【実施例】
【0016】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0017】
(1)乗り物用シートの構成
本実施例に係る乗り物用シート1は、
図1に示すように、座席背面の下部に前方に凹む格納用凹部2が形成されたシート本体3を備えている。この格納用凹部2には、後方が開放された容器状で樹脂製のシューズトレイ5(本発明に係る「容器状体」として例示する。)が脱着可能に格納されている。また、格納用凹部2は、座席背面から前方に延びる上面部2a及び下面部2bを備えている(
図4及び
図5参照)。
【0018】
なお、本実施例では、リクライニング動作等のためのモータや制御基板などの電子機器等が座席下部に配置された乗り物用シートを採用する。
【0019】
上記シューズトレイ5は、
図2に示すように、その前端側が互いに連結された板状の上面部5a及び下面部5bを備えている。このシューズトレイ5は、
図4及び
図5に示すように、格納用凹部2への格納状態において、上面部5aの開放側の上端6が格納用凹部2の上面部2aに接触するように配されている。具体的には、上面部5aの開放側の上端6は、格納用凹部2の上面部2aにおいて開放端から格納用凹部2の奥方に離間した位置に接触している。この格納用凹部2の上面部2aの開放端側は円弧状に形成されている。さらに、シューズトレイ5は、格納用凹部2に対してシート本体3の前後方向Pにスライド可能に設けられている。
【0020】
上記シューズトレイ5の下面部5bの開放側には、
図2及び
図3に示すように、下方に凹む複数(
図2中で2つ)の第1凹部8がシート本体3の幅方向に沿って所定間隔で形成されている。これら各第1凹部8は、底壁8a及び底壁8aの周縁から立ち上がる立壁8bを有しており、上方及び後方が開放されている。また、各第1凹部8は、シート本体3に対してシューズトレイ5を締結するために用いられる。また、シューズトレイ5の下面部5bの上面9は、後述するカーペットが敷設される受け面とされている(
図4及び
図5参照)。
【0021】
なお、上記シューズトレイ5の下面部5bには、
図2に示すように、下面部5bの剛性を高めるための下方に凹む凹部10が形成されている。この凹部10は、締結用として使用されない。
【0022】
上記格納用凹部2の下面部2bには、
図2及び
図3に示すように、下方に凹む複数(
図2中で2つ)の第2凹部12がシート本体3の幅方向に沿って所定間隔で形成されている。これら各第2凹部12は、底壁12a及び底壁12aの周縁から立ち上がる立壁12bを有しており、上方及び前方が開放されている。これら各第2凹部12は、第1凹部8に対応する位置に配されている。そして、シューズトレイ5の格納状態において、各第2凹部12の底壁12a上に各第1凹部8の底壁8aが重ねられている。また、各第2凹部12は、
図4に示すように、シューズトレイ5のスライド移動時に第1凹部8のスライド移動を許容して案内する機能を有している。さらに、格納用凹部2の下面部2bの上面13は、後述するカーペットが敷設される受け面とされている(
図4及び
図5参照)。この上面13は、上記上面9に対して略面一とされている。
【0023】
なお、上記格納用凹部2の下面部2bには、
図2に示すように、下面部2bの剛性を高めるための下方に凹む凹部14a、14b、14cが形成されている。これら凹部14a〜14cのうちの凹部14aは、凹部10と対応する位置に配されるとともに、凹部10のスライド移動を許容して案内する機能を有する。
【0024】
上記シューズトレイ5の上面部5aには、
図4及び
図5に示すように、シューズトレイ5を格納用凹部2に対してシート本体3の前後方向Pにスライド移動させることで、格納用凹部2の上面部2aに設けられた挿通穴からなる被係止部16に係脱(すなわち、挿脱)する係止部17が設けられている。また、シューズトレイ5の上面部5aには、
図2に示すように、シューズトレイ5をスライド移動させる際に作業者が把持可能な取っ手部18が設けられている。この取っ手部18は、貫通穴からなされている。
【0025】
ここで、上記シューズトレイ5を格納用凹部2に格納した状態では、
図4及び
図5に示すように、シューズトレイ5の係止部17が格納用凹部2の被係止部16に挿通されている。また、第1凹部8の底壁8a及び第2凹部12の底壁12aは、シート本体3の下部に配された金属製のベース21にボルト20で締結されている。さらに、シューズトレイ5の下面部5b及び格納用凹部2の下面部2bの各上面9、13上にわたって、第1凹部8、第2凹部12及び凹部10、14a〜14cを覆うようにカーペット23が敷設されている。
【0026】
(2)乗り物用シートの作用
次に、上記構成の乗り物用シート1の作用について説明する。
図4及び
図5中に実線で示すように、シューズトレイ5を格納用凹部2に格納した状態では、シューズトレイ5は、その上面部5aの開放側の上端6が格納用凹部2の上面部2aに接触するように配されている。よって、シューズトレイ5の上面部5aとシート本体3との見切り線Aは、乗員の目線に入り難くなっている。
【0027】
一方、
図4及び
図5中に破線で示すように、シューズトレイ5を後方にスライド移動させて格納用凹部2から引き抜くことで、格納用凹部2を介して座席下部に配置された電子機器等のメンテナンスが実行される。また、シューズトレイ5をシート本体3の前後方向Pにスライド移動させるときに、第2凹部12により第1凹部8のスライド移動が案内される。このとき、第1凹部8は、その底壁8aが第2凹部12の底壁12a上を摺動するとともに、その立壁8bが第2凹部12の立壁12bに案内されることで、シート本体3の幅方向への移動が規制される。そして、シューズトレイ5をスライド移動させるとともに、ベース3にシューズトレイ5を締結・解除することで、シート本体3の格納用凹部2にシューズトレイ5が脱着される。
