特許第6202534号(P6202534)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202534
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】コテ刷毛
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/10 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   B05C17/10
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-245333(P2014-245333)
(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公開番号】特開2016-107185(P2016-107185A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2016年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】514308531
【氏名又は名称】株式会社アンディーン
(74)【代理人】
【識別番号】100195039
【弁理士】
【氏名又は名称】古城 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100195039
【弁理士】
【氏名又は名称】古城 耕一
(72)【発明者】
【氏名】前島 武人
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭49−021414(JP,B1)
【文献】 特開2002−079169(JP,A)
【文献】 実公昭51−005965(JP,Y1)
【文献】 実開昭48−020953(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 17/00−17/12
B05D 1/00− 7/26
E04F 21/00−21/32
A46B 1/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で握ってコテ刷毛塗りをするための取っ手であって、コテ刷毛本体1とのネジ留め又接着による固定のための2か所の固定端部分を有する取っ手4と、
当該固定部分による拘束により変形を抑えられた直線形状の(X−X)部分と一定の曲率R2を有する(Y−Y)部分からなるアクリル樹脂製、ポリカーボネート樹脂製あるいはアルミニウム製のコテ刷毛本体1であって、コテ刷毛を壁に押し付ける場合に発生する抗力D‘の方向にY座標方向を採り、当該Y座標方向に直角に交差し、コテ刷毛本体1の長さaと平行な方向にX座標方向を採る場合に、(Y−Y)部の自由端を取っ手4の無い方向へ曲げる際の当該コテ刷毛本体1の縦弾性係数(ヤング率)をE(N/mm)、断面2次モーメントをI(mm)とし、(Y−Y)部分の長さL(mm)の当該コテ刷毛本体を抗力D‘で壁に押し付けた時に(Y−Y)部分に掛かる等分布荷重wとする場合の撓みδは、
δ=wL÷(8EI)
で表わされ、
取っ手4を有する側のコテ刷毛本体1の平面上の座標であって、取っ手4とコテ刷毛1が接する固定端AのX−Y座標を(x0、y0)とし、当該(x0、y0)を通るX-Y平面と曲率R2で湾曲したコテ刷毛本体1の取っ手4を有する側の平面上の自由端Bの交点を(x1、y1)とした場合に、
δ=|y0 - y1|
R2=|((x0 - X1)+(y0 - y1))÷2÷(y0 - y1) |
で表わされる曲率で以って湾曲した(Y−Y)部を取っ手4の両側に有するコテ刷毛本体1と、
取っ手4のない側のコテ刷毛本体1の平面全体にスポンジ状のウレタン樹脂製のクッション部2を接着による固着又は着脱可能な取付をした上に起毛状のポリエステル樹脂製の塗装部3を接着固着させた塗布部と、
