装置及び測定部位の電極等にについて説明するための図である。
図11】第4の実施形態に係る血圧情報測定装置を装着した被測定者の左腕と血圧情報測定装置の図10(A)におけるC−C断面について説明するための図である。
図12】第5の実施形態に係る被測定者の左腕と血圧情報測定装置及び測定部位の電極等にについて説明するための図である。
図13】第5の実施形態に係る血圧情報測定装置を装着した被測定者の左腕と血圧情報測定装置の図12(A)におけるD−D断面について説明するための図である。
図14】実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。又、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0020】
(第1の実施形態)
<構成>
図1及び図2を用いて、第1の実施形態における血圧情報測定システム1の被測定者の測定部位である腕と血圧情報測定装置101について説明する。図1(A)は、被測定者の左腕に血圧情報測定装置101を装着した状態である。図1(B)は、被測定者の左腕の橈骨動脈と尺骨動脈を透視して示しており、橈骨動脈と血圧情報測定装置の電極との位置関係を示す図である。図1(C)は、被測定者の腕と、血圧情報測定装置101の電極と光学センサの位置関係を示す図である。図2は、図1(A)におけるA−A断面を示している。
【0021】
図1(A)及び図2で示すように血圧情報測定装置101は、メインユニット102とサブユニット103からなり、メインユニット102とサブユニット103の一端同士は電気配線を内部に配したゴムからなるリンクバンド104により接続されている。又、メインユニット102とサブユニット103の他端同士は血圧情報測定装置101を手首901に固定するためのゴム製のサポートバンド105により接続されている。このような構成によって、リンクバンド104が変形した場合、サポートバンド105のゴム弾性でメインユニット102とサブユニット103を引き寄せることができる。そのため、被測定者は、手首901の太さに拘わらずメインユニット102とサブユニット103を被測定者の手首901に密着させることができる。なお、メインユニット102とサブユニット103は、電気配線により接続せずに無線により通信を行う構成でもよい。又、サポートバンド105は、腕時計のベルトのように2つのバンドとして美錠と孔により手首の径に合わせてもよい。
【0022】
メインユニット102は、第2電極122と光学センサモジュール123と後述する測定装置制御部等を含んで構成される。メインユニット102には、後述する測定装置制御部113等を含む。サブユニット103は、第1電極121が配置される。
【0023】
図1(B)及び図2で示すように、被測定者の腕には橈骨動脈911と尺骨動脈912が通っている。図2で示すように、手首901には、橈骨902と尺骨903が通っており、又、橈骨動脈911は橈骨902と手首表面の皮膚との間に通っており、尺骨動脈912は尺骨903と手首表面の皮膚との間に通っている。橈骨動脈911と尺骨動脈912は上腕において上腕動脈913から枝分かれしている。腱904は橈骨動脈911と尺骨動脈912の間に存在する。腱904は、手首901の動きによって手首表面の皮膚を盛り上がらせるように突出することがある。そのため、血圧情報計測装置101のメインユニット102やサブユニット103は、図2で示すように、腱904の近傍の皮膚に触れないようにすることにより、被測定者の装着感に違和感を与えにくくすることができる。また、サブユニット103が厚みを持つことで、サポートバンド104が腱904近傍の皮膚に触れにくくするという効果もある。
【0024】
図1(B)及び図2で示す第1電極121は、手首901の手の甲側の橈骨動脈の近傍に配置され、橈骨動脈から心電に連動する電位の検出を行う。図1(C)、図2で示す第2電極122は、手首901の手のひら側に配置され、生体基準電位の検出を行う。このような構成により、第2電極122を基準電位として第1電極121で検出する電位を時間経過に伴って測定を行うことにより心電を得ることができ心電波形の測定を行うことができる。又、第2電極122により、測定の基準電位の振れを抑制できるため、後述するT波等の微小変化を伴う心電波形の検出精度を高めることができ、後述する心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIA(Pulse Transit Time_Diastolic)の変化を正確に測定することができる。
【0025】
光学センサモジュール123は、図1(C)及び図2で示すように、発光部124と受光部125を含んで構成されている。発光部124は中心波長660nmの発光LEDであり、受光部125は発光LEDにより構成される発光部124から出射された光を受光可能なフォトダイオードにより構成される。発光部124から手首に照射される光は手首の内部で反射され、受光部125により受光される。受光部125で受光した光の強度の時間変化により、被測定者の心臓の心拍により生ずる血管の容積変化により脈波形の測定を行うことができる。この方式で検出を行うことができる脈波形は光電式容積脈波形である。光学センサモジュール123は、手首901の手のひら側に配置され、第1電極121とは手首901を介して対向する位置に配置される。そのことにより、第1電極121で測定を行う心電波形と光学センサモジュール123で測定を行う光電式容積脈波形の測定部位を離すことができる。それによって、後述する心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS(Pulse Transit Time_Diastolic)及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAを長くすることができ、計測の信頼性を向上させることができる。
【0026】
次に、図3を用いて第1の実施形態における血圧情報測定装置101からの情報により、被測定者の血圧情報の演算を行うサーバ装置401を含む血圧情報測定検出システム1の構成及びその概要について説明する。なお、図3は、本実施形態の血圧情報測定システム1のブロック図である。
【0027】
本実施形態の血圧情報測定システム1は、図3に示すように、血圧情報測定装置101と端末装置201とサーバ装置401により構成されており、端末装置201とサーバ装置401は、例えばインターネットやLAN等のネットワーク301に接続可能に構成されている。
【0028】
血圧情報測定装置101は、心電検出部111、脈波検出部112、測定装置制御部113、測定装置記憶部114、測定装置操作部115及び測定装置通信部116を含んで構成される。
【0029】
心電検出部111は、橈骨動脈の心電の検出を行う第1電極121と生体基準電位の測定を行う第2電極122を含んで構成される。
【0030】
脈波検出部112は、光学センサモジュール123を含んで構成される。光学センサモジュール123は、発光部124と受光部125からなる。
【0031】
測定装置制御部113は、心電測定制御部117と脈波測定制御部118を含んで構成される。心電測定制御部117は、第1電極121と第2電極122からの検出電位の差を検出し、時間情報を付加して心電波形とする。脈波測定制御部118は、脈波検出部112の発光部124の発光制御を行い、又、受光部125からの検出信号の受信を行う。
【0032】
測定装置記憶部114は、心電測定制御部117が受信した心電測定データの記憶を行い、又、脈波測定制御部118が受信した脈波測定データの記憶を行う。心電測定データは、第1電極により検出された心電情報を連続的に配列した心電波形に関する情報であり、心電波形の測定時間情報等が付加されている。脈波測定データは、光学センサモジュール123で検出した脈波を連続的に配列した光電式容積脈波形に関する情報であり、光電式容積脈波形の測定時間情報等が付加されている。心電測定データや脈波測定データは、後述する測定装置通信部116を介して端末装置201に送信が行われるが、省電力化等のために送信頻度を低くする場合や、端末装置201との通信接続が切れている場合などのためにも一時的に記憶を行うことができる。
【0033】
測定装置操作部115は、血圧情報測定装置101の電源の操作や測定開始、終了等の操作を、被測定者等が行うための操作部である。
【0034】
