特許第6202546号(P6202546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6202546
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】光学結像装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/22 20060101AFI20170914BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20170914BHJP
   G03B 35/18 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G02B27/22
   G02B5/08 C
   G03B35/18
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-52347(P2016-52347)
(22)【出願日】2016年3月16日
(65)【公開番号】特開2017-167326(P2017-167326A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】504083930
【氏名又は名称】和田 治郎
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】和田 治郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 一晃
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−090387(JP,A)
【文献】 特開2016−014735(JP,A)
【文献】 特開平11−023812(JP,A)
【文献】 特開2015−083527(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/129454(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/167904(WO,A1)
【文献】 特開2015−172782(JP,A)
【文献】 特開平05−273402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/00−27/64
G02B5/00−5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過材料の内部に帯状の平面光反射部を一定のピッチで多数並べて形成した2枚の光制御パネルを作製し、この2枚の光制御パネルをそれぞれの平面光反射部が交差するように面同士を対向配置させる光学結像装置の製造方法であって、
光透過材料で構成された樹脂からなるフィルム基材の一面又は両面に光反射層を形成したものを多数枚積層して積層体を作製する積層体作製工程と、
前記積層体を光反射層に対して垂直方向に切断して該光反射層が前記平面光反射部となる前記光制御パネルを切出す切出し工程と、
前記切出した光制御パネルの切断面に透明化樹脂を均一に塗布して該切断面を平滑にする表面処理工程と、
前記表面処理した2枚の光制御パネルをそれぞれの平面光反射部が交差するように面同士を対向させる配置工程とを含み、
前記表面処理工程は、透明化樹脂の塗工面に対して平滑度5秒以上の透明なフィルム又はプラスチック板で形成する押圧部材を貼付して、光制御パネルの切断面に塗布した透明化樹脂の塗布表面を均一に押さえて表面平滑性を付与し、
前記配置工程は、前記表面処理工程における押圧部材を取り除かずに透明化樹脂上に貼付した状態に保持した2枚の光制御パネルを貼り合わせる光学結像装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光学結像装置の製造方法において、
前記積層体作製工程は、ホットメルト接着剤層を予め形成した前記フィルム基材を多数枚積み重ねた後、これを加熱して各フィルム基材を一度に接着する光学結像装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学結像装置の製造方法において、
前記表面処理工程で使用する前記透明化樹脂は、全光線透過率が70%以上の樹脂からなる光学結像装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学結像装置の製造方法において、
前記表面処理工程で使用する前記透明化樹脂は、屈折率が1.25〜2.40の範囲内にあり且つ前記フィルム基材の屈折率との差が±0.5である樹脂からなる光学結像装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学結像装置の製造方法において、
前記表面処理工程は、光制御パネルの切断面に前記透明化樹脂を5〜150μmの厚みに均一に塗布する光学結像装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の光学結像装置の製造方法において、
