(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0021】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る製造装置及び当該製造装置を利用した製造管理システムについて、
図1ないし
図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る製造装置を利用したシステム構成図、
図2は、本実施形態に係る製造装置の機能ブロック図、
図3は、電子部品の梱包状態の一例を示す図、
図4は、本実施形態に係る製造装置の動作を示すフローチャートである。
【0022】
図1において、本実施形態に係る製造装置は、複数の電子部品が梱包された梱包部品11に関する情報を記憶した部品情報12を読み込み、この読み込んだ部品情報12を利用して製品15を製造する。梱包部品11は、例えば、複数の電子部品がリールに巻かれて梱包されているものや、格子状に空洞が形成されたトレイの各空洞に複数の電子部品が嵌着されたものがある。部品情報12は、実際に梱包されている電子部品の各部品単位の情報(部品1個ずつの個別の情報)又は梱包単位の情報(梱包されたリールごとの情報やトレイごとの情報)が格納されている。
【0023】
各部品単位の情報の具体例としては、例えば、部品の3次元形状、部品表面の摩擦係数、色、材質、部品の重心、マーク位置、特性値(例えば、抵抗値、容量値、熱特性等)が挙げられる。すなわち、部品の種類は同じであっても個々の部品の誤差を含む詳細な情報が部品情報12に含まれることとなる。その他にも、例えば、部品名称、型番、梱包ごとの各部品における特性値の平均値、最大値、最小値、マーク位置の平均値、最大値、最小値等が含まれる。
【0024】
梱包単位の情報の具体例としては、例えば、リールやトレイの形状、材質、トレイの深さ等が挙がられる。すなわち、同じリールやトレイであっても個々のリールやトレイ単位の誤差を含む詳細な情報が部品情報12に含まれることとなる。
【0025】
なお、部品情報12は、メモリやICチップに記憶された状態で提供されてもよいし、コード化された情報(例えば、QRコード等(登録商標))として記録された状態で提供されるようにしてもよい。また、これらの情報は、暗号化された状態で提供され、製造装置10で使用する際に複合化されることが好ましい。
【0026】
製造装置10は、CAD等の設計装置で生成された製品15に関する設計情報を設計情報記憶部13から読み込んで、設計情報にしたがった製品15の製造処理を行う。このとき、梱包部品と共に提供される部品情報12を読み込んで参照しながら、製品15に各部品を組み込む。従来であれば、部品の種類ごとの情報(例えば、部品メーカから公表されているカタログ値等)に基づいて製造が行われる。しかしながら、同種の部品であっても各個々の部品ごとに誤差があるため、製造時にエラーが発生したり歩留まりが低下する原因となる。本実施形態においては部品情報12を読み込むことで、各部品ごとの誤差を考慮して製造を行うことができ、高品質な製品15を製造することができると共に、歩留まりの低下を防止することができる。
【0027】
製造装置10は、梱包部品11の各部品を製品15に組み込むと共に、その組み込まれた際の状態を部品情報12に書き込みを行って組込情報を生成する。生成された組込情報は組込情報記憶部14に記憶される。組み込まれた際の状態を示す情報として、例えば、実際に部品が配設された位置、方向、角度等が含まれる。また、組み込まれた電子部品が梱包されていたリールやトレイごとの識別情報、電子部品個々の識別情報等も含むことができる。組込情報記憶部14は、製造工程の後段処理に利用することができ、その利用形態の詳細は後述する。
【0028】
次に、本実施形態に係る製造装置10の構成について説明する。
図2において、製造装置10は、部品情報12を読み込む部品情報読込部21と、設計情報記憶部13に記憶された設計情報13aを読み込む第1設計情報読込部22と、少なくとも読み込んだ設計情報13a及び部品情報12を用いて、製品15の製造処理を行う製造制御部23と、製品15に組み込まれた各部品の組込状態を示す組込情報を生成し、組込情報記憶部14に記憶する組込情報生成部24とを備える。