測定装置通信部116は、血圧情報測定装置101と端末装置201等の外部装置との通信を行うための通信インタフェースである。測定装置通信部116は、例えば、心電測定制御部117が受信した心電測定データ及び脈波測定制御部118が受信した脈波測定データや、測定装置記憶部114に記憶された心電測定データや脈波測定データを、端末装置201へ送信したり、端末装置201から血圧情報測定装置101の操作を行うための情報を受信したりする。本実施形態の通信手段としては、Bluetooth(登録商標)を用いている。他の通信手段として、近距離無線通信(Near Field radio Communication=NFC)、Afero(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z−Wave(登録商標)、又は無線LAN等を用いても構わない。又、有線で接続を行っても構わない。
【0035】
端末装置201は、端末装置制御部211、端末装置記憶部212及び端末装置通信部213を含んで構成される。端末装置201は、スマートフォンや携帯電話、PHS、PDA等の情報処理装置である。又、スマートフォンのような汎用装置ではなく、血圧情報測定装置専用の端末装置であっても構わない。
【0036】
端末装置通信部213は、血圧情報測定装置101やサーバ装置401と通信を行うための通信インタフェースである。血圧情報測定装置101から送信が行われる心電測定データや脈波測定データの受信を行い、又、血圧情報測定装置101への設定情報や、心電測定データや脈波測定データの要求信号の送信を行う。また、サーバ装置401への、心電測定データや脈波測定データの送信を行い、又、サーバ装置401からの心電測定データや脈波測定データの要求信号の受信を行う。また、サーバ装置401からの異常通知の受信を行う。本実施形態では、血圧情報測定装置101との通信は前述したBluetooth(登録商標)であるが、他の通信手段であっても構わない。又、サーバ装置401との通信は、無線LANによりインターネット等のネットワーク301を介して行うことができる。
【0037】
端末装置制御部211は、端末装置通信部213が血圧情報測定装置101から受信した心電測定データや脈波測定データを、端末装置記憶部212に記憶制御を行い、又、端末装置記憶部212から心電測定データや脈波測定データをサーバ装置401に送信制御を行う。
【0038】
端末装置記憶部212は、端末装置通信部213が受信を行った心電測定データや脈波測定データの記憶を行う。
【0039】
端末装置表示部213は、サーバ装置401から送信が行われた異常通知の表示を行う。
【0040】
サーバ装置401は、サーバ装置制御部411、サーバ装置通信部412及びサーバ装置記憶部413を含んで構成される。
【0041】
サーバ装置制御部411は、第1演算部である脈波伝搬時間演算部421と第2演算部である血圧情報演算部422を含んで構成される。サーバ装置制御部411(第3演算部)は、光電式容積脈波形データから2階微分データの演算を行う。脈波伝搬時間演算部421は、後述する心電測定データ中の波形プロファイルからR波とT波を検出し、又、光電式容積脈波形データ中の波形プロファイルからP波とD波を検出し、それらの情報に基づいて、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの演算を行う。又、血圧情報演算部422はサーバ装置制御部411で演算される後述する2階微分データの基づく加速度脈波特性情報と、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAから、血圧情報の演算を行う。さらに、サーバ装置制御部411は、血圧情報に基づいて被測定者の健康状態の判別を行い、端末装置201に対して異常通知を行う。脈波伝搬時間演算部421は、R波とT波を検出に当たって、光電式容積脈波形データの1階微分データや、2階微分データを用いてもよい。
【0042】
サーバ装置通信部412は、インターネット等のネットワーク301を介して端末装置201との通信を行うための通信インタフェースである。端末装置201から送信が行われる心電測定データや脈波測定データの受信を行い、又、端末装置201に対して心電測定データや脈波測定データの要求信号の送信を行う。また、端末装置201に対しての異常通知の送信を行う。
【0043】
サーバ装置記憶部413は、サーバ装置通信部412が受信を行った心電測定データや脈波測定データの記憶を行う。また、血圧情報演算部422が演算を行った血圧情報の記憶を行う。
【0044】
<心電波形、光電式容積脈波形、速度脈波形、加速度脈波形、血圧情報演算方法>
図4は、血圧情報測定装置101が測定した非測定者の心電波形及び光電式容積脈波形と、サーバ装置401が演算を行った速度脈波形及び加速度脈波形を示している。図4の上から順に、心電波形、光電式容積脈波形、速度脈波形及び加速度脈波形となる。縦軸は、各波形の強度を示しており、心電波形及び光電式容積脈波形は電位を示すmVで表される。横軸は時間経過を示し、左から右へ時間経過を示している。
【0045】
心電波形は、人の心臓の拍動を引き起こす電気的信号の周期的変化を示す波形である。心電波形は、その形状の変曲点にそれぞれP波,Q波,R波,S波,T波の名称が割り当てられ、心拍の1サイクルを示している。P波は心房収縮を表し、Q波R波S波は心室収縮の状態を表し、T波は心室拡張の開始を表す。
【0046】
光電式容積脈波形は、人の心臓の拍動に伴う末梢血管系内の血圧・体積の変化を示す波形である。光電式容積脈波形は、その形状の変曲点にそれぞれA波、P波、V波、D波の名称が割り当てられ、心拍の1サイクルを示している。A波を動脈脈波が生じた時点の基準点として、P波が左心室駆出によって生じるPercussion波(衝撃波)、V波が大動脈弁の閉鎖時に生じるValley波(重複隆起による波)、D波が反射振動波であるDicrotic波(重複波)を示している。
【0047】
速度脈波形は、光電式容積脈波形を時間で1階微分をしたものである。加速度脈波形は、速度脈波形を時間で1階微分したもの、すなわち光電式容積脈波形を2階微分したものである。加速度脈波形は、図4で示すように、その波形の各ピークにa波(収縮初期陽性波)、b波(収縮初期陰性波)、c波(収縮中期再上昇波)、d波(収縮後期再下降波)、e波(拡張初期陽性波)、f波(拡張初期陰性波)の名称が割り当てられている。b波の強度とa波の強度の比、及びf波の強度とe波の強度の比はそれぞれ血管の伸縮性すなわち弾性を示すパラメータである。主な血管の成分は、血管内皮(Endothelium)、弾性線維(Elastin)、タンパク質(Collagen)、平滑筋(Smooth Muscle)である。これら成分それぞれ異なった性質があり、最大血圧、最小血圧時の血管の弾性はそれぞれCollagen、Elastinが強い影響力を担っている。そのため、血圧値によって異なる弾性をb波の強度とa波の強度の比である(b/a),f波の強度とe波の強度の比である(f/e)のパラメータで示すことができ、年齢・性別・環境変数(気温など)の影響によってもこれらの値は変動する。そのため、(b/a),(f/e)の値は、加速度脈波形の特性情報として算出することができる。
【0048】
図4で示すようにR波の生じた時間TrとP波の生じた時間Tpの差分の時間が心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSとなる。T波の生じた時間TtとD波の生じた時間Tdの差分の時間が心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAとなる。すなわち、心電波形のR波の時間Tr及びT波の時間Ttと、光電式容積脈波形のT波の時間TpとD波の時間Tdから、(1)式及び(2)式で示すように、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAを算出することができる。
【0049】
PTT_SYS=Tp−Tr ・・・(1)
【0050】
PTT_DIA=Td−Tt ・・・(2)
【0051】
心電波形を測定する第1電極121と、光電式容積脈波形の測定する光学センサモジュール123を、手首901を介して対向させ、配置距離を離すことにより、心電波形の検出部位と光電式容積脈波形の測定部位を離すことになる。そのため、それぞれの特徴波形が生じるタイムラグを生じさせることにより、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの絶対的な算出時間を長くとることができる。そのため、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの変化情報を得る場合に、変化情報の精度を高めることができる。