からなるコテ刷毛であって、取っ手4を握って抗力D‘で壁に押し付けて塗料を塗りつけ作業をさせた際に、塗布部には等分布荷重が掛かり、均一な塗装作業が可能なコテ刷毛。
【請求項2】
手で握ってコテ刷毛塗りをするための取っ手であって、コテ刷毛本体1とのネジ留め又接着による固定のための2か所の固定端部分を有する取っ手4と、
当該固定部分による拘束により変形を抑えられた直線形状の(X−X)部分と一定の傾斜θ(°)を有する(Y−Y)部分からなるアクリル樹脂製、ポリカーボネート樹脂製あるいはアルミニウム製のコテ刷毛本体1であって、コテ刷毛を壁に押し付ける場合に発生する抗力D‘の方向にY座標方向を採り、当該Y座標方向に直角に交差し、コテ刷毛本体1の長さaと平行な方向にX座標方向を採る場合に、(Y−Y)部の自由端を取っ手4の無い方向へ曲げる際の当該コテ刷毛本体の縦弾性係数(ヤング率)をE(N/mm)、断面2次モーメントをI(mm)とし、(Y−Y)部分の長さL(mm)の当該コテ刷毛本体を抗力D‘で壁に押し付けた時に(Y−Y)部分に掛かる等分布荷重wとする場合の撓みδは、
δ=wL÷(8EI)
で表わされ、取っ手4を有する側のコテ刷毛本体1の平面上の座標であって、取っ手4とコテ刷毛1が接する固定端AのX−Y座標を(x0、y0)とし、当該(x0、y0)を通るX-Y平面と一定の角度θ(°)となるように、固定端Aで折り曲げたコテ刷毛本体1の取っ手4を有する側の平面上の自由端Bの交点を(x1、y1)とした場合に
δ=|y0-y1|
となるように取っ手4の無い側へ一定の角度θ(°)で固定端Aを折り曲げた直線状の(Y−Y)部を取っ手4の両側に有するコテ刷毛本体1と、
取っ手4のない側のコテ刷毛本体1の平面全体にスポンジ状のウレタン樹脂製のクッション部2を接着による固着又は着脱可能な取付をした上に起毛状のポリエステル樹脂製の塗装部3を接着固着させた塗布部と、
からなるコテ刷毛であって、取っ手4を握って抗力D‘で壁に押し付けて塗料を塗りつけ作業をさせた際に、均一な塗装作業が可能なコテ刷毛。
【請求項3】
コテ刷毛本体1の長さaを300mm〜600mmの範囲で変化させた場合に、幅bが当該長さaに反比例して150mm〜80mmの範囲で変化し、その長さ/幅(=a/b)の比率が2.0〜7.5の範囲にあり、長さa×幅bの面積が45000mm〜 48000mmの範囲内にある塗装面を有するコテ刷毛本体1に、塗料を含浸させる素材の塗装部材を有する長さを(a−5)mm以上(a+5)mm以下の範囲、幅を(b−5)mm以上(b+5)mm以下の範囲としたコテ刷毛本体1からの張り出し量が一定の塗装面と、当該塗装面とは反対面に固定した取っ手の構成からなる、請求項1又は請求項2に記載のコテ刷毛 。
【請求項4】
コテ刷毛本体1の長さaを400mm〜500mmの範囲で変化させた場合に、幅bが当該長さaに反比例して110mm〜90mmの範囲で変化し、その長さ/幅(=a/b)の比率が3.6〜5.5の範囲にあり、長さa×幅bの面積が45000mmとなる塗装面を有するコテ刷毛本体1に、塗料を含浸させる素材の塗装部材を有する長さを(a−5)mm以上(a+5)mm以下の範囲、幅を(b−5)mm以上(b+5)mm以下の範囲としたコテ刷毛本体1からの張り出し量が一定の塗装面と、当該塗装面とは反対面に固定した取っ手の構成からなる、請求項1又は請求項2に記載のコテ刷毛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性塗料等を塗布する際に使用するコテ刷毛に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平面を均一に広く塗装する方法として、刷毛部の横幅を長くした植毛刷毛や、ローラー刷毛、あるいは、塗料を含浸させる塗布部を有する長方形状のコテ刷毛などが使用されている。この中で、植毛刷毛の場合、刷毛の角度や力の入れ具合など、熟練した技量が要求される。また、ローラー刷毛の場合は、塗料を含浸させるローラーの材質によっては、塗装の際に気泡が入り込みやすくなり、植毛刷毛と比較すると、作業時間の短縮を図れる反面、時間経過後の塗装面の剥がれ等の問題が生じやすくなっている。