前記積層体作製工程で使用する前記フィルム基材は、厚み0.05〜1.0mmの範囲内の樹脂からなる光学結像装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を見る観察者側の空中に立体像を形成する光学結像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間に画像を表示する方法としては、昔から遊園地などで見かけるホログラムと称されている技法があるが、スケール感を出す事は難しく、ディスプレイ用途としては不向きであった。その後も様々な手法で表示をしようとしているが、その大半は水蒸気、霧や煙、または薄いプラスチック板にプロジェクター投影させる方法で疑似的に空中に浮いて見せる手法に留まっている。
【0003】
そこで、物体を見る観察者側の空中にその物体の立体像を簡便に形成することが可能な光学結像装置が提案されている(特許文献1)。この光学結像装置は、透明平板の内部に、該透明平板の平面に対して垂直に帯状の平面光反射部を一定のピッチで多数並べて形成した2枚の光制御パネルを用い、2枚の光制御パネルをそれぞれの平面光反射部を直交させて重ね合わせたものであり、物体から入射した光が直交した各平面光反射部で連続して反射し、光学結像装置を挟んで物体と対称位置にその物体の立体像を空中に結像させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−155345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記光学結像装置の製造方法は、概ね以下のとおりである。すなわち、光反射層が形成された透明平板を一枚ずつ接着し多数枚積層して積層体を作製し、次に、この積層体を前記光反射層に対して垂直方向に切断して多数の平面光反射部を有する光制御パネルを切り出し、次に、切り出した光制御パネルの切断面を精密研磨して表面平滑性を出し、そして、2枚の前記光制御パネルをそれぞれの平面光反射部を直交させるようにして貼り合わせることで前記光学結像装置が製造される。
【0006】
このように、従来の光学結像装置の製造方法では、光制御パネルの視認性を確保するために、積層体の切断後、光制御パネルの表裏の切断面を精密研磨して表面平滑性を出すようにしていた。この研磨には相当な時間を要し、なおかつ研磨時に応力によって光制御パネルに割れが発生しやすく、特に透明平板間の積層部分から簡単に割れてしまうという問題があった。また、透明平板を一枚ずつ接着して積層体を作製していたため、所定の大きさの積層体とするのに多くの時間と労力を要し、かつコスト的にも高く付いていた。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、前記研磨を要せずに生産中の光制御パネルの割れを防止するとともに光制御パネルに良好な視認性を持たせることができる光学結像装置の製造方法を提供することを目的とする。
また、多数の基板から積層体とする工程の加工効率を向上することも可能な光学結像装置の製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光学結像装置の製造方法は、
光透過材料の内部に帯状の平面光反射部を一定のピッチで多数並べて形成した2枚の光制御パネルを作製し、この2枚の光制御パネルをそれぞれの平面光反射部が交差するように面同士を対向配置させる光学結像装置の製造方法であって、
光透過材料で構成されたフィルム基材の一面又は両面に光反射層を形成したものを多数枚積層して積層体を作製する積層体作製工程と、
前記積層体を光反射層に対して垂直方向に切断して該光反射層が前記平面光反射部となる前記光制御パネルを切出す切出し工程と、
前記切出した光制御パネルの切断面に透明化樹脂を均一に塗布して該切断面を平滑にする表面処理工程と、
前記表面処理した2枚の光制御パネルをそれぞれの平面光反射部が交差するように面同士を対向させる配置工程とを含むものである。
【0009】
前記積層体作製工程は、ホットメルト接着剤層を予め形成した前記フィルム基材を多数枚積み重ねた後、これを加熱して各フィルム基材を一度に接着することにより、前記積層体を作製することができる。
【0010】
前記表面処理工程で使用する前記透明化樹脂は、全光線透過率が70%以上の樹脂からなることが好ましく、また、屈折率が1.25〜2.40の範囲内にあり且つ前記フィルム基材の屈折率との差が±0.5である樹脂からなることが好ましい。
【0011】
前記表面処理工程は、光制御パネルの切断面に前記透明化樹脂を5〜150μmの厚みに均一に塗布することが好ましく、また、平滑度5秒以上のフィルム又はプラスチック板により、光制御パネルの切断面に塗布した透明化樹脂の塗布表面を均一に押さえて表面平滑性を付与するようにしてもよい。
【0012】
前記積層体作製工程で使用する前記フィルム基材は、厚み0.05〜1.0mmの範囲内の樹脂又はガラスからなることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、積層体から切出した光制御パネルに対して従来はその切断面を研磨していたが、この研磨工程に代えて、光制御パネルの切断面に透明化樹脂を均一に塗布する表面処理工程を行う。これにより、研磨を要せずに光制御パネルに良好な視認性を付与することができ且つ光制御パネルに優れた強度を持たせて割れを防ぐことができる。従って、光制御パネルの生産の歩留まりが大幅に向上する。
【0014】
また、積層体作製工程では、ホットメルト接着剤層により積み重ねた多数のフィルム基材を加熱して一度に接着させることにより、積層体を作製する生産効率を著しく向上することができる。従って、全体として光学結像装置の生産性を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態による光学結像装置の構成を示す斜視図である。