【0052】
ここで、血圧の算出式について説明する。
【0053】
以下に示す(3)式の脈波伝搬速度の式(Moens―Korteweg の式)より、脈波伝播速度と動脈壁の縦弾性係数との関係が示されている。
【0054】
L/T_PTT=√(E・h/(2・r・ρ)) ・・・(3)
【0055】
(3)式の各パラメータは、L:測定間距離、T_PTT:脈波伝搬時間、r:血管内径、E:血管の縦弾性係数、h:血管の厚さ、ρ:血液密度である。
【0056】
縦弾性係数と血圧値は相関関係にあることが知られており、
【0057】
E=E・exp(α・P) ・・・(4)
【0058】
で示すことができる。ここで、P:血圧値、α:定数、E:初期値である。
【0059】
(3)式と(4)式より
【0060】
P=(−2・ln(T_PTT)+ln(2・r・ρ・L/(E・h)))/α ・・・(5)
【0061】
を導き出すことができる。lnは自然対数を示している。このとき、”r・ρ”は測定部位の血液量に比例するため、光電式容積脈波形で示される高値(Vp、Vd)で示すことができる。又、”E・h”は血管の弾性に比例する値であるため、弾性を示すパラメータである(b/a)と(f/e)を用いて置き換えることができる。
【0062】
よって、最高血圧BP_SYS(Blood Pressure_Systolic)及び最低血圧BP_DIA(Blood Pressure_Diastolic)は、以下で示す(6)式及び(7)式で示すことができる。
【0063】
BP_SYS=A1・ln(PTT_SYS)+A2・ln(Vp)+A3・ln(b/a)+A4 ・・・(6)
【0064】
BP_DIA=A5・ln(PTT_DIA)+A6・ln(Vd)+A7・ln(f/e)+A8 ・・・(7)
【0065】
A1からA8は条件により定まる定数である。(6)式で算出することができる最高血圧BP_SYSは、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSの自然対数に定数A1を掛けたものと、P波の強度Vpの自然対数に定数A2を掛けたものと、(b/a)の自然対数に定数A3を掛けたものと、定数A4の和で求めることができる。(7)式で算出することができる最低血圧BP_SYSは、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_DIAの自然対数に定数A5を掛けたものと、D波の強度Vdの自然対数に定数A6を掛けたものと、(f/e)の自然対数に定数A7を掛けたものと、定数A8の和で求めることができる。装置の特性や、測定対象者等により各定数を求めることにより、最高血圧BP_SYSと最低血圧BP_DIAを求めることが可能である。しかし、最高血圧BP_SYSと最低血圧BP_DIAの変化状態を確認する場合には、すべての定数を確定する必要はなく、暫定の数値で代用しながら、最高血圧BP_SYSに関する情報と最低血圧BP_DIAに関する情報としての値を得ることが可能である。P波の強度Vpの自然対数及びD波の強度Vdの自然対数は、血液密度の影響を考慮した項である。また、(b/a)の自然対数及び(f/e)の自然対数は、動脈壁の縦弾性係数の影響を考慮した項である。そのため、測定条件によっては、いずれかの項を選択し他の項を定数化することで最高血圧BP_SYSに関する情報と最低血圧BP_DIAに関する情報の演算を行ってもよい。
【0066】
<処理の流れ>
次に、本発明の第1の実施形態に係るにおける血圧情報計測システム1の動作について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。図5のフローチャートは、血圧情報計測装置101と端末装置201と、サーバ装置401の各動作の関連状態を示している。
【0067】
ステップS101において、血圧情報計測装置101は、ステップS122までの間、被測定者が測定を開始し、終了操作を行うまでループを行う。
【0068】
ステップS102において、心電測定制御部117は、第1電極121と第2電極122から心電の検出を行う。尚、ステップS102とステップS104及びステップS103とステップS105は並列処理により同時並行で処理される。
【0069】
ステップS103において、心電測定制御部117は、ステップS102で検出した心電の時間変化から心電波形の生成を行う。
【0070】
ステップS104において、脈波測定制御部118は、光学センサモジュール123を制御し、脈波の検出を行う。具体的には、発光部124の発光LEDを発光させ手首901へ照射する。受光部125は、手首901から反射した光を受光する。受光部125は、受光した光を受光部125のフォトダイオードで電気信号に変換し、脈波情報として脈波測定制御部118への送信を行う。
【0071】
ステップS105において、脈波測定制御部118は、ステップS104で検出した脈波に基づく脈波情報の時間変化から光電式容積脈波形の生成を行う。
【0072】
ステップS106において、測定装置制御部113は、ステップS103で生成した心電波形と、ステップS105で生成した光電式容積脈波形に、各々検出した時間を測定時間として付加して、心電測定データ及び脈波測定データ(図5において「心電波形、脈波形」と表示)として測定装置記憶部114への記憶を行う。
【0073】
ステップS107において、測定装置制御部113は、測定装置データ送信トリガの有無の判別を行う。測定装置データ送信トリガが「有」すなわち「Y」の時はステップS107へ進み、「無」すなわち「N」の時はステップS122へ進む。測定装置データ送信トリガは、血圧情報測定装置101内の内部パラメータであり、血圧情報測定装置101から端末装置201へ、心電測定データ及び脈波測定データを常時送信する場合には、当該パラメータは常時「有」すなわち「1」と設定される。血圧情報測定装置101から端末装置201へ、心電測定データ及び脈波測定データを定期的に送信する場合には、内部のカウンタによって、設定したタイミングによって測定装置データ通信トリガが「1」となるように設定する。また、端末装置201からの要求により、測定装置データ通信トリガを「1」としてもよい。
【0074】
ステップS108において、測定装置制御部113は、測定装置記憶部114に記憶が行われている心電測定データ及び脈波測定データを端末装置201へ送信を行う。
【0075】
ステップS109において、端末装置制御部211は、端末装置通信部213が受信した心電測定データ及び脈波測定データを端末装置記憶部212に記憶を行う。
【0076】
ステップS110において、測定装置制御部211は、端末装置データ送信トリガの有無の判別を行う。端末装置データ送信トリガが「有」すなわち「Y」の時はステップS111へ進み、「無」すなわち「N」の時はステップS121へ進む。端末装置データ送信トリガは、端末装置201内の内部パラメータであり、端末装置201からサーバ装置401へ、心電測定データ及び脈波測定データを常時送信する場合には、当該パラメータは常時「有」すなわち「1」と設定される。端末装置201からサーバ装置401へ、心電測定データ及び脈波測定データを定期的に送信する場合には、内部のカウンタによって、設定したタイミングによって端末装置データ通信トリガが「1」となるように設定する。また、サーバ装置401からの要求により、端末装置データ通信トリガを「1」としてもよい。
【0077】
ステップS111において、端末装置制御部211は、端末装置記憶部212に記憶が行われている心電測定データ及び脈波測定データをサーバ装置401へ送信を行う。
【0078】
ステップS112において、サーバ装置制御部411は、サーバ装置通信部412が受信した心電測定データ及び脈波測定データをサーバ装置記憶部413に記憶を行う。
【0079】