【0003】
さらに、面積が広い場合には、主にスプレーガンを用いて、塗装作業が行われている。このスプレー塗装の場合は、作業性は高い半面、塗料の空中飛散対策のため、室内作業であれば換気措置や、被塗装対象物以外をビニールシートで覆うなどの養生が必要となるという施工作業のほかの付帯作業が発生する。また、広い面積を塗装できる長方形状のコテ刷毛の場合は、塗布部の面積を大きくすれば、コテ刷毛の重量が重くなり、作業性が低下する。
【0004】
さらに、室内壁に用いられているクロス壁紙は、引越し等に伴う居住者の入れ替わりや模様替えや経年劣化等により、一定期間経過後に壁紙の張り替えが行なわれるのが一般的である。近年、クロスの張り替えをせずに、そのまま、光触媒性能や消臭効果などの機能性塗料を塗布する施工方法も、増加傾向にある。このようなクロス壁紙への塗装等には、長尺なコテ刷毛が使用され、従来のコテ刷毛では、ある程度均一な塗装面が提供されているが、コテ刷毛の両端部の塗り斑を防止するため、コテ刷毛塗りを繰り返す際に、重ね塗り面積を大きくする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−300006号公報
【特許文献2】特開2000−93877号公報
【特許文献3】特開2012−250184号公報
【特許文献4】実開昭62−35676号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】塚本塗装ホームページ(http://www.nuri-ya.com/houhou/d.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、コテ刷毛の形状の最適化を図るとともに、植毛刷毛の熟練技のような均一な塗装面の実現を図る点である。図1は、従来からの長尺の長方形状コテ刷毛の斜視図であり、図2は、その正面図である。このようなコテ刷毛を使って、壁面クロス等の被塗装対象物に刷毛塗を行う場合、取っ手4を介して押し当てられた抗力Dは、コテ刷毛本体1の全面からウレタン樹脂製等のクッション部2を介して、起毛加工等が施されたポリエステル樹脂製等の塗布部3に伝えられる。ここで、当該クッション部2や塗布部3は弾力性を有しているため、これらの部材2、3は、伸縮バネのようにコテ刷毛本体1と壁等の被対象物との間から受ける圧縮に反発して伸長方向に力が作用する。その結果として、図3に示すように、当該取っ手4の取付固定端からコテ刷毛本体1の長手方向先端までの(Y−Y)部分が、取っ手4側へ曲率R1で湾曲し、均一な面圧で刷毛塗ができず、塗り斑が生じやすいものとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定面積を有する長方形状のコテ刷毛本体1の塗布側には、ウレタン樹脂製等のクッション部2及びポリエステル樹脂製等の塗布部3を固着あるいは着脱可能とし、当該塗布面の反対面に固定した取っ手4からなるコテ刷毛であることを特徴とし、当該取っ手固定端からコテ刷毛本体1の長手方向先端までの(Y−Y)部分の形状を、一定の曲率で塗布面側に曲率中心を有する湾曲させた形状、あるいは、(Y−Y)部分が先端に向って塗布面側へ一定角度で傾斜させたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコテ刷毛本体1を一定の曲率で取っ手4の固定側とは反対側に湾曲させることで、当該コテ刷毛を壁等の被塗装対象物に押し当てた場合、コテ刷毛の長さ方向の両端点から次第に接し、コテ刷毛の塗装部全面が壁等の被塗装対象物に等分布荷重で押し当てることが可能となり、作業者の熟練度に係らず、均一な塗装面に仕上げることが可能となる。また、コテ刷毛本体1と塗布部3の間のクッション部2をウレタン樹脂製等だけではなく、ばね定数の高い、いわゆる反発係数の高い部材や、クッション部2の厚さt2や塗布部3の厚さt3の厚い部材を用いた場合でも、コテ刷毛を一定の抗力D’で押し当てた場合に生じる撓みδに応じた最適な曲率R2でコテ刷毛本体1を成形すれば、略等分布荷重で刷毛塗を行うことができるコテ刷毛を提供することが可能となる。このように、本発明のコテ刷毛は、コテ刷毛本体1を被塗装対象物に押し当てた場合に、塗布部の面圧を略一定にすることができるという利点がある。