図2】光学結像装置により空中結像する作用を説明するための模式図である。
図3】光学結像装置を製造するためのフィルム基材の構成を示す断面図である。
図4】光学結像装置の製造工程の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、光学結像装置1について説明する。
図1に示すように、光学結像装置1は、2枚の光制御パネル2により構成されている。光制御パネル2は、光透過材料の内部に厚み方向にわたって形成された帯状の平面光反射部3を一定のピッチで多数並べて形成されている。そして、光学結像装置1は、この2枚の光制御パネル2をそれぞれの平面光反射部3が交差(例えば、90度位置に直交)するように互いの面側を向かい合わせに重ね合わせて構成されている。また、この光学結像装置1は、2枚の光制御パネル2を貼り合わせた貼り合わせ物の表裏面にそれぞれ保護板4が貼り付けられている。この保護板4は、透明な樹脂又はガラスからなり、全光線透過率が90%以上であり、ヘイズが2以下のものが好ましく使用される。この保護板4の材料として、例えば、透明な樹脂であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、アリルエステル、ポリイミド、ポリアミド、及びこれらの複合材料等が例示される。
【0017】
図2に示すように、光学結像装置1は、物体Nのaからの光線が、第1の光制御パネル2の平面光反射部3のc点で正反射し、次に、第2の光制御パネル2の平面光反射部3のc’点で反射してa’点に集まる。また、物体Nのbからの光線は、第1の光制御パネル2の平面光反射部3のd点で反射し、その光は更に第2の光制御パネル2の平面光反射部3のd’点で反射してb’点に集まる。従って、この光学結像装置1によれば、物体Nは、光学結像装置1を中心としてその対称位置に立体像N’を結像することになる。
【0018】
次に、光学結像装置1の製造方法について説明する。
(1)まず、図3に示すような、フィルム基材5に光反射層6と接着剤層7を形成したものを必要枚数用意する。
フィルム基材5は、光(可視光)を透過する材料であり、全光線透過率は80%以上、好ましくは90%以上の樹脂又はガラスが使用される。また、フィルム基材5は、光制御パネル2の良好な視認性を得るために、屈折率が1.4〜1.8の範囲内のものが使用される。このフィルム基材5の光透過材料として、例えば、透明な樹脂であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、アリルエステル、ポリイミド、ポリアミド、及びこれらの複合材料等が例示される。
【0019】
フィルム基材5は、その厚みにより光制御パネル2の視認部を構成するものであり、光制御パネル2にあっては、フィルム基材5の部分は、そのフィルム面側からの視認性ではなく、フィルム端面からの視認性が求められる。すなわち、フィルム基材5の厚みは、光制御パネル2の視認性領域を形成する。これより、フィルム基材5の厚みが厚い場合は、光学結像装置1の視認性が高くなるが、物体の結像自体が大きくなるためディスプレイ等の用途では画像の鮮明性が低下する。逆に、フィルム基材5の厚みが薄い場合は、光学結像装置1による物体の詳細な結像が可能となるが、フィルム基材5の取扱いが悪く製造時の作業性が低下するとともに光学結像装置1での全体的な視認性が低くなる傾向となり、また、製造時(積層体50からの切出し時等)に割れが生じやすく、また光制御パネル2としたときのフィルム基材5間の積層面での接着面積が非常に狭くなるため十分な接着力が保てない。
【0020】
以上より、フィルム基材5の厚みは、0.05〜1.0mmの範囲内とするのが適しており、好ましくは0.1〜0.5mmの範囲内とする。
【0021】
光反射層6は、アルミニウム、銀、チタン、錫、クロム、インジウム等のような光反射性を有する金属蒸着膜により形成される。この光反射層6は、光制御パネル2の平面光反射部3となる。光反射層6は、フィルム基材5の一面側にだけ形成するようにしてもよいが、フィルム基材5の両面に形成するのが好ましく、フィルム基材5の両面に形成することで接着剤層7の影響を受け難くなり、光学結像装置1においてはより鮮明な結像を得ることができる。
【0022】
接着剤層7は、フィルム基材5の一面側に形成される。この接着剤層7は、透明なホットメルト接着剤が使用される。ホットメルト接着剤は、好ましくは、ガラス転移点が−10〜150℃のものが使用され、例えば、ポリエステル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、これらの共重合体等が例示される。
【0023】
(2)そして、図4(a)に示すように、用意したフィルム基材5を多数枚積み重ね、フィルム基材5同士を接着剤層7により接着させて積層体50を作製する。
この場合、フィルム基材5は、その一面側に形成する接着剤層7を同一方向に向けて多数枚のフィルム基材5を積層させる。また、フィルム基材5において光反射層6が一面側にだけ形成するものである場合は、光反射層6を同一方向に向けて多数枚のフィルム基材5を積層させる。フィルム基材5同士の接着は、必要枚数のフィルム基材5を積み重ねた後、この積み重ね状態で全体を加熱する。これにより、フィルム基材5に形成した接着剤層7であるホットメルト接着剤により、すべてのフィルム基材5同士を一度に接着させることができ、従来のように一枚ずつ接着させていた場合と比べて手間なく簡易に且つ短時間に、また低コストに積層体50を作製することができる。