ステップS113において、サーバ装置制御部411は、サーバ装置記憶部413で記憶がされている心電測定データ及び脈波測定データから脈波伝搬時間の演算を行う。具体的な動作手順を以下に説明する。脈波伝搬時間演算部421は、計測タイミングの近い心電測定データ中の波形プロファイルと脈波測定データ中の波形プロファイルを抽出する。次に、脈波伝搬時間演算部421は、心電測定データ中の波形プロファイルからR波とT波を検出し、検出したR波とT波の生じた時間情報をTr、Ttとして記憶を行う。同様に、脈波伝搬時間演算部421は、光電式容積脈波形データ中の波形プロファイルから、P波とD波を検出し、検出したP波とD波の生じた時間情報をTp、Tdとして記憶を行う。また、同時にP波の強度VpとD波の強度Vdを検出し、記憶を行う。脈波伝搬時間演算部421は、図4で示すようにR波の生じた時間情報TrとP波の生じた時間情報Tpの差分の演算を行い心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSの演算を行う。又、同様に、T波の生じた時間情報TtとD波の生じた時間情報Tdの差分の演算を行い心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの演算を行う。
【0080】
ステップS114において、サーバ装置制御部411は、サーバ装置記憶部413に記憶がされている光電式容積脈波形データから2階微分データの演算を行う。具体的には、図4で示すように、光電式容積脈波形データの1階微分を行い、1階微分を行ったデータをさらに微分し2階微分データを得る。脈波を2階微分した波形は加速度脈波形と呼ばれる。
【0081】
ステップS115において、サーバ装置制御部411は、ステップS114で得られた2階微分データから、加速度脈波形の特性情報の演算を行う。加速度脈波形の特性情報は、前述した加速度脈波形のピークを示すa波、b波、e波、f波の強度から演算を行うことにより求める。
【0082】
ステップS116において、サーバ装置制御部411は、ステップS113で得られた心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIA及びステップS115で得られた加速度脈波形の特性情報から血圧情報の演算を行う。心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSと加速度脈波の特性情報から最大血圧に関する血圧情報の演算を行い、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAと加速度脈波形の特性情報から最小血圧に関する血圧情報の演算を行う。演算は、前述した(6)式及び(7)式を用いて行う。
【0083】
ステップS117において、サーバ装置制御部411は、ステップS116で演算を行った血圧情報を、サーバ装置記憶部413へ記憶を行う。
【0084】
ステップS118において、サーバ装置制御部411は、サーバ装置記憶部413へ記憶がされた血圧情報の変化状態を解析する。変化状態が被測定者の健康状態の悪化と判別した場合は、判定フラグを異常として「有」とする。判定フラグはサーバ装置401の内部パラメータである。
【0085】
ステップS119において、サーバ装置制御部411は、判定フラグをが「有」かどうかを判別する。「有」の場合にはステップS120へ進み、「無」の場合はフローを終了する。
【0086】
ステップS120において、サーバ装置制御部411は、サーバ装置通信部412を介して、端末装置201へ、異常通知を行う。
【0087】
ステップS121において、端末装置制御部211は、端末装置通信部213が受信した異常通知に基づき、端末装置表示部214に健康状態の異常があることを通知するための表示を行う制御を行う。そのことにより、端末装置201は、被測定者に健康状態の異常を通知することができる。
【0088】
ステップS122において、血圧情報測定装置101は、血圧情報測定装置101の電源がオフにされるか、測定装置制御部113から、測定の終了操作がされるまでステップS101との間でループを行う。
【0089】
<効果の説明>
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る血圧情報計測システム1は、心電波形のR波及びT波、光電式容積脈波形のP波及びD波を用いることで、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSと心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの変化を計測することができる。そのため、血圧情報計測システム1は、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSと加速度脈波の特性情報から最大血圧に関する血圧情報の演算を行い、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAと加速度脈波の特性情報から最小血圧に関する血圧情報の演算を行うことで、血圧情報に関する正確な変化の検出を行うことができる。
【0090】
また、血圧情報計測システム1は、血圧情報の変化を正確に検出することで、健康状態の悪化の早期の発見を可能とし、被測定者の健康状態を適切に管理することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態において、他の血圧測定手段を用いて測定した血圧と、血圧情報計測システム1で計測した最大血圧に関する血圧情報と、最小血圧に関する血圧情報の対応取を行うことで、血圧の絶対値として、血圧情報を出力することも可能である。
【0092】
また、本実施形態において、血圧情報測定装置101と端末装置201を一体に構成し、血圧情報測定装置101とサーバ装置401の間で通信を行う構成でもよい。
【0093】
また、端末装置表示部214は、サーバ装置401で演算された血圧情報や脈波情報の表示を行っても良い。
【0094】
また、血圧情報測定装置101は、第1電極121に隣接して第3電極を追加し、第1電極と第3電極を橈骨動脈911から等距離に配置して検出を行う構成でもよい。その場合、第1電極121と第3電極からの検出値に対して加算増幅回路を使用することでランダムノイズを除去し、心電波形の測定精度を高めることもできる。また、第3電極に加えて電極を更に追加して効果を高めてもよい。
【0095】
(第2の実施形態)
<構成>
図6を用いて第2の実施形態における血圧情報測定検出システム2の構成及びその概要について説明する。なお、図6は、本実施形態の血圧情報測定システム2を構成する、血圧情報測定装置106のブロック図である。また、被測定者の腕への装着状態や血圧情報測定装置106と腕との関係、さらに、心電波形、光電式容積脈波形等については第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0096】
血圧情報測定装置106は、心電検出部111、脈波検出部112、測定装置制御部113、測定装置記憶部114、測定装置操作部115、測定装置通信部116及び測定装置表示部119を含んで構成される。
【0097】
心電検出部111は、橈骨動脈の心電の検出を行う第1電極121と生体基準電位の測定を行う第2電極122を含んで構成される。
【0098】
脈波検出部112は、光学センサモジュール123を含んで構成される。光学センサモジュールは、発光部124と受光部125からなる。
【0099】
測定装置制御部113は、心電測定制御部117、脈波測定制御部118、第1演算部である脈波伝搬時間演算部131及び第2演算部である血圧情報演算部を含んで構成される。心電測定制御部117は、第1電極121と第2電極122からの検出電位の差を検出し、時間情報を付加して心電波形とする。脈波測定制御部118は、脈波検出部112の発光部124の発光制御を行い、又、受光部125からの検出信号の受信を行う。又、測定装置制御部113は、光電式容積脈波形データから2階微分データの演算を行う。脈波伝搬時間演算部131は、心電測定データ中の波形プロファイルからR波とT波を検出し、又、光電式容積脈波形データ中の波形プロファイルからP波とD波を検出し、それらの情報に基づいて、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの演算を行う。又、血圧情報演算部132は測定装置制御部113で演算される脈波データの2階微分データの基づく加速度脈波特性情報と、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAから、血圧情報の演算を行う。さらに、測定装置制御部113は、血圧情報に基づいて被測定者の健康状態の判別を行い、測定装置表示部119に対して異常通知を行う。脈波伝搬時間演算部131は、R波とT波を検出に当たって、光電式容積脈波形データの1階微分データや、2階微分データを用いてもよい。