【0010】
また、本発明のコテ刷毛本体1の長さaを300mm〜600mmとして、幅bを80mm〜150mmの範囲になるようにして、当該コテ刷毛面積が一定範囲の数値になるように、その長さ/幅(=a/b)が7.5〜2.0の範囲となるようにすることで、コテ刷毛本体1の塗装面側に固着等したウレタン樹脂製等のクッション部2およびポリエステル樹脂等の塗布部3に施工開始時に吸収含有されて塗布に寄与しない塗料の量を一定に抑え、なおかつ、長さと幅が異なるコテ刷毛であっても、1回の塗布部3に供給する塗料で同等の面積の塗装が行なえることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は従来からの長方形状コテ刷毛の斜視図である。
図2図2は従来からの長方形状コテ刷毛の正面図である。
図3図3は従来からの長方形状コテ刷毛を壁面等の被塗装対象物に押し当てた場合の変形概念図と長さ方向の面圧分布の概略図である。
図4図4は長方形状コテ刷毛本体1に等分布加重が作用した場合の長さ方向の撓みδを示した概略図である。
図5図5はコテ刷毛本体1の(Y−Y)部分を一定曲率R2で曲げ加工を施したコテ刷毛の概略図である(実施例1)。
図6図6はコテ刷毛本体1の(Y−Y)部分を先端に向って一定角度で傾斜させた場合の概略図である(実施例2)。
図7図7はコテ刷毛本体1の端部を折り曲げ加工して、断面二次モーメントをより大きくしたコテ刷毛の斜視図である(実施例3)。
図8図8はコテ刷毛本体1の両端部を折り曲げ加工して、断面二次モーメントをより大きくしたコテ刷毛の斜視図である(実施例3)。
図9図9はコテ刷毛本体1の両端の長さを拘束して、コテ刷毛本体1を曲げ加工する方法を示した概略図である(実施例4)。
図10図10は同側面の隣り合う角の2つを角丸め加工し、クッション部2と塗布部3をコテ刷毛本体1より、外側へ張り出る(プラスに張り出る)ようにしたコテ刷毛の斜視図である(実施例5)。
図11図11図10に示すコテ刷毛の上面図である(実施例5)。
図12図12は同側面の隣り合う角の2つを面取り加工し、クッション部2と塗布部3をコテ刷毛本体1より、ひと回り小さくなる(マイナスに張り出る)ようにしたコテ刷毛の斜視図である(実施例5)。
図13図13は、図12に示す同側面の隣り合う角の2つを斜めに面取り加工した場合の上面図である(実施例5)。
図14図14はコテ刷毛本体1の長さaと幅bの関係を示したグラフである(実施例6)。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
R2の曲率で(Y−Y)部分を曲げ加工したコテ刷毛本体1は、取っ手4が固定されていることから、図4に示すように、コテ刷毛を壁等の被塗装対象物に押し当てた場合でも、取っ手4により図4の(X−X)部分は拘束されて変形が抑えられるため、当該(X−X)部分は略等分布荷重であると考えられることから、コテ刷毛本体1は、取っ手4の取付部端点(A点)を固定端とする等分布荷重w(単位:N/mm)が作用する自由梁の撓みに近似していると考えられる。 ここで、コテ刷毛本体1の縦弾性係数(ヤング率)をE(単位:N/mm)とし、断面二次モーメントをI(単位:mm)とした場合、(Y−Y)部分には等分布荷重w(=D’/a)が作用した場合のコテ刷毛本体1の長さ方向端点である自由端(B点)の撓みδ(単位:mm)は、材料力学の公式である次式から導き出すことができる。
【0013】
【数1】
【0014】
図4に示すようなX−Y座標系を考え、コテ刷毛本体1と取っ手4の固定端A点の座標を(x0,y0)、コテ刷毛本体1の長さ方向の端B点の座標を(x1,y1)とすれば、たわみδは、(y0−y1)で表わされ、曲率R2の曲率中心は、A点−B点を結ぶ線の垂直2等分線と直線Y=x0の交点となる。当該交点とA点又はB点を結ぶ距離が曲率半径R2で算出される。