【0028】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の乗り物用シート1によると、格納用凹部2には、後方が開放されたシューズトレイ5が脱着可能に格納されており、シューズトレイ5は、その上面部5aの開放側の上端6が格納用凹部2の上面部2aに接触するように配されるとともに、格納用凹部2に対してシート本体3の前後方向Pにスライド可能に設けられている。これにより、格納状態のシューズトレイ5の内部空間を靴置きとして利用することができる。また、格納用凹部2からシューズトレイ5を後方に引き抜くことで、格納用凹部2を介して座席下部に配置された電子機器等のメンテナンスを行うことができる。さらに、シューズトレイ5の上面部5aとシート本体3との見切り線Aが乗員の目線に入り難く、意匠性を高めることができる。
【0029】
また、本実施例では、シューズトレイ5の下面部5bには、シート本体3に対してシューズトレイ5を締結するための下方に凹む第1凹部8が形成され、格納用凹部2の下面部2bには、第1凹部8に対応する位置に配されるとともに、シューズトレイ5のスライド移動時に第1凹部8のスライド移動を案内する下方に凹む第2凹部12が形成されている。そして、シューズトレイ5の下面部5b及び格納用凹部2の下面部2bのそれぞれの上面9、13には、第1凹部8及び第2凹部12を覆うようにカーペット23が敷設されている。これにより、第2凹部12による第1凹部8のスライド移動の案内を伴ってシューズトレイ5をスライド移動させるとともに、第1凹部8を介してシート本体3にシューズトレイ5を締結・解除することで、シート本体3の格納用凹部2にシューズトレイ5が脱着される。よって、シート本体3の格納用凹部2に対するシューズトレイ5の脱着性を高めることができる。さらに、締結用の第1凹部8及び第2凹部12の大きさを必要最低限とすることで、シューズトレイ5の下面部5b及び格納用凹部2の下面側2bの上面9、13において十分なカーペット23の敷設面積を確保できる。よって、カーペット23のぶかつきを抑制することができる。
【0030】
また、本実施例では、シューズトレイ5の上面部5aには、シューズトレイ5を格納用凹部2に対してシート本体3の前後方向にスライド移動させることで、格納用凹部2の上面部2aに設けられた被係止部16に係脱する係止部17が設けられている。これにより、係止部17が被係止部16に係止することで、格納用凹部2にシューズトレイ5を正確且つ確実に格納できる。
【0031】
また、本実施例では、第1凹部8の底壁8a及び第2凹部12の底壁12aは、シート本体3の下部に配されたベース21にボルト20で締結されている。これにより、ボルト20で第1及び第2凹部8、12が共締めされるため、シート本体3の格納用凹部2に対するシューズトレイ5の脱着性が更に高められる。
【0032】
さらに、本実施例では、第1凹部8及び第2凹部12のそれぞれは、シート本体3の幅方向に沿って所定間隔で複数設けられている。これにより、シート本体3に対してシューズトレイ5を効果的に締結できるとともに、締結用の第1凹部8及び第2凹部12の大きさを更に低減してカーペット23のぶかつきを更に確実に抑制できる。
【0033】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、主に靴置きとして使用されるシューズトレイ5を例示したが、これに限定されず、例えば、主に足置きとして使用される容器状体としたり、靴置き及び足置きに使用される容器状体としたりしてもよい。
【0034】
また、上記実施例では、シューズトレイ5の上面部5aの開放側の上端6を格納用凹部2の上面部2aに接触させるようにしたが、これに限定されず、例えば、シューズトレイ5の上面部5aの開放側の上端6を格納用凹部2の上面部2aに非接触で近接させるようにしてもよい。
【0035】
また、上記実施例では、シューズトレイ5の上面部5aの開放側の上端6を格納用凹部2の上面部2aの奥方に接触させるようにした
。参考例としては、例えば、シューズトレイ5の上面部5aの開放側の上端6を格納用凹部2の上面部2aの開放端近傍で接触させる
形態が挙げられる。この場合であっても、従来の乗り物用シート(
図7参照)に比べて、見切り線Aを視認し難いものにできる。
【0036】
また、上記実施例では、挿通穴からなる被係止部16に挿脱する係止部17を例示したが、これに限定されず、例えば、突起状の被係止部に弾性変形を伴って係脱する係止部としてもよい。
【0037】
また、上記実施例では、シューズトレイ5をベース21に直接的に締結するようにしたが、これに限定されず、例えば、シューズトレイ5をベース21に取り付けたブラケット等に締結するようにしてもよい。
【0038】
さらに、上記実施例では、シューズトレイ5をベース21に締結する締結部材としてボルト20を例示したが、これに限定されず、例えば、クランプ、コッター等を採用してもよい。
【0039】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0040】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。