【0100】
測定装置記憶部114は、心電測定制御部117が受信した心電測定データの記憶を行い、又、脈波測定制御部118が受信した脈波測定データの記憶を行う。また、測定装置制御部113が演算を行った血圧情報の記憶を行う。心電測定データは、第1電極121により検出された心電情報を連続的に配列した心電波形に関する情報であり、心電波形の測定時間情報等が付加されている。脈波測定データは、光学センサモジュール123で検出した脈波を連続的に配列した光電式容積脈波形に関する情報であり、光電式容積脈波形の測定時間情報等が付加されている。
【0101】
測定装置操作部115は、血圧情報測定装置106の電源の操作や測定開始、終了等の操作を、被測定者等が行うための操作部である。
【0102】
測定装置通信部116は、血圧情報測定装置106と外部装置との通信を行うための通信インタフェースである。測定装置通信部116は、心電測定データ、脈波測定データ、血圧情報の送信を行うことができる。
【0103】
<処理の流れ>
次に、本発明の第2の実施形態における血圧情報計測システム2の動作について、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。図7のフローチャートは、血圧情報計測装置106を示している。
【0104】
ステップS201において、血圧情報計測装置106は、ステップS215までの間、被測定者が測定を開始し、終了操作を行うまでループを行う。
【0105】
ステップS202において、心電測定制御部117は、第1電極121と第2電極122から心電の検出を行う。尚、ステップS202とステップS204及びステップS203とステップS205は並列処理により同時並行で処理される。
【0106】
ステップS203において、心電測定制御部117は、ステップS202で検出した心電の時間変化から心電波形の生成を行う。
【0107】
ステップS204において、脈波測定制御部118は、光学センサモジュール123を制御し、脈波の検出を行う。具体的には、発光部124の発光LEDを発光させ手首901へ照射する。受光部125は、手首901から反射した光を受光する。受光部125は、受光した光を受光部125のフォトダイオードで電気信号に変換し、脈波情報として脈波測定制御部118への送信を行う。
【0108】
ステップS205において、脈波測定制御部118は、ステップS204で検出した脈波の元づく脈波情報の時間変化から光電式容積脈波形の生成を行う。
【0109】
ステップS206において、測定装置制御部113は、ステップS203で生成した心電波形と、ステップS205で生成した光電式容積脈波形に、各々検出した時間を測定時間として付加して、心電測定データ及び脈波測定データ(図7において「心電波形、脈波形」と表示)として測定装置記憶部114への記憶を行う。
【0110】
ステップS207において、測定装置制御部113は、測定装置記憶部114で記憶がされている心電測定データ及び脈波測定データから脈波伝搬時間の演算を行う。具体的な動作手順を以下に説明する。脈波伝搬時間演算部131は、計測タイミングの近い心電測定データ中の波形プロファイルと脈波測定データ中の波形プロファイルを抽出する。次に、脈波伝搬時間演算部131は、心電測定データ中の波形プロファイルからR波とT波を検出し、検出したR波とT波の生じた時間情報をTr、Ttとして記憶を行う。同様に、脈波伝搬時間演算部131は、光電式容積脈波形データ中の波形プロファイルから、P波とD波を検出し、検出したP波とD波の生じた時間情報をTp、Tdとして記憶を行う。また、同時にP波の強度VpとD波の強度Vdを検出し、記憶を行う。脈波伝搬時間演算部131は、R波の生じた時間情報TrとP波の生じた時間情報Tpの差分の演算を行い心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSの演算を行う。又、同様に、T波の生じた時間情報TtとD波の生じた時間情報Tdの差分の演算を行い心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの演算を行う。
【0111】
ステップS208において、測定装置制御部113は、測定装置記憶部114に記憶がされている光電式容積脈波形データから2階微分データの演算を行う。具体的には、光電式容積脈波形データの1階微分を行い、1階微分を行ったデータをさらに微分し2階微分データを得る。脈波を2階微分した波形は加速度脈波形と呼ばれる。
【0112】
ステップS209において、測定装置制御部113は、ステップS208で得られた2階微分データから、加速度脈波形の特性情報の演算を行う。加速度脈波形の特性情報は、加速度脈波波形のピークを示すa波、b波、e波、f波の強度から演算を行うことにより求める。
【0113】
ステップS210において、測定装置制御部113は、ステップS207で得られた心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIA及びステップS209で得られた加速度脈波形の特性情報から血圧情報の演算を行う。心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSと加速度脈波形の特性情報から最大血圧に関する血圧情報の演算を行い、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAと加速度脈波形の特性情報から最小血圧に関する血圧情報の演算を行う。演算は、第1の実施形態で示した(6)式及び(7)式を用いて行う。
【0114】
ステップS211において、測定装置制御部113は、ステップS210で演算を行った血圧情報を、測定装置記憶部114へ記憶を行う。
【0115】
ステップS212において、測定装置制御部113は、測定装置記憶部114へ記憶がされた血圧情報の変化状態を解析する。変化状態が被測定者の健康状態の悪化と判別した場合は、判定フラグを異常として「有」とする。判定フラグは血圧情報測定装置106の内部パラメータである。
【0116】
ステップS213において、測定装置制御部113は、判定フラグが「有」かどうかを判別する。「有」の場合にはステップS214へ進み、「無」の場合はステップS215へ進む。
【0117】
ステップS214において、測定装置制御部113は、測定装置表示部119に健康状態の異常があることを通知するための表示を行う制御を行う。そのことにより、血圧情報測定装置106は、被測定者に健康状態の異常を通知することができる。
【0118】
ステップS215において、血圧情報測定装置106は、血圧情報測定装置106の電源がオフにされるか、測定装置操作部115から、測定の終了操作がされるまでステップS201との間でループを行う。
【0119】
<効果の説明>
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る血圧情報計測システム2は、腕に装着する血圧情報測定装置106単体のみで、心電波形のR波及びT波、光電式容積脈波形のP波及びD波を用いることで、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSと心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの変化を計測することができる。そのため、血圧情報計測システム2は、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYSと加速度脈波形の特性情報から最大血圧に関する血圧情報の演算を行い、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAと加速度脈波形の特性情報から最小血圧に関する血圧情報の演算を行うことで、血圧情報に関する正確な変化の検出を行うことができる。
【0120】
また、血圧情報計測システム2は、血圧情報の変化を正確に検出することで、健康状態の悪化の早期の発見を可能とし、被測定者の健康状態を適切に管理することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態において、他の血圧測定手段を用いて測定した血圧と、血圧情報計測システム1で計測した最大血圧に関する血圧情報と、最小血圧に関する血圧情報の対応取りを行うことで、血圧の絶対値として、血圧情報を出力することも可能である。