【0029】
製造制御部23は、設計情報13aに基づいて部品の組み込みを行う際に、読み込んだ部品情報12を参照する。そして、部品情報12に基づいて製造処理の制御を行う。例えば、
図3に示すように、リールやトレイに収納された各部品ごとに収納状態に誤差がある場合であっても、それらの情報に基づいて製造装置を制御することで、部品を高精度に組み込むことが可能となる。
【0030】
なお、組込情報は、他の製造装置10(例えば、製造工程の後段で利用する製造装置)の組込情報記憶部14に記憶するようにしてもよいし、製造者が視認し易い状態で出力(ディスプレイに表示又は紙に印刷等)するようにしてもよい。
【0031】
次に、本実施形態に係る製造装置10の動作について説明する。
図4において、まず第1設計情報読込部22が、設計情報13aを読み込み(S41)、部品情報読込部21が部品情報12を読み込む(S42)。上述したように、設計情報13aはCAD等の設計装置で生成されたものであり、部品情報12は梱包された電子部品の各部品単位の情報、又は、梱包単位の情報である。製造制御部23が、設計情報13a及び部品情報12に基づいて製造装置10を動作させる(S43)。このとき、各部品単位ごと又は梱包単位ごとに製造装置10の動作を細かく制御することで、高品質な製品の製造が可能となる。
【0032】
組込情報生成部24が、製造制御部23により組み込まれた電子部品の状態を部品情報12に加重して組込情報を生成し(S44)、出力する(S45)。この組込情報は、組込情報記憶部14に記憶してもよいし、ディスプレイや紙に出力してもよいし、後段の処理で使用する装置に渡してもよい。上述したように、組込情報には実際に電子部品が配設された位置、方向、角度等が含まれており、後述する製造工程の後段の処理(例えば、不良解析、動作検証、特性値の調整等)に利用することができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、個々の電子部品の識別情報や梱包単位のリールやトレイの識別情報を利用することで、個々の電子部品の異常や、梱包単位での電子部品の異常が判明した場合に、異常があった電子部品を含む製品を容易に回収することが可能となる。すなわち、生成された組込情報を読み込んで、異常があった電子部品の識別情報、異常があった電子部品が梱包されたリールやトレイの識別情報で検索することで、異常があった電子部品を含む製品15を特定して回収することができる。この場合、個々の製品15の識別情報と当該製品15に組み込まれた個々の電子部品、リール、トレイの識別情報とが対応付けられた状態で組込情報記憶部14に記憶されているものとする。
【0034】
また、上記各構成及び動作は、ROMやRAM等のメモリに記憶されたプログラムをCPUが読み込んで実行することで実現される。また、製造装置10は、必要に応じてハードディスクやフラッシュメモリ等の大容量の記憶装置にデータを保存してもよい。さらに、製造装置10は、製造者からの操作情報等を入力したり、情報を出力するための入出力インターフェースを備えると共に、外部機器との通信を行うための通信インターフェースを備える構成としてもよい。
【0035】
(本発明の第2の実施形態)
第1の実施形態に係る製造装置及び当該製造装置を利用した製造管理システムについて、
図5ないし
図7を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係る製造装置を利用したシステム構成図、
図6は、本実施形態に係る製造管理システムで用いる検証装置の機能ブロック図、
図7は、本実施形態に係る検証装置の動作を示すフローチャートである。
なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
【0036】
図5に示すように、本実施形態においては製造工程の後段の処理を行う装置として、製品15の検証を行う検証装置50を備える。検証装置50は、製造装置10で製造された製品15の動作確認を行って製品15の製品としての適否を判定する。すなわち、検証装置50は、動作確認のための情報にしたがって製品15を動作制御し、その動作結果を取得する。取得した動作結果に基づいて、製品としての適否が判定される。このとき、前記第1の実施形態における製造装置10で生成された組込情報を用いて動作確認が行われる。組込情報を用いて動作確認を行うことで、電子部品が組み込まれた状態に応じた検証を行うことができ検証精度を上げることができる。
