【実施例】
【0012】
図1、2、6において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに装着された泡吐出器である。
【0013】
図1、2、6に示すように、容器本体Aは、図示しない底部を有する筒状の胴部1の上部に、内部の充填空間Mと連通する開口を形成する口部2を有する。
胴部1は、合成樹脂等により成形された可撓性素材からなり、把持して押圧すると変形して内部の充填空間Mに充填された内容物を空気とともに圧搾する役割を果たす。
口部2には外周におねじ部3が形成され、泡吐出器Bを装着することができる。
また、口部2のおねじ部3の下方には、周方向所定箇所に回り止めリブ89が突設されている。
【0014】
泡吐出器Bは、充填された内容物と空気とを合流させ泡立てる気液合流空間Gを形成するシリンダ部10と、該気液合流空間Gに連通して泡状内容物を吐出するノズル部50と、ノズル部50を枢着し容器本体Aの口部3に装着されるキャップ部70とからなっている。
シリンダ部10は、下部に内容物を吸引する吸引口を形成する吸引管13とシリンダ底体14を保持し、上部外周にキャップ部70に固定されるフランジ15を有するシリンダ本体11と、シリンダ本体11の上部に装着される筒状栓体12とからなっている。
【0015】
シリンダ本体11は、小径の下部筒17と大径の上部筒18とが段部19により連結されている。
図3(a)に示すように、下部筒17の内周には、リング板21が内方に向けて突設され、リング板21の内側には連結片22によって保持された棒体23が設けられている。
また、連結片22は周方向に間隔をあけて複数設けられており、リング板21の内縁から斜め上方に起立し、棒体3の上部に連設している。
上部筒18の内周には筒状栓体12の下部が嵌合固定されており、上部筒18の外周からはフランジ15が張り出し、外気と連通可能な貫通孔25を設けるとともに、外周縁にキャップ部70に保持される嵌合壁26が連設されている。
【0016】
シリンダ底体14は、下部筒17の下部外周に嵌合される嵌合部28と、嵌合部28の下端で連設し内側に延びる段部29と、段部29の内側に立設された内側壁30と、段部29から垂設され吸引管13を嵌合保持する保持筒31とからなる底部32を有し、底部32の上部には下方に向けて拡径する円錐状の傾斜壁33が連設されている。
嵌合部28と段部29の連設部位には、周方向に4カ所に空気を取り込む流入口35が、下部筒17の下端に同じく周方向4カ所に設けられた切欠き36に対応するように配置されている。
【0017】
図3(b)、
図3(c)に示すように、内側壁30の内周面には、棒体23を支持するリブ38が、周方向に間隔をあけて周方向4カ所に設けられている。
また、内側壁30には、空気流入孔35および切欠き36に一致する周方向位置において、外周面に設けられた外側溝部37aと、該外側溝部37aに連通して上面に設けられた上側溝部37bとからなる溝部37が、同様に周方向4カ所に設けられている。
これらの空気流入孔35および切欠き36、溝部37は、本実施例では周方向4カ所に設けられているが、4カ所に限定されることはなく、相互に連通していれば1カ所でもよい。
【0018】
このように、シリンダ本体11には、充填空間M内の内容物を、吸引管13、リブ38の相互間の隙間、連結片22の相互間の隙間の順に通す内容物流路、および充填空間M内の空気を、空気流入孔35、切り欠き部36、外側溝部37a、上側溝部37b、連結片22の相互間の隙間の順に通す空気流路とが形成され、これらの構成により気液混合機構が構成されている。
【0019】
図1,
図4に示されるように、筒状栓体12は、シリンダ本体11の上部筒18内周に嵌合固定される栓体基部40と、該栓体基部40の上部に立設されノズル部50に嵌合する可撓筒41とからなっている。