【0015】
【数2】
【0016】
図5は、上記方法で算出された曲率半径R2となるように、コテ刷毛本体1の(Y−Y)部分を曲げ加工を施し、ウレタン樹脂製等のクッション部2及びポリエステル樹脂製等の塗布部3を固着あるいは着脱可能としたコテ刷毛の実施例を示している。このような曲率で曲げ加工したコテ刷毛を、抗力D’で壁面等の被塗装対象物に押し当てて塗装作業を行う場合には、コテ刷毛の長さ方向の両端点から壁面等の被塗装対象物に順次接し、コテ刷毛の塗装部全面が当該壁面等に接する時に、略等分布荷重で均一に塗装作業が行うことが可能となる。ここで、コテ刷毛が壁等の被塗装対象物に押し当てた場合に略等分布荷重になるようにできれば、取っ手4の大きさや取付位置は、実施例に限定するものではない。
【0017】
【表1】
【0018】
上記の表は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルミニウムでコテ刷毛本体1を作成した場合の荷重と撓み、及び近似曲率半径を求めた一例を示している。ここで、表1の最上段から3番目の厚さt1=2mmのアクリル樹脂のコテ刷毛本体1に50Nの荷重を加えた場合、(Y−Y)部分の撓みは42.1mmとなり、正確なx1座標の算出が困難となるため、便宜的に、x0-x1の長さLを(Y−Y)=158mmと同じと近似して、表の近似曲率半径を求めている。したがって、実際の曲率半径R2は、当該近似曲率半径の数値より小さくなると考えられる。また、アクリル樹脂製のコテ刷毛本体1の厚さt1=5mmの場合、撓みが小さくなることから、x0-x1と(Y−Y)部分の長さの誤差が小さくなり、当該近似曲率半径は、曲率半径R2に近い数字を示していると考えられる。但し、この表に示した長さaと幅b及び厚さt1の組み合わせ等は、例示にすぎず、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、コテ刷毛本体1の材質をアクリル樹脂とした場合、アクリル樹脂を曲げる方法として、約150℃のオーブンで加熱して柔らかくした後、所定の曲率を有する木型等に押し当てながら冷却することで成形することが可能である。但し、コテ刷毛本体1の材料として、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等や、金属アルミニウム、金属マグネシウム、マグネシウム合金等が望ましいが、これらに限定するわけではない。
【実施例2】
【0020】
図6は、コテ刷毛本体1の(Y−Y)部分を取っ手4の取付面とは反対側へ、当該(Y−Y)部分を取っ手4の取付位置から先端へ向かって、直線状に一定角度θで傾斜させた場合の実施例を示している。材料のヤング率Eが大きい場合や、コテ刷毛本体1の材料が同質のものであっても、コテ刷毛本体1の厚さt1が大きな場合等の断面二次モーメントIが大きい場合は、式1で示す撓みδは小さくなり、結果として、曲率半径R2の数値が大きくなる。このような場合は、コテ刷毛本体1の(Y−Y)部分の端点が撓みδと同じ位置になるように、一定角度θで取っ手4の取付部端点を起点として直線曲げを加工したコテ刷毛本体1に、ウレタン樹脂製等のクッション部2及びポリエステル樹脂製等の塗布部3を固着あるいは着脱可能とし、取っ手4をネジ留めあるいは接着固定して、コテ刷毛を構成することができる。
【0021】
この様に、コテ刷毛本体1の(Y−Y)部分を取っ手4の取付部の略取り付け端部位置で、一定角度θで曲げることで、コテ刷毛を壁等の被塗装対象物に押し当てて、塗装施工した場合も、実施例1と同様に、コテ刷毛本体1の端部からコテ刷毛本体1の中央部に向って壁等の被塗装対象物に順次連続して接し、コテ刷毛の両端がウレタン樹脂製クッション部2やポリエステル樹脂の塗布部3の伸長力を相殺することで、略均一な塗装面の実現を図ることができる。
【実施例3】
【0022】