【0037】
検証装置50の構成について説明する。
図6において、検証装置50は、組込情報記憶部14に記憶された組込情報14aを読み込む組込情報読込部61と、設計情報記憶部13に記憶された設計情報13aに基づいて作成された動作情報68を読み込む動作情報読込部62と、読み込んだ動作情報67にしたがって製品15を動作制御する動作制御部63と、設計情報13aを読み込む設計情報読込部64と、動作制御部63が動作制御した結果、並びに、読み込んだ設計情報13a及び組込情報14aに基づいて製品15の製品としての適否を検証する検証部65と、検証部65が検証した結果を検証結果情報67として出力する検証結果出力部66とを備える。
【0038】
なお、動作情報68は、設計情報記憶部13に記憶された設計情報13aを所定のルール情報に従って変換することで生成される構成であってもよいし、設計情報13aに基づいて担当者が作成したものであってもよい。設計情報13aを変換して生成する場合、設計情報記憶部13は予め動作情報68に変換可能な構造のデータベースとなっており、管理者により管理されているルール情報を利用して検証装置50に適した動作情報68を生成することができるようにしてもよい。
【0039】
検証部65は、製品15を動作させた場合に、設計情報13aにしたがった動作とは異なる動作をした場合に、組込情報14aの情報を参照し、製品15に実際に組み込まれた電子部品の情報を取得する。例えば、設計上は10Ωの抵抗値を示すはずのものが8Ωの抵抗値を示した場合に、組込情報14aを参照して実際に組み込まれた部品の部品情報を取得する。その部品情報が8Ωとなっていれば、設計上は正確な動作をしていないことになるものの、部品自体は問題なく動作していると判断する。また、組込情報14aには、電子部品が配設された位置、方向、角度等が含まれており、それらが設計情報13aに合致しているかどうかを検証する。誤差を考慮した上で設計情報13aと合致している場合には、電子部品が問題なく配置されたと判断でき、製造装置10自体が正常に動作していると判断する。
【0040】
また、検証部65は組込情報14aを参照することで、設計上正確な動作をしていない個々の電子部品を特定することができると共に、リールやトレイを特定することができる。すなわち、同じリールやトレイに梱包された部品について、複数の異常を検知した場合に、そのリールやトレイに梱包された電子部品全体を異常と判断することができ、上述したように、それらの電子部品が組み込まれた製品15を容易に回収することができる。
【0041】
なお、例えば、製造装置10を基板に電子部品をマウントするマウンタ、検証装置50を製品15の動作をテストするテスタとした場合、上述したように電子部品自体が問題なく動作し、製造装置10であるマウンタも正常に動作していると判断されるにも関わらず、テスト結果で異常が検出された場合は、必然的に基板に不良があると判断する。すなわち、不良箇所の特定を行うことが可能となる。
【0042】
次に、本実施形態に係る検証装置の動作について説明する。
図7において、まず、組込情報読込部61が、組込情報14aを読み込む(S71)。動作情報読込部62が、設計情報に基づいて生成された動作情報68を読み込む(S72)。設計情報読込部64が、設計情報13aを読み込んでおく(S73)。動作制御部63が、動作情報68にしたがって製品15を動作させる(S74)。検証部65が、製品15の動作結果に基づいて、上述したような検証処理を行う(S75)。具体的には、動作結果と組込情報14aとの比較、動作結果と設計情報13aとの比較、組込情報14a及び設計情報13aに基づく動作結果の適否の判断、不良箇所の特定等を行う。検証結果出力部65が、検証結果を検証結果情報66として出力して(S76)、処理を終了する。
【0043】