栓体基部40の内周は、発泡部材を構成するメッシュ43を端部に取着したメッシュリング49を配して内容物を泡立てる気液合流空間Gを形成し、外周には上部筒18に嵌合する嵌合部44と、嵌合部44の上部に拡径部45が形成され、拡径部45には、通常はキャップ部70の内面に当接し、容器内部が負圧になるとキャップ部70の内面から離隔するように弾性変位する逆止弁46が、外方に環状に延びて設けられている。
【0020】
可撓筒41は、可撓性を有する素材からなる薄肉筒状であり、内周面には、ノズル部50の回動によってノズル部下端により押圧される側の屈曲部位付近に閉止突条47が設けられている。
閉止突条47は、屈曲を妨げるノズル部50の枢軸方向側を除いた周方向所定範囲にわたって設けられればよいが、必ずしも設ける必要はない。
また、
図4(c)に示すように、筒状栓体12の別実施形態として、可撓筒41の下部に、内方に湾曲した湾曲面48を周方向に形成したものがある。
湾曲面48は必ずしも全周に設ける必要はなく、部分的に設けてもよいが、このような湾曲面48を形成することによって、可撓筒41がより屈曲変形しやすくなる。
【0021】
ノズル部50は、先端に泡状内容物の吐出口を形成する吐出筒51と、内周が筒状栓体12の可撓筒41に微小間隙Sを有して嵌合する嵌合筒52とを備え、気液合流空間Gと吐出口とを連通する吐出流路Hを形成する。
吐出筒51と嵌合筒52との連結部位付近には、キャップ部70に枢着される軸部53が、吐出筒51が延びる方向に対して垂直方向に突出されている。
また、吐出筒51の下部には、後述するキャップ部70の係止孔88に係止して、泡吐出容器を閉状態に保持する係止突起54が設けられている。
係止突起54の先端には、軸部53側に突出するフック55が設けられている。
【0022】
キャップ部70は、容器本体Aの口部2に装着する固定部71と、シリンダ部10を保持する保持段部72およびノズル部50を枢着する枢着部74を有する立壁部73とからなっている。
固定部71には、口部2のおねじ部3に螺合するめねじ部75が設けられ、めねじ部75の上部には口部2の天面に当接する上壁76が連設し、上壁76の内周縁には口部2の内周に当接して容器内を密封する内筒77が垂設されている。
【0023】
また、
図2(b)に示すように、めねじ部75より下方の固定部71の内周には小突起91と大突起92が突設され、小突起91と大突起92の間には、回り止めリブ89が嵌合可能な凹部が形成されている。
小突起91と大突起92は、泡吐出器Bを容器本体Aに組み付ける際に、キャップ部70を口部2にねじ込んでいくと、ねじ込み終了直前に、回り止めリブ89が小突起91を乗り越えて前記凹部に嵌合し、ねじ込み完了を知らせるとともに泡吐出器Bの回動を阻止する役割を果たす。
なお、本実施例では、口部2とキャップ部70の螺合により泡吐出器Bを容器本体Aに組み付けているが、このようなねじ部による連結手段に限定されず、キャップ部70を口部2に嵌合してフック状部で係合するアンダーカット嵌合など、他の連結手段を採用してもよいことはもちろんである。
【0024】
内筒77の上部には、内筒77と内周面を共有する外筒79により保持段部72が立設され、保持段部72の外筒79より内側には、シリンダ本体11の嵌合壁26の上部を嵌合する環状の嵌合溝78が形成されている。
保持段部72の上部には、略筒状の立壁81が立設され、その上部は略ドーム状の頂壁82に連設されている。
頂壁82の中心付近には、ノズル部50の軸部53を上部から嵌入する軸受け部84が形成され、ノズル部50を閉方向に回動したとき吐出筒51を収容可能に形成された凹部85とともに枢着部74を構成している。
【0025】
凹部85は、軸受け部84の軸方向に垂直な方向に設けられ、立壁81の上部を切り欠いて形成される。
凹部85の底部には、切り欠かれた立壁81の上端に連設する係止板86が、吐出筒51の下面を支持するように設けられている。
係止板86には、係止突起54に係合する係止孔88が穿設され、係止突起54が嵌入するとフック55が係合するようになっている。