図7は、コテ刷毛本体1を幅方向の2つの端部のうちの一方の端部を長さ方向に亘って折り曲げ加工を施した実施例を示している。このように端部を長さ方向に曲げ加工を施したコテ刷毛本体1にウレタン樹脂製等のクッション部2及びポリエステル樹脂製等の塗布部3を固着あるいは着脱可能とし、取っ手4をネジ留めあるいは接着固定したコテ刷毛を構成している。端部を折り曲げ加工を施すことにより、断面二次モーメントIを大きくすることができ、コテ刷毛を壁面等の被塗装対象物に押し当て塗装施工をした場合に、コテ刷毛本体1の長さ方向の撓みδを小さくすることが可能となり、略均一な塗装面の実現を図ることができる。
【0023】
図7では、コテ刷毛本体1の幅方向から観た片側端部のみを折り曲げ加工しているが、この実施例に限るわけではなく、図8に示すように、反対側の端部も同様に折り曲げ加工を施して、断面二次モーメントIを大きくしてもよいが、断面二次モーメント大きくする方法として、折り曲げ加工に限るわけではない。
【実施例4】
【0024】
アクリル樹脂等の熱可塑性を有する材料の場合、曲率半径R2を求めなくても、以下の方法で、表1に示す撓み量δから、所定の曲率の(Y−Y)部分を有するコテ刷毛本体1の成形が可能である。図9は、図5に示すアクリル樹脂製のコテ刷毛本体1を撓みδで曲げ成形する際の長さを拘束する場合の実施例である。その具体的な方法として、コテ刷毛本体1のアクリル樹脂板の取っ手4の取付部を直線状のまま変形しないように、鉄製等の平面拘束部材7と8でコテ刷毛本体1の取っ手取付部分を挟み込み、ボルト11で固定し、熱変形しないように拘束する。次に、コテ刷毛本体1の両端をそれぞれ長さ方向拘束部材6に押し当てて、当該拘束部材6に貫通させた両切りネジ9に取り付けたナット10により、コテ刷毛本体1の長さが(a−α)と短くなるように拘束する。この場合、コテ刷毛本体1の左右(Y−Y)部分はそれぞれ撓みδで撓んだ状態となることで、一定の曲率で曲がった状態のままオーブン加熱し、一定時間経過後、オーブンから取り出して、拘束した状態で空冷等により冷却すれば、所定の曲率の曲げ成形が可能となる。このような加工方法であれば、曲率R2を算出しなくても、撓みδになるように拘束すれば、所定の曲率を持つアクリル樹脂のコテ刷毛本体1を成形することが可能となる。アクリル樹脂のコテ刷毛本体1の曲げ方法は、上記実施例1で述べた方法などがあり、これらに限定されるわけではない。
【実施例5】
【0025】
図10は、コテ刷毛本体1にウレタン樹脂製等のクッション部2及びポリエステル樹脂製等の塗布部3を固着あるいは着脱可能とし、取っ手4をネジ留めあるいは接着固定したコテ刷毛の取っ手4の取り付け面(上面)側から見た場合の4つの角のうち、当該上面と塗装面(底面)で挟まれた4側面の中の1つの同側面にある隣り合う2つの角を角丸め加工(ここでは、R加工ともいう。)することで、塗装施工中におけるコテ刷毛を壁等の被塗装対象物上で回転させる時に塗料の液垂れを防ぐことができる。
【0026】
当該角丸め加工をしていないコテ刷毛の当該上面対角線を重力鉛直下向きにした場合、丁度、正方形の雑巾を水に濡れたまま、当該雑巾の対角線が重力鉛直下向きになるように干した場合に、最下部の角に水が集中して滴が垂れてくることと同じ様に、塗料が垂れ易くなる。また、壁等の被塗装対象物のコーナー隅部には、角丸め加工をした隣り合う2つの角をもつコテ刷毛の残りの角丸め加工をしていない角により、塗装ができ、塗り残しを防止できる。コテ刷毛の角からの液垂れを防ぐことが可能であれば、角丸め加工に限らず、図12に示すように、隣り合う2つの角の面取り加工等であっても構わない。
【実施例6】
【0027】