【0024】
(3)次に、図4(b)に示すように、積層体50を切断手段により光反射層6に対して垂直方向に切断することにより光制御パネル2として切出す。
この光制御パネル2は、光透過材料からなるフィルム基材5が視認部となり、光反射層6が平面光反射部3となり、光透過材料の内部に帯状の平面光反射部3が一定のピッチ(フィルム基材5の厚み相当)で多数並んだ構成となる。切断手段による切断幅は、光制御パネル2の帯状の平面光反射部3の帯幅を規定することとなり、また、フィルム基材5の厚みが平面光反射部3間のピッチに相当する。従って、この切断幅としては、光制御パネル2における反射効率からしてフィルム基材5の厚み(0.05〜1.0mm)の3倍程度(0.15〜3.0mm)とするのが好ましく、フィルム基材5の厚みの3倍よりも厚くなると光制御パネル2での反射回数が多くなり光学結像装置1による画像の鮮明性が劣化するおそれがあり、また、フィルム基材5の厚みの3倍よりも薄くなると光制御パネル2での反射が広角となり光学結像装置1による結像画像が見え難い状態となるおそれがある。
【0025】
(4)次に、図4(c)に示すように、積層体50から切出した光制御パネル2の切断面の表面処理として、光制御パネル2の表裏両面の切断面に透明化樹脂8を均一に塗布する。これにより、光制御パネル2の切断面は、透明化樹脂8により切断による表面の凹凸が埋められて平滑となって良好な視認性が付与される。
【0026】
従来の方法では、この光制御パネル2の切断面を精密研磨して平滑化し視認性を付与していたため、研磨に相当な時間を要し、また厚みが薄く且つ主面の延在方向に積層構造を持つ光制御パネル2が研磨時の応力により簡単に割れる等の問題があった。これに対して、本方法によれば、研磨を行わず、光制御パネル2の切断面に透明化樹脂8を均一に塗布することで切断面の表面平滑性を確保し、光制御パネル2において良好な視認性を簡単に付与することができ、且つ透明化樹脂8により強度を持たせて割れを確実に防止することができる。従って、高品質で、歩留まりも高く生産性を大幅に向上することができ、生産コストも低減することが可能となる。
【0027】
透明化樹脂8は、光制御パネル2の良好な視認性を得るために、屈折率が1.25〜2.40の範囲内の樹脂が選ばれる。すなわち、透明化樹脂8は、屈折率がフィルム基材5の屈折率と大きく異なると光制御パネル2において鮮明な視認性が得られないおそれがあるので、上記屈折率の範囲内で使用されるフィルム基材5と屈折率が近い樹脂、例えば、フィルム基材5との屈折率の差が±0.5以内、より好ましくは±0.2以内の樹脂が選定される。
【0028】
また、透明化樹脂8は、全光線透過率が70%より低いと光制御パネル2の視認性を低下させるおそれがあるので、全光線透過率は70%以上、好ましくは90%以上のものが適当である。この透明化樹脂8として、例えば、透明な樹脂であり、アクリレートモノマー、ビニルエーテルモノマー、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリルアクリレート、ビニルエーテルオリゴマー、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ等の樹脂が例示される。
【0029】
また、光制御パネル2の切断面に対する透明化樹脂8の塗工厚みは、5〜150μm、好ましくは20〜100μmの厚みに塗布する。すなわち、透明化樹脂8の塗工厚みが5μmより薄くなると切断面の粗さを補えず光制御パネル2の十分な透過性が得られないおそれがあり、一方、塗工厚みが150μmより厚くなると透過した画像にゆがみが発生するおそれがあり、さらには塗工量も増えてコスト高となる。
【0030】
また、光制御パネル2の切断面に透明化樹脂8を塗布すると、この透明化樹脂8の塗工面に対して、平滑度5秒以上のフィルム又はプラスチック板で表面を均一に押圧する。これにより、塗布した透明化樹脂8の厚みを均一に施すことができ、視認性の良好な光制御パネル2を得ることができる。この場合、押圧部材として用いたフィルム又はプラスチック板は、剥離して取り除くが、透明なフィルム又はプラスチック板であれば取り除かずに透明化樹脂8上に貼付した状態に保持して使用してもよい。
【0031】
(5)次に、図4(d)に示すように、表面処理後の2枚の光制御パネル2をそれぞれの平面光反射部3が直交する90度位置に配置させ、互いのパネル平面同士を対向させて透明接着剤で貼り合わせる。そして、この貼り合わせ物の表裏面にそれぞれ透明な樹脂又はガラスからなる保護板4を貼り付けると、図1に示す光学結像装置1が完成する。なお、2枚の光制御パネル2の貼り合わせ位置は、それぞれの平面光反射部3が直交する90度位置に限らず、90度よりも大きく又は小さく交差する位置に配置して貼り合わせるようにしてもよく、この交差角度を調整することにより光学結像装置1による画像の結像位置を調整することができる。
【0032】
以上のとおり、実施形態による光学結像装置1の製造方法を説明したが、本発明は、上述の実施形態に限られず、特許請求の範囲から導き出される技術思想の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 光学結像装置
2 光制御パネル
3 平面光反射部
4 保護板
5 フィルム基材
6 光反射層
7 接着剤層
8 透明化樹脂
50 積層体

図1
図2
図3
図4