【0026】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
容器内に充填された内容物を泡状にして吐出するには、胴部1を把持して圧搾し、充填空間Mの内圧を高める。
内容物は、吸引管13から吸引されて上昇し、シリンダ本体11の内周に配置された内側壁30から突出するリブ38と棒体23によって制限された、リブ38相互間の隙間を通過していく。
同時に、充填空間M内の空気は、シリンダ底体14の空気流入孔35とシリンダ本体11下端の切り欠き部36から内側壁30の外側溝部37aに流入し、上部溝部37bを通ってリブ38相互間の隙間から上昇してきた内容物と合流し、ともに連結片22の相互間の隙間を通過していく。
【0027】
空気と混合されながら上昇する内容物は、メッシュ43を通過することによって泡立てられ、さらに、可撓筒41内を通ってノズル部50内の吐出流路Hから吐出口を経て外部に吐出される。
このとき、充填空間Mの内圧により、逆止弁46はキャップ部70の内面に強く押圧されるため、フランジ15の貫通孔25から空気が漏れることはない。
【0028】
泡状内容物を吐出した後、容器本体Aの胴部1から手を離すと、圧搾により変形した胴部1が元の形状に復帰しようとするので、充填空間M内の内圧が負圧となる。
そのため、外気が嵌合筒52と可撓筒41との間の微小間隙Sから吐出通路H内に流入し、吐出通路H内に残留している泡状内容物とともに気液合流空間G側へ引き込まれ、充填空間Mへ還流していく。
同時に、充填空間M内の負圧が大きいときには、逆止弁46がキャップ部70の内面から離隔し、外気が貫通孔25を通って充填空間Mの負圧を緩和し、胴部1を速やかに元の形状へ復帰させる。
なお、微少間隙Sは、嵌合筒52と可撓筒41との嵌合周面に設けられた凹凸などによって形成される間隙であってもよい。
【0029】
その後、容器を使用しないときは、ノズル部50を回動することによって気液合流空間Gを外気から遮断し、泡吐出容器を閉状態に保つことができる。
図6、
図7に示すように、吐出筒51を把持して下方へ押圧すると、ノズル部50は軸部53を中心に回動する。
ノズル部50の回転によって、嵌合筒52の下端が可撓筒41の下部に当接し可撓筒41を屈曲変形させる。
このとき、吐出筒51の下部に設けられた係止突起54は、係止板86の係止孔88に嵌入していき、吐出筒51の下面が係止板86に当接してノズル部50の回動が停止する。
その後、ノズル部50から手を離しても、係止突起54のフック55が係止孔88に係合してノズル部50が回動することを阻止し、閉状態が保たれる。
【0030】
図7に示すように、可撓筒41は屈曲することにより扁平状に変形して流路を閉鎖し、気液合流空間Gを外気から遮断する。
可撓筒41の押圧される側の内周面に設けられた閉止突条47は、シール機能を有して流路をより完全に閉鎖することができる。
また、閉止突条47を複数設けて上下方向に肉厚を変化させれば、より可撓筒41を屈曲変形しやすくなる。
閉止突条47は、屈曲変形を妨げないように、軸部53の軸方向の所定範囲には設けないことが好ましい。
【0031】
このように、本実施例の泡吐出容器は、使用しないときにはノズル部50を回動して閉状態とし、気液合流空間Gを外気から遮断することができるから、胴部1を誤って強く把持したり容器を倒したりしても、不用意に内容物が漏出することがなく、しかも、複雑高価な栓体を別途用いなくとも容器の開閉状態を切り替えることができる。
しかも、可撓筒41と嵌合筒52とを微小間隙Sをもって嵌合しているので、該微小間隙から空気を流入させて吐出流路H内に残留した泡状内容物を吸引しサックバックすることができるから、残留した泡状内容物が使用後に吐出口から流れ出るようなこともなく、衛生的である。
また、ノズル部50の回動によって容器の開閉状態を切り替えるので、離れた位置からでも外観によって容器の開閉状態を容易に視認することができる