【0122】
また、測定装置表示部119は、血圧情報や脈波情報の表示を行っても良い。
【0123】
(第3の実施形態)
<構成>
本発明の第3の実施形態に係る血圧情報測定システム3の被測定者の測定部位である腕と血圧情報測定装置107について説明する。図8(A)は、被測定者の左腕に血圧情報測定装置を装着した状態である。図8(B)は、被測定者の左腕の橈骨動脈と尺骨動脈を透視して示しており、橈骨動脈と血圧情報測定装置の電極との位置関係を示す図である。図8(C)は、被測定者の腕と、血圧情報測定装置107の電極と光学センサモジュール126の位置関係を示す図である。図9は、図8(A)におけるB−B断面を示している。第1の実施形態に係る血圧情報測定システム1との明確な違いは、発光部124が124a、124bの2つとなり、受光部125を挟むように配置されている点である。
【0124】
図8(A)及び図9で示すように血圧情報測定装置107は、メインユニット102とサブユニット103からなり、メインユニット102とサブユニット103の一端同士は電気配線を内部に配したゴムからなるリンクバンド104により接続されている。又、メインユニット102とサブユニット103の他端同士は血圧情報測定装置101を手首901に固定するためのゴム製のサポートバンド105により接続されている。このような構成によって、リンクバンド104が変形し、又サポートバンド105のゴム弾性でメインユニット102とサブユニット103を引き寄せることができる。そのため、被測定者は、手首901の太さに拘わらずメインユニット102とサブユニット103を被測定者の手首901に密着させることができる。なお、メインユニット102とサブユニット103は、電気配線により接続せずに無線により通信を行う構成でもよい。又、サポートバンド105は、腕時計のベルトのように2つのバンドとして美錠と孔により手首の径に合わせてもよい。
【0125】
メインユニット102は、第2電極122と光学センサモジュール126と測定装置制御部113等を含んで構成される。メインユニット102には、後述する測定装置制御部113等を含む。サブユニット103は、第1電極121が配置される。
【0126】
図8(B)及び図9で示すように、被測定者の腕には橈骨動脈911と尺骨動脈912が通っている。図9で示すように、手首901には、橈骨902と尺骨903が通っており、又、橈骨動脈911は橈骨902と手首表面の皮膚との間に通っており、尺骨動脈912は尺骨903と手首表面の皮膚との間に通っている。橈骨動脈911と尺骨動脈912は上腕において上腕動脈913から枝分かれしている。腱904は橈骨動脈911と尺骨動脈912の間に存在する。腱904は、手首901の動きによって手首表面の皮膚を盛り上がらせるように突出することがある。そのため、血圧情報計測装置109のメインユニット102やサブユニット103は、図9で示すように、腱904の近傍の皮膚に触れないようにすることにより、被測定者の装着感に違和感を与えにくくすることができる。
【0127】
図8(B)及び図9で示す第1電極121は、手首901の手の甲側の尺骨動脈の近傍に配置され、尺骨動脈から心電に連動する電位の検出を行う。尺骨動脈912は橈骨動脈911と上腕動脈913から枝分かれしており、手首付近では、枝分かれ部からの距離もほぼ等しいため、尺骨動脈においても心電波形を取得することができる。図8(C)、図9で示す第2電極122は、手首901の手のひら側に配置され、生体基準電位の検出を行う。このような構成により、第2電極122を基準電位として第1電極121で検出する電位を時間経過に伴って測定を行うことにより心電を得ることができ心電波形の測定を行うことができる。第2電極122により、測定の基準電位の振れを抑制できるため、T波等の微小変化を伴う心電波形の検出精度を高めることができ、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの変化を正確に測定することができる。
【0128】
光学センサモジュール126は、図8(C)及び図9で示すように、発光部124a、124bと受光部125を含んで構成されている。発光部124a、124bは中心波長660nmの発光LEDであり、受光部125は発光LEDにより構成される発光部124a、124bから出射された光を受光可能なフォトダイオードにより構成される。発光部124a、125bから手首に照射される光は手首の内部で反射され、受光部125により受光される。受光部125で受光した光の強度の時間変化により、被測定者の心臓の心拍により生ずる脈波の検出を行うことができ、光電式容積脈波形の測定を行うことができる。尚、発光部124a、124bは受光部125を挟むように配置されるため、光学センサモジュール126と腕が平行に接触しないような場合においても、いずれかの発光部124a又は発光部124bからの光が受光部125に到達しやすくなり、検出精度を向上させることができる。光学センサモジュール126は、手首901の手のひら側に配置され、第1電極121とは手首901を介して対向する位置に配置される。そのことにより、第1電極121で測定を行う心電波形と光学センサモジュール126で測定を行う光電式容積脈波形の測定部位を離すことができる。それによって、心室収縮期脈波伝搬時間PTT_SYS及び心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAを長くすることができ、計測の信頼性を向上させることができる。
【0129】
<効果の説明>
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る血圧情報測定システム3は、光学センサモジュール126において、発光部124a及び124bが受光部125を挟むように配置されているため、脈波の検出精度を向上させることができ、P波に比較して強度の弱いD波の測定精度を高めることができる。そのため、血圧情報測定システム3は、D波を用いた心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAを正確に算出することが可能となり、ひいては、最小血圧に関する情報の正確性を高めることが可能となる。
【0130】
(第4の実施形態)
<構成>
本発明の第4の実施形態に係る血圧情報測定システム4の被測定者の測定部位である腕と血圧情報測定装置108について説明する。図10(A)は、被測定者の左腕に血圧情報測定装置を装着した状態である。図10(B)は、被測定者の左腕の橈骨動脈と尺骨動脈を透視して示しており、橈骨動脈と血圧情報測定装置の電極との位置関係を示す図である。図10(C)は、被測定者の腕と、血圧情報測定装置107の電極と光学センサモジュール127の位置関係を示す図である。図11は、図10(A)におけるC−C断面を示している。第3の実施形態に係る血圧情報測定システム3との明確な違いは、発光部124が124a、124bの2つの緑色発光LEDと、青色発光LEDからなる発光部128a及び128bが追加され、受光部125を挟むように配置されている点である。
【0131】
図10(A)及び図11で示すように血圧情報測定装置108は、メインユニット102とサブユニット103からなり、メインユニット102とサブユニット103の一端同士は電気配線を内部に配したゴムからなるリンクバンド104により接続されている。又、メインユニット102とサブユニット103の他端同士は血圧情報測定装置108を手首901に固定するためのゴム製のサポートバンド105により接続されている。このような構成によって、リンクバンド104が変形し、又サポートバンド105のゴム弾性でメインユニット102とサブユニット103を引き寄せることができる。そのため、被測定者は、手首901の太さに拘わらずメインユニット102とサブユニット103を被測定者の手首901に密着させることができる。なお、メインユニット102とサブユニット103は、電気配線により接続せずに無線により通信を行う構成でもよい。又、サポートバンド105は、腕時計のベルトのように2つのバンドとして美錠と孔により手首の径に合わせてもよい。
【0132】
メインユニット102は、第2電極122と光学センサモジュール127と測定装置制御部113等を含んで構成される。メインユニット102には、後述する測定装置制御部113等を含む。サブユニット103は、第1電極121が配置される。