このように、本実施形態に係る製造管理システムにおいては、製造された製造対象物の動作を制御し、読み込んだ組込情報に基づいて、製造対象物の動作の適否を検証し、検証した結果を検証結果として出力するため、実際に実装された各電子部品の組み込み状態に基づくより正確な検証を行うことができる。
【0044】
また、不良箇所の原因が製造装置、電子部品及び基板のいずれにあるかを判定して検証することが可能であるため、不良解析を効率よく行うことができる。
【0045】
(本発明の第3の実施形態)
第1の実施形態に係る製造装置及び当該製造装置を利用した製造管理システムについて、
図8及び
図9を用いて説明する。
図8は、本実施形態に係る製造管理システムで用いる検証装置の機能ブロック図、
図9は、本実施形態に係る検証装置の動作を示すフローチャートである。
なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。
【0046】
本実施形態に係る製造管理システムは、前記第2の実施形態に係る製造管理システムと同様に、製造工程の後段の処理を行う装置として、製品15の検証を行う検証装置50を備える。本実施形態においては、検証装置50が製造対象物の動作を補正して調整する。すなわち、組み込まれた電子部品に異常があるか又は数値が適正でないことが組込情報14aにより特定された場合に、それが原因となる異常動作を補って正常動作となるように調整する。例えば、設計上の抵抗値と実際に実装された部品の抵抗値との差がある場合に、その差を補うように抵抗値の調整等を行う。
【0047】
検証装置50の構成について説明する。
図8において、検証装置50は、組込情報記憶部14に記憶された組込情報14aを読み込む組込情報読込部61と、設計情報記憶部13に記憶された設計情報13aを読み込む設計情報読込部64と、読み込んだ組込情報14a及び設計情報13aに基づいて、製品15の動作を設計情報13aに合うように調整する調整部81とを備える。
【0048】
調整部81は、組込情報14aと設計情報13aとの差に基づいて、当該差を補うように調整を行う。なお、組込情報14aと設計情報13aとの差が許容されている誤差の範囲かどうかを判定し、許容範囲であれば特に調整を行わずに、許容範囲外であれば調整を行って許容範囲内の製品となるように調整してもよい。
【0049】
また、調整部81は、上述したように組込情報14aに含まれる電子部品の部品情報に基づいて製品15の動作を調整してもよいし、前記第2の実施形態に示したように、検証部65の検証結果に基づいて調整するようにしてもよい。この場合、前記第2の実施形態における
図6の構成に調整部81が追加され、検証部65からの情報を取得して製品15に対して調整を行う構成となる。
【0050】
次に、本実施形態に係る検証装置の動作について説明する。まず、設計情報読込部64が設計情報13aを読み込む(S91)。組込情報読込部61が組込情報14aを読み込む(S92)。調整部81が、設計情報13a及び組込情報14aに基づいて、当該組込情報14a及び設計情報13aの差を補うように製品15の調整を行って(S93)、処理を終了する。調整部81の具体的な処理の一例として、例えば、可変抵抗部品の抵抗値を変えることで差を補ったり、MEMSのコントローラの値を調整することで差を補うことが可能となる。
【0051】
このように、本実施形態に係る製造管理システムにおいては、読み込んだ組込情報及び設計情報に基づいて、部品実装された製造対象物が設計情報にしたがった正確な動作を行うように製造対象物の機能を補正して調整することで、歩留まりをなくして高品質な製品を製造することができる。
【0052】
なお、本発明に係る製造管理システムは、設計情報13a(電子部品に関しては、その特性についてカタログ情報のように一般的に公開された情報)、並びに、部品情報12及び電子部品が組み込まれた状態を示す組込情報14aを相互の関連付けて利用しながら製造管理を行うことで、実特性値を考慮した電子部品の配置を行うことが可能となる。すなわち、設計情報13aの中に電子部品の特性についてのマージンが記述されていれば、そのマージンに合わせた電子部品(梱包部品11)を選択し、不良率を減少させて性能向上を図ることができる。また、例えば、差動回路などを用いて同じ抵抗値の抵抗を製造装置側で配置することができ、製造装置の差別化を図ることできる。