取っ手4をM6の皿ネジで固定した、長さa=450mm、幅b=100mm、厚さt1=5mmのアクリル樹脂製のコテ刷毛本体1に、厚さt2=9mmのスポンジ状のウレタン樹脂製のクッション部2と厚さ4mmの起毛状のポリエステル樹脂製の塗布部3を固着させて構成したコテ刷毛に水溶性塗料を使用した場合、乾燥した状態の当該クッション部2と乾燥した状態の当該塗布部3には、塗装施工開始時に200cc〜300ccの塗料が吸収含有され、塗装に寄与していない。すなわち、当該クッション部2と塗布部3を一体とした場合、単位塗布面あたり0.00404cc/mm〜0.00607cc/mm塗料が吸収含有される材質と言える。このように、コテ刷毛本体1の長さ及び幅を一定以上に大きくすることは、コテ刷毛本体1の重量を重くするだけではなく、塗装に寄与しない塗料を増加させることになる。また、コテ刷毛本体1の面積を一定範囲内となるように、コテ刷毛の長さ/幅比(=a/b)を決めることにより、長さや幅が異なるコテ刷毛であっても、塗装施工開始時に無駄になる塗料を一定量以下に抑えることが可能となる。さらには、このように長さ/幅比で設計されたコテ刷毛であれば、一定量の塗料で塗装施工できる塗装面積を同程度にすることができ、施工見積等の際に使用塗料の概算が行ない易くなる。
【0028】
図1の斜視図に示すように、コテ刷毛本体1の長さをaとし、幅をbとし、aの値を300mm〜600mmの範囲にした場合に、コテ刷毛本体1の塗布面面積を約45000mm〜48000mmとなるようにすれば、塗装施工開始時にクッション部2や塗布部3に含有吸収される塗料量を182cc〜291cc程度の範囲に抑えることができる。したがって、aの値が300mmの場合には、bの値を150mmとし、aの値が600mmの場合には、bの値を75mmとする。すなわち、aの値を300mmから600mmへ変化させた場合に、それに反比例して、bの値を150mmから75mmの範囲になるように、長さ/幅比(=a/b)が2.0〜7.5になるように設計することで、上記の特徴を有するコテ刷毛を提供できる。ここで、図14に、このような長さaと幅bとの関係をグラフで示している。グラフの中の◇記号は、長さa×幅b=48000mmで表わされる数値を示し、△記号は、長さa×幅b=45000mmで表わされる数値を示している。特に、記号△で示す、長さaの値を400mm〜500mmの範囲で変化させた場合に、当該長さaの値に反比例して、bの値が110mm〜90mmの範囲となるように、長さa×幅bの面積が略45000mmとなる当該長さ/幅比(=a/b)の値が3.6〜5.5の範囲になるように設計したことを特徴とするコテ刷毛本体1であることが望ましい。但し、ウレタン樹脂製等のクッション部2やポリエステル樹脂製等の塗布部3の材質や形状によっては、吸収含有する塗料の量が変化すると考えられるため、上記の吸収含有量は例示に過ぎず、クッション部2や塗布部3の長さは、(a−5)mm以上(a+5)mm以下の範囲で、幅は、(b−5)mm以上(b+5)mm以下の範囲で、コテ刷毛本体1からの張り出し量が一定であれば良く、コテ刷毛本体1の長さaと幅bと同じ大きさに限るものではない。なお、図12に示すように、マイナスの突き出し量の場合は、コテ刷毛本体1の面積の方が、クッション部2や塗布部3の面積よりも広いことを意味している。

【産業上の利用可能性】
【0029】
室内壁に用いられているクロス壁紙等に光触媒成分を含有する水性塗料等をコテ刷毛塗り作業をする際に、コテ刷毛を壁面等に複数回往復させる必要があるが、コテ刷毛の塗装面に係る荷重を長さ方向に亘り、略等分布とすることで、繰り返し塗装の際の重ね塗り面積を小さくすることができ、作業時間の短縮等の作業効率の向上と使用塗料の節約を図ることができる。また、室内クロス壁だけではなく、屋外のブロック壁や家の外壁などに塗装作業する場合でも、本発明のコテ刷毛を使用すれば、等分布荷重による略均一な塗装面を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0030】
1 コテ刷毛本体
2 ウレタン樹脂等のクッション部
3 ポリエステル樹脂等の塗布部
4 取っ手
5 コテ刷毛本体の取っ手取付部の固定部材
6 長さ方向拘束部材
7 平面拘束部材
8 平面拘束部材
9 両切りネジ
10 ナット
11 ボルト
図1
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