【0133】
図10(B)及び図11で示すように、被測定者の腕には橈骨動脈911と尺骨動脈912が通っている。図11で示すように、手首901には、橈骨902と尺骨903が通っており、又、橈骨動脈911は橈骨902と手首表面の皮膚との間に通っており、尺骨動脈912は尺骨903と手首表面の皮膚との間に通っている。橈骨動脈911と尺骨動脈912は上腕において上腕動脈913から枝分かれしている。腱904は橈骨動脈911と尺骨動脈912の間に存在する。腱904は、手首901の動きによって手首表面の皮膚を盛り上がらせるように突出することがある。そのため、血圧情報計測装置109のメインユニット102やサブユニット103は、図11で示すように、腱904の近傍の皮膚に触れないようにすることにより、被測定者の装着感に違和感を与えにくくすることができる。
【0134】
図10(B)及び図11で示す第1電極121は、手首901の手の甲側の尺骨動脈の近傍に配置され、尺骨動脈から心電に連動する電位の検出を行う。尺骨動脈912は橈骨動脈911と上腕動脈913から枝分かれしており、手首付近では、枝分かれ部からの距離もほぼ等しいため、尺骨動脈においても心電波形を取得することができる。図10(C)、図11で示す第2電極122は、手首901の手のひら側に配置され、生体基準電位の検出を行う。このような構成により、第2電極122を基準電位として第1電極121で検出する電位を時間経過に伴って測定を行うことにより心電を得ることができ心電波形の測定を行うことができる。第2電極122により、測定の基準電位の振れを抑制できるため、T波等の微小変化を伴う心電波形の検出精度を高めることができ、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの変化を正確に測定することができる。
【0135】
光学センサモジュール127は、図10(C)及び図11で示すように、発光部124a、124b、受光部129、発光部128a、128bを含んで構成されている。発光部124a及び124bは中心波長520nmの緑色発光LEDであり、発光部128a、128bは中心波長470nmの青色発光LEDである。又、受光部129は、緑色発光LEDにより構成される発光部124a、124b及び青色発光LEDにより構成される発光部128a、128bから出射された光を受光可能なフォトダイオードにより構成される。発光部124a、124bから手首に照射される緑色光、または発光部128a、128bから手首に照射される青色光は手首の内部で反射され、受光部129により受光される。受光部129で受光した光の強度の時間変化により、被測定者の心臓の心拍により生ずる脈波の検出を行うことができ、光電式容積脈波形の測定を行うことができる。発光波長を変化させることにより、各発光部から測定部位までの焦点距離を変化させることができる。測定を行うための血管は皮膚表面に近いため、中心波長が470nmや520nmの短波長を用いることで測定精度を高めることができる。さらに、被測定者が安静時には緑色発光LEDを用いることで安定した測定を行うことができる。また、被測定者が活動時には青色発光LEDを用いることで安定した測定を行うことができ、特に肌の色がFitzpatrick scaleによるSkin Type Vである場合には顕著である。そのため、血圧情報測定装置107内に加速度センサ等を設け、被測定者の活動状況を認識し、活動状況に応じて発光部124a、124bと発光部128a,128bを切り替えることで、脈波の検出精度を高めることができる。
【0136】
<効果の説明>
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る血圧情報測定システム4は、被測定者の活動状況に応じて緑色発光LEDと青色発光LEDを切り替えることで、脈波形の測定精度を高め、P波やD波の時間を正確に求めることで、血圧情報の精度を高めることが可能となる。
【0137】
また、本実施形態では、被測定者の活動状況に応じて緑色発光LEDと青色発光LEDの切り替えを行っているが、同時に緑色発光LEDと青色発光LEDを同時に照射してもよい。その場合、活動状況を測定する構成や、緑色発光LEDと青色発光LEDを切り替えるための構成が不要となる。
【0138】
(第5の実施形態)
<構成>
本発明の第5の実施形態に係る血圧情報測定システム5の被測定者の測定部位である腕と血圧情報測定装置109について説明する。図12(A)は、被測定者の左腕に血圧情報測定装置を装着した状態である。図12(B)は、被測定者の左腕の橈骨動脈と尺骨動脈を透視して示しており、橈骨動脈と血圧情報測定装置の電極との位置関係を示す図である。図12(C)は、被測定者の腕と、血圧情報測定装置109の電極と光学センサモジュール123の位置関係を示す図である。図13は、図12(A)におけるD−D断面を示している。第1の実施形態に係る血圧情報測定システム1との明確な違いは、第1電極121が橈骨動脈911ではなく、尺骨動脈912と対向している点であり、それに伴い、メインユニット102及びサブユニット103の向きが変更となっている。
【0139】
図12(A)及び図13で示すように血圧情報測定装置109は、メインユニット102とサブユニット103からなり、メインユニット102とサブユニット103の一端同士は電気配線を内部に配したゴムからなるリンクバンド104により接続されている。又、メインユニット102とサブユニット103の他端同士は血圧情報測定装置101を手首901に固定するためのゴム製のサポートバンド105により接続されている。このような構成によって、リンクバンド104が変形し、又サポートバンド105のゴム弾性でメインユニット102とサブユニット103を引き寄せることができる。そのため、被測定者は、手首901の太さに拘わらずメインユニット102とサブユニット103を被測定者の手首901に密着させることができる。なお、メインユニット102とサブユニット103は、電気配線により接続せずに無線により通信を行う構成でもよい。又、サポートバンド105は、腕時計のベルトのように2つのバンドとして美錠と孔により手首の径に合わせてもよい。
【0140】
メインユニット102は、第2電極122と光学センサモジュール123と測定装置制御部113等を含んで構成される。メインユニット102には、後述する測定装置制御部113等を含む。サブユニット103は、第1電極121が配置される。
【0141】
図12(B)及び図13で示すように、被測定者の腕には橈骨動脈911と尺骨動脈912が通っている。図13で示すように、手首901には、橈骨902と尺骨903が通っており、又、橈骨動脈911は橈骨902と手首表面の皮膚との間に通っており、尺骨動脈912は尺骨903と手首表面の皮膚との間に通っている。橈骨動脈911と尺骨動脈912は上腕において上腕動脈913から枝分かれしている。腱904は橈骨動脈911と尺骨動脈912の間に存在する。腱904は、手首901の動きによって手首表面の皮膚を盛り上がらせるように突出することがある。そのため、血圧情報計測装置109のメインユニット102やサブユニット103は、図13で示すように、腱904の近傍の皮膚に触れないようにすることにより、被測定者の装着感に違和感を与えにくくすることができる。
【0142】
図12(B)及び図13で示す第1電極121は、手首901の手の甲側の尺骨動脈の近傍に配置され、尺骨動脈から心電に連動する電位の検出を行う。尺骨動脈912は橈骨動脈911と上腕動脈913から枝分かれしており、手首付近では、枝分かれ部からの距離もほぼ等しいため、尺骨動脈においても心電波形を取得することができる。図12(C)、図13で示す第2電極122は、手首901の手のひら側に配置され、生体基準電位の検出を行う。このような構成により、第2電極122を基準電位として第1電極121で検出する電位を時間経過に伴って測定を行うことにより心電を得ることができ心電波形の測定を行うことができる。第2電極122により、測定の基準電位の振れを抑制できるため、T波等の微小変化を伴う心電波形の検出精度を高めることができ、心室拡張期脈波伝搬時間PTT_DIAの変化を正確に測定することができる。
【0143】
光学センサモジュール123は、図12(C)及び図13で示すように、発光部124と受光部125を含んで構成されている。発光部124は中心波長660nmの発光LEDであり、受光部125は発光LEDの発光波長を受光可能なフォトダイオードにより構成される。発光部124から手首に照射される光は手首の内部で反射され、受光部125により受光される。
【0144】
<効果の説明>
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る血圧情報測定システム5は、尺骨動脈912を用いて心電波形の検出を行うことにより、被測定者が、血圧情報測定装置106を装着した際に、サブユニット103の配置を、小指側に配置することができる。そのため、血圧情報測定システム5は、被測定者の装着性の好みに応じて、サブユニット103の位置を変更しても、血圧情報に関する正確な変化の検出を行うことができる。
【0145】
(プログラム1)
図14は、コンピュータ801の構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ801は、CPU802、主記憶装置803、補助記憶装置804、インタフェース805を備える。
【0146】
ここで、第1の実施形態に係る血圧情報計測システム1を構成する各機能を実現するためのプログラムの詳細について説明する。
【0147】
サーバ装置401は、コンピュータ801に実装される。そして、サーバ装置401の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置804に記憶されている。CPU802は、プログラムを補助記憶装置804から読み出して主記憶装置803に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU802は、プログラムに従って、上述した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置803に確保する。
【0148】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ801において、被測定者の心電の検出を行う心電検出部と被測定者の脈波の検出を行う脈波検出部とを有する血圧情報測定装置と接続可能な電子計算機で被測定者の血圧情報の演算を行う演算プログラムであり、演算部により、前記心電検出部により検出された電位に基づく心電波形のR波と前記脈波検出部により検出された脈波形のP波から演算が行われた心室収縮期脈波伝搬時間と、前記心電波形のT波と前記脈波形のD波から演算が行われた心室拡張期脈波伝搬時間とから、前記被測定者の最大血圧に関する情報と前記被測定者の最小血圧に関する情報の演算を電子計算機に実行させるための演算プログラムである。
【0149】
なお、補助記憶装置804は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース805を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ801に配信される場合、配信を受けたコンピュータ801が当該プログラムを主記憶装置803に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0150】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置804に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)
であってもよい。
【0151】
(プログラム2)
次に、第2の実施形態に係る血圧情報計測システム2を構成する各機能を実現するためのプログラムの詳細について説明する。
【0152】
血圧情報計測装置106は、コンピュータ801に実装される。そして、血圧情報計測装置106の各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置804に記憶されている。CPU802は、プログラムを補助記憶装置804から読み出して主記憶装置803に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU802は、プログラムに従って、上述した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置803に確保する。
【0153】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ801において被測定者の血圧情報の測定を行うプログラムであり、心電検出部により被測定者の心電の検出を行う心電検出ステップと、脈波検出部により被測定者の脈波の検出を行う脈波検出ステップと、第1演算部により心電検出ステップにより検出された電位に基づく心電波形のR波と脈波検出ステップにより検出された脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間と、心電波形のT波と脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1の演算ステップと、第2演算部により第1の演算ステップで演算の行われた心室収縮期脈波伝搬時間と心室拡張期脈波伝搬時間とから、被測定者の最大血圧に関する情報と被測定者の最小血圧に関する情報の演算を行う第2の演算ステップとを電子計算機に実行させるための血圧情報測定プログラムである。
【0154】
なお、補助記憶装置804は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース805を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ801に配信される場合、配信を受けたコンピュータ801が当該プログラムを主記憶装置803に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0155】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置804に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0156】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0157】
1、2、3、4、5…血圧情報測定システム
101、106、107、108、109・・・血圧情報測定装置
102・・・メインユニット
103・・・サブユニット
104・・・リンクバンド
105・・・サポートバンド
111・・・心電検出部
112・・・脈波検出部
113・・・測定装置制御部
114・・・測定装置記憶部
115・・・測定装置操作部
116・・・測定装置通信部
117・・・心電測定制御部
118・・・脈波測定制御部
119・・・測定装置表示部
121・・・第1電極
122・・・第2電極
123、126、127・・・光学センサモジュール
124、124a、124b、128a、128b・・・発光部
125、129・・・受光部
131・・・脈波伝搬時間演算部
132・・・血圧情報演算部
201・・・端末装置
211・・・端末装置制御部
212・・・端末装置記憶部
213・・・端末装置通信部
214・・・端末装置表示部
301・・・ネットワーク
401・・・サーバ装置
411・・・サーバ装置制御部
412・・・サーバ装置通信部
413・・・サーバ装置記憶部
421・・・脈波伝搬時間演算部
422・・・血圧情報演算部
801・・・コンピュータ
802・・・CPU
803・・・主記憶装置
804・・・補助記憶装置
805・・・インタフェース
901・・・手首
902・・・橈骨
903・・・尺骨
904・・・腱
911・・・橈骨動脈
912・・・尺骨動脈
913・・・上腕動脈

【要約】      (修正有)
【課題】常時装着し最大血圧と最小血圧に関するより正確な情報を測定可能な血圧情報測定システム、血圧情報測定方法、血圧情報測定プログラム、血圧情報測定装置、サーバ装置、演算方法及び演算プログラムを提供する。
【解決手段】被測定者の血圧情報を測定するシステムであり、心電検出部と、脈波検出部と、心電波形のR波と脈波形のP波から心室収縮期脈波伝搬時間の演算を行い、心電波形のT波と脈波形のD波から心室拡張期脈波伝搬時間の演算を行う第1演算部と、記第1演算部で演算された心室収縮期脈波伝搬時間と心室拡張期脈波伝搬時間とから、最大血圧に関する情報と最小血圧に関する情報の演算を行う第2演算部とを